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特開2015-87169液体吐出ノズルの間隔検出方法および液体吐出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-87169(P2015-87169A)
(43)【公開日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】液体吐出ノズルの間隔検出方法および液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/14 20060101AFI20150410BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20150410BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20150410BHJP
【FI】
   G01B11/14 H
   B05C5/00 101
   B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-224376(P2013-224376)
(22)【出願日】2013年10月29日
(71)【出願人】
【識別番号】591189812
【氏名又は名称】エンジニアリングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】星沢 大介
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 健一
【テーマコード(参考)】
2F065
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA22
2F065FF04
2F065HH04
2F065HH12
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065LL12
2F065PP11
2F065QQ24
2F065QQ31
4F041AA05
4F041AA06
4F041AB01
4F041BA21
4F042AA06
4F042AA07
4F042BA08
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】液体吐出ノズルのノズル先端の実像と対象面に映るノズル先端の鏡像との間の距離に基づき実際のノズル先端と対象面の間隔を検出する間隔検出方法を用いることが出来ない場合にも、当該間隔を検出可能な液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】液体吐出装置は、液体吐出ノズルのノズル先端部の実像2b1および鏡像2b2を撮像し、これらの間の距離G1に基づき、実際のノズルギャップを検出する。鏡像2b2が不鮮明で画像認識できない場合等においては、基板表面上の液体吐出位置にマーカー光を照射して光スポットを形成し、ノズル先端部の実像2b1と光スポットの実像S1を撮像し、これらの距離G2に基づきノズルギャップGを検出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ノズルのノズル先端部の実像と、当該液体吐出ノズルに対峙する液体吐出対象の対象面に映る前記ノズル先端部の鏡像とを撮像し、
撮像した前記ノズル先端部のノズル先端縁の実像および鏡像の間の距離に基づき、前記ノズル先端縁と前記対象面の間の間隔を検出し、
前記鏡像が不鮮明あるいは前記鏡像を撮像できない場合には、前記対象面にマーカー光を照射し、
前記ノズル先端部の実像と前記対象面上に形成された前記マーカー光の光スポットの実像を撮像し、
撮像した前記ノズル先端部の前記ノズル先端縁と前記光スポットとの間の距離に基づき、前記ノズル先端縁と前記対象面の間の間隔を検出する、
ことを特徴とする液体吐出ノズルの間隔検出方法。
【請求項2】
前記対象面上における前記マーカー光の照射点位置は、前記液体吐出ノズルによる前記対象面上の吐出液体の付着位置、または、前記付着位置に対して前記対象面に沿った方向にシフトした位置である請求項1に記載の液体吐出ノズルの間隔検出方法。
【請求項3】
液体吐出ノズルのノズル先端部の実像と、当該液体吐出ノズルに対峙する液体吐出対象の対象面に映る前記ノズル先端部の鏡像とを撮像し、
撮像した前記ノズル先端部のノズル先端縁の実像および鏡像の間の距離に基づき、前記ノズル先端縁と前記対象面の間の間隔を検出し、
前記液体吐出ノズルから吐出される吐出液体が障害となって、撮像した前記ノズル先端部のノズル先端縁を画像解析により識別できない場合には、
前記ノズル先端部のノズル先端縁の実像および鏡像の間の距離の代わりに、前記液体吐出ノズルにおけるノズル先端縁から外れた位置に形成されている間隔検出用のインジケーターの実像および鏡像の間の距離を測定し、
前記距離に基づき、前記ノズル先端縁と前記対象面との間の間隔を検出する、
ことを特徴とする液体吐出ノズルの間隔検出方法。
【請求項4】
液体吐出ノズルと、
液体吐出対象の対象面を備えた対象物を、前記対象面が前記液体吐出ノズルに対峙する状態に載せるワークテーブルと、
前記ワークテーブルに載せた前記対象物の前記対象面および当該対象面に対峙する前記液体吐出ノズルに対して、前記対象面および前記液体吐出ノズルのノズル中心軸線の双方に対して斜めの方向から照明光を照射する斜め照明光学系と、
前記対象面に対して、前記ノズル中心軸線を中心光軸とするマーカー光を結像照射するマーカー光結像照射光学系と、
前記照明光によって照射される前記液体吐出ノズルのノズル先端部像、および、前記対象面上に結像する前記マーカー光の光スポット像を、同一視野内で同時観察可能なノズル観察光学系と、
前記ノズル観察光学系によって観察される前記ノズル先端部像のノズル先端縁から前記光スポット像までの距離を測定し、当該距離に基づき、前記液体吐出ノズルのノズル先端縁から前記対象面までの間隔を検出する第1画像処理部と、
を有していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
前記液体吐出ノズルのノズル中心軸線を中心光軸とし、前記対象面に吐出された液体の状態を観察する吐出液体観察光学系を有し、
前記吐出液体観察光学系は前記液体吐出ノズルと同軸に配置され、
前記マーカー光結像照射光学系は、光源、および、前記吐出液体観察光学系の光路上に
配置したビームスプリッターを備え、
前記光源からの射出光は、前記ビームスプリッターによって前記吐出液体観察光学系の光軸に沿った方向に偏向され、前記吐出液体観察光学系の対物レンズを介して前記対象面上に結像する、
請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記ビームスプリッターを前記吐出液体観察光学系の中心光軸に対して直交する方向に移動させて、前記マーカー光の前記対象面上での結像位置を調整可能な結像位置調整機構を有している、
請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記ノズル観察光学系は、前記照明光によって照射される前記液体吐出ノズルのノズル先端部の前記対象面に映る鏡像を観察可能であり、更に、
前記ノズル観察光学系によって観察される前記ノズル先端縁の実像および鏡像の間の距離を測定し、当該距離に基づき、前記ノズル先端と前記対象面の間の間隔を検出する第2画像処理部と、
前記間隔の算出を、前記第1画像処理部および前記第2画像処理部のうちの少なくともいずれか一方によって行なわせる制御部と、
を有している請求項4ないし6のうちのいずれか一つの項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記斜め照明光学系によって前記対象面に照射された照明光の正反射光成分を回帰反射させる対向ミラーを有し、
前記斜め照明光学系と前記ノズル観察光学系は同軸上に配置されている、
請求項4ないし7のうちのいずれか一つの項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
液体吐出ノズルと、
前記液体吐出ノズルにおけるノズル先端縁から離れた部位に形成したインジケーターと、
液体吐出対象の対象面を備えた対象物を、前記対象面が前記液体吐出ノズルに対峙する状態に載せるワークテーブルと、
前記ワークテーブルに載せた前記対象物の前記対象面および当該対象面に対峙する前記液体吐出ノズルに対して、前記対象面および前記液体吐出ノズルのノズル中心軸線の双方に対して斜めの方向から照明光を照射する斜め照明光学系と、
前記照明光によって照射された前記液体吐出ノズルの前記インジケーターの像および、前記対象面に映る前記インジケーターの鏡像を観察するノズル観察光学系と、
前記ノズル観察光学系によって観察される前記インジケーターの実像および鏡像の間の距離を測定し、当該距離に基づき、前記液体吐出ノズルのノズル先端縁から前記対象面までの間隔を検出する第1画像処理部と、
を有していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
前記斜め照明光学系によって前記対象面に照射された照明光の正反射光成分を回帰反射させる対向ミラーを有し、
前記斜め照明光学系と前記ノズル観察光学系は同軸上に配置されている、
請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記ノズル観察光学系によって観察される前記ノズル先端縁の実像および鏡像の間の距離を測定し、当該距離に基づき、前記ノズル先端縁と前記対象面の間の間隔を検出する第2画像処理部と、
前記間隔の算出を、前記第1画像処理部および前記第2画像処理部のうちの少なくともいずれか一方によって行なわせる制御部と、
を有している請求項9または10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記液体吐出ノズルのノズル中心軸線を中心光軸とし、前記対象面に吐出された液体の状態を観察する吐出液体観察光学系を有している、
請求項9ないし11のうちのいずれか一つの項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ノズルと液体吐出対象物の対象面との間の間隔を検出する液体吐出ノズルの間隔検出方法、および当該方法により間隔を検出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体吐出ノズルを用いて液晶パネル用のカラーフィルタ基板、集積回路用の半導体基板等の表面に微細な電極パターン、配線パターン等を描画する観察光学系付き液体吐出装置が提案されている。このような液体吐出装置では、液体吐出ノズルと描画対象の基板表面との間の間隔を正確に制御する必要がある。間隔が変動すると、液体吐出ノズルによって精度良く描画を行うことができない。そこで、描画部分の間隔をリアルタイムに検出しながら精度良く描画を行うことが望ましい。
【0003】
特許文献2には、塗布器の塗液の吐出口面と被塗布部材の被塗布面との間の間隔を精度良く測定するための間隔測定方法が提案されている。この間隔測定方法では、吐出口面の端部の実像と、被塗布面上における吐出口面の端部の反射像とを撮像し、これらの実像と反射像の間の長さを測定し、これに基づき、実際の吐出口面と被塗布面との間の間隔を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/140689号
【特許文献2】特開2013−148408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2において提案されている方法を用いれば、液体吐出ノズルと、液体の吐出位置における対象面との間の間隔を、精度良く検出することができる。この方法では、対象面に液体吐出ノズルのノズル先端が鮮明に映ることを前提としている。また、得られた液体吐出ノズルのノズル先端の実像および鏡像において、それらのノズル先端縁を確実に画像認識できることを前提としている。
【0006】
しかしながら、照明光の光量、液体吐出ノズルの素材・表面性状、対象面の面性状等によっては、液体吐出ノズルのノズル先端を観察する観察光学系によって、鮮明なノズル先端の鏡像を取得できない場合がある。
【0007】
また、微細描画の場合にはノズル先端と対象面とは微小間隔で対峙している。ノズル先端から吐出した液体が対象面に付着する過程において、ノズル先端と対象面の間において繋がった状態が形成される。この状態でノズル先端の実像および鏡像を観察した場合に、それらの像におけるノズル先端縁を画像認識できない場合がある。
【0008】
本発明の課題は、上記のように従来の間隔測定方法に用いることができない場合であっても、ノズル先端と対象面との間の間隔を検出可能な液体吐出ノズルの間隔検出方法および、当該方法により間隔を検出する液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の液体吐出ノズルの間隔検出方法は、
液体吐出ノズルのノズル先端部の実像と、当該液体吐出ノズルに対峙する液体吐出対象
物の対象面に映る前記ノズル先端部の鏡像とを撮像し、
撮像した前記ノズル先端部のノズル先端縁の実像および鏡像の間の距離に基づき、前記ノズル先端縁と前記対象面の間の間隔を検出し、
前記鏡像が不鮮明あるいは前記鏡像を撮像できない場合には、前記対象面における吐出液体の付着位置にマーカー光を照射し、
前記ノズル先端部の実像と前記対象面上に形成された前記マーカー光の光スポットの実像を撮像し、
撮像した前記ノズル先端部の前記ノズル先端縁と前記光スポットとの間の距離に基づき、前記ノズル先端縁と前記対象面の間の間隔を検出することを特徴としている。
【0010】
本発明の方法によれば、照明光の光量、液体吐出ノズルの素材・表面性状、対象面の面性状等によって、鮮明なノズル先端部の鏡像を取得できない場合においても、マーカー光を用いて間隔を検出できる。
【0011】
ここで、液体吐出ノズルから吐出した液体が、ノズル先端と対象面の間に繋がった状態となる場合には、吐出された液体によってスポット光を観察できない場合がある。このような場合には、マーカーの光スポットの形成位置を、付着位置に対して対象面に沿った方向にシフトさせた位置とすれば、確実にスポット光を観察できる。
【0012】
次に、本発明の液体吐出ノズルの間隔検出方法は、
液体吐出ノズルのノズル先端部の実像と、当該液体吐出ノズルに対峙する液体吐出対象物の対象面に映る前記ノズル先端部の鏡像とを撮像し、
撮像した前記ノズル先端部のノズル先端縁の実像および鏡像の間の距離に基づき、前記ノズル先端縁と前記対象面の間の間隔を検出し、
前記液体吐出ノズルから吐出される吐出液体が障害となって、撮像した前記ノズル先端部のノズル先端縁を画像解析により識別できない場合には、
前記ノズル先端部のノズル先端縁の実像および鏡像の間の距離の代わりに、前記液体吐出ノズルにおけるノズル先端縁から外れた位置に形成されている間隔検出用のインジケーターの実像および鏡像の間の距離を測定し、
前記距離に基づき、前記ノズル先端縁と前記対象面との間の間隔を検出することを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、ノズル先端縁と対象面の間において吐出液体が繋がった状態となっている場合においても、インジケーターの実像と鏡像の間の距離に基づき、液体吐出ノズルと対象面の間の間隔を検出できる。また、インジケーターを反射率の高い塗料等を用いて形成しておくことが望ましい。このようにすれば、照明光の光量、液体吐出ノズルの素材・表面性状、対象面の面性状等によって、鮮明なノズル先端部の鏡像を取得できない場合においても、インジケーターの鮮明な鏡像、すなわち、精度良く画像認識可能な鏡像を取得できる。
【0014】
次に、本発明の液体吐出装置は、
液体吐出ノズルと、
液体吐出対象の対象面を備えた対象物を、前記対象面が前記液体吐出ノズルに対峙する状態に載せるワークテーブルと、
前記ワークテーブルに載せた前記対象物の前記対象面および当該対象面に対峙する前記液体吐出ノズルに対して、前記対象面および前記液体吐出ノズルのノズル中心軸線の双方に対して斜めの方向から照明光を照射する斜め照明光学系と、
前記対象面に対して、前記ノズル中心軸線を中心光軸とするマーカー光を結像照射するマーカー光結像照射光学系と、
前記照明光によって照射される前記液体吐出ノズルのノズル先端部像、および、前記対
象面上に結像する前記マーカー光の光スポット像を、同一視野内で同時観察可能なノズル観察光学系と、
前記ノズル観察光学系によって観察される前記ノズル先端部像のノズル先端縁から前記光スポット像までの距離を測定し、当該距離に基づき、前記液体吐出ノズルのノズル先端縁から前記対象面までの間隔を検出する第1画像処理部と、
を有していることを特徴としている。
【0015】
ここで、液体吐出装置は、吐出された液体の状態を観察するために、液体吐出ノズルと同軸に配置した観察光学系を備えている場合がある。この場合には、当該観察光学系と同一の光路を経由させてマーカー光を対象面に結像照射させることが望ましい。このようにすれば、液体吐出位置にマーカー光が結像照射され、また、装置構成が小型でコンパクトになる。
【0016】
この構成を実現するために、本発明の液体吐出装置は、
前記液体吐出ノズルのノズル中心軸線を中心光軸とし、前記対象面に吐出された液体の状態を観察する吐出液体観察光学系を有し、
前記吐出液体観察光学系は前記液体吐出ノズルと同軸に配置され、
前記マーカー光結像照射光学系は、光源、および、前記吐出液体観察光学系の光路上に配置したビームスプリッターを備え、
前記光源からの射出光は、前記ビームスプリッターによって前記吐出液体観察光学系の光軸に沿った方向に偏向され、前記吐出液体観察光学系の対物レンズを介して前記対象面上に結像するようになっている。
【0017】
また、マーカー光の結像照射位置を、液体吐出位置(対象面上の液体付着位置)からシフトできるように、前記ビームスプリッターを前記吐出液体観察光学系の中心光軸に対して直交する方向に移動させて、前記マーカー光の前記対象面上での結像位置を調整可能な結像位置調整機構を有していることが望ましい。
【0018】
ここで、対象面に映るノズル先端部の鮮明な鏡像が得られる場合には、マーカー光を用いずに、当該鏡像を用いて間隔検出を行うこともできる。このためには、前記観察光学系により、前記照明光によって照射される前記液体吐出ノズルのノズル先端の前記対象面に映る鏡像を観察できるようにし、画像処理部として、前記観察光学系によって観察される前記ノズル先端の実像および鏡像の間の距離を測定し、当該距離に基づき、前記ノズル先端と前記対象面の間の間隔を検出する第2画像処理部を追加し、また、前記間隔の算出を、前記第1画像処理部および前記第2画像処理部のうちの少なくともいずれか一方によって行なわせる制御部を追加すればよい。
【0019】
また、液体吐出装置は、前記斜め照明光学系によって前記対象面に照射された照明光の正反射光成分を回帰反射させる対向ミラーを有し、前記斜め照明光学系と前記ノズル観察光学系は同軸上に配置されていることが望ましい。
【0020】
このようにすれば、斜め照明光学系とノズル観察光学系を、吐出液体観察光学系および液体吐出ノズルに対して同一の側に同軸に配置できる。よって、装置構成の小型化、コンパクト化を図ることができる。
【0021】
次に、本発明の液体吐出装置は、
液体吐出ノズルと、
前記液体吐出ノズルにおけるノズル先端縁から離れた部位に形成したインジケーターと、
液体吐出対象の対象面を備えた対象物を、前記対象面が前記液体吐出ノズルに対峙する
状態に載せるワークテーブルと、
前記ワークテーブルに載せた前記対象物の前記対象面および当該対象面に対峙する前記液体吐出ノズルに対して、前記対象面および前記液体吐出ノズルのノズル中心軸線の双方に対して斜めの方向から照明光を照射する斜め照明光学系と、
前記照明光によって照射された前記液体吐出ノズルの前記インジケーターの像および、前記対象面に映る前記インジケーターの鏡像を観察するノズル観察光学系と、
前記ノズル観察光学系によって観察される前記インジケーターの実像および鏡像の間の距離を測定し、当該距離に基づき、前記液体吐出ノズルのノズル先端縁から前記対象面までの間隔を検出する第1画像処理部とを有していることを特徴としている。
【0022】
ここで、上記構成の液体吐出装置は、前記斜め照明光学系によって前記対象面に照射された照明光の正反射光成分を回帰反射させる対向ミラーを有し、前記斜め照明光学系と前記ノズル観察光学系は同軸上に配置されていることが望ましい。
【0023】
また、液体吐出装置は、前記観察光学系によって観察される前記ノズル先端の実像および鏡像の間の距離を測定し、当該距離に基づき、前記ノズル先端と前記対象面の間の間隔を検出する第2画像処理部と、前記間隔の算出を、前記第1画像処理部および前記第2画像処理部のうちの少なくともいずれか一方によって行なわせる制御部とを有していることが望ましい。
【0024】
さらに、液体吐出装置は、前記液体吐出ノズルのノズル中心軸線を中心光軸とし、前記対象面に吐出された液体の状態を観察する吐出液体観察光学系を有していることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係る液体吐出装置の基本構成を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る液体吐出装置の主要部を示す概略構成図である。
図3図2の液体吐出装置のノズルギャップ検出動作を示す説明図である。
図4】本発明の実施の形態2に係る液体吐出装置の主要部を示す概略構成図である。
図5図4の液体吐出装置のノズルギャップ検出動作を示す説明図である。
図6】液体吐出装置の変形例を示す説明図である。
図7】液体吐出装置の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照して本発明を適用した液体吐出装置の実施の形態を説明する。
【0027】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態に係る液体吐出装置の基本構成を示す概略構成図であり、図2は当該液体吐出装置の主要部を示す概略構成図である。液体吐出装置は、例えば、カラーフィルタ基板、半導体基板等の基板(吐出対象物)の基板表面(対象面)に形成されている配線パターンの欠陥等を補修するために用いられる。
【0028】
まず、図1を参照して液体吐出装置1の基本構成を説明する。液体吐出装置1は、配線パターン形成用の液体を微小液滴として吐出する液体吐出ノズル2(以下、単に「ノズル2」と呼ぶ場合もある。)を備えている。ノズル2には液体供給管3を介して不図示の液体供給源から液体が供給される。ノズル2からの微小液滴の吐出機構としては各種の公知の機構を採用できる。
【0029】
ノズル2の下側には、ワークテーブル4が配置されている。ワークテーブル4には、液体吐出対象物である基板5が載せられる。ワークテーブル4上の基板5は、その液体吐出
対象面である基板表面5aが、ノズル2のノズル先端面2aに対して所定の間隔(以下、これを「ノズルギャップ」と呼ぶ場合もある。)で対峙する。本例では、基板表面5aが水平となるように基板5が配置され、ノズル2はそのノズル中心軸線2Aが垂直となるように配置されている。
【0030】
ノズル2はギャップ制御用のZステージ6に搭載されており、Zステージ6はZステージコントローラ7によってノズル中心軸線2Aに沿った方向、本例では上下方向に液体吐出ノズル2を移動させる。ノズル2の駆動制御、Zステージコントローラ7の駆動制御等の各部の駆動制御は、ノズルギャップ算出用の第1画像処理部8および第2画像処理部9を備えた制御部10によって行われる。
【0031】
ノズル2には、同軸に吐出液体観察光学系11が配置されている。すなわち、吐出液体観察光学系11は、ノズル中心軸線2Aを中心光軸とする光学系であり、基板表面5aに吐出された液体の画像を対物レンズ12を介して観察カメラ13によって拡大観察可能である。観察カメラ13に取り込まれた画像は、制御部10における吐出液体の体積等の算出用の第3画像処理部14に供給され、吐出液体の体積等に基づき、ノズルギャップ等の調整が行われる。
【0032】
次に、液体吐出装置1は照明光学系15を備えている。照明光学系15は、ワークテーブル4に載せた基板5の基板表面5aおよびノズル2に対して、基板表面5aおよびノズル中心軸線2Aの双方に対して斜め上方から照明光を照射する斜め照明光学系である。照明光学系15の照明光源からの照明光は、ビームスプリッター16によって鉛直方向の下方に直角に折り曲げられた後に、偏向ミラー17によって基板表面5aおよびノズル2に向けて斜め下方に向けられ、これらを照射する。
【0033】
また、液体吐出装置1は照明光学系15の照明光軸と同軸の観察光軸を備えたノズル観察光学系18を備えている。ノズル観察光学系18は、ノズル2および基板表面5aに照射された照明光L1の正反射光成分を回帰反射させる対向ミラー19を備え、回帰反射光Lrにより、ノズル2の背面透過光観察(暗視野観察)が可能である。ノズル2のノズル先端部2bの実像および基板表面5aに映るノズル先端部2bの鏡像が、対物レンズ20を介して観察カメラ21によって観察される。
【0034】
観察カメラ21で観察されるノズル先端部2bの実像および鏡像は、制御部10の第2画像処理部9に供給される。第2画像処理部9は、ノズル先端部2bの実像および鏡像におけるノズル先端面2a(ノズル先端縁)の間の距離を画像処理によって測定し、この距離に基づき、実際のノズル先端面2aと基板表面5aとの間の間隔、すなわち、ノズルギャップGを検出する。
【0035】
ここで、ノズル観察光学系18として、ノズル中心軸線2Aを中心として異なる位置に2組の観察光学系を配置してもよい。この場合には、吐出液体観察光学系11と、2組のノズル観察光学系とによって、基板表面5aに吐出された液滴を同時に観察して、制御部10の第3画像処理部14において、液滴の高さ、直径等の形状、体積等を算出し、これに基づき、液滴の吐出量制御を行うことができる。
【0036】
液体吐出装置1は、上記構成に加えて、図2に示すマーカー光結像照射光学系22を備えている。図2を参照して説明すると、マーカー光結像照射光学系22は、基板表面5aに対して、ノズル中心軸線2Aを中心光軸とするマーカー光L2を結像照射する。マーカー光結像照射光学系22は、光源23および吐出液体観察光学系11の光路上に、光軸に対して45度の角度に傾斜配置したビームスプリッター24を備えている。光源23からの射出されるマーカー光L2は、ビームスプリッター24によって吐出液体観察光学系1
1の光軸に沿った方向に偏向され、吐出液体観察光学系11の対物レンズ12を介して基板表面5a上に所定径の光スポットSとして結像する。
【0037】
ノズル観察光学系18は、ノズル2のノズル先端部2bの像、および、基板表面5aに結像するマーカー光L2の光スポットSの像を、同一視野内で同時観察可能である。制御部10の第1画像処理部8では、ノズル観察光学系18によって観察されるノズル先端部2bのノズル先端面2aから光スポットSまでの距離を測定し、当該距離に基づき、ノズルギャップGを検出する。
【0038】
ここで、ビームスプリッター24は、移動ステージ25に搭載されている。移動ステージ25は、ビームスプリッター24を、その姿勢を維持したまま、吐出液体観察光学系11の光軸に対して直交する方向に移動させることが可能である。ビームスプリッター24を移動させると、マーカー光の基板表面5a上におけるマーカー光L2の光スポットSの位置を移動させることができる。
【0039】
図3は液体吐出装置1のノズルギャップ検出動作の例を示す説明図である。ノズル観察光学系18では、通常は、図3(a)に示すように、ノズル先端部2bの実像2b1と、基板表面5aに映るノズル先端部2bの鏡像2b2が観察される。この場合には、制御部10は、第2画像処理部9によりノズルギャップGを検出する。すなわち、ノズル観察光学系18によって観察されるノズル先端面の実像2a1および鏡像2a2の間の距離G1を測定し、当該距離に基づき、実際のノズル先端面2aから基板表面5aまでの間の間隔(ノズルギャップ)Gを算出する。また、制御部10は、ノズルギャップGが一定となるように、ギャップ制御用のZステージ6によってノズル2の高さを調整する。
【0040】
ここで、図3(b)に示すように、ノズル先端部2bの鏡像2b2が鮮明でない場合、あるいは、鏡像2b2を観察できない場合がある。例えば、基板表面5aの反射状態によっては、鏡像2b2を画像解析によって認識できず、それらの距離を測定できない場合がある。この場合には、制御部10はマーカー光結像照射光学系22を駆動して、基板表面5a上における液体吐出位置に微細径の光スポットSを照射する。そして、第1画像処理部8によって、観察されるノズル先端部2bの実像2b1のノズル先端面の実像2a1と光スポットSの像S1までの距離G2を測定し、この距離G2に基づき、ノズルギャップGを検出する。
【0041】
また、図3(c)に示すように、ノズル先端面2aと基板表面5aの間に、ノズル2から吐出した液滴Pが繋がった状態になることがある。微細な配線パターン等の描画においては、ノズルギャップGは微小間隔に保持されるので、描画中においては、ノズル先端面2aと基板表面5aの間に吐出された液滴Pが繋がった状態になることがある。この場合には、観察画像において、ノズル先端面の実像2a1、鏡像2a2の位置を画像解析により認識できない場合がある。また、基板表面5a上における液体吐出位置に形成される位置にある液滴Pが障害となって、当該位置に形成されるマーカー光L2の光スポットSの画像S1を認識できない、あるいは、認識が困難なことがある。
【0042】
このような場合には、制御部10は、移動ステージ25を駆動してビームスプリッター24を移動させ、光スポットSの形成位置を、液体吐出位置からシフトした位置に移動させる。これにより、光スポットSの像S1を確実に画像認識することができるので、第1画像処理部8によってノズルギャップGを精度良く検出できる。
【0043】
[実施の形態2]
次に、図4は実施の形態に係る液体吐出装置1Aの主要部を示す概略構成図である。液体吐出装置1Aは、実施の形態1の液体吐出装置1において、マーカー光結像照射光学系
22を配置する代わりに、図4に示すように、ノズル2の外周面にノズルギャップ検出用のインジケーター31を付けてある。
【0044】
インジケーター31は、ノズル先端部2bにおけるノズル先端面2aから離れた位置において、ノズル2の外周面部分を1周する状態に形成した帯状のものである。インジケーター31として、例えば、視認性の高い色付きの塗料、反射率の高い塗料などを用いることができる。
【0045】
なお、これ以外の構成は、図1に示す構成と同様である。図4においては対応する部位には同一の符号を付してある。
【0046】
図5は液体吐出装置1Aのノズルギャップ検出動作を示す説明図である。図5(a)に示すように、ノズル観察光学系18によって観察されるノズル先端部2bの実像2b1および鏡像2b2には、インジケーター31の実像31aおよび鏡像31bが鮮明に画像認識される。制御部10の第1画像処理部8では、これらのインジケーター31の実像31aと鏡像31bの間の距離G3を測定し、当該距離G3に基づき、ノズルギャップGを検出する。
【0047】
このようにすれば、図5(b)に示すように、ノズル先端部2bと基板表面5aの間に吐出液滴Pが繋がっている場合においても、ノズル先端部2bから離れた位置にあるインジケーター31の実像31aおよび鏡像31bを、吐出液滴Pの像に邪魔されることなく、明確に画像認識できる。また、基板表面5aの状態によっては鮮明なノズル先端部2bの鏡像を観察できない場合があるが、インジケーター31は視認性の高い塗料等の素材を用いて形成されているので、鮮明なインジケーター31の実像31aおよび鏡像31bを得ることができる。よって、ノズルギャップGを確実に検出できる。
【0048】
なお、本例においても、制御部10に第2画像処理部9を配置し、ノズル先端部2bの鮮明な鏡像が得られる場合には、ノズル先端面2aの実像と鏡像の距離を測定し、この距離に基づきノズルギャップGを算出するようにしてもよい。
【0049】
[その他の実施の形態]
図6は上記の液体吐出装置1、1Aの変形例を示す概略構成図である。この図に示す液体吐出装置1Bは、ノズル観察光学系18に入射する反射光Lrと照明光L1を分離し、鮮明な像をノズル観察光学系18において撮像できるようにしたものである。
【0050】
そのために、非偏光光である照明光L1を、第1偏光子41を介して直線偏光光として射出する。対向ミラー19の手前に1/4波長板42を配置し、対向ミラー19で反射して戻る直線偏光光である回帰反射光Lrの偏光方向を90度回転させる。回帰反射光Lrは、偏向ミラー17で反射した後は、ビームスプリッター16を透過して第2偏光子43を介してノズル観察光学系18の対物レンズ20に入射する。第2偏光子43によって、回帰反射光Lrのみが対物レンズ20に向かう。よって、不要な光成分を除去でき、鮮明なノズル先端部2bの実像および鏡像を観察できる。
【0051】
なお、これ以外の構成は、液体吐出装置1あるいは1Aと同一のであるので、説明を省略し、図6においては対応する部位には同一の符号を付してある。
【0052】
次に、図7は、上記の液体吐出装置1、1A、1Bにおける照明光学系15およびノズル観察光学系18の変形例を示す説明図である。
【0053】
この図を参照して説明すると、照明光学系15およびノズル観察光学系18が一体の光
学系ユニット51として構成されている。また、光学系ユニット51は、ノズル2のノズル中心軸線2Aを中心として、旋回可能な状態に配置されている。光学系ユニット51の外周側の部位には、光学系ユニット51を旋回させるための旋回機構52が配置されている。制御部10は、旋回機構52を駆動制御して、光学系ユニット51を所定の旋回位置に旋回させて位置決めする。
【0054】
基板表面5aに凹凸がある場合には、一方の側から基板表面5a上の液体吐出位置を観察した場合に、基板表面5aの凸部が邪魔になって液体吐出位置の部分を観察できない場合がある。このような場合に、光学系ユニット51を旋回させて異なる方向から液体吐出位置を観察することにより、当該液体吐出位置を確実に観察できるようになる。
【0055】
なお、複数組、例えば2組の光学系ユニット51を、ノズル2を中心として異なる角度位置に固定配置し、これらの光学系ユニット51を選択して用いることも可能である。また、複数組の光学系ユニット51を、ノズル2を中心として旋回可能に配置することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1、1A、1B 液体吐出装置
2 液体吐出ノズル
2a ノズル先端面
2a1 ノズル先端面の実像
2a2 ノズル先端面の鏡像
2b ノズル先端部
2b1 ノズル先端部の実像
2b2 ノズル先端部の鏡像
2A ノズル中心軸線
3 液体供給管
4 ワークテーブル
5 基板
5a 基板表面
6 Zステージ
7 Zステージコントローラ
8 第1画像処理部
9 第2画像処理部
10 制御部
11 吐出液体観察光学系
12 対物レンズ
13 観察カメラ
14 第3画像処理部
15 照明光学系
16 ビームスプリッター
17 偏向ミラー
18 ノズル観察光学系
19 対向ミラー
20 対物レンズ
21 観察カメラ
22 マーカー光結像照射光学系
23 光源
24 ビームスプリッター
25 移動ステージ
31 インジケーター
31a 実像
31b 鏡像
41 第1偏光子
42 1/4波長板
43 第2偏光子
51 光学系ユニット
52 旋回機構
L1 照明光
Lr 回帰反射光
L2 マーカー光
S 光スポット
S1 光スポットの実像
G ノズルギャップ
G1、G2、G3 距離
P 液滴
図1
図2
図4
図6
図7
図3
図5