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特開2015-9274スポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-9274(P2015-9274A)
(43)【公開日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】スポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/25 20060101AFI20141216BHJP
   B23K 11/24 20060101ALI20141216BHJP
   B23K 11/11 20060101ALI20141216BHJP
   B23K 11/30 20060101ALN20141216BHJP
【FI】
   B23K11/25 510
   B23K11/24 336
   B23K11/11 570Z
   B23K11/30 350
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-127797(P2014-127797)
(22)【出願日】2014年6月23日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0074434
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514159014
【氏名又は名称】スマートロボット カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Smart Robot Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】ペク ヒャンモク
【テーマコード(参考)】
4E065
【Fターム(参考)】
4E065AA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電極のチップドレッシング作業が適切に行われた否かを検査し、その結果を管理者に知らせるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置。
【解決手段】トロイダルコイル101と、チップドレッシング前後に発生した溶接電流のアナログ電圧をデジタル信号に変換する信号変換部102と、変換された前記チップドレッシング前後のデジタル溶接データとの差が使用者が設定した不良範囲から外れると、該当チップドレッシングが適切に行われたことを示す第1チップドレッシング検査結果が管理者の端末機に出力されるようにし、且つ、前記チップドレッシング前後のデジタル溶接データとの差が前記不良範囲に該当すると、不良に行われたことを示す第2チップドレッシング検査結果を、管理者の端末機に出力されるようにする第1制御部103と、前記第1制御部の制御下で該当チップドレッシング検査結果を管理者の端末機に出力する信号出力部104とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポット溶接ロボットガンの溶接電流を測定するためのトロイダルコイルと、
チップドレッシング前、使用者が設定した溶接条件によって、前記スポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時に、前記トロイダルコイルから発生した溶接電流のアナログ電圧をデジタル信号に変換し、前記チップドレッシング後、使用者が設定した前記溶接条件と同一の溶接条件によって、前記スポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時に、前記トロイダルコイルから発生した溶接電流のアナログ電圧をデジタル信号に変換する信号変換部と、
前記信号変換部によって変換された前記チップドレッシング前のデジタル溶接データと前記チップドレッシング後のデジタル溶接データとの差が、使用者が設定した不良範囲から外れると、該当チップドレッシングが適切に行われたことを示す第1チップドレッシング検査結果を導出して管理者の端末機に出力されるようにし、前記チップドレッシング前のデジタル溶接データと前記チップドレッシング後のデジタル溶接データとの差が、使用者が設定した不良範囲に該当すると、該当チップドレッシングが不良に行われたことを示す第2チップドレッシング検査結果を導出して管理者の端末機に出力されるようにする第1制御部と、
前記第1制御部の制御下で該当チップドレッシング検査結果を管理者の端末機に出力する信号出力部と、を備えてなるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置。
【請求項2】
前記第1制御部は溶接時毎に測定された該当デジタル溶接データを数値化させ、
前記第1制御部の制御下で溶接時毎に測定されて数値化されたデジタル溶接データを表示する表示部をさらに備えてなることを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置。
【請求項3】
スポット溶接ロボットガンの溶接電流を測定するためのトロイダルコイルと、
前記チップドレッシング後、使用者が設定した溶接条件によって、前記スポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時に、前記トロイダルコイルから発生した溶接電流のアナログ電圧をデジタル信号に変換する信号変換部と、
前記信号変換部によって変換された前記チップドレッシング後のデジタル溶接データと前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとの差が、使用者が設定した範囲に該当すると、該当チップドレッシングが適切に行われたことを示す第1チップドレッシング検査結果を導出して管理者の端末機に出力されるようにし、前記チップドレッシング後のデジタル溶接データと前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとの差が、使用者が設定した範囲から外れると、該当チップドレッシングが不良に行われたことを示す第2チップドレッシング検査結果を導出して管理者の端末機に出力されるようにする第2制御部と、
前記第2制御部の制御下で該当チップドレッシング検査結果を管理者の端末機に出力する信号出力部と、を備えてなるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置。
【請求項4】
前記第2制御部は、溶接時に測定されたデジタル溶接データを数値化させ、
前記第2制御部の制御下で溶接時に測定され数値化されたデジタル溶接データを表示する表示部をさらに備えてなることを特徴とする請求項3に記載のスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置。
【請求項5】
スポット溶接ロボットガンの電極研磨検査を行うために、スポット溶接ロボットガンの溶接電流を測定するためのトロイダルコイルにスポット溶接ロボットガンが移動してスポット溶接電流を測定することを特徴とする請求項1または3に記載のスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットを利用して溶接するときに用いられるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置に係り、さらに詳しくは、スポット溶接ロボットガンの電極に対して行ったチップドレッシング作業が適切に行われた否かを検査し、その検査結果を管理者に知らせるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、産業用ロボットはスポット溶接する際、溶接回数によってスポット溶接ガンの電極が磨耗し、磨耗量が増えると与えられた溶接回数分の溶接を行えない。
【0003】
したがって、溶接回数を定め、定められた溶接回数に達するとロボットは自動でスポット溶接ガンを研磨する。このような溶接ガンの研磨作業をチップドレッシング(tip dressing)という。
【0004】
チップドレッシングは、ロボットが自らチップドレッシング装置に移動してチップドレッシング作業を行った後、溶接作業を行う。すなわち、スポット溶接ロボットガンが車体組立ラインで車体の溶接を行うと、チップドレッシング装置に自動的に移動してチップドレッシング作業を行い、再び溶接作業を行うが、従来はチップドレッシングが異常なく適切に行われたかを人による目視検査でなされたり、ロボットが作業する現場によっては検査をしない場合もあった。
【0005】
しかし、チップドレッシング検査を行わず、チップドレッシング作業が不良状態で溶接されれば、溶接不良が発生する。したがって、スポット溶接ガンのチップドレッシング検査装置が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたものであり、その課題は、溶接の品質確保のため、産業用ロボットを利用して溶接する際に用いられるスポット溶接ロボットガンに対して行うチップドレッシング作業が適切に行われたか否かについて検査し、その検査結果を管理者に知らせることができるようにしたスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1実施形態によるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置は、
スポット溶接ロボットガンの溶接電流を測定するためのトロイダルコイルと、チップドレッシング前に使用者が設定した溶接条件によって、前記スポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時に前記トロイダルコイルから発生した溶接電流のアナログ電圧をデジタル信号に変換し、前記チップドレッシング後に前記した使用者が設定した溶接条件と同一の溶接条件によって、前記スポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時に前記トロイダルコイルから発生した溶接電流のアナログ電圧をデジタル信号に変換する信号変換部と、前記信号変換部によって変換された前記チップドレッシング前のデジタル溶接データと前記チップドレッシング後のデジタル溶接データとの差が、使用者が設定した不良範囲から外れると、該当チップドレッシングが適切に行われていることを示す第1チップドレッシング検査結果を導出して管理者の端末機に出力されるようにし、前記チップドレッシング前のデジタル溶接データと前記チップドレッシング後のデジタル溶接データとの差が、使用者が設定した不良範囲に該当すると、該当チップドレッシングが不良に行われたことを示す第2チップドレッシング検査結果を導出して管理者の端末機に出力されるようにする第1制御部と、前記第1制御部の制御下で該当チップドレッシング検査結果を管理者の端末機に出力する信号出力部と、を備えてなることを特徴とする。
【0008】
望ましくは、前記第1制御部は、溶接時毎に測定された該当デジタル溶接データを数値化させ、前記第1制御部の制御下で溶接時毎に測定されて数値化されたデジタル溶接データを表示する表示部をさらに備えてなることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2実施形態によるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置は、
スポット溶接ロボットガンの溶接電流を測定するためのトロイダルコイルと、前記チップドレッシング後に使用者が設定した溶接条件によって、前記スポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時に前記トロイダルコイルから発生した溶接電流のアナログ電圧をデジタル信号に変換する信号変換部と、前記信号変換部によって変換された前記チップドレッシング後のデジタル溶接データと前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとの差が、使用者が設定した範囲に該当すると、該当チップドレッシングが適切に行われたことを示す第1チップドレッシング検査を導出して管理者の端末機に出力されるようにし、前記チップドレッシング後のデジタル溶接データと前記溶接時、スポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとの差が、使用者が設定した範囲から外れると、該当チップドレッシングが不良に行われたことを示す第2チップドレッシング検査結果を導出して管理者の端末機に出力されるようにする第2制御部と、前記第2制御部の制御下で該当チップドレッシング検査結果を管理者の端末機に出力する信号出力部と、を備えてなることを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記第2制御部は、溶接時に測定されたデジタル溶接データを数値化させ、前記第2制御部の制御下で溶接時に測定されて数値化されたデジタル溶接データを表示する表示部をさらに備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述したように構成される本発明の第1実施形態に係るスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置は、チップドレッシング前、被溶接物を介在させずにスポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時にそのスポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイルから発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データと、チップドレッシング後、チップドレッシング前の溶接条件と同一の溶接条件で溶接する時にそのスポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイルから発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データとを比較、分析することによって、該当チップドレッシング作業が適切に行われたものであるか否かを確認することができる。
【0012】
また、本発明の第2実施形態に係るスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置は、
チップドレッシング後、被溶接物を介在させずにスポット溶接スロボットガンの電極相互間の接触による溶接時にそのスポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイルから発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データと、前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとを比較、分析することによって、該当チップドレッシング作業が適切に行われたものであるか否かを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態によるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置の構成を示した図である。
図2】本発明の第2実施形態によるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、本発明によるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置は、チップドレッシング装置に隣接して設けられ、スポット溶接ロボットガンが車体組立ラインで車体溶接を行った後、チップドレッシング装置に自動で移動し、チップドレッシング作業が行われると、そのチップドレッシング作業、すなわちスポット溶接ロボットガンの電極に対して行なったチップドレッシング作業が適切に行われたか否かを自動で検査してその検査結果を管理者に知らせる装置である。
【0015】
具体的には、スポット溶接ロボットガンの溶接電流を測定するためのトロイダルコイル101と、前記トロイダルコイル101から発生した溶接電流のアナログ電圧をデジタル信号に変換する信号変換部102と、前記チップドレッシング前後のトロイダルコイル101から発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データを比較、分析して、それによるチップドレッシング結果を導出する第1制御部103と、前記導出されたチップドレッシング結果を管理者の端末機に出力して管理者に知らせる信号出力部104と、を備える。
【0016】
また、前記第1制御部103は、溶接時毎に測定された該当デジタル溶接データを数値化させ、前記第1制御部103の制御下で溶接時毎に測定されて数値化されたデジタル溶接データを表示する表示部105をさらに備える。
【0017】
ここで、トロイダルコイル101は、スポット溶接ロボットガンの溶接電流を測定するためのものであり、円形で一端がスポット溶接ロボットガンの電極に着脱自在に接続されるように分離可能な構造になったものである。したがって、チップドレッシング前、被溶接物を介在させずに前記スポット溶接ロボットガンの電極相互間を直接接触させ(通常の溶接時は電極間に被溶接物が位置する)、使用者が設定した溶接条件(例として、溶接電流、通電時間、圧力、温度)を印加すれば、スポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイルには溶接電流分のアナログ電圧が発生する。このとき、該当スポット溶接ロボットガンの電極の磨耗度や、電極に付着した異物や不純物の量によって発生する電圧に差が生じる。また、チップドレッシング後、チップドレッシング前に行われた使用者が設定したる溶接条件と同一の溶接条件を再び印加すれば、スポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイルには溶接電流分のアナログ電圧が発生するが、このときは電極に対するチップドレッシングが行われた後であるため、発生した電圧はチップドレッシング前に発生した電圧よりは高く表れる。よって、この両電圧、すなわちチップドレッシング前後に発生した電圧を比較すると、チップドレッシング作業が適切に行われたものか否かを確認することができる。
【0018】
信号変換部102は、前記トロイダルコイル101から発生した溶接電流のアナログ電圧を増幅させるOP AMPと、その増幅されたアナログ電圧をデジタル信号に変換するADC(アナログ‐デジタル‐コンバータ)を具備したものである。したがって、チップドレッシング前、使用者が設定した溶接条件によって、前記スポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時に前記トロイダルコイル101から発生した溶接電流のアナログ電圧を増幅させてデジタル信号に変換する。そして、チップドレッシング後、チップドレッシング前に行われた使用者が設定した溶接条件と同一の溶接条件によって、スポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時に前記トロイダルコイル101から発生した溶接電流のアナログ電圧を増幅させてデジタル信号に変換する。
【0019】
第1制御部103は、チップドレッシング前後の前記トロイダルコイル101から発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データを比較、分析して、それによるチップドレッシング結果を導出するものである。すなわち、信号変換部102によって変換された前記チップドレッシング前のデジタル溶接データと前記チップドレッシング後のデジタル溶接データとの差が、使用者が設定した不良範囲から外れると、該当チップドレッシングが適切に行われたことを示す第1チップドレッシング検査結果が管理者の端末機に出力されるようにする。且つ、前記チップドレッシング前のデジタル溶接データと前記チップドレッシング後のデジタル溶接データとの差が、使用者が設定した不良範囲に該当すると、該当チップドレッシングが不良に行われたことを示す第2チップドレッシング検査結果が管理者の端末機に出力されるようにする。また、前記第1制御部103は、前記チップドレッシング前後に行われた溶接時毎に測定された該当デジタル溶接データを数値化させ、表示部105を通して表示されるようにして現在の溶接値を知らせる。
【0020】
信号出力部104は、前記第1制御部103の制御下で該当チップドレッシング検査結果(例:第1チップドレッシング検査結果、または第2チップドレッシング検査結果)を管理者の端末機に出力する。このようにして管理者にチップドレッシング作業が適切に行われたか否かを知らせる。
【0021】
表示部105は、前記第1制御部103が前記チップドレッシング前後に行われた溶接時毎に測定された該当デジタル溶接データを数値化させると、前記第1制御部103の制御下で溶接時毎に測定されて数値化されたデジタル溶接データを表示して、現在の溶接値を知らせる。
【0022】
以下、図1に基づき、本発明の第1実施形態によるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置の動作について説明する。
【0023】
まず、チップドレッシング前、被溶接物を介在させずにスポット溶接ロボットガンの電極相互間を直接接触させ(通常の溶接時は電極間に被溶接物が位置する)、使用者の設定による溶接条件(例:溶接電流、通電時間、圧力、温度)を印加する。
【0024】
これによって、スポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイル101に溶接電流分のアナログ電圧が発生すると(このとき、該当スポット溶接ロボットガンの電極の磨耗度や、電極に付着した異物や不純物の量によって発生する電圧に差が生じる)、信号変換部102は、その発生したアナログ電圧を増幅させてデジタル信号に変換し、第1制御部103に入力する。
【0025】
次に、チップドレッシングを行った後、チップドレッシング前に行われた使用者の設定による溶接条件と同一の溶接条件を再び印加する。
【0026】
これによって、スポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイル101に溶接電流分のアナログ電圧が発生すると(このときは電極に対するチップドレッシングが行われた後であるため、発生した電圧はチップドレッシング前に発生した電圧よりは高く表れる)、信号変換部102は、その発生したアナログ電圧を増幅させてデジタル信号に変換し、第1制御部103に入力する。
【0027】
そうすると、第1制御部103は、入力されたチップドレッシング前後に発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データを比較、分析して、その結果によって該当チップドレッシング電圧が適切に行われたか否か、該当チップドレッシングの検査結果を導出する。
【0028】
具体的には次のとおりである。まず、第1制御部103は、信号変換部102によって変換された前記チップドレッシング前のデジタル溶接データと、前記チップドレッシング後のデジタル溶接データとの差が、使用者が設定した不良範囲から外れると、該当チップドレッシングが適切に行われたことを示す第1チップドレッシング検査結果を導出する。そして、表示部105は前記第1制御部103の制御下で、その導出された第1チップドレッシング検査結果を管理者の端末機に出力する。
【0029】
そのようにして、管理者に該当チップドレッシング作業が適切に行われたかを知らせる。
【0030】
そして、前記第1制御部103は、信号変換部102によって変換された前記チップドレッシング前のデジタル溶接データと前記チップドレッシング後のデジタル溶接データとの差が、使用者が設定した不良範囲に該当すると、該当チップドレッシングが不良に行われたことを示す第2チップドレッシング検査結果を導出する。そして、表示部105は前記第1制御部103の制御下で、その導出された第2チップドレッシング検査結果を管理者の端末機に出力する。
【0031】
そのようにして、管理者に該当チップドレッシング作業が適切に行われたかを知らせる。
【0032】
上述したように本発明によるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置は、チップドレッシング前、被溶接物を介在させずにスポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時にそのスポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイルから発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データと、チップドレッシング後、チップドレッシング前の溶接条件と同一の溶接条件で溶接する時にそのスポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイルから発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データとを比較、分析することによって、該当チップドレッシング作業が適切に行われたか否かを確認することができる。
【0033】
図2に示す本発明の第2実施形態によるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置は、スポット溶接ロボットガンの溶接電流を測定するためのトロイダルコイル201と、前記トロイダルコイル201から発生した溶接電流のアナログ電圧をデジタル信号に変換する信号変換部202と、チップドレッシング後に前記トロイダルコイル201から発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データと前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとを比較、分析して、それによるチップドレッシング結果を導出する第2制御部203と、前記導出されたチップドレッシング結果を管理者の端末機に出力して管理者に知らせる信号出力部204と、を備えてなる。
【0034】
また、前記第2制御部203は、溶接時に測定されたデジタル溶接データを数値化させ、前記第2制御部203の制御下で溶接時に測定された数値化されたデジタル溶接データを表示する表示部205をさらに備えてなる。
【0035】
ここで、トロイダルコイル201は、スポット溶接ロボットガンの溶接電流を測定するためのものであり、円形で一端がスポット溶接ロボットガンの電極に着脱自在に接続されるように分離可能な構造からなるものである。したがって、チップドレッシング後、使用者が設定した溶接条件を印加すると、スポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイル201には溶接電流分のアナログ電圧が発生し、この発生したアナログ電圧は信号変換部202に印加される。
【0036】
信号変換部202は、前記トロイダルコイル201から発生した溶接電流のアナログ電圧を増幅させるOP AMPと、その増幅されたアナログ電圧をデジタル信号に変換するADC(アナログ‐デジタル‐コンバータ)を備えたものである。したがって、チップドレッシング後、使用者が設定した溶接条件でスポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時、前記トロイダルコイル201から発生した溶接電流のアナログ電圧を増幅させてデジタル信号に変換する。
【0037】
第2制御部203は、チップドレッシング後、前記トロイダルコイル201から発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データと前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとを比較、分析して、それによるチップドレッシング結果を導出するものである。すなわち、前記信号変換部202によって変換された前記チップドレッシング後のデジタル溶接データと前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとの差が、使用者が設定した範囲に該当すると、該当チップドレッシングが適切に行われたことを示す第1チップドレッシング検査結果を導出して管理者の端末機に出力されるようにし、且つ、前記チップドレッシング後のデジタル溶接データと前記溶接時にロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとの差が、使用者が設定した範囲から外れると、該当チップドレッシングが不良に行われたことを示す第2チップドレッシング検査結果を導出して管理者の端末機に出力される。一方、前記第2制御部203は、溶接時に測定されたデジタル溶接データを数値化させ、その溶接時に測定されて数値化されたデジタル溶接データを表示部205を通して表示されるようにして現在の溶接値を知らせる。
【0038】
信号出力部204は、前記第2制御部203の制御下で該当チップドレッシング検査結果(例:第1チップドレッシング検査結果、または第2チップドレッシング検査結果)を管理者の端末機に出力する。このようにして、管理者にチップドレッシング作業が適切に行われた否かを知らせる。
【0039】
表示部205は、前記第2制御部203が溶接時に測定されたデジタル溶接データを数値化させると、前記第2制御部203の制御下でその溶接時に測定されて数値化されたデジタル溶接データを表示して現在の溶接値を知らせる。
【0040】
以下、図2に基づき、本発明の第2実施形態によるスポット溶接ロボットガンの電極研磨検査装置の動作について説明する。
【0041】
まず、チップドレッシング後、被溶接物を介在させずにスポット溶接ロボットガンの電極相互間を直接接触させ(通常の溶接時は電極間に被溶接物が位置する)、使用者の設定による溶接条件(例:溶接電流、通電時間、圧力、温度)を印加する。
【0042】
これによって、スポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイル201に溶接電流分のアナログ電圧が発生すると、信号変換部202は、その発生したアナログ電圧を増幅させてデジタル信号に変換し、第2制御部203に入力する。
【0043】
そうすると、第2制御部203は、チップドレッシング後、前記トロイダルコイル201から発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データと、前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとを比較、分析して、その結果によって該当チップドレッシング作業が適切に行われた否か、該当チップドレッシングの検査結果を導出する。
【0044】
具体的には次のとおりである。まず、第2制御部203は、信号変換部202によって変換された前記チップドレッシング後のデジタル溶接データと前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとの差が、使用者が設定した範囲に該当すると、該当チップドレッシングが適切に行われたことを示す第1チップドレッシング検査結果を導出する。そして、表示部205は前記第2制御部203の制御下でその導出された第1チップドレッシング検査結果を管理者の端末機に出力する。
【0045】
そのようにして、管理者に該当チップドレッシング作業が適切に行われたことを知らせる。
【0046】
そして、前記2制御部203は、前記信号変換部202によって変換された前記チップドレッシング後のデジタル溶接データと前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとの差が、使用者が設定した範囲から外れると、該当チップドレッシングが不良に行われたことを示す第2チップドレッシング検査結果を導出する。それから、表示部205は、前記第2制御部203の制御下でその導出された第2チップドレッシング検査結果を管理者の端末機に出力する。
【0047】
そのようにして、管理者に該当チップドレッシング作業が不良に行われたか否かを知らせる。
【0048】
上述したような構成を有する本発明によれば、チップドレッシング後、被溶接物を介在させずにスポット溶接ロボットガンの電極相互間の接触による溶接時、そのスポット溶接ロボットガンの電極に接続されたトロイダルコイルから発生した溶接電流に該当するデジタル溶接データと、前記溶接時にスポット溶接ロボットガンの電極に印加された設定済みの基準溶接データとを比較、分析することによって、該当チップドレッシング作業が適切に行われた否かを確認することができる。
【符号の説明】
【0049】
101、201 トロイダルコイル
102、202 信号変換部
103 第1制御部
104、204 信号出力部
105、205 表示部
203 第2制御部
図1
図2