特開2015-90125(P2015-90125A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015090125-水車発電機 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-90125(P2015-90125A)
(43)【公開日】2015年5月11日
(54)【発明の名称】水車発電機
(51)【国際特許分類】
   F03B 7/00 20060101AFI20150414BHJP
   F03B 3/12 20060101ALI20150414BHJP
   F03B 13/26 20060101ALI20150414BHJP
   F03B 13/10 20060101ALI20150414BHJP
【FI】
   F03B7/00
   F03B3/12
   F03B13/26
   F03B13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-230913(P2013-230913)
(22)【出願日】2013年11月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】栗田 忠幸
【テーマコード(参考)】
3H072
3H074
【Fターム(参考)】
3H072AA13
3H072BB31
3H072CC01
3H074AA08
3H074AA12
3H074BB11
3H074CC12
(57)【要約】
【課題】 水車発電機の発電効率低下を防止する。
【解決手段】 ケース1内に水車3を配置した水車発電機Aを水没させる。水車3は上流側開口部2aからケース1内に流入して下流側開口部2bからケース1外へ流出する水流によって回転する。ケース1内には空気層14が存在し、水車3の上部は空気層14内に露出しているので、水車3の回転を阻害する水圧は存在せず、発電効率の低下を防止することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流を利用して回転する水車の回転軸に発電機を連結し、前記水車を収容するケース内に、水車の上部が水没することを常時阻止する空気層を保持するように構成したことを特徴とする水車発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水流を利用して水車を回転させ、水車に連結した発電機から電気エネルギーを取り出す水力式の発電機において、特に発電機本体を河川や海中に水没させた状態で発電するのに好適な構造を有する水車発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では全電力のうち約10〜15%を水力発電で賄っており、その大部分がダムや溜池或いはタンクなどに水を貯めておき、高所から低所へ落ちる水の流れを利用して水車を回し、これと連結する発電機によって発電する構成の大規模なものである。
【0003】
一方、平成23年3月に発生した東北地方太平洋沖地震による電力供給不安から、国内の再生可能エネルギーへの転換の機運は更に高まりつつあり、水力発電への期待も高まっている。しかし、我が国では上述した大規模な水力発電所が設置できる地点は殆どなくなってきており、また、電力の地産地消の考えの下、今後は比較的小規模な水力発電設備の設置が重要となってくる。
【0004】
小規模な水力発電設備としては、下記特許文献1に示す構成のものが知られている。これは図4に示すように、河川上に水車を配置して、河川の流水を利用して水車を回して発電するものである。このような水力発電設備は、河川への設置が容易であるとともに、比較的少ない水量で発電できる利点を有しており、広く普及している。
【0005】
或いは、下記特許文献2に示す構成のものも公知である。図5に示すように、配管内を流れる流体によって、配管内に配置した水車を回転させて発電する方法である。この方法によれば、大規模な発電設備が不要となり、景観に与える影響を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−202397
【特許文献2】特開平10−318118
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1記載の水力発電設備は、上記利点を有する反面、水車が風の影響を直接受けるので、河川の上流側から下流側に風が吹く場合、水車の上側には水車の回転を妨げる方向の風力が加わるため、水車の回転速度が減少し、発電効率が低下する問題がある。
【0008】
また、上記特許文献2記載の発電機は、水車が配管内に配置されているので、風の影響を受けることはないが、水車が完全に水没しているので、水車の上側は水の抵抗に抗して回転する必要があり、同様に発電効率が低下することとなる。
【0009】
そこで、本発明は、河川や海に設置される羽根車式の水車発電機において、風や水の抵抗を受けることなく水車を良好に回転させ、発電効率の低下を確実に阻止することのできる水車発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の水車発電機は、水流を利用して回転する水車の回転軸に発電機を連結し、前記水車を収容するケース内に、水車の上部が水没することを常に防止する空気層を形成するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の水車発電機によれば、水車はケース内に収容されているので、水車の回転が風によって阻害されることはなく、かつ、水車の上部が水没することを防止することにより、水車の回転が水の抵抗を受けることを防止でき、水車の回転速度の低下を防止できる。その結果、水車による発電効率の低下を確実に阻止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の水車発電機の構成を示す側方縦断面図である。
図2】本発明の水車発電機の構成を示す正面図である。
図3】本発明の水車発電機の設置方法を示す説明図である。
図4】従来の水車発電機の一例を示す斜視図である。
図5】従来の水車発電機の他の一例を示す側方図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図3を用いて説明する。図1は本発明の水車発電機Aの構造を示す側方縦断面図である。図1において、1は例えば、略無底中空直方体形状をなすケースであり、2a,2bはケース1の下部において、水流に対向する面を開放した上流開口部と下流開口部を示している。
【0014】
3はケース1の中空部に設置される水車であり、上流開口部2aからケース1内に流入し下流開口部2bから流出する水流を下部に受けて軸4を中心にして回転する構造を有している。
【0015】
図2図1に示す水車発電機Aを水流の上流側からみた正面図である。水車3の回転軸4はケース1の左右側壁内で図示しない軸受によって支承されてケース1内を回転可能に軸支されており、その中途位置には、第1の歯車5が固定されている。
【0016】
回転軸4の右端上方には、発電機6が載置台7上に搖動不能に固定されており、発電機6の入力軸8の先端には、第1の歯車5と噛合う第2の歯車9が取り付けられている。10は発電機6で発電した電気を外部へ取り出さすための電力線である。上記の如く本発明の水車発電機Aは構成されている。
【0017】
なお、図1図2において、11は水車発電機Aを水中に設置するための設置台であり、設置台11は、例えば薄板四角形状をなしており、その四隅を上下に貫通する支柱12によって水中に支持されている。
【0018】
次に、水車発電機Aを水中にセッティングする方法について図3を用いて説明する。まず、載置台11を上下に貫通する支柱12を、水底或いは水面上の図示しない構造物に対して固定する。
【0019】
その状態で、図3(a)に示すように載置台11上に水車発電機Aを図1図2に示す上流開口部2aおよび下流開口部2bの各々の開口面が水流に対して垂直となる向きで配置する。
【0020】
その後、図示しないハンドルまたは電動機を操作して、載置台11を支柱12の螺子部13(図1図2参照)を利用して、図3(b)に示すように下降させる。さらに下降させると、水車発電機Aは図3(c)に示すように水中に完全に没するので、載置台11の下降を停止し、発電可能な状態とする。
【0021】
このとき、水車発電機A内には、図1に示すように上流開口部2aからケース1内に水が流入するが、ケース1内上部には当初存在した空気層14がそのまま維持した状態で残り、下流開口部2bからケース1外部へ流出することはない。つまり、図3(c)に示す発電可能となった状態において、ケース1内には空気層14が存在し、水車3の上側がケース1内水面15上に露出した状態となる。
【0022】
水車発電機Aによる発電は、図3(c)に示す状態で、図1に示すように水車発電機Aの上流開口部2aから流水がケース1内に流入し水車3の下部に衝突して水車3を図1に示す矢印方向に回転させる。その後、流水は下流開口部2bからケース1外へ流出する。
【0023】
水車3が回転することにより、これを固定する回転軸4は、図2に示すケース1内側壁内に備えられた図示しない軸受を利用してケース1内を回転する。
【0024】
回転軸4の中途位置には、第1の歯車5が備えられているので、回転軸4の回転とともに第1の歯車5も回転し、これと噛合う第2の歯車9を回転させる。
【0025】
第2の歯車9の回転は、入力軸8に伝達され、回転速度に応じた電力が発電機6によって発電される。発電された電力は電力線10を伝って水車発電機Aの外部へ取り出され、種々の目的に利用される。
【0026】
このとき、水車発電機Aの水車3は、その上部がケース1内の空気層14内に存在するので、水流によって回転する水車3の回転動作が、水の存在によって妨げられることはなく、水流のエネルギーを水車3の回転エネルギーに効率よく転換することができる。
【0027】
また、水車3はケース1内の密閉空間に配置されているので、水車3の回転が外気の影響を受けることがなく、風等の影響によって水車3の回転効率が低下することもない。
【0028】
以上説明したように、本発明の水車発電機は、水車の回転が風や水によって阻害されることを回避する構造を採用することによって、発電効率の低下を確実に防止することができる利点を有する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、河川や海など水流がある場所に設置される水車発電機として利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 ケース
2a 上流開口部
2b 下流開口部
3 水車
4 回転軸
5 第1の歯車
6 発電機
7 載置台
8 入力軸
9 第2の歯車
10 電力線
11 設置台
12 支柱
13 螺子部
14 空気層
15 ケース内水面
A 水車発電機
図1
図2
図3
図4
図5