検体容器を把持するための把持部243を移動させる機構の支持部230に脱落防止部材190を取り付ける。把持部243は、検体ラックLに支持されている検体容器Tを把持した状態で、上方に移動することによって検体ラックLから検体容器Tを取り出す。把持部243が上方に移動するときに、脱落防止部材190は静止し、把持部243による検体容器Tの把持箇所が脱落防止部材190の下方から上方へと移動する。移送対象の検体容器Tに掛かった隣の検体容器が、把持部243の上昇に伴って上昇するが、脱落防止部材190に当接することで落下し、検体ラックから当該検体容器が脱落することが防止される。
前記移動規制部は、前記検体容器把持部が前記第1検体容器を把持した状態で前記所定方向に移動するときに、前記検体ラックの上方に位置づけられており、前記検体ラックから上方へと移動する前記第2検体容器に当接するように構成されている、
請求項1に記載の検体容器取出装置。
前記移動規制部は、前記第1検体容器を把持した前記容器把持部が上方へ移動するときに、前記第1検体容器における前記容器把持部による把持箇所が通過可能であり、且つ、前記検体ラックから上方へと移動する前記第2検体容器に当接する枠体を具備する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の検体容器取出装置。
前記移動機構は、検体ラックから第1検体容器を取り出すために、前記第1検体容器を把持した前記検体容器把持部を上昇させることによって、前記第1検体容器における前記検体容器把持部による把持箇所を前記枠体の下方から上方へと移動させるように構成されている、
請求項5に記載の検体取出装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの構成を示す模式図である。
【0020】
本実施の形態に係る検体処理システム1は、投入ユニット21と、検体移し替え装置22と、中継ユニット23と、中継ユニット24と、回収ユニット25と、搬送ユニット31〜33と、血球分析装置6と、塗抹標本作製装置43と、搬送コントローラ7とを備えている。血球分析装置6は、情報処理ユニット5と、測定ユニット41、42とを備えている。また、検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ8と通信可能に接続されている。
【0021】
投入ユニット21、検体移し替え装置22、中継ユニット23,24、回収ユニット25、搬送ユニット31〜33のそれぞれは、検体ラックLの受け渡しが可能となるように、左右に一列に並べられ、隣り合うユニット又は装置同士が互いに接続されている。また、これらのユニット及び装置は、10本の検体容器Tを支持可能な複数の検体ラックLが載置可能となるよう構成されており、
図1中の矢印に沿って検体ラックLが搬送可能となるよう構成されている。検体移し替え装置22には、検体ラックLを左方向に搬送する搬送路r1と、右方向に搬送する搬送路r2とが設けられている。
【0022】
図2は、検体ラックLの構成を示す斜視図である。
図2には、10本の検体容器Tが支持されている検体ラックLの外観が示されている。また、
図2には、検体ラックLが搬送されるときの向き(
図1に示す前後左右方向)が併せて示されている。
【0023】
検体ラックLの後方の側面には、バーコードラベルL1が貼付されている。バーコードラベルL1には、ラックIDを含むバーコードが印刷されている。また、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直に支持することが可能な支持部が形成されている。以下、各支持部の位置を、便宜上、搬送方向の下流から上流に向かって支持位置1〜10と称する。
図2に示すように、検体ラックLには、蓋T2に突出部T3を備える検体容器Tを10本支持することができる。
【0024】
図1に戻って、ユーザは、検体の測定を開始する場合、まず、検体を収容する検体容器Tを検体ラックLにセットし、この検体ラックLを投入ユニット21に載置する。投入ユニット21に載置された検体ラックLは、後方に搬送され、検体移し替え装置22に搬出される。
【0025】
検体移し替え装置22は、内部に、バーコードユニット120を備えており、6つのアーカイブラックR1と、1つのソーティングラックR2とを着脱可能に支持している。また、アーカイブラックR1の後方には、検体移し替え装置22の筐体にバッファラック140が固定して設けられている。後述のように、バッファラック140と、アーカイブラックR1と、ソーティングラックR2とのそれぞれは、検体容器Tを支持する複数の支持部を備えている。また、ソーティングラックR2の前方には、検体ラックLを設置するスペースが設けられており、このスペースに5つの検体ラックLが設置されている。
【0026】
検体移し替え装置22は、投入ユニット21から検体移し替え装置22に搬出された検体ラックLに対して、まずバーコードユニット120による処理を行う。具体的には、バーコードユニット120は、検体ラックLのバーコードラベルL1からラックIDを読み取り、検体ラックLにおいて検体容器Tが支持されている支持位置を検知し、検体容器TのバーコードラベルT1から検体IDを読み取る。検体移し替え装置22は、バーコードユニット120により読み取った検体IDを、搬送コントローラ7を介してホストコンピュータ8に送信する。ホストコンピュータ8は、各検体に設定されている測定オーダ及び分析結果等に基づいて、検体移し替え装置22内で検体容器Tを移し替えるための情報(以下、「移し替え情報」という)を作成する。そして、検体移し替え装置22は、搬送コントローラ7を介してホストコンピュータ8から移し替え情報を受信する。
【0027】
続いて、検体移し替え装置22は、受信した移し替え情報に従って、検体ラックLに支持されている検体容器Tを、バッファラック140、アーカイブラックR1、ソーティングラックR2、及びソーティングラックR2の前方に載置された検体ラックLの何れかに移し替える。また、検体移し替え装置22は、バッファラック140に支持されている検体容器Tを、適宜検体ラックLに移し替える。しかる後、この検体ラックLは中継ユニット23に搬出される。
【0028】
検体移し替え装置22から中継ユニット23に搬出された検体ラックLは、左方向に搬送される場合、中継ユニット24に搬出され、右方向に搬送される場合、中継ユニット23において前方へ搬送され、検体移し替え装置22に搬出される。中継ユニット23から中継ユニット24に搬出された検体ラックLは、中継ユニット24において前方へ搬送された後、搬送ユニット31に搬出される。
【0029】
搬送ユニット31〜33は、それぞれ、上流側から搬出された検体ラックLを、搬送コントローラ7の指示に従って搬送する。具体的には、対応するユニット及び装置で処理が行われる場合、搬送ユニット31〜33は、上流側から搬出された検体ラックLを後方へ搬送し、それぞれ、対応するユニット及び装置に対向する前方位置まで搬送する。また、測定ユニット41、42で処理が行われない場合、搬送ユニット31、32は、上流側から搬出された検体ラックLを左方向へ直進させ、順次、下流側の搬送ユニットに搬出する。
【0030】
測定ユニット41、42は、それぞれ、前方位置に搬送された検体ラックLから検体容器Tを抜き出し、この検体容器Tに収容された検体を測定する。情報処理ユニット5は、測定ユニット41、42から検体の測定データを受信して解析し、測定項目の各分析値を含む分析結果を生成する。また、情報処理ユニット5は、ホストコンピュータ8と通信可能に接続されており、分析結果をホストコンピュータ8に送信する。
【0031】
塗抹標本作製装置43は、前方位置において、検体ラックLに支持された検体容器Tから検体を吸引し、吸引した検体の塗抹標本を作製する。また、塗抹標本作製装置43は、ホストコンピュータ8と通信可能に接続されており、塗抹標本の作製が終了した旨をホストコンピュータ8に送信する。
【0032】
測定ユニット41、42と塗抹標本作製装置43による処理が終了し、下流側で処理の必要がなくなると、検体ラックLは、搬送中の搬送ユニット内で前方に搬送された後、この搬送ユニットにより上流側へ搬出される。こうして、検体ラックLは順次上流方向へ搬送される。
【0033】
搬送ユニット31〜33から順次上流側へ搬送された検体ラックLは、さらに、中継ユニット24と中継ユニット23により右方向へ搬送され、検体移し替え装置22に搬出される。検体移し替え装置22は、中継ユニット23から搬入された検体ラックLを、投入ユニット21に搬出する。
【0034】
検体移し替え装置22から投入ユニット21に搬出された検体ラックLは、投入ユニット21において後方へ搬送され、再び検体移し替え装置22に搬出される。この場合も、上記と同様、バーコードユニット120による読み取りが行われ、検体移し替え装置22は、ホストコンピュータ8から移し替え情報を受信し、受信した移し替え情報に従って、検体ラックLに支持されている検体容器Tを移し替える。
【0035】
こうして、測定ユニット41、42による再検と塗抹標本作製装置43による再度の塗抹標本の作製(以下、単に「再検」という)が不要であり、検体処理システム1以外で処理を行う必要がない検体容器Tは、アーカイブラックR1に移し替えられる。再検は不要であるが、検体処理システム1以外で処理を行う必要がある検体容器Tは、ソーティングラックR2に移し替えられる。再検が必要な検体容器Tは、上記と同様、適宜検体ラックLに移し替えられた後、中継ユニット23に搬出される。検体処理システム1による検体容器Tの処理は、検体容器TがアーカイブラックR1又はソーティングラックR2に移し替えられることにより終了する。
【0036】
なお、支持している全ての検体容器Tが移し替えられて空になった検体ラックLは、中継ユニット23に搬出されると、中継ユニット23において前方へ搬送された後、検体移し替え装置22に搬出される。検体移し替え装置22は、中継ユニット23から搬入された空の検体ラックLを、投入ユニット21に搬出する。投入ユニット21に搬出された空の検体ラックLは、投入ユニット21により右方向へ搬送され、回収ユニット25に搬出される。そして、この検体ラックLは、回収ユニット25において後方へ搬送され、回収ユニット25に収容される。こうして、検体ラックLの搬送が終了する。
【0037】
搬送コントローラ7は、投入ユニット21と、検体移し替え装置22と、中継ユニット23、24と、回収ユニット25と、搬送ユニット31〜33と通信可能に接続されており、これらによる検体ラックLの搬送動作を制御する。ホストコンピュータ8は、検体IDに対応付けて、この検体の測定オーダと、この検体の分析結果等を記憶している。また、ホストコンピュータ8は、検体移し替え装置22内で検体容器Tを移し替えるためのルールを保持している。
【0038】
[検体移し替え装置の構成]
図3は、検体移し替え装置22の内部構成を示す斜視図である。なお、
図3に示すX軸正方向、Y軸正方向、Z軸正方向は、それぞれ、左方向、前方、上方向に対応する。
【0039】
検体移し替え装置22は、
図1に示すバーコードユニット120に加えて、容器移送部200と、搬送部110と、昇降部130と、空ラック貯留部150(
図4参照)と、搬送部160と、収納部170と、脱落防止部材190とを備えている。
【0040】
容器移送部200は、検体容器Tを検体移し替え装置22の内部で移送する。搬送部110は、投入ユニット21から搬出された検体ラックLを、搬送路r1(
図1参照)に沿って左方向に搬送する。昇降部130は、後述のように、搬送路r1の所定位置に位置付けられた検体ラックLを上方向に移動させる。搬送部160は、中継ユニット23から搬出された検体ラックLを、搬送路r2(
図1参照)に沿って右方向に搬送する。
【0041】
収納部170は、6つのトレイ171及び2つのトレイ172、架台173、並びにバッファラック140を具備する。各トレイ171及び172のそれぞれは、検体移し替え装置22の筐体に固定された架台173に対して前後方向にスライド可能に取り付けられており、ユーザがトレイ171及び172を
図3に示す状態から前方に引き出したり、引き出された状態のトレイ171及び172を筐体内に押し入れたりすることが可能である。
【0042】
トレイ171は、1つのアーカイブラックR1を着脱可能である。1つのアーカイブラックR1には、125個の支持部R11が形成されている。トレイ171は、平面視において前後方向に長い長方形をなしており、同様に平面視において前後方向に長い長方形のアーカイブラックR1を保持する。
【0043】
1つのソーティングラックR2には、200個の支持部R21が形成されている。トレイ172は、ソーティングラックR2を着脱可能であり、且つ、ソーティングラックR2の載置位置の前方において5つの検体ラックLを着脱可能である。また、2つのトレイ172は互いに連動して前後方向に移動するよう構成されている。
【0044】
バッファラック140は、6つのトレイ171の後方に配置されている。このバッファラック140は、架台173に固定されている。また、バッファラック140には、60個の支持部141が形成されている。
【0045】
上述のごとき収納部170は、搬送部110、160よりも高い位置にあり、より詳細には、搬送部110、160によって搬送される検体容器Tの頭部(蓋部T2)よりも高い位置にある。これにより、トレイ171及び172のそれぞれを前方に引き出すときに、トレイ171及び172が搬送部110及び160と干渉することがない。
【0046】
図4は、検体移し替え装置22の内部を上側から見た場合の構成を示す模式図である。なお、
図4では、便宜上、昇降部130が一点鎖線で示されている。
【0047】
容器移送部200は、前後方向に延びた2本のレール212と、左右方向に延びたレール222と、支持部230、240とを含んでいる。レール212は、検体移し替え装置22の筐体内に固定されており、レール222は、レール212に沿って前後方向に移動する。支持部230は、レール222に沿って左右方向に移動し、支持部240は、支持部230に沿って上下方向に移動する。支持部240の下端には、検体容器Tを把持可能な把持部243が設置されている。支持部230の下側には、移し替え対象の検体容器Tが検体ラックLから取り出されるときに、移し替え対象の検体容器Tの隣の検体容器Tが検体ラックLから脱落しないための脱落防止部材190が設置されている。容器移送部200及び脱落防止部材190の構成については、追って、
図5A、
図5B、
図6A、
図6B、及び
図6Cを参照して説明する。
【0048】
搬送部110は、左右方向に延びたベルト111、112と、ベルト111、112の前方と後方に設置された壁部117a〜117cと、ラック押出し機構118とを備えている。ベルト111、112が左方向に動くことにより、ベルト111、112に載置された検体ラックLが左方向に搬送される。
【0049】
投入ユニット21から搬出された検体ラックLは、ベルト111により左方向に搬送され、バーコードユニット120に対向する位置P1に位置付けられる。位置P1に位置付けられた検体ラックLは、センサs1によって検出される。バーコードユニット120は、検体ラックLにおいて検体容器Tが支持されている支持位置を検知すると共に、ラックIDと検体IDを読み取る。
【0050】
バーコードユニット120による検知と読み取りが終了すると、上述したように、検体移し替え装置22は、読み取った検体IDをホストコンピュータ8に送信し、ホストコンピュータ8から移し替え情報を受信する。検体ラックLに移し替えが必要な検体容器Tが支持されている場合、この検体ラックLは、ベルト111、112により左方向に搬送され、ラック押出し機構118の鍔部118aに当接することにより、位置P21に位置付けられる。位置P21に位置付けられた検体ラックLは、センサs2によって検出される。他方、検体ラックLに移し替えが必要な検体容器Tが支持されていない場合、この検体ラックLは、ベルト111、112により左方向に搬送され、位置P21を通過し、位置P3に位置付けられる。位置P3に位置付けられた検体ラックLは、センサs3によって検出され、中継ユニット23に搬出される。
【0051】
位置P21に位置付けられた検体ラックLは、昇降部130により上方向(Z軸正方向)の位置(以下、「移し替え位置」という)に移動される。そして、このようにして検体ラックLが移し替え位置に持ち上げられた状態で、検体ラックLに支持された検体容器Tが、適宜、収納部170へ移し替えられ、バッファラック140に支持された検体容器Tが、適宜、この検体ラックLに移し替えられる。検体ラックLに対する検体容器Tの移し替えが終了すると、この検体ラックLは、昇降部130により再び位置P21に位置付けられ、ベルト112により左方向に搬送され、位置P3に位置付けられる。位置P3に位置付けられた検体ラックLは、中継ユニット23に搬出される。
【0052】
なお、検体容器Tが取り出されて空になった検体ラックLは、位置P21に位置付けられた後、ラック押出し機構118によって前方側の面が押されることにより、空ラック貯留部150に押し出される。空ラック貯留部150に貯留された空の検体ラックLは、バッファラック140に支持された検体容器Tの本数が所定値に達すると、適宜、ラック押出し機構151により位置P21に押し出され、昇降部130により位置P22に位置付けられる。そして、この検体ラックLにバッファラック140の検体容器Tが移し替えられる。
【0053】
次に、中継ユニット23から搬送部160に搬入された検体ラックLは、搬送部160のベルト161又はベルト162によって右方向に搬送され、位置P4又は位置P5に位置付けられる。位置P5に位置付けられた検体ラックLは、ラック押出し機構163によって後方側の面が押されることにより、位置P4に位置付けられる。位置P4に位置付けられた検体ラックLは、ベルト161によって右方向に搬送され、投入ユニット21に搬出される。
【0054】
図5Aは、容器移送部200の支持部210の構成を模式的に示す斜視図である。
【0055】
前後方向に延びた一対の支持板211は、検体移し替え装置22の左端と右端に設置されている。レール212は、支持板211上に設置されており、摺動部213は、レール212に対してY軸方向に摺動可能となっている。支持部材214は、摺動部213に固定されている。プーリ215a、215bは、レール212の前端付近と後端付近とにおいて、検体移し替え装置22の筐体内に設置されている。ベルト216は、プーリ215a、215bに掛けられており、支持部材214は、ベルト216に固定されている。右側のプーリ215aと左側のプーリ215aは軸217により接続されており、軸217にはベルト218を介してモータ219の軸が接続されている。このように支持部210が構成されると、モータ219が駆動されることにより、支持部材214がY軸方向に移動する。
【0056】
図5Bは、容器移送部200の支持部220の構成を模式的に示す斜視図である。
【0057】
X軸方向に延びた支持板221は、支持部210の一対の支持部材214(
図5A参照)に固定されている。レール222は、支持板221に設置されており、摺動部223は、レール222に対してX軸方向に摺動可能となっている。支持部材224は、摺動部223に固定されている。プーリ225a、225bは、レール222の左端付近と右端付近とにおいて、支持板221に設置されている。ベルト226は、プーリ225a、225bに掛けられており、支持部材224は、ベルト226に固定されている。右側のプーリ225aにはモータ227の軸が接続されている。このように支持部220が構成されると、モータ227が駆動されることにより、支持部材224がX軸方向に移動する。
【0058】
図6Aは、容器移送部200の支持部230、240の構成を模式的に示す正面図であり、
図6Bはその側面図である。
【0059】
まず、支持部230について説明する。Z軸方向に延びた支持板231は、支持部220の支持部材224(
図5B参照)に固定されている。レール232は、支持板231に設置されており、摺動部233は、レール232に対してZ軸方向に摺動可能となっている。支持部材234は、摺動部233に固定されている。軸235はZ軸方向に延びており、軸235にはネジ状の溝が形成されている。支持部材234は、軸235がZ軸を中心として回転させられると、軸235の溝に沿ってZ軸方向に移動可能となるよう軸235に設置されている。軸235の上端にはモータ236の軸が接続されている。このように支持部230が構成されると、モータ236が駆動されることにより、支持部材234がZ軸方向に移動する。
【0060】
なお、支持部材234には遮光板237が設置されており、支持板231に設置された部材上には遮光式の一対のセンサ238が設置されている。支持部材234がZ軸方向に移動すると、遮光板237が一対のセンサ238の間に移動する。これにより、後述する把持部243が最も上側の位置(以下、「上側位置」という)に位置付けられたことが検出される。
【0061】
次に、支持部240について説明する。支持部材241は、支持部230の支持部材234に固定されている。支持部材241の下方には、支持部材241に対してバネを介して支持部材242が設置されている。支持部材242の下方には、検体容器Tの上部をY軸方向から把持可能な把持部243が設置されている。このように支持部240が構成されると、把持部243は、支持部210によりY軸方向に移動可能となり、支持部220よりX軸方向に移動可能となり、支持部230によりZ軸方向に移動可能となる。
【0062】
なお、支持部材241、242を繋ぐ部材の上部には遮光板244が設置されており、支持部材241に設置された部材上には遮光式の一対のセンサ245が設置されている。把持部243が下方に移動されるときに、把持部243に対してZ軸正方向に力が加えられると、遮光板244が一対のセンサ245の間に移動する。これにより、把持部243が下降中に検体容器Tの蓋部T2等に当接したことが検出される。
【0063】
次に、脱落防止部材190について説明する。支持板231の下端部には、取付部材191が固定されている。この取付部材191は、支持板231の下端からさらに下方に延設されており、その下端部に脱落防止部材190が取り付けられている。このように、脱落防止部材190は支持部230に固定されているので、容器移送部200によって、把持部243と一体的にX軸方向及びY軸方向に移動される。また、把持部243がZ軸方向に移動する場合に、脱落防止部材190はZ軸方向には移動することがない。
【0064】
図6Cは、脱落防止部材190の構成を示す斜視図である。脱落防止部材部材190は、平面視において長方形の環状をなす枠体である。この脱落防止部材190は、外形寸法が短辺
56mm、長辺
86mmであり、中央の穴の寸法が短辺
30mm、長辺
54mmである。脱落防止部材の短辺方向はX軸方向(左右方向)であり、長辺方向はY軸方向(前後方向)である。
【0065】
かかる脱落防止部材190は、上下方向に移動する把持部243の移動経路上に配置されている。また、把持部243は、Y軸方向に開いた状態で、X軸方向の寸法が
24mm、Y軸方向の寸法が
48mmである。
【0066】
図7は、把持部243の検体容器Tの把持動作を説明するための支持部230、240の側面図である。把持部243は、検体容器Tを把持するとき、及び、把持している検体容器Tを解放するとき以外は、上側位置(
図7において実線で示す位置)に位置づけられる。検体容器Tを把持するとき、又は、把持している検体容器Tを解放するときには、検体ラックL又はバッファラック140における検体容器Tの支持部、若しくは、アーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2、又は検体ラックLの空きの支持部の上方に把持部243が位置づけられた状態で、モータ236が駆動されることで、把持部243が下方の下側位置(
図7において破線で示す位置)へ移動される。上側位置は把持部243の全部が脱落防止部材190より上方にある位置であり、下側位置は把持部243の一部が脱落防止部材190より下方にある位置である。つまり、把持部243は、検体容器Tを把持するとき、又は、把持している検体容器Tを解放するときに、把持部243の下側部分が脱落防止部材190を通過するように、Z軸方向へと移動される。
【0067】
このように、把持部243は、脱落防止部材190よりも下方の下側位置まで下降され、その下側位置において、検体容器Tの把持動作又は解放動作を行う。また、検体容器Tの把持動作又は解放動作の後、把持部243は、脱落防止部材よりも上方の上側位置まで上昇される。
【0068】
また、
図7に示すように、バッファラック140、アーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2、及び検体ラックLに検体容器Tが支持された場合、これらのラックの上面からは検体容器Tが突出する。この突出量は、最も長い検体容器Tの場合で35mm以下である。これに対して、脱落防止部材190の下端は、バッファラック140、アーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2、及び検体ラックLの上面から上方に40mmの高さに位置する。このため、脱落防止部材190は、水平方向に移動する場合に、検体ラックTと干渉することがない。
【0069】
図8は、昇降部130の構成を模式的に示す斜視図である。
【0070】
昇降部130は、検体移し替え装置22の内部に設置された支持部材131と、支持部材131に設置され上下方向に延びたレール132と、レール132に対して上下方向に摺動可能な摺動部133と、支持部材131の上部と下部に設置されたプーリ134a、134bと、プーリ134a、134bに掛けられたベルト135と、支持部材131の後方に設置されたモータ136と、遮光式の一対のセンサ137a、137bと、摺動部133に設置された支持体138と、支持体138の前方に設置された一対の支持部139とを備えている。
【0071】
モータ136の軸はプーリ134bに接続されており、モータ136が駆動すると、プーリ134bが回転し、ベルト135が移動する。摺動部133は、ベルト135に固定されており、ベルト135が移動することにより、レール132に沿って上下方向に移動する。摺動部133の左端には鍔部133aが形成されている。モータ136が駆動されると、鍔部133aが一対のセンサ137a、137bの間に移動する。これにより、摺動部133と、支持体138と、支持部139とが上端と下端とに位置付けられたことが検出される。
【0072】
支持部139は、Y軸方向の幅d1が、検体ラックLの短手方向の幅d2よりも大きくなるよう構成されている。これにより、
図8に示すように、支持部139の水平面が検体ラックLの下面を支持した状態で支持体138上方向に駆動されると、検体ラックLが上方向に移動される。なお、支持体138には、検体ラックLの長手方向の幅よりも大きく、検体容器Tを支持した検体ラックLの高さ方向の幅よりも大きい開口138aが形成されている。これにより、位置P21に位置付けられた空の検体ラックLは、開口138aを介して、ラック押出し機構118により空ラック貯留部150に押し出される。
【0073】
かかる構成の昇降部130によって、支持部139が上昇状態(検体ラックLが移し替え位置に位置付けられた状態)で、適宜、この検体ラックLに支持された検体容器Tが収納部170に移し替えられ、バッファラック140に支持された検体容器Tが検体ラックLに移し替えられる。そして、検体ラックLに対する検体容器Tの移し替えが終了すると、支持部139が下降され、検体ラックLがベルト112によりX軸正方向に搬送される。なお、位置P21に位置付けられた空の検体ラックLが、空ラック貯留部150に押し出される場合、支持部139はさらに下方に位置付けられる。これにより、空の検体ラックLは、支持体138の開口138aを介してY軸負方向に押し出される。
【0074】
図9は、検体移し替え装置22の概要構成を示すブロック図である。
【0075】
検体移し替え装置22は、制御部321と、通信部322と、バーコードユニット120と、容器移送部200と、駆動部323と、センサ部324とを備える。制御部321は、CPU及びメモリ等から構成されており、検体移し替え装置22内の各部を制御し、また、検体移し替え装置22内の各部から出力された信号を受信する。かかる制御部321は、通信部322を介して搬送コントローラ7と通信を行う。
【0076】
駆動部323は、モータ116、219、227、236、136と、ラック押出し機構118、151、163を駆動させるための駆動源と、把持部243を駆動させるための駆動源とを含んでいる。センサ部224は、センサs1〜s3、238、245、137a、137bを含んでいる。
【0077】
本実施の形態では、駆動部323に含まれる各モータは、サーボモータより構成される。すなわち、駆動部323に含まれる各モータにより駆動される部材等が、どの位置にあるかを検出するための光学式センサ等がなくても、これらモータは精度良く制御され得る。なお、駆動部323に含まれる各モータにより駆動される部材等が、どの位置にあるかを検出するための光学式センサ(たとえば、
図8のセンサ137a、137b)が適宜用いられても良い。こうすると、より精度良く各モータを制御することができる。
【0078】
[検体移し替え装置の動作]
次に、検体移し替え装置22の動作について説明する。
図10は、検体移し替え装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0079】
検体移し替え装置22が起動されると、制御部321は、初期化処理を実行する(ステップS1)。この初期化処理では、制御部321の制御プログラムの初期設定、駆動部323の各モータの初期位置設定等が含まれる。
【0080】
ステップS1の初期化処理が終了すると、制御部321は、シャットダウンの要求を受け付けたか否かを判別する(ステップS2)。ユーザは、入力部に所定の入力を行うことで、シャットダウンの要求を検体移し替え装置22に与えることができる。制御部321は、かかるシャットダウン要求を受け付けたか否かを判別し、要求を受け付けていない場合には(ステップS2においてNO)、ステップS3に処理を移す。
【0081】
ステップS3において、制御部321は、検体の移し替え要求を受け付けたか否かを判定する。この処理について具体的に説明する。まず、投入ユニット21から搬出された検体ラックLが、ベルト111により位置P1に位置付けられる。続いて、バーコードユニット120により、この検体ラックLのどの支持位置に検体容器Tが支持されているかが検知され、検体ID及びラックIDの読み取りが行われる。制御部321は、支持している検体容器Tの移し替え情報を、ホストコンピュータ8に問い合わせる。しかる後、制御部321は、問い合わせた全ての検体容器Tの移し替え情報を受信したか否かを判別する。ここで、移し替え情報を受信した場合には、検体の移し替え要求を受け付けたと判断され、移し替え情報を受信しなかった場合には、検体の移し替え要求を受け付けなかったと判断される。
【0082】
検体の移し替え要求を受け付けなかった場合には(ステップS3においてNO)、制御部321は、ステップS2へ処理を戻す。
【0083】
一方、検体の移し替え要求を受け付けた場合には(ステップS3においてYES)、制御部321は、容器移送部200を制御し、検体の移し替え動作を実行させる(ステップS4)。
【0084】
以下、検体の移し替え動作について詳しく説明する。
図11は、検体の移し替え動作を説明するための模式図である。検体の移し替え動作において、容器移送部200は、昇降部130により移し替え位置に位置づけられた検体ラックLの移送対象の検体容器Tの直上に、把持部243を位置づける。このとき、把持部243の対向片はY軸方向に離反された状態(以下、「全開状態」という)とされる。次に、容器移送部200は、全開状態の把持部243を下降させ、把持部243を下側位置に位置づける(図中「1」)。このとき、上述したように、把持部243の下側部分(検体容器Tを把持する箇所)が脱落防止部材190を通過するように、把持部243は下側位置まで下降される。
【0085】
次に、容器移送部200は、把持部243の2つの対向片を近接させ、移送対象の検体容器Tを把持させる(図中「2」)。容器移送部200は、移送対象の検体容器Tを把持した状態(以下、「把持状態」という)の把持部243を上側位置まで上昇させ、移送対象の検体容器Tを検体ラックLから抜き出す(図中「3」)。このとき、上述したように、把持部243は脱落防止部材190よりも上方の上側位置まで上昇される。
【0086】
図12は、検体ラックLに支持されている検体容器T同士の係合を説明する斜視図である。
図12に示すように、検体ラックLの隣り合う2つの支持部に支持されている2つの検体容器Tの突出部T3同士が上下に重なり合う場合がある。このような場合において、下側の突出部T3を有する検体容器Tが把持部243により把持され、上方へ持ち上げられると、突出部T3同士が掛かり合い、隣の検体容器Tも上方へ持ち上げられることがある。
【0087】
図13は、検体ラックLに支持されている各検体容器Tの位置と、脱落防止部材190の形状及び大きさとの関係を模式的に示す平面図である。前述したように、脱落防止部材の穴のX軸方向の寸法は
30mmである。これに対して、検体ラックLの隣り合う支持部間の距離は、
20mmである。把持部243が検体ラックLから検体容器Tを取り出す場合、脱落防止部材190は、その水平方向の中央が目的の支持部の水平方向の中央と一致する。このとき、移送対象の検体容器Tの隣の検体容器Tは、脱落防止部材190の左右の部分の直下に位置する。即ち、移送対象の検体容器Tの隣の検体容器Tは、平面視において脱落防止部材190の穴の範囲から一部又は全部が外れた状態となっている。
【0088】
図14A乃至
図14Cは、本実施の形態に係る検体移し替え装置による検体容器の脱落防止機能を説明する模式図である。まず、
図14Aに示すように、把持部243が上方へ移動されることにより、把持部243によって把持された検体容器Tが上昇する。これとともに、把持部243に把持された検体容器Tに係合している隣の検体容器Tも上方する。
【0089】
次に、
図14Bに示すように、把持部243及び把持部243に把持されている検体容器Tは、平面視において脱落防止部材190の穴に収まっているため、把持部243が上昇するときに、脱落防止部材190には当接しない。これに対して、移送対象の検体容器Tと共に持ち上げられた隣の検体容器Tは、把持部243の下側部分が脱落防止部材190を通過して上昇するときに、脱落防止部材190にその頭部(蓋T2)が当接することとなる。
【0090】
さらに把持部243が上昇すると、
図14Cに示すように、把持部243は脱落防止部材190よりも上方へと至る。これに伴って、把持部243に把持されている移送対象の検体容器Tは、その上端部分が脱落防止部材190よりも高い位置に至る。これに対して、移送対象の検体容器Tの隣の検体容器Tは、脱落防止部材190に当接するので、脱落防止部材190よりも高い位置に到達することがない。これにより、移送対象の検体容器Tと、隣の検体容器Tとの突出部T3の係合が解除され、隣の検体容器Tが下方に落下する。
【0091】
上述したように、脱落防止部材190は検体ラックLの上面から40mm上方に位置づけられている。また、脱落防止部材190は検体ラックLに載置された検体容器Tの上面から約10mm上方に位置付けられている。このため、隣の検体容器Tは、移送対象の検体容器と共に持ち上げられたとしても、持ち上げられる高さは10mm未満である。検体ラックLは、支持部の深さが
47mmであるので、検体容器Tが40mm持ち上げられた場合には、この検体容器Tの全体が検体ラックLから抜け出しているのではなく、検体容器Tの下側部分は検体ラックLの支持部の中に挿入された状態である。このため、検体容器Tが脱落防止部材190に当接する場合には、検体ラックLの支持部の内部において落下することになるため、検体容器Tは元の支持部に支持された状態に復帰する。
【0092】
上記のように移送対象の検体容器Tが把持部243によって上側位置まで上昇された後、さらに容器移送部200は、移送対象の検体容器Tを把持した把持部243を上側位置に位置づけた状態で、水平方向に移動させ、アーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2、及び検体ラックLのうちの目的のラックの支持部の直上に位置付けさせる(図中「4」)。その後、容器移送部200は、移送対象の検体容器Tを把持した把持部243を上側位置から下側位置まで下降させ、目的のラックの支持部に検体容器Tを挿入する(図中「5」)。
【0093】
支持部に検体容器Tが挿入された状態で、容器移送部200は把持部243の2つの対向片を離反させ、検体容器Tを把持部243から解放する(図中「6」)。このとき、把持部243は、対向片の間の距離が全開状態よりも短い状態(以下、「半開状態」という)とされる。このように、把持部243の対向片の離反距離を制限して検体容器Tを解放することにより、収納部170において解放された検体容器Tの前後方向の隣の支持部に検体容器Tが支持されている場合に、この隣の検体容器Tの突出部T3が把持部243に掛かることが防止される。
【0094】
さらに、容器移送部200は、半開状態の把持部243を上昇させつつ、把持部243の2つの対向片をY軸方向にさらに離反させ、把持部243を全開状態にして上側位置に位置づける(図中「7」)。
【0095】
上記のように、把持部243を半開状態にして検体容器Tを収納部170において解放した場合でも、隣の検体容器Tの突出部T3が把持部243に掛かり、把持部243の上昇に伴って当該この検体容器Tが持ち上げられる虞がある。
【0096】
図15は、アーカイブラックR1の各支持部R11の位置と、脱落防止部材190の形状及び大きさとの関係を模式的に示す平面図である。なお、以下の説明ではアーカイブラックR1に検体容器Tを移送する場合について説明するが、ソーティングラックR2、及びバッファラック140についても、支持部間の距離、支持部の深さ及び上面の高さはアーカイブラックR1と同じであるので、同様にして検体容器Tが移送される。
【0097】
前述したように、脱落防止部材の穴のX軸方向の寸法は
30mmであり、Y軸方向の寸法は
20mmである。これに対して、アーカイブラックR1において、X軸方向に隣り合う支持部R11間の距離は
20mmであり、Y軸方向に隣り合う支持部R11間の距離は
25mmである。把持部243がアーカイブラックR1に検体容器Tを設置する場合、脱落防止部材190は、その水平方向の中央が目的の支持部R11の水平方向の中央と一致する。このとき、移送された検体容器Tの隣の検体容器Tは、脱落防止部材190の前後又は左右の部分の直下に位置する。即ち、移送された検体容器Tの隣の検体容器Tは、平面視において脱落防止部材190の穴の範囲から一部又は全部が外れた状態となっている。
【0098】
把持部243は、把持部243が上昇するときに、脱落防止部材190よりも下方にある下側の部分が、脱落防止部材190の穴を通過して上昇する。これに対して、把持部243に突出部T3が掛かって持ち上げられた検体容器Tは、脱落防止部材190にその頭部(蓋T2)が当接することとなる。これにより、把持部243と、突出部T3との係合が解除され、持ち上げられた検体容器Tが下方に落下する。
【0099】
上述したように、脱落防止部材190はアーカイブラックR1の上面から40mm上方に位置づけられている。また、脱落防止部材190はアーカイブラックR1に載置された検体容器Tの上面から約10mm上方に位置付けられている。このため、移送された検体容器Tの隣の検体容器Tは、把持部243に突出部が掛かって持ち上げられたとしても、持ち上げられる高さは10mm未満である。アーカイブラックR1は、支持部R11の深さが
47mmであるので、検体容器Tが40mm持ち上げられた場合には、この検体容器Tの全体がアーカイブラックR1から抜け出しているのではなく、検体容器Tの下側部分はアーカイブラックR1の支持部R11の中に挿入された状態である。このため、検体容器Tが脱落防止部材190に当接する場合には、アーカイブラックR1の支持部の内部において落下することになるため、検体容器Tは元の支持部R11に支持された状態に復帰する。
【0100】
次に、容器移送部200は、検体容器Tを把持していない把持部243を、移し替え位置に位置づけられた検体ラックLの次の移送対象の検体容器Tの直上(次の移送対象の検体容器Tが存在しない場合には、移し替え位置の検体ラックLの所定の支持部の直上)に水平移動させる(図中「8」)。これらの1乃至8の動作を、移送対象の検体容器Tを全て移送するまで繰り返す。
【0101】
制御部321は、移し替え要求の対象となる検体容器Tが全て移し替えられたか否かを判定し(ステップS5)、移し替え要求の対象となる検体容器Tの全てがまだ移し替えられていない場合には(ステップS5においてNO)、ステップS4へと処理を戻す。
【0102】
他方、移し替え要求の対象となる検体容器Tの全てが移し替えられた場合には(ステップS5においてYES)、制御部321は、ステップS2へと処理を戻す。
【0103】
また、ステップS2において、シャットダウンの要求を受け付けた場合には(ステップS2においてYES)、制御部321は、シャットダウン処理を実行し(ステップS6)、処理を終了する。
【0104】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態においては、枠状の脱落防止部材190を上下方向には移動不可に設け、把持部243が上下方向に移動することにより、脱落防止部材190と把持部243とが相対的に上下移動するようにし、把持部243が上昇したときに、把持部243又は検体容器Tに掛かった隣の検体容器Tが脱落防止部材190に当接することで、前記隣の検体容器Tと把持部243又は把持部243に把持された検体容器Tとの係合を解除して、前記隣の検体容器Tの検体ラックL等からの脱落を防止する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、枠状ではなく、棒状、板状、又はブロック状等の脱落防止部材を、移送対象の検体容器Tの隣の支持部の直上に配置し、把持部243が上昇するときに、この脱落防止部材が移送対象の検体容器Tの隣の検体容器Tに当接し、この隣の検体容器Tの検体ラックL等からの脱落を防止する構成としてもよい。この場合、脱落防止部材が把持部243と相対的に上下移動可能であれば、脱落防止部材が上下移動可能かどうかは問わない。つまり、脱落防止部材を上下方向に移動不可に構成し、把持部243が上昇するときに、把持部243又は移送対象の検体容器Tに掛かった検体容器Tに脱落防止部材が当接するようにしてもよいし、把持部243と独立して脱落防止部材を上下方向に移動可能とし、把持部243が移送対象の検体容器を把持した状態で上昇するときに、脱落防止部材が下降して検体ラックLの他の検体容器Tに当接し、移送対象の検体容器T以外の検体容器Tの検体ラックLからの脱落を防止する構成としてもよい。
【0105】
また、上記の実施の形態においては、一列に複数の検体容器が並列された検体ラックLから検体容器を取り出す際に、脱落防止部材190を用いて他の検体容器の脱落を抑制する構成を中心に説明したが、当然
図15におけるアーカイブラックR1のように、複数列に亘って複数の検体容器が並列された検体ラックLから検体を取り出す際にも脱落防止部材によって他の検体容器の検体ラックLからの脱落を抑制する構成とすることができる。その場合、脱落防止部材190は、
図15に示す通り移送対象の検体容器Tの周辺(縦、横、斜めの8つ)の検体容器Tの脱落を防止することが可能となる。
【0106】
また、上記の実施の形態においては、支持部230に脱落防止部材190を固定的に取り付け、容器移送部200によって、把持部243と一体的に、脱落防止部材190を水平方向に移動可能な構成について述べたが、これに限定されるものではない。容器移送部200とは別個に水平方向の移動機構を設け、この移動機構により把持部243とは独立して脱落防止部材190を水平方向に移動させる構成とすることも可能である。この場合、把持部243が検体容器Tを把持するときに、把持部243の位置まで脱落防止部材190を水平移動させる必要がある。
【0107】
また、昇降部130に脱落防止部材を取り付けることも可能である。例えば、昇降部130の支持部139に支持された検体ラックLを上から一部覆うように、板状の脱落防止部材を配置してもよい。この場合、移送対象の検体容器Tを支持する支持部の上方には、脱落防止部材を配置せず、移送対象の検体容器Tの隣の支持部の上方に、脱落防止部材を配置する。これにより、把持部243が検体ラックLに支持されている移送対象の検体容器Tを把持し、上方に移動して移送対象の検体容器Tを抜き出すときに、当該移送対象の検体容器T又は把持部243に掛かった隣の検体容器Tが脱落防止部材に当接することとなり、当該隣の検体容器Tの検体ラックLからの脱落が防止される。また、このように昇降部130に脱落防止部材を取り付けるのではなく、昇降部130に支持された検体ラックの上方に脱落防止部材が配置されるように、検体移し替え装置22の筐体に脱落防止部材を取り付けてもよい。
【0108】
また、上記の実施の形態においては、検体容器Tを移し替えるために、把持部243が検体容器Tを挟むことによって把持する構成について述べたが、これに限定されるものではない。把持部243に設けた爪により検体容器Tを引っかけたり、検体容器Tの頭部等を陰圧によって吸引したりすることで検体容器Tを把持し、把持された検体容器Tを移送して検体容器の移し替えを行う構成とすることも可能であるし、これら以外の保持方法によって検体容器を把持し、把持された検体容器Tを移送して検体容器の移し替えを行う構成とすることも可能である。
【0109】
また、上記の実施の形態においては、検体移し替え装置22に脱落防止部材を設ける構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体容器を把持して、検体ラックTから引き出す構成のものであれば、検体移し替え装置22以外の装置でも脱落防止部材を設けることが可能である。例えば、検体容器を検体ラックから引き出し、引き出された検体容器から検体を吸引し、吸引された検体を分析する検体分析装置において、脱落防止部材を設けることも可能であるし、検体容器を検体ラックから引き出し、引き出された検体容器から検体を吸引し、吸引された検体をスライドガラスに引き延ばして、塗抹標本を作製する塗抹標本作製装置において、脱落防止部材を設けることも可能である。