【解決手段】この細胞分析装置1aは、略球面状の内底を有する第1容器150を保持する保持部43aと、第1容器150に挿入される排出部材100と、第1容器150に洗浄液を吐出する吐出部110aとを備え、排出部材100が、底部101に開口105を有し、開口105に連通し、第1容器150に収容された試料を排出する排出流路107を含み、排出部材100が、第1容器150の最深部150bまで挿入可能なように構成され、排出部材100の底部101が第1容器150の略球面状の内底に沿った形状に形成されている。
前記排出部は、前記容器に挿入された前記排出部のうち少なくとも前記底部と前記容器の内壁面との隙間が前記容器の前記最深部に向かうにしたがい狭くなるように構成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の容器洗浄装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、角筒状のキュベットに管状の吸引ノズル及び管状の供給ノズルを挿入する構成であるため、キュベットの横断面において、キュベットの内壁面と吸引ノズルの外表面との距離を一定にすることができず、キュベット内部に対して均一な洗浄を行うことができない。洗浄前にキュベットに収容されていた試料が残存し、次検体の測定に持ち越される、いわゆるキャリーオーバを低減するためには、洗浄力が弱くなる部分(キュベットの内壁面と吸引ノズルの外表面との距離が大きい部分)が十分に洗浄されるまで洗浄を行う必要が生じ、結局使用する洗浄液の総量(使用量)を少なくすることができなくなるおそれがある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、洗浄液の使用量が増加するのを抑制しながら、キャリーオーバを低減することが可能な容器洗浄装置および分析装置と、この容器洗浄装置用の排出部材とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による容器洗浄装置は、生体試料を含む試料を収容した容器を洗浄するための容器洗浄装置であって、略球面状の内底を有する容器を保持する容器保持部と、容器内に挿入される排出部と、容器に洗浄液を吐出する洗浄ノズルとを備え、排出部が、底部に開口を有し、開口に連通し、容器に収容された試料を排出する排出流路を含み、排出部が、容器の最深部まで挿入可能なように構成され、排出部の底部が容器の略球面状の内底に沿った形状に形成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による容器洗浄装置では、上記のように、容器の最深部まで挿入可能なように構成され、底部が容器の略球面状の内底に沿った形状に排出部を形成することによって、容器を洗浄する際に必要な洗浄液の量を、容器内の空間に挿入され、かつ、洗浄液に浸かっている排出部の体積分だけ低減することができるので、洗浄液の使用量が増加するのを抑制することができる。また、排出部の底部と容器との隙間を小さくして、洗浄液が流通する速さを大きくすることができるので、容器を十分に洗浄することができる。従って、洗浄液の使用量が増加するのを抑制しながら、キャリーオーバを低減することができる。また、容器の最深部まで挿入可能に排出部を構成することによって、洗浄液に浸かる排出部の体積を大きくすることができるので、容器を洗浄する際に必要な洗浄液の量をさらに低減することができる。
【0009】
上記第1の局面による容器洗浄装置において、好ましくは、排出部の底部には、排出部が容器の最深部まで挿入された場合に試料または洗浄液を流通する溝部が形成されている。このように構成すれば、排出部と容器の内壁面との間隔が小さい(狭い)場合でも、溝部により洗浄液をスムーズに流通させることができるので、容器を十分に洗浄することができる。また、洗浄後、容器の底部に溜まった洗浄液を全て排出するために、排出部の底部を容器の内壁面の底部に密着させて洗浄液の排出を行う際にも、排出部の底部に設けられた溝部により容器の底部近傍の洗浄液をスムーズに流通させて、排出部の開口近傍に導くことができるので、洗浄液の排出もスムーズに行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、溝部は、開口に試料または洗浄液を導くように構成されている。このように構成すれば、溝部を介して試料または洗浄液を開口に導き、排出流路から試料または洗浄液を確実に排出することができる。
【0011】
上記溝部が開口に試料または洗浄液を導く構成において、好ましくは、溝部は、複数設けられており、複数の溝部は、それぞれ、開口に繋がるように形成されている。このように構成すれば、複数の溝部により、試料または洗浄液を開口に効率的に導くことができる。
【0012】
上記溝部が複数設けられている構成において、好ましくは、開口は、排出部の下端または下端近傍に設けられており、複数の溝部は、開口を中心に略等角度間隔で放射状に延びるように形成されている。このように構成すれば、開口を中心に略等角度間隔で放射状に延びる複数の溝部により、より効率的かつ均等に試料または洗浄液を開口に導くことができる。
【0013】
上記溝部が開口に試料または洗浄液を導く構成において、好ましくは、排出部は、容器の内壁面と平行に延びる胴部を含み、溝部は、開口から胴部のうち底部側の端部の近傍まで延びるように形成されている。このように構成すれば、容器の内壁面と胴部との間隔が狭い場合でも、容易に、溝部を介して試料または洗浄液を底部側の開口まで導くことができる。
【0014】
上記溝部が形成されている構成において、好ましくは、溝部は、平面視において、排出部の開口の内径よりも小さい溝幅を有している。このように構成すれば、排出流路に吸引させることにより試料および洗浄液を排出させる場合に、溝部に溜まる試料または洗浄液を排出する際の力を大きくして、効率よく開口に導くことができる。
【0015】
上記第1の局面による容器洗浄装置において、好ましくは、排出部は、容器に挿入された排出部のうち少なくとも底部と容器の内壁面との隙間が容器の最深部に向かうにしたがい狭くなるように構成されている。このように構成すれば、容器の最深部近傍での試料または洗浄液を排出する際の力を大きくして、効率よく開口に導くことができる。
【0016】
上記第1の局面による容器洗浄装置において、好ましくは、排出部は、上方に向かって外径が小さくなる円錐台形状の傾斜部を含み、洗浄ノズルは、容器に排出部が挿入された状態で、円錐台形状の傾斜部に沿って流れるように洗浄液を吐出するように構成されている。このように構成すれば、洗浄ノズルから吐出された洗浄液が円錐台形状の傾斜部に沿って流れることにより、洗浄液が排出部の周りを周りながら容器と排出部との隙間を満たしていくので、排出部を設けた構成でも容器内に洗浄液を略均一に行きわたらせることができる。
【0017】
上記第1の局面による容器洗浄装置において、好ましくは、排出部を容器内に挿入可能に昇降させる昇降機構をさらに備え、排出流路は、昇降機構により排出部が下降されながら容器内の試料を排出するように構成されている。このように構成すれば、排出部の下降に起因して容器内の試料が溢れ出すのを確実に抑制することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、洗浄ノズルは、昇降機構により排出部が上昇されて排出部が容器の最深部から上方に離間された状態で洗浄液を容器に吐出するように構成され、
排出部は、洗浄液が容器に吐出された後、昇降機構により容器の最深部まで下降されるように構成されている。このように構成すれば、容器内で洗浄液を流動させて、容器を十分に洗浄することができる。
【0019】
上記洗浄ノズルが昇降機構により排出部が容器の最深部から離間された状態で洗浄液を容器に吐出する構成において、好ましくは、排出流路は、昇降機構により排出部が下降されながら容器内の洗浄液を排出するように構成されている。このように構成すれば、排出部の下降に起因して容器内の洗浄液が溢れ出すのを確実に抑制することができる。
【0020】
上記第1の局面による容器洗浄装置において、好ましくは、排出流路は、排出部に一体的に形成されている。このように構成すれば、排出部と排出流路とを一体的に構成することにより、部品点数を削減することができる。
【0021】
上記第1の局面による容器洗浄装置において、好ましくは、排出流路は、管状のノズルにより構成され、ノズルは、開口に連通するように排出部に挿入固定されている。このように構成すれば、ノズルを排出部に着脱可能なように挿入固定した場合には、排出部を交換する必要が生じた場合にも、容易に、ノズルから排出部を外して交換することができる。
【0022】
上記排出部を容器内に挿入可能に昇降させる昇降機構を備える構成において、好ましくは、容器は、略球面状の内底を有する円筒状容器であり、排出部は、水平断面が略円形に形成されており、昇降機構は、円筒状容器の中心軸と排出部の中心軸とが一致するように排出部を円筒状容器に挿入する。このように構成すれば、排出部を容器内に容易に挿入することができる。
【0023】
この発明の第2の局面による容器洗浄装置用の排出部材は、略球面状の内底を有するとともに生体試料を含む試料を収容した容器を洗浄するための容器洗浄装置で使用される容器洗浄装置用の排出部材であって、容器内に挿入され、底部に開口を有する排出部と、排出部に設けられるとともに、開口に連通し、容器に収容された試料を排出する排出流路とを備え、排出部が、容器の最深部まで挿入可能に構成され、排出部の底部が容器の略球面状の内底に沿った形状に形成されている。
【0024】
この発明の第2の局面による容器洗浄装置用の排出部材では、上記のように、容器の最深部まで挿入可能に構成され、底部が容器の略球面状の内底に沿った形状に排出部を形成することによって、容器を洗浄する際に必要な洗浄液の量を、容器内の空間に挿入され、かつ、洗浄液に浸かっている排出部の体積分だけ低減することができるので、洗浄液の使用量が増加するのを抑制することができる。また、排出部の底部と容器との隙間を小さくして、洗浄液が流通する速さを大きくすることができるので、容器を十分に洗浄することができる。従って、洗浄液の使用量が増加するのを抑制しながら、キャリーオーバを低減することができる。また、容器の最深部まで挿入可能に排出部を構成することによって、洗浄液に浸かる排出部の体積を大きくすることができるので、容器を洗浄する際に必要な洗浄液の量をさらに低減することができる。
【0025】
この発明の第3の局面による分析装置は、被験者から採取された生体試料に対して容器を用いて所定の処理を行い測定用の試料を調製する試料調製部と、調製された試料を測定する測定部と、請求項1〜15のいずれかに記載の容器洗浄装置とを備える。
【0026】
この発明の第3の局面による分析装置では、上記のように、容器の最深部まで挿入可能なように構成され、底部が容器の略球面状の内底に沿った形状に排出部を形成することによって、容器を洗浄する際に必要な洗浄液の量を、容器内の空間に挿入され、かつ、洗浄液に浸かっている排出部の体積分だけ低減することができるので、洗浄液の使用量が増加するのを抑制することができる。また、排出部の底部と容器との隙間を小さくして、洗浄液が流通する速さを大きくすることができるので、容器を十分に洗浄することができる。従って、洗浄液の使用量が増加するのを抑制しながら、キャリーオーバを低減することができる。また、容器の最深部まで挿入可能に排出部を構成することによって、洗浄液に浸かる排出部の体積を大きくすることができるので、容器を洗浄する際に必要な洗浄液の量をさらに低減することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上記のように、洗浄液の使用量が増加するのを抑制しながら、キャリーオーバを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
まず、
図1〜
図14を参照して、本発明の一実施形態による細胞分析装置1aの構成について説明する。細胞分析装置1aは、フローサイトメトリー法により、子宮頸部の上皮細胞を分析し、子宮頸癌をスクリーニングするための装置である。
【0031】
細胞分析装置1aでは、被検者から採取した細胞を含む測定試料を図示しないフローセルに流し、フローセルを流れる測定試料にレーザ光を照射する。そして、測定試料からの散乱光および蛍光を検出し、分析することにより、細胞に癌細胞が含まれているか否かを判断する。
【0032】
図1および
図2に示すように、細胞分析装置1aは、被検者から採取された生体試料に細胞分散処理や染色処理などを行って測定試料を調製し、測定試料に対してレーザ光による光学的な測定を行う測定装置1と、測定装置1での測定結果の分析などを行うデータ処理装置2(
図3参照)とを備えている。
【0033】
図3に示すように、測定装置1は、主検出部11と、信号処理部12と、測定制御部13と、I/Oインタフェース14とを備えている。また、測定装置1は、副検出部21と、信号処理部22と、調製制御部23と、生体試料に対する成分調製を自動的に行うための調製デバイス部30とを備えている。
【0034】
主検出部11は、測定試料から測定対象細胞(たとえば、子宮頸部の上皮細胞)やその核の数およびサイズなどを検出する機能を有する。この主検出部11には、フローサイトメータ(図示せず)が採用されている。主検出部11では、細胞に光を照射し、前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)および側方蛍光信号(SFL)を取得(検出)するように構成されている。また、データ処理装置2は、主検出部11により取得された、FSC、SSC、SFLの各々に基づいて、測定対象細胞が異常であるか否か、具体的には異型細胞であるか否かを判定する。
【0035】
信号処理部12は、主検出部11からの出力信号に対して必要な信号処理を行う。また、測定制御部13は、MPU(マイクロプロセッサ)15と記憶部16とを含んでいる。記憶部16は、主検出部11などの制御プログラムやデータを格納するROM、および、RAMなどからなる。
【0036】
測定制御部13のMPU15は、I/Oインタフェース14を介して、データ処理装置2と調製制御部23の後述するMPU24とに接続されている。
【0037】
副検出部21は、主検出部11による本測定の前に測定対象細胞の単位体積当たりの細胞数(以下、細胞の濃度)を計測する機能を有している。この副検出の結果に基づき、本測定に用いる測定試料を調製するために必要な生体試料および保存液の量が決定される。副検出部21には、主検出部11のものとほぼ同様のフローサイトメータが採用されている。信号処理部22は、副検出部21からの出力信号に対して必要な信号処理を行う。調製制御部23は、MPU24と、記憶部25と、センサドライバ26と、駆動部ドライバ27とを含んでいる。MPU24は、I/Oインタフェース14を介して、データ処理装置2と測定制御部13のMPU15とに接続されている。また、記憶部25は、副検出部21や調製デバイス部30などを制御するための制御プログラムなどを格納するROM、および、RAMなどからなる。なお、副検出部21は、主検出部11とほぼ同じ構成を有しているので、詳細な説明を省略する。
【0038】
調製デバイス部30は、検体セット部40と、第1検体ピペット部41と、第1添加試薬調製部42と、第1反応部43と、第1分散部44と、第1試料吸引部45と、第1容器洗浄部46とを備えている。また、調製デバイス部30は、第2検体ピペット部47と、弁別・置換部48と、第2分散部49と、液体除去部50と、容器移送部51と、第2反応部52と、第2試薬添加部53と、第3試薬添加部54と、第2試料吸引部55と、第2容器洗浄部56とを備えている。
【0039】
検体セット部40は、
図1および
図2に示すように、メタノールを主成分とする保存液と生体試料との混合液を収容する複数の検体容器40aをセットするためのものである。検体セット部40は、セットされた検体容器40aを第1検体ピペット部41による生体試料の吸引位置まで順次搬送する機能を有する。
【0040】
第1検体ピペット部41は、
図2に示すように、検体容器40a内の生体試料および第1添加試薬調製部42の後述する分散液を各々第1反応部43に配置される第1容器150に移送(分注)する機能を有する。なお、第1容器150は、略球面状の内底を有している。
【0041】
第1添加試薬調製部42には、生体試料に添加される分散液(たとえば、N−アセチル−L−システイン(NAC)を含む溶液)が調製されて配置されている。
【0042】
第1反応部43は、第1容器150内の生体試料と分散液との反応を促進させる機能を有する。第1反応部43は、
図2に示すように、時計方向および反時計方向に回転可能な円形の回転テーブルにより構成されている。回転テーブルの外周縁部には、第1容器150を保持可能な複数の保持部43aが設けられている。
【0043】
第1分散部44は、生体試料に含まれる凝集細胞を分散させるための第1分散処理(せん断力付与処理)を生体試料に施す機能を有する。
【0044】
第1試料吸引部45は、第1分散処理が施された生体試料を保持部45aに分注する機能を有する。保持部45aに分注された生体試料は、副検出部21により測定対象細胞の細胞数が検出される。
【0045】
ここで、本実施形態では、第1容器洗浄部46は、
図2および
図3に示すように、第1試料吸引部45により測定試料が副検出部21に供給され、かつ、第2検体ピペット部47により吸引された後の第1容器150の内部を洗浄することにより第1容器150を再使用可能にする。第1容器洗浄部46の詳細については、後で詳細に説明する。
【0046】
第2検体ピペット部47は、
図2および
図3に示すように、第1反応部43に保持された第1容器150内の生体試料を弁別・置換部48に供給する機能、および、弁別・置換部48において濃縮された濃縮液を試料受け渡し部47aに配置されている第2容器250に供給する機能を有する。また、第2容器250は、第1容器150よりも小さい容器(たとえば、キュベット)である。なお、第2容器250は、略球面状の内底を有している。
【0047】
弁別・置換部48は、第1分散部44による第1分散処理後の生体試料を受け入れ、メタノールを主成分とする保存液を希釈液に置換する機能を有する。また、弁別・置換部48は、生体試料中に含まれる測定対象細胞とそれ以外の細胞とを弁別する機能および癌細胞を検出可能な濃度の濃縮液を作成する機能を有する。
【0048】
第2分散部49は、弁別・置換部48により所定の処理が施された生体試料に対して、第2分散処理(超音波分散処理)を施す機能を有する。
【0049】
液体除去部50は、第2分散部49による第2分散処理の後、第2容器250の外表面に付着した水を除去する機能を有する。
【0050】
容器移送部51は、第2容器250を把持して、試料受け渡し部47aと、第2分散部49と、液体除去部50と、第2反応部52とに第2容器250を移送する機能を有する。
【0051】
第2反応部52は、第2容器250内の生体試料と第2試薬添加部53および第3試薬添加部54の各々により添加される試薬との反応を促進させる機能を有する。第2反応部52は、時計方向および反時計方向に回転可能な円形の回転テーブルにより構成されている。回転テーブルの外周縁部には、第2容器250を保持可能な複数の保持部52aが設けられている。
【0052】
第2試薬添加部53は、細胞にRNA処理を行うためのRNaseを所定量、第2容器250内に添加するように構成されている。また、第3試薬添加部54は、細胞核を染色するための染色液(たとえば、ヨウ化プロピジウム溶液)を所定量、第2容器250内に添加するように構成されている。これにより、主検出部11により測定される測定試料が作成される。
【0053】
第2試料吸引部55は、第2反応部52にセットされた第2容器250内の測定試料を吸引して、主検出部11に測定試料を移送する機能を有する。第2試料吸引部55により移送された測定試料は、主検出部11により異形細胞であるか否かの測定が行われる。
【0054】
また、本実施形態では、第2容器洗浄部56は、測定試料が主検出部11に供給された後の第2容器250の内部を洗浄することにより第2容器250を再使用可能にする。第2容器洗浄部56の詳細については、後で詳細に説明する。
【0055】
また、データ処理装置2は、例えばパーソナルコンピュータ(図示せず)により構成されている。データ処理装置2は、
図6に示すように、CPU2aと、ROM2bと、RAM2cと、各種プログラムなどを格納するハードディスク2dと、表示部2eと、入出力インタフェース2fとを備えている。データ処理装置2は、入出力インタフェース2fにより、測定装置2のI/Oインタフェース14と接続されており、測定装置1と双方向にデータの送受信を行うように構成されている。
【0056】
以下に、第1容器洗浄部46および第2容器洗浄部56の構成を詳細に説明する。
【0057】
第1容器洗浄部46は、
図7に示すように、円筒状の第1容器150内(内壁面150a、
図9参照)を洗浄する機能を有している。第1容器洗浄部46は、排出部材100と、吐出機構110と、吸引機構120と、昇降機構130とを備えている。また、排出部材100は、下方(Z2方向)から順に、底部101と、胴部102と、傾斜部103と、接続部104とを含んでいる。また、排出部材100は、排出流路107(
図9参照)を含んでいる。排出部材100は、樹脂製であり、これらの各部が一体的に形成されている。また、排出部材100は、第1容器150の内部よりも一回り小さく形成されている。これにより、排出部材100と第1容器150の内壁面150aとの間に間隔が形成されている。試料や洗浄液は、この間隔を流通し、第1容器150の最深部150bにまで送られる。また、排出部材100は、水平断面が略円形状(
図11参照)に形成されている。
【0058】
底部101は、
図8および
図9に示すように、下方(Z2方向)に向けて突出する略半球形状を有している。底部101は、第1容器150の内壁面150aの形状に対応する形状に形成されている。言い換えると、底部101の表面は、内壁面150aに沿う形状(概略的には内壁面150aの形状と相似形形状)に形成されている。また、排出部材100は、第1容器150の最深部150bまで挿入可能に構成され、底部101が第1容器150の球面状の内底に沿った形状に形成されている。また、底部101には、開口105と、複数(6つの)溝部106(
図11参照)とが設けられている。
【0059】
図11に示すように、開口105は、平面視において、底部101の略中央に設けられている。開口105は、略円形状を有している。開口105は、排出部材100の下端に設けられている。また、排出部材100の下端は、
図9に示すように、第1容器150の最深部150bと当接可能に構成されている。
【0060】
溝部106は、
図8および
図9に示すように、開口105から胴部102うち底部101側(Z2方向)の端部102aの近傍まで延びるように形成されている。また、第1容器150に挿入された底部101と第1容器150の内壁面150aとの隙間が第1容器150の最深部150b(Z2方向)に向かうにしたがい徐々に狭くなるように排出部材100は構成されている。また、溝部106は、排出部材100が第1容器150の最深部150bに挿入された場合に、試料または洗浄液を流通させ、開口105に試料または洗浄液を導くように構成されている。具体的には、6つの溝部106は、
図11に示すように、それぞれ、開口105に繋がるように形成されている。また、6つの溝部106は、開口105を中心に等角度(60度)間隔で放射状に延びるように形成されている。また、溝部106は、平面視において、排出部材100の開口105の内径D1よりも小さい幅W1を有している。また、溝部106は、略直線状に延びるように形成されている。
【0061】
胴部102は、
図9に示すように、第1容器150の内壁面150aと平行に延びるように構成されている。言い換えると、胴部102の表面と第1容器150の内壁面150aとは、一定間隔D2を有している。
【0062】
傾斜部103は、排出部材100が第1容器150に挿入された状態で、第1容器150の上端近傍に対応する排出部材100の位置に形成されている。また、傾斜部103は、排出部材100の中心(排出流路107の方向)に向かい、かつ、排出部材100の上方に向かって外径が小さくなる円錐台形状に形成されている。また、排出部材100は、接続部104を介して昇降機構130に取り付けられる。
【0063】
排出流路107は、排出部材100に設けられた管状の排出孔である。排出流路107は、上下方向(Z方向)に延びるように形成されている。排出流路107は、開口105に連通(接続)しており、第1容器150に収容された試料または洗浄液を第1容器150内から排出するように構成されている。
【0064】
吐出機構110は、第1容器150に洗浄液としての蒸留水と希釈液とをそれぞれ切り替えて吐出するように構成されている。なお、希釈液は、細胞を破壊しないように浸透圧が調製された液体である。
【0065】
吐出機構110は、
図7に示すように、吐出部110aと、供給管111と、切替制御弁113(
図4参照)とを備えている。この吐出機構110は、流体制御部114(
図4参照)によって動作制御が行われる。供給管111には、図示しない蒸留水貯留部と希釈液貯留部とから蒸留水と希釈水とがそれぞれ供給される。また、流体制御部114が、切替制御弁113を制御することにより、吐出部110aから吐出される蒸留水と希釈水との切り替えが行われる。吐出部110aは、
図9に示すように、排出部材100の傾斜部103と略同じ高さの位置に設けられている。吐出機構110は、第1容器150に排出部材100が挿入された状態で、円錐台形状の傾斜部103に沿って流れるように洗浄液を吐出するように構成されている。これにより、
図10に示すように、洗浄液は排出部材100の周りを周りながら第1容器150の内部を満たしていく。
【0066】
吸引機構120は、
図7に示すように、排出管121と、吸引監視センサ122(
図4参照)と吸引制御弁123(
図4参照)とを含んでいる。この吸引機構120は、流体制御部114(
図4参照)によって動作制御される。吸引機構120は、
図9に示すように、排出部材100の排出流路107を介して開口105に接続されている。また、吸引監視センサ122は、光学センサであり、吸引機構220が吸引した排出管121内を流通する試料または洗浄液を検出するように構成されている。
【0067】
昇降機構130は、
図4に示すように、駆動部131と、原点センサ132と、最下点センサ133とを備えている。駆動部131は、駆動制御部134によって動作制御が行われる。駆動部131は、
図7に示すように、排出部材100を上下方向に昇降可能に構成されている。これにより、排出部材100は、第1容器150内に挿入可能であるとともに、第1容器150から抜去可能である。また、排出部材100は、
図9に示すように、第1容器150の最深部150bまで下降(挿入)可能なように構成されている。また、原点センサ132は、排出部材100が原点位置(排出部材100が移動可能な上限位置)に配置されていることを検知するように構成されている。また、最下点センサ133は、排出部材100が最下点位置(排出部材100が第1容器150の最深部150bに当接する位置)に配置されていることを検出するように構成されている。なお、第1容器150の中心軸(鉛直断面の中心を通る軸)C1と排出部材100の中心軸C2とが一致するように構成されており、これにより、排出部材100を第1容器150に容易に挿入することが可能である。
【0068】
次に、第2容器洗浄部56の構成を詳細に説明する。なお、第2容器洗浄部56において、第1容器洗浄部46の構成と同様の構成については説明を省略する。
【0069】
第2容器洗浄部56は、
図12に示すように、第2容器250内(内壁面250a、
図13参照)を洗浄する機能を有している。第2容器洗浄部56は、概略的には涙滴型の形状を有している。第2容器洗浄部56は、排出部材200と、吐出機構210と、吸引機構220と、昇降機構230とを備えている。また、第2容器洗浄部56は、排出部材200が第2容器洗浄部56から抜け落ちていないことを検知するためのセンサ240を備えている。また、排出部材200は、下方から順に、底部201と、胴部202と、傾斜部203と、孔部204とを含んでいる。排出部材200は、樹脂製であり、一体的に形成されている。
【0070】
底部201は、第2容器250の内壁面250aの形状に対応する形状に形成されている。言い換えると、底部201の表面は、内壁面250aに沿う形状(概略的には内壁面250aの形状と相似形状)に形成されている。また、底部201には開口205と、複数(たとえば6つの)溝部206とが設けられている。また、溝部206は、開口205から胴部202の底部201側の端部202aの近傍まで形成されている。また、排出部材200の下端は、第2容器250の最深部250bと当接可能に構成されている。また、
図14に示すように、溝部206は、平面視において、排出部材200の開口205の内径D3よりも小さい幅W2を有している。
【0071】
また、排出部材200の孔部204には、管部207が固定挿入(たとえば圧入)されている。管部207は、上下方向に延びるように形成されている。管部207は、開口205に連通しており、第2容器250に収容された試料または洗浄液を排出するように構成されている。
【0072】
胴部202の表面と第2容器250の内壁面250aとは、一定間隔D4を有している。
【0073】
傾斜部203は、排出部材200が第2容器250に挿入された状態で、第2容器250の内壁面250aに向かい合う位置に設けられている。
【0074】
吐出機構210は、
図12に示すように、吐出部210aと、供給管211と、切替制御弁213(
図5参照)とを備えている。この吐出機構210は、流体制御部214(
図5参照)によって動作制御が行われる。吐出機構210は、
図13に示すように、吐出部210aが排出部材200の傾斜部203の上方に設けられている。また、吐出部210aは、管部207と略平行に形成されている。吐出機構210は、第2容器250に排出部材200が挿入された状態で、傾斜部203に向けて(Z2方向に向けて)洗浄液(たとえば蒸留水)を吐出するように構成されている。
【0075】
吸引機構220は、
図12に示すように、排出管221と、吸引監視センサ222(
図5参照)と吸引制御弁223(
図5参照)とを含んでいる。この吸引機構220は、流体制御部214によって動作制御される。吸引機構220は、
図13に示すように、排出部材200の管部207を介して開口205と接続されている。
【0076】
昇降機構230は、
図5に示すように、駆動部231と、原点センサ232と、最下点センサ233とを備えている。昇降機構230(駆動部231)は、駆動制御部234により動作制御が行われる。
【0077】
次に、
図2、
図3および
図15を参照して、細胞分析装置1aの細胞分析処理について説明する。なお、測定装置1の主検出部11および信号処理部12の動作制御は、測定制御部13(MPU15)が実行し、測定装置1の副検出部21、信号処理部22および調製デバイス部30の動作制御は、調製制御部23(MPU24)が実行する。データ処理装置2の制御は、CPU2aが実行する。
【0078】
まず、ステップS1において、調製制御部23は、検体セット部40にセットされた検体容器40aを第1検体ピペット部41による生体試料の吸引位置まで順次搬送させる。
【0079】
次に、ステップS2において、調製制御部23は、第1検体ピペット部41に検体容器40aから生体試料を分注させる。具体的には、調製制御部23は、第1検体ピペット部41に検体容器40aから生体試料を吸引させ、第1反応部43に配置されている第1容器150に吐出させる。
【0080】
次に、ステップS3において、調製制御部23は、第1検体ピペット部41に分散液を分注させる。具体的には、調製制御部23は、第1検体ピペット部41に第1添加試薬調製部42から分散液(NAC)を吸引させ、生体試料が分注された第1容器150内に吐出させる。
【0081】
次に、ステップS4において、調製制御部23は、第1分散部44に第1分散処理を行わせる。ステップS4以降、生体試料の副検出を実行する処理(ステップS5およびS6)と、主検出を実行するためのメイン処理(ステップS7以降)とに処理が分岐する。次に、ステップS5において、調製制御部23は、第1試料吸引部45に生体試料を保持部45aに分注させる。
【0082】
次に、ステップS6において、調製制御部23は、副検出部21に副検出を行わせる。
【0083】
また、ステップS7では、調製制御部23は、第2検体ピペット部47に、生体試料を分注させる。具体的には、調製制御部23は、ステップS5で第1試料吸引部45に生体試料を分注させた後、第1反応部43を反時計回りに回転させ、第2検体ピペット部47が生体試料を吸引する位置に第1容器150を移動させる。そして、調製制御部23は、副検出の結果に基づいて、第2検体ピペット部47に所定量の生体試料を吸引させ、弁別・置換部48に吐出させる。
【0084】
ここで、ステップS8では、メイン処理から分岐して、使用済みの第1容器150の洗浄処理が行われる。すなわち、調製制御部23は、第1容器洗浄部46に第1容器150の洗浄処理を行わせる。具体的には、ステップS7の処理後、調製制御部23は、第1反応部43を時計回りに回転させ、第1容器洗浄部46に対応する位置に第1容器150を移動させる。そして、調製制御部23は、第1容器洗浄部46に第1容器150を洗浄させる。なお、ステップS8における第1容器150の洗浄処理については、後のステップS21〜ステップS46(
図16および
図17参照)で詳細に説明する。
【0085】
次に、ステップS9では、調製制御部23は、弁別・置換部48に生体試料について弁別・置換処理を行わせる。次に、ステップS10において、調製制御部23は、第2検体ピペット部47に生体試料を試料受け渡し部47aに分注させる。
【0086】
次に、ステップS11において、調製制御部23は、容器移送部51に第2容器250を第2分散部49に移送させ、第2分散部49に第2分散処理を行わせる。また、第2分散処理が完了すると、調製制御部23は、第2容器250を液体除去部50に移送させ、第2容器250の外表面に付着した水滴が除去させる。その後、調製制御部23は、容器移送部51により第2容器250を第2反応部52にセットさせる。
【0087】
次に、ステップS12において、調製制御部23は、第2試薬添加部53にRNaseを添加させ、第2反応部52に加温を行わせて、RNA除去処理を行う。次に、ステップS13において、調製制御部23は、第3試薬添加部54に染色液を添加させ、第2反応部52に加温を行わせて、DNA染色処理を行う。
【0088】
次に、ステップS14において、調製制御部23は第2試料吸引部55に染色処理済みの測定試料を分注させ、測定制御部13は主検出部11に本測定を行わせる。
【0089】
次に、ステップS15において、調製制御部23は、第2容器洗浄部56に使用済みの第2容器250の洗浄処理を行わせる。その後、CPU2aは、細胞分析処理を終了する。なお、ステップS15における第2容器250の洗浄処理については、後のステップS21〜ステップS46で詳細に説明する。
【0090】
次に、
図3〜
図5、
図7、
図16および
図17を参照して、細胞分析装置1aの洗浄処理について説明する。なお、測定装置1の第1容器洗浄部46の動作制御は、流体制御部114または駆動制御部134が実行し、測定装置1の第2容器洗浄部56の動作制御は、流体制御部214または駆動制御部234が実行する。なお、第2容器洗浄部56の動作制御は、第1容器洗浄部46の動作制御と同様であるので、ここでは第1容器洗浄部46の動作制御についてのみ説明する。
【0091】
まず、ステップS21において、駆動制御部134は、駆動部131に排出部材100を原点位置に移動させる。
【0092】
次に、ステップS22において、駆動制御部134は、排出部材100が原点位置に移動されたか否かを判断する。具体的には、排出部材100が原点位置に移動されたことが原点センサ132により検出された場合には、駆動制御部134はステップS24に処理を進める。一方、排出部材100が原点位置に移動されたことが検出されない(すなわち排出部材100が原点位置に移動されない)場合には、駆動制御部134はステップS23に処理を進める。
【0093】
次に、ステップS23において、CPU2aは、細胞分析装置1aを異常停止させる。具体的には、現在、処理を行っている生体試料についてはそのまま処理し、以降のサンプルについては処理を停止する。
【0094】
ステップS24に進んだ場合には、駆動制御部134は、洗浄回数iを0にリセットする。
【0095】
次に、ステップS25において、流体制御部114は吸引機構120に排出動作を開始させ、駆動制御部134は駆動部131に排出部材100を最下点まで移動させる。この結果、昇降機構130により排出部材100が下降されながら第1容器150内の試料が排出流路107から排出される。
【0096】
次に、ステップS26において、駆動制御部134は、排出部材100が最下点まで移動されたか否かを判断する。具体的には、駆動制御部134は、排出部材100が最下点に移動されたことが最下点センサ133により検出された場合には、駆動制御部134はステップS28に処理を進める。一方、排出部材100が最下点位置に移動されたことが最下点センサ133により検出されない(排出部材100が最下点位置に移動されない)場合には、駆動制御部134はステップS27に処理を進める。駆動制御部134は、ステップS27において、ステップS23と同様の処理を行う。
【0097】
また、ステップS28に進んだ場合には、流体制御部114は、所定時間が経過したか否かを判断する。具体的には、流体制御部114は、試料の排出を継続したまま排出部材100が最下点位置に移動してから所定時間(たとえば1.5秒間)経過するまでこの判断を繰り返し、所定時間が経過すると、ステップS29に処理を進める。
【0098】
次に、ステップS29において、流体制御部114は、吸引機構120に排出動作を停止させる。次に、ステップS30において、駆動制御部134は、駆動部131に排出部材100を所定量(たとえば8mm)上昇させる。
【0099】
次に、ステップS31において、駆動制御部134は、洗浄回数iが4であるか否かを判断する。洗浄回数iが4である場合には、駆動制御部134は、ステップS37に処理を進める。一方、洗浄回数iが4でない場合には、駆動制御部134は、ステップS32に処理を進める。
【0100】
次に、ステップS32において、流体制御部114は、吐出部110aに蒸留水を吐出させる。これにより、排出部材100が第1容器150の最深部150bから所定量だけ上方に離間された状態で蒸留水が吐出部110aから吐出される。
【0101】
次に、ステップS33において、流体制御部114は、所定時間が経過したか否かを判断する。具体的には、流体制御部114は、吐出部110aが蒸留水を吐出してから所定時間(たとえば1.5秒間)経過するまでこの判断を繰り返し、所定時間が経過すると、ステップS34に処理を進める。
【0102】
次に、
図17のステップS34において、流体制御部114は吸引機構120に排出動作を開始させ、駆動制御部134は駆動部131に排出部材100を最下点まで移動させる。具体的には、昇降機構130により排出部材100が下降されながら第1容器150内の蒸留水が排出流路107から排出される。
【0103】
次に、ステップS35に進んだ場合には、流体制御部114は、所定時間が経過したか否かを判断する。具体的には、流体制御部114は、排出部材100が最下点位置に移動してから所定時間(たとえば1.5秒間)経過するまでこの判断が繰り返され、所定時間が経過すると、ステップS36に処理を進める。
【0104】
次に、ステップS36において、駆動制御部134は、洗浄回数iを1だけ増加させ、ステップS30に処理を戻す。
【0105】
また、洗浄回数が4回に達してステップS37に進んだ場合には、流体制御部114は、吐出部110aに希釈液を吐出させる。
【0106】
次に、ステップS38において、流体制御部114は、所定時間が経過したか否かを判断する。具体的には、流体制御部114は、吐出部110aが希釈液を吐出してから所定時間(たとえば1.5秒間)経過するまでこの判断を繰り返し、所定時間が経過すると、ステップS39に処理を進める。
【0107】
次に、ステップS39において、駆動制御部134は駆動部131に排出部材100を最下点まで移動させる。
【0108】
次に、ステップS40において、流体制御部114は吸引機構120に排出動作を開始させ、吸引監視センサ122に排出状態を監視させる。流体制御部114は、排出管121内を希釈液が正常に流通するか否かを監視する。
【0109】
次に、ステップS41において、流体制御部114は、排出状態が正常であるか否かを判断する。排出状態が正常である場合には、流体制御部114は、ステップS43に処理を進める。一方、排出状態が正常でない場合には、流体制御部114は、ステップS42に処理を進める。そして、駆動制御部134は、ステップS42において、ステップS23と同様の処理を行う。
【0110】
また、ステップS43に進んだ場合には、流体制御部114は、所定時間が経過したか否かを判断する。具体的には、流体制御部114は、排出部材100が最下点位置に移動してから所定時間(たとえば1.5秒間)経過するまでこの判断を繰り返し、所定時間が経過すると、ステップS44に処理を進める。
【0111】
次に、ステップS44において、駆動制御部134は、駆動部131に排出部材100を原点位置に移動させる。
【0112】
次に、ステップS45において、駆動制御部134は、原点センサ132に排出部材100が原点位置に移動したか否かを判断させる。排出部材100が原点位置に移動しない場合には、駆動制御部134は、ステップS46に処理を進める。そして、駆動制御部134は、ステップS46において、ステップS23と同様の処理を行う。一方、排出部材100が原点位置に移動した場合には、調製制御部23は洗浄処理を終了する。
【0113】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0114】
本実施形態では、上記のように、第1容器150(第2容器250)の最深部150b(250b)まで挿入可能なように構成され、底部101(201)が第1容器150(第2容器250)の略球面状の内底に沿った形状に排出部材100(200)を形成することによって、第1容器150(第2容器250)を洗浄する際に必要な洗浄液の量を、第1容器150(第2容器250)内の空間に挿入され、かつ、洗浄液に浸かっている排出部材100(200)の体積分だけ低減することができるので、洗浄液の使用量が増加するのを抑制することができる。また、排出部材100(200)の底部101(201)と第1容器150(第2容器250)との隙間を小さくして、洗浄液が流通する速さを大きくすることができるので、第1容器150(第2容器250)を十分に洗浄することができる。従って、洗浄液の使用量が増加するのを抑制しながら、キャリーオーバを低減することができる。また、第1容器150(第2容器250)の最深部150b(250b)まで挿入可能に排出部材100(200)を構成することによって、洗浄液に浸かる排出部の体積を大きくすることができるので、第1容器150(第2容器250)を洗浄する際に必要な洗浄液の量をさらに低減することができる。
【0115】
また、本実施形態では、開口105(205)に試料または洗浄液を導くように溝部106(206)を構成する。また、溝部106(206)を、それぞれ、開口105(205)に繋がるように形成する。また、開口105(205)を中心に等角度間隔で放射状に延びるように6つの溝部106(206)を形成する。また、開口105(205)から胴部102(202)のうち底部101(201)側の端部102a(202a)の近傍まで延びるように溝部106(206)を形成する。また、開口105(205)の内径D1(D3)よりも小さい幅W1(W2)の溝部106(206)を設ける。また、第1容器150(第2容器250)に挿入された底部101(201)と内壁面150a(250a)との隙間が第1容器150(第2容器250)の最深部150b(250b)に向かうにしたがい狭くなるように排出部材100(200)を構成する。これにより、排出部材100(200)の底部101(201)を第1容器150(第2容器250)の底部に密着させて洗浄液の排出を行う際にも、溝部106(206)を介して試料または洗浄液を開口105(205)に導き、排出流路107(管部207)から試料または洗浄液を確実に排出することができる。また、6つの溝部106(206)により、試料または洗浄液を開口105(205)に効率的に導くことができる。また、第1容器150(第2容器250)の内壁面150a(250a)と胴部102(202)との間隔が狭い場合でも、容易に、溝部106(206)を介して試料または洗浄液を開口105(205)に導くことができる。また、溝部106(206)に溜まる試料または洗浄液を排出する際の力を大きくして、効率よく開口105(205)に導くことができる。また、第1容器150(第2容器250)の最深部150b(250b)近傍での試料または洗浄液を排出する際の力を大きくして、効率よく開口105(205)に導くことができる。
【0116】
また、本実施形態では、円錐台形状の傾斜部103に沿って流れるように洗浄液を吐出する吐出部110a(吐出機構110)を設ける。これにより、吐出部110aから吐出された洗浄液が円錐台形状の傾斜部103を斜め下方向に流れることにより、排出部材100を設けた構成でも第1容器150内に洗浄液を略均一に行きわたらせることができる。
【0117】
また、本実施形態では、昇降機構130(230)により排出部材100(200)が下降されながら第1容器150(第2容器250)内の試料または洗浄液を排出するように排出流路107(管部207)を構成する。これにより、排出部材100(200)の下降に起因して第1容器150(第2容器250)内の試料または洗浄液が溢れ出すのを確実に抑制することができる。
【0118】
また、本実施形態では、排出部材100(200)が第1容器150(第2容器250)の最深部150b(250b)から離間された状態で洗浄液を第1容器150(第2容器250)に吐出する吐出機構110(210)を設け、洗浄液が第1容器150(第2容器250)に吐出された後、第1容器150(第2容器250)の最深部150b(250b)まで下降されるように排出部材100(200)を構成する。これにより、第1容器150(第2容器250)内で洗浄液を流動させて、第1容器150(第2容器250)を十分に洗浄することができる。
【0119】
また、本実施形態では、排出流路107を排出部材100に一体的に設ける。これにより、排出部材100と排出流路107とを一体的に構成して、部品点数を削減することができる。また、管状のノズルである管部207を排出部材200に設ける。また、第1容器150(第2容器250)の中心軸C1と排出部材100(200)の中心軸C2とが一致するように排出部材100(200)を第1容器150(第2容器250)に挿入する。これにより、排出部材100(200)を第1容器150(第2容器250)内に容易に挿入することができる。
【0120】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0121】
たとえば、上記実施形態では、子宮頸部の上皮細胞を分析する細胞分析装置に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。上記細胞分析装置以外の分析装置に本発明を適用してもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、第1容器洗浄部46の排出部材100と第2容器洗浄部56の排出部材200とがそれぞれ異なる形状である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1容器洗浄部46の排出部材100と第2容器洗浄部56の排出部材200とが同じ形状でもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、排出部材に設ける溝部を、6つ設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、排出部材300に設ける溝部306を1つ以上5つ以下、または、7つ以上設けてもよい。たとえば、
図18には一例として、12個の溝部306を設けた排出部材300を示している。
【0124】
また、上記実施形態では、排出部材に設ける直線状の溝部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直線状の溝部306に加えて、直線状以外の形状の溝部316を排出部材300に設けてもよい。たとえば、
図18に示すように、直線状の溝部306と円形状の溝部316とを排出部材300に設けてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、排出部材に設ける溝部の幅が一定である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、溝部の幅が一定でなくてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、排出流路107が排出部材100に一体的に設けられた管状の排出孔である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、排出部材100とは別体の排出流路107を排出部材100に設けてもよい。また、管部207が排出部材200に設けられた管状のノズルである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、排出部材200に設けられた排出孔により管部207を、排出部材200と一体的に構成してもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、たとえば、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、排出部材200は胴部を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、胴部を有さず、傾斜部および底部からなるように排出部材200を構成してもよい。