【解決手段】本発明に係るチューブコネクタ4Aは、血液ポンプ13に押圧されるポンプチューブ2cと、該ポンプチューブ2cよりも径が小さいノーマルチューブ2dとを接続するチューブコネクタ4Aであって、ポンプチューブ2cを挿入する挿入孔41bが形成されたポンプチューブ挿入部41と、ノーマルチューブ2dを挿入する挿入孔42dが形成されたノーマルチューブ挿入部42と、ポンプチューブ挿入部41及びノーマルチューブ挿入部42を連絡するように延在し、ポンプチューブ2c及びノーマルチューブ2dを接続する、筒状の連絡部43と、を備え、ノーマルチューブ挿入部42の外径は、ポンプチューブ挿入部41の外径よりも大きいことを特徴とする。
前記連絡部の表面には、前記ポンプチューブ挿入部から前記ノーマルチューブ挿入部に亘って延びるリブが形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のチューブコネクタ。
液体ポンプに押圧されるポンプチューブと、前記ポンプチューブよりも径が小さいノーマルチューブと、前記ポンプチューブと前記ノーマルチューブとを接続する中空状のチューブコネクタと、を備える液体回路であって、
前記チューブコネクタは、
一端部に設けられ、前記ポンプチューブを挿入する挿入孔が形成されたポンプチューブ挿入部と、
他端部に設けられ、前記ノーマルチューブを挿入する挿入孔が形成されたノーマルチューブ挿入部と、
前記ポンプチューブ挿入部及び前記ノーマルチューブ挿入部を連絡するように延在し、その内部において前記ポンプチューブ及び前記ノーマルチューブを接続する、筒状の連絡部と、を有し、
前記ノーマルチューブ挿入部の外径は、前記ポンプチューブ挿入部の外径よりも大きいことを特徴とする液体回路。
【背景技術】
【0002】
持続緩徐式血液濾過療法(CRRT)などの体外血液浄化療法を行う場合、患者である被検体から血液を取り出し、この血液を血液浄化装置によって浄化処理した後に被検体に戻すための血液回路を形成する必要がある。血液回路については、密閉性の確保や取扱い性の容易から基本的な構成をユニット化したタイプが用いられるようになってきている。
【0003】
血液浄化装置には、血液を圧送して血流を生じさせる血液ポンプが設けられている。血液ポンプはローラーを有しており、そのローラーの周りには、血液回路におけるポンプチューブが半周ほど掛け回されている。一方向に回転するローラーは、ポンプチューブを一方向にしごくように押圧し、その結果、血液が一定方向に圧送される(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、この種のポンプチューブは、圧送される血液の流量を増やすべく、径が比較的大きくされている。一方、血液回路における、血液ポンプによる圧送箇所以外のチューブ(ノーマルチューブ)は、プライミング容量を小さくするために、ポンプチューブよりも径が細いものが用いられている。このようなポンプチューブ及びノーマルチューブは、中空状のチューブコネクタによって接続されている。
【0005】
ここで、血液ポンプのローラーによってポンプチューブを適切に押圧すべく、血液ポンプとポンプチューブとの相対的な位置関係は一定であることが好ましい。そのため、ポンプチューブが半周ほど掛け回されるローラーの周りには、ポンプチューブが収まる隙間(チューブ用凹部)が形成されている。また、チューブ用凹部の端には、チューブコネクタが収まる凹部(コネクタ用凹部)が形成されチューブ用凹部とコネクタ用凹部とは段差を介して連絡している。血液ポンプのローラーの回転によってポンプチューブが押圧され、ローラーの回転方向にポンプチューブ及びチューブコネクタを引き込むような力が働いても、チューブコネクタが段差に引っ掛かることで、引き込みに抵抗する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
引き込みに対する抵抗作用を大きくすべく、チューブコネクタのコネクタ用凹部の段差に面する側、つまりポンプチューブに接続される側の外径を大きくすると、その分、コネクタ用凹部の内径寸法も大きくしなければならない。その結果、血液ポンプの構造が大きくなることでコンパクト化を阻害し、ポンプチューブやチューブコネクタが装着される装置全体が大きくなってしまう。
【0008】
一方で、チューブコネクタのポンプチューブ側の外径を小さくすると、引き込みに対する抵抗作用が小さくなるばかりでなく、ポンプチューブ及びチューブコネクタの誤装着の原因を作る。具体的には、チューブコネクタの外径をポンプチューブが収まるチューブ用凹部の隙間寸法程度にまで小さくすると、ポンプチューブの取り付け時に、誤って、チューブ用凹部の隙間にチューブコネクタが収容される可能性がある。その結果、血液ポンプとポンプチューブとの相対的な位置関係が不安定となり、血液ポンプによるポンプチューブの押圧が適切に行われないおそれがある。
【0009】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、チューブコネクタが装着される装置全体が大きくなることを抑制しながら、その装置に対する誤装着を防止できるチューブコネクタ及び液体回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るチューブコネクタは、液体ポンプのローラーに押圧されるポンプチューブと、該ポンプチューブよりも径が小さいノーマルチューブとを接続する中空状のチューブコネクタであって、一端部に設けられ、ポンプチューブを挿入する挿入孔が形成されたポンプチューブ挿入部と、他端部に設けられ、ノーマルチューブを挿入する挿入孔が形成されたノーマルチューブ挿入部と、ポンプチューブ挿入部及びノーマルチューブ挿入部を連絡するように延在し、その内部においてポンプチューブ及びノーマルチューブを接続する、筒状の連絡部と、を備え、ノーマルチューブ挿入部の外径は、ポンプチューブ挿入部の外径よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
ポンプチューブ、及びチューブコネクタが装着される装置には、液体ポンプのローラーの周囲に、ポンプチューブを収容するチューブ用凹部とチューブコネクタを収容するコネクタ用凹部とが形成されている。ここで、ポンプチューブ挿入部の外径が大きくなればなる程、このポンプチューブ挿入部に接続されるポンプチューブが外側に張り出してしまう。その結果、ポンプチューブを押圧する液体ポンプのローラーを外側にずらすか、あるいはローラー自体を大きくする必要があり装置のコンパクト化に不利である。一方で、ノーマルチューブ挿入部に関しては、例えば、コネクタ用凹部からノーマルチューブ側に露出させた状態で装着可能とできる。したがって、ノーマルチューブ挿入部を大きくしても、コネクタ用凹部を小さくすることは可能であり、その結果、コネクタ用凹部に合わせてポンプチューブ挿入部の外径を小さくでき、ポンプチューブ挿入部が外側に張り出してしまうのを抑制できる。また、チューブコネクタをチューブ用凹部内に誤って装着しようとした場合には、ポンプチューブ挿入部よりも外径の大きなノーマルチューブ挿入部が干渉して収まらず、誤装着が防止される。その結果、チューブコネクタが装着される装置全体が大きくなることを抑制しながら、その装置に対する誤装着を防止できる。
【0012】
また、ポンプチューブ挿入部の外径は、連絡部の外径よりも大きい。仮に、ポンプチューブ挿入部が連絡部の外径と同じか、または小さい場合には、例えば、手作業でポンプチューブをポンプチューブ挿入部に挿入する際、指先が滑るなどして挿入し難い。しかしながら、上記の構成では、ポンプチューブ挿入部が連絡部の外径よりも大きいので、挿入作業する際に指先のストッパーとして機能し、作業性が向上する。また、ノーマルチューブ挿入部の外径は、ポンプチューブ挿入部の外径よりも大きいので、必然的に連絡部の外径よりも大きくなり、ノーマルチューブをノーマルチューブ挿入部に挿入する際の作業性が向上する。その結果、ポンプチューブ、及びノーマルチューブの両方を高品質でチューブコネクタに接続できる。
【0013】
また、連絡部の表面には、ポンプチューブ挿入部からノーマルチューブ挿入部に亘って延びるリブが形成されている。連絡部の表面に、ポンプチューブ挿入部からノーマルチューブ挿入部に亘って延びるリブが形成されていることにより、チューブコネクタの強度を向上させ、変形を防止することができる。
【0014】
本発明に係る液体回路は、液体ポンプに押圧されるポンプチューブと、ポンプチューブよりも径が小さいノーマルチューブと、ポンプチューブとノーマルチューブとを接続する中空状のチューブコネクタと、を備える液体回路であって、チューブコネクタは、一端部に設けられ、ポンプチューブを挿入する挿入孔が形成されたポンプチューブ挿入部と、他端部に設けられ、ノーマルチューブを挿入する挿入孔が形成されたノーマルチューブ挿入部と、ポンプチューブ挿入部及びノーマルチューブ挿入部を連絡するように延在し、その内部においてポンプチューブ及びノーマルチューブを接続する、筒状の連絡部と、を有し、ノーマルチューブ挿入部の外径は、ポンプチューブ挿入部の外径よりも大きいことを特徴とする。このような液体回路によれば、上述したチューブコネクタ同様、チューブコネクタが装着される装置全体が大きくなることを抑制しながら、その装置に対する誤装着を防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、チューブコネクタが装着される装置全体が大きくなることを抑制しながら、その装置に対する誤装着を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。最初に、
図1を参照して本実施形態に係る血液回路が装着される血液浄化装置の概要について説明する。
【0018】
図1に示されるように、血液浄化装置1では、各種の治療モードに対応可能な二面式を採用しており、正面側の回路装着部11には血液パネル回路が装着され、右扉12を開放すると現れる右面側の回路装着部(図示省略)には液系パネル回路が装着される。例えば、病因物質を体外循環によって血中から取り除く技術であるアフェレシスモードでは、血液パネル回路が正面側の回路装着部11に装着され、右面側の回路装着部には血漿系パネル回路が装着される。また、腹水モードでは、濾過系パネル回路が正面側に装着され、濃縮系パネル回路が右面側に装着される。
【0019】
本実施形態では、正面側の回路装着部11に装着される液体回路の一例として、接続緩徐式血液濾過療法(CRRT)に用いられる血液パネル回路2を説明する。CRRTは、急性期の腎不全治療等のための長時間かつ緩やかな体液調整療法である。CRRTでは、血液を血液ろ過器にて浄化処理し、処理後の血液に対して適宜に補液を加えた後に、循環させる循環回路を構成する必要がある。
【0020】
血液パネル回路(以下、「血液回路」という)2は、血液を血液濾過器に送り込む上流側のラインである動脈ライン21と、血液濾過器で浄化処理された血液が流動する下流側のラインである静脈ライン22とを備えている。
【0021】
動脈ライン21及び静脈ライン22の主要部分は、塩化ビニル製のチューブからなり、動脈ライン21、及び静脈ライン22は、逆L字状のパネル2bによって一体化されている。チューブの終端部は、最終的にシャント部分に接続される部位であるので、清潔性を維持する必要がある。そこで、例えば治療の準備作業中において作業者等が終端部に容易に接触しないように、各終端部にはシャントキャップ(図示せず)が装着されている。
【0022】
次に、
図2を参照して、血液ポンプ13及び血液ポンプ13周辺の血液回路2に係る構成について詳細に説明する。
図2に示されるように、血液ポンプ13は、ローラーポンプ(「チューブポンプ」ともいう)の一種であり、例えば、回転軸から放射状に複数本のアームが突き出し、そのアームが回転しながら先端のローラーでチューブをしごくタイプや、回転軸に対して偏心したローラーを備え、該ローラーがチューブを押圧してしごくタイプなどがある。本実施形態では、前者のタイプを例に説明するが、後者のタイプの血液ポンプであってもよい。
【0023】
図2に示されるように、血液ポンプ13は、回転軸13cから放射状に3本のアーム13dが突き出しており、当該アーム13dの先端にローラー13aが設けられている。各アーム13dは120°ピッチで設けられている。アーム13d及びその先端に設けられたローラ13aが一方向に回転することによって、ローラー13aに掛け回されたポンプチューブ2cが一方向にしごかれるように押圧され、ポンプチューブ2c内の血液が一定方向に圧送される。ポンプチューブ2cは、血液回路2の一部であり、チューブコネクタ4A,4Bを介してノーマルチューブ2dに接続されている。なお、血液ポンプ13のローラー13aは、ポンプチューブ2c内の血液を脱血側から血液濾過器側へと圧送する方向に回転し、
図2に示す例では、ローラー13aは時計回り方向に回転する。
【0024】
血液ポンプ13は、血液浄化装置1の正面側の回路装着部11に固定された略矩形のポンプケース30を備えている。ポンプケース30の中央には回転するローラー13aが配置され、更にローラー13aの周りには、ポンプチューブ2cが収容されるチューブ用凹部31が形成されている。また、ポンプケース30は、チューブ用凹部31を挟んで一方側に設けられたチューブ挟持部32と、他方側に設けられたコネクタ保持部33とを備えている。
【0025】
チューブ挟持部32は、ポンプケース30の蓋(図示省略)を閉じた際に、ローラー13a側に移動する半円弧状の挟持爪32a(
図2の仮想線参照)を有し、挟持爪32aは、回転するローラー13aと協働してポンプチューブ2cを押圧する。また、コネクタ保持部33には、ポンプチューブ2cの両端それぞれに接続されたチューブコネクタ4A,4Bを収容するコネクタ用凹部34A,34Bが形成されている(詳細は後述)。
【0026】
先端にローラー13aが設けられたアーム13dは、回転軸13cに固定されており、回転するローラー13aの上面には、ローラー13aを覆う円盤状のカバー部13bが設けられている。ポンプチューブ2cは、略U字状に湾曲され、カバー部13bを半周程、巻くようにしてチューブ用凹部31内に収められ、ローラー13a周りの所定位置にセットされる。U字状に収められるポンプチューブ2cの湾曲箇所は、チューブ挟持部32の挟持爪32aに対向配置される。また、チューブ用凹部31は、ポンプチューブ2cが所定位置に収まるようにガイドする機能を有する。
【0027】
チューブ用凹部31の幅は一定ではなく、少なくとも、ポンプケース30の蓋を閉じて挟持爪32aがポンプチューブ2cに近接する箇所が最も狭くなる。この箇所が、ローラー13aの回転に伴ってポンプチューブ2cをしごく圧送箇所31aとなる。圧送箇所31a以外は、ポンプチューブ2cを収容する際にスムーズに嵌め込むことができるように比較的広い幅を備えている。
【0028】
コネクタ保持部33は、ローラー13aの軌道を避けて設けられ、円盤状のカバー部13bに沿って湾曲した内壁面を有する中央壁部35と、ポンプチューブ2cの入側(上流側)で、側壁36aから中央壁部35側に向けて張り出すように設けられた入側張り出し部37aと、ポンプチューブ2cの出側(下流側)で、側壁36bから中央壁部35側に張り出すように設けられた出側張り出し部37bと、を備えている。
【0029】
中央壁部35には、入側張り出し部37aに対向する箇所を避けて入側の切欠き部35aが形成されており、ポンプケース30の側壁36aと入側の切欠き部35aとの間にコネクタ用凹部34Aが形成されている。また、中央壁部35には、出側張り出し部37bに対向する箇所を避けて出側の切欠き部35bが形成されており、ポンプケース30の側壁36bと出側の切欠き部35bとの間にコネクタ用凹部34Bが形成されている。なお、本実施形態では、コネクタ用凹部34Aとコネクタ用凹部34Bとの形状や寸法は同じである。
【0030】
中央壁部35と入側張り出し部37aとの間には、チューブ用凹部31の一部である入側隙間部31bが形成され、中央壁部35と出側張り出し部37bとの間には、チューブ用凹部31の一部である出側隙間部31cが形成されている。入側のコネクタ用凹部34Aは、入側隙間部31bよりも幅(内径)が広くなっており、コネクタ用凹部34Aと入側隙間部31bとの間には段差が形成されている。また、出側のコネクタ用凹部34Bは、出側隙間部31cよりも幅(内径)が広くなっており、コネクタ用凹部34Bと出側隙間部31cとの間には段差が形成されている。なお、入側張り出し部37aには、入側隙間部31b内に突き出す突起部38aが形成され、出側張り出し部37bには、出側隙間部31c内に突き出す突起部38bが形成されている。
【0031】
上述の通り、チューブ用凹部31の幅(内径)は一定ではなく、最も大きい箇所は、側壁36a,36bと血液ポンプ13の間に形成される箇所であり、その幅(内径)W1,W2は、例えば、18mmである。また、挟持爪32aとローラー13aとの間に形成される圧送箇所31aを除き、最も狭い箇所は、入側隙間部31bまたは出側隙間部31cであり、その幅(内径)W3,W4は、例えば、11.5mmである。なお、本実施形態では、内径W1と内径W2とは同じであり、内径W3と内径W4とは同じである。
【0032】
図2に示されるように、血液回路2は、ポンプチューブ2cと、ノーマルチューブ2dとを備え、ポンプチューブ2cの入側の端部は、入側のチューブコネクタ4Aを介してノーマルチューブ2dに接続され、出側の端部は、出側のチューブコネクタ4Bを介してノーマルチューブ2dに接続されている。
【0033】
ポンプチューブ2cは、血液ポンプ13に半周程度掛け回され、血液ポンプ13のローラー13aに押圧される。ポンプチューブ2cは、その外径が8mm程度、内径が4.5mm程度とノーマルチューブ2dと比較して大きい。このように、血液ポンプ13に掛け回されるチューブとして、径が比較的大きいポンプチューブ2cを用いることによって、血液ポンプ13に圧送される血液の流量を増やすことができる。
【0034】
ノーマルチューブ2dは、チューブコネクタ4A,4Bを介してポンプチューブ2cに接続される。血液回路2は、チューブとして構成される領域のうち、ポンプチューブ2cを除いた全領域が、ノーマルチューブ2dとなる。ノーマルチューブ2dは、その外径が5mm程度、内径が3.5mm程度とポンプチューブ2cと比較して小さい。このように、径が比較的小さいノーマルチューブ2dを用いることによって、プライミング容量を小さくすることができる。
【0035】
入側のチューブコネクタ4Aと出側のチューブコネクタ4Bとは実質的に同一の形状であるため、入側のチューブコネクタ4Aを代表して説明し、共通する要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。チューブコネクタ4Aは、ポンプケース30の入側のコネクタ用凹部34Aに収容される。チューブコネクタ4Aの長さL1は、コネクタ用凹部34Aの長さL2よりも十分に長く、例えば30mm〜40mm程度である。よって、チューブコネクタ4Aの一部(具体的には、後述するノーマルチューブ挿入部42)はコネクタ用凹部34Aから露出している。チューブコネクタ4Aは、例えば、PVC(塩化ビニル)によって一体成形されている。
【0036】
図3〜
図5に示されるように、チューブコネクタ4Aは、ポンプチューブ挿入部41と、ノーマルチューブ挿入部42と、連絡部43とを有している。ポンプチューブ挿入部41は、チューブコネクタ4Aの一端部に設けられ、ポンプチューブ2cを挿入する挿入孔41bが形成された部分である。具体的には、挿入孔41bは、ポンプチューブ挿入部41の円環部41aに形成されており、円環部41aの中央には、円形の挿入孔41bが形成されている。
【0037】
ポンプチューブ挿入部41は、チューブコネクタ4Aのうちコネクタ用凹部34に収容される部分であるため、円環部41aの外径d1は、少なくともコネクタ用凹部34Aの内径W5よりも小さい(
図2参照)。なお、コネクタ用凹部34Aの内径W5は、例えば18mmである。また、ローラー13aによるポンプチューブ2cの押圧により、入側のチューブコネクタ4Aが入側隙間部31b側に引き込まれることを防止すべく、円環部41aの外径d1は、少なくとも入側隙間部31bの内径W3よりも大きい。
【0038】
また、円環部41aは、挿入孔41bにポンプチューブ2cを挿入する作業において、チューブコネクタ4Aを持つ側の手のストッパーとしての役割を担うため、その外径d1及び高さは、ポンプチューブ2c挿入時にかかる力に耐え得るものである必要がある。具体的には、円環部41aの外径d1は例えば17.5mm程度であり、高さは例えば1mm〜3mm程度である。また、挿入孔41bの径は、ポンプチューブ2cの外径と略一致しており、例えば8mm程度である。
【0039】
ノーマルチューブ挿入部42は、チューブコネクタ4Aの他端部、すなわち、ポンプチューブ挿入部41が設けられた側と反対側の端部に設けられ、ノーマルチューブ2dを挿入する挿入孔42dが形成された部分である。ノーマルチューブ挿入部42は、中央に円形の挿入孔42dが形成された円環状の部材である円環部42a,42bを含んでいる。円環部42aは、ノーマルチューブ挿入部42の端部に設けられている。また、円環部42bは、円環部42aと重なるように円環部42aに近接して設けられている。
【0040】
円環部42a,42bは、互いに同様の形状・寸法であり、その外径d2は、少なくとも、ポンプチューブ挿入部41の円環部41aの外径d1、チューブ用凹部31における径が最も大きい部分の内径W1(
図2参照)、及びコネクタ用凹部34Aの内径よりも大きく、具体的には、例えば23mm程度である。また、円環部42a,42bの高さは、例えば1mm〜3mm程度である。また、挿入孔42dの径は、ノーマルチューブ2dの外径と略一致しており、例えば5mm程度である。
【0041】
円環部42a,42bは、平面視するとその領域が互いに重なり合っている。また、円環部42a,42bは所定の間隔(例えば2mm〜4mm程度)を空けて近接しており、当該間隔を埋めるようにして略等間隔で並んだ8本のリブ42cが円環部42a,42bを連絡している。すなわち、リブ42cは、その上端が円環部42aに接しており、その下端が円環部42bに接している。なお、リブ42cのうち、4個のリブ42cは、連絡部43に設けられたリブ44と連続するように設けられている。
【0042】
連絡部43は、ポンプチューブ挿入部41及びノーマルチューブ挿入部42を連絡するように延在し、その内部においてポンプチューブ2c及びノーマルチューブ2dを接続する筒状の部分である。連絡部43は、ポンプチューブ挿入部41から延びる第1連絡部43aと、第1連絡部43a及びノーマルチューブ挿入部42を連絡するように延びる第2連絡部43bと、を含んでいる。
【0043】
第1連絡部43aは、筒状の部分であり、その全域に亘って外径d3が一定の大きさである。第1連絡部43aの外径d3は、少なくともポンプチューブ挿入部41の外径d1よりも小さく、具体的には、例えば12mm程度である。また、第1連絡部43aの長さは、例えば5mm〜10mm程度である。
【0044】
第2連絡部43bは、筒状の部分であり、その全域に亘って外径d4が一定の大きさである。第2連絡部43bの外径d4は、少なくとも第1連絡部43aよりも小さく、具体的には、例えば9mm程度である。また、第2連絡部43bの長さは、第1連絡部43aと同等かそれよりも長く、例えば5mm〜10mm程度である。
【0045】
また、第1連絡部43a及び第2連絡部43bの表面には、ポンプチューブ挿入部41からノーマルチューブ挿入部42に亘って延びるリブ44が形成されている。より詳細には、リブ44は、ポンプチューブ挿入部41の円環部41aの表面から第1連絡部43a及び第2連絡部43bを経てノーマルチューブ挿入部42の円環部42aの裏面まで延びている。リブ44は、第1連絡部43aから第2連絡部43bにかけて連絡部43の外径が小さくなるのに応じて、外側から内側に絞り込むようにテーパ―状に延びている。リブ44は、4箇所に設けられており、各リブ44は、円環部41a、第1連絡部43a、第2連絡部43b、円環部42a,42bの周方向において等間隔に設けられている。
【0046】
連絡部43は、その内部に空洞部50を有しており、該空洞部50においてポンプチューブ2c及びノーマルチューブ2dが接続される。空洞部50は、ポンプチューブ挿入部41の円環部41aに形成された挿入孔41bに連続する第1空洞部51と、第1空洞部51に連続する第2空洞部52と、第2空洞部52に連続するとともにノーマルチューブ挿入部42の円環部42aに形成された挿入孔42dに連続する第3空洞部53と、含んでいる。
【0047】
第1空洞部51は、挿入孔41bに連続する箇所から、空洞部50における第1連絡部43a及び第2連絡部43bの境界に対応する箇所の近傍まで延びている。第1空洞部51の径は挿入孔41bの径と略一致しているが、挿入孔41bからポンプチューブ2cを挿入し易くすべく、挿入孔41bの径の方が第1空洞部51の径よりもやや大きい形状とされている。さらに、挿入孔41bの内周には傾斜面が設けられている。
【0048】
第2空洞部52は、第1空洞部51と連続する箇所から、空洞部50におけるノーマルチューブ挿入部42の円環部42bに対応する箇所の近傍まで延びている。第2空洞部52は、第1空洞部51から第3空洞部53に向けて延びるにつれて径が小さくなるテーパ―状である。第2空洞部52は、最も径が大きくなる箇所においても、第1空洞部51及び第3空洞部53よりも径が小さい。
【0049】
ここで、第1空洞部51は第2空洞部52よりも径が大きいため、挿入孔41bから見ると、それらが連続する箇所において、第2空洞部52の周囲を囲う接続部54が形成されている。接続部54は、挿入孔41bから挿入されたポンプチューブ2cとの接続箇所である。すなわち、ポンプチューブ2cは、挿入孔41bから挿入されるとともに、その先端に接着材を塗布した状態で、該先端と接続部54とが接続されることで、チューブコネクタ4Aに固定される。
【0050】
第3空洞部53は、第2空洞部52と連続する箇所から挿入孔42dと連続する箇所まで延びている。第3空洞部53の径は挿入孔42dの径と略一致しているが、挿入孔42dからノーマルチューブ2dを挿入し易くすべく、挿入孔42dの径の方が第3空洞部53の径よりもやや大きい形状とされている。さらに、挿入孔42dの内周には傾斜面が設けられている。
【0051】
ここで、第3空洞部53は第2空洞部52よりも径が大きいため、挿入孔42dから見ると、それらが連続する箇所において、第2空洞部52の周囲を囲う接続部55が形成されている。接続部55は、挿入孔42dから挿入されたノーマルチューブ2dとの接続箇所である。すなわち、ノーマルチューブ2dは、挿入孔42dから挿入されるとともに、その先端に接着剤を塗布した状態で、該先端と接続部55とが接続されることで、チューブコネクタ4Aに固定される。
【0052】
このように、チューブコネクタ4Aの内部である空洞部50において、ポンプチューブ2cとノーマルチューブ2dとがそれぞれ固定されることにより、ポンプチューブ2cとノーマルチューブ2dとが接続されている。
【0053】
次に、本実施形態に係るチューブコネクタ4A及び血液回路2の作用効果について説明する。
【0054】
従来、
図6に示されるように、ポンプチューブ挿入部141の外径とポンプチューブ挿入部141に形成された挿入孔141bの径とが略一致し、また、ノーマルチューブ挿入部142の外径とノーマルチューブ挿入部142に形成された挿入孔142dの径とが略一致しているチューブコネクタ104があった。
【0055】
チューブコネクタ104では、最も径が大きい部分であるポンプチューブ挿入部141の外径が、ポンプチューブ挿入部141に形成された挿入孔141bの径、すなわち、ポンプチューブの径と同程度である。そのため、
図7に示すように、チューブコネクタ104は、ポンプチューブを収容するチューブ用凹部136に誤って収容される可能性がある。この場合、血液ポンプとポンプチューブとの相対的な位置関係が不安定となり、血液ポンプによるポンプチューブの押圧が適切に行われない可能性があった。
【0056】
一方で、このような事態を回避すべく、ポンプチューブ挿入部の外径を大きくすることが考えられる。しかしながら、ポンプチューブ挿入部の外径が大きくなればなる程、このポンプチューブ挿入部に接続されるポンプチューブが外側に張り出してしまう。その結果、ポンプチューブを押圧する液体ポンプのローラーを外側にずらすか、あるいはローラー自体を大きくする必要があって装置のコンパクト化に不利である。
【0057】
これに対し、本実施形態に係るチューブコネクタ4Aは、ノーマルチューブ挿入部42の外径、つまり円環部42a,42bの外径d2を、ポンプチューブ挿入部41の外径、つまり円環部41aの外径d1よりも大きくしている。さらに、ノーマルチューブ挿入部42の円環部42a,42bの外径d2を、d1、チューブ用凹部31の内径W1,W2、及びコネクタ用凹部34Aの内径W5よりも大きくしている。
【0058】
このように、円環部42a,42bの外径d2が、円環部41aの外径d1及びチューブ用凹部31の内径W1,W2等よりも大きくされることで、チューブコネクタ4Aをチューブ用凹部31に誤って装着しようとした場合には、ノーマルチューブ挿入部42の円環部42a,42bが干渉して収まらず、誤装着が防止される。
【0059】
また、コネクタ用凹部34Aの長さL2よりもチューブコネクタ4Aの長さL1が長いため、ノーマルチューブ挿入部42はコネクタ用凹部34の外部に露出した状態となる。従って、円環部42a,42bの外径d2をコネクタ用凹部34Aの内径W5よりも大きくした場合であっても、円環部42a,42bの外径d2によらずに、コネクタ用凹部34Aの内径W5等を小さくできる。さらに、誤装着を防止するために外径が大きくなるのはノーマルチューブ挿入部42であるため、ポンプチューブ挿入部41の外径が過度に大きくなることがない。その結果、コネクタ用凹部やポンプチューブ挿入部の径が大きくなることによってポンプチューブが外側に張り出してしまう事態を回避できるため、血液ポンプの構造が大きくなることを回避できる。
【0060】
また、チューブコネクタ4Aは、ポンプチューブ挿入部41の外径d1が第1連絡部43aの外径d3よりも大きい。仮に、ポンプチューブ挿入部が連絡部の外径と同じか、または小さい場合には、例えば、手作業でポンプチューブをポンプチューブ挿入部に挿入する際、指先が滑るなどして挿入し難い。しかしながら、上記の構成では、ポンプチューブ挿入部41の外径d1が第1連絡部43aの外径d3よりも大きいので、挿入作業する際にポンプチューブ挿入部41が指先のストッパーとして機能し、作業性が向上する。なお、ノーマルチューブ挿入部42の外径d2はポンプチューブ挿入部41の外径d1よりも大きく、第2連絡部43bの外径d4は第1連絡部43aの外径d3よりも小さいので、必然的にノーマルチューブ挿入部42の外径d2は、第2連絡部43bの外径d4よりも大きくなり、ノーマルチューブ挿入部42に挿入する際の作業性についても同様に向上する。その結果、ポンプチューブ2c、及びノーマルチューブ2dの両方を高品質でチューブコネクタ4Aに接続できる。
【0061】
また、第1連絡部43a及び第2連絡部43bの表面には、ポンプチューブ挿入部41からノーマルチューブ挿入部42に亘って延びるリブ44が形成されていることにより、捻りや引っ張りに対するチューブコネクタ4Aの強度を向上させ、変形を防止することができる。