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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-8814(P2015-8814A)
(43)【公開日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】異常監視システム及び遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20141216BHJP
【FI】
   A63F7/02 334
   A63F7/02 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-135214(P2013-135214)
(22)【出願日】2013年6月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】栢森 啓
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC31
(57)【要約】
【課題】例えば遊技機の扉の開放等の異常を迅速に特定できる異常監視システム及び遊技機を提供すること。
【解決手段】異常監視システム1は、遊技機にて予め定められた異常が発生したことを検知する異常検知手段と、遊技機に電力が供給されている状況において異常検知手段が異常を検知した場合、有線にて異常信号を出力する有線異常信号出力手段と、遊技機に電力が供給されていない状況において異常検知手段が異常を検知した場合、無線にて異常信号を出力する無線異常信号出力手段と、異常信号を受信した場合に異常が発生したことを報知する異常報知手段と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機にて予め定められた異常が発生したことを検知する異常検知手段と、
遊技機に電力が供給されている状況において前記異常検知手段が異常を検知した場合、異常が発生したことを示す異常信号を有線にて出力する有線異常信号出力手段と、
遊技機に電力が供給されていない状況において前記異常検知手段が異常を検知した場合、無線にて前記異常信号を出力する無線異常信号出力手段と、
前記異常信号を受信した場合に異常が発生したことを報知する異常報知手段と、を備えたことを特徴とする異常監視システム。
【請求項2】
前記有線異常信号出力手段は、遊技機に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の異常監視システム。
【請求項3】
前記異常報知手段には、遊技機が設置された遊技場の管理装置と、前記遊技場の管理装置とは異なる遊技場外の管理装置と、が含まれるものであり、
前記有線異常信号出力手段は、前記遊技場の管理装置に対して前記異常信号を出力する一方、前記無線異常信号出力手段は、前記遊技場外の管理装置にて異常の発生を特定可能に、前記異常信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の異常監視システム。
【請求項4】
予め定められた異常が発生したことを検知する異常検知手段と、
遊技機と別体で設けられた外部電源から電力が供給されている状況において前記異常検知手段が異常を検知した場合、異常が発生したことを示す異常信号を有線にて出力する有線異常信号出力手段と、
前記外部電源から電力が供給されていない状況において前記異常検知手段が異常を検知した場合、無線にて前記異常信号を出力する無線異常信号出力手段と、
前記外部電源から電力が供給されていない状況において、前記異常検知手段及び前記無線異常信号出力手段に電力を供給する内部電力供給手段と、を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項5】
前記有線異常信号出力手段は、遊技機が設置された遊技場の管理装置に対して前記異常信号を出力する一方、前記無線異常信号出力手段は、前記遊技場の管理装置とは異なる遊技場外の管理装置にて異常の発生を特定可能に、前記異常信号を出力することを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場に設置された遊技機の異常監視に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機の多くには、扉の開閉を検知する扉開閉センサが設けられている。このような扉開閉センサを備える遊技機は、扉の開放が検知されたとき、内蔵するスピーカーから警告音を出力したり、扉の開放を検知したことを表す検知信号を管理装置に向けて出力することで、不正行為の発生を防止しようとしている。
【0003】
さらに、下記の特許文献1には、遊技機に電力が供給されていない状況でバックアップ電源を使用することにより、深夜などの営業時間外において扉の開閉を監視する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−57186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遊技機に対する電力供給が停止している状況下での扉の開放等の異常検知がバックアップ電源の設置によって可能になったとしても、遊技機全体に電力が供給されていない状況では、警告音の出力や、管理装置への異常信号の出力等が困難である。従来の技術では、遊技機への電力供給が再開されたタイミング、すなわち遊技機の電源がオンに切り換えられたタイミングで、扉の開放等の異常の発生を報知したり異常信号を出力できるのみであり、遊技場の管理者等が異常の発生を特定できるようになるタイミングが遅過ぎるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、例えば遊技機の扉の開放等の異常を迅速に特定できる異常監視システム及び遊技機を提供するための発明である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、遊技機にて予め定められた異常が発生したことを検知する異常検知手段と、
遊技機に電力が供給されている状況において前記異常検知手段が異常を検知した場合、異常が発生したことを示す異常信号を有線にて出力する有線異常信号出力手段と、
遊技機に電力が供給されていない状況において前記異常検知手段が異常を検知した場合、無線にて前記異常信号を出力する無線異常信号出力手段と、
前記異常信号を受信した場合に異常が発生したことを報知する異常報知手段と、を備えたことを特徴とする異常監視システムにある(請求項1)。
【0008】
本発明の第2の態様は、予め定められた異常が発生したことを検知する異常検知手段と、
遊技機と別体で設けられた外部電源から電力が供給されている状況において前記異常検知手段が異常を検知した場合、異常が発生したことを示す異常信号を有線にて出力する有線異常信号出力手段と、
前記外部電源から電力が供給されていない状況において前記異常検知手段が異常を検知した場合、無線にて前記異常信号を出力する無線異常信号出力手段と、
前記外部電源から電力が供給されていない状況において、前記異常検知手段及び前記無線異常信号出力手段に電力を供給する内部電力供給手段と、を備えたことを特徴とする遊技機にある(請求項4)。
【0009】
一般的に、遊技機に電力が供給されていない状況では、有線による異常信号の出力が困難になる可能性が高い。遊技機自体で異常信号の出力ができなかったり、通信経路を構成する他の機器の電源が投入されておらず稼動していない可能性があるためである。このような場合、異常を報知する異常報知手段に対して有線で異常信号を出力することが難しくなる。
【0010】
これに対して、本発明に係る異常監視システム及び遊技機は、遊技機に電力が供給されている状況では有線で異常信号を出力する一方、電力が供給されていない状況では無線で異常信号を出力する。このような構成を採用すれば、電力が供給されていない状況で異常が検知できなくなったり、電力供給が再開されるまで異常の特定が遅れてしまうおそれがない。異常が発生したとき、遊技機に電力が供給されている状況であるか否かに関わらず異常信号の出力が可能であり、異常が発生した旨を直ちに特定できる。
【0011】
以上のように、本発明に係る異常監視システム及び遊技機によれば、例えば扉の開放等の異常を迅速に特定可能である。
【0012】
本発明の遊技機としては、遊技媒体としての玉を使用(発射)して遊技されるパチンコ遊技機や、所定の入賞図柄が停止表示されたときに入賞を発生させるスロットマシン等がある。パチンコ遊技機としては、入賞に応じて玉を払い出すタイプであっても良く、ポイントを使用して玉を発射し入賞に応じてポイントが付与される、いわゆる封入式のパチンコ遊技機であっても良い。スロットマシンとしては、メダルやコイン等の遊技媒体を使用して遊技されるタイプであっても良いが、遊技媒体を使用せずポイントを使用して(賭けて)遊技でき、入賞したときにポイントが付与される、いわゆる完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。さらに、玉を遊技媒体として使用するパロット(R)であっても良い。
【0013】
一般的に、遊技場の営業時間内など遊技機に電力が供給されている状況では、遊技場内のほとんどの電子機器が稼動している可能性が高い。遊技場の営業中に無線で異常信号を出力した場合、各種の電子機器が発生するノイズ等の影響を受け易く異常信号の受信が不安定に陥りやすく、受信に時間がかかったり受信ができなくなるおそれがある。無線通信においては、このような不安定な状況が生じるおそれがある。そのため、異常信号を専ら無線出力することは好ましくない。一方、遊技場の閉店後においては、稼動している電子機器が少なくなるため無線で異常信号を出力しても問題が生じるおそれが少なくなる。このように、本発明では、遊技場が営業中か否かによって異常信号の出力方法を変更することで、遊技機で発生した異常を良好に特定できる。
なお、監視対象の異常としては、例えば、遊技機の開閉扉の開放や、強い衝撃が作用して振動や大きな音が発生したこと等、不正行為に付随して生じる可能性がある様々な状況がある。
【0014】
前記第1の態様の異常監視システムにおいては、前記有線異常信号出力手段は、遊技機に設けられていることが好ましい(請求項2)。
遊技機に電力が供給されている状況であれば、遊技機が備える信号出力機能を利用して異常信号を出力できる。遊技機の信号出力機能を利用できれば、有線異常信号出力手段を別途設ける必要がなくなるので、異常監視システムのコストアップ等を回避できる。
【0015】
前記第1の態様の異常監視システムにおいては、前記異常報知手段には、遊技機が設置された遊技場の管理装置と、前記遊技場の管理装置とは異なる遊技場外の管理装置と、が含まれるものであり、
前記有線異常信号出力手段は、前記遊技場の管理装置に対して前記異常信号を出力する一方、前記無線異常信号出力手段は、前記遊技場外の管理装置にて異常の発生を特定可能に、前記異常信号を出力する(請求項3)。
【0016】
前記第2の態様の遊技機における有線異常信号出力手段は、遊技機が設置された遊技場の管理装置に対して前記異常信号を出力する一方、前記無線異常信号出力手段は、前記遊技場の管理装置とは異なる遊技場外の管理装置にて異常の発生を特定可能に、前記異常信号を出力することが好ましい(請求項5)。
【0017】
遊技場が営業中であれば、管理者や従業員等が遊技場内で各種の作業を行なっている可能性が高い。そのため、異常信号を遊技場内の管理装置に出力すれば、管理者等が異常の発生を早期に特定し把握できる。一方、深夜など遊技場が営業していない場合には、遊技場内に管理者等が不在である可能性がある。それ故、遊技場内の管理装置に信号を出力しても異常の特定が遅れてしまい、異常を発生させた不正行為者を取り逃がしてしまったり、不正行為による被害が拡大してしまうおそれがある。
【0018】
そこで、上記のように遊技場外の管理装置にて異常の発生を特定可能に異常信号を出力するように前記無線異常信号出力手段を構成すれば、遊技場の営業中ではない場合でも異常が発生したことを遊技場外にて速やかに特定できるようになる。異常の早期発見を実現できると共に、これにより、遊技場に忍び込んだ不正行為者を捕獲できる可能性が高くなる。
【0019】
なお、遊技場外の管理装置に対して異常信号を出力する場合、遊技機に電力が供給されている状況においてのみ遊技機のメンテナンス作業を行うようにすることも良い。遊技機に電力が供給されていない状況で遊技機側から異常信号が出力されたとき、遊技場側のメンテナンス作業に起因する異常信号か否かを判定すると共に、メンテナンス作業に起因する異常信号ではないと判定した場合に限って遊技場外の管理装置に異常信号を出力するように構成された中継装置を設けることも良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1における、異常監視システムの構成を示すシステム図。
図2】実施例1における、遊技機と貸出機との組合せを示す正面図。
図3】実施例1における、扉開閉監視装置の電気的構成を示すシステム図。
図4】実施例1における、無線信号受信装置による開放信号対応処理の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、遊技場に設置された遊技機の異常を監視する異常監視システム1に関する例である。この内容について、図1図4を参照して説明する。
【0022】
遊技場には、パチンコ遊技機3などの遊技機が複数設置されている。各遊技機は、遊技場に設置された管理装置(以下、場内管理装置)5Aによって管理されている。遊技場では、遊技機と場内管理装置5Aとの間のデータ通信等を実現するための通信ネットワーク111が構築されている。場内管理装置5Aによる各遊技機の管理は、この通信ネットワーク111を利用して実現されている。
【0023】
遊技場の通信ネットワーク111には、場内管理装置5Aのほか、2台のパチンコ遊技機3毎に設置された中継装置10、図示しない計数装置や精算装置等が接続されている。中継装置10には、パチンコ遊技機3のほか、各パチンコ遊技機3に個別に付設された台ランプ(図示略)及び貸出機12が通信可能な状態で接続されている。パチンコ遊技機3等は、中継装置10を介して通信ネットワーク111に接続されている。
【0024】
遊技場外では、警備会社等に管理装置(以下、場外管理装置)5Bが設置されている。場外管理装置5Bは、公衆通信回線113を介して各遊技場の場内管理装置5Aと通信可能な状態で接続されている。なお、本例に代えて、遊技場の管理を請け負う管理会社等に場外管理装置5Bを設置すると共に、例えば警備会社の警備システム等に対して場外管理装置5Bを通信可能に接続することも良い。
【0025】
本例の異常監視システム1は、パチンコ遊技機3、パチンコ遊技機3に組み込まれた扉開閉監視装置2、中継装置10、異常信号を無線受信する無線信号受信装置4、場内管理装置5A、及び場外管理装置5Bを含んで構成されている。
【0026】
扉開閉監視装置2は、パチンコ遊技機3の開閉扉33の開閉を監視する装置である。扉開閉監視装置2は、パチンコ遊技機3の通信機能を利用し、通信ネットワーク111を経由して異常が発生した旨を表す異常信号を有線で出力可能である。さらに、本例の扉開閉監視装置2は、異常信号を無線で出力することも可能である。扉開閉監視装置2が出力する異常信号は、開閉扉33が開放されたことを表す開放信号である。
無線出力された開放信号を受信する無線信号受信装置4は、専用の通信線112を介して通信可能な状態で場内管理装置5Aに接続されているほか、公衆通信回線113を介して場外管理装置5Bに接続されている。
【0027】
本例の異常監視システム1を構成するパチンコ遊技機3、扉開閉監視装置2、無線信号受信装置4、管理装置5A・Bについて説明する。
(パチンコ遊技機)
パチンコ遊技機3は、図1及び図2のごとく、遊技媒体である玉を遊技領域330に向けて発射することにより遊技される遊技機である。パチンコ遊技機3は、図示しない外部電源から電力供給を受けて動作する。外部電源は、パチンコ遊技機3、貸出機12、中継装置10、台ランプ(図示略)の間で共用されている。この外部電源は、営業時間中に動作してパチンコ遊技機3等に電力を供給し、営業時間の経過後、所定の営業終了作業が終った後で電力供給を停止する。
【0028】
パチンコ遊技機3は、始動入賞口への入賞に応じて大当たり抽選(特別抽選)を実行し、大当たりに当選したときに大当たり図柄を表示して大当たり状態を発生させる、いわゆるセブン機である。パチンコ遊技機3は、CPU、ROM、RAM等の電子部品が実装された制御基板30のほか、外部電源から供給された電力を制御基板30や液晶ディスプレイや装飾ランプ332等に分配する電源回路38を備えている。
【0029】
パチンコ遊技機3は、遊技者側から見て左側のヒンジ333を介して回動可能な開閉扉33を有している。この開閉扉33には、略円形状の遊技領域330を見込むための透明窓339が設けられ、透明窓339の上部両側には装飾ランプ332やスピーカー337が配設されている。遊技領域330の下側には、図示しない発射装置に玉を供給する上皿335、及び上皿335に収容しきれなくなった玉を貯える下皿337が設けられている。上皿335の右下には、玉を発射するために遊技者が操作する操作ハンドル35が設けられている。
【0030】
遊技領域330は、図示しない発射装置から発射された玉が流下する領域である。遊技領域330には、図柄変動など各種の演出を実行する表示装置39を中心として、始動入賞口、大当たり状態の発生中に開放される大入賞装置等が配置されている。遊技領域330の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔が開口している。
【0031】
制御基板30は、パチンコ遊技機3の背面側に設けられた外部出力端子301から遊技信号を外部出力する機能を備えている。遊技信号としては、玉の使用(発射による消費)を表すアウト信号、入賞に応じた玉の払出を表すセーフ信号、大当たり状態の発生中にレベル出力される大当たり信号等がある。なお、より正確には、アウト信号については、パチンコ遊技機3本体ではなく、玉を回収するためにパチンコ遊技機3に付設されるアウトボックス(図示略)から出力される。パチンコ遊技機3側から出力される信号は、まず、中継装置10に出力され、遊技機を特定可能な台番IDを付加された上、外部出力端子301を経由して通信ネットワーク111に送出される。
【0032】
制御基板30は、パチンコ遊技機3の内部に組み込まれた扉開閉監視装置2から転送された開放信号(異常信号)を有線で出力する有線異常信号出力手段としての機能を備えている。有線異常信号出力手段は、外部出力端子301から開放信号を送信し、場内管理装置5Aに対して出力する。この開放信号は、まず中継装置10に出力され、遊技機を特定可能な台番IDを付加された上で通信ネットワーク111に送出される。
【0033】
(扉開閉監視装置)
扉開閉監視装置2(図1図3)は、パチンコ遊技機3の開閉扉33の開閉を監視するために、パチンコ遊技機3の内部に組み込まれた装置である。図示しない外部電源から電力供給を受けてパチンコ遊技機3が動作する状況では、扉開閉監視装置2は、パチンコ遊技機3の電源回路38から供給された電力によって動作する。一方、外部電源からのパチンコ遊技機3の電力供給が遮断されている状況では、扉開閉監視装置2は、後述する内部電力供給手段によって供給された電力によって動作する。
【0034】
扉開閉監視装置2は、図3のごとく、CPU、ROM、RAM等が1チップ化されたマイコン201、無線通信モジュール203、キャパシタ(電気二重層コンデンサ)205等が実装された制御基板20を中心として構成されている。この制御基板20には、パチンコ遊技機3の開閉扉33のヒンジ333に取り付けられた扉開閉センサ25が接続されている。
【0035】
扉開閉センサ25は、図示しない磁石と磁気センサとを組み合わせて構成されている。扉開閉センサ25は、開閉扉33が閉まっているときに磁気センサが磁石に近接し、開放されたときに磁石から磁気センサが離れるようにヒンジ333に取り付けられている。
無線通信モジュール203は、変調回路、送信回路、アンテナ等を含むモジュールである。
【0036】
扉開閉監視装置2の制御基板20は、以下の各手段としての機能を備えている。
(1)異常検知手段:パチンコ遊技機3の開閉扉33が開放されたことを異常として検知する手段。本例の異常検知手段は、扉開閉センサ25を構成する磁気センサに作用する磁界強度が急激に低下したとき、開閉扉33が開放されたという異常を検知する。
(2)内部電力供給手段:キャパシタ205に蓄えた電力によって扉開閉監視装置2を動作させるバックアップ電源としての手段。パチンコ遊技機3の電源回路38から電力を供給されている状況では、その電力の一部がキャパシタ205に蓄えられ、営業時間外など電源回路38からの電力供給が停止された状況では、キャパシタ205に蓄えられた電力が放電され制御基板20や扉開閉センサ25等に供給される。
(3)電源状況判定手段:パチンコ遊技機3の電源回路38から供給された電力により動作している状況であるか、キャパシタ205が放出する電力によって動作する状況であるか、を判定する手段。
(4)異常信号転送手段:パチンコ遊技機3の電源回路38から電力を供給される状況のとき、パチンコ遊技機3の制御基板30に対して開放信号を転送する手段。
(5)無線異常信号出力手段:パチンコ遊技機3の電源回路38から電力を供給されず、キャパシタ205の蓄電力によって動作する状況のとき、無線通信モジュール203を利用して開放信号を無線出力する手段。なお、無線出力される開放信号には、送信元の遊技機を特定するための遊技機IDが含まれている。
【0037】
(無線信号受信装置)
無線信号受信装置4は、扉開閉監視装置2が無線出力した開放信号を受信すると共に、場内管理装置5Aあるいは場外管理装置5Bに対して受信した開放信号を転送する装置である。この無線信号受信装置4は、通信ネットワーク111ではなく専用の通信線112によって場内管理装置5Aと接続されていると共に、公衆通信回線113を介して場外管理装置5Bと接続されている。
【0038】
無線信号受信装置4は、CPU、ROM、RAM、無線通信モジュール等が実装された制御基板40を含み、制御基板40の動作により以下の各手段としての機能を実現する。
(1)稼動判定手段:場内管理装置5Aの稼動状態を判定する手段。開放信号に対する場内管理装置5Aの応答状況に応じて稼動状態を判定する。
(2)異常信号転送手段:パチンコ遊技機3側から無線で受信した開放信号を場内管理装置5Aあるいは場外管理装置5Bに対して転送する手段。異常信号転送手段は、場内管理装置5Aが稼動状態であれば、場内管理装置5Aに対して開放信号を転送し、非稼動状態であれば、基本的に常時稼動である場外管理装置5Bに対して開放信号を転送する。
【0039】
(場内管理装置、場外管理装置)
場内管理装置5A及び場外管理装置5Bは、図1のごとく、液晶ディスプレイや図示しないプリンタやスピーカー等を含む出力部51と、各種の演算処理を実行する装置本体50と、キーボード及び図示しないマウスを含む入力部52と、を備えている。装置本体50は、演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)を中心とした制御機能、ハードディスクドライブ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を利用する記憶機能、及び各種信号あるいは情報を送受信する通信機能等を有している。
【0040】
場内管理装置5Aは、遊技場内の通信ネットワーク111に接続されているほか、専用の通信線112を介して無線信号受信装置4と通信可能な状態で接続されている。
場外管理装置5Bは、無線信号受信装置4や場内管理装置5Aと公衆通信回線113を介して通信可能な状態で接続されている。
【0041】
場内管理装置5A及び場外管理装置5Bは、装置本体50で各種のソフトウェアプログラムを実行することで以下の各機能を実現する。
(1)通信手段:無線信号受信装置4との間で通信を実行する手段。
(2)異常報知手段:開放信号を受信したときに、パチンコ遊技機3の開閉扉33の開放という異常を報知する手段。異常報知手段は、液晶ディスプレイやスピーカーを利用して異常が発生した旨を報知する。場内管理装置5Aは、例えば「○○番台の開閉扉が開いています。」等の音声をスピーカーから出力することにより異常を報知する。場外管理装置5Bは、例えば、「△△ホール(遊技場の名称)の○○番台の開閉扉が開いています。」等の音声をスピーカーから出力することにより異常を報知する。
【0042】
なお、場内管理装置5Aについては、営業時間外の夜間の運用が遊技場毎に異なっている可能性がある。夜間に場内管理装置5Aの電源をOFFに切り換える遊技場の場合、無線信号受信装置4から開放信号を受信しても応答することは不可能になる。一方、夜間であっても場内管理装置5Aの電源をOFFに切り換えない遊技場の場合であれば、遊技場が無人となる状況において夜間監視モードを設定することが可能になる。夜間監視モードが設定された場合であれば、開放信号に対する応答信号として夜間監視中である旨を表す夜間監視信号を返信し、後述する運用が可能になる。
【0043】
次に、異常監視システム1を構成する無線信号受信装置4が開放信号を受信したときの対応処理の流れについて、図4のフロー図を参照しながら説明する。
無線信号受信装置4は、扉開閉監視装置2から開放信号を受信したとき(S101:YES)、場内管理装置5Aに対して開放信号を出力する(S102)。この開放信号に対する応答信号が受信できないか、あるいは夜間監視中である旨を表す夜間監視信号の返信応答があった場合には(S103:YES)、場内管理装置5Aが非稼動状態にあると判断し、場外管理装置5Bに対して開放信号を出力する(S104)。一方、ステップS103において開放信号を受信した旨を表す応答信号を場内管理装置5Aから受信した場合には(S103:NO)、場外管理装置5Bに開放信号を出力することなくステップS101にリターンする。
【0044】
以上のように、本例の異常監視システム1は、営業時間中であってパチンコ遊技機3に電力が供給されている状況では有線で開放信号を出力する。一方、営業時間外などパチンコ遊技機3に電力が供給されていない状況では無線で開放信号を出力する。本例の異常監視システム1によれば、パチンコ遊技機3や、中継装置10等の通信機器に電力が供給されていない状況であっても、異常を表す開放信号を適切に出力可能である。
【0045】
パチンコ遊技機3や中継装置10等に電力が供給されていない状況で無線で開放信号を出力すれば、パチンコ遊技機3等に電力が供給されていない状況であっても異常を特定できなくなるおそれがない。異常が発生した後、パチンコ遊技機3の電源が投入されるまで、異常の特定が遅れてしまうこともない。本例の異常監視システム1を導入すれば、パチンコ遊技機3に電力が供給されている状態であるか否かに関わらず、開閉扉33が開放されたときに開放信号の出力が可能になり、異常が発生した旨を直ちに特定できるようになる。
【0046】
以上のように、本例に係る異常監視システム1によれば、開閉扉33が開放された等の異常を迅速に特定可能である。
【0047】
なお、本例の異常監視システム1の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することもできる。さらに、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例の扉開閉監視装置2では、充電可能なキャパシタ205を利用し、バックアップ電源として機能する内部電力供給手段を構成している。キャパシタ205に代えて、充電可能な二次電池を利用して内部電力供給手段を構成することも良い。さらに、充電機能のない一次電池等を利用して内部電力供給手段を構成することもできる。
【0048】
本例では、夜間監視モードを設定可能であって、夜間監視中に開放信号を受信した時の応答信号として夜間監視信号を返信する場内管理装置5Aを例示している。営業時間内であれば、応答信号として営業信号を返信することも良い。営業信号の返信があったとき、遊技場の従業員等によるメンテナンス作業等により開閉扉33が開放されただけであって異常ではないと判断することも良い。メンテナンス作業に対応するメンテナンスモードを場内管理装置5Aに設定可能とし、メンテナンスモード下ではメンテナンス信号を返信することも良い。
【0049】
扉開閉監視装置2の扉開閉センサ25は、磁気的に開放を検知する本例のセンサには限定されない。例えば、開閉扉33が閉まっているときに押し込まれる一方、開閉扉33の開放に伴って突出するボタンを備え、ボタンの突出量が大きくなったときに開放を検知する機械式の扉開閉センサ等を採用することも良い。さらに、扉側か遊技機本体側のいずれか一方にICタグを取り付け、他方にタグ読取部を取り付けることも良い。ICタグの読み取り結果によって開閉扉33の開放を検知する構成を実現できる。
【0050】
本例では、扉開閉監視装置2を組み込んだ遊技機を例示している。扉開閉監視装置2の一部又は全部の機能を遊技機とは別体で設けるようにしても良い。一部の機能を別体で設ける構成例としては、例えば、遊技機とは別体で扉開閉監視装置を設ける一方、遊技機の通信機能を利用し、遊技機が備える外部出力端子から開放信号を出力する構成等が考えられる。
【0051】
開放信号を無線出力する場合、無線信号受信装置4を経由せずに場内管理装置5Aが直接、開放信号を受信するように構成しても良い。この場合には、無線信号受信装置4を別途設ける必要がなくなる。あるいは、無線信号受信装置4が受信した開放信号を場外管理装置5Bに出力する構成を省略し、場外管理装置5Bに開放信号が出力されない構成を採用することも可能である。
【0052】
開放信号を受信したときに異常が発生しているかメンテナンス作業中であるかを判定する方法を変更しても良い。例えば、夜間に遊技場外の監視等を行う警備システムが運用されている場合であれば、警備システムの稼動中に開放信号を受信したとき、異常が発生していると判定することが良い。
【0053】
本例では、異常が発生していると判定した場合、警備会社に設置された場外管理装置5Bに扉開放があったことを表す開放信号を出力する構成を採用している。本例に代えて、あるいは加えて、遊技場の管理者の携帯電話に異常メールを発信するようにしても良いし、遊技場内に設けられた監視カメラにより開閉扉33が開放された遊技機周辺を撮像するようにしても良い。この撮像画像を異常メールに添付することも良い。
【0054】
また、遊技場の管理者等が遊技場内で作業等を行なっている状況であれば、異常が発生したことを場内放送することも良い。さらには、場内管理装置5Aの管理を行う第三者機関に向けて、異常が発生していることを出力するようにしても良い。
【0055】
開放信号を無線出力する際の通信方式としては、各種の通信方式を採用できる。例えば、無線LANを用いたインターネット回線を使用することも可能である。
検知対象とする異常については、扉開放に限られるものではなく任意に変更できる。例えば、遊技機に所定の大きさ以上の衝撃が作用したときに異常を検知しても良い。
なお、場内管理装置5Aに対して開放信号を有線出力した場合について、場外管理装置5Bに対しても開放信号を出力し、これにより場外管理装置5B側で異常発生を特定できるようにしても良い。
【0056】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0057】
1 異常監視システム
10 中継装置
111 通信ネットワーク
112 通信線
113 公衆通信回線
12 貸出機
2 扉開閉監視装置
20 制御基板
25 扉開閉センサ
3 パチンコ遊技機(遊技機)
30 制御基板
301 外部出力端子
38 電源回路
4 無線信号受信装置
40 制御基板
5A 場内管理装置
5B 場外管理装置
図1
図2
図3
図4