【解決手段】液晶表示装置LCDの製造方法は、インクジェット装置10に設けられる配向膜材料を吐出するヘッド12に対して、基板20をデータ線DLの延在する列方向に移動させるとともに、ヘッド12から配向膜材料を基板20上に滴下する工程を含む。
基板上に、第1方向に延在する複数のデータ線と、該第1方向とは異なる第2方向に延在する複数のゲート線と、前記データ線及び前記ゲート線に接続される薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの導通電極にコンタクトホールを介して電気的に接続される画素電極と、前記画素電極を覆う配向膜と、が形成される液晶表示装置の製造方法であって、
前記基板と、インクジェット方式により前記基板上に前記配向膜の材料を滴下する滴下装置とを、相対的に前記第1方向に移動させるとともに、前記配向膜の材料を前記基板上に滴下する工程を含む、
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
隣り合う2本の前記データ線と、隣り合う2本の前記ゲート線とにより規定される1つの画素がマトリクス状に配列された複数の画素における前記第1方向の配列ピッチと略同じピッチ、又は、該配列ピッチよりも小さいピッチで、前記配向膜の材料を前記基板上に滴下する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、インクジェットノズルから滴下された配向膜材料が、基板上に形成されたコンタクトホール内に流れ込む現象が生じる。この現象は、特に、特許文献2に開示されているような、画素領域に対してコンタクトホールの領域が比較的大きい場合に顕著となる。そして、配向膜材料がコンタクトホール内に流れ込むと、配向膜が適切に形成されない領域が生じ、表示ムラが生じるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、配向膜の形成不良に起因する表示ムラを低減することができる液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、上記課題を解決するために、基板上に、第1方向に延在する複数のデータ線と、該第1方向とは異なる第2方向に延在する複数のゲート線と、前記データ線及び前記ゲート線に接続される薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの導通電極にコンタクトホールを介して電気的に接続される画素電極と、前記画素電極を覆う配向膜と、が形成される液晶表示装置の製造方法であって、前記基板と、インクジェット方式により前記基板上に前記配向膜の材料を滴下する滴下装置とを、相対的に前記第1方向に移動させるとともに、前記配向膜の材料を前記基板上に滴下する工程を含む、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、前記工程を複数回繰り返し行ってもよい。
【0009】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、隣り合う2本の前記データ線と、隣り合う2本の前記ゲート線とにより規定される1つの画素がマトリクス状に配列された複数の画素における前記第1方向の配列ピッチと略同じピッチ、又は、該配列ピッチよりも小さいピッチで、前記配向膜の材料を前記基板上に滴下してもよい。
【0010】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、前記基板上における、前記配向膜の材料の滴下位置の前記第2方向のピッチは、前記複数の画素における前記第1方向の配列ピッチよりも大きくてもよい。
【0011】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、前記基板上に、前記ゲート線を形成する工程と、前記ゲート線を覆うように、第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜上に、前記データ線及び前記薄膜トランジスタの導通電極を形成する工程と、前記データ線及び前記薄膜トランジスタの導通電極を覆うように、第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2絶縁膜に、前記コンタクトホールを形成する工程と、前記第2絶縁膜上及び前記コンタクトホール内に、前記画素電極を形成する工程と、をさらに含んでもよい。
【0012】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、前記第2絶縁膜は、有機材料からなっていてもよい。
【0013】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、前記基板上に前記配向膜の材料を滴下した後、該基板を前記第2方向に搖動させる工程をさらに含んでもよい。
【0014】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、前記配向膜を光配向処理する工程をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、画像表示領域全体に配向膜が形成される。よって、配向膜の形成不良に起因する表示ムラを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示す平面図である。液晶表示装置LCDは、領域に大別すると、画像表示領域DIAと、画像表示領域DIAの周囲の領域である額縁領域FRAとにより構成されている。画像表示領域DIAには、隣り合う2本のゲート線GLと、隣り合う2本のデータ線DLとで囲まれた画素Pが、行方向及び列方向にマトリクス状に複数配列されている。すなわち、画像表示領域DIAは、複数の画素Pの集合領域(有効画素領域)として規定される。なお、データ線DLが延在する方向を列方向(図中の上下方向)(第1方向)とし、ゲート線GLが延在する方向を行方向(図中の左右方向)(第2方向)とする。額縁領域FRAには、ゲート線GLを駆動するゲート線駆動回路と、データ線DLを駆動するデータ線駆動回路とが形成されている。
【0019】
図2は、画像表示領域DIAの一部の構成を示す平面図であり、
図3は、
図2のA−A´断面図である。
図3に示すように、液晶表示装置LCDは、背面側に配置される薄膜トランジスタ基板SUB1(以下、TFT基板という。)(第1基板)と、表示面側に配置され、TFT基板SUB1に対向するカラーフィルタ基板SUB2(以下、CF基板という。)(第2基板)と、TFT基板SUB1及びCF基板SUB2の間に挟持される液晶層LCと、を含んで構成されている。なお、
図2では、便宜上、表示面側から、CF基板SUB2を透視し、TFT基板SUB1を見た状態を示している。
【0020】
TFT基板SUB1には、列方向に延在する複数のデータ線DLと、行方向に延在する複数のゲート線GLとが形成され、複数のデータ線DLと複数のゲート線GLとのそれぞれの交差部近傍に、薄膜トランジスタTFTが形成されている。
【0021】
画素Pには、スズ添加酸化インジウム(ITO)等の透明導電膜からなる画素電極PITが形成されている。
図2に示すように、画素電極PITは、開口部(例えばスリット)を有し、ストライプ状に形成されている。薄膜トランジスタTFTは、ゲート絶縁膜GSN(
図3参照)上に、非晶質シリコン(aSi)からなる半導体層SEMが形成され、半導体層SEM上に、ドレイン電極DM及びソース電極SMが形成されている。ドレイン電極DMは、データ線DLに電気的に接続され、ソース電極SMは、コンタクトホールCONTを介して、画素電極PITに電気的に接続されている。
【0022】
画素Pを構成する各部の積層構造は、
図3の構成に限定されるものではなく、周知の構成を適用することができる。
図3に示す構成では、TFT基板SUB1において、ガラス基板GB1上にゲート線GLが形成され、ゲート線GLを覆うようにゲート絶縁膜GSN(第1絶縁膜)が形成されている。ゲート絶縁膜GSN上には、半導体層SEMが形成され、半導体層SEM上に、データ線DLと、薄膜トランジスタTFTを構成する導通電極(ドレイン電極DM、ソース電極SM)とが形成されている。データ線DL、ドレイン電極DM及びソース電極SMを覆うように、保護絶縁膜PASが形成され、保護絶縁膜PAS上に、膜厚の大きい有機絶縁膜OPAS(第2絶縁膜)が形成されている。有機絶縁膜OPAS上には共通電極CITが形成され、共通電極CITを覆うように上層絶縁膜UPASが形成されている。保護絶縁膜PAS、有機絶縁膜OPAS及び上層絶縁膜UPASには、ソース電極SMに達するコンタクトホールCONTが形成されている。上層絶縁膜UPAS上及びコンタクトホールCONT内に、画素電極PITが形成され、これにより、画素電極PITとソース電極SM(一方の導通電極)とが電気的に接続されている。画素電極PITを覆うように、配向膜AFが形成されている。その他、図示はしていないが、TFT基板SUB1には、偏光板等が形成されている。
【0023】
CF基板SUB2では、ガラス基板GB2上にブラックマトリクスBM及び着色部CF(例えば、赤色部、緑色部、青色部)が形成され、これらを覆うようにオーバコート層OCが形成されている。その他、図示はしていないが、CF基板SUB2には、配向膜、偏光板等が形成されている。
【0024】
図3に示す構成によれば、液晶表示装置LCDは、いわゆるIPS(In Plane Switching)方式の構成を有しているが、本発明に係る液晶表示装置はこれに限定されない。例えば、共通電極CITがCF基板SUB2に形成されていてもよい。具体的には、TFT基板SUB1では、ガラス基板GB1上にゲート線GLが形成され、ゲート線GLを覆うようにゲート絶縁膜GSN(第1絶縁膜)が形成され、ゲート絶縁膜GSN上にデータ線DL及び薄膜トランジスタTFT(ドレイン電極DM、ソース電極SM)が形成され、データ線DL及び薄膜トランジスタTFT上に保護絶縁膜PASが形成され、保護絶縁膜PAS上に有機絶縁膜OPAS(第2絶縁膜)が形成され、保護絶縁膜PAS及び有機絶縁膜OPASにコンタクトホールCONTが形成され、有機絶縁膜OPAS上及びコンタクトホールCONT内に画素電極PITが形成され、画素電極PITを覆うように配向膜AFが形成されていてもよい。
【0025】
次に、液晶表示装置LCDの駆動方法を簡単に説明する。ゲート線駆動回路から出力された走査用のゲート電圧がゲート線GLに供給され、データ線駆動回路から出力された映像用のデータ電圧がデータ線DLに供給される。ゲート線GLにゲートオン電圧が供給されると、薄膜トランジスタTFTの半導体層SEMが低抵抗となり、データ線DLに供給されたデータ電圧が、ソース電極SMを介して、ソース電極SMに電気的に接続された画素電極PITに供給される。また、共通電極駆動回路(図示せず)から出力された共通電圧が、共通電極CITに供給される。これにより、画素電極PITと共通電極CITとの間に電界(駆動用電界)が発生し、該電界により液晶層LCが駆動され、画像が表示される。
【0026】
次に、上記構成を有するTFT基板SUB1の製造方法の一例を説明する。
【0027】
先ず、ガラス基板GB1上にゲート線GLとなる金属材料をスパッタにより成膜し、ホトエッチング工程でハーフトーン露光を用いてパターン化する。これにより、ゲート線GLが形成される。金属配線材料は、銅Cu、MoとアルミニウムAlの積層膜、チタンTiとAlの積層膜、あるいはMoとタングステンWのMoW合金などを用いることができる。
【0028】
次に、化学気層成長法CVDにより、ゲート線GLを覆うように、シリコンナイトライドからなるゲート絶縁膜GSNを成膜し、ゲート絶縁膜GSN上にアモルファスシリコンや酸化物IGZO等の半導体層SEMを積層する。
【0029】
次に、半導体層SEM上に、モリブデンMoと銅Cuの積層膜をスパッタで成膜する。データ線DL、ドレイン電極DM及びソース電極SMは、同時に形成される。
【0030】
次に、データ線DL、ドレイン電極DM及びソース電極SMを覆うように、保護絶縁膜PASを成膜し、保護絶縁膜PAS上に、有機絶縁膜OPASを成膜する。有機絶縁膜OPASは、アクリルを主成分とする感光性の有機材料が用いられる。
【0031】
次に、有機絶縁膜OPAS上に、ITOからなる共通電極CITを形成し、共通電極CITを覆うように、シリコンナイトライドからなる上層絶縁膜UPASを成膜する。
【0032】
次に、ソース電極SMが露出するように、保護絶縁膜PAS、有機絶縁膜OPAS及び上層絶縁膜UPASに開口部(コンタクトホールCONT)を形成する。次に、上層絶縁膜UPAS上及びコンタクトホールCONT内に、透明電極材料であるインジウム、錫、酸化物ITOを成膜し、ホトエッチング工程を経て、画素電極PITを形成する。
【0033】
次に、画素電極PITを覆うように、配向膜AFの材料(例えば、ポリイミド樹脂)をインクジェット方式により塗布する。塗布後、配向膜材料を乾燥させて、配向膜AFを形成する。配向膜AFの具体的な形成方法は後述する。次に、配向膜AFに、ラビング処理を施す。なお、光配向膜を形成する場合は、配向膜AFに、所定の偏光紫外線を照射(光配向処理)する。特に、光配向膜を用いた場合には、配向膜の膜厚のばらつきに起因する表示ムラが視認し易くなるため、本発明の効果が顕著となる。以上の工程を経て、TFT基板SUB1が製造される。
【0034】
TFT基板SUB1の製造方法は、上記方法に限定されない。TFT基板SUB1の製造方法は、ガラス基板GB1上にゲート線GLを形成する工程と、ゲート線GLを覆うように第1絶縁膜を形成する工程と、第1絶縁膜上にデータ線DL及び薄膜トランジスタTFT(ドレイン電極DM、ソース電極SM)を形成する工程と、データ線DL及び薄膜トランジスタTFTを覆うように第2絶縁膜を形成する工程と、第2絶縁膜にコンタクトホールCONTを形成する工程と、第2絶縁膜上及びコンタクトホールCONT内に画素電極PITを形成する工程と、画素電極PITを覆うように配向膜AFを形成する工程と、を含んでいることが好ましい。また、上記第1絶縁膜は、ゲート絶縁膜GSNであり、上記第2絶縁膜は、有機絶縁膜OPASであることが好ましい。また、TFT基板SUB1の製造方法は、共通電極CITを形成する工程を含んでいてもよい。なお、CF基板SUB2は周知の製造方法により製造することができる。
【0035】
[配向膜の形成方法]
次に、配向膜AFの具体的な形成方法について説明する。配向膜AFは、インクジェット方式により配向膜材料を基板上に滴下することにより形成される。
図4は、配向膜材料を基板上に滴下するインクジェット装置(滴下装置)の構成を示す模式図である。インクジェット装置10は、基板20を移動可能に載置するステージ11と、配向膜材料を吐出(滴下)する複数のノズル12を備えるヘッド13と、ヘッド13を移動可能に支持するフレーム14と、基板20及びヘッド13の移動速度、配向膜材料の吐出量(滴下量)、塗布周波数などを制御する制御部15と、を備えている。なお、ここでは、便宜上、基板20は、額縁領域FRAを省略し、画像表示領域DIAのみを示している。
【0036】
基板20の移動方向及びインクジェット装置10の塗布方向(X方向)は、データ線DLが延在する列方向(第1方向)に設定されており、ヘッド13の移動方向(Y方向)は、ゲート線GLが延在する行方向(第2方向)に設定されている。なお、基板20はステージ11上で列方向(X方向)に移動してもよいし、基板20を固定したステージ11が列方向(X方向)に移動してもよい。また、基板20及びステージ11が固定され、フレーム14が列方向(X方向)に移動してもよい。すなわち、ステージ11に載置される基板20と、配向膜材料を吐出するヘッド13とが、相対的にX方向に移動可能に構成されていればよい。また、ステージ11に載置される基板20は、配向膜形成前のTFT基板SUB1である。
【0037】
図5は、ヘッド13及び基板20の一部の構成を示す平面図である。
図5では、ヘッド13に設けられた3個のノズル12を示している。ノズル12は、等間隔でヘッド13に固定されている。ここでは、隣り合うノズル12の間隔(ノズルピッチ)をP1とする。複数の画素における列方向のピッチ(画素列ピッチ)をP2、行方向のピッチ(画素行ピッチ)をP3とすると、ノズルピッチP1は、以下の関係式(1)を満たしている。
P1>P2>P3・・・(1)
【0038】
インクジェット装置10による塗布工程が開始されると、基板20が列方向(
図5中の上矢印方向)に所定の速度で移動しつつ、ノズル12から配向膜材料が所定の周波数で吐出され、基板20上に列方向に連続的に滴下される。
図5の画像表示領域DIAには、配向膜材料の最初の滴下位置(丸点線)を示している。
図5に示す基板20の上矢印方向の移動と、画像表示領域DIAの列方向への滴下処理とを含む第1塗布工程が完了すると、基板20の移動と、配向膜材料の吐出動作が停止する。
図6には、第1塗布工程が完了した後の画像表示領域DIAにおける配向膜材料の滴下位置(丸実線)を示している。ここで、基板20の移動方向における配向膜材料の滴下位置のピッチ(第1滴下ピッチ)をP4とすると、基板20の移動速度と、配向膜材料の吐出周波数とは、以下の関係式(2)を満たすように設定される。なお、以下の関係式(2)には、第1滴下ピッチP4と画素列ピッチP2とが略同じ場合も含まれる。
P4≦P2 ・・・(2)
【0039】
第1塗布工程に続いて、以下の第2塗布工程が実行される。先ず、ヘッド13が行方向(
図7中の右矢印方向)に距離P5だけ移動する。距離P5は、以下の関係式(3)を満たしている。なお、距離P5は、配向膜材料の滴下位置におけるヘッド13の移動方向のピッチ(第2滴下ピッチ)を表している。
P5=P1÷2 ・・・(3)
【0040】
また、ヘッド13の行方向の移動距離P5は、以下の関係式(4)に示すように、画素列ピッチP2よりも大きく設定されている。
P5>P2 ・・・(4)
【0041】
ヘッド13が移動した後、基板20が列方向(
図7中の下矢印方向)に所定の速度で移動しつつ、ノズル12から配向膜材料が所定の周波数で吐出され、基板20上に列方向に連続的に滴下される。
図7の画像表示領域DIAには、第2塗布工程における配向膜材料の最初の滴下位置(丸点線)を示している。
図7に示す基板20の下矢印方向の移動と、画像表示領域DIAの列方向への滴下処理とを含む第2塗布工程が完了すると、基板20の移動と、配向膜材料の吐出動作が停止する。
図8には、第2塗布工程が完了した後の画像表示領域DIAにおける配向膜材料の滴下位置(丸実線)を示している。第2塗布工程において、基板20の移動方向における配向膜材料の滴下位置のピッチは、第1塗布工程における第1滴下ピッチP4と同一である。本実施形態においては、第2塗布工程における配向膜材料の列方向の滴下位置を、第1塗布工程における配向膜材料の列方向の滴下位置と同じにしているが、これに限られない。第2塗布工程における配向膜材料の列方向の滴下位置を、第1塗布工程における列方向の滴下位置の間に設定してもよい。この場合、好適な液滴の濡れ広がりを実現できる。
【0042】
図9には、第1塗布工程及び第2塗布工程により基板20上に滴下された配向膜材料が濡れ広がり、配向膜AFが形成された状態を示している。同図に示すように、配向膜材料は画像表示領域DIA全体に濡れ広がり、画像表示領域DIA全体に配向膜AFが形成されていることが分かる。なお、
図9には、コンタクトホールCONTの位置(図中の黒丸)を示している。
【0043】
ここで、本実施形態に係る配向膜AFに対する比較例について以下に示す。
図10は、比較例における、ヘッド13及び基板20の一部の構成を示す平面図である。比較例に係る配向膜AFの形成方法では、ステージ11に載置される基板20の向きが、本実施形態に係る配向膜AFの形成方法(
図5参照)と比較して、90度回転した状態に設定されている。すなわち、比較例に係る配向膜AFの形成方法では、基板20の移動方向及びインクジェット装置10の塗布方向(
図4のX方向)が、ゲート線GLが延在する行方向(第2方向)に設定されており、ヘッド13の移動方向(
図4のY方向)が、データ線DLが延在する列方向(第1方向)に設定されている。
【0044】
比較例に係る配向膜AFの形成方法では、上記第1塗布工程及び第2塗布工程と同じ塗布工程が実行される。
図10及び
図11は、比較例における第1塗布工程を示し、
図12及び
図13は、比較例における第2塗布工程を示している。各ピッチP1〜P5は、上記(1)〜(4)式の関係を満たしている。
【0045】
図14には、比較例における第1塗布工程及び第2塗布工程により基板20上に滴下された配向膜材料が濡れ広がり、配向膜AFが形成された状態を示している。同図に示すように、配向膜材料は画像表示領域DIAに濡れ広がるが、一部の画素行Paの領域では、配向膜材料が濡れ広がらず、配向膜AFが形成されていないことが分かる。これは、
図13に示すように、第2滴下ピッチP5が画素列ピッチP2よりも大きいために(上記(4)式参照)、配向膜材料が滴下されない画素行(ここでは、画素行Pa(
図14参照))が生じ、かつ、この画素行Paに隣り合う左右の画素行Pb,Pcの領域に滴下され濡れ広がった配向膜材料が、画素行Paと画素行Pb,Pcとの境界近傍に形成されるコンタクトホールCONT内(
図3参照)に流れ込み、画素行Paの領域まで到達しないためである。このような現象は、特に、有機絶縁膜のような厚い層を含み、画素領域に対してコンタクトホールCONTの領域が大きい場合に顕著となる。そして、配向膜AFが形成されない領域(配向膜非形成領域)が生じると、表示輝度がばらつき、表示ムラが生じてしまう。
【0046】
上記比較例に対して、本実施形態に係る配向膜AFの形成方法によれば、基板20の移動方向及びインクジェット装置10の塗布方向(
図4のX方向)が、データ線DLの延在方向(列方向:第1方向)に設定されている。また、上記(2)式に示したように、基板20の移動方向における配向膜材料の滴下位置のピッチ(滴下ピッチP4)は、画素列ピッチP2と略同じ、又は画素列ピッチP2よりも小さく設定することが可能である。そのため、
図8に示すように、複数の画素行において、配向膜材料が滴下されない画素行の領域は生じない。各画素行の領域に配向膜材料が滴下されれば、配向膜材料は、コンタクトホールCONT内に流れ込んでも、各画素行において列方向に濡れ広がるため、配向膜非形成領域が生じることはない。なお、行方向に濡れ広がる配向膜材料は、コンタクトホールCONTの影響を受けにくいため、行方向においても配向膜非形成領域が生じることはない。このため、
図14に示すような配向膜AFが形成されない領域(配向膜非形成領域)は生じず、画像表示領域DIA全体に配向膜AFが形成される(
図9参照)。よって、本実施形態に係る液晶表示装置LCDの製造方法によれば、配向膜AFの形成不良に起因する表示ムラを低減することができる。
【0047】
上述した本実施形態に係る配向膜AFの形成方法では、第1塗布工程及び第2塗布工程の2回の塗布工程により配向膜AFを形成しているが、本発明に係る液晶表示装置LCDの製造方法はこれに限定されない。例えば、塗布工程が、3回あるいはそれ以上であってもよい。例えば、第1塗布工程及び第2塗布工程を、複数回繰り返し行ってもよい。
【0048】
また、上述した本実施形態に係る配向膜AFの形成方法は、基板20上に配向膜材料を滴下した後(
図8参照)、基板20を搖動させる搖動工程を含んでいてもよい。ここで、
図15に示すように、第1滴下ピッチP4と第2滴下ピッチP5とを比較した場合、P5>P4の関係を満たす。そのため、基板20を搖動させる方向は、滴下ピッチが大きい行方向(第2方向)とすることが好ましい。これにより、基板20上に滴下された配向膜材料を、大きく濡れ広がらせることができる。
【0049】
以上の説明では、TFT基板SUB1における配向膜AFの形成方法について示したが、CF基板SUB2における配向膜AFについても同様の方法により形成することができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。