【実施例】
【0054】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(樹脂発泡シートの作製)
まず、第一押出機(L/D:32、口径φ:50mm)の先端に接続配管を介して第二押出機(L/D:30、口径:65mm)が接続されてなるタンデム型押出機を用意した。
そして、下記配合内容となるように調製した樹脂発泡シート用の原料をタンデム型押出機の第一押出機に供給し該押出機内で溶融混練を実施した。
(A1)スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂:78質量%
PSジャパン社製 商品名「ML195」
成分:スチレン単量体含有量92質量%、メタクリル酸単量体含有量8質量%
(A1/A3)スチレン−メタクリル酸共重合体とMBS樹脂(トランス型ブタジエンブロック含有品)とのブレンド品:13質量%
PSジャパン社製 商品名「AMM11」
成分:スチレン単量体含有量62.8質量%、メタクリル酸単量体含有量6.3質量%、メタクリル酸メチル単量体含有量6.4質量%、ポリブタジエンブロック含有量24.6質量%
(B2)シス型スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂:9質量%
PSジャパン社製 商品名「H8117」
成分:ポリスチレンブロック含有量88質量%、ポリブタジエンブロック含有量12質量%
(X)気泡調整剤:「ML195」、「AMM11」、及び、「H8117」の合計100質量部に対して0.3質量部
東洋スチレン社製 商品名「TM401A」(タルクを配合した配合樹脂)
【0055】
次に、第一押出機の途中から発泡剤としてブタンを圧入し、上記溶融混練物に対して前記ブタンを加えた上で更なる溶融混練を行った。
そして、溶融混練物中にブタンを均一に分散させた上で、この発泡剤を含む溶融混練物を第二押出機に連続的に供給して溶融混練を継続しつつ発泡に適した樹脂温度に冷却した。
その後、第二押出機の先端に取り付けたスリット口径70mmのサーキュラーダイから吐出量30kg/h、樹脂温度167℃の条件で該溶融混練物を押出発泡させ、ダイスリットから押出発泡された筒状の発泡体を冷却されているマンドレル上に沿わせるとともに、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却成形し、カッターにより切開して、平坦シート状の熱成形用樹脂発泡シートを作製した。
この熱成形用樹脂発泡シートの作製に際しては、坪量が132g/m
2で厚みが1.65mmになるように引取り速度およびブタンガス注入量を調整した。
尚、樹脂温度の具体的な数値は、下流側押出機の先端のブレーカープレートの温度を測定した値であり、直径方向の1/4の深さに樹脂温度計を刺したブレーカープレートの温度を測定した値である。
【0056】
(実施例2)
気泡調整剤を増量するとともに坪量を192g/m
2、厚みが1.79mmになるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
【0057】
(実施例3)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「AMM11」/「H8117」/「TM401A」=79/10/11/0.5
の質量割合とし、坪量を186g/m
2、厚みが1.93mmになるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
【0058】
(実施例4)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「AMM11」/「H8117」/「TM401A」=79/5/16/0.5
の質量割合とし、坪量を189g/m
2、厚みが1.71mmになるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
【0059】
(実施例5)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「AMM11」/「H8117」/「MM290」/「TM401A」=70/11/9/10/0.5
の質量割合とし、坪量を180g/m
2、厚みが1.74mmになるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
なお、ここで用いた「MM290」の詳細は以下の通りである。
(A2)「MM290」:PSジャパン社製
成分:スチレン単量体含有量84.0%、メタクリル酸単量体含有量11.4%、メタクリル酸メチル含有量4.6%
【0060】
(実施例6)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「AMM11」/「H8117」/「MM290」/「TM401A」=60/11/9/20/0.5
の質量割合とし、坪量を184g/m
2、厚みが1.74mmになるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
【0061】
(実施例7)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「AMM11」/「H8117」/「TM401A」=71/20/9/0.5
の質量割合とし、坪量を178g/m
2、厚みが1.68mmになるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
【0062】
(実施例8:共押出)
第一発泡層を形成させるための押出機(第1押出機)を用意した。
まず、上流側押出機(L/D:32、口径φ:50mm)の先端に接続配管を介して下流側押出機(L/D:30、口径φ:65mm)が接続されてなるタンデム型押出機を用意した。
そして、下記配合内容となるように調製した樹脂発泡シート用の原料をタンデム型押出機の上流側押出機に供給し該押出機内で溶融混練を実施した。
「ML195」/「AMM11」/「H8117」/「TM401A」=80/11/9/0.3)
そして、この第1押出機の途中から発泡剤としてブタンを圧入し、溶融混練物に対して前記ブタンを加えた上で更なる溶融混練を行った。
そして、溶融混練物中にブタンを均一に分散させた上で、この発泡剤を含む溶融混練物を合流金型に供給した。
これとは別の第二発泡層を形成させるための第2押出機で、下記配合内容となるように調製した樹脂発泡シート用の原料をタンデム型押出機の上流側押出機(L/D:32、口径φ:50mm)に供給し該押出機内で溶融混練を実施した。
「HRM26」/「E640N」/「DSM1401A」=80/20/1.0
同様に、上流側押出機の途中から発泡剤としてブタンを圧入し、ブタンを均一に分散させた上で、この発泡剤を含む溶融混練物を下流側押出機(L/D:30、口径φ:65mm)に連続的に供給して溶融混練を継続しつつ発泡に適した樹脂温度に冷却した。
得られた溶融混練物を前記合流金型内で先の第1押出機から供給される溶融混練物と合流させて外側に被覆し、外側が耐熱性に優れた第一発泡層、内側が靱性に優れた第二発泡層となるようにサーキュラーダイから円筒状の発泡体を押出させ、該押出直後に、その内側と外側にエアーをかけて冷却し、さらにマンドレルによって冷却した後にこの円筒状の発泡体を切り開いて積層発泡シートを作製した。
この熱成形用樹脂発泡シートの作製に際しては、坪量が180g/m
2で厚みが1.91mmになるように引取り速度およびブタンガス注入量を調整した。
尚、樹脂温度の具体的な数値は、下流側押出機の先端のブレーカープレートの温度を測定した値であり、直径方向の1/4の深さに樹脂温度計を刺したブレーカープレートの温度を測定した値である。
「HRM26」:東洋スチレン社製 ポリスチレン樹脂
「E640N」:東洋スチレン社製 ハイインパクトポリスチレン樹脂
「DSM1401A」:東洋スチレン社製 タルクを配合したマスターバッジ
【0063】
(実施例9:共押出)
第1押出機の配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「AMM11」/「H8117」/「MM290」/「TM401A」=55/16/9/20/0.5
の質量割合とし、坪量を181g/m
2、厚みが1.83mmになるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例8と同様に積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
【0064】
(比較例1)
主成分をスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体樹脂(PSジャパン社製 商品名「MM290」)に変更するとともに、脂肪酸アミドを含有するスチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(PSジャパン社製 商品名「MA100」)と、スチレン−メタクリル酸共重合体及びMBS樹脂(トランス型ブタジエンブロック含有品)含有マスターバッチ(PSジャパン社製、商品名「AMM10」)とをさらに用いて積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
なお、配合内容については、下記表に示すように
「MA100」/「MM290」/「AMM10」/「H8117」/「TM401A」=15/60/10/15/0.2
の質量割合とし、坪量を133g/m
2、厚みが1.60mmになるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
なお、ここで用いた「MA100」、「AMM10」の詳細は以下の通りである。
「MA100」:PSジャパン社製
脂肪酸アミドを含有するスチレン−メタクリル酸共重合体樹脂
成分:スチレン単量体含有量96質量%、メタクリル酸単量体含有量4質量%、脂肪酸アミド系添加剤1.5質量部
「AMM10」:PSジャパン社製マスターバッチ
(A2/A3)スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体とMBS樹脂(トランス型ブタジエンブロック含有品)とのブレンド品:
成分:スチレン単量体含有量56.4質量%、メタクリル酸単量体含有量8.4質量%、メタクリル酸メチル単量体含有量9.4質量%、ポリブタジエンブロック含有量25.7質量%
【0065】
(比較例2)
比較例1で用いたのと同じスチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体樹脂(PSジャパン社製 商品名「MM290」)と下記のスチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂とを87質量%:13質量%の割合で用い、これらの樹脂100質量部に対する前記の気泡調整剤の割合を0.8質量部とし、押出発泡における樹脂温度を178℃にしたこと、坪量を183g/m
2、厚みが2.09mmとなるように引取り速度、ブタンガス注入量を調整したこと以外は、実施例1と同様に樹脂発泡シートを作製した。
・スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂(SBS)
旭化成ケミカルズ社製 商品名「タフプレン125」
スチレンブロック含有量40質量%、ブタジエンブロック含有量60質量%
【0066】
(比較例3)
配合内容を、下記表に示すように
「T080」/「タフプレン125」/「CM140」/「TM401A」=95/5/3/2
の質量割合とし、坪量を179g/m
2、厚みが1.89mmになるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に樹脂発泡シートを作製した。
なお、「T080」、「CM140」の詳細は、下記の通りである。
「T080」:東洋スチレン社製スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂
成分:スチレン単量体含有量92質量%、メタクリル酸単量体含有量8質量%
「CM140」:東洋スチレン社製 架僑型スチレン−メタクリル酸系共重合樹脂
【0067】
(比較例4)
配合内容を、下記表に示すように
「ML195」/「AMM11」/「H8117」/「MM290」/「TM401A」=40/11/9/40/0.3)
の質量割合とし、坪量を184g/m
2、厚みが1.81mmになるように引取り速度、ブタンガス注入量を変更したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シート作製用の樹脂発泡シートを作製した。
【0068】
なお、それぞれの配合における各主成分については、下記の測定方法にて定量することができ、一部の結果を下記表に示す。
【0069】
(樹脂中メタクリル酸含有量の測定方法)
樹脂の吸光度比A=D1697/D1600を次の要領で測定する。
まず、樹脂極微量を乳鉢中にKBr(臭化カリウム)粉末とともに入れて良く混ぜ合わせて得た混合粉末を錠剤成形機にてプレス成形してKBr錠剤を作製後、赤外分光分析を下記条件にて実施して赤外吸収スペクトルを得る。この際、吸光度が1Absorbanceを越えないような試料量とする。
なお、赤外吸収スペクトルの測定(吸光度D1697およびD1600の測定)は、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック株式会社から商品名「iS10」で販売されているフーリエ変換赤外分光分析装置を使用して実施する。
・測定法:透過法
・測定波数領域:4000cm
−1〜400cm
−1
・測定深度の波数依存性:補正せず
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器およびKBrビームスプリッター
・分解能:4cm
−1
・積算回数:32回(バックグランド測定時も同様)
得られた赤外吸収スペクトルの吸光度比A=D1697/D1600を計算し、予めメタクリル酸量既知の樹脂とポリスチレン樹脂を一定割合で混合した標準試料を用いて作成した検量線から、メタクリル量を算出する。
D1697とは、赤外吸収スペクトル曲線における波数1560cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置と、赤外吸収スペクトル曲線における波数1780cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置とを結ぶ直線をベースラインとした、波数1697cm
−1±5cm
−1の領域の赤外吸収スペクトル曲線におけるベースラインとの吸光度差(測定された吸光度−ベースラインの吸光度)の最大値を意味する。
また、D1600とは、赤外吸収スペクトル曲線における波数1560cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置と、赤外吸収スペクトル曲線における波数1780cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置とを結ぶ直線をベースラインとした、波数1600cm
−1±5cm
−1の領域の赤外吸収スペクトル曲線におけるベースラインとの吸光度差(測定された吸光度−ベースラインの吸光度)の最大値を意味する。
なお、上記においては、スチレンに対するメタクリル酸の量を求めている。
【0070】
(樹脂中メタクリル酸メチル含有量の測定方法)
試料を0.1〜0.5mg精秤し、キューリー点が590℃の強磁性金属体(パイロホイル:日本分析工業(株)製)に圧着するように包み、キューリーポイントパイロライザーJPS−700型(日本分析工業(株)製)装置にて分解させて生成したメタクリル酸メチルをガスクロマトグラフ[GC7820(アジレント・テクノロジー(株)製)、(検出器:FID)]を用いて測定し、メタクリル酸メチルピーク面積とスチレンピーク面積の比とメタクリル酸メチル量から作成した検量線を使用して樹脂中メタクリル酸メチル量を算出した。
<測定条件>
加熱(590℃−5sec)
・オーブン温度(300℃)
・ニードル温度(300℃)
・カラム(EC−5(φ0.25mm×30m(膜厚0.25μm):GRACE社製)
<カラム温度条件>
・温度条件(50℃で0.5分保持後、200℃まで10℃/分で昇温し、さらに320℃まで20℃/分で昇温し、320℃にて0.5分保持)
・キャリアーガス(He)
・He流量(25ml/分)
・注入口圧力(100kPa)
・カラム入口圧力(100kPa)
・注入口温度(300℃)
・検出器温度(300℃)
・スプリット比(1/50) 検量線作成標準試料は、積水化成品工業(株)製の懸濁重合PMMA微粒子(商品名「テクポリマー MB−8」)を使用する。
【0071】
(全樹脂中の全ブタジエンゴム量測定方法)
試料を0.1〜0.5mg精秤し、キューリー点が590℃の強磁性金属体(パイロホイル:日本分析工業(株)製)に圧着するように包み、キューリーポイントパイロライザーJPS−700型(日本分析工業製)装置にて分解させて生成したブタジエンと4−ビニルシクロヘキサンとをガスクロマトグラフ[GC7820(アジレント・テクノロジー(株)製)、(検出器:FID)]を用いて測定し、ブタジエンピークと4−ビニルシクロヘキサンピークの合計面積とブタジエン量から作成した検量線を使用して樹脂中全ブタジエンゴム量を算出した。
<測定条件>
・加熱(590℃−5sec)
・オーブン温度(300℃)
・ニードル温度(300℃)
・カラム(EC−5(φ0.25mm×30m(膜厚0.25μm):GRACE社製)
<カラム温度条件>
・温度条件(50℃で0.5分保持後、200℃まで10℃/分で昇温し、さらに320℃まで20℃/分で昇温し、320℃にて0.5分保持)
・キャリアーガス(He)
・He流量(25ml/分)
・注入口圧力(100kPa)
・カラム入口圧力(100kPa)
・注入口温度(300℃)
・検出器温度(300℃)
・スプリット比(1/30)
なお、検量線作成用標準試料は、POLYSCIENCES.INC製St/BD=85/15(CAT#07073)樹脂を使用する。
【0072】
(樹脂中1,4−トランスブタジエンゴム含有量の測定方法)
樹脂の吸光度比A=D965/D1600を次の要領で測定する。
まず、樹脂約0.1gを良溶媒約20mLで溶解し、溶解液半分程度を利用してガラスプレート上でフィルム化を行う。
得られたフィルムの赤外分光分析を下記条件にて実施し、赤外吸収スペクトルを得る。
赤外吸収スペクトルの測定(吸光度D965およびD1600の測定)は、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック株式会社から商品名「iS10」で販売されているフーリエ変換赤外分光分析装置を使用して実施する。
・測定法:透過法
・測定波数領域:4000cm
−1〜400cm
−1
・測定深度の波数依存性:補正せず
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器およびKBrビームスプリッター
・分解能:4cm
−1
・積算回数:32回(バックグランド測定時も同様)
得られた赤外吸収スペクトルの吸光度比A=D965/D1600を計算し、予め1,4−トランスブタジエンゴム量既知の樹脂とポリスチレン樹脂を一定割合で混合した標準試料を用いて作成した検量線から、1,4−トランスブタジエンゴム量を算出する。
D965とは、赤外吸収スペクトル曲線における波数925cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置と、赤外吸収スペクトル曲線における波数1045cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置とを結ぶ直線をベースラインとして、波数965cm
−1±5cm
−1の領域の赤外吸収スペクトル曲線におけるベースラインとの吸光度差(測定された吸光度−ベースラインの吸光度)の最大値を意味する。
また、D1600とは、赤外吸収スペクトル曲線における波数1560cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置と、赤外吸収スペクトル曲線における波数1635cm
−1±5cm
−1での最低吸収位置とを結ぶ直線をベースラインとして、波数1600cm
−1±5cm
−1の領域の赤外吸収スペクトル曲線におけるベースラインとの吸光度差(測定された吸光度−ベースラインの吸光度)の最大値を意味する。
なお、上記においては、スチレンに対するトランス型ブタジエンゴムの量を求めている。
また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体樹脂に1,2−ブタジエンが含有されている場合は、1,2−ブタジエンに由来する赤外吸収ピークが911cm
−1付近に観測されることから、トランス型ブタジエンゴムの量と同様に吸光度を使ってスチレンに対する1,2−ブタジエンの量を求めることができる。
なお、シス型ブタジエンゴム量は、上記の熱分解ガスクロマトグラフによる全ブタジエンゴム量測定方法によって定量された全ブタジエンゴム量から、トランス型ブタジエンゴム量と1,2−ブタジエンゴム量とを減じた値をシス型ブタジエンゴムの含有量と判断することができる。
【0073】
(耐油性評価)
(シート成形品の作製)
トレー容器形状の備えられた片側真空タイプのマッチモールド型(容器開口部外寸法:115mm×185mm、底部外寸法:70mm×115mm、容器深さ外寸法:30mm)を型内雰囲気温度165℃、雄型温度165℃、及び、雌型温度50℃に設定し、前記熱成形用樹脂発泡シートを型内で15秒予熱した後にマッチモールド成形して発泡成形品(トレー容器)を作製した。
【0074】
上記トレー容器に、所定の温度に加熱したサラダオイルを、トレー深さの約70%まで注ぎ、30秒後にサラダオイルを除いて表面状態を目視にてチェックした。
そして、表面状態がオイル注入前とほとんど変化なければ耐油性良好(OK)とし、変化があればその状態を記録した。
【0075】
(強度評価)
各実施例、比較例の熱成形用樹脂発泡シートに対してフィルムインパクトテスター(安田精機製作所社製 商品名「No.181フィルムインパクトテスター」)による強度評価を実施した。
評価に際しては、熱成形用樹脂発泡シートからそれぞれ100mm×90mmの評価試料を採取し、温度22℃、相対湿度40%となるように調整された環境下で衝撃球サイズ12.7mmR、振子角度90度での各試料の打抜必要エネルギー(単位:J)を求めた。
具体的には、打抜必要エネルギーを求める試料を試料板と試料押さえとの間にセットし、指針を3.0Jの線上に置き、振り子止めハンドルを倒して振り子を落下させた。
そして、これにより試料が破れて振り子が指針を押して示した目盛りを読み取った。
以上の操作を熱成形用樹脂発泡シートの表裏5回ずつ行い、その平均値を求めた。
各熱成形用樹脂発泡シートの厚み、及び、発泡倍率とともに打抜必要エネルギーを求めた結果を下記表に示す。
【0076】
(表面粗さ)
作製した熱成形用樹脂発泡シートの算術平均粗さRaは、JISB 0601「表面粗さの定義および表示」に則って、次のように測定した。
装置:キーエンス社製 高精度レーザ測定器LT−9000
データ処理:コムス社製 非接触輪郭形状 粗さ測定システム MAP−2DS
測定範囲:18000μm、測定ピッチ:5μm、速度:1000μm/秒
評価長さ(ln):12.5mm、カットオフ(l):2.5mm
測定は、MD方向、TD方向それぞれ5回ずつ測定し、それらの算術平均粗さの平均値を各シートの表面粗さとした。
【0077】
(ラミ接着性評価)
作製した熱成形用樹脂発泡シートを、土山産業社製ヒートパイプ式均熱ロールを用いて(熱ロールφ150、冷却ロールφ130)温度180℃、ロール速度4.0m/min、接圧0.5MPaの条件でフィルムラミネートを行った。
フィルムはCPPSドライラミフィルム(厚み50μm)を使用した。
得られたサンプルをMD方向、TD方向それぞれ幅25mm、長さ200mmにカットし、テンシロン万能試験機を用い、速度200mm/minの条件で剥離試験を実施。
サンプルが180度剥離の状態になったときの積分平均荷重(N)の平均値を測定。
MD方向、TD方向それぞれ3回ずつ測定し、剥離強度の平均を取った。
測定値5.0N以上を局所的な剥離が発生しない接着強度として「○」判定とした。
【0078】
(脆性評価)
前記打抜必要エネルギーと熱成形用樹脂発泡シートの坪量から総合的に判定し、靭性に優れ実用上問題がないと考えられる場合「○」判定とし、靭性に劣り問題があると考えられる場合を「×」判定とし、どちらとも言い切れない場合を「△」判定とした。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
この表からも本発明によれば、靭性や耐熱性に優れた発泡成形品の形成に適した積層発泡シートが得られることがわかる。