【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のホットメルト接着剤は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とのブロック共重合体及びその水素添加物のうち少なくとも一種を含んでいる熱可塑性ブロック共重合体(A)、及び不飽和カルボン酸類又はその無水物によって酸変性されてなる酸変性石油樹脂(B)を含んでいることを特徴とする。
【0015】
(熱可塑性ブロック共重合体(A))
本発明のホットメルト接着剤は、熱可塑性ブロック共重合体(A)を含んでいる。熱可塑性ブロック共重合体(A)としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とを共重合させてなるブロック共重合体及びその水素添加物が挙げられる。熱可塑性ブロック共重合体(A)は、上記ブロック共重合体及びその水素添加物のうち少なくとも一種を含んでいるが、上記ブロック共重合体及びその水素添加物のうち少なくとも一種のみからなることが好ましい。
【0016】
ビニル芳香族炭化水素とは、分子内にビニル基を有する芳香族炭化水素化合物を意味する。ビニル芳香族炭化水素として、具体的には、スチレン、t−ブチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルスチレン、及びN,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンなどが挙げられる。ビニル芳香族炭化水素は、一種単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、ビニル芳香族炭化水素としては、スチレンが好ましい。
【0017】
共役ジエン化合物とは、分子内に共役二重結合を有する化合物を意味する。共役ジエン化合物として、具体的には、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンを例示することができる。共役ジエン化合物は、一種単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)が特に好ましい。
【0018】
熱可塑性ブロック共重合体(A)は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とを共重合させてなるブロック共重合体の水素添加物であってもよい。水素添加物とは、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とのブロック共重合体において、共役ジエン化合物に由来する共役二重結合の全部又は一部が水素添加されて飽和炭化水素結合に転換されたものを意味する。
【0019】
熱可塑性ブロック共重合体(A)中におけるビニル芳香族炭化水素成分の含有量は、10〜50重量%が好ましく、15〜35重量%がより好ましい。ビニル芳香族炭化水素成分の含有量が少な過ぎると、ホットメルト接着剤の凝集力が低下し、そのため湿潤接着性が低下する虞れがある。ビニル芳香族炭化水素成分の含有量が多過ぎると、加熱溶融させたホットメルト接着剤の固化速度が早くなり過ぎる虞れがある。固化速度が早過ぎるホットメルト接着剤は、多孔質基剤への浸透性が低下するため、湿潤接着性が低くなる。
【0020】
ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とを共重合させてなるブロック共重合体及びその水素添加物は、不飽和カルボン酸類又はその無水物によって酸変性されていないことが好ましい。したがって、ブロック共重合体及びその水素添加物は、分子内にカルボキシル基(−COOH)及びカルボン酸無水物基(−CO−O−CO−)のいずれも有していないことが好ましい。酸変性されていないブロック共重合体及びその水素添加物を用いることにより、ホットメルト接着剤の臭気の発生を高く低減することができる。
【0021】
熱可塑性ブロック共重合体(A)として、具体的には、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、及びスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)などのブロック共重合体の未水素添加物;スチレン−ブタジエン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、及びスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)などの水素添加物等が挙げられる。これらの熱可塑性ブロック共重合体(A)は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
【0022】
熱可塑性ブロック共重合体(A)の重量平均分子量は、50,000〜300,000が好ましく、70,000〜250,000がより好ましく、100,000〜200,000が特に好ましい。重量平均分子量(Mw)が小さ過ぎるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体では、ホットメルト接着剤の凝集力が低下し、そのため湿潤接着性が低下する虞れがある。また、重量平均分子量(Mw)が大き過ぎるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体では、ホットメルト接着剤の塗工性を低下させる虞れがある。
【0023】
なお、本発明において、熱可塑性ブロック共重合体(A)の重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いて、標準ポリスチレンで換算することにより得られる測定値のことを意味する。
【0024】
熱可塑性ブロック共重合体(A)として、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製 商品名「アサプレンT−432」、旭化成ケミカルズ社製 商品名「アサプレンT−436」、L.C.Y.社製 商品名「YH−791」、Kraton社製 商品名「D−1161」、Kraton社製 商品名「G−1650」、及びクラレ社製 商品名「セプトンS2002」などが挙げられる。
【0025】
(酸変性石油樹脂(B))
本発明のホットメルト接着剤は、不飽和カルボン酸類又はその無水物によって酸変性されてなる酸変性石油樹脂(B)を含んでいる。酸変性石油樹脂(B)は、分子内にカルボキシル基(−COOH)及びカルボン酸無水物基(−CO−O−CO−)のうち少なくとも一種の極性基を有する。酸変性石油樹脂(B)は、カルボキシル基及びカルボン酸無水物基のうち、いずれか一方を有していてもよく、双方を有していてもよい。また、酸変性石油樹脂(B)は、一種のみが用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0026】
酸変性石油樹脂(B)によれば、ホットメルト接着剤の親水性多孔質基材に対する親和性を向上させることができる。このようなホットメルト接着剤は加熱溶融時に親水性多孔質基材の細孔内へ流動し易い。したがって、加熱溶融させたホットメルト接着剤に親水性多孔質基材を圧着することによって、ホットメルト接着剤と親水性多孔質基材との接触面積を向上させることができる。ゆえに、ホットメルト接着剤は、親水性多孔質基材に対して優れた接着強度を発現することができると共に、このような優れた接着強度を親水性多孔質基材が湿潤状態となった場合であっても維持することができる。
【0027】
また、酸変性石油樹脂(B)は、他の成分との相溶性にも優れており、したがって、ホットメルト接着剤の熱安定性を向上させることもできる。
【0028】
酸変性石油樹脂(B)は、未変性の石油樹脂を不飽和カルボン酸類又はその無水物によって酸変性することにより得られる。
【0029】
未変性の石油樹脂としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂などの石油樹脂、及びそれら石油樹脂の水添物などが挙げられる。
【0030】
不飽和カルボン酸類又はその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、及びこれらの酸無水物などが挙げられる。
【0031】
酸変性石油樹脂(B)としてとして、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、例えば、日本ゼオン社製商品名「CX495」、Jinhai社製商品名「JH3100」が挙げられる。
【0032】
酸変性石油樹脂(B)の軟化点は、80〜130℃が好ましく、80〜120℃がより好ましく、90〜120℃が特に好ましい。軟化点が低過ぎる酸変性石油樹脂(B)では、ホットメルト接着剤自体の凝集力を低下させて接着強度が低下するおそれがある。軟化点が高過ぎる酸変性石油樹脂(B)では、ホットメルト接着剤の親水性多孔質基材の細孔中への浸透性を低下させて湿潤接着性を低下させる虞れがある。
【0033】
なお、本発明において、酸変性石油樹脂(B)の軟化点とは、JIS K2207に準拠して、環球式で測定された軟化点とする。
【0034】
酸変性石油樹脂(B)の酸価は、0.1〜50mgKOH/gであることが好ましい。酸変性石油樹脂(B)酸価は、ASTM D1308に準拠した方法で測定された値とする。
【0035】
ホットメルト接着剤中における酸変性石油樹脂(B)の含有量は、熱可塑性ブロック共重合体(A)100重量部に対して、10〜200重量部が好ましく、50〜200重量部がより好ましく、50〜150重量部が特に好ましい。酸変性石油樹脂(B)の含有量が少な過ぎると、ホットメルト接着剤の親水性多孔質基材への親和性を十分に向上させることができない虞れがある。酸変性石油樹脂(B)の含有量が多過ぎると、ホットメルト接着剤中における遊離酸の含有量が向上し、臭気が発生する虞れがある。
【0036】
(未変性石油樹脂(C))
本発明のホットメルト接着剤は、不飽和カルボン酸類又はその無水物によって酸変性されていない未変性石油樹脂(C)を含んでいることが好ましい。
【0037】
酸変性石油樹脂(B)と未変性石油樹脂(C)とを組み合わせて用いることによって、ホットメルト接着剤の臭気の発生をより高く低減できると共に、熱安定性をさらに向上させることができる。
【0038】
未変性石油樹脂(C)としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、及びこれらの水添物などが挙げられる。水添物において、不飽和結合の全てが水素添加されていてもよく、不飽和結合の一部が水素添加されていてもよい。未変性石油樹脂(C)は、一種のみが用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0039】
未変性石油樹脂(C)の軟化点は、80〜130℃が好ましく、90〜120℃がより好ましい。軟化点が低過ぎる未変性石油樹脂(C)では、ホットメルト接着剤自体の凝集力を低下させて湿潤接着性が低下するおそれがある。軟化点が高過ぎる未変性石油樹脂(C)では、ホットメルト接着剤の熱安定性を低下させる虞れがある。
【0040】
なお、本発明において、未変性石油樹脂(C)の軟化点とは、JIS K2207に準拠して、環球式で測定された軟化点とする。
【0041】
なお、未変性石油樹脂として、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、例えば、トーネックス社製の商品名「エスコレッツ5600」、丸善石油化学社製の商品名「マルカクリアーH」、安原化学社製の商品名「クリアロンK100」、荒川化学社製の商品名「アルコンP100」、荒川化学社製の商品名「アルコンM100」、出光石油化学社製の商品名「アイマーブS100」、安原化学社製の商品名「クリアロンK4090」、トーネックス社製の商品名「ECR231C」、イーストマンケミカル社製の商品名「リガライトR7100」、イーストマンケミカル社製の商品名「リガライトC6100」などが挙げられる。
【0042】
ホットメルト接着剤中における未変性石油樹脂(C)の含有量は、ホットメルト接着剤の湿潤接着性を向上させることができることから、熱可塑性ブロック共重合体(A)100重量部に対して、100〜300重量部が好ましく、150〜300重量部がより好ましく、200〜300重量部が特に好ましい。
【0043】
(可塑剤(D))
本発明のホットメルト接着剤は、可塑剤(D)を含んでいることが好ましい。可塑剤(D)によれば、ホットメルト接着剤の湿潤接着性をさらに向上させることができる。
【0044】
可塑剤(D)としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、及び芳香族系プロセスオイルなどのプロセスオイルなどが挙げられる。なかでも、
パラフィン系プロセスオイル及びナフテン系プロセスオイルが好ましく、パラフィン系プロセスオイルがより好ましい。これらの可塑剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0045】
パラフィン系プロセスオイルは、脂肪族鎖状炭化水素が好ましい。パラフィン系プロセスオイルに含まれる脂肪族鎖状炭化水素の炭素数は、特に制限されないが、16〜45が好ましい。
【0046】
パラフィン系プロセスオイルの数平均分子量(Mn)は、100〜1500が好ましく、250〜1000がより好ましい。数平均分子量(Mn)が小さ過ぎるパラフィン系プロセスオイルでは、ホットメルト接着剤の凝集力を低下させて湿潤接着性が不十分となる虞れがある。また、数平均分子量(Mn)が大き過ぎるパラフィン系プロセスオイルでは、ホットメルト接着剤の溶融粘度を高くし過ぎて、ホットメルト接着剤の塗工性が低下する虞れがある。
【0047】
パラフィン系プロセスオイルとしては、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、例えば、日本油脂製の商品名「NAソルベント」、出光興産製の商品名「PW−380」、出光興産社製の商品名「ダイアナフレシアS32」、出光興産社製の商品名「PS−32」、出光石油化学社製の商品名「IP−ソルベント2835」、出光石油化学社製の製品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」、三光化学工業社製の商品名「ネオチオゾール」などが挙げられる。
【0048】
ナフテン系プロセスオイルは、脂肪族系環状炭化水素が好ましい。ナフテン系プロセスオイルに含まれている脂肪族系環状炭化水素の炭素数は、3以上であることが好ましい。
【0049】
ナフテン系プロセスオイルの数平均分子量(Mn)は、100〜1500が好ましく、250〜1000がより好ましい。数平均分子量(Mn)が小さ過ぎるナフテン系プロセスオイルでは、ホットメルト接着剤の凝集力を低下させて、ホットメルト接着剤の湿潤接着性が不十分となる虞れがある。また、数平均分子量(Mn)が大き過ぎるナフテン系プロセスオイルでは、ホットメルト接着剤の溶融粘度を高くし過ぎて、ホットメルト接着剤の塗工性を低下させる虞れがある。
【0050】
ナフテン系プロセスオイルとしては、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製の商品名「ダイアナフレシアN28」、出光興産社製の商品名「ダイアナフレシアU46」、出光興産社製の商品名「ダイアナプロセスオイルNR」、シェル化学社製の製品名「シェルフレックス371N」などが挙げられる。
【0051】
なお、本発明において、パラフィン系プロセスオイル及びナフテン系プロセスオイルの数平均分子量(Mn)とは、それぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いて、標準ポリスチレンで換算することにより得られる測定値を意味する。
【0052】
ホットメルト接着剤中における可塑剤(D)の含有量としては、熱可塑性ブロック共重合体(A)100重量部に対して、25〜250重量部が好ましく、50〜150重量部がより好ましい。可塑剤(D)の含有量が高過ぎるホットメルト接着剤では、耐クリープ性が低下したり、凝集力が低下して湿潤接着性が低下したりする虞れがある。また、可塑剤(D)の含有量が低過ぎるホットメルト接着剤では、加熱溶融後の固化速度が高くなり過ぎて、接着性、特に湿潤接着性が低下する虞れがある。
【0053】
(ワックス(E))
本発明のホットメルト接着剤は、ワックス(E)を含んでいることが好ましい。ワックス(E)によれば、ホットメルト接着剤の湿潤接着性をさらに向上させることができる。
【0054】
ワックス(E)としては、例えば、シュラックワックス、蜜ろうなどの動物系ワックス;カルナバワックス、はぜろうなどの植物系ワックス;パラフィンワックス、マクロクリスタリンワックスなどの鉱物系ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ワックスなどのポリオレフィン系ワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックスなどが挙げられるが、なかでも、ポリオレフィン系樹脂フィルムに対する湿潤接着性を高め、且つ、熱安定性を低下させることがなく、臭気の発生を低減させる観点から、ポリオレフィン系ワックスが好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系ワックスがより好ましい。
【0055】
なお、ポリオレフィン系ワックスとは、数平均分子量が10000以下で且つオレフィン成分を50重量%を超えて含有するオレフィン重合体をいう。オレフィン重合体は、オレフィンの単独重合体、オレフィン同士の共重合体、オレフィンと、オレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体、及び、オレフィンの単独重合体又はオレフィン同士の共重合体を主鎖とし且つ主鎖にオレフィンと共重合可能なモノマーからなる分子鎖が枝状についているグラフト共重合体を含む。オレフィンと共重合可能なモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、マレイミドなどが挙げられる。エチレン−酢酸ビニル共重合体系ワックスは、エチレン−酢酸ビニル共重合体ワックスの他に、ポリエチレン主鎖に酢酸ビニルからなる分子鎖が枝状についているグラフト共重合体ワックスも含まれる。ワックス(E)は、臭気の発生をより抑制することができるので、カルボン酸又は酸無水物で変性されていないことが好ましい。
【0056】
本発明において、ワックス(E)の融点は60〜120℃であることが好ましい。ワックス(E)の融点は、ASTM D127に準拠する方法で測定することができる。ワックス(E)の融点が120℃を超えると、ホットメルト接着剤が硬くなり、ホットメルト接着剤の湿潤接着性が低下する虞れがある。また、ワックス(E)の融点が60℃未満であると、ホットメルト接着剤の凝集力が低下して、ホットメルト接着剤の湿潤接着性が低下する虞れがある。
【0057】
ワックス(E)は、市販されている製品を用いることができる。ポリオレフィン系ワックスの市販品としては、Honeywell社製の製品名「A−C8」(ポリエチレンワックス)、INNOSPEC社製の商品名「VISCOWAX 122」(ポリエチレンワックス)、Honeywell社製の商品名「A−C400」(エチレン−酢酸ビニル共重合体系ワックス)、INNOSPEC社製の商品名「VISCOWAX 334」(エチレン−酢酸ビニル共重合体系ワックス)、INNOSPEC社製の「VISCOWAX 343」(エチレン−酢酸ビニル共重合体系ワックス)などが挙げられる。
【0058】
ホットメルト接着剤中におけるワックス(E)の含有量としては、熱可塑性ブロック共重合体(A)100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、10〜30重量部がより好ましい。ワックス(E)の含有量が高すぎると、ホットメルト接着剤が硬くなり、ホットメルト接着剤の湿潤接着性が低下する虞れがある。また、ワックス(E)の含有量が低過ぎると、ポリオレフィン系樹脂に対するホットメルト接着剤の湿潤接着性が低下する虞れがある。
【0059】
なお、ポリオレフィン系樹脂フィルムに対する湿潤接着性を高め、且つ、臭気をより抑制するために、ホットメルト接着剤は、ポリオレフィン系ワックスとプロセスオイルとを含有することが好ましい。
【0060】
(その他成分)
本発明のホットメルト接着剤は、酸化防止剤を含んでいることが好ましい。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどのリン系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤は、一種単独で用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0061】
本発明のホットメルト接着剤は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤は、一種単独で用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0062】
本発明のホットメルト接着剤は、液状ゴムを含んでいてもよい。液状ゴムとしては、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン及びこれらの水添樹脂が挙げられる。液状ゴムは、一種単独で用いられてもよく、二種以上を併用されてもよい。
【0063】
本発明のホットメルト接着剤を用いて二個の被着体を接着する方法としては、例えば、次の方法が用いられる。先ず、ホットメルト接着剤を加熱することにより溶融状態とする。次に、溶融状態のホットメルト接着剤を一方の被着体に塗工する。そして、一方の被着体に他方の被着体を積層した後、ホットメルト接着剤を冷却固化させ、これにより二個の被着体を接着することができる。
【0064】
加熱溶融させたホットメルト接着剤の塗工方法としては、特に制限されず、公知の方法が用いられる。例えば、スロットコーター塗工、ロールコーター塗工、スパイラル塗工、オメガ塗工、コントロールシーム塗工、スロットスプレー塗工、カーテンスプレー塗工、及びドット塗工などが挙げられる。
【0065】
本発明のホットメルト接着剤は、使い捨て製品の製造に好適に用いられる。使い捨て製品としては、特に限定されないが、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート、病院用ガウン、及び手術用白衣などのいわゆる衛生材料などが挙げられる。