【解決手段】車両10のウィンドウ12の後方に配置され、車両10の周りの対象物16を、ウィンドウ12を通して検出するように構成されているセンサモジュール20である。アンテナは、選択された偏波又は好適な偏波で、ウィンドウ12を通してレーダー信号208を放射及び/又は受信する。指向性のアンテナが使用されるときに、送信偏波対ビーム方向を変化させることによって、フロントガラスを通して伝播する信号は最大化され、信号方向の範囲にわたる対象物16の検出を強化することができる。また、全方向性タイプのアンテナが使用されるときに、送信偏波を変化させることによって、対象物16は、可変的な強さで「照射され」、可変的な感度で検出され得る。
車両(10)のウィンドウ(12)の後方に配置され、前記車両(10)の周りの領域(18)にある対象物(16)を、前記ウィンドウ(12)を通して検出するように構成されているセンサモジュール(20)であって、
前記ウィンドウ(12)を通して前記領域(18)内へレーダー信号(208)を放射するように構成されているアンテナ(202、302)であって、前記レーダー信号(208)は、前記レーダー信号(208)の送信偏波(220、320)によって特徴付けられ、前記送信偏波(220、320)は、前記アンテナ(202、302)の第1のポート(212、312)において受信される第1の送信信号(210、310)、及び、前記アンテナ(202、302)の第2のポート(216、316)において受信される第2の送信信号(214、314)によって影響を受ける、アンテナ(202、302)と、
前記第1の送信信号(210、310)及び前記第2の送信信号(214、314)を出力するように構成されているコントローラー(204、304)であって、前記第1の送信信号(210、310)は、第1の特性によって特徴付けられ、前記第2の送信信号(214、314)は、第2の特性によって特徴付けられ、前記第1の特性と前記第2の特性との間の相対差は、前記ウィンドウ(12)を通る前記レーダー信号(208)の伝播の好適な角度(206)に基づいて選択される、コントローラー(204、304)と
を含む、センサモジュール(20)。
請求項1に記載のモジュール(20)であって、前記好適な角度(206)が、前記ウィンドウ(12)の傾斜角度(206)と、前記アンテナ(202、302)のボアサイト(222)に対する方位角(206)とを含む、モジュール(20)。
請求項1に記載のモジュール(20)であって、前記第1の特性が、前記第1の送信信号(210、310)の第1の振幅を含み、前記第2の特性が、前記第2の送信信号(214、314)の第2の振幅を含み、前記第1の振幅と前記第2の振幅との間の振幅差が、前記好適な角度(206)に対応する、モジュール(20)。
請求項1に記載のモジュール(20)であって、前記第1の特性が、前記第1の送信信号(210、310)の第1の振幅及び第1の位相を含み、前記第2の特性が、前記第2の送信信号(214、314)の第2の振幅及び第2の位相を含み、前記第1の特性と前記第2の特性との間の特性差が、前記好適な角度(206)に対応する、モジュール(20)。
請求項1に記載のモジュール(20)であって、前記アンテナ(202)が、前記ウィンドウ(12)を通過する前記領域(18)からの反射信号(208)に応答して、第1の検出信号(234)及び第2の検出信号(236)を出力するように構成されている、モジュール(20)。
請求項5に記載のモジュール(20)であって、前記コントローラー(204)が、前記第1の検出信号(234)、前記第2の検出信号(236)、及び、前記レーダー信号(208)の前記送信偏波(220)に基づいて、対象物(16)の方向角度(206)を決定するように構成されている、モジュール(20)。
請求項6に記載のモジュール(20)であって、前記対象物(16)の方向角度(206)が、前記反射信号(208)が最大振幅を表すときに使用される前記送信偏波(220、320)に基づいて決定される、モジュール(20)。
請求項8に記載のモジュール(20)であって、前記アンテナ(202)が、更に、前記ウィンドウ(12)を通過する前記領域(18)からの反射信号(208)に応答して、第1の検出信号(234)及び第2の検出信号(236)を出力するように構成されており、前記コントローラー(204)が、前記第1の検出信号(234)、前記第2の検出信号(236)、前記レーダー信号(208)の前記送信偏波(220)、及び、前記領域(18)の前記画像に基づいて、前記車両(10)に対する対象物(16)の場所を決定するように構成されている、モジュール(20)。
請求項10に記載のモジュール(20)であって、前記対象物(16)の方向角度(206)が、前記反射信号(208)が最大振幅を表すときに使用される前記反射偏波(232)に基づいて決定される、モジュール(20)。
車両(10)のウィンドウ(12)の後方に配置され、前記車両(10)の周りの領域(18)にある対象物(16)を、前記ウィンドウ(12)を通して検出するように構成されているセンサモジュール(20)であって、
前記領域(18)からの反射信号(208)に応答して、第1の検出信号(234)及び第2の検出信号(236)を出力するように構成されているアンテナ(202)であって、前記反射信号(208)は、前記ウィンドウ(12)を通過し、前記アンテナ(202)に衝突し、前記反射信号(208)が、前記反射信号(208)の受信偏波によって特徴付けられている、アンテナ(202)と、
前記第1の検出信号(234)及び前記第2の検出信号(236)を受信するように構成されているコントローラー(204)であって、前記第1の検出信号(234)が、第1の特性によって特徴付けられ、前記第2の検出信号(236)が、第2の特性によって特徴付けられ、前記第1の特性と前記第2の特性との間の相対差が、前記ウィンドウ(12)を通る前記レーダー信号(208)の伝播の好適な角度(206)に基づいて選択される、コントローラー(204)と
を含む、センサモジュール(20)。
請求項12に記載のモジュール(20)であって、前記好適な角度(206)が、前記ウィンドウ(12)の傾斜角度(206)と、前記アンテナ(202)のボアサイト(222)に対する方位角(206)とを含む、モジュール(20)。
請求項12に記載のモジュール(20)であって、前記対象物(16)の方向角度(206)が、前記反射信号(208)が最大振幅を表すときに使用される前記反射偏波(232)に基づいて決定される、モジュール(20)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0026]
図1は、車両10の非限定的な例を示している。車両10は、センサモジュール20(以下、モジュール20とする)を装備しており、センサモジュール20は、車両10のウィンドウ12の後方の車両の車室内に配置されて概略に示されている。自動車が示されているが、また、モジュール20は、セミトラクタートレイラーのような大型オンロード車両等の他の車両、及び、建設機械等のオフロード車両において使用するのに適当であってもよいことが明らかであろう。この非限定的な例では、モジュール20は、全体として、フロントガラスの後方であってバックミラー14の前方に配置されている。別の態様では、モジュール20は、車両10のサイドウィンドウ又はリアウィンドウ越しに「見る」ように配置してもよい。
【0012】
[0027]モジュール20は、ウィンドウ12を通してレーダー信号を送信するためのレーダーユニット30(
図2)を含み、車両10の周りの領域18にある対象物16を、ウィンドウ12を通して検出する。例では、領域18は、全体として車両10の前方にあるように示され、点線150によって画定されているレーダー視野を含む。レーダーユニット30は、対象物16がレーダー視野に配置されているときに対象物16によって反射される反射レーダー信号を受信する。以下に続く説明において明らかになるであろうが、モジュール20は、とりわけ、そのように使用されるレーダー信号がウィンドウ12を通過しなければならないときに、対象物を検出することに伴う問題を解決することに関する特徴を含む。随意的に、モジュール20は、点線160によって画定されているカメラ視野の画像を、ウィンドウ12を通して捕捉するためのカメラ22(
図2)を含んでもよい。
【0013】
[0028]モジュール20は、全体として、車両10に対し、一つ又はそれ以上の対象物を検出するように構成されている。更に、モジュール20は、被検出対象物のパラメータを推算する性能を備えていてもよい。こうしたパラメータには、例えば、対象物の位置及び速度ベクトル、ターゲットの大きさ、及び種類、例えば、車両対歩行者が含まれる。モジュール20は、車間距離適応走行制御(ACC)、前方車両衝突警報(FCW)、及び自律制動及び車線逸脱警報(LDW)を用いた衝突緩和又は回避を含む車両の安全性の用途のため、車両10の車内で使用されてもよい。
【0014】
[0029]カメラ22が含まれている場合には、モジュール20は、有利には、共通のハウジングに収容された単一のモジュールにレーダーユニット30及びカメラ22の両方を一体化するように構成されてもよい。モジュール20は、有利には、車両10の車室内にウィンドウ12の後方にバックミラー14の前方に設置される。カメラ22及びレーダーユニット30を共通の単一のアッセンブリ(モジュール20)に一体化することにより、有利には、センサの価格の低減を提供する。更に、カメラ22及びレーダーユニット30を一体化することにより、有利には、
図2に示すように、電子装置及び信号演算処理装置が共通化即ち共有される。その上、レーダーユニット30及びカメラ22を同じハウジング内に設置することにより、これらの2つのパーツを整合することが簡単化され、従って、レーダー及び画像データの組合せ(即ち、レーダー−カメラデータの融合)に基づく車両10に対する対象物16の場所が、より容易に決定される。
【0015】
[0030]モジュール20は、有利には、ハウジング100を使用する。このハウジング100は、一実施形態によれば、
図3及び
図4に示すように複数の壁を含む。モジュール20は、画像を光波に基づいて捕捉するため、ハウジング100に配置されたカメラ22を含む。モジュール20は、更に、レーダービームを放射し、レーダー反射信号を受信するため、ハウジング100内に配置されたレーダーユニット30を含む。モジュール20は、更に、捕捉した画像及び受信したレーダー反射信号を演算処理し、点線150によって画定されているカバレッジゾーン及び点線160内で検出された一つ又はそれ以上の対象物の存在の検出の表示を提供するためのレーダー−カメラ演算処理ユニット50を含む。
【0016】
[0031]モジュール20を
図2に示す。モジュール20は、一実施形態によれば、様々な要素を含む。モジュール20は、レーダーユニット30と、カメラ22と、レーダー−カメラ演算処理ユニット50と、アプリケーション制御ユニット72とを含む。レーダーユニット30及びカメラ22は、両方とも、レーダー−カメラ演算処理ユニット50と通信する。これは、検出されたレーダー信号及びカメラ信号が様々なレーダー機能及びビジョン機能で有用であるように、受信したレーダー信号及びカメラが発生した画像を演算処理するためである。アプリケーション制御ユニット72は、レーダー−カメラ演算処理ユニット内で一体化されていてもよいし、レーダー−カメラ演算処理ユニットとは別であってもよい。アプリケーション制御ユニット72は、演算処理したレーダー信号及びカメラ信号を使用する多くの既知のアプリケーションのうちの任意のアプリケーションを実行することができる。これらのアプリケーションには、ACC、FCW、及びLDWが含まれるが、これらのアプリケーションに限定されない。
【0017】
[0032]光学系24及び撮像装置即ちイメージャ26の両方を含むカメラ22が
図2に示してある。カメラ22は、ビデオ画像を生成するための商業的に入手可能な市販のカメラを含んでいてもよいということは理解されるべきである。例えば、カメラ22は、ウェハスケールカメラ又は他の画像取得デバイスを含んでいてもよい。カメラ22は、レーダー−カメラ演算処理ユニット50の電源58から電力を受け取り、データ信号及び制御信号をレーダー−カメラ演算処理ユニット50のビデオマイクロコントローラー52と通信する。
【0018】
[0033]アンテナ48に連結されたトランシーバ32を持つレーダーユニット30が図示してある。トランシーバ32及びアンテナ48は、レーダー信号を所望のビームカバレッジゾーン又は点線150によって画定されているビーム内に伝送し、点線150によって画定されているカバレッジゾーン内の対象物から反射されたレーダー反射信号を受信するように作動する。レーダーユニット30は、一実施形態によれば、単一の扇状レーダービームを伝送し、デジタルビームフォーミングを受信することによって多数の受信ビームを形成する。アンテナ48は、レーダー信号の垂直偏波を提供するための垂直偏波アンテナを含むことができる。レーダー信号の垂直偏波は、フロントガラスについて、70°の入射角等の入射(傾斜)の対象角度(angle of interest)に亘り良好に伝播する。別の態様では水平偏波アンテナを使用してもよい。しかしながら、水平偏波は、高い入射角に対するフロントガラスのRF特性及びパラメータの影響を受け易い。
【0019】
[0034]レーダーユニット30は、更に、トランシーバ32に接続され、更に、プログラマブル論理デバイス(PLD)36に接続されたスイッチドライバー34を含んでいてもよい。プログラマブル論理デバイス(PLD)36は、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)38と同期するようにスイッチドライバーを制御し、アナログ−デジタルコンバータ38は、トランシーバ32から受信した信号のサンプリング及びデジタル化を行う。レーダーユニット30は、更に、波形発生器40及びリニアライザ42を含む。レーダーユニット30は、電子ビームフォーミング技術を使用して得ることができる扇状出力を発生する。適当なレーダーセンサの一例は、76.5GHzの周波数で作動する。自動車用レーダーは、24GHz ISM、24GHz UWB、76.5GHz、及び79GHzを含むこの他の幾つかの利用可能な周波数帯の一つで作動してもよいということは理解されるべきである。
【0020】
[0035]マイクロプロセッサ等の演算処理回路を含むビデオマイクロコントローラー52を使用するレーダー−カメラ演算処理ユニット50を示す。ビデオマイクロコントローラー52は、とりわけSDRAM及びフラッシュメモリーを含むことができるメモリー54と通信する。デバッグUSB2デバイスとして特徴付けられるデバイス56がビデオマイクロコントローラー52と通信した状態で示してある。ビデオマイクロコントローラー52は、レーダーユニット30及びカメラ22の各々とデータ信号及び制御信号のやりとりを行う。これには、レーダーユニット30及びカメラ22を制御するビデオマイクロコントローラー52が含まれることができ、カメラ22から画像を受信し、レーダーユニット30から、受信レーダー反射信号のデジタル化がなされたサンプルを受信することが含まれる。ビデオマイクロコントローラー52は、受信レーダー反射信号及びカメラ画像を演算処理し、様々なレーダー機能及び視覚機能を提供することができる。例えば、ビデオマイクロコントローラー52が実行するレーダー機能には、レーダー検出60、トラッキング62、及び危険評価64が含まれてよく、これらの各々の機能は、ルーチン又はアルゴリズムによって実施されることができる。同様に、ビデオマイクロコントローラー52は、車線トラッキング機能66、車両検出68、及び歩行者検出70を含む視覚機能を実行することができ、これらの各々の機能は、ルーチン又はアルゴリズムによって実施されることができる。ビデオマイクロコントローラー52は、レーダーユニット30及びカメラ22の一方又は両方の出力を使用してレーダー又は視覚と関連した様々な機能を実行してもよいということは理解されるべきである。
【0021】
[0036]コントローラーエリアネットワーク(CAN)バス及び視覚出力ラインによってビデオマイクロコントローラー52と通信するアプリケーション制御ユニット72を示す。アプリケーション制御ユニット72は、メモリー76に接続されたアプリケーションマイクロコントローラー74を含む。メモリー76は、特に、電気的消去書き込み可能型プログラマブル読み出し専用メモリー(EEPROM)を含んでよい。アプリケーション制御ユニット72には、更に、RTCウォッチドッグ78、温度モニター80、及び/又は診断用入出力インターフェース82、及びCAN/IIWインターフェース84が含まれている。アプリケーション制御ユニット72は、12Vの電源86を含む。この電源は、車両のバッテリーに接続されていてもよい。更に、アプリケーション制御ユニット72は、プライベートCANインターフェース88及び車両CANインターフェース90を含む。これらのインターフェースは、両方とも、コネクタ92に接続された電子式制御ユニット(ECU)に接続された状態で示してある。
【0022】
[0037]アプリケーション制御ユニット72は、モジュール20内に一体化した別体のユニットとして実施されてもよいし、モジュール20から遠隔に配置されていてもよく、車両エンジン制御ユニット等の他の車両制御機能で実施されてもよい。更に、アプリケーション制御ユニット72が実行する機能は、本発明の教示から逸脱することなく、ビデオマイクロコントローラー52によって行われてもよいということは理解されるべきである。
【0023】
[0038]カメラ22は、全体として、車両10の前方の領域のカメラ画像を捕捉する。レーダーユニット30は扇状レーダービームを放射し、その結果、車両の概ね前方にある対象物が、放射されたレーダービームを反射してセンサに戻す。レーダー−カメラ演算処理ユニット50は、対応するカメラ22及びレーダーユニット30が収集したレーダーデータ及び視覚データの演算処理を行い、情報を多くの方法で処理することができる。レーダー−カメラ情報の演算処理の一例は、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第2007/0055446号に開示されている。参照することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0024】
[0039]
図3及び
図4を参照すると、これらの図にはモジュール20が概略に示してある。モジュール20は、その様々な要素を収容するハウジング100を有する。ハウジング100は、これらの要素を内部に収容し包囲する複数の壁を形成するポリマー材料又は金属材料で形成されている。ハウジング100は、ウィンドウ12の内部形状と同一形状の角度をなした面102を有する。角度をなした面102は、一実施形態によれば、ウィンドウ12に接着剤で連結されていてもよい。他の実施形態によれば、ハウジング100は、ウィンドウ12に取り付けられていてもよいし、車両10の車室内でウィンドウ12の後方の別の位置に取り付けられていてもよい。
【0025】
[0040]モジュール20は、上端近くに取り付けられた状態で示すカメラ22と、全体にその下に取り付けられたレーダーユニット30とを有する。しかしながら、カメラ22及びレーダーユニット30は、互いに対してこの他の位置に配置されていてもよい。レーダーユニット30は、垂直偏波信号を提供するため、全体がレーダーユニット30の前側に取り付けられた垂直方向に配向されたアンテナ48を含んでもよい。レーダーアンテナ48は、パッチアンテナ等の平らなアンテナであってもよい。更に、グレアシールド28が設けられている。グレアシールド28は、ハウジング100の下壁として図示してあり、全体がカメラ22の下に設けられている。グレアシールド28は、カメラ22が受け取る光画像に悪影響が及ぼされないように、光の反射やグレアをほぼ遮断する。これには、車両内のダッシュボード等の要素からグレアが反射されてカメラ22の視界に入らないようにすることが含まれる。追加として、又は代替例として、レーダーユニット30の前方又は下方に電磁干渉(EMI)シールドを配置してもよい。EMIシールドは、全体として、レーダー信号を全体に前方に、ウィンドウ12を通過するように拘束し、レーダー信号が車両10に入り込むことを防ぐか又は最小化するように形成されていてもよい。カメラ22及びレーダーユニット30は、レーダー−カメラ演算処理ユニット50と通信する共通の回路基板に取り付けられていてもよく、これらは全てハウジング100内に一緒に収容されているということは理解されるべきである。
【0026】
[0041]
図5及び
図6を参照すると、これらの図には、垂直軸線に対して任意の角度をなす平面内に傾斜して配向できるアンテナ48を持つ別の実施形態によるモジュール20が概略に示してある。かくして、レーダーアンテナ48は、
図4に示す実施形態の垂直配向に対して所定の角度φをなして傾斜している。一実施形態によれば、レーダーアンテナ48の傾斜角度φは、垂直配向に対し、約10°乃至70°の範囲内にある。一実施形態によれば、レーダーアンテナ48は、ウィンドウ12の角度とほぼ同じ角度φで傾斜している。レーダーアンテナ48を傾斜することにより、ハウジング100の高さを小さくできる。しかしながら、アンテナ48の傾斜を補償するため、レーダービームは、必要なカバレッジゾーンに当てるため、斜め下に差し向けられ、即ち下方にスクントされる。レーダー信号のスクントは、設計された位相スロープ(phase slope)を提供するアンテナフィードネットワークによって行ってもよい。
【0027】
[0042]
図7を参照すると、この図には、全体がレーダーユニット30の前方に位置決めされた平行平板型レンズ構造44を使用する第3実施形態によるモジュール20が示してある。平行平板型レンズは、EMIシールドとしても機能する。平行平板型レンズ構造44は、レーダーユニット30の(垂直方向に配向された)アンテナ48から車両のウィンドウ12の内面まで延びる実質的に水平な配置の平行な複数の導電性プレート122又は導電性シートを含む。これらの平行な導電性プレート122は、誘電体により互いに絶縁されており且つレンズのレーダーの作動波長の半分等の所定距離だけ互いから離間された平行な銅製シートを含んでいてもよい。(レンズの作動波長は、レーダーの自由空間波長及び平行なプレート間で使用された材料があれば、その材料の特性で決まる。)図示の実施形態では、平行平板型レンズ構造44は、更に、平行な導電性プレート122の隣接した層間に配置された誘電体フォーム120を含む。誘電体フォーム120は、非導電性であり、水平な層をなした平行な導電性プレート122を支持する。誘電体フォーム120は、レーダービームがウィンドウ12を通過する際に車両10の前方に道路に向かって所定の調節角度で方向を変えるように下方へのビームスクントを提供する所定の誘電率を有する。実際には、平行な導電性プレート122及び誘電体フォーム120は、一種のレンズとして作動することができ、このレンズは、アンテナアパーチャ(antenna aperture)をウィンドウ12まで延長し、電磁干渉シールドとして作動する際にレーダービームを下方に差し向ける。EMIシールドは、扇状のレーダービームをアンテナから外方にフロントガラスに投射されるまで取り囲むことができる。平行平板型レンズは、EMIシールドの小型化に役立つ。これは、レンズを使用した場合、レーダービームはウィンドウ12に達するまで扇状に拡がらないためである。レンズをEMIシールドに組み込まないと、フロントガラスに投射されるレーダービームはずっと大きくなり、大きなEMIシールドを必要とする。
【0028】
[0043]
図8を参照すると、この図には、カメラ22の前方でウィンドウ12の内面に、カメラ22の光学視線(optical line of sight)上にあるように接着した屈折ブロック96が示してある。屈折ブロック96は、車両の屈折境界即ちウィンドウ12と接触した状態で取り付けられるように形成された入光面と、出光面とを含み、屈折ブロック96は、撮影した領域と対応する光の光路を屈折し、光を画像感知要素、即ちカメラ22に差し向ける。光は、図示のように、屈折ブロック96に入り、カメラ22のレンズに入る前に空隙(air gap)に入る。別の態様では、レンズを適切に最適化することにより、空隙をなくしてもよい。屈折ブロック96の底部及び側部は、反射を低減するために荒らしてあってもよく、黒色等の不透明な色彩が塗布してあってもよい。屈折ブロック96の一例は、本願の譲受人に譲渡された米国特許第7,095,567号に開示されている。参照により、この特許に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0029】
[0044]図示の屈折ブロック96の入射角θは、一実施例によれば、約70°である。入射角θは、一般的には、カメラ22及びウィンドウ12とウィンドウ12に対して垂直な線との間の角度である。カメラ22によって捕捉される光線がウィンドウ12及び屈折ブロック96を通過するとき、光画像はカメラ22に向かって屈折される。屈折ブロック96の底部及び側部の不透明な表面は、有利には、カメラ22への光の反射即ちグレアを阻止し、これによってグレアシールドの機能を提供するが、従来のグレアシールドよりも全体寸法が小さい。屈折ブロック96は、更に、レーダーユニット30を電磁干渉からシールドするように作動する。
【0030】
[0045]アンテナ48は、ウィンドウ12によって導入されるRF伝播に関する諸問題を緩和するため、垂直偏波アンテナであるように設計されている。車両の代表的なフロントガラス反射損失は、ウィンドウ12の厚さ及び入射角で決まる。垂直偏波用に形成されたアンテナ48による平行(垂直)偏波を使用した76.5GHzのレーダー周波数での一方向反射損失(dB)を様々な厚さのフロントガラスについてフロントガラスの入射角(°)の関数として
図9に示す。垂直偏波は、70°近くの入射角で、入射角及びフロントガラスの厚さにほとんど左右されずに良好に伝播する。これとは対照的に、垂直(水平)偏波アンテナは、感度が入射角及びフロントガラスの厚さによって大きく変化し、代表的には、
図10に示すように、フロントガラスでの反射損失が比較的大きい。従って、平行垂直偏波アンテナは、代表的なフロントガラスパラメータについて比較的良好な伝播を提供する。76.5GHzの周波数でのブルースター角の近くでの及びこの角度を越えた領域での垂直偏波についての感度を
図11及び
図12に示す。
図11及び
図12に示すグラフは、全体として、入射角に対する反射損失を、
図11ではフロントガラスの厚さに関して示し、
図12ではフロントガラスの誘電率(dk)に関して示す。反射損失は、78°より小さい入射角については、厚さの変化に対してそれ程大きくは変化せず、及び7.0の公称誘電率(dk)(この誘電率は、フロントガラスについての代表的な値である)については、誘電率の変化に対してそれ程大きくは変化しない。
【0031】
[0046]
図13を参照すると、この図には、方位角に基づくフロントガラスの反射損失による追加の損失(additional loss)に関する方位角の影響が示してある。方位角に対する二方向反射損失は、45°の角度の全カバレッジゾーンについて、所定の方位角±22.5°が、受容可能な最小の追加の損失を提供することを示す。
【0032】
[0047]パッケージを小型化し、センサの全体としての費用を小さくするため、モジュール20は、レーダー及びカメラのフロントエンドについて、電子装置及び信号プロセッササブシステムを共通(共有)するように設計されている。更に、カメラの光学系及びイメージャは、レーダーアンテナ基板に一体化してある(一体化を行う上で必要であれば、ウェハスケールカメラをアンテナ基板に組み込んでもよい)。共有の信号プロセッサ構造により、低レベルのレーダー−カメラデータを融合できる。レーダーモジュールとカメラモジュールが別々である場合には、高帯域幅のインターフェースを必要とし、これに伴って費用が上昇する。低レベルデータ融合は、対象物の大きさ(例えば長さ及び幅)の推算、対象物の分類、道路形状の推算、等を改善する機会を提供する。
【0033】
[0048]ウィンドウ12の後方に設置するには、カメラ22が性能を最適に発揮するためにグレアシールド28が必要とされてもよい。更に、レーダーユニット30を最適に使用できるようにする上でEMIシールド44が必要とされ、又はこのシールドが設けられていることが期待される。いずれの場合でも、シールド構造は、ウィンドウ12まで延びていてもよい。グレアシールド28又はEMIシールド44の大きさは、カメラ及び/又はレーダーアンテナの視界を妨げないようにするため、カメラ及び/又はレーダーアンテナから扇状に拡がっていてもよく、フロントガラスの傾斜角度(rake angle)のため、パッケージの大きさが比較的大きくなってしまう。EMIシールドを組み込むことにより、別体のカメラ用グレアシールドに対する必要をなくしてもよい。また、屈折ブロック光学系を使用することにより、カメラ用グレアシールドが不要になる。レーダーEMIシールドを小型化するため、平行平板型伝播用レンズ構造を使用し、レーダービームを扇状に拡げることなく、アンテナ48をウィンドウ12に効果的に近付けてもよい。更に、レンズ構造は、必要とされる高さポイント(elevation pointing)及びカバレッジを得る上で必要とされるようにビームを「スクント」させ、即ち斜行させる誘電体で形成されるように設計されていてもよい。
【0034】
[0049]グレアシールド又はEMIシールドを小型化する(又はこれらのシールドを不要にする)ための別の選択肢は、アンテナをウィンドウ12に対して平行(又はほぼ平行)に配向するため、アンテナ48にチルトバック(tilt−back)を組み込むことである。ウィンドウ12とアンテナ48及びカメラ22との間の距離は、これによって最小化され、任意の外シールドをウィンドウ12まで延長するモジュールパッケージの大きさの増大もまた最小化される。この場合、アンテナ48は、必要とされる高さポイント及びカバレッジを得るため、高さに関して大きく斜行する即ちスクントするように設計されている。
【0035】
[0050]代表的には、適切なシステム性能を得る上で、レーダーユニット30及びカメラ22を、互いに対し、及び車両10に対して整合することが必要とされる。モジュール20は、「ネットビルド(net−build)」アプローチを支持するように、即ち、センサのカバレッジの適切な辺縁部により、調節自在の機械式整合装置に対する必要をなくすように設計されている。ジョイントレーダー−カメラ整合概念は、システムの初期整合を行うため、車両組み立て工場におけるカメラに基づく電子整合を組み込む。その場合、道路上での作動中、カメラに基づく自動的電子的整合を使用し、車両に対する整合状態を維持し、センサ融合を使用してレーダー30をカメラ22に対して電子的に整合する。
【0036】
[0051]上文中に説明したように、共通の(即ち、共有の)サブシステム及び一体化したパッケージを使用してレーダーユニット30及びカメラ22を単一の集合体(モジュール20)に一体化したことにより、費用の低減がなされる。更に、2つの方法で設置費用が低減される。単一のモジュール20をウィンドウ12の後側に設置するだけでよい。これとは対照的に、現在のシステムは、代表的には、別体のレーダーモジュール及びカメラモジュールを使用し、カメラは、代表的には、ウィンドウ12の後側に設置され、レーダーは、代表的には、フロントグリル領域又は前バンパーの後方に配置される。レーダーをこの領域に設置するには、多くの場合、費用の掛かる取り付けブラケットを必要とし、及び/又は車両のグリル又はバンパーに対して費用の掛かる変更を行うことを必要とする。更に、レーダー要素は前方衝突により損失し易く、フロントガラスの後方に設置する場合と比較して修理に要する費用が潜在的に高い。
【0037】
[0052]レーダー及びカメラを最適に融合し、相補的センサ特性を活用し、レーダー要素の仕様及び価格を最小化することにより費用を更に低減できる。即ち、独立型レーダーシステムの費用は、多くの場合、角度の精度及び角度弁別必要条件を満たすために多くの狭幅のビームが必要とされるため、高くなる。カメラ22に適当なデータ融合アルゴリズムを一体化することにより、レーダー要素に課せられる角度の精度及び弁別必要条件を最小化できる。これは、カメラ22が、本来、優れた角度性能を提供するためである。
【0038】
[0053]
図14は、
図1に示されているモジュール20によって使用するのに適当なアンテナ202及びコントローラー204の非限定的な例を示している。一般的に、所与のレーダー信号208の偏波角度又は送信偏波220に関して、ウィンドウ12を通るレーダー信号208の伝播の好適な角度206(
図1)が存在することが観察されている。示されているアンテナ202は、
図2に示されているアンテナ48のために使用してもよい。コントローラー204は、
図2に示されているレーダーユニット30(例えば、トランシーバ32)及びレーダーカメラ処理ユニット50(例えば、ビデオマイクロコントローラー)を形成する様々なパーツの任意の組合せを含んでもよいが、それに限定されない。換言すれば、コントローラー204は、単に、議論を簡単化するために示すものとして示されている。
【0039】
[0054]アンテナ202は、周知のプリント基板製造技法を使用して適当な基板の上に、銅箔で適当に形成してもよい。一般に、アンテナ202は、ウィンドウ12を通して領域18内へレーダー信号208を放射するように構成されている。レーダー信号208は、レーダー信号208の送信偏波220によって特徴付けられ、ここで、送信偏波220は、アンテナ202の第1のポート212において受信される第1の送信信号210と、アンテナ202の第2のポート216において受信される第2の送信信号214とによって影響を受ける。
【0040】
[0055]コントローラー204は、全体として、第1の送信信号210及び第2の送信信号214を出力するように構成されている。第1の送信信号210は、第1の振幅及び/又は第1の位相等の第1の特性によって特徴付けられてもよく、第2の送信信号214は、第2の振幅及び/又は第2の位相等の第2の特性によって特徴付けられてもよい。一般に、第1の特性と第2の特性との間の相対差は、レーダー信号208の送信偏波220を決定し、ウィンドウ12を通るレーダー信号208の伝播の好適な角度206に基づいて選択又は決定される。本明細書で使用されているように、好適な角度206は、ウィンドウ12の傾斜角度を含んでもよく、アンテナ48のボアサイト222に対する方位角に関連させてもよい。本明細書で提示されている非限定的な例では、ボアサイト222は、車両10の長手方向軸線におおよそ整合している。幾つかの例では、好適な角度206(例えば、
図1)は、方位角又は水平角度と同じであるように見えてもよく、従って、ウィンドウ12の傾斜角度を含まない。ウィンドウ12を通してレーダー信号208を特定の方向に伝播させるための最適な偏波は、ウィンドウ12に対するレーダー信号の入射の角度の関数であり、従って、傾斜角度及び方位角に関連させてもよいことが理解されるべきである。適用例では、所与の傾斜角度に関して、レーダー信号208の偏波は、方向(即ち、好適な角度206)に基づいて、対象物に向けて調節される。傾斜角度は、垂直平面からどれくらい離れて、又は、垂直平面からどのくらい戻って、ウィンドウ12が傾いているかことを表示し、又は、それらに対応している。例えば、スポーツカーは、代表的には、大型トラックよりも大きい傾斜角度を有している。ボアサイト222は、基板によって確立されるアンテナ48の平面に垂直なベクトルに対応しており、アンテナ48は、基板の上に建てられ、車両10の真っ直ぐ前方の方向におおよそ整合している。方位角は、レーダー信号208が方向付けされるボアサイトから離れる水平角度に対応している。
【0041】
[0056]
図14を続けて参照すると、非限定的な例として、第1の送信信号210及び第2の送信信号214は、それらが第1のポート212及び第2のポート216からアンテナ202のパッチに到着するときに、互いに対してゼロ位相差を有してもよいが、異なる振幅を有しており、異なる振幅は、送信偏波220を決定し、又は、送信偏波220に影響を及ぼす。従って、この例に関して、第1の特性は、第1の送信信号210の第1の振幅を含み、第2の特性は、第2の送信信号214の第2の振幅を含む。そのように、第1の振幅と第2の振幅との間の振幅差は、好適な角度206に対応し、又は、好適な角度206を決定する。レーダー信号208の送信偏波220に影響を及ぼすこと又は制御することが可能であることによって、好適な角度206は、対象物16等の対象物がレーダー信号208によって可変的に照射され得るように、制御又は変化させることができる。例えば、送信偏波220は、対象物16の検出を強化するために、ウィンドウ12を通して角度206で伝播されたレーダー信号208の強度を最大化するように制御されてもよい。
【0042】
[0057]アンテナ202は、偏波ダイバーシティーを備えるパッチアンテナと称される場合がある。作動周波数が76.5GHzである場合、アンテナ202は、1.07mm平方のパッチサイズ224及び2.98mmのパッチピッチ223を有する0.38ミリメートル(mm)の厚さのPTFE基板の上に構築してもよい。例示的なアンテナの送信偏波220は、第1のポート212及び第2のポート216に適用される信号の相対振幅によって制御することができる。相対振幅は、第1の振幅に対する第2の振幅の比率(第2の振幅/第1の振幅)として表現することができる。次いで、等しい位相の信号が両方のポートに適用されると仮定すると、送信偏波は、送信偏波=arc tan(第2の振幅/第1の振幅)によって計算することができる。第1の振幅に対する第2の振幅の比率(第2の振幅/第1の振幅)が1/100よりも小さい場合には、送信偏波220は、約0度(0°)であり、レーダー信号208の偏波は、垂直であるとして特徴付けられてもよい。同様に、第1の振幅に対する第2の振幅の比率(第2の振幅/第1の振幅)が100/1よりも大きい場合には、送信偏波220は約90度(90°)であり、レーダー信号208の偏波は、水平であるとして特徴付けられてもよい。従って、第1の振幅に対する第2の振幅の比率(第2の振幅/第1の振幅)が1/1に等しい場合には、送信偏波220は約45度(45°)であり、レーダー信号208の偏波は、斜めであるとして特徴付けられてもよいことになる。
【0043】
[0058]
図15は、
図1に示されているモジュール20によって使用するのに適当なアンテナ302及びコントローラー304の別の非限定的な例を示している。コントローラー304は、位相シフター308及びハイブリッドカプラー306を含んでもよい。位相シフター308及びハイブリッドカプラー306は、コントローラー304の一部として示すことが可能であるが、それらは、説明を簡単化するために別々のパーツとして示されていることが理解される。コントローラー304は、送信信号330及び位相制御信号322を出力する。位相シフター308及びハイブリッドカプラー306は、第1の送信信号310が、第2のポート316に送達される第2の送信信号314に対して異なる振幅及び位相で第1のポート312に送達されるように構成されてもよい。そのように、第1の特性は、第1の送信信号310の第1の振幅及び第1の位相を含み、第2の特性は、第2の送信信号314の第2の振幅及び第2の位相を含む。従って、第1の振幅及び第1の位相と、第2の振幅及び第2の位相との間の差は、好適な角度206に対応することになる。作動周波数が76.5GHzである場合、アンテナ302は、1.07mm平方のパッチサイズ324及び2.98mmのパッチピッチ326を有する0.38ミリメートル(mm)の厚さのPTFE基板の上に構築してもよい。ハイブリッドカプラーの機能性を考えると、第1の振幅及び位相と第2の振幅及び位相との間の差(従って、送信偏波320)は、位相シフター308によって導入される位相シフトの量によって制御することができる。より具体的には、送信偏波320は、位相シフターによって適用される位相シフトを半分にする(halving)ことによって決定することができる。例えば、位相シフトがゼロである場合には、送信偏波320は約0度(0°)であり、従って、レーダー信号208の偏波は、垂直であるとして特徴付けられてもよい。同様に、位相シフトが180°である場合には、送信偏波320は約90度(90°)であり、従って、レーダー信号208の偏波は、水平であるとして特徴付けられてもよい。従って、位相シフトが90°である場合には、送信偏波320は約45度(45°)であり、レーダー信号208の偏波は、斜めであるとして特徴付けられてもよいことになる。
【0044】
[0059]アンテナ202、アンテナ302は、全体として、全方向性アンテナとして特徴付けられ、以降では、総称的にアンテナ48と称されることを、当業者は理解することになる。示されているアンテナは、水平又は方位平面において全方向性であり、垂直平面において指向性であるとして、より正確に説明されていることが理解される。また、単一のパッチだけを備えるアンテナは、より全体的に、全方向性であるとして特徴付けられことになることが理解される。また、水平アレイ内に配置されている複数の垂直方向に配置されたパッチが使用され、幅の狭いビームを有するレーダー信号を放射することができることが理解される。その場合、周知のスキャニング技法が使用され、特定の方向にビームを誘導するか、又は、特定の方向にビームを向けさせてもよい。しかしながら、以下に続く説明から明確になるように、アンテナ48によって放射され、ウィンドウ12によって反射されて対象物16から離れるか、又は、ウィンドウ12を通って対象物16に向かって伝播するレーダー信号208の量は、送信偏波220、320によって変化する。そのように、対象物16を照射するレーダー信号208の強さは、送信偏波220、320を変化させることによって、変化させることができる。例えば、指向性ビームを備えるアンテナを使用するとき、ビームポイント(pointing)の方向に伝播するレーダー信号208の強さは、送信偏波220、320を変化させることによって、ウィンドウ12における入射角度に対して変化又は最適化させることができる。
【0045】
[0060]
図16は、様々な送信偏波に対して、65°の傾斜角度を有するウィンドウ(フロントガラス)に衝突するレーダー信号の二方向反射損失を示すグラフ400の非限定的な例を示している。二方向反射損失は、アンテナ48からのレーダー信号208がウィンドウ12を通過するときの信号損失と、対象物16からの反射信号230がウィンドウ12を通過してアンテナ48へ戻るときの信号損失とから成る。例えば、送信偏波220、320が、0度(0°)である場合には、二方向反射損失(アンテナ48によって放射されたレーダー信号208の量と、対象物16によって反射され、ウィンドウ12によって反射された信号の量とを加えたもの)は、曲線402によって示されている。方位角(例えば、好適な角度206)が0度(0°)である場合、即ち、ボアサイト222に沿って車両10の真っ直ぐ前方である場合には、二方向損失は0デシベル(0dB)である。しかしながら、方位角(例えば、好適な角度206)が60度(60°)である場合には、送信偏波220、320は依然として0度(0°)であり、反射損失は、約15dBだけ信号の強度を低減させる。これとは対照的に、送信偏波220、320が90°に設定される場合には、曲線404は、ボアサイトに沿ったレーダー信号208の送信偏波220、320が20dBだけ低減されるが、60°の方位角に対して、5dBよりも少なくしか低減されないことを示している。そのように、アンテナ48が全体として全方向性タイプアンテナであるとしても、送信偏波220、320を変化させることによって、領域18にある任意の対象物に衝突するエネルギーの量を変化させることができることが明らかであろう。換言すれば、アンテナ48とウィンドウ12との間のレーダー信号エネルギー分布は比較的均一であってもよいが、分布は、ウィンドウ12を通過した後は均一でない。更に、指向性のビームを備えるアンテナを使用するとき、ビームポイントの方向に伝播されるレーダー信号エネルギーは、送信偏波220、320を変化させることによって、変化又は最適化させることができる。このような信号エネルギーの最適化が使用され、例えば、ビームポイント角度の範囲にわたる対象物の検出を強化してもよい。
【0046】
[0061]また、グラフ400は、曲線406を示しており、曲線406は、特定の方位角に沿って反射損失を最小化する(即ち、ウィンドウを通過するエネルギーの量を最大化する)ために、特定の方位角に関して使用する最適な送信偏波を表している。また、グラフ400は、方位角の所与の範囲に対するコンプロマイズ(compromise)送信偏波を選択するのに有用であることが可能であり、即ち、固定された送信偏波を選択する方法であることが可能である。プラスの方位角だけが示されているが、グラフ400は、y−軸の周りにミラー対称であり、プラス及びマイナスの方位角の両方に対する二方向損失を示すグラフを提供することができることが理解されるべきである。マイナスの方位角に関して、それぞれの曲線に関して表記されている偏波角度は、同様に、正負反転される(negated)べきである。例えば、グラフ400を参照すると、45度の偏波角度に関する二方向損失は、15度の方位角において約2dBであり、一方、−15度の方位角において、−45度の偏波角度に関する二方向損失は、2dBである。
【0047】
[0062]
図17は、特定の方位角に配置されている対象物を検出するための最適な偏波(送信偏波220、320)を示すグラフ500の非限定的な例を示している。プラスの方位角だけが示されているが、対応するマイナスの方位角に関して、グラフ500に示されている最適な偏波角度は、正負反転されるべきであることが理解されるべきである。例えば、グラフ500を参照すると、40度の方位角において、最適な偏波角度は、約42度であり、一方、−40度の方位角において、最適な偏波角度は、−42度になることになる。
【0048】
[0063]上記の説明は、全体として、ウィンドウ12を通して特定の送信偏波220、320でレーダー信号208を放射するアンテナ48(202、302)に関連していたが、アンテナ48が使用され、特定の偏波を有する反射信号230(
図1)、例えば、反射偏波232(
図14)又は反射偏波332(
図15)を優先的に検出してもよいことが理解される。従って、また、アンテナ202は、領域18からの反射信号230に応答して、第1の検出信号234及び第2の検出信号236を出力するように構成されてもよく、反射信号230は、ウィンドウ12を通過し、アンテナ202に衝突する。当業者によって理解されることになるように、コントローラー204は、反射信号230が反射偏波232の特定の値によって特徴付けられるときに反射信号230を優先的に検出するように、第1の検出信号234及び第2の検出信号236を処理するように構成されてもよい。反射信号230が、反射偏波232を表すことになり、反射偏波232は、反射信号230を発生させたレーダー信号208の送信偏波220に対応することが期待される。即ち、対象物16により、レーダー信号208の反射である反射信号230は、送信偏波220に匹敵する反射偏波232を示す可能性がある。換言すれば、反射信号230は、部分的にランダム化され(randomized)てもよいが、全体的に又は均一にランダム化されないことになりそうである。それにもかかわらず、アンテナ48によって検出された反射信号208の好適な偏波が調節され、ウィンドウ12の上の反射信号の入射角度を最適化することができる。
【0049】
[0064]レーダーシステムは、多くの場合、同じ偏波を送信及び受信するように構成されている。例外には、ターゲット種類のための、又は、クラッターからターゲットを分離するための偏波ダイバーシティーを備えるレーダーが含まれる。ウィンドウ12の後方で作動するモジュール20によるターゲット検出を強化するために、一般的に、送信及び受信の両方のためにウィンドウ12を通る伝播を最大化することが好ましい。従って、本明細書で提示されているウィンドウ入射角度対偏波角度の伝播効果を考慮すると、グラフ500に示されている例示的な最適偏波に従って、それぞれの好適な角度又はビームポイント方向に対して同じ偏波を使用して、送信及び受信することが一般的に有利である。
【0050】
[0065]送信偏波220は、好適な角度206で対象物16を優先的に照射するように変化させることができ、アンテナ202を使用し、反射偏波232の特定の値を有する反射信号230を優先的に検出することができるので、コントローラー204は、第1の検出信号234、第2の検出信号236、及び、レーダー信号208の送信偏波220に基づいて対象物方向角度(好適な角度206に対応する)を決定するように構成されてもよいことになる。例として、及び、限定としてではなく、コントローラー204は、送信偏波220の値をスイープする(sweep)か、又は徐々にステップする(step)ために効果的であるように、第1の送信信号210及び第2の送信信号214を変化させるように構成されてもよく、次いで、グラフ400(
図16)に示されている二方向反射損失特性を使用して、反射信号230の大きさを補償し、対象物方向角度(好適な角度206に対応する)は、反射信号230が最大振幅を表すときに使用される送信偏波220に基づいて決定されてもよい。
【0051】
[0066]従って、車両10の周りの領域18にある対象物16を、ウィンドウ12を通して検出するために、車両10のウィンドウ12の後方に配置されるように構成されているセンサモジュール(モジュール20)が提供される。また、上文中に説明したように、モジュール20は、カメラ22(
図1)を含んでもよく、カメラ22は、モジュール内に配置され、領域18の画像を捕捉するように構成される。カメラ22は、領域18内の幾つかの対象物を特定するために有用である可能性がある。対象物に対する好適な角度206を決定するために送信偏波220及び反射偏波232を使用することに関して上文中に説明した改良は、カメラ22からの画像と組み合わせ、領域内のどの対象物が車両10にとって脅威となるか、及び、どの対象物は脅威になりそうにないかことを、より良好に見分けてもよい。
【0052】
[0067]本発明は、その好適な実施形態の観点から説明されてきたが、それは、そのように限定されることを意図しておらず、むしろ、以下に続く特許請求の範囲に記述されている範囲にのみ限定されることを意図している。