(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-89996(P2015-89996A)
(43)【公開日】2015年5月11日
(54)【発明の名称】貯留材の集合体を複数配置し、シートで包んだ貯留施設。
(51)【国際特許分類】
E03B 3/02 20060101AFI20150414BHJP
E03B 11/14 20060101ALI20150414BHJP
E03F 1/00 20060101ALI20150414BHJP
【FI】
E03B3/02 Z
E03B11/14
E03F1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-229031(P2013-229031)
(22)【出願日】2013年11月5日
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA01
2D063AA11
2D063AA17
(57)【要約】
【課題】本発明は、貯留材を用いる大規模な貯留施設の築造技術の提供にある。
【解決手段】本発明は、地下に、貯留材を継手を用いて上下左右に接続して貯留材の集合体を形成して貯留空間とし、当該貯留空間をシートで包んだ貯留施設において、前記貯留材の集合体同士を接続することなく配置し、新たな貯留空間とし、前記新たな貯留空間を一体的にシートで包んだ貯留施設である。
貯留材を大量に継手を用いて接続することで蓄積される歪を途中で遮断し、新たに貯留材の接続を開始することで歪の蓄積を防止した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に、貯留材を継手を用いて上下左右に接続して貯留材の集合体を形成して貯留空間とし、当該貯留空間をシートで包んだ貯留施設において、前記貯留材の集合体同士を接続することなく配置し、新たな貯留空間とし、前記新たな貯留空間を一体的にシートで包んだ貯留施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留材を用いる大規模な貯留施設の築造技術に属する。
【背景技術】
【0002】
地下にブロック状の貯留材を上下左右に配置し、貯留材相互間を必要に応じて継手で接続し、シートで包み、貯留空間とした貯留施設が普及している。(特開平9−112792、特開平10−252108)
上記のような貯留材を大量に継手を用いて接続すると、地盤の状態により異なるが次第に歪が溜まり貯留材相互間の接続が困難となる。そのため大規模な貯留施設を築造することが困難となる。かかる問題点を解消する大規模槽の築造作業を容易とする技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−11279
【特許文献2】特開平10−252108
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、貯留材を用いる大規模な貯留施設の築造技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、地下に、貯留材を継手を用いて上下左右に接続して貯留材の集合体を形成して貯留空間とし、当該貯留空間をシートで包んだ貯留施設において、前記貯留材の集合体同士を接続することなく配置し、新たな貯留空間とし、前記新たな貯留空間を一体的にシートで包んだ貯留施設である。
貯留材を大量に継手を用いて接続することで蓄積される歪を途中で遮断し、新たに貯留材の接続を開始することで歪の蓄積を防止した。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、貯留材の集合体同士を接続することなく配置し、新たな貯留空間とし、前記新たな貯留空間を一体的にシートで包んだ貯留施設とした。そのため、貯留施設を築造するに必要なだけ貯留材を接続するときに発生する歪量が許容範囲を超える場合であっても、個々の集合体を形成するときに発生する歪量は許容範囲内に収めることができる。従って大規模な貯留施設の築造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】は、貯留材の接続方法を示す概念
図1である。
【
図3】は、貯留材の接続方法を示す概念
図2である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図により詳細に説明する。
図4に示す従来の貯留施設では、地下に貯留材を継手を用いて左右に接続して貯留材の集合体を形成し貯留空間を形成する。この貯留空間をシートで包むことで貯留施設とする。集合体の数は1個であり、おのずから貯留材の数は歪量が許容範囲内に収まるよう制限される。
本発明の貯留施設は、
図1に示す通り、歪量が許容範囲内に留まるよう貯留材の接続数を制限された集合体を形成し、この集合体同士を接続することなく配置して貯留空間とし、この貯留空間を一体的にシートで包んで形成される。貯留材の集合体はそれ自体が単独で貯留空間となりうるため、この集合体を近接して配置一体化することになんら問題が生じることはない。
【0009】
本発明に使用する貯留材のうち、平盤に脚部の設けられたもの(以下テーブル状貯留材という。
図5a)および縁のある容器内に円錐状の筒が設けられたもの(以下容器状貯留材という。
図5b)を例にして説明する。
【0010】
テーブル状貯留材においては、互いの脚部を対向する状態で配置しそれをユニット(
図2a)としてこのユニットを上下左右に配列するのが普通である。上下方向は歪が蓄積するまで積上げることは一般的にない。大規模槽の築造には左右方向にユニットを多数配置することでその貯留量を確保する。具体的にはテーブル状貯留材の平盤部同士を突き合せ、平盤に設けたメス穴部に平板に凸部を設けたオス継手(
図2b)の凸部を挿入することで接続させる(
図2c)。かかる接続方法のため、多数の平盤を接続すると歪が蓄積し、次第にオス継手がメス継手に挿入することが不可能となる。なお、集合体の頂部の貯留材の接続に使用する継手は
図2bに示す継手で凸部が片方にのみ存在する継手を使用する。図ではテーブル状部材の平盤部の角部を継手で接続しているが、平盤部の縁部を継手で接続することを併用することもできる。
【0011】
容器状貯留材においては、互いの容器の縁部を対向する状態で配置しそれをユニット(
図3a)として上下左右に配列する。上下方向は歪が蓄積するまで積上げることは一般的にないのは上記テーブル状部材と同じである。大規模槽の築造には左右方向にユニットを多数配置することでその貯留量を確保する。具体的には容器状貯留材の縁部同士を突き合せ、縁部に設けたメス穴部に平板に凸部を設けたオス継手(
図3b)の凸部を挿入することで接続させる(
図3c)。かかる接続方法のため、多数の縁部を接続すると歪が蓄積し、オス継手がメス継手に挿入することが不可能となるのも同じである。なお、図示していないが、容器状貯留材の容器底部間を接続する継手も使用することができる。最上部の継手の形状も上記テーブル状貯留材と同様片面にのみ凸部が存在することは同様である。
【0012】
本発明では、貯留材を継手で持って接続して得られる貯留体の集合体の歪量が貯留施設を築造するに問題とならない許容範囲内に押さえる。この集合体を左右に配置して全部の集合体を一体的にシートで包み目的とする貯留施設とする。
シートは浸透が可能な場所に築造する場合は透水シートを用い、浸透させると問題のある場所に築造する場合は遮水シートを用いることは従来の貯留施設と同じである。また必要に応じ本貯留施設に泥だめ枡、導入管、溢流管、排出管、オリフィス枡等の付帯設備を設けることも従来と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0013】
大量の水、例えば雨水、汚染水などの貯留に使用される。
【符号の説明】
【0014】
1 貯留空間
2 集合体
3 貯留材