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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-87892(P2015-87892A)
(43)【公開日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20150410BHJP
【FI】
   G06F9/46 462A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-224908(P2013-224908)
(22)【出願日】2013年10月30日
(71)【出願人】
【識別番号】598049322
【氏名又は名称】株式会社三菱東京UFJ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】前澤 秋生
(72)【発明者】
【氏名】中川 誠司
(72)【発明者】
【氏名】川端 保宏
(57)【要約】
【課題】クライアント・サーバシステムにおいてクライアントにおける情報入力操作量に即応してサーバやネットワークなどのハードウェア資源を適切に割り当てるための技術を提供することである。
【解決手段】本発明の1つの態様は、端末の情報入力手段における情報入力操作量を検出する検出部と、前記検出された情報入力操作量に基づき、前記端末から提供される処理要求データを処理するため前記端末に割り当てるハードウェア資源の量を制御する資源割当制御部とを有する情報処理システムに関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末の情報入力手段における情報入力操作量を検出する検出部と、
前記検出された情報入力操作量に基づき、前記端末から提供される処理要求データを処理するため前記端末に割り当てるハードウェア資源の量を制御する資源割当制御部と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記検出された情報入力操作量に基づき、前記端末からの処理要求データ量を予測する予測部をさらに有し、
前記資源割当制御部は、前記予測した処理要求データ量に基づき、前記端末に割り当てるハードウェア資源の量を制御する、請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ハードウェア資源の量は、通信網帯域使用可能量、CPU使用可能量、メモリ使用可能量又は記憶装置に対する入出力可能回数である、請求項1又は2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記資源割当制御部は、前記検出された情報入力操作量が所定の閾値未満である場合、前記端末に前記ハードウェア資源の所定の初期量を割り当てる、請求項1乃至3何れか一項記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記ハードウェア資源は、地理的に分散され、
前記資源割当制御部はさらに、前記端末に割り当てるハードウェア資源の地理的な配分量を制御する、請求項1乃至4何れか一項記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアント・サーバシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信技術の向上は、サーバとクライアントとが遠隔的に配置されるクライアント・サーバシステムの実現を可能にした。すなわち、クライアントの処理要求がネットワークを介し遠隔的に配置されたサーバに送信され、当該処理要求を受信したサーバが要求された処理を実行し、ネットワークを介し処理応答をクライアントに返すことによって、クライアント・サーバシステムが実現される。
【0003】
このようなクライアント・サーバシステムでは、典型的には、多数のクライアントがサーバやネットワークなどのハードウェア資源を利用し、各クライアントには、これらのハードウェア資源の一部が適宜割り当てられる。現在のクライアント・サーバシステムでは、仮想化技術を利用して動的にハードウェア資源が割り当てられ、ハードウェア資源の効率的な利用が実現されている。典型的には、クライアントからの処理要求量に応じて、利用可能なハードウェア資源の一部が当該クライアントに仮想的に割り当てられる。例えば、クライアントとサーバとの間のネットワーク通信量を監視し、検出したネットワーク通信量に応じて適切なサーバやネットワークの通信帯域幅を動的に割り当てるなどの従来技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−49858号公報
【特許文献2】特開2002−351760号公報
【特許文献3】特表2002−540677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クライアントからの処理要求量は、ユーザによる入力操作量に依存し得る。一般に、入力スキルが熟達したユーザによってかなり速いスピードで事務処理等の入力操作が行われるとき、それに見合ったハードウェア資源が割り当てられていない場合、当該ハードウェア資源の割当が事務効率のボトルネックとなり得ることがある。
【0006】
上述した従来技術を利用して、クライアントとサーバとの間のネットワーク通信量に基づきハードウェア資源を割り当てることも可能であるが、このようなネットワーク通信量に基づくハードウェア資源の割当は、サーバへの処理要求が送信された後に事後的に行われるものである。このため、従来技術では、上述した入力操作スピードに即時的に対応したハードウェア資源の割当を実現することができないという問題がある。
【0007】
上記問題点を鑑み、本発明の1つの課題は、クライアント・サーバシステムにおいてクライアントにおける情報入力操作量に即応してサーバやネットワークなどのハードウェア資源を適切に割り当てるための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、端末の情報入力手段における情報入力操作量を検出する検出部と、前記検出された情報入力操作量に基づき、前記端末から提供される処理要求データを処理するため前記端末に割り当てるハードウェア資源の量を制御する資源割当制御部とを有する情報処理システムに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、クライアント・サーバシステムにおいてクライアントにおける情報入力操作量に即応してサーバやネットワークなどのハードウェア資源を適切に割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施例によるクライアント・サーバシステムを示す概略図である。
図2図2は、本発明の一実施例による資源割当システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の一実施例による資源割当システムの機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、資源割当システムの変形例を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の一実施例による資源割当処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
以下の実施例では、クライアント・サーバシステムにおいてクライアントにサーバやネットワークなどのハードウェア資源を配分する資源割当システムが開示される。後述される実施例を概略すると、本発明による資源割当システムは、各端末における情報入力操作量を検出し、検出した情報入力操作量に基づき当該端末に適したハードウェア資源を割り当てる。端末における情報入力操作量は、当該端末からの処理要求データがネットワークに発信される前に検出されるため、資源割当システムは、ネットワークに流入した処理要求データ量を観測する前に、検出した情報入力操作量に基づき予測した当該端末から以降に発信される処理要求予定量に応じて即時的にハードウェア資源を割り当てることが可能となる。
【0013】
まず、図1を参照して、本発明の一実施例によるクライアント・サーバシステムを説明する。図1は、本発明の一実施例によるクライアント・サーバシステムを示す概略図である。
【0014】
図1に示されるように、クライアント・サーバシステム10は、資源割当システム100、端末200、処理サーバ301,302及びネットワーク400を有する。クライアント・サーバシステム10では、端末200からの処理要求が、資源割当システム100によって当該端末200に割り当てられたネットワーク400の通信帯域を介して、資源割当システム100によって当該端末200に割り当てられた処理サーバ301,302に送信され、当該処理要求を受信した処理サーバ301,302が要求された処理を実行し、処理結果がネットワーク400を介し端末200に返される。
【0015】
資源割当システム100は、以下で詳細に説明されるように、端末200における情報入力操作量に基づき処理サーバ301,302やネットワーク400などのハードウェア資源を端末200に割り当てる。
【0016】
図2に示されるように、資源割当システム100は、バスBを介し相互接続されるドライブ装置101、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU(Central Processing Unit)104、インタフェース装置105及び通信装置106を有する。
【0017】
資源割当システム100における後述される各種機能及び処理を実現するプログラムを含む各種コンピュータプログラムは、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory)などの記録媒体107によって提供されてもよい。プログラムを記憶した記録媒体107がドライブ装置101にセットされると、プログラムが記録媒体107からドライブ装置101を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体107により行う必要はなく、ネットワーク400などを介し何れかの外部装置からダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータなどを格納する。
【0018】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムやデータを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムやプログラムを実行するのに必要なパラメータなどの各種データに従って、後述されるような資源割当システム100の各種機能及び処理を実行する。インタフェース装置105は、ネットワーク400又は外部装置に接続するための通信インタフェースとして用いられる。通信装置106は、端末200及び処理サーバ301,302などの外部装置と通信するための各種通信処理を実行する。
【0019】
しかしながら、資源割当システム100は、上述したハードウェア構成に限定されるものでなく、例えば、何れか適切な情報処理システムにより実現されてもよい。
【0020】
端末200は、クライアント・サーバシステム10におけるクライアントとして機能し、ユーザからの情報入力操作に応答して、当該操作に対応する処理要求を資源割当システム100により端末200に割り当てられた処理サーバ301,302に送信する。資源割当システム100による処理サーバ301,302の処理能力及びネットワーク400の通信帯域の割当を受けるため、端末200は、情報入力操作量を示すデータを資源割当システム100に提供する。図示された実施例では、1つの端末200しか示されていないが、典型的には、多数の端末200がクライアント・サーバシステム10に含まれる。
【0021】
一実施例では、当該情報入力操作量は、処理要求データの送信前のユーザによる端末200の入力手段への入力操作量であってもよい。例えば、入力手段がキーボードである場合、情報入力操作量は、処理要求データの送信を指示するエンターキーなどの押下までの単位時間当たりのタイプ数であってもよい。他の例では、入力手段がマウスである場合、情報入力操作量は単位時間当たりのクリック数であってもよい。また、入力手段がタッチパネルである場合、情報入力操作量は、単位時間当たりのタッチパネルへの接触回数であってもよい。また、入力手段がスキャナである場合、情報入力操作量は、単位時間当たりのスキャン数であってもよい。これらの入力手段への操作の検知は、上記のユーザ操作の検知と共に、例えば、入力による振動を検知したり、加速度センサにより入力手段の動きを検知したり、赤外線センサによりユーザ操作により生じる入力手段との摩擦熱を検知したり、入力により発生する操作音を検知するなど各種センサによっても実現可能である。典型的には、端末200は、処理要求データの送信指示前に検出した情報入力操作量を資源割当システム100に送信するが、本発明は、これに限定されるものでない。例えば、情報入力操作量は、処理要求データの送信指示後の入力操作の実行中や定期的など何れか適当なタイミングで送信されてもよい。
【0022】
なお、端末200が複数のユーザにより共用される場合、端末200は、現在利用しているユーザの識別情報と共に情報入力操作量を資源割当システム100に送信してもよい。典型的には、情報入力操作量は個々のユーザの入力スキルに依存するため、資源割当システム100は、端末200に対してというよりも、当該端末200を利用する各ユーザに対してハードウェア資源を割り当てることが好ましい。すなわち、入力スキルの高いユーザAが端末200を使用している場合、資源割当システム100は、端末200に対してより多くのハードウェア資源を割当て、他方、入力スキルの高くないユーザBが同一の端末200を使用している場合、資源割当システム100は、端末200に対して相対的に少ないハードウェア資源を割り当てるようにしてもよい。
【0023】
処理サーバ301,302は、ネットワーク400を介し端末200から受信した処理要求に応答して、当該処理要求に対応する処理を実行し、処理結果を端末200に返す。典型的には、クライアント・サーバシステム10は、複数の処理サーバ301,302を有し、資源割当システム100によって端末200に割り当てられた処理サーバ301,302が、端末200からの処理要求を処理する。これらの処理サーバ301,302は、地理的に分散配置されてもよく、図示された実施例では、処理サーバ301は端末200から遠隔的に配置され、処理サーバ302は端末200の近傍に配置される。処理サーバ301,302と端末200との間の距離は通信遅延に影響を与える可能性があり、遠隔地に配置された処理サーバ301に割り当てられた端末200は、通信遅延の影響によって処理結果のレスポンス遅延を被る可能性があり、ユーザ体感の低下を招く可能性がある。なお、当該距離は、処理サーバ301,302と端末200との間の物理的な距離と共に、資源割当システム100により端末200に割り当てられたネットワーク400の通信帯域幅を考慮又は重み付けして決定されてもよい。
【0024】
ネットワーク400は、専用回線又はインターネットなどの公衆回線から構成されてもよい。例えば、ネットワーク400が物理的に設置された専用回線又は専用回線として仮想的に割り当てられた公衆回線である場合など資源割当システム100がネットワーク400の通信帯域を制御可能である場合、資源割当システム100は、処理サーバ301,302の処理能力だけでなく、端末200に当該専用回線の通信帯域幅の可変量を割り当てるようにしてもよい。
【0025】
次に、図3を参照して、本発明の一実施例による資源割当システムの構成を説明する。図3は、本発明の一実施例による資源割当システムの機能構成を示すブロック図である。
【0026】
図3に示されるように、資源割当システム100は、検出部110及び資源割当制御部120を有する。
【0027】
検出部110は、端末200の情報入力手段における情報入力操作量を検出する。一実施例では、検出部110は、端末200において入力された処理要求データが処理サーバ301,302に送信される前の端末200における情報入力操作量を検出する。情報入力操作量として、検出部110は、端末200の情報入力手段の各種形態に応じて、処理要求データの送信指示前の単位時間当たりのタイプ数、単位時間当たりのクリック数、単位時間当たりのタッチパネルへの接触回数、単位時間当たりのスキャン数などを検出する。典型的には、検出部110は、処理要求データの送信指示前に情報入力操作量を検出するが、本発明は、これに限定されるものでない。例えば、情報入力操作量は、処理要求データの送信指示後の入力操作の実行中や定期的など何れか適当なタイミングで検出されてもよい。また、検出部110はさらに、後述されるように、入力操作に係るファイルの種別や入力操作の種別など情報入力操作に関連する操作関連情報を検出してもよい。
【0028】
資源割当制御部120は、検出された情報入力操作量に基づき、端末200から提供される処理要求データを処理するため端末200に割り当てるハードウェア資源の量を制御する。ここで、ハードウェア資源の量とは、例えば、ネットワーク400の帯域使用可能量、処理サーバ301,302のCPU使用可能量、複数の端末200により共用されるメモリ使用可能量、複数の端末200により共用される記憶装置に対する入出力可能回数などが想定される。資源割当制御部120は、端末200における情報入力操作量に基づき、端末200に対して処理サーバ301,302やネットワーク400などのハードウェア資源を動的に割り当てる。具体的には、資源割当制御部120は、情報入力操作量が多い端末200には相対的に大きなハードウェア資源量を割当て、他方、情報入力操作量が少ない端末200には相対的に少ないハードウェア資源量を割り当てる。
【0029】
例えば、端末200における情報入力操作量が他の端末より相対的に多い場合、資源割当制御部120は、端末200から処理サーバ301,302に相対的に大きな処理要求量が以降に送信されると予測し、他の端末より相対的に大きなハードウェア資源量を割り当てる。他方、端末200における情報入力操作量が他の端末より相対的に少ない場合、資源割当制御部120は、端末200から処理サーバ301,302に相対的に小さな処理要求量が以降に送信されると予測し、他の端末より相対的に少ないハードウェア資源量を割り当てる。具体例として、3つの端末200、201,202について検出した情報入力操作量の比が5:3:2であった場合、資源割当制御部120は、割当て可能なハードウェア資源量の50%を端末200に、30%を端末201に、20%を端末202に割り当てるようにしてもよい。これにより、情報入力操作量が相対的に多く、以降に相対的に大きな処理要求量が送信されると予測される端末に対して、より大きなハードウェア資源を割り当てることが可能になり、システム全体のパフォーマンスを向上させることが可能になる。
【0030】
このように、端末200からネットワーク400上に送信済みの処理要求量を観測して、検出した処理要求量に応じてハードウェア資源を各端末200に割り当てる従来技術と比較して、資源割当システム100は、端末200からの処理要求データの送信前に端末200における情報入力操作量に基づき即時的にハードウェア資源を割り当てることが可能となり、クライアント・サーバシステム10のハードウェア資源を効率的に配分することを可能にする。
【0031】
また、資源割当制御部120は、端末200から処理サーバ301,302に処理要求データが送信された後も、検出部110により検出された情報入力操作量に基づきハードウェア資源の割当てを動的に制御してもよい。端末200における情報入力操作量は常に一定であるとは限らず、経時的に変動する可能性がある。このような情報入力操作量の変動に対処するため、資源割当制御部120は、定期的に又は情報入力操作量が所定の閾値以上変動した時などの所定のイベントに応答して、検出した情報入力操作量に基づきハードウェア資源の量を再割当てしてもよい。
【0032】
一実施例では、資源割当制御部120は、検出された情報入力操作量が所定の閾値未満である場合、端末200にハードウェア資源の所定の初期量を割り当てるようにしてもよい。すなわち、資源割当制御部120は、各端末200に割り当てられるハードウェア資源の所定のデフォルト量を設定し、端末200の情報入力操作量が当該デフォルト量未満である場合、端末200に追加的なハードウェア資源を割り当てず、動的な割当制御を実行しないようにしてもよい。本実施例によると、端末200の情報入力操作量が所定の閾値未満である場合、資源割当制御部120は追加のハードウェア資源の割当制御をしないで済むため、資源割当システム100における処理負荷を軽減することが可能となる。
【0033】
また、一実施例では、処理サーバ301,302などのハードウェア資源が地理的に分散配置されている場合、資源割当制御部120は、端末200に割り当てるハードウェア資源の量と共に、端末200に割り当てるハードウェア資源の地理的な配分量を制御するようにしてもよい。図1に示されるように、処理サーバ301が端末200から遠隔に配置され、処理サーバ302が端末200の近傍に配置されている場合、資源割当制御部120は、予測された処理要求予定量に基づき端末200に割り当てられる処理サーバ301と処理サーバ302とのハードウェア資源の配分量を調整してもよい。例えば、資源割当制御部120は、情報入力操作量が多い端末200には近傍の処理サーバ302を割当て、他方、情報入力操作量が少ない端末200には遠隔の処理サーバ301を割り当てるようにしてもよい。これにより、処理サーバ301,302の処理能力やネットワーク400の通信容量だけでなく、物理的な距離に起因した通信遅延を軽減することが可能となる。
【0034】
また、他の実施例では、資源割当制御部120は、各端末200及び/又は各ユーザによる過去の情報入力操作量を示す履歴情報を記憶し、当該履歴情報に基づきハードウェア資源の量を制御してもよい。例えば、端末200の起動時やユーザのログイン時など、端末200やユーザによる情報入力操作量がまだ検出できない時点では、資源割当制御部120は、保持している履歴情報に記憶されている当該端末200や当該ユーザの過去の情報入力操作量に基づき、端末200やユーザに初期的に割り当てるハードウェア資源の量を決定してもよい。その後、端末200やユーザによる情報入力操作量が検出された時点で、資源割当制御部120は、検出された実際の情報入力操作量に基づき初期的に割り当てたハードウェア資源の量を調整してもよい。これにより、ユーザがクライアント・サーバシステム10を利用した直後から当該ユーザの入力スキルに適した量のハードウェア資源を割り当てることが可能になる。なお、資源割当制御部120は、各端末200及び/又は各ユーザによる過去の情報入力操作量の代わりに又は加えて、各端末200及び/又は各ユーザに過去に割り当てたハードウェア資源の量を記憶するようにしてもよい。この場合、資源割当制御部120は、端末200やユーザに初期的に割り当てるハードウェア資源の量として、保持している履歴情報に記憶されている当該端末200や当該ユーザに過去に割り当てたハードウェア資源の量を利用してもよい。ユーザの入力スキルは短時間で大きく変動することはないと考えられるため、前回割り当てたハードウェア資源の量を再割当てすることによって、当該ユーザに適したハードウェア資源の割当てが可能になると考えられる。
【0035】
次に、図4を参照して、資源割当システムの変形例を説明する。図4は、資源割当システムの変形例を示すブロック図である。
【0036】
図4に示されるように、資源割当システム100はさらに、検出された情報入力操作量に基づき端末200からの処理要求データ量を予測する予測部130を有する。すなわち、予測部130は、検出部110において検出された情報入力操作量を受信し、受信した情報入力操作量に基づき端末200から処理サーバ301,302に以降に送信される処理要求データ量を予測する。予測された処理要求データ量は、資源割当制御部120に送信され、資源割当制御部120は、受信した処理要求データ量に基づき端末200のハードウェア資源量を制御する。本変形例によると、端末200における情報入力操作に応じた処理要求データ量を予測することが可能となり、処理サーバ301,302に送信されると予測される処理要求データ量に基づくより精度の高いハードウェア資源の割当てが可能になる。
【0037】
当該処理要求データ量は、端末200から処理サーバ301,302に以降に送信されると予測される処理要求データ量であり、例えば、以降の1時間などの所定の時間内に端末200から処理サーバ301,302に送信されると予測される処理要求のデータ量であってもよい。予測部130は、検出部110から受信した情報入力操作量の単位時間と以降の所定の時間との関係から当該所定の時間内に入力される情報入力操作量を予測することができ、予測した情報入力操作量に対応する処理要求のデータ量を算出することが可能である。例えば、ユーザがキーボード上でASCIIコード(1文字=1バイト)を入力し、1分間の単位時間当たりに100回のキー入力を行った場合、検出部110は、情報入力操作量としてキー入力回数である100を検出する。情報入力操作量が100であったという通知を受信すると、予測部130は、以降の1時間に当該ユーザが100×60(分)=6000の情報入力操作を行うと予測することができ、処理サーバ301,302に送信される処理要求データ量として6000バイトを算出することができる。また、ユーザがマウスのクリックなど、1回の情報入力操作の異なるビット量の操作を行っている場合、予測部130は、対応するビット量とクリック回数とに基づき処理要求データ量を算出することが可能である。このようにして、予測部130は、検出した情報入力操作量から以降に送信されると予測される処理要求データ量を予測することができ、資源割当制御部120は、予測された処理要求データ量に基づきハードウェア資源の割当処理を実現することが可能である。
【0038】
他の実施例では、検出部110が情報入力操作量だけでなく入力操作に係るファイルの種別も検出可能である場合、予測部130は、検出したファイルの種別に応じて処理要求データ量を予測してもよい。例えば、動画ファイルなどのデータ量の大きなファイルのアップロードやダウンロードを伴う処理が端末200において実行されている場合、情報入力操作量と処理要求データ量との間に乖離が生じる可能性がある。すなわち、ユーザがデータ量の大きなファイルを操作している場合、情報入力操作量に対して相対的に大きな処理要求データ量が送信される可能性がある。このような情報入力操作量と処理要求データ量とが一致しない入力操作が検出された場合、予測部130は、検出されたファイルに対する処理に対応した処理要求データ量を予測するようにしてもよい。このようにして、予測部130は、入力操作に係るファイルの種別に応じて、検出した情報入力操作量から以降に送信されると予測される処理要求データ量を予測することができ、資源割当制御部120は、予測された処理要求データ量に基づき、入力操作に係るファイルの種別に応じたハードウェア資源の割当処理を実現することが可能である。
【0039】
他の実施例では、検出部110が情報入力操作量だけでなく入力操作の種別も検出可能である場合、予測部130は、検出した入力操作の種別に応じて処理要求データ量を予測してもよい。例えば、ユーザがコピーアンドペースト操作などの情報入力操作量と処理要求データ量とが一致しない入力操作を利用する場合、情報入力操作量と処理要求データ量との間に乖離が生じる可能性がある。すなわち、ユーザがコピーアンドペースト操作を利用する場合、情報入力操作量に対して相対的に大きな処理要求データ量が送信されることになる。このような情報入力操作量と処理要求データ量とが一致しない入力操作が検出された場合、予測部130は、検出された入力操作に対応する処理要求データ量を予測するようにしてもよい。このようにして、予測部130は、入力操作のタイプに応じて、検出した情報入力操作量から以降に送信されると予測される処理要求データ量を予測することができ、資源割当制御部120は、予測された処理要求データ量に基づき、入力操作の種別に応じたハードウェア資源の割当処理を実現することが可能である。
【0040】
次に、図5を参照して、本発明の一実施例による資源割当処理を説明する。図5は、本発明の一実施例による資源割当処理を示すフロー図である。
【0041】
図5に示されるように、当該処理は、例えば、端末200がクライアント・サーバシステム10にアクセスしたことに応答して開始される。
【0042】
ステップS101において、資源割当システム100は、端末200における情報入力操作量を検出する。具体的には、資源割当システム100は、処理要求データの送信指示前の端末200における単位時間当たりのタイプ数、単位時間当たりのクリック数、単位時間当たりのタッチパネルへの接触回数、単位時間当たりのスキャン数などを検出する。
【0043】
ステップS102において、資源割当システム100は、検出した情報入力操作量に基づき、端末200において以降に発信される処理要求データ量を予測する。すなわち、資源割当システム100は、所定の期間内に端末200から発信される処理要求データ量を予測する。例えば、情報入力操作量として端末200における1分間当たりのタイプ数が100回であったことが検出されると、資源割当システム100は、以降の1時間に端末200から6000回のタイプに応じたデータ量が送信されると予測することができる。
【0044】
ステップS103において、資源割当システム100は、予測した処理要求データ量が閾値未満であるか判断する。当該閾値は、典型的には、ユーザの入力スキルが特に熟達し、各端末200に割り当てられるハードウェア資源のデフォルト量では当該ユーザが快適にサービスを利用することができないと想定されるレベルに設定される。
【0045】
予測した処理要求データ量が閾値以上である場合(S103:No)、ステップS104において、資源割当システム100は、当該処理要求データ量に基づきハードウェア資源の割当量を決定する。この場合、各端末200にデフォルトに割り当てられているハードウェア資源の量では、端末200のユーザは快適にサービスを利用することができないと想定される。このため、資源割当システム100は、端末200に追加的なハードウェア資源を割り当てる。あるいは、複数の処理サーバ301,302が地理的に分散配置されている場合、資源割当システム100は、端末200に近傍の処理サーバ302のハードウェア資源を割り当てるようにしてもよい。
【0046】
他方、予測した処理要求データ量が閾値未満である場合(S103:Yes)、ステップS105において、資源割当システム100は、各端末200にデフォルトで設定されているハードウェア資源の初期量を端末200に割り当てる。
【0047】
資源割当システム100は、端末200によるサービス利用中に定期的に情報入力操作量を検出し、上述した処理を繰り返してもよい。これにより、端末200によるサービス利用中にも即時的に適切なハードウェア資源の量を制御することが可能になる。
【0048】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 クライアント・サーバシステム
100 資源割当システム
110 検出部
120 資源割当制御部
130 予測部
200 端末
301,302 処理サーバ
400 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5