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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-87908(P2015-87908A)
(43)【公開日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】電子機器用スタンド
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20150410BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20150410BHJP
【FI】
   G06F1/00 312T
   G06F1/00 312E
   G06F1/00 312Q
   H05K5/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-225207(P2013-225207)
(22)【出願日】2013年10月30日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100132595
【弁理士】
【氏名又は名称】袴田 眞志
(72)【発明者】
【氏名】嶋 久志
(72)【発明者】
【氏名】根口 昌明
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB12
4E360AB42
4E360AC13
4E360AC23
4E360BC03
4E360BC05
4E360EA11
4E360EC14
4E360EC15
4E360ED03
4E360ED12
4E360ED23
4E360GA02
4E360GA46
4E360GB46
(57)【要約】
【課題】電子機器の起立姿勢での安定性を向上させることができる電子機器用スタンドを提供する。
【解決手段】電子機器用スタンド10は、支持板部22を内側に設けた蓋部20と、蓋部20に対して折り曲げ可能に設けられた連接部18と、連接部18に対して折り曲げ可能に設けられた基台部16とを備え、支持板部22の連接部18側となる部分を蓋部20から離間させ、該支持板部22の下縁部を基台部16の上面に係止させることにより、タブレット型PC12を起立姿勢に保持可能に構成されており、支持板部22の下縁部には、基台部16の上面で係止される係止部材32が支持板部22の下縁部に対して回動可能に取り付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の背面を支持する支持板部と、該支持板部を内側に設けた蓋部と、該蓋部に対して折り曲げ可能に設けられた連接部と、該連接部に対して折り曲げ可能に設けられた基台部とを備え、前記支持板部の前記連接部側となる部分を前記蓋部から離間させ、該支持板部の下縁部を前記基台部の上面に係止させることにより、前記電子機器を起立姿勢に保持可能な電子機器用スタンドであって、
前記支持板部の下縁部には、前記基台部の上面で係止される係止部材が設けられ、該係止部材は前記支持板部の下縁部に対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする電子機器用スタンド。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器用スタンドにおいて、
前記基台部の上面には、前記係止部材の係止位置が複数設けられ、前記係止部材の係止位置を変更することにより、前記支持板部の起立角度を変更可能であることを特徴とする電子機器用スタンド。
【請求項3】
請求項2記載の電子機器用スタンドにおいて、
前記係止部材及び前記基台部の各係止位置のうち、一方には磁石が設けられ、他方には前記磁石と吸着可能な磁石又は被吸着体が設けられていることを特徴とする電子機器用スタンド。
【請求項4】
請求項2又は3記載の電子機器用スタンドにおいて、
前記基台部の各係止位置にはそれぞれ溝が設けられ、
前記係止部材の前記基台部の上面への係止面には前記溝に嵌合する突部が設けられていることを特徴とする電子機器用スタンド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器用スタンドにおいて、
前記基台部の上面には、前記電子機器と通信可能なキーボード装置が設けられていることを特徴とする電子機器用スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を起立姿勢に保持することができる電子機器用スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、物理的なキーボードを持たないタブレット型パーソナルコンピュータ(タブレット型PC)が急速に普及している。タブレット型PCは、通常、手で把持した状態で操作する場合と、机の上等に置いた状態で操作する場合とがあり、特に机の上等に置いた状態で操作する場合には、スタンドを利用して立てた状態で使用されることもある。
【0003】
このようなスタンドに関し、特許文献1には、タブレット型PC等の電子機器を立たせることができる電子機器用スタンドであって、折り畳んだ状態では電子機器をカバー内部に収納して持ち運ぶことができる電子機器用ケースとしても兼用可能なものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−025420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の構成では、電子機器を収容した支持板部の下縁部の角をキーボードが設けられた基台部の上面に形成された溝に引っ掛け、さらに互いを磁石によって吸着させることにより、電子機器を背面から支持する側面視三角形となる支持構造を構築し、これにより電子機器を安定した起立姿勢に保持することができる。
【0006】
このように特許文献1記載の構成の場合、電子機器を支持した支持板部の下縁部の角部を溝に引っ掛ける構造としている。このため、角部の溝への引っ掛かり具合によっては、角部が溝内で安定せず、磁石による吸着力が適正に発揮されない可能性が指摘されている。特に、この構成では、基台部の前後方向に渡って溝を複数設け、複数位置で支持板部を係止することで電子機器の傾斜角度を変更可能としているため、角部の溝への挿入角度が各係止位置によって異なり、磁石による吸着力に差異を生じる可能性も指摘されている。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、電子機器の起立姿勢での安定性を向上させることができる電子機器用スタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器用スタンドは、電子機器の背面を支持する支持板部と、該支持板部を内側に設けた蓋部と、該蓋部に対して折り曲げ可能に設けられた連接部と、該連接部に対して折り曲げ可能に設けられた基台部とを備え、前記支持板部の前記連接部側となる部分を前記蓋部から離間させ、該支持板部の下縁部を前記基台部の上面に係止させることにより、前記電子機器を起立姿勢に保持可能な電子機器用スタンドであって、前記支持板部の下縁部には、前記基台部の上面で係止される係止部材が設けられ、該係止部材は前記支持板部の下縁部に対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、タブレット型PC等の電子機器を背面から支持し、その下縁部が基台部の上面に係止される支持板部の下縁部に回動可能な係止部材を設けたことにより、支持板部の傾斜角度に関わらず、係止部材を常に適正な一定の姿勢で基台部の上面に係止させることができるため、電子機器の起立姿勢での安定性を向上させることができる。
【0010】
前記基台部の上面には、前記係止部材の係止位置が複数設けられ、前記係止部材の係止位置を変更することにより、前記支持板部の起立角度を変更可能であってもよい。このように複数の係止位置を用い、複数の傾斜角度で支持板部を起立可能な構成とした場合であっても、支持板部の下縁部に回動可能な係止部材を設けているため、いずれの係止位置であっても常に一定の姿勢で係止部材を基台部の上面に係止させることができ、電子機器を常に安定保持することができる。
【0011】
前記係止部材及び前記基台部の各係止位置のうち、一方には磁石が設けられ、他方には前記磁石と吸着可能な磁石又は被吸着体が設けられていると、磁石の吸着力により係止部材をより安定した状態で基台部の上面上で係止しておくことができ、電子機器の起立姿勢での安定性を一層向上させることができる。しかも、係止部材が回動し、該係止部材が基台部の上面に適正な姿勢で着地するため、全ての係止位置で磁石による吸着力を設計通り適正に発揮させることができる。
【0012】
前記基台部の各係止位置には溝が設けられ、前記係止部材の前記基台部の上面への係止面には前記溝に嵌合する突部が設けられてもよい。そうすると、係止部材の突部を各係止位置に形成された溝に嵌合させるだけで、容易に支持板部の各係止位置への位置決めを行うことができる。
【0013】
前記基台部の上面には、前記電子機器と通信可能なキーボード装置が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、支持板部の下縁部に回動可能な係止部材を設けたことにより、支持板部の傾斜角度に関わらず、係止部材を常に適正な一定の姿勢で基台部の上面に係止させることができ、電子機器の起立姿勢での安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器用スタンドを用いてタブレット型PCを所定の傾斜角度で起立姿勢とした状態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す電子機器用スタンドからタブレット型PCを外した状態を示す斜視図である。
図3図3は、電子機器用スタンドを折り畳み、タブレット型PCを収納した状態を示す側面図である。
図4図4は、支持板部の下縁部を下面側から見た斜視図であり、図4(A)は、支持板部の下縁部に回動可能に取り付けられた係止部材を示す図であり、図4(B)は、図4(A)に示す係止部材を回動させた状態を示す図である。
図5図5は、後側の係止位置に支持板部を係止した状態を示す側面図である。
図6図6は、中間の係止位置に支持板部を係止した状態を示す側面図である。
図7図7は、前側の係止位置に支持板部を係止した状態を示す側面図である。
図8図8は、各係止位置での磁石の設置数を変化させた構成例を示す基台板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る電子機器用スタンドについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器用スタンド10を用いてタブレット型PC12を所定の傾斜角度で起立姿勢とした状態を示す斜視図であり、図2は、図1に示す電子機器用スタンド10からタブレット型PC12を外した状態を示す斜視図である。また、図3は、電子機器用スタンド10を折り畳み、タブレット型PC12を収納した状態を示す側面図である。
【0018】
本実施形態に係る電子機器用スタンド10は、タブレット型PC12等の電子機器を机の上等の設置面上で複数の傾斜角度で立てることができるスタンドとしての機能と、タブレット型PC12を収納して持ち運ぶためのカバーケース(電子機器用ケース)としての機能とを備える。電子機器用スタンド10の使用対象としては、タブレット型PC12以外の電子機器、例えば、携帯電話、スマートフォン、又は電子手帳等も挙げられる。
【0019】
本実施形態の場合のタブレット型PC12は、タッチパネル式の液晶表示部からなるディスプレイ12aを備える。タブレット型PC12は、その内部に基板、演算装置及びメモリ等の各種電子部品(図示せず)を収納したものであり、一般に公知のものを使用可能である。
【0020】
図1図3に示すように、電子機器用スタンド10は、基台部16と、基台部16に対して折り畳み可能に設けられた連接部18と、連接部18に対して折り畳み可能に設けられ、その内側にタブレット型PC12を収容する蓋部20と、蓋部20の内側に設けられ、タブレット型PC12の背面を固定・支持する支持板部22とを備える。
【0021】
基台部16は、その外面を形成するカバー部材24の内面側に薄板状の基台板26を固着した2重構造である。基台部16は、タブレット型PC12のディスプレイ12aが設けられた面(前面)を覆うことができる薄板状のカバーであり、収納するタブレット型PC12と平面視で略同一の外形を有した矩形形状となっている。基台部16は、電子機器用スタンド10を用いてタブレット型PC12を使用する場合に、机の上や使用者の膝の上等に載置される底板となる。カバー部材24が基台部16から連接部18を経て蓋部20まで一体的に延在することで、当該電子機器用スタンド10の外面が形成されている。
【0022】
基台部16の上面前方側、具体的には基台板26の上面であって連接部18側とは反対側となる位置には、キーボード装置28が設けられている。キーボード装置28は、無線又は有線によりタブレット型PC12と接続され、タブレット型PC12を操作するためのキーボードとして利用可能である。
【0023】
基台部16の上面後方側、具体的には基台板26の上面であってキーボード装置28の連接部18側となる位置には、蓋部20に収容されたタブレット型PC12を立たせる際に使用する溝30が左右方向(横方向)に延在形成されている。溝30は、基台板26の前後方向に複数本(本実施形態では3本)が平行に並んで設けられている(図3参照)。任意の溝30を選択し、選択した溝30に支持板部22の下縁部に取り付けられた係止部材32を係止させることにより、タブレット型PC12を任意の傾斜角度で起立保持することができる(図5図7参照)。各溝30は、基台部16と連接部18との間の境界となる折り畳み線A1、及び連接部18と蓋部20との間の境界となる折り畳み線A2と平行に設けられ、いずれの溝30を選択しても支持板部22及びタブレット型PC12が傾いたり、軋んだりすることはない。
【0024】
各溝30の前側には、前記係止部材32と吸着することで係止部材32を基台板26の上面でより安定して保持するための磁石34がそれぞれ埋設されている。磁石34は、溝30の延在方向に沿って複数設けられている。磁石34は、全ての溝30に対応する位置で同数とし、同一の吸着強度を発揮するように構成してもよいが、後述する図8に示すように、各溝30に対応する位置によって設置数を異ならせてもよい。
【0025】
連接部18は、蓋部20に収容したタブレット型PC12を内側にして蓋部20と基台部16とを二つ折りに折り畳んだ場合に、本の背表紙のようにタブレット型PC12の端面を覆う部分であり、タブレット型PC12の厚み以上の幅を有する。連接部18には、基台部16との間の折り畳み線A1と、蓋部20との間の折り畳み線A2とが左右横方向に延在するように形成されている。
【0026】
蓋部20は、タブレット型PC12のディスプレイ12aが設けられた面の背面を覆うことができる薄板状のカバーであり、基台部16と略同一の矩形形状を有する。タブレット型PC12を内側にし、蓋部20と基台部16とを連接部18を介して二つ折りに折り畳むと、蓋部20は、タブレット型PC12を挟んで基台部16と重なるように配置される。蓋部20の連接部18寄りの部分には、該蓋部20を二つに折り曲げるための中折り線Bが形成されている(図1及び図2参照)。
【0027】
支持板部22は、タブレット型PC12の背面を支持するための板状の支持部材であり、その前後方向(高さ方向)長さが蓋部20と略同一であり、その幅方向長さが蓋部20よりも短い矩形形状を有する。図1及び図2から明らかなように、支持板部22は、蓋部20の内面における中折り線Bよりも開放端側(連接部18側とは反対の上側)で該蓋部20と固着され、中折り線Bよりも連接部18側となる位置は蓋部20に対してフリーな状態となっている。これにより、蓋部20を中折り線Bによって折り曲げることができ、その際、支持板部22の下縁部側を蓋部20から離間させることができる。
【0028】
図2に示す起立状態で上端となる支持板部22の前端には、内側に向かって突出した爪状のフック35が設けられ、該起立状態で下端となる支持板部22の後端には、内側に向かって突出したホルダ36が設けられている。
【0029】
図1図3に示すように、フック35は、タブレット型PC12の上端面と略同一の奥行きを持ち、該上端面を係合可能な弾性爪部である。ホルダ36は、タブレット型PC12の下端面と略同一の奥行きを持ち、該下端面が載置される載置台である。ホルダ36には、タブレット型PC12の下端面に形成された図示しない凹部と係合可能な横長の凸条38aと、該凸条38aから上方へと突出した一対の凸片38b,38bが設けられている。タブレット型PC12の前記凹部を凸条38a及び凸片38bに係合させた後、タブレット型PC12の上端面をフック35に押し込んで係合させることにより、支持板部22にタブレット型PC12を固定・支持させることができる(図1及び図3参照)。
【0030】
図4は、支持板部22の下縁部を下面側から見た斜視図であり、図4(A)は、支持板部22の下縁部に回動可能に取り付けられた係止部材32を示す図であり、図4(B)は、図4(A)に示す係止部材32を回動させた状態を示す図である。
【0031】
図1図4に示すように、支持板部22の下縁部には、基台部16の上面に着地して係止される係止部材32が回動可能に取り付けられている。係止部材(着地部材)32は、ホルダ36の湾曲した下面36a内に、その曲面部分の上半部が挿入された半円柱形状の部材であり、下面36aから突出したアーム片40に対して摺動可能に連結されており(図5図7参照)、これにより下面36a内で該下面36aの湾曲方向に沿って回動することができる。つまり、係止部材32は、支持板部22の傾斜方向を変化させる方向に回動可能となっている(図5図7参照)。アーム片40は、係止部材32内に挿入される先端側に抜け止め用の大径部(図示せず)が形成された棒状部材であり、係止部材32の延在方向に沿って複数本設けられている。係止部材32の回動範囲は、少なくとも図5図7に示すように、当該電子機器用スタンド10に設定される全ての係止位置に対応可能な範囲に設定される。
【0032】
係止部材32の下面は、基台部16の上面に面接触によって着地する平坦な係止面(着地面)32aとなっており、該係止面32aには、基台部16の溝30と嵌合可能な横長の突部42と、基台部16の磁石34と吸着可能な磁石44とが設けられている。磁石44は、突部42の延在方向に沿って複数埋設されている。
【0033】
このように構成される電子機器用スタンド10の材質として、例えば、基台部16のカバー部材24、連接部18及び蓋部20には、ガラスエポキシ樹脂やポリカーボネイト、カーボン等からなる薄い平板を芯材とし、その周囲を皮革や人工皮革、布等で囲繞したものを用いるとよい。また、基台部16の基台板26及び支持板部22には、剛性の高い樹脂材料等を用いるとよい。
【0034】
次に、以上のように構成される電子機器用スタンド10を図3に示す収納姿勢から図5図7に示す起立姿勢へと変形させる方法を説明する。図5は、後側の係止位置(溝30)に支持板部22を係止した状態を示す側面図であり、図6は、中間の係止位置(溝30)に支持板部22を係止した状態を示す側面図であり、図7は、前側の係止位置(溝30)に支持板部22を係止した状態を示す側面図である。
【0035】
先ず、電子機器用スタンド10は、図3に示す収納姿勢では、支持板部22の内面にフック35及びホルダ36を介してタブレット型PC12が固定された状態で蓋部20及び基台部16が折り畳み線A1,A2を介して二つ折りに折り畳まれている。これにより、タブレット型PC12は、その一端面が連接部18によって覆われ、背面が蓋部20によって覆われ、前面が基台部16によって覆われているため、使用者は、電子機器用スタンド10により、ブックカバーのようにタブレット型PC12を保護した状態で持ち運ぶことができる。
【0036】
次に、図3に示す収納姿勢にある電子機器用スタンド10及びタブレット型PC12を起立姿勢に変化させる場合には、図5図7に示すように基台部16を机の上等に載置し、連接部18の折り畳み線A1,A2を介して蓋部20をタブレット型PC12と共に上方へと開く。この際、蓋部20を開きながら中折り線Bを介して蓋部20の開放端側(上端側)となる部分を後方に折り返し、支持板部22の下縁部に設けた係止部材32を基台部16(基台板26)の上面に設けた係止位置(溝30及び磁石34)のうち、所望の係止位置に係止させる。
【0037】
本実施形態では、基台部16の上面に3つの係止位置(溝30及び磁石34)が設定されている。そこで、使用者は、タブレット型PC12の起立姿勢時の傾斜角度が所望の角度位置となる係止位置を選択し、選択した係止位置に対応する溝30に係止部材32の突部42を嵌合させ、同時に磁石34に磁石44を吸着させる。例えば、タブレット型PC12の傾斜角度を起こして鉛直方向に近づけたい場合には、後側の係止位置となる溝30及び磁石34に係止部材32を係止させ(図5参照)、タブレット型PC12の傾斜角度を寝かせて水平方向に近づけたい場合には、前側の係止位置となる溝30及び磁石34に係止部材32を係止させ(図7参照)、タブレット型PC12の傾斜角度を図5図7との中間位置としたい場合には、中間の係止位置となる溝30及び磁石34に係止部材32を係止させる(図6参照)。
【0038】
これにより、図5図7に示すように、支持板部22と蓋部20と基台部16とによって側面視三角形となる支持構造でタブレット型PC12が背面から支持されるため、基台部16に対する支持板部22の傾斜姿勢が維持され、タブレット型PC12が起立姿勢で維持される。この際、係止部材32が支持板部22の下縁部に回動可能(首振り可能)に取り付けられているため、図5図7に示すいずれの係止位置においても、係止部材32はその係止面32aが基台部16の上面に対して面接触し、互いに密着する。つまり、いずれの係止位置においても係止部材32が基台部16の上面に対して常に垂直方向に向いて着地するため、溝30と突部42の嵌合状態及び磁石34と磁石44の吸着状態が常に最適な状態となり、その接続強度を確実に担保できる。
【0039】
ところで、当該電子機器用スタンド10では、図5図7に示すように、各係止位置に係止部材32を係止させ、タブレット型PC12を各傾斜角度に設定した場合、タブレット型PC12の重心Gから、該タブレット型PC12を背後から支持する三角形の一頂点(折り畳み線A2)までの距離が各傾斜角度によって異なる。すなわち、図5に示す最も起立した傾斜角度で重心Gが最も後方となり、図7に示す最も横臥した傾斜角度で重心Gが最も前方となる。従って、図5に示す最も起立した傾斜角度とした場合、重心Gが後方に移動しているためタブレット型PC12が不安定な状態となり易い。そこで、図8に示すように、各係止位置での磁石34の設置数を変化させ、例えば、前側から後側に向かって磁石34の設置数を多くし、後方の係止位置での磁石34,44の吸着強度を高め、上記のようにタブレット型PC12が不安定な状態となることを回避する構成としてもよい。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る電子機器用スタンド10は、電子機器であるタブレット型PC12の背面を支持する支持板部22と、支持板部22を内側に設けた蓋部20と、蓋部20に対して折り曲げ可能に設けられた連接部18と、連接部18に対して折り曲げ可能に設けられた基台部16とを備え、支持板部22の連接部18側となる部分を蓋部20から離間させ、該支持板部22の下縁部を基台部16の上面に係止させることにより、タブレット型PC12を起立姿勢に保持可能であり、支持板部22の下縁部には、基台部16の上面で係止される係止部材32が設けられ、該係止部材32は支持板部22の下縁部に対して回動可能に取り付けられている。
【0041】
このように、電子機器用スタンド10では、タブレット型PC12を所定の傾斜角度で背面から支持し、その下縁部が基台部16の上面に係止される支持板部22の下縁部に回動可能な係止部材32を設けている。これにより、支持板部22の傾斜角度に関わらず、係止部材32を常に適正な一定の姿勢で基台部16の上面に係止させることができるため、タブレット型PC12の起立姿勢での安定性を向上させることができる。
【0042】
当該電子機器用スタンド10では、基台部16の上面には、係止部材32の係止位置(本実施形態では溝30及び磁石34)が複数設けられ、係止部材32の係止位置を変更することにより、支持板部22の起立角度を変更可能となっている。このように複数の係止位置を用い、複数の傾斜角度で支持板部22を起立可能な構成とした場合においても、本実施形態では、支持板部22の下縁部に回動可能な係止部材32を設けているため、いずれの係止位置であっても常に一定の姿勢で係止部材32を基台部16の上面に係止させることができ、タブレット型PC12を常に安定保持することができる。
【0043】
当該電子機器用スタンド10では、基台部16の上面の各係止位置及び係止部材32にそれぞれ磁石34及び磁石44が設けられているため、これら磁石34,44間の吸着力により係止部材32をより安定した状態で基台部16の上面上で係止しておくことができ、タブレット型PC12の起立姿勢での安定性を一層向上させることができる。すなわち、係止部材32が回動し、常に係止面32aが基台部16の上面に適正な姿勢で着地するため、全ての係止位置で磁石34,44間の吸着力を設計通り適正に発揮させることができる。なお、本実施形態では、基台部16及び係止部材32の両者に磁石34,44を設けた構成を例示したが、基台部16及び係止部材32のいずれか一方のみに磁石を設け、他方には該磁石と吸着する鉄板等の被吸着体を設けてもよい。
【0044】
この場合、全ての係止位置での磁石34と磁石44との間の吸着強度をそれぞれ同一にしておくことにより、各係止位置に係止部材32を係止させる際の操作力が一定となり、且つ各係止位置に係止させた係止部材32を離脱させる際の操作力も一定となり、当該電子機器用スタンド10の操作感と使い勝手が向上する。これに対して、図8に示すように、各係止位置での磁石34の設置数を変化させて吸着強度を変化させた構成とし、例えば、図5に示すように重心Gが最も後方にあってタブレット型PC12が不安定な起立状態となり易い係止位置での磁石34の設置数を多くして吸着強度を高めてもよい。この構成は、特に、収容対象となるタブレット型PC12の重量が大きく、重心Gが後方に移動した場合により不安定になることが想定される仕様等の場合に有効である。
【0045】
当該電子機器用スタンド10では、基台部16の上面の各係止位置には溝30が設けられ、係止部材32の基台部16の上面への係止面32aには溝30に嵌合する突部42が設けられているため、係止部材32の突部42を各係止位置に形成された溝30に嵌合させるだけで、容易に支持板部22の各係止位置への位置決めを行うことができる。しかも、各溝30に磁石34が対応するように配置されているため、磁石34,44間の吸着作業も容易である。
【0046】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、係止部材32を基台部16の上面で係止させる構造として、溝30と突部42とを嵌合させ、磁石34と磁石44とを吸着させる構造を例示したが、これ以外の構造であっても係止部材32を基台部16の上面で確実に係止させることができればよい。例えば、溝30と突部42とを強固に嵌脱可能であれば磁石34,44を省略してよく、反対に溝30及び突部42を省略して磁石34,44のみを用いる構成としてもよい。なお、溝30及び突部42を省略した場合には、係止部材32の複数の係止位置を示すマーク等を基台部16の上面に記しておくとよい。
【0048】
また、支持板部22への電子機器の支持構造は、上記のようにフック35及びホルダ36を用いた構造以外であっても勿論よく、例えば、磁石によって支持板部22の表面に電子機器を吸着する構造等であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 電子機器用スタンド
12 タブレット型PC
12a ディスプレイ
16 基台部
18 連接部
20 蓋部
22 支持板部
24 カバー部材
26 基台板
28 キーボード装置
30 溝
32 係止部材
32a 係止面
34,44 磁石
35 フック
36 ホルダ
36a 下面
38a 凸条
38b 凸片
40 アーム片
42 突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8