【解決手段】遊技機1は、大当たり抽選結果を報知するリーチ演出を実行する演出実行手段と、大当たり抽選結果を表す結果情報を遊技者が所持する携帯端末2が受信可能に送信する結果情報送信手段と、リーチ演出を発生させた遊技者本人の携帯端末2では大当たり抽選結果を確認できない一方、周辺の遊技者が所持する携帯端末2ではリーチ演出の実行中に大当たり抽選結果が確認できるように結果情報を生成する結果情報生成手段と、を備えている。
前記結果情報生成手段は、前記結果情報を音データとして生成し、前記結果情報送信手段は、携帯端末が受信可能に当該音データを含む音声を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自身が遊技を行っているパチンコ遊技機で実行中のリーチ演出を周辺の遊技者に見物されることに対して不快な気分を感じる遊技者も多い。このような遊技者の中には、他の遊技者に見物されることを嫌って遊技を早めに切り上げてしまう者もいる。見物する側の遊技者については、他人の遊技を熱心に見物するあまり、自分が実際に遊技を行う時間が短くなってしまうこともある。これらの遊技傾向が多くなれば、各遊技者の遊技時間が短くなり、遊技場に設置された遊技機の稼動率が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、遊技を見物する遊技者が多くなり過ぎることを未然に回避できる遊技機を提供するための発明である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、予め定められた遊技結果となった場合に遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
遊技結果を遊技者に報知する特別演出を実行する演出実行手段と、
前記演出実行手段が前記特別演出を実行している場合に当該特別演出が報知する前記遊技結果に対応した結果情報を、予め定められた範囲内の遊技者が所持する携帯端末が受信可能に送信する結果情報送信手段と、
前記特別演出を実行している遊技機にて遊技中の遊技者が所持する携帯端末では当該特別演出が報知する前記遊技結果が確認できないか又は確認しにくい一方、前記遊技中の遊技者とは異なる周辺の遊技者が所持する携帯端末では前記特別演出の実行中に前記遊技結果が確認できるように前記結果情報を生成する結果情報生成手段と、を備えたことを特徴とする遊技機にある(請求項1)。
【0008】
前記第1の態様の遊技機は、特別演出が報知する遊技結果に対応した結果情報を送信する結果情報送信手段と、実行中の特別演出を発生させた遊技者本人ではなく周辺の遊技者の携帯端末で確認できるように結果情報を生成する結果情報生成手段と、を備えている。
【0009】
この遊技機によれば、特別演出が報知する遊技結果を周辺の遊技者が所持する携帯端末を利用して報知できる。周辺の遊技者に対して遊技結果を報知すれば、実行中の特別演出に対する周辺の遊技者の興味の度合いを抑えることができる。これにより、特別演出を見物する遊技者が多くなり過ぎるおそれを抑制でき、特別演出を発生させた遊技者本人が感じるおそれがある不快感を抑制できる。このような不快感を抑制できれば、周辺の遊技者に見物されることを嫌って遊技を早めに切り上げたり、遊技を行わない遊技者を減らすことができ、遊技場に設置された遊技機の稼動率を向上できる。また、見物する側の遊技者については、遊技結果の報知を受けて見物を止める可能性が高くなる。見物時間が少なくなれば、自分が実際に遊技を行う時間が長くなり、遊技機の稼動率が向上する。
【0010】
一方、特別演出を発生させた遊技者本人が所持する携帯端末では、特別演出の結果を確認できないか、あるいは確認しにくくなっている。そのため、特別演出の実行中に遊技機本人が特別演出の結果を特定できてしまい興醒めしてしまうおそれは少ない。
【0011】
なお、前記特典が付与されるような有利な遊技結果が報知された場合、有利でない遊技結果が報知された場合と比べて、特別演出を最後まで見届けようとして見物を続ける遊技者が多くなる傾向にある。特別演出を発生させた遊技者本人にしてみれば、周辺の遊技者が見物を続けるか否かによって特別演出が報知する遊技結果を予想することができる。つまり、前記第1の態様の遊技機では、リーチ演出中の周辺の遊技者の動向から遊技結果を予想するという新たな遊技性が実現されている。
【0012】
以上のように本発明の第1の態様の遊技機は、遊技を見物する遊技者が多くなり過ぎることを未然に回避できる遊技機である。
【0013】
前記第1の態様の遊技機としては、遊技媒体である玉を使用(発射)して遊技されるパチンコ遊技機や、所定の入賞図柄が停止表示されたときに入賞を発生させるスロットマシン等がある。パチンコ遊技機としては、入賞に応じて玉を払い出すタイプであっても良く、ポイントを使用して玉を発射し入賞に応じてポイントが付与される、いわゆる封入式のパチンコ遊技機であっても良い。スロットマシンとしては、メダルやコイン等の遊技媒体を使用して遊技されるタイプであっても良いが、遊技媒体を使用せずポイントを使用して(賭けて)遊技でき、入賞したときにポイントが付与される、いわゆる完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。さらに、玉を遊技媒体として使用するパロット(R)であっても良い。
【0014】
前記第1の態様の遊技機は、前記周辺の遊技者が所持する携帯端末と区別可能に、前記遊技中の遊技者が所持する携帯端末を登録する登録手段を備えていることが好ましい(請求項2)。
遊技中の遊技機に携帯端末を登録すれば、その遊技機の遊技者本人が所持する携帯端末であるか、周辺の遊技者が所持する携帯端末であるか、の区別が可能になる。このような区別があれば、周辺の遊技者が所持する携帯端末と、実行中の特別演出を発生させた遊技者本人の携帯端末とで、前記遊技結果の確認のし易さに差を設けた前記結果情報の生成が容易になる。
【0015】
前記第1の態様の遊技機が備える結果情報生成手段は、前記結果情報を音データとして生成し、前記結果情報送信手段は、携帯端末が受信可能に当該音データを含む音声を出力することが好ましい(請求項3)。
結果情報を音データとして出力する場合には、不特定の携帯端末が結果情報を受信し易くなる。演出音等の音声を出力する構成を利用して前記音データを出力する場合であれば、前記結果情報を送信するための構成を新たに設ける必要がなくなり、コストアップ等を未然に回避できる。
【0016】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様の遊技機が送信した結果情報を受信する受信手段と、
前記結果情報を受信した場合に、当該結果情報を出力した遊技機を特定する遊技機特定手段と、
前記結果情報を受信した場合に当該結果情報に対応した前記遊技結果を報知すると共に、同じ遊技機から前記結果情報を所定回数受信した場合、前記遊技結果を報知しないか又は遊技者が遊技結果を特定しにくいようにする結果報知手段と、を備えたことを特徴とする携帯端末にある(請求項4)。
【0017】
前記第2の態様の携帯端末は、前記第1の態様の遊技機が送信した結果情報を受信する受信機として機能する端末である。この携帯端末は、前記結果情報の出力元の遊技機を特定可能であって、同じ遊技機から前記結果情報を所定回数受信したとき、遊技結果を報知しないか又は遊技者が遊技結果を特定しにくいようにする。
【0018】
同じ遊技機の遊技結果の報知が同じ携帯端末で何回も行われる場合、遊技中の遊技者が所持する携帯端末である可能性が高い。本発明の第2の態様の携帯端末は、同じ遊技機から結果情報を所定回数受信したときに遊技結果を報知しない等の対処が可能であるので、同じ遊技機の遊技結果を報知し続ける状況を未然に回避できる。
このように本発明の第2の態様の携帯端末では、遊技中の遊技者の携帯端末である可能性が高いにも関わらず、報知が行われてしまうおそれが少なくなっている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、リーチ演出(特別演出)の実行中に、そのリーチ演出を発生させた遊技者本人ではなく周辺の遊技者に対してリーチ演出対象の大当たり抽選結果(遊技結果)を報知するパチンコ遊技機1、及び報知を受けるための携帯端末2に関する例である。この内容について、
図1〜
図9を参照して説明する。
【0021】
遊技場では、パチンコ遊技機1が横並びで設置された遊技機島が形成されている。遊技機島は、遊技場内に複数設けられており、向かい合う遊技機島の間に通路が形成されている。遊技場では、
図1のごとく、2台のパチンコ遊技機1毎に設置された中継装置30や、管理装置5、図示しない計数装置や精算装置などが通信ネットワーク31に接続されている。中継装置30には、パチンコ遊技機1のほか、各パチンコ遊技機1に付設された台ランプ(図示略)及び貸出機32が通信可能な状態で接続されている。遊技場では、パチンコ遊技機1、貸出機32、及び台ランプの組合せを、管理装置5によって個別に管理するための遊技場システム3が構築されている。
【0022】
以下、本例のパチンコ遊技機1及び携帯端末2について説明する。
(パチンコ遊技機)
パチンコ遊技機1は、
図1及び
図2のごとく、遊技媒体である玉を遊技領域130に向けて発射することにより遊技される遊技機である。このパチンコ遊技機1は、始動入賞口11への入賞に応じて大当たり抽選を実行し、大当たりに当選したときに大当たり図柄を表示して大当たり状態(特典)を発生させる、いわゆるセブン機である。
【0023】
パチンコ遊技機1の前面では、遊技者に対面するように遊技領域130が形成されている。遊技領域130の上部両側には、スピーカー131及び装飾ランプ132が配置されている。遊技領域130の下側には、図示しない発射装置に玉を供給する上皿135、及び上皿135に収容しきれなくなった玉を貯える下皿137が設けられている。上皿135の右下には、玉を発射するために遊技者が操作する操作ハンドル15が設けられている。
【0024】
特に、本例のパチンコ遊技機1では、遊技領域130の右下に携帯端末2の認証エリア12が設けられている。この認証エリア12は、内部に組み込まれた端末認証部120の読み取り面である。端末認証部120は、認証エリア12に近接された携帯端末2のSIMカード(図示略。ICカード。)に記録された個体識別番号である端末IDを読み出す。
【0025】
遊技領域130は、遊技媒体である玉が流下する領域である。遊技領域130には、液晶表示部190を含む表示装置19を中心として、始動入賞口11、通過ゲート14、大入賞装置16等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。
【0026】
通過ゲート14は、通過玉を検知するゲートである。玉を通過させるのみの通過ゲート14には、賞球の払い出しが設定されていない。通過ゲート14を玉が通過すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。普図判定の当否は、図示しない普図表示部により報知される。普図表示部は、所定時間に渡る普図変動表示の後、○か×のいずれかを停止表示させて当否を報知する。
【0027】
始動入賞口11は、大当たり抽選の契機となる入賞口(払出3玉)である。始動入賞口11に玉が入賞すると、大当たり抽選用の抽選用乱数が抽出され大当たり抽選が実行される。始動入賞口11は、一対の可動羽根を開口部に設けた電動チューリップにより構成されている。この電動チューリップは、普図判定で当選したときに開放状態となる。
【0028】
大入賞装置16は、大入賞口160を備える、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。大入賞口160は、大当たり状態が発生したときに開放される。なお、大入賞口160に入賞したときの払出は15玉となっている。
【0029】
表示装置19は、大当たり抽選の当否を報知する機能を備える演出装置である。この報知機能を構成する表示装置19は、横並びの3桁の数字の図柄によって大当たり抽選の当否を報知する。大当たり抽選に当選したとき、3桁のゾロ目の数字を液晶表示部190に停止表示させ、大当たり当選を報知する。パチンコ遊技機1では、表示装置19による大当たり当選の報知に続いて大当たり状態(特典)が発生する。大当たり状態が発生すると、大入賞口160が開放されるラウンド処理が16回に渡って繰り返し実行される。
【0030】
表示装置19では、左図柄→右図柄→中図柄の順番で3桁の数字が停止する。左右に同じ図柄が停止し、その後、中央で同じ図柄が停止すれば大当たりが確定する状況となったとき、リーチ演出(特別演出)が開始される。大当たり抽選に当選している場合には、所定期間に渡るリーチ演出の後、左右の図柄と同じ図柄が中央に停止し、3桁のゾロ目の数字が表示される。一方、大当たり抽選がハズレの場合には、所定期間に渡るリーチ演出の後、左右の図柄とは異なる図柄が中央に停止し、ハズレが確定する。
【0031】
本例のパチンコ遊技機1は、CPU、ROM、RAM等が実装された制御基板10を内蔵しており、ソフトウェアプログラムをCPUに実行させることで以下の各手段としての機能を実現する。
(1)特典付与手段:大当たり当選という遊技結果が得られたとき、大当たり状態という特典を遊技者に付与する手段。
(2)演出実行手段:大当たり抽選結果(遊技結果)を遊技者に報知する特別演出としてリーチ演出を実行する手段。
【0032】
(3)結果情報送信手段:リーチ演出の実行中に、周辺の遊技者が所持する携帯端末2に大当たり抽選結果を表す結果情報を送信する手段。本例の結果情報送信手段は、可聴帯域外の高い周波数の音データを結果情報として送信する。専用のアプリケーションが予めダウンロードされた携帯端末2であれば、音データの受信によって大当たり抽選結果を取得できる。
【0033】
(4)結果情報生成手段:大当たり抽選結果を確認可能な音データを生成する手段。特に、本例の結果情報生成手段は、リーチ演出を発生させた遊技者本人が所持する携帯端末2では大当たり抽選結果を確認できない一方、周辺の遊技者の携帯端末2であれば大当たり抽選結果を確認できるように音データを生成する。結果情報生成手段は、大当たり抽選結果(遊技結果)を表す情報を生成すると共に、この情報に対して、リーチ演出の発生元の遊技機ID及び各回のリーチ演出を特定する音データID等を組み合わせることにより音データを生成する。
(5)登録手段:認証エリア12に近接され端末認証部120によって認証された携帯端末2を登録する手段。パチンコ遊技機1に携帯端末2を登録することにより、リーチ演出を発生させた遊技者本人が所持する携帯端末2と、周辺の遊技者が所持する携帯端末2との区別が可能になる。登録手段は、認証エリア12に近接された携帯端末2から端末IDを読み取りできたとき、遊技機IDを返信する。携帯端末2側では、受信した遊技機IDを利用して特定の遊技機に対するログイン状態が設定される。なお、ログイン状態が設定された場合、アウトやセーフ等の遊技データを含む遊技履歴が一旦遊技機側に記憶され、ログアウトするときにその遊技履歴が携帯端末2に書き込まれる。
【0034】
(携帯端末)
本例では、パチンコ遊技機1が送信する音データ(結果情報)を受信する携帯端末2として、いわゆるスマートフォンと呼ばれる多機能型携帯電話を採用している。
【0035】
図3の携帯端末2は、厚さ1cm程度の平板状の端末である。その正面には、液晶表示部251の表示画面250が配置されている。
図3中、表示画面250の左側にはスピーカー231が配置され、右側には電源ボタン221やマイク232が配置されている。液晶表示部251の表示画面250は、タッチセンサシート253(
図4)が積層されてタッチ操作可能なタッチパネルとなっている。
【0036】
携帯端末2には、
図4のごとく、電気回路が形成された制御基板20が収容されている。制御基板20に対しては、CCD素子やレンズ等が実装されたカメラ基板240、スピーカー231を駆動するアンプ基板233のほか、電源ボタン221、タッチセンサシート253、液晶表示部251、マイク232等が電気的に接続されている。制御基板20には、さらに、携帯端末2を特定するための個体識別IDが記録されたSIMカードを差し込むスロット(図示略)が実装されている。
【0037】
制御基板20は、CPU21、記憶素子であるROM22・RAM23、及び入出力インタフェースをなすI/O部24等を備えている。
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラムを記憶している。
RAM23は、CPU21のワークエリアや一時書き込みにも利用される読み書き可能な記憶素子である。
【0038】
制御基板20は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、以下の各手段としての機能を備えている。
(1)受信手段:パチンコ遊技機1から音データ(結果情報)を受信する手段。
(2)遊技機特定手段:音データの送信元の遊技機を特定する手段。遊技機特定手段は、音データに含まれる遊技機IDを利用して送信元の遊技機を特定する。
(3)結果報知手段:受信した音データに対応する大当たり抽選結果(遊技結果)を報知する手段。なお、特定の遊技機から所定回数(例えば、20分間に3回)に渡って異なる音データを受信したとき、その遊技機については、携帯端末2を所持する遊技者本人の遊技機と特定され、大当たり抽選結果が非報知となる。また、送信元として特定された遊技機がログイン対象の遊技機であったときにも大当たり抽選結果が非報知となる。
【0039】
以上のように構成されたパチンコ遊技機1及び携帯端末2の動作について、
図5〜
図9を参照して説明する。
図5は、パチンコ遊技機1の制御基板10により実行される音データ生成処理の流れを示すフロー図である。
図7は、携帯端末2の制御基板20による処理の流れを示すフロー図である。
【0040】
パチンコ遊技機1による音データ生成処理(
図5)では、リーチ演出対象の大当たり抽選結果を含む音データ(結果情報)が生成される。制御基板10は、まず、リーチ演出が発生した図柄変動であるか否かを判断する(S101)。リーチ演出が発生した図柄変動であれば(S101:YES)、制御基板10は、対応する大当たり抽選結果が当選であるか否かを判断する(S102)。
【0041】
制御基板10は、リーチ演出に対応する大当たり抽選結果が当選である場合には(S102:YES)、大当たり抽選結果としての当選の情報を生成すると共に、この当選の情報に対して遊技機ID及び音データIDを組み合わせて音データを生成する(S103)。一方、リーチ演出に対応する大当たり抽選結果がハズレの場合には(S102:NO)、大当たり抽選結果としてのハズレの情報を生成すると共に、このハズレの情報に対して遊技機ID及び音データIDを組み合わせて音データを生成する(S113)。
【0042】
なお、本例では、
図6のように、音楽や音声など演出用の可聴周波数帯域の音をリーチ演出中にスピーカー131から出力すると並行して、可聴周波数帯域外の音データを1回のリーチ演出中に繰り返し出力する構成を採用している。携帯端末2側では、リーチ演出の継続中に何回も音データを受信することになる。本例の音データに含まれる音データIDは、受信した音データが新たに受信したものか否かを携帯端末2側で判断するために役立つ。
【0043】
次に、携帯端末2の制御基板20による携帯端末処理について
図7を参照して説明する。携帯端末処理では、制御基板20は、まず、パチンコ遊技機1の認証エリア12に携帯端末2を近接させるというログイン操作が行われたか否かを判断する(S201)。ログイン操作が行われた場合には(S201:YES)、制御基板20は、遊技機IDを取得してログイン状態を設定する(S202)。
【0044】
ログイン操作が行われていない場合(S201:NO)、制御基板20は、遊技結果に対応した音データを新たに受信したか否かを判断する(S211)。音データを新たに受信した場合には(S211:YES)、制御基板20は、音データに含まれる遊技機IDに関する判断を実行する(S212)。音データに含まれる遊技機IDがログインしている遊技機の遊技機IDである場合(S212:YES)、制御基板20は、大当たり抽選結果を報知しない旨を表す
図8の非報知画面を表示画面250に表示する(S213)。
【0045】
上記のステップS211において新たに受信した音データであるかの判断は、音データに含まれる音データIDを利用して実行される。音データIDは、各回のリーチ演出毎に異なっている。制御基板20は、新たに受信した音データであるか否かを判断するために、1回前に受信した音データの音データIDを記憶している。制御基板20は、同じ音データIDの音データを連続して受信したとき、既に受信したことがある音データであって新たに受信した音データではないと判断する。一方、1回前と今回の音データIDが異なっているとき、新たに受信した音データであると判断する。
【0046】
音データに含まれる遊技機IDがログインしている遊技機の遊技機IDではない場合(S212:NO)、制御基板20は、ログイン状態であるか否か判断する(S221)。ログイン状態と判断される携帯端末2については(S221:YES)、上記のステップS211:NOの判断との組合せによりリーチ演出中の遊技機とは別の遊技機に対するログイン状態と判断できる。このように判断された携帯端末2の制御基板20は、音データに対応する大当たり抽選結果を無条件に報知する(S224)。
【0047】
上記のステップS221においてログイン状態でなければ(S221:NO)、制御基板20は、受信履歴を記録すると共に(S222)、過去20分以内に音データIDが異なる新たな音データを3回以上受信している遊技機IDであるか否かを判断する(S223)。新たな音データを頻繁(過去20分以内に3回以上)に受信する遊技機IDであったときには(S223:YES)、携帯端末2を所持する遊技者本人がログインせずに遊技する遊技機である可能性が高いと推定する。この場合には、結果を報知しない旨を表す
図8の非報知画面を表示画面250に表示する(S213)。
【0048】
一方、過去20分以内に3回以上受信している遊技機IDでなければ(S223:NO)、リーチ演出に対応する大当たり抽選結果を表す
図9の報知画面を表示画面250に表示する(S224)。なお、報知中に、他の遊技機に関する新たな音データを受信した場合には、画面内に2種類の報知画面を表示することで、それぞれの音データに基づく報知を実行する。
【0049】
以上のように、本例のパチンコ遊技機1は、リーチ演出を実行している最中、対応する大当たり抽選結果を含む音データを携帯端末2に向けて出力する。所定のアプリケーションソフトがダウンロードされた携帯端末2のうち、リーチ演出を実行中の遊技機に対するログイン状態でない携帯端末2は、音データに含まれる大当たり抽選結果を報知する。
【0050】
一般的に、リーチ演出が発生すると、通路を移動中の周辺の他の遊技者等が大当たり抽選結果に興味を持って立ち止まってジロジロ見ることがある。周辺の遊技者に対して大当たり抽選結果を報知すれば、大当たり抽選結果に対する興味の度合いを抑制でき、特別演出を見物する遊技者が多くなり過ぎる状況を未然に回避できる。見物する遊技者の数を抑制できれば、リーチ演出を発生させた遊技者本人について、リーチ演出をジロジロ見られる不快感の発生を未然に回避できる。このような不快感を未然に抑制できれば、周辺の遊技者に見物されることを嫌って遊技を早めに切り上げたり、遊技を行わない遊技者を少なくでき、遊技場に設置された遊技機の稼動率を向上できる。また、見物する側では、大当たり抽選結果の報知を受けて見物を止める遊技者が多くなると期待できる。このように見物を止めた遊技者は、その後、自分の遊技を開始する可能性が高く、遊技機の稼動率の向上に寄与する。
【0051】
上記のような大当たり抽選結果の報知は、アプリケーションソフトがダウンロードされた携帯端末2のうち、リーチ演出を実行中の遊技機に対するログイン状態にない携帯端末2のみで実行される。アプリケーションソフトをダウンロードしていない携帯端末2や、リーチ演出を実行中の遊技機に対するログイン状態の携帯端末2では、大当たり抽選結果の報知が実行されない。
【0052】
アプリケーションソフトをダウンロードしている遊技者の多くは、遊技履歴の取り込みなど携帯端末2を遊技に活用するために、携帯端末2をログイン状態に設定して遊技していると考えられる。リーチ演出を実行中の遊技機に対するログイン状態の携帯端末2であれば、リーチ演出の実行中に大当たり抽選結果が報知されることもない。それ故、リーチ演出を発生させた遊技者本人がリーチ演出の終了前に大当たり抽選結果が判ってしまい興醒めするおそれがない。また、リーチ演出を発生させた遊技者本人が所持する携帯端末2にアプリケーションソフトがダウンロードされていない場合であれば、リーチ演出の実行中に大当たり抽選結果の報知が行われることがない。
【0053】
なお、リーチ演出に対応する大当たり抽選結果が当選の場合、携帯端末2の報知により当選を知った後も継続して見物する遊技者が多くなる傾向にある。リーチ演出を発生させた遊技者本人にあっては、周辺の遊技者の動向からリーチ演出に対応する大当たり抽選結果を予測できる。このように本例のパチンコ遊技機1では、リーチ演出中の周辺の遊技者の動向から大当たり抽選結果を予測するという新たな遊技性が生じている。
【0054】
以上のように本例のパチンコ遊技機1によれば、遊技を見物する遊技者が多くなり過ぎるおそれを抑制可能である。
【0055】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することもできる。さらに、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例は、玉を発射して遊技され、入賞に応じて玉を払い出すパチンコ遊技機を例示している。このパチンコ遊技機以外の他の遊技機に本発明を適用しても良い。例えば、メダルを使用して遊技するスロットマシンや、メダルを使用しない完全クレジット式スロットマシンや、玉が封入された封入式パチンコ遊技機等が考えられる。
【0056】
つまり、演出を実行する遊技機であれば、本発明を適用可能である。報知対象とする遊技結果は、遊技者に特典が付与され得るものであればどのような内容でもよく、例えばスロットマシンにおける小役の当選状態を報知することも良い。例えば、パチンコ遊技機では、複数のリーチ演出のうち、一部のリーチ演出について報知を行うようにしても良い。
【0057】
本例では、リーチ演出中に音データを出力するに当たって、大当たり抽選結果を表す情報を生成すると共に、この情報に対して遊技機ID及び音データIDを組み合わせて音データを生成するという演算処理を制御基板10が実行している。これに代えて、リーチ演出中に出力する音データを記憶しておく音データ記憶領域を設けると共に、少なくともいずれかのリーチ演出について、対応する音データを予め準備しておき音データ記憶領域に記憶させておくことも良い。この場合、リーチ演出に対応付けられた音データを音データ記憶領域から読み出すだけで、出力する音データを生成できるようになる。大当たり抽選結果を表す情報を生成し遊技機ID及び音データIDを組み合わせるという上記の演算処理をリーチ演出毎に実行して音データを生成する場合に比べて、音データを生成するための制御基板10の処理負担を軽減できる。
【0058】
本例では、1回のリーチ演出中に、大当たり抽選結果を特定可能な音データを複数回に渡って出力している。これに代えて、1回のリーチ演出中の音データの出力回数を1回だけにしても良い。
本例では、音データIDを含めて音データを構成している。音データIDを省略することも可能である。この場合、例えば3秒以内等、所定時間内に音データを受信した場合、同じ音データであると携帯端末2側で判断すれば良い。
【0059】
本例では、多機能型携帯電話を携帯端末2として例示している。これに代えて、例えば、電話機能を有していない小型のパソコンや、ゲーム機や、ミュージックプレーヤー等を携帯端末として利用することも可能である。
大当たり抽選結果の報知態様は本例に限定されず、任意に変更可能である。本例は、リーチ演出を実行中の遊技機に対するログイン状態の携帯端末2では大当たり抽選結果を一切報知しない構成の例である。これに代えて、リーチ演出を実行中の遊技機に対するログイン状態の携帯端末2において当選している可能性の度合いを報知することも良い。なお、リーチ演出を実行中の遊技機に対するログイン状態の携帯端末2での報知は、この遊技機に対するログイン状態ではない携帯端末4よりも大当たり抽選結果を把握しにくい報知にすると良い。
【0060】
リーチ演出を発生させた遊技者本人の特定方法を変更しても良い。例えば、携帯端末2のログイン機能のない遊技機に対応する場合、同じ遊技機から受信した音データの回数のみで遊技を行っている遊技者本人の携帯端末2か否かを判定すると良い。
【0061】
携帯端末2に対して結果情報を出力する方法を任意に変更しても良い。例えば、可聴帯域内の音を利用して結果情報を出力しても良い。また、音以外の方法を用いても良く、例えば、インターネットやローカルネット等のネット回線を利用して結果情報を出力するようにしても良い。例えば、装飾ランプ132の光の点滅によって結果情報を出力することも良い。赤外ランプ等を設ける共に、この赤外ランプの点滅によって結果情報を出力することも良い。さらに例えば、結果情報を表すバーコード等のコード画像を液晶ディスプレイ等に表示させることも良い。周辺の遊技者は、そのコード画像を撮影することで大当たり抽選結果の報知を受けることができる。
【0062】
なお、本例の携帯端末2では、報知中に新たな音データを受信した場合、複数種類の報知画面を表示することで各報知を同時に実行している。これに代えて、複数種類の報知画面を時間的に切り換える(例えば1秒毎の切換)ことで、各遊技機に関する報知を実行することも良い。
【0063】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。