(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-92941(P2015-92941A)
(43)【公開日】2015年5月18日
(54)【発明の名称】咬合器に歯列模型を装着するためのマウンティングプレート
(51)【国際特許分類】
A61C 11/00 20060101AFI20150421BHJP
【FI】
A61C11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-232591(P2013-232591)
(22)【出願日】2013年11月8日
(71)【出願人】
【識別番号】710009900
【氏名又は名称】津久井 豊
(72)【発明者】
【氏名】津久井 豊
【テーマコード(参考)】
4C059
4C159
【Fターム(参考)】
4C059CC11
4C159CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】咬合器への上下歯列模型の石膏による装着を、より合理化し、さらに精度を向上させると同時に時間も短縮し、さらに清掃性の悪さを改善するマウンティングプレートを提供する。
【解決手段】マウンティングプレートをあらかじめ石膏使用部分を兼ねる高さと上部を傾斜させた構造にする事と、あらかじめ、その高さの違いによるものを数種類用意し、適合する物を咬合器に設置する事により、石膏の使用量を減らすと同時に、石膏の変形を抑えることが可能になるので、従来は別々に装着していた上下模型の同時装着が可能となり、装着に要する時間と手間の軽減を実現できた。さらにプレートの石膏保持部2を曲線と曲面を組み合わせることにより、付着石膏の除去が容易となり清掃性が向上し、課題を解決した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウンティングプレートの上面部(4)と(8)部に傾斜をつけた形態とし、プレートを前後的に装着位置を反転しても上下額のフレームに装着可能とし、さらに、プレートの本体(5)の(3)部分に相当する厚さを標準の5mm前後のサイズであるもの。さらに、別のサイズでその本体部分の高さを2倍程度、また3倍程度まで厚くしたものまでを含め、それを特徴とした、咬合器に歯列模型を装着するためのマウンティングプレート
【請求項2】
マウンティングプレート上面の石膏保持部分(2)が(4)の湾曲した部分にも連続して形成されていることで清掃性を向上させたことを特徴とした、咬合器に歯列模型を装着するためのマウンティングプレート
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
マウンティングテーブルは、一般的に平均的な顎運動を再現できるように作られた器具である咬合器に、歯列模型を装着する際、咬合器の上下のフレームに装着され、その面に石膏を盛り付け上下歯列模型の上下フレームに固定させる台座の役目をする部分に関する。
【背景技術】
【0002】
マウンティングテーブルは一般的に、主に金属製、樹脂製があり、咬合器の上下フレームにネジで固定されている。テーブル上面には模型を固定するための石膏の脱落や剥離を防ぐための維持部分が設けられていて、基盤部分は平坦な円盤型をしている。そのマウンティングテーブルを使用しての歯列模型の理想的な咬合器への装着は、咬合平面を前歯部より臼歯部を高く、すなわち生体に近い関係で装着するのが好ましい装着方法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】特許公開平5−111499
【非特許文献2】特許公開平10−234750
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
咬合器への歯列模型装着には多くの石膏が必要であるが、石膏の性質で硬化の過程で膨張し変形を起こす可能性があった。その解決手段として、出来るだけ変形を起こさないように、上下額の一方を先に装着し、その後、もう片方を装着するという手法が一般的であった。これまでの咬合器への歯列模型の正確な装着はかなりの時間と手間のかかる作業であった。それを如何にして容易に出来るかが課題である。
【0005】
さらに、マウンティングプレートは模型と咬合器を石膏を使用して結合させる部分であるが。プレートの構造はアンダーカット部分の平面の組み合わせで石膏を維持している構造であるので、その部分の構造が原因で、一度入り込んだ石膏が取れにくく固着してしまう要因である。その部分の清掃性の悪さを改善する事が課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
咬合器への歯列模型の装着法は、理想的には歯列模型の後部分の歯列を高く装着する事が理想であるので、模型は前後的には斜めに装着されていることから、平坦なマウンティンプレートではなく、最初から後部に厚みを持たせた形態、すなわち(1)の様に10〜15°程度の傾斜を付与した形状であるならば、模型の下部に沿った面とすることにより、石膏の使用量を少なくできる事となり、課題を解決した。
【0007】
プレートは、咬合器の上下フレームに装着できる接合形態を裏面に付与し、上下額に装着する場合でもプレートの前後を逆に使用できるようにする。さらにプレートの(3)部分を、ケースごとに違う模型と咬合器の上下間の隙間に適合した厚みの物を準備し選択し、装着出来るようにした事により、模型とプレートの隙間を減らし、石膏の使用量を必要最小限にとどめることが出来、その課題を解決した。
【0008】
プレートの清掃性の悪さは、従来の石膏保持部分が平面の組み合わせで鋭角に切れ込んでいる構造で構成されており、その部分に入り込んだ石膏が取れにくいことが原因であった。その鋭く切れ込んだ窪みの部分を、いくらか丸い窪み(4)とし、さらに上部の構造部分を(6)の緩やかな曲線を持った形態として、石膏を横方向から押しとることが出来る形態とし、清掃性をの悪さを解決できる構造とし、問題を解決した。ただし清掃性に関しては(6)部が重要なので(4)は鋭角に切れ込んでいても石膏との接合を重要視するならば、その点はどちらでも良い。
【発明の効果】
【0009】
石膏模型の装着に要する時間短縮と、歯列模型装着の精度を向上させ、石膏の使用量を減らし、補綴物の精度向上と、咬合診断の精度向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】マウンティングプレートの斜視図であるが、(5)の後部を高い構造とし、さらに石膏を維持させる部分の形状は上部では大きくカーブした(6)の形状とし、アンダーカットを持たせた維持部分では(2)の様にくぼみの奥に小さく丸みを持たせた構造であることを示すものである。
【
図2】プレートの上面図であり、石膏維持部分の湾曲した部分をわかりやすく表した図である。
【
図4】この部分は、プレートの裏面で、咬合器と接合するためのガイドピンとネジ穴を示したものである。
【
図5】この図は、プレートの側面図で、上部の傾斜を解りやすく示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
マウンティングプレートは、本体上部を(1)の様に10〜15°程度に傾斜をつけた形態とし、(5)の部分の厚みを、標準の5mm程度の物と、さらに、2倍、3倍程度のそれぞれの形態の物を用意し、サイズを選択できるようにする。また、プレートは上下額フレームで前後を逆に装着する事で使用するので、裏面のフレームとの接合形態を前後逆にも使用可能なものとする。
【実施例】
【0012】
咬合器の歯列模型を装着する際は、装着する模型と咬合器の隙間のサイズを確認し、その部分に合わせて隙間の少ないマウンティングプレートのサイズのものを選択する。また、プレートは上下額で前後を逆に装着する事で使用できるので、咬合器にサイズの合った物を上下フレームにそれぞれ装着し、模型を石膏にて咬合器に装着する。石膏が少なくて済むので上下額とも一緒に装着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0013】
一般的な樹脂製品の製造方法にて製造できる。
【符号の説明】
【0014】
1、本体に対する上部の傾斜角度
2、石膏保持部
3、本体基底部の厚み
4、本体、最上面部
5、プレート本体
6、石膏維持部の曲面部分
7、本体裏面のフレーム取り付け部
8、上面と並行した平面部