特開2015-88405(P2015-88405A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-88405(P2015-88405A)
(43)【公開日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20150410BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20150410BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20150410BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
   H01R13/42 F
   H01R13/64
   H01R13/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-228083(P2013-228083)
(22)【出願日】2013年11月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(72)【発明者】
【氏名】末光 佳史
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FC32
5E021FC36
5E021FC38
5E021HC09
5E021HC31
5E021JA05
5E021KA15
5E087EE02
5E087EE11
5E087FF02
5E087FF06
5E087GG15
5E087GG22
5E087HH01
5E087RR29
5E087RR36
(57)【要約】
【課題】 ヒンジタイプのリテーナの構造を見直すことにより、ハウジングの側壁上のスペースを有効に活用できるコネクタを提供する。
【解決手段】 コンタクト12を保持し、コンタクト12を囲む壁を有するハウジング11と、ハウジング11の壁にヒンジ23を介して揺動可能に形成され、コンタクト12をハウジング11に対して係止するリテーナ21と、を備え、リテーナ21は、リテーナ21がコンタクト12を係止している状態でハウジング11の壁の表側に向けて突出するロック突起26を有することを特徴とするコネクタ10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトを保持し、前記コンタクトを囲む壁を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記壁にヒンジを介して揺動可能に形成され、前記コンタクトを前記ハウジングに対して係止するリテーナと、を備え、
前記リテーナは、前記リテーナが前記コンタクトを係止している状態で前記ハウジングの前記壁の表側に向けて突出する突起を有する、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記突起は、相手コネクタのハウジングに形成された係止部を係止する、
請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトをハウジングに対して係止する二次係止用のヒンジタイプのリテーナを備えた電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタのハウジングには、コンタクトがハウジングから抜けるのを防止するためにランスと、ハウジングにコンタクトを係止するリテーナとが設けられる。
リテーナは、ハウジングとは別体に形成されてハウジングに装着されるタイプと、ハウジングの側壁にヒンジを介して揺動可能に形成されるタイプ(例えば、特許文献1)とに区別される。
後者であるヒンジタイプのリテーナは、射出成形によりハウジングと一体に形成されるので、ハウジングとは別体とされるリテーナと比べて部品点数を削減できる利点を有する。
このヒンジタイプのリテーナは、ハウジングの側壁の開口を介して一部がハウジング内に突出し、コンタクトを係止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−142089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のヒンジタイプのリテーナは、ハウジングの側壁の一面や二面に形成されており、各面において所定の領域を占有する。このため、コネクタの他の機能部位、例えば、相手コネクタとのロックを担う係止部の位置が制約されてしまう。
そこで、本発明は、ヒンジタイプのリテーナの構造を見直すことにより、ハウジングの側壁上のスペースを有効に活用できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコネクタは、コンタクトを保持し、コンタクトを囲む壁を有するハウジングと、ハウジングの壁にヒンジを介して揺動可能に形成され、コンタクトをハウジングに対して係止するリテーナと、を備える。
そして、本発明は、リテーナは、リテーナがコンタクトを係止している状態でハウジングの壁の表側に向けて突出する突起を有することを特徴とする。
本発明のコネクタにおける突起は、例えば、相手コネクタのハウジングに形成された係止部を係止する部材として好適に用いることができる。
【0006】
本発明では、ハウジングの壁の領域を新たに費やすことなく、コネクタに必要な、リテーナの機能とは異なる別機能をリテーナの突起に与えることができる。これによって、リテーナが占有するハウジングの壁の領域が、コンタクトをハウジングに対して係止する機能と、突起が果たす機能とに兼用される。
したがって、ハウジングの壁面のスペースが有効に活用されるとともに、別機能を担う部材を設ける位置がリテーナにより制約されることが解消する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコネクタによれば、ハウジングの側壁上のスペースが有効に活用されるので、コネクタに必要な機能を担う部位の位置の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)〜(d)のいずれも本発明の実施形態に係るメスコネクタを示す図である。
図2】メスコネクタのリテーナの動作を示す断面図である(図1のII−II線断面図)。
図3】嵌合されたメスコネクタとオスコネクタとを示す図である。(a)は斜視図、(b)は平面図である。
図4】嵌合されたメスコネクタとオスコネクタとを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図4を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すコネクタ10(メスコネクタ)は、ハウジング11と、ハウジング11により保持される複数のメス型のコンタクト12(図4)とを備える。
ハウジング11は、コンタクト12を収容する複数のキャビティ13と、キャビティ13内に収容されるコンタクト12を係止するリテーナ21,22とを備える。
ハウジング11は、射出成形によって直方体状の外形に形成されており、矩形状の4つの側壁15〜18を有する。
【0010】
キャビティ13は、ハウジング11を前端11Aから後端11Bまで貫通する(図4)。キャビティ13の後端からは、コンタクト12に接続された図示しない電線が引き出される。
【0011】
リテーナ21は、ハウジング11の側壁15に一体に形成される。
リテーナ21は、側壁15上に設定されるヒンジ23と、ヒンジ23を介して側壁15に対して揺動可能とされる矩形状のリテーナ板24と、リテーナ板24の裏面24Bに設けられる押さえ部25と、リテーナ板24の表面24Aに設けられるロック突起26とを備える。
【0012】
ヒンジ23は、薄肉に形成されることでリテーナ板24の揺動を可能とする。ヒンジ23は、本実施形態ではコネクタ10の前後方向に直交する方向に沿っていて、リテーナ板24の後方に位置する。
リテーナ板24は、ヒンジ23を中心として揺動可能とされる。リテーナ板24は、ヒンジ23を介して側壁15に連続する。
リテーナ板24は、表面24Aが押し込まれることで、側壁15に形成された矩形状の開口151を塞ぐ。このときリテーナ板24の前端が側壁15に重ねられる。
【0013】
押さえ部25は、リテーナ板24が押し込まれると側壁15の開口151を介してハウジング11内に突出し、コンタクト12をハウジング11に対して係止する。押さえ部25は。コンタクト12をハウジング11に対して係止するリテーナ21の基本機能を担う部位である。
押さえ部25は、コネクタ10の前後方向に沿って延びる複数の突条251から形成される。突条251は、リテーナ21の直下に位置する複数のコンタクト12の各々に対応しており、本実施形態では3つ設けられる。
各突条251は、ヒンジ23を始端とし、リテーナ板24の前端の手前に位置する終端まで延在する。各突条251は、ヒンジ23から前方に向けて次第に背が高くなるように形成される。
【0014】
ロック突起26は、リテーナ板24の表面24Aから突出する。ロック突起26は、コネクタ10が嵌合される相手コネクタ70のロックアーム73(図4)を係止する。
ロック突起26には、表面24Aに対して傾斜した斜面26Aが形成される。
【0015】
リテーナ22は、側壁15と対向する側壁17に一体に形成される。
リテーナ22は、ロック突起26を有していない点を除いてリテーナ22と同様に構成される。
【0016】
コンタクト12は、図4に示すように、金属板を筒状に曲げて形成されたもので、壁体を切り起こして形成された接点部12Aと、コンタクト12をハウジング11に係止するランス12Bとを有する。
ランス12Bは、ハウジング11に形成された係止部14に係止されることで、コンタクト12をハウジング11に一次的に係止する。
【0017】
コンタクト12は、上述のリテーナ21,22によりハウジング11に対して押さえられることで、ハウジング11に二次的に係止される。
リテーナ21,22は、射出成形の金型から取り出された状態では、図2(a)に示すように、側壁15,17に対して少し開いている。
リテーナ21,22の破損を避けるため、図2(b)に示すように、リテーナ21,22をそれぞれ軽く押し、側壁15,17にセットする。このとき突条251の前端が開口151の周縁部に係止される。
このリテーナ21,22のセット工程の前または後で、各キャビティ13内にコンタクト12を挿入する。このときはまだ、リテーナ21,22はコンタクト12を押さえていない。
そして、図2(c)に示すように、リテーナ21,22を同時あるいは順番に押し込むと、キャビティ13内に突出した突条251がコンタクト12に突き当たり、コンタクト12をハウジング11に対して係止する。
以上により、リテーナ21,22によってコンタクト12がハウジング11に係止される。
コンタクト12は、リテーナ21,22により両側から挟まれることで、ハウジング11に確実に保持される。
【0018】
以上で説明したコネクタ10は、図3に示す相手コネクタ(オスコネクタ)70と嵌合される。
相手コネクタ70は、ハウジング71と、コンタクト12に導通される図示しないオス型のコンタクトとを備える。
ハウジング71は、コネクタ10を受け入れる受容空間72を内包する。
ハウジング71の四方の側壁の一つには、上述のリテーナ21が有するロック突起26に係止されるロックアーム73が形成される。
ロックアーム73は、ハウジング71の側壁にスリット74で区画されることで形成される。ロックアーム73の裏側には、突起731が形成される(図4)。
【0019】
コネクタ10と相手コネクタ70とを図4に示すように嵌合させると、ロックアーム73の突起731がリテーナ21のロック突起26を乗り越えて係止される。これによってコネクタ10と相手コネクタ70とが嵌合された状態にロックされる。
【0020】
以上で述べたように、本実施形態は、コンタクト12を二次係止する機能とは異なるロック機能を果たすロック突起26をリテーナ21に設けたものであり、リテーナ21が占有するハウジング11の側壁15の領域が、コンタクト12をハウジング11に対して係止する機能と、ロック突起26が果たすロック機能とに兼用される。
したがって、ハウジング11と一体であるために部品点数を削減できる利点を有するも、ハウジング11の側壁15上に所定の領域を占有するためにコネクタの他の機能部の位置が制約されやすいヒンジタイプのリテーナを採用したコネクタ10にあって、ハウジング11の側壁15のスペースを有効に活用することができる。
また、ハウジングと係止するためのロック突起26をリテーナ21に設けることができるため、従来のコネクタよりも、ロック突起26を設ける箇所、つまり自由度を大きくすることができる。
【0021】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
例えば、コネクタの嵌合ロックに要求される保持力が大きければ、リテーナ21に加えてリテーナ22にもロック突起26を設け、リテーナ21,22のロック突起26,26により、相手コネクタが備える一対のロックアームを係止するように構成することもできる。
また、本発明のコネクタにおいてリテーナの数は問わず、リテーナを一つだけ備えるコネクタも本発明は許容する。
【符号の説明】
【0022】
10 コネクタ
11 ハウジング
11A 前端
11B 後端
12 コンタクト
12A 接点部
12B ランス
13 キャビティ
14 係止部
15〜18 側壁
21 リテーナ
22 リテーナ
23 ヒンジ
24 リテーナ板
24A 表面
24B 裏面
25 押さえ部
26 ロック突起
26A 斜面
70 相手コネクタ
71 ハウジング
72 受容空間
73 ロックアーム
74 スリット
151 開口
251 突条
731 突起
図1
図2
図3
図4