特開2015-88215(P2015-88215A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-88215(P2015-88215A)
(43)【公開日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】非対称感度リーダ
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/39 20060101AFI20150410BHJP
【FI】
   G11B5/39
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-220117(P2014-220117)
(22)【出願日】2014年10月29日
(31)【優先権主張番号】14/067,483
(32)【優先日】2013年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】503116280
【氏名又は名称】エイチジーエスティーネザーランドビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100101063
【弁理士】
【氏名又は名称】松丸 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100162330
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 幹規
(72)【発明者】
【氏名】青山 淳
(72)【発明者】
【氏名】片田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】椎本 正人
(72)【発明者】
【氏名】杉山 幹人
(72)【発明者】
【氏名】浦上 洋輔
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シングル磁気記録方式において、高信号対ノイズ比を得ることが可能な読み取りヘッドを提供する。
【解決手段】底部シールド層606と、底部シールド層上に形成された磁気抵抗効果素子602と、磁気抵抗効果素子上に形成された最上部シールド層604と、底部シールド層と最上部シールド層との間に配置された1つ又は複数のサイドシールド層608、610と、磁気抵抗効果素子と1つ又は複数のサイドシールド層との間に配置された絶縁層630と、を含む。1つ又は複数のサイドシールド層は、オフトラック方向に磁気抵抗効果素子から非対称に間隔を空け、オフトラック方向に非対称読み取り感度プロファイルを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部シールド層と、
前記底部シールド層上に形成された磁気抵抗効果素子と、
前記磁気抵抗効果素子上に形成された最上部シールド層と、
前記底部シールド層と前記最上部シールド層との間に配置された1つ又は複数のサイドシールド層と、
前記磁気抵抗効果素子と前記1つ又は複数のサイドシールド層との間に配置された絶縁層と、
を含み、
前記1つ又は複数のサイドシールド層は、オフトラック方向に前記磁気抵抗効果素子から非対称に間隔を空け、前記オフトラック方向に非対称読み取り感度プロファイルを有する、磁気読み取りヘッド。
【請求項2】
感度分布の非対称性は、((L10H−R10H))/50Hが0.15以上であると定義され、50Hは、前記感度分布の半値半幅であり、L10H及びR10Hはそれぞれ、感度10%における左及び右の半幅である、請求項1に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項3】
前記磁気抵抗効果素子と前記1つ又は複数のサイドシールド層との間の第1のギャップ長さ及び第2のギャップ長さは、約1nmから約10nmの間である、請求項1に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項4】
前記第1のギャップ長さ及び前記第2のギャップ長さは、左右間で約1.5nm以上異なる、請求項3に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項5】
第1のサイドシールド層及び第2のサイドシールド層は、異なる金属材料を含む、請求項1に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項6】
前記第1のサイドシールド層は、Ni材料を含む左サイドシールドである、請求項5に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項7】
前記第2のサイドシールド層は、CoFe材料を含む右サイドシールドである、請求項6に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項8】
底部シールド層と、
前記底部シールド層上に形成された磁気抵抗効果素子と、
前記磁気抵抗効果素子上に形成された最上部シールド層と、
前記底部シールド層と前記最上部シールド層との間に配置された第1のサイドシールド層と、
前記底部シールド層と前記最上部シールド層との間に配置された第2のサイドシールド層と、
前記第1のサイドシールド層と前記最上部シールド層との間に配置された非磁性層と、
を含む磁気読み取りヘッド。
【請求項9】
前記磁気抵抗効果素子は、((L10H−R10H))/50Hが0.15以上であると定義された感度分布の非対称性を有し、50Hは、前記感度分布の半値半幅であり、L10H及びR10Hはそれぞれ、感度10%における左及び右の半幅である、請求項8に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項10】
前記磁気抵抗効果素子と、前記第1のサイドシールド層及び前記第2のサイドシールド層両方との間に配置された絶縁材料をさらに含む、請求項8に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項11】
前記第1のサイドシールド層及び前記第2のサイドシールド層は、前記磁気抵抗効果素子から非対称に間隔を空ける、請求項10に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項12】
前記第1のサイドシールド層及び前記第2のサイドシールド層は、異なる金属材料を含む、請求項8に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項13】
前記非磁性層は、約1nmから約5nmの間の厚さを有する、請求項8に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項14】
底部シールド層と、
前記底部シールド層上に形成された磁気抵抗効果素子と、
前記磁気抵抗効果素子上に形成された最上部シールド層と、
前記底部シールド層と前記最上部シールド層との間に配置された第1のサイドシールド層と、
前記底部シールド層と前記最上部シールド層との間に配置された第2のサイドシールド層と、
前記第1のサイドシールド層と前記最上部シールド層との間に配置された第1の非磁性層と、
前記第2のサイドシールド層と前記最上部シールド層との間に配置された第2の非磁性層と、
を含み、
前記第1の非磁性層及び前記第2の非磁性層が異なる厚さを有する、磁気読み取りヘッド。
【請求項15】
前記磁気抵抗効果素子は、((L10H−R10H))/50Hが0.15以上であると定義された感度分布の非対称性を有し、50Hは、前記感度分布の半値半幅であり、L10H及びR10Hはそれぞれ、感度10%における左及び右の半幅である、請求項14に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項16】
前記磁気抵抗効果素子と、前記第1のサイドシールド層及び前記第2のサイドシールド層両方との間に配置された絶縁材料をさらに含む、請求項14に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項17】
前記第1のサイドシールド層及び前記第2のサイドシールド層は、異なる金属材料を含む、請求項14に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項18】
前記第1及び第2の非磁性層の厚さは、約1nmから約5nmの間である、請求項14に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項19】
前記第1の非磁性層の厚さは、前記第2の非磁性層の厚さと左右間で約1.5nm以上異なる、請求項18に記載の磁気読み取りヘッド。
【請求項20】
前記非磁性層は、Ru、Rh、Cr、Cu、及びAgから成る群から選択された材料から形成される、請求項18に記載の磁気読み取りヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、一般に、ハードディスクドライブ(HDD)用の磁気ヘッド及び磁気ディスクドライブに関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、シングル磁気記録(SMR)に使用される磁気ヘッド及び磁気ディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの心臓部は、一般的に、回転磁気ディスクと、読み取り及び書き込みヘッドを有するスライダと、回転ディスク上部のサスペンションアームと、サスペンションアームをスイングさせて、回転ディスク上の選択された円形トラック上部に読み取り及び/又は書き込みヘッドを配置させるアクチュエータアームとを含む磁気ディスクドライブである。サスペンションアームは、ディスクが回転していないときには、スライダを付勢してディスク表面に接触させるが、ディスクが回転すると、スライダの空気軸受面(ABS)に隣接した回転ディスクによって空気が渦を巻き、その結果、スライダが、回転ディスクの表面から僅かに距離を置いて空気軸受に乗る。スライダが空気軸受に乗ると、書き込み及び読み取りヘッドを用いて、回転ディスクに磁気模様(magnetic impression)を書き込み、回転ディスクから信号磁界を読み取る。読み取り及び書き込みヘッドは、書き込み及び読み取り機能を実行するためのコンピュータプログラムに従って動作する処理回路(processing circuitry)に接続される。
【0003】
HDDにおける面記録密度が増加するにつれて、より大きな磁気抵抗効果に対する要求が世界的規模での研究努力へとつながってきた。トラック幅が記録ヘッドのサイズ縮小の結果として狭くなった従来の垂直磁気記録(PMR)方式では、記録ヘッドの更なるサイズ縮小及び生成される磁界強度の向上の両方を達成することが難しい。その結果、様々な改良が行われてきたが、一般的に、約1Tbpsi(テラビット/平方インチ)の記録密度が従来のPMRにおける面記録密度の限界であると考えられている。
【0004】
1Tbpsiを超える記録密度を達成する記録システムはSMRである。SMRでは、トラックの一部がトラック幅方向に重複して記録され、残りの部分がデータトラックとして使用される。トレースの片側が重複して書き込まれるので、広い磁極を有する記録ヘッドを使用することができる。従って、大きな磁界強度を維持しながらトラックピッチを狭くすることができる。SMR方式に使用される読み取りヘッドは、PMR方式に使用される読み取りヘッドと同じでもよい。例えば、スピンバルブデバイスを用いた読み取りヘッドが使用されてもよい。スピンバルブのトラック幅方向に配置された硬質磁性体を備えたハードディスク型読み取りヘッド及びサイドシールド型読み取りヘッドは、一般的に、硬質磁性体の代わりに軟質磁性体を用いることによってトラック幅方向における読み取り感度分布の多様性を減少させようと試みるものである。一般に、これらの読み取りヘッドは、それらの読み取り感度分布がオフトラック方向に対称となるように設計される。
【0005】
SMR方式を用いて記録されたデータトラックの信号分布及びノイズ分布は、データトラックの両側においてエッジを形成するために使用される方法が異なる結果、必ずしも左右対称とは限らない場合がある。例えば、片側のデータトラックのエッジが上書きすることによって形成され、反対側のエッジが上書きされることによって形成される。オフトラック方向に左右対称な読み取りヘッドが使用される場合、SMR方式では、高信号対ノイズ比(SNR)を得ることができない。高SNRの達成は、一般的に、より高い面密度記録を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、SMR方式において高SNRを得ることが可能な読み取りヘッドの必要性が当該技術分野に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載の実施形態は、一般に、読み取り感度分布がオフトラック方向に非対称となる磁気読み取りヘッドに関する。磁気ヘッドの製造方法も開示される。読み取りヘッドは、素子の周りにオフトラック方向に非対称構造を有する磁気抵抗効果素子を含んでもよく、オフトラック方向の読み取り感度プロファイル(read sensitivity profile)も非対称となり得る。
【0008】
ある実施形態では、磁気読み取りヘッドが提供される。磁気読み取りヘッドは、底部シールド層と、底部シールド層上に形成された磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素子上に形成された最上部シールド層とを含み得る。底部シールド層と最上部シールド層との間に、1つ又は複数のサイドシールド層が配置されてもよい。磁気抵抗効果素子と1つ又は複数のサイドシールド層との間に、絶縁層が配置されてもよい。1つ又は複数のサイドシールド層は、オフトラック方向に磁気抵抗効果素子から非対称に間隔を空けてもよく、オフトラック方向に非対称読み取り感度プロファイルを有し得る。
【0009】
別の実施形態では、磁気読み取りヘッドが提供される。磁気読み取りヘッドは、底部シールド層と、底部シールド層上に形成された磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素子上に形成された最上部シールド層とを含み得る。底部シールド層と最上部シールド層との間に、第1のサイドシールド層が配置されてもよく、底部シールド層と最上部シールド層との間に、第2のサイドシールド層が配置されてもよい。第1のサイドシールド層と最上部シールド層との間に、非磁性層が配置されてもよい。
【0010】
さらに別の実施形態では、磁気読み取りヘッドが提供される。磁気読み取りヘッドは、底部シールド層と、底部シールド層上に形成された磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素子上に形成された最上部シールド層とを含み得る。底部シールド層と最上部シールド層との間に、第1のサイドシールド層が配置されてもよく、底部シールド層と最上部シールド層との間に、第2のサイドシールド層が配置されてもよい。第1のサイドシールド層と最上部シールド層との間に、第1の非磁性層が配置されてもよく、第2のサイドシールド層と最上部シールド層との間に、第2の非磁性層が配置されてもよい。第1の非磁性層及び第2の非磁性層は、異なる厚さを有し得る。
【0011】
本発明の上記の特徴を詳細に理解できるように、上記に簡潔に要約した本発明のより具体的な説明を、その一部が添付の図面に示される実施形態を参照することにより行うことができる。但し、添付の図面は、本発明の代表的な実施形態のみを示し、従って、本発明は他の同等に効果的な実施形態を認め得るので、その範囲を限定するものと見なされるものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】特定の実施形態による、磁気ディスクドライブ例を示す。
図2】特定の実施形態による、図1のディスクドライブの読み取り/書き込みヘッド及び磁気ディスクの側断面図である。
図3】SMR方式で記録されたデータトラックのノイズ分布及びオフトラック方向において対称な読み取り感度分布を模式的に示す。
図4】SMR方式で記録されたデータトラックのノイズ分布及びオフトラック方向において非対称な読み取り感度分布を模式的に示す。
図5】オフトラック方向において非対称な読み取り感度分布を模式的に示す。
図6】磁気読み取りヘッドの模式断面図である。
図7】ギャップ長さと読み取り感度分布の非対称度との関係を示すグラフである。
図8】読み取り感度分布の非対称度とSNRゲインとの関係を示すグラフである。
図9】磁気読み取りヘッドの模式断面図である。
図10】非磁性層厚さと読み取り感度分布の非対称度との関係を示すグラフである。
図11】磁気読み取りヘッドの模式断面図である。
図12】非磁性層厚さの差と読み取り感度分布の非対称度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするために、可能な場合は、図に共通の同一要素を示すのに同じ参照符号を使用した。ある実施形態に開示された要素は、具体的な詳述なしに他の実施形態に対して有利に利用され得ることが考えられる。
【0014】
以下では、本発明の実施形態に関して言及する。但し、本発明は具体的な記載された実施形態に限定されないことを理解されたい。それどころか、本発明を実現及び実施するために、以下の特徴及び要素のいかなる組み合わせも、異なる実施形態に関係するものであろうとなかろうと想定される。さらに、本発明の実施形態が他の可能な解決策及び/又は先行技術に勝る利点を達成し得るが、ある特定の利点が所与の実施形態によって達成されるか否かは、本発明を限定するものではない。従って、以下の局面、特徴、実施形態及び利点は、単なる例示であり、請求項に明確に記載される場合を除き、添付の特許請求の範囲の要素又は限定と見なされない。同様に、「本発明」という言及は、本明細書に開示される発明の内容の一般化として解釈されるものではなく、請求項に明確に記載される場合を除き、添付の特許請求の範囲の要素又は限定と見なされるものではない。
【0015】
本明細書に記載される実施形態は、一般に、読み取り感度分布がオフトラック方向に非対称となる磁気読み取りヘッドに関する。磁気ヘッドの製造方法も開示される。読み取りヘッドは、素子の周りにオフトラック方向に非対称構造を有する磁気抵抗効果素子を含んでもよく、オフトラック方向の読み取り感度プロファイルも非対称となり得る。
【0016】
図1は、例示的HDD100の上面図を示す。HDD100は、1つ又は複数の磁気ディスク110、アクチュエータ120、磁気ディスク110の各々と関連付けられたアクチュエータアーム130、及び筐体150に固定されたスピンドルモータ140を含み得る。1つ又は複数の磁気ディスク110は、図1に示されるように垂直方向に配置されてもよい。さらに、1つ又は複数の磁気ディスクは、スピンドルモータ140と結合されてもよい。
【0017】
磁気ディスク110は、ディスクの上面及び下面の両方に円形のデータトラックを含み得る。スライダに取り付けられた磁気ヘッド180は、トラックに隣接して位置付けられ得る。各ディスクがスピンする際に、データがデータトラックに書き込まれ得る及び/又はデータトラックから読み取られ得る。磁気ヘッド180は、アクチュエータアーム130に結合され得る。アクチュエータアーム130は、磁気ヘッド180をある特定のデータトラックに隣接して配置させるためにアクチュエータ軸131の周りを旋回するように構成され得る。
【0018】
図2は、スライダ201上に取り付けられ、磁気ディスク202に対向する読み取り/書き込みヘッド200の中心を通る分解側断面図である。読み取り/書き込みヘッド200及び磁気ディスク202は、図1に示される磁気ヘッド180及び磁気ディスク110にそれぞれ対応し得る。磁気ディスク202は、ディスク基板208上に形成された「軟質(soft)」又は比較的低保磁力の透磁性下地層(PL)206上に垂直磁気データ記録層(RL)204を含む「二層式(dual-layer)」媒体でもよい。読み取り/書き込みヘッド200は、ABS、磁気書き込みヘッド210及び磁気読み取りヘッド211を含み、ABSが磁気ディスク202に対向するように取り付けられてもよい。図2では、ディスク202は、矢印232によって示される方向に書き込みヘッド210を通過し得る。読み取り/書き込みヘッド200を支持するスライダ201の部分は、しばしば、スライダの「トレーリング」端部203と呼ばれる。
【0019】
磁気読み取りヘッド211は、MRシールドS1とS2との間に配置されたMR感知素子230を含むMR読み取りヘッドでもよい。他の実施形態では、磁気読み取りヘッド211は、MRシールドS1とS2との間に配置されたMTJ感知装置230を含むMTJ読み取りヘッドでもよい。RL204は、垂直に記録され又は磁化された領域を有して図示されており、RL204内に配置された矢印によって示されるように、隣接する領域が磁化方向を有する。隣接する磁化された領域の磁界は、MR(又はMTJ)感知素子230によって記録されたビットとして検出可能である。
【0020】
書き込みヘッド210は、主磁極212及びヨーク216から成る磁気回路を含み得る。書き込みヘッド210は、非磁性材料219内に埋め込まれ、かつヨーク216の周りに巻き付けられた、断面で示される薄膜コイル218も含み得る。ある代替実施形態では、ヨーク216は省かれてもよく、コイル218は、主磁極212の周りに巻き付けられてもよい。書き込み磁極220は、主磁極212に磁気的に接続されてもよく、ディスク202の外面に対向する磁気書き込みヘッド210のABSの一部を定義する端部226を有し得る。
【0021】
書き込み磁極220は、フレア状(flared)の書き込み磁極でもよい。書き込み磁極220は、フレアポイント222、及びABSの一部を定義する端部226を含み得る磁極端224を含み得る。そのフレアは、書き込み磁極220の全高さ(すなわち、書き込み磁極220の端部226から書き込み磁極220の最上部まで)に延在しても、図2に示されるように、フレアポイント222から延在するだけでもよい。ある実施形態では、フレアポイント222とABSとの間の距離は、約30nm〜約150nmでもよい。
【0022】
書き込み磁極220は、書き込み磁極220の幅をABSにおける第1の幅W1からABSから離れた第2の幅W2へと増加させるテーパー状面271を含み得る。ある実施形態では、幅W1は、約60nm〜200nmでもよく、幅W2は、約120nm〜350nmでもよい。テーパー状領域271は、図2においては単一の真っ直ぐな面で示されるが、代替実施形態では、テーパー状領域271は、ABSに対して異なるテーパー角を有する複数のテーパー状面を含んでもよい。
【0023】
このテーパリングは、磁気性能を向上させ得る。例えば、ABSにおける幅W1の減少は、書き込み磁極220によって生成される磁界を磁気ディスク202の望ましい部分上部に集中させることができる。つまり、ABSにおける書き込み磁極220の幅W1の減少は、望ましいトラックに隣接するトラックが書き込み動作中に誤って変えられる確率を減少させる。
【0024】
ABSにおいては書き込み磁極220の小さな幅が望ましい場合があるが、ABSから離れた場所では、書き込み磁極220がより大きな幅を有することが望ましい場合がある。ABSに対して概ね平行な方向に書き込み磁極220の厚さをより大きく設けることによって、ABSから離れた書き込み磁極220のより大きな幅W2は、書き込み磁極220への磁束を増加させ得る。動作中には、書き込み電流は、コイル218を通過し、書き込み磁極220から、RL204を通過し(それによって書き込み磁極220の下のRL204の領域を磁化する)、PL206によって提供される磁束戻り経路を通過して上部戻り磁極250に戻る磁界(点線228によって示される)を誘起する。ある実施形態では、書き込み磁極220の磁束が大きい程、RL204の望ましい領域に正確に書き込む確率が高くなる。
【0025】
図2は、非磁性ギャップ層256によって書き込み磁極220から分離され得る上部戻り磁極又は磁気シールド250の一実施形態をさらに示す。磁気シールド250は、実質的に全てのシールド材料がトレーリング端部203上にあるトレーリングシールドでもよい。代替的に、磁気シールド250は、シールドがトレーリング端部203を覆い、かつ書き込み磁極220の側面の周りに巻き付くラップアラウンドシールド(wrap-around shield)でもよい。図2は、読み取り/書き込みヘッド200の中心を通る断面図であるので、それは、トレーリング及びラップアラウンドの実施形態の両方を示す。
【0026】
ABS付近では、非磁性ギャップ層256は、その厚さが小さくなっており、シールドギャップスロート258を形成し得る。スロートギャップ幅は、一般的に、ABSにおける書き込み磁極220と磁気シールド250との間の距離として定義される。シールド250は、透磁性材料(Ni、Co及びFe合金(Ni, Co, and Fe alloys)等)から形成されてもよく、ギャップ層256は、非磁性材料(Ta、TaO、Ru、Rh、NiCr、SiC又はAl等)から形成されてもよい。ギャップ材料におけるテーパー260により、ABSにおけるスロートギャップ幅からテーパー260の上部の最大ギャップ幅へと漸進的な移行が提供される。幅におけるこの漸進的移行は、シールド250の飽和を回避しながら書き込み磁極220からのより大きな磁束密度を可能にする、非磁性ギャップ層におけるテーパー状のへこみを形成する。
【0027】
テーパー260は、図2に示されるよりも多く又は少なく延在し得ることを理解されたい。テーパーは、最大ギャップ幅がABSと反対側のシールドの端部に存在するように、ABSの反対側のシールド250の端部(不図示)まで上方に延在してもよい。ギャップ層の厚さは、ABSにおける第1の厚さ(スロートギャップ幅)からABSから第1の距離にあるより大きな厚さへと増加し、ABSから第2の距離(第1の距離よりも大きい)にある最大厚さまで増加する。
【0028】
図3は、SMR方式で記録されたデータトラックのオフトラックノイズ分布を模式的に示す。上述したように、オフトラック方向に左右対称な読み取りヘッドが使用された場合、SMR方式において高いSNRを得ることができない。点線は、現代の読み取りヘッドの感度分布を模式的に示す。感度分布は、オフトラック方向に対称であるが、ノイズ分布は非対称である。ノイズ分布は、SMR方式において、記録されるデータトラックの両側のエッジの形成方法が異なるので、非対称である。図3に示されるように、上書きされる側のデータトラックのエッジのノイズが高い傾向がある。
【0029】
図4は、オフトラック方向において非対称な読み取りヘッドの読み取り感度分布を模式的に示す。読み取り感度は、ノイズが大きな側のエッジにおいて低下し得る。非対称分布を達成するためには、読み取りヘッドは、以下により詳細に記載されるように構成され得る。
【0030】
図5は、非対称な読み取り感度分布を模式的に示す。感度分布の半値半幅(HWHM)は50Hと定義される。感度10%における左右の半幅は、それぞれL10H及びR10Hと定義される。読み取り感度分布の非対称性によって高SNRを得るためには、読み取り感度分布の非対称性「((L10H−R10H)/50H)が0.15以上」が使用され得る。
【0031】
図6は、磁気ヘッド600の模式断面図である。各層の厚さ及び各層の幅は、単なる例であり、各層は、より厚く/より薄く、及び/又は、より広く/より狭くてもよい。読み取りヘッドでもよい磁気ヘッド600は、最上部シールド層604、底部シールド層606、左サイドシールド層608、及び右サイドシールド層610を含み得る。底部シールド層606は、強磁性材料又は「軟(soft)」磁性材料を含み得る。利用され得る適切な強磁性材料は、Ni、Fe、Co、NiFe、NiCoFe、NiCo、CoFe及びこれらの組み合わせを含む。
【0032】
磁気ヘッド600は、スピンバルブデバイス、例えばTMR素子602も含み得る。TMR素子602(磁気抵抗効果素子)は、底部シールド層606、基板層618、反強磁性層620、ピン止め磁性層(pinned magnetic layer)622、障壁層624、自由磁化層626、キャッピング層628、及び最上部シールド層604を上記の順番で積層して含み得る。基板層618は、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、又は化学蒸着(CVD)等の様々な蒸着プロセスによって、底部シールド層606上に形成され得る。基板層618は、Ta、Ru及びそれらの組み合わせを含んでもよく、約3nm等の約1nm〜約5nmの厚さを有し得る。
【0033】
反強磁性層620は、基板層618上に形成されてもよく、PtMn、IrMn、イリジウム、又はロジウム等の材料を含み得る。反強磁性層620の厚さは、約4nm等の約2nm〜約6nmでもよい。ピン止め磁性層622は、反強磁性層620の上に形成されてもよく、単一ピン止め、反平行ピン止め、自己ピン止め又は反強磁性ピン止めセンサ等の幾つかの種類のピン止め層の内の1つでもよい。簡潔さを目的として、センサは、本明細書において、第1の反平行層、第2の反平行層、及びその間に挟持されるRu等の非磁性反強磁性結合層を有する、反平行ピン止め反強磁性ピン止めセンサとして記載される。第1及び第2の反平行層は、例えばNiFe又はCoFe等の幾つかの磁性材料から構成することができ、反強磁性材料層との第1の反平行層の交換結合によってピン止めされる磁気モーメントを有する。ピン止め磁性層622の厚さは、約2nm等の約1nm〜約3nmもよい。
【0034】
障壁層624は、ピン止め磁性層622の上に形成されてもよく、MgO又はAlO(すなわちアルミナ)等の絶縁材料を含んでもよく、約1nmの厚さを有してもよい。自由磁化層626は、障壁層624の上に形成されてもよく、Co、CoFe、CoFeB、CoFeNiB、NiFe又はこれらの組み合わせ等の強磁性材料を含んでもよく、約6nm等の約2nm〜約10nmの厚さを有してもよい。キャッピング層628は、自由磁化層626の上に形成されてもよく、Ru又はTa等のTMR素子602を損傷から保護するための材料を含んでもよく、約4nm等の約2nm〜約6nmの厚さを有してもよい。図6に図示したが、キャッピング層628は、特定の実施形態においては必須でなくてもよい。
【0035】
TMR素子602の形成に続き、絶縁層630が底部シールド層606及びTMR素子602の側壁上に堆積され得る。絶縁層630は、酸化アルミニウム等の絶縁材料を含み得る。絶縁層630は、ALD、CVD、スパッタリング等の周知の堆積方法によって堆積され得る。絶縁層630が堆積された後、左シールド層608及び右シールド層610がTMR素子602の左側及び右側にそれぞれ形成され得る。しかしながら、絶縁層630は、サイドシールド層608、610とTMR素子602との間に配置されてもよい。サイドシールド層608、610は、Ni、Fe、NiFe、CoFe、NiCoFe、及びこれらの組み合わせ等の材料を含み得る。サイドシールド層608、610は、異なる材料を含んでもよい。例えば、左サイドシールド層608は、Niを含んでもよく、右サイドシールド層610は、CoFeを含んでもよい。さらに、サイドシールド層608、610は、最上部シールド層604に強磁性結合されてもよい。従って、サイドシールド層608、610は、最上部シールド層604に接触してもよい。
【0036】
最上部シールド層604は、1つ又は複数の層を含んでもよい。例えば、最上部シールド層604は、(上述したように)サイドシールド層608、610に強磁性結合され得る第1の層616、第2の層612、及び第1の層616と第2の層612との間に配置され得る第3の層614を含み得る。第1の層616及び第2の層612は、NiFe等の第1の材料から形成されてもよく、第3の層614は、Ru等の第1の材料とは異なる第2の材料から形成されてもよい。
【0037】
サイドシールド層608、610は、様々な長さ分、TMR素子602から間隔を空けてもよい。ギャップとして知られる長さは、絶縁材料630によって占有され得る。左シールド層608と自由磁化層626との間の第1のギャップ長さLG1と、右シールド層610と自由磁化層626との間の第2のギャップ長さLG2とは、式(LG1−LG2)>1.0nm(式1)によって定義される範囲内でもよい。第1のギャップ長さLG1及び第2のギャップ長さLG2はそれぞれ、適切な読み取りの利用及びドメイン制御性を有するように約1.0nm〜約10nmでもよい。
【0038】
図7は、ギャップ長さの差と読み取り感度分布の非対称度との関係を示す。このグラフでは、LG2は、2.0nmであり、LG1は増加する。非対称度は、ギャップ長さの差が増加するにつれて増加することが分かる。シールド効果の大きさがギャップ長さに依存すると考えられるので、この結果が得られ得る。
【0039】
図8は、非対称度とSNRゲインとの関係をグラフで示す。SNRゲインは、対称感度分布を用いて得られたSNRと比較した増加量として定義され得る。SNRは、実際に測定された信号分布、ノイズ分布、及び様々な非対称度を有する感度分布を用いて計算されたものである。SMR方式を用いて記録されたデータトラックのトラックピッチは、52nmであり、全感度分布の読み取り感度幅は、28.5nmであった。非対称度が0.15を超えると、SNRの大幅な向上が得られ得ることが分かる。従って、図7のギャップ長さの差と読み取り感度分布の非対称度との関係から、読み取りヘッドにおいて(LG1−LG2)>1.0nmの時、向上したSNRが得られ得ることが分かる。
【0040】
図9は、磁気ヘッド900の模式断面図である。磁気ヘッド900は、非磁性層902が右シールド層610と最上部シールド層604との間に配置され得る点を除いては、図6に示される磁気ヘッド600と実質的に類似し得る。非磁性層902は、Ru、Rh、Cr、Cu、Ag,及びこれらの組み合わせ等の材料から形成されてもよい。非磁性層902の厚さは、約1nm〜約5nmでもよい。磁界が自由磁化層626と平行に印加されるように、軟バイアス磁界が形成されてもよい。
【0041】
図10は、非磁性層902の厚さと読み取り感度分布の非対称度との関係をグラフで示す。非磁性層902の厚さが増加するにつれ、非対称度も増加することが分かる。この結果は、右シールド層610と最上部シールド層604との磁気結合が弱まるにつれて、右シールド層610の有効透磁率が増加し、シールド効果の大きさが変化することから得られる。図8の読み取り感度分布の非対称度とSNRゲインとの関係から、読み取りヘッドにおいて非磁性層902の厚さが約1.0nm以上になると、向上したSNRが得られ得ることが分かる。
【0042】
図11は、磁気ヘッド1100の模式断面図である。磁気ヘッド1100は、第1の非磁性層1102が右シールド層610と最上部シールド層604との間に配置され得る、並びに、第2の非磁性層1104が左シールド層608と最上部シールド層604との間に配置され得る点を除いては、図9に示される磁気ヘッド900と実質的に類似し得る。第1の非磁性層1102は、第2の非磁性層1104の厚さを超える厚さを有し得る。厚さと読み取り感度分布の非対称度との関係を、図12を参照して以下に説明する。
【0043】
図12は、非磁性層1102、1104の厚さの差と読み取り感度分布の非対称度との関係をグラフで示す。第2の非磁性層1104及び第1の非磁性層1102の厚さの差(左右間)が約1.5nm以上の時、SNRの大幅な向上が得られ得る。1つの側が強磁性結合される図9の磁気ヘッド900と比較して、両側が強磁性結合されない場合、読み取り感度分布の非対称性における左右差を達成することは難しい場合がある。従って、上記のように、所望の非対称性を達成するために、第1の非磁性層1102と第2の非磁性層1104との間の約1.5nm以上の厚さの差が設けられ得る。
【0044】
要するに、非対称読み取り感度分布を達成するためには、磁気ヘッドは、幾つかの方法で構成され得る。ある実施形態では、磁気ヘッドは、自由磁化層とTMR素子の両側に形成されたサイドシールド層との間のオフトラック方向の非対称ギャップを備えて構成され得る。各ギャップは、約1.0nm〜約10nmでもよく、左右間で1.0nm以上異なってもよい。別の実施形態では、約1.0nm〜約5nmの厚さを有する非磁性層が、TMR素子の両側に形成されたサイドシールド層と最上部シールド層との間に片側にのみ形成されてもよい。代替的に、非磁性層は、サイドシールド層と最上部シールド層との間に両側に配置されてもよく、約1.0nm〜約5nmの間でもよい。この実施形態における非磁性層の厚さは、左右間で約1.5nm以上異なってもよい。
【0045】
上記は本発明の実施形態に向けられたものであるが、本発明の他の及び更なる実施形態を本発明の基本範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0046】
100 HDD
110 磁気ディスク
120 アクチュエータ
130 アクチュエータアーム
131 アクチュエータ軸
140 スピンドルモータ
150 筐体
180 磁気ヘッド
200 読み取り/書き込みヘッド
201 スライダ
202 磁気ディスク
202 磁気ディスク
203 トレーリング端部
208 ディスク基板
210 磁気書き込みヘッド
211 磁気読み取りヘッド
212 主磁極
216 ヨーク
218 薄膜コイル
219 非磁性材料
220 書き込み磁極
222 フレアポイント
224 磁極端
226 端部
228 点線
230 感知素子
232 矢印
250 上部戻り磁極
256 非磁性ギャップ層
258 シールドギャップスロート
260 テーパー
271 テーパー状領域
600 磁気ヘッド
602 磁気抵抗効果素子
604 最上部シールド層
606 底部シールド層
608 左サイドシールド層
610 右サイドシールド層
612 第2の層
614 第3の層
616 第1の層
618 基板層
620 反強磁性層
622 ピン止め磁性層
624 障壁層
626 自由磁化層
628 キャッピング層
630 絶縁層
900 磁気ヘッド
902 非磁性層
1100磁気ヘッド
1102第1の非磁性層
1104第2の非磁性層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】
2015088215000001.pdf