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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-89689(P2015-89689A)
(43)【公開日】2015年5月11日
(54)【発明の名称】気動車
(51)【国際特許分類】
   B61C 9/26 20060101AFI20150414BHJP
   B61C 5/00 20060101ALI20150414BHJP
   B61K 13/00 20060101ALI20150414BHJP
【FI】
   B61C9/26
   B61C5/00
   B61K13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-229080(P2013-229080)
(22)【出願日】2013年11月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 信之
(72)【発明者】
【氏名】谷川 安彦
(72)【発明者】
【氏名】笹内 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】近藤 淳平
(72)【発明者】
【氏名】平野 正敏
(72)【発明者】
【氏名】大庭 拓也
(72)【発明者】
【氏名】上村 裕二
(72)【発明者】
【氏名】仲田 圭吾
(57)【要約】
【課題】万一第1推進軸又は第2推進軸が地面に向けて落下しても、その異常事態を速やかに検知できる気動車を提供すること。
【解決手段】気動車1では、車体20に支持されるディーゼルエンジン10からの駆動力が第1推進軸40に伝達され、第1推進軸40に伝達された駆動力が、台車30Aの第1輪軸31に伝達されると共に、第2推進軸60を介して台車30の第2輪軸32に伝達される。第1推進軸40は第1落下防止枠50によって地面に接することが防止され、第2推進軸60は第2落下防止枠70によって地面に接することが防止されている。第1落下防止枠50に生じる加速度を測定可能な加速度センサ80Aが設けられている。異常検知装置90は、第1推進軸40と第1落下防止枠50との衝突を判断するための第1しきい値を予め記憶していて、加速度センサ80Aが測定する加速度と第1しきい値とを比較して第1推進軸40が落下したか否かを判断する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に支持されるエンジンからの駆動力が変速機を介して第1推進軸に伝達され、
前記第1推進軸に伝達された駆動力が、第1減速機を介して台車の第1輪軸に伝達されると共に、第2推進軸及び第2減速機を介して台車の第2輪軸に伝達され、
前記車体に取付けられていて前記第1推進軸が地面に接することを防止する第1落下防止枠と、前記第2推進軸が地面に接することを防止する第2落下防止枠とが設けられている気動車において、
前記第1落下防止枠及び前記第2落下防止枠の少なくとも一方に生じる加速度を測定可能な加速度センサが設けられていて、
前記第1推進軸と前記第1落下防止枠との衝突又は前記第2推進軸と前記第2落下防止枠との衝突を判断するための加速度のしきい値を予め記憶していて、前記加速度センサが測定する加速度と前記しきい値とを比較して前記第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したか否かを判断する異常検知装置が設けられていることを特徴とする気動車。
【請求項2】
請求項1に記載された気動車において、
前記第1落下防止枠及び前記第2落下防止枠の少なくとも一方に生じる歪みを測定可能な歪みセンサが設けられていて、
前記異常検知装置は、前記第1推進軸と前記第1落下防止枠との衝突又は前記第2推進軸と前記第2落下防止枠との衝突を判断するための歪みの規定値を予め記憶していて、前記歪みセンサが測定する歪みと前記規定値とを比較して前記第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したか否かを判断することを特徴とする気動車。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された気動車において、
前記第1落下防止枠の下辺部の上面及び前記第2落下防止枠の下辺部の上面の少なくとも一方に、凹凸部分が形成されていて、
前記落下検知装置は、前記加速度センサが測定する加速度が前記しきい値より大きく、且つ前記測定された加速度が前記第1推進軸と前記凹凸部分との衝突によって増幅したこと又は前記第2推進軸と前記凹凸部分との衝突によって増幅したことを検出したときに、前記第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したと判断することを特徴とする気動車。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載された気動車において、
前記台車の台車枠に生じる加速度を測定可能な第1加速度センサが設けられていて、
前記異常検知装置は、前記第1減速機又は前記第2減速機と前記台車枠のストッパとの衝突を判断するための加速度の基準値を予め記憶していて、前記第1加速度センサが測定する加速度と前記基準値とを比較して、前記第1減速機又は前記第2減速機と前記台車枠のストッパとが衝突したか否かを判断することを特徴とする気動車。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載された気動車において、
前記台車の台車枠に生じる加速度を測定可能な第2加速度センサが設けられていて、
前記異常検知装置は、前記第2加速度センサが測定した加速度に対して前記第1推進軸又は前記第2推進軸の自在継手と前記台車枠との衝突による周期性を検出したときに、前記自在継手と前記台車枠とが衝突したと判断することを特徴とする気動車。
【請求項6】
車体に支持されるエンジンからの駆動力が変速機を介して第1推進軸に伝達され、
前記第1推進軸に伝達された駆動力が、第1減速機を介して台車の第1輪軸に伝達されると共に、第2推進軸及び第2減速機を介して台車の第2輪軸に伝達され、
前記車体に取付けられていて前記第1推進軸が地面に接することを防止する第1落下防止枠と、前記第2推進軸が地面に接することを防止する第2落下防止枠とが設けられている気動車において、
前記第1落下防止枠及び前記第2落下防止枠の少なくとも一方に生じる歪みを測定可能な歪みセンサが設けられていて、
前記第1推進軸と前記第1落下防止枠との衝突又は前記第2推進軸と前記第2落下防止枠との衝突を判断するための歪みの規定値を予め記憶していて、前記歪みセンサが測定する歪みと前記規定値とを比較して前記第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したか否かを判断する異常検知装置が設けられていることを特徴とする気動車。
【請求項7】
車体に支持されるエンジンからの駆動力が変速機を介して第1推進軸に伝達され、
前記第1推進軸に伝達された駆動力が、第1減速機を介して台車の第1輪軸に伝達されると共に、第2推進軸及び第2減速機を介して台車の第2輪軸に伝達され、
前記車体に取付けられていて前記第1推進軸が地面に接することを防止する第1落下防止枠と、前記第2推進軸が地面に接することを防止する第2落下防止枠とが設けられている気動車において、
前記第1落下防止枠及び前記第2落下防止枠の少なくとも一方に生じる加速度を測定可能な加速度センサが設けられていて、
前記第1落下防止枠の下辺部の上面及び前記第2落下防止枠の下辺部の上面の少なくとも一方に、凹凸部分が形成されていて、
前記測定された加速度が前記第1推進軸と前記凹凸部分との衝突によって増幅したこと又は前記第2推進軸と前記凹凸部分との衝突によって増幅したことを検出して、前記第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したと判断する異常検知装置が設けられていることを特徴とする気動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンからの駆動力が第1推進軸及び第2推進軸を介して台車の各車輪に伝達される気動車に関し、特に、異常検知装置によって第1推進軸又は第2推進軸が落下したか否かを判断する気動車に関する。
【背景技術】
【0002】
気動車においては、例えば、下記特許文献1に記載されているように、車体の台枠にエンジンが吊り下げられていて、エンジンの駆動力が第1推進軸及び第2推進軸を介して台車の各車輪に伝達される。この気動車の第1推進軸では、図12に示すように、一端部140aがエンジン側の部材(変速機112)に自在継手141を介して連結されていて、他端部140bが台車側の部材(第1減速機133)に自在継手142を介して連結されている。
【0003】
ここで、第1推進軸140の両端部140a,140bの連結では、ボルト締結や溶接が用いられている。このため、仮に第1推進軸140の他端部140bでボルト締結が緩んで脱落したり、溶接部分が切れた場合には、図12の二点鎖線で示したように、第1推進軸140の一端部140a側を基点として、第1推進軸140が落下することになる。この場合、もし落下した第1推進軸140の他端部140bが地面に接すると、第1推進軸140の一端部140aは連結されたままであるため、第1推進軸140が棒高跳びのように跳ね上がる。この結果、第1推進軸140が車体120の台枠120aを突き上げて、非常に危険な状態になるおそれがあった。
【0004】
従って、従来から、第1推進軸140の一方の端部140a,140bが落下した場合に備え、第1推進軸140が地面に接することを防止する第1落下防止枠150が設けられていた。この第1落下防止枠150は、図13に示すように、第1推進軸140が延びる方向(レール方向)から見て、略U字状に形成された枠体である。
【0005】
そして、第1落下防止枠150は、上端が車体120の台枠120aに取付けられていて、第1推進軸140の中間部140cに対して下辺部150aと左辺部150bと右辺部150cとで囲むようになっている。これにより、万一第1推進軸140が落下しても、第1推進軸140の中間部140cが第1落下防止枠150の下辺部150aに当接して受け止められ、第1推進軸140が地面に接することを防止できるようになっていた。なお、第2推進軸も第1推進軸140と同様、第2落下防止枠に囲まれていて、第2推進軸が地面に接することを防止できるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−347349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の気動車において、以下の問題点がある。即ち、高速走行中に万一第1推進軸140の他端部140bが落下すると、第1推進軸140の一端部140aはエンジン側に連結されているため、第1推進軸140は落下した状態でエンジンから駆動力が伝達される。このとき、仮にエンジンから駆動力の伝達を遮断しなければ、第1推進軸140は回転し続けることになる。一方、高速走行中に万一第1推進軸140の一端部140aが落下したときには、問題が更に大きくなる。
【0008】
つまり、第1推進軸140の一端部140aが落下すると、第1推進軸140の他端部140bは台車側に連結されているため、エンジンから駆動力の伝達を遮断したとしても、台車の大きな慣性により第1推進軸140がしばらくの間回転し続けることになる。これにより、落下した第1推進軸140は、車両の走行中に大きな回転力を持って第1落下防止枠150の下辺部150aに衝突し、第1落下防止枠150の左辺部150b又は右辺部150cにも衝突して、跳ね回ることになる。その結果、第1落下防止枠150が跳ね回る第1推進軸140によって大きく変形し又は破損する可能性を完全には否定できるものではなかった。
【0009】
こうして、第1推進軸140の一方の端部140a,140bが落下したときには、一刻も早く車両の走行を停止する必要がある。しかし、従来では、万一第1推進軸140が落下しても、運転士が第1推進軸140の落下に気付き難く、第1推進軸140の落下を認識しないまま車両の走行を続けるおそれがあった。そして、この問題点は第2推進軸においても同様に生じるおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、万一第1推進軸又は第2推進軸が地面に向けて落下しても、その異常事態を速やかに検知できる気動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る気動車は、車体に支持されるエンジンからの駆動力が変速機を介して第1推進軸に伝達され、前記第1推進軸に伝達された駆動力が、第1減速機を介して台車の第1輪軸に伝達されると共に、第2推進軸及び第2減速機を介して台車の第2輪軸に伝達され、前記車体に取付けられていて前記第1推進軸が地面に接することを防止する第1落下防止枠と、前記第2推進軸が地面に接することを防止する第2落下防止枠とが設けられているものであって、前記第1落下防止枠及び前記第2落下防止枠の少なくとも一方に生じる加速度を測定可能な加速度センサが設けられていて、前記第1推進軸と前記第1落下防止枠との衝突又は前記第2推進軸と前記第2落下防止枠との衝突を判断するための加速度のしきい値を予め記憶していて、前記加速度センサが測定する加速度と前記しきい値とを比較して前記第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したか否かを判断する異常検知装置が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る気動車によれば、万一第1推進軸の一方の端部が外れて第1推進軸が地面に向けて落下すると、第1推進軸が第1落下防止枠の下辺部に衝突して、第1落下防止枠に衝撃による加速度が作用する。同様に、万一第2推進軸の一方の端部が外れて第2推進軸が地面に向けて落下すると、第2推進軸が第2落下防止枠の下辺部に衝突して、第2落下防止枠に衝撃による加速度が作用する。この場合、異常検知装置が、加速度センサが測定する加速度としきい値とを比較することで、第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したことを速やかに検知することができる。
【0013】
また、本発明に係る気動車において、前記第1落下防止枠及び前記第2落下防止枠の少なくとも一方に生じる歪みを測定可能な歪みセンサが設けられていて、前記異常検知装置は、前記第1推進軸と前記第1落下防止枠との衝突又は前記第2推進軸と前記第2落下防止枠との衝突を判断するための歪みの規定値を予め記憶していて、前記歪みセンサが測定する歪みと前記規定値とを比較して前記第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したか否かを判断しても良い。
この場合には、異常検知装置が、加速度センサに加えて歪みセンサを用いて第1推進軸又は第2推進軸が落下したかを判断するため、第1推進軸の落下又は第2推進軸の落下をより確実に検知することができる。
【0014】
また、本発明に係る気動車において、前記第1落下防止枠の下辺部の上面及び前記第2落下防止枠の下辺部の上面の少なくとも一方に、凹凸部分が形成されていて、前記落下検知装置は、前記加速度センサが測定する加速度が前記しきい値より大きく、且つ前記測定された加速度が前記第1推進軸と前記凹凸部分との衝突によって増幅したこと又は前記第2推進軸と前記凹凸部分との衝突によって増幅したことを検出したときに、前記第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したと判断しても良い。
この場合には、第1推進軸が落下して第1落下防止枠の下辺部に衝突した後、第1推進軸と凹凸部分との衝突によって第1落下防止枠に作用する加速度が増幅する。同様に、第2推進軸が落下して第2落下防止枠の下辺部に衝突した後、第2推進軸と凹凸部分との衝突によって第2落下防止枠に作用する加速度が増幅する。こうして、落下検知装置は、しきい値より大きい加速度と増幅した加速度の両方によって第1推進軸の落下又は第2推進軸の落下を判断するため、誤検知を確実に防止できる。
【0015】
また、本発明に係る気動車において、前記台車の台車枠に生じる加速度を測定可能な第1加速度センサが設けられていて、前記異常検知装置は、前記第1減速機又は前記第2減速機と前記台車枠のストッパとの衝突を判断するための加速度の基準値を予め記憶していて、前記第1加速度センサが測定する加速度と前記基準値とを比較して、前記第1減速機又は前記第2減速機と前記台車枠のストッパとが衝突したか否かを判断しても良い。
この場合には、第1加速度センサと異常検知装置によって、第1減速機又は第2減速機と台車枠のストッパとが衝突する異常事態を検知することができる。
【0016】
また、前記異常検知装置は、前記台車の台車枠に生じる加速度を測定可能な第2加速度センサが設けられていて、前記異常検知装置は、前記第2加速度センサが測定した加速度に対して前記第1推進軸又は前記第2推進軸の自在継手と前記台車枠との衝突による周期性を検出したときに、前記自在継手と前記台車枠とが衝突したと判断しても良い。
この場合には、第1推進軸又は第2推進軸の自在継手と台車枠とが衝突すると、第2推進軸の自在継手に十字状の突起部が形成されているため、第2推進軸の回転周期の約4倍に相当する周期性の加速度が生じる。この周期性の加速度を利用して、第1推進軸又は第2推進軸の自在継手と台車枠とが衝突する異常事態を検知することができる。
【0017】
本発明に係る気動車は、車体に支持されるエンジンからの駆動力が変速機を介して第1推進軸に伝達され、前記第1推進軸に伝達された駆動力が、第1減速機を介して台車の第1輪軸に伝達されると共に、第2推進軸及び第2減速機を介して台車の第2輪軸に伝達され、前記車体に取付けられていて前記第1推進軸が地面に接することを防止する第1落下防止枠と、前記第2推進軸が地面に接することを防止する第2落下防止枠とが設けられているものであって、前記第1落下防止枠及び前記第2落下防止枠の少なくとも一方に生じる歪みを測定可能な歪みセンサが設けられていて、前記第1推進軸と前記第1落下防止枠との衝突又は前記第2推進軸と前記第2落下防止枠との衝突を判断するための歪みの規定値を予め記憶していて、前記歪みセンサが測定する歪みと前記規定値とを比較して前記第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したか否かを判断する異常検知装置が設けられていることを特徴とする。
【0018】
上記した本発明に係る気動車によれば、万一第1推進軸が地面に向けて落下すると、第1推進軸が第1落下防止枠の下辺部に衝突して、この衝突による歪みが歪みセンサによって測定される。同様に、万一第2推進軸が地面に向けて落下すると、第2推進軸が第2落下防止枠の下辺部に衝突して、この衝突による歪みが歪みセンサによって測定される。この場合、異常検知装置が、歪みセンサが測定する歪みと規定値とを比較することで、第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したことを速やかに検知することができる。
【0019】
本発明に係る気動車は、車体に支持されるエンジンからの駆動力が変速機を介して第1推進軸に伝達され、前記第1推進軸に伝達された駆動力が、第1減速機を介して台車の第1輪軸に伝達されると共に、第2推進軸及び第2減速機を介して台車の第2輪軸に伝達され、前記車体に取付けられていて前記第1推進軸が地面に接することを防止する第1落下防止枠と、前記第2推進軸が地面に接することを防止する第2落下防止枠とが設けられているものであって、前記第1落下防止枠及び前記第2落下防止枠の少なくとも一方に生じる加速度を測定可能な加速度センサが設けられていて、前記第1落下防止枠の下辺部の上面及び前記第2落下防止枠の下辺部の上面の少なくとも一方に、凹凸部分が形成されていて、前記測定された加速度が前記第1推進軸と前記凹凸部分との衝突によって増幅したこと又は前記第2推進軸と前記凹凸部分との衝突によって増幅したことを検出して、前記第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したと判断する異常検知装置が設けられていることを特徴とする。
【0020】
上記した本発明に係る気動車によれば、万一第1推進軸が落下すると、第1推進軸が第1落下防止枠の下辺部に衝突した後に、第1推進軸と凹凸部分との衝突によって第1落下防止枠に作用する加速度が増幅する。同様に、万一第2推進軸が落下すると、第2推進軸が第2落下防止枠の下辺部に衝突した後に、第2推進軸と凹凸部分との衝突によって第2落下防止枠に作用する加速度が増幅する。この場合、異常検知装置は、加速度センサによって測定された加速度の増幅度と予め記憶している所定の増幅度とを比較することで、第1推進軸又は前記第2推進軸が落下したことを速やかに検知することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の気動車によれば、万一第1推進軸又は第2推進軸の一方の端部が外れて第1推進軸又は第2推進軸が地面に向けて落下する異常事態が生じても、その異常事態を速やかに検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態の気動車を模式的に示した図である。
図2図1のA部分を拡大した図である。
図3図2のB−B線に沿った断面図である。
図4図2のC−C線に沿った断面図である。
図5】気動車の制御構成を模式的に示した図である。
図6】台車枠のストッパと第1減速機のストッパとの衝突を説明するための図である。
図7】台車枠の下部分と自在継手の十字状の突起部との衝突を説明するための図である。
図8】第2実施形態において歪みセンサが取付けられている状態を示した図である。
図9】第3実施形態において第1落下防止枠の下辺部の上面に凹凸部分が形成されている状態を示した図である。
図10】増幅される加速度を模式的に示した図である。
図11】第3実施形態の変形例を説明するための図である。
図12】第1推進軸と第1落下防止枠と変速機と第1減速機との関係を示した図である。
図13図12のF−F線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
本発明に係る気動車の各実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、第1実施形態の気動車1を模式的に示した図である。また、図2は、図1に示したA部分を拡大した図である。
【0024】
気動車1は、ディーゼルエンジン10の回転出力を駆動力として走行するものであり、図1に示すように、ディーゼルエンジン10と、変速機12と、車体20と、2台の台車30A,30Bと、第1推進軸40と、第1落下防止枠50とを備えている。ディーゼルエンジン10は、台車30Aを走行させるための駆動力を発生するものである。このディーゼルエンジン10は、図2に示すように、車体20の台枠20aに吊り下げられていて、回転出力を変速機12で変速できるようになっている。変速機12には、自在継手41を介して第1推進軸40の一端部40aが連結されている。
【0025】
車体20は、図1に示すように、レール方向に長く延びていて、2台の台車30A,30Bによって空気バネ25を介して支持されている。台車30Aは駆動側の台車であり、レール方向の一方側(図1の左側)に第1輪軸31を有し、レール方向の他方側(図1の右側)に第2輪軸32を有し、第1輪軸31及び第2輪軸32を組付ける台車枠33とを有している。これら第1輪軸31と第2輪軸32の枕木方向の両端には、各車輪31a,32aが組付けられている。台車30Bは従動側の台車であり、レール方向の一方側に第1輪軸36を有し、レール方向の他方側に第2輪軸37を有し、第1輪軸36及び第2輪軸37を組付ける台車枠38とを有している。これら第1輪軸36と第2輪軸37の枕木方向の両端には、各車輪36a,37aが組付けられている。
【0026】
第1推進軸40は、回転することでディーゼルエンジン10が発生した駆動力を伝達するものであり、レール方向に延びていて、車体20の台枠20aより下側に配置されている。第1推進軸40の一端部40a及び他端部40bは、ボルト締結や溶接によって自在継手41,42に連結されていて、揺動可能になっている。自在継手42は第1減速機34に連結されていて、第1減速機34は第1輪軸31に連結されると共に、自在継手43を介して第2推進軸60に連結されている。
【0027】
第2推進軸60は、回転することでディーゼルエンジン10が発生した駆動力を伝達するものであり、レール方向に延びていて、車体20の台枠20aより下側に配置されている。第2推進軸60の一端部60a及び他端部60bは、ボルト締結や溶接によって自在継手43,44に連結されていて、揺動可能になっている。自在継手44は第2減速機35に連結されていて、第2減速機35は第2輪軸32に連結されている。
【0028】
こうして、ディーゼルエンジン10が発生した駆動力は、変速機12を介して第1推進軸40に伝達される。そして、第1推進軸40に伝達された駆動力が、第1減速機34を介して第1輪軸31に伝達されると共に、第2推進軸60及び第2減速機35を介して第2輪軸32に伝達されるようになっている。これにより、第1輪軸31の車輪31a及び第2輪軸32の車輪32aが回転して、気動車1が走行する。ここで、図3は、図2のB−B線に沿った断面図である。
【0029】
第1落下防止枠50は、図3に示すように、第1推進軸40が地面に接することを防止するものであり、車体20の台枠20aより下側に設けられていて、第1推進軸40の中間部40cに対応して配置されている。この第1落下防止枠50は、U字状に形成された鋼製の枠体であり、下辺部50aと左辺部50bと右辺部50cとで第1推進軸40の中間部40cを囲んでいて、左辺部50bと右辺部50cの上端が台枠20aに取付けられている。図4は、図2のC−C線に沿った断面図である。
【0030】
第2落下防止枠70は、図4に示すように、第2推進軸60が地面に接することを防止するものであり、車体20の台枠20aより下側に設けられていて、第2推進軸60の中間部60cに対応して配置されている。この第2落下防止枠70は、U字状に形成された鋼製の枠体であり、下辺部70aと左辺部70bと右辺部70cとで第2推進軸60の中間部60cを囲んでいて、左辺部50bと右辺部50cの上端が台車30Aの牽引梁(図示省略)に取付けられている。なお、第2落下防止枠70の取付位置は適宜変更可能であり、車体20の台枠20aに取付けられていても良い。
【0031】
ところで、上述したように、第1推進軸40及び第2推進軸60の両端部40a,40b、60a,60bの連結では、ボルト締結や溶接が用いられている。このため、仮に第1推進軸40の他端部40bや自在継手42で、ボルト締結が緩み脱落したり溶接部分が切れた場合には、第1推進軸40の一端部40a側を基点として、推進軸40の他端部40bが落下することになる。このとき、第1落下防止枠50の下辺部50aが、落下する第1推進軸40の中間部40cを受け止めて、第1推進軸40が地面に接することを防止できる。
【0032】
ここで、高速走行中に万一第1推進軸40の他端部40bが落下すると、第1推進軸40の一端部40aはディーゼルエンジン10側に連結されているため、第1推進軸40は落下した状態でディーゼルエンジン10から駆動力が伝達される。このとき、仮にディーゼルエンジン10から駆動力の伝達を遮断しなければ、第1推進軸40は回転し続けることになる。また、高速走行中に万一第1推進軸40の一端部40aが落下したときには、問題が更に大きくなる。
【0033】
つまり、第1推進軸40の一端部40aが落下すると、第1推進軸40の一端部40aは台車30A側に連結されているため、ディーゼルエンジン10から駆動力の伝達を遮断したとしても、車両の大きな慣性により第1推進軸40がしばらくの間回転し続ける。これにより、落下した第1推進軸40は、車両の走行中に大きな回転力を持って第1落下防止枠50の下辺部50aに衝突し、左辺部50b又は右辺部50cにも衝突して、跳ね回ることになる。その結果、第1落下防止枠50が跳ね回る推進軸40によって大きく変形し又は破損する可能性を完全に否定できるものではなかった。そして、第2推進軸60の一端部60a又は他端部60bが落下しても、同様の問題が生じるおそれがあった。
【0034】
こうして、第1推進軸40の一方の端部40a,40b、又は第2推進軸60の一方の端部60a,60bが落下したときには、一刻も車両の走行を停止する必要がある。しかし、従来では、万一第1推進軸40又は第2推進軸60が落下しても、運転士が第1推進軸40の落下又は第2推進軸60の落下に気付き難く、その落下を認識しないまま車両の走行を続けたり、ディーゼルエンジン10からの駆動力の伝達が維持されるおそれがあった。
【0035】
そこで、本実施形態の気動車1は、万一第1推進軸40又は第2推進軸60が落下したときでも、その異常事態を速やかに検知することができるように構成されている。ここで、図5は、気動車1の制御構成を模式的に示した図である。図5に示すように、この気動車1には、加速度センサ80A,80Bと異常検知装置90とが設けられている。加速度センサ80Aは、車体20に取付けられていて第1落下防止枠50に生じる加速度を測定可能なものであり、加速度センサ80Bは、車体20に取付けられていて第2落下防止枠70に生じる加速度を測定可能なものである。なお、加速度センサ80A,80Bは第1落下防止枠50及び第2落下防止枠70にそれぞれ対応して別個に設けられているが、単一の加速度センサで構成されていても良い。また、加速度センサ80A,80Bは、車体20に取付けられている既存の加速度センサを用いても良く、第1落下防止枠50と第2落下防止枠70に直接取付けられていても良い。
【0036】
異常検知装置90は、加速度センサ80A,80Bが測定する加速度を逐次入力することにより監視していて、第1推進軸40及び第2推進軸60が落下したか否かを判断するものである。気動車1には、車両に搭載されている機器を管理する管理装置100が設けられていて、異常検知装置90から管理装置100には判断結果が送られる。この異常検知装置90は、一定の時間(数msec)毎に得られた加速度に基づいて、異常状態の有無を判断する。
【0037】
そして、予め行われる実験又はシミュレーション等によって、第1推進軸40が落下して第1落下防止枠50と衝突した際に生じる加速度のサンプルデータが得られて、このサンプルデータに基づいて第1推進軸40と第1落下防止枠50との衝突を判断するための第1しきい値が決定されている。異常検知装置90は、この第1しきい値を予め記憶している。これにより、異常検知装置90は、加速度センサ80Aによって測定された加速度と第1しきい値を比較して、測定された加速度が第1しきい値より大きい場合に第1推進軸40が落下したと判断するようになっている。
【0038】
同様に、予め行われる実験又はシミュレーション等によって、第2推進軸60が落下して第2落下防止枠70と衝突した際に生じる加速度のサンプルデータが得られて、このサンプルデータに基づいて第2推進軸60と第2落下防止枠70との衝突を判断するための第2しきい値が決定されている。異常検知装置90は、この第2しきい値を予め記憶している。これにより、異常検知装置90は、加速度センサ80Bによって測定された加速度と第2しきい値を比較して、測定された加速度が第2しきい値より大きい場合に第2推進軸60が落下したと判断するようになっている。こうして、異常検知装置90が第1推進軸40の落下又は第2推進軸60の落下を判断した判定結果が管理装置100に送られると、管理装置100は、乗務員支援モニタ等を利用して運転士に第1推進軸40の落下又は第2推進軸60の落下を報知する。
【0039】
ところで、従来の気動車においては、第1推進軸40及び第2推進軸60以外にも、車体1より下側で生じる衝撃の異常状態に対して、速やかに検知できることが好ましい箇所があった。具体的には、気動車1が加減速したときに、図6のD部分に示すように、台車枠33のストッパ33aと第1減速機34のストッパ34aとが衝突して、台車枠33に衝撃による加速度が発生する可能性があった。また、図7のE部分に示すように、第1減速機34が傾斜して、台車枠33の下部分33bと第2推進軸60の自在継手43の十字状の突起部43aとが衝突して、台車枠33に衝撃による加速度が発生する可能性があった。
【0040】
そこで、本実施形態の気動車1は、上記した異常状態についても速やかに検知できるように構成されている。図5に示すように、台車30Aの台車枠33には、第1衝撃センサ91及び第2衝撃センサ92が取付けられている。この第1衝撃センサ91が本発明の「第1加速度センサ」に相当し、この第2衝撃センサ92が本発明の「第2加速度センサ」に相当する。第1衝撃センサ91は、台車枠33のストッパ33aと第1減速機34のストッパ34aとが衝突したときに生じる加速度を測定可能な加速度センサである。第2衝撃センサ92は、台車枠33の下部分33bと第2推進軸60の自在継手43の十字状の突起部43aとが衝突したときに生じる加速度を測定可能な加速度センサである。なお、第1衝撃センサ91と第2衝撃センサ92は別個設けられているが、単一の加速度センサで構成されていても良く、車体20に取付けられている既存の加速度センサであっても良い。
【0041】
異常検知装置90は、第1衝撃センサ91及び第2衝撃センサ92が測定する加速度を逐次入力することにより監視している。そして、予め行われる実験又はシミュレーション等によって台車枠33のストッパ33aと第1減速機34のストッパ34aとが衝突した際に生じる加速度のサンプルデータが得られていて、このサンプルデータに基づいて上記した衝突を判断するための基準値が決定されている。異常検知装置90は、この基準値を予め記憶している。これにより、異常検知装置90は、第1衝撃センサ91によって測定された加速度と基準値を比較して、この衝撃加速度が基準値より大きい場合に台車枠33のストッパ33aと第1減速機34のストッパ34aとが衝突したと判断するようになっている。
【0042】
一方、台車枠33の下部分33bと自在継手43の十字状の突起部43aとの衝突を判断する際には、衝撃による加速度の大きさだけではなく衝撃による加速度の周期性に着目するようになっている。つまり、自在継手44は第2推進軸60と同じ回転速度で回転するが、突起部43aと台車枠33の下部分33bとが衝突すると、突起部43aは十字状になっているため第2推進軸60の回転周期の約4倍に相当する周期性の加速度が生じる。従って、この周期性の加速度に着目して、異常検知装置90は、第2衝撃センサ92が測定した加速度に対して、第2推進軸60の回転周期の約4倍に相当する周期性の加速度を検出したときに、台車枠33の下部分33bと自在継手43の突起部43aとが衝突したと判断するようになっている。なお、第2推進軸60の回転速度は、車輪31a,32aの回転速度に第2減速機35の減速比を乗算することによって算出される。こうして、異常検知装置90が上述した衝突の判定結果を管理装置100に送ると、管理装置100はこの衝突による異常状態を報知するようになっている。
【0043】
第1実施形態の作用効果について説明する。
第1実施形態の気動車1によれば、万一第1推進軸40の一方の端部40a,40bが外れて第1推進軸40が地面に向けて落下すると、第1推進軸40が第1落下防止枠50の下辺部50aに衝突して、第1落下防止枠50に衝撃による加速度が作用する。同様に、万一第2推進軸60の一方の端部60a,60bが外れて第2推進軸60が地面に向けて落下すると、第2推進軸60が第2落下防止枠70の下辺部70aに衝突して、第2落下防止枠70に衝撃による加速度が作用する。この場合、異常検知装置90が、加速度センサ80A,80Bが測定する加速度と第1しきい値,第2しきい値とを比較することで、第1推進軸40又は第2推進軸60が落下したことを速やかに検知することができる。更に、上述したように、異常検知装置90は、台車枠33のストッパ33aと第1減速機34のストッパ34aとの衝突、台車枠33の下部分33bと自在継手43の十字状の突起部43aとの衝突も速やかに検知することができる。この結果、運転士は、これらの異常事態をすぐに認識することができ、車両の走行を速やかに停止させることができる。
【0044】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様の部分の説明については省略する。第1実施形態では、加速度センサ80A,80Bを用いて第1推進軸40又は第2推進軸60の落下を検知したが、第2実施形態では、歪みセンサを用いて第1推進軸40又は第2推進軸60の落下を検知することに特徴がある。
【0045】
図8は、第2実施形態において歪みセンサ93が取付けられている状態を示した図である。図8に示すように、歪みセンサ93は、車体20の台枠20aのうち第1落下防止枠50の左辺部50bの上端及び右辺部50cの上端に対応する部分に取付けられていて、第1落下防止枠50に生じる歪みを測定可能になっている。なお、歪みセンサ93の取付位置は適宜変更可能であり、第1落下防止枠50に直接取付けられていても良い。
【0046】
そして、予め行われる実験又はシミュレーション等によって、第1推進軸40が落下して第1落下防止枠50と衝突した際に生じる歪みのサンプルデータが得られていて、このサンプルデータに基づいて第1推進軸40と第1落下防止枠50との衝突を判断するための規定値が決定されている。異常検知装置90は、この規定値を予め記憶している。これにより、異常検知装置90は、歪みセンサ93によって測定された歪みが規定値より大きい場合に、第1推進軸40が落下したと判断するようになっている。
【0047】
こうして、第2実施形態では、異常検知装置90が、歪みセンサ93が測定する歪みと規定値とを比較することで、第1実施形態の作用効果と同様、第1推進軸40が落下したことを速やかに検知することができる。なお、上記した説明では、第1落下防止枠50に生じる歪みを測定可能な歪みセンサ93を設けた場合について説明したが、第2落下防止枠70に生じる歪みを測定可能な歪みセンサを設けた場合も同様であるため、その説明を省略する。
【0048】
次に、第2実施形態の変形例について説明する。この変形例では、加速度センサ80A及び歪みセンサ93の両方を用いて第1推進軸40の落下を検知することに特徴がある。つまり、異常検知装置90は、加速度センサ80Aによって測定された加速度が第1しきい値より大きく、且つ歪みセンサ93によって測定された歪みが規定値より大きい場合に、第1推進軸40が落下したと判断するようになっている。こうして、加速度センサ80A及び歪みセンサ93の両方を用いることで、第1推進軸40の落下をより確実に検知することができ、誤検知を確実に防止することができる。
【0049】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と同様の部分の説明については省略する。図9に示すように、第3実施形態では、第1落下防止枠50の下辺部50aの上面50dに凹凸部分50eが形成されている。この凹凸部分50eは、第1推進軸40が落下した後に、第1推進軸40との衝突によって第1推進軸40の回転振動を増幅させるものである。異常検知装置90は、加速度センサ80Aによって測定された加速度が第1推進軸40と凹凸部分50eとの衝突によって所定の増幅度より大きいことを検出したときに、第1推進軸40が落下したと判断するようになっている。なお、所定の増幅度は、予め行われる実験又はシミュレーション等によって最適な値が決定されて、異常検知装置90によって予め記憶されている。
【0050】
こうして、第3実施形態では、万一第1推進軸40が地面に向けて落下すると、第1推進軸40が第1落下防止枠50の下辺部50aに衝突した後に、第1推進軸40と凹凸部分50eとの衝突によって第1推進軸40の回転振動が増幅する。このとき、異常検知装置90は、図10に示すように、測定された加速度が所定の増幅度より大きいことを検出することで、第1実施形態の作用効果と同様、第1推進軸40が落下したことを速やかに検知することができる。
【0051】
また、加速度の増幅度によって第1推進軸40の落下を判断するため、仮に飛び石が第1落下防止枠50に衝突して瞬間的に大きな衝撃が生じても、第1推進軸40が落下したと判断しない。従って、誤検知を確実に防止することができる。なお、上記した説明では、第1落下防止枠50に凹凸部分50eを形成して加速度の増幅を検出する場合について説明したが、第2落下防止枠70に凹凸部分を形成して加速度の増幅を検出する場合も同様であるため、その説明を省略する。
【0052】
次に、第3実施形態の変形例について説明する。この変形例では、異常検知装置90が、加速度センサ80Aによって測定された加速度が第1しきい値より大きく、且つその後に測定された加速度が第1推進軸40と凹凸部分50eとの衝突によって所定の増幅度より大きいことを検出したときに、第1推進軸40が落下したと判断するようになっている。
【0053】
つまり、万一第1推進軸40が地面に向けて落下すると、異常検知装置90は、図11に示すように、先ず第1推進軸40と第1落下防止枠50と衝撃により測定された加速度が第1しきい値α1より大きいことを判断する。その後、第1推進軸40と凹凸部分50eの衝突により第1推進軸40の回転振動が増幅して、異常検知装置90は測定された加速度が所定の増幅度より大きいことを検出する。この結果、異常検知装置90は、第1推進軸40が落下したと判断する。こうして、異常検知装置90が、第1しきい値α1より大きい加速度と増幅した加速度の両方によって第1推進軸40の落下を判断するため、第1推進軸40の落下をより確実に検知することができ、誤検知をより確実に防止することができる。
【0054】
以上、本発明に係る気動車の各実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第1実施形態では、第1減速機34のストッパ34aと台車枠33のストッパ33aとの衝突を検知できるように構成したが、第2減速機35のストッパと台車枠のストッパとの衝突を検知できるように構成しても良い。また、第1実施形態では、第2推進軸60の自在継手43の十字状の突起部43aの衝突を検知するように構成したが、第2推進軸60の自在継手44や第1推進軸40の自在継手41,42の衝突を検知するように構成しても良い。
また、各実施形態及び変形例の特徴をそれぞれ適宜組み合わせて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 気動車
10 ディーゼルエンジン
12 変速機
20 車体
20a 台枠
30A,30B 台車
31 第1輪軸
32 第2輪軸
33 台車枠
34 第1減速機
35 第2減速機
40 第1推進軸
50 第1落下防止枠
50a 下辺部
50e 凹凸部分
60 第2推進軸
70 第2落下防止枠
80A,80B 加速度センサ
90 異常検知装置
91 第1衝撃センサ
92 第2衝撃センサ
93 歪みセンサ
100 管理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13