【解決手段】インナーケーブル70aとアウターケーブル70bとを有する第1コントロールケーブル70は、アッパーレール4がロアレール3に対してスライドロック状態にあるときに撓んだ状態となるように、アッパーレール4又はアッパーレール4側の部材に基端部70eを取り付けられている。第1リンク60aは、インナーケーブル70aが基端部70eから引っ張られることによって第1向きD1に移動する。一方、第2リンク65aは、インナーケーブル70aが基端部から引っ張られて第1コントロールケーブル70の撓み量が小さくなることで生じる力によってアウターケーブル70bに押し出されて、第2向きD2に移動する。
前記第1回動体は、前記第1リンクに直接支持され、前記第2回動体は、前記第2リンクに直接支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シートスライド装置。
前記第1リンクと前記第2リンクとに連結されて、前記第1リンクを前記第2向きに、前記第2リンクを前記第1向きに付勢する弾性部材を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用シートスライド装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の車両用シートスライド装置においては、ユーザがハンドル軸を回動させる際に、ハンドル軸及び連動軸に取り付けられた計2つのねじりコイルばねの付勢に抗する力をハンドル軸に付加しなければ回動しないため、スライドロックの解除に大きな操作力を必要としていた。
また、特許文献2に記載の車両用シートスライド装置においても同様に、ユーザが作動レバーを回動させる際に、一方の作動レバーに取り付けられた引張コイルばね、並びに一方の作動レバーにワイヤー及び連動レバーを介して動作する他方の作動レバーに取り付けられた引張コイルばねから成る計2つの引張コイルばねの付勢に抗する力を操作ハンドルに付加しなければ作動レバーが回動しないため、大きな操作力を必要としていた。
このため、少ない力でスライドロックを解除することができなかった。
また、ロック機構を構成する構成部材が多い程、生産コストがかかってしまう。また、各部品の組み付けの際に位置調整が必要になる。特に、特許文献2に記載の車両用シートスライド装置においては、両スライドレールに対するロック板のロックを作動させるための部品が多く、ロック、及びロック解除の作動には、細やかな位置調整が必要となり、この点が問題となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、スライドロックを解除するのに必要な操作力を低減することができる車両用シートスライド装置を提供することにある。
【0008】
更に、本発明の他の目的は、車両用シートスライド装置を構成する構成部品を少なくして、コストを低減することにある。
更に、本発明の他の目的は、各構成部品の位置調整を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明に係る車両用シートスライド装置によれば、車体のフロアに固定されるロアレール、及び該ロアレールに摺動するアッパーレールを有し、所定方向に並んで配置された一対のスライドレールと、該一対のスライドレールの各々において前記アッパーレールの移動を規制する規制機構と、該規制機構により各々の前記アッパーレールの移動が規制された状態を解除する解除機構と、を備える車両用シートスライド装置であって、前記規制機構は、前記一対のスライドレールの一方に備えられた前記アッパーレールである第1レールと係合して該第1レールの移動を規制する第1規制位置と、前記第1レールから離間して前記第1レールの移動を許容する第1許容位置との間を回動する第1回動体と、前記一対のスライドレールの他方に備えられた前記アッパーレールである第2レールと係合して該第2レールの移動を規制する第2規制位置と、前記第2レールから離間して前記第2レールの移動を許容する第2許容位置との間を回動する第2回動体と、を備え、前記解除機構は、前記所定方向において互いに反対向きにスライドする一組のリンクと、該一組のリンクの各々をスライドさせるために操作されるコントロールケーブルと、を備え、前記一組のリンクのうち第1リンクは、前記第1回動体と連結しており、前記所定方向において前記一方から前記他方に向かう第1向きにスライドすることで、前記第1回動体を前記第1規制位置から前記第1許容位置に回動させ、前記一組のリンクのうち第2リンクは、前記第2回動体と連結しており、前記所定方向において前記他方から前記一方に向かう第2向きにスライドすることで、前記第2回動体を前記第2規制位置から前記第2許容位置に回動させ、前記コントロールケーブルは、前記第1回動体が前記第1規制位置にあるとき、又は前記第2回動体が前記第2規制位置にあるときに撓んだ状態となるように前記アッパーレール又は前記アッパーレール側にある部材に基端部を取り付けられており、前記第1リンクに留められ、前記コントロールケーブルが操作されたときに前記第1リンクを前記第1向きに引っ張るインナー部と、該インナー部を覆って摺動可能に保持し、前記コントロールケーブルの前記基端部で固定され、前記第2リンクに留められたアウター部と、を有し、前記第1リンクは、前記インナー部が前記基端部から引っ張られることによって前記第1向きに移動し、前記第2リンクは、前記インナー部が前記基端部から引っ張られて前記コントロールケーブルの撓み量が小さくなることで生じる力によって前記アウター部が押し出すことで、前記第2向きに移動すること、により解決される。
【0010】
上記構成であれば、第1リンクと第2リンクとを互いに反対向きにスライドさせて第1回動体及び第2回動体を回動させるように構成された解除機構と、第1回動体が第1規制位置にあるとき、又は第2回動体が第2規制位置にあるときに撓んだ状態となるように基端部を固定されたコントロールケーブルと、を備えることで、コントロールケーブルのインナー部を基端部から引っ張ることで、第1リンクを介して、第1回動体を回動させるとともに、インナー部が引っ張られることで撓み量が小さくなることで生じる力によって、アウター部が第2リンクを押し出し、第2回動体を回動させることができる。
つまり、第1回動体を回動させる荷重を付加することで、一対のスライドレールのスライドロックを解除することができ、従来の車両用シートスライド装置と比較して、スライドロックを解除するのに必要な操作力を低減することができる。
【0011】
また、前記第1リンクは、前記第1回動体に支持され、前記第2リンクは、前記第2回動体に支持されていると好ましい。
上記構成であれば、第1リンク及び第2リンクを支持するのに別個の支持部材がないため、その別個の部品を連動させるための位置調整が不要となる。
【0012】
また、前記第1回動体は、前記第1リンクに直接支持され、前記第2回動体は、前記第2リンクに直接支持されていると好ましい。
上記構成であれば、第1回動体と第1リンクとの間、及び第2回動体と第2リンクとの間に、他の部材が介装されていないため、第1リンクの移動が第1回動体の回動に、第2リンクの移動が第2回動体の回動に直接関わることとなり、荷重の伝達効率が良好となり、操作力を低減することができる。
【0013】
更に、前記第1回動体及び前記第2回動体のそれぞれを支持し、前記第1レール及び第2レールのそれぞれに取り付けられた支持部材を備え、該支持部材には、前記第1回動体又は第2回動体におけるアンロック側の回動の上限を規定する回動ストッパが形成されていると好ましい。
上記構成であれば、回動ストッパによって、第1回動体又は第2回動体の回動角度を制限し、第1回動体又は第2回動体が必要以上に回動することによって他の部材に当接することを防ぐことができる。
【0014】
更に、前記第1リンクと前記第2リンクとに連結されて、前記第1リンクを前記第2向きに、前記第2リンクを前記第1向きに付勢する弾性部材を備えるようにすると好ましい。
上記構成であれば、弾性部材によってスライドロックする方向の付勢力を第1のリンクと第2のリンク間に付与でき、適当な弾性力を有する弾性部材を選択することで、不意にスライドロックが解除されることのないように容易に調整できる。
【0015】
更に、前記解除機構は、前記コントロールケーブルが操作される位置と異なる位置で操作される他のコントロールケーブルを更に備え、該他のコントロールケーブルは、前記第1回動体が前記第1規制位置にあるとき、又は前記第2回動体が前記第2規制位置にあるときに撓んだ状態となるように前記アッパーレール又は前記アッパーレール側にある部材に基端部を取り付けられており、前記第2リンクに留められ、前記他のコントロールケーブルが操作されたときに前記第2リンクを前記第2向きに引っ張る他のインナー部と、該他のインナー部を覆って摺動可能に保持し、前記他のコントロールケーブルの前記基端部で固定され、前記第1リンクに留められた他のアウター部と、を有し、前記第2リンクは、前記他のインナー部が前記基端部から引っ張られることによって前記第2向きに移動し、前記第1リンクは、前記他のインナー部が前記基端部から引っ張られて前記他のコントロールケーブルの撓み量が小さくなることで生じる力によって前記他のアウター部が押し出すことで、前記第1向きに移動すると好ましい。
上記構成であれば、コントロールケーブルを操作可能な位置とは異なる位置で、他のコントロールケーブルを操作して、アッパーレールのスライドの規制を解除する操作が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スライドロックを解除するのに必要な操作力を低減することができる車両用シートスライド装置を提供することができる。
更に、本発明によれば、車両用シートスライド装置を構成する構成部品を少なくして、コストを低減することができる。
更に、本発明によれば、各構成部品の位置調整を容易にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について
図1〜
図10を参照して説明する。
図1に示す車両用シートスライド装置1は、図示せぬ車両のフロアと図示せぬシートとの間に設置され、シートを前後方向にスライド可能にするスライドレール2を備えている。スライドレール2は、シート左右方向の両側に並設された第1スライドレール2aと、第2スライドレール2bとから構成されている。
【0019】
これらの第1スライドレール2aと第2スライドレール2bとは、シートの左右で面対称に形成されており、理解を容易にするため、第1スライドレール2aの構成部品を主として説明する。
第1スライドレール2aは、それぞれ図示せぬフロアに固定されるロアレール3と、図示せぬシートに固定されるアッパーレール4とから構成される。
具体的には、
図4に示すように、一対のロアレール3の内側面には、アッパーレール4の摺動をロックするため、後述する規制機構6Bの第1ロックレバー61のロック爪61bが掛かる矩形状のロック孔3aが所定間隔で複数形成されている。
【0020】
また、アッパーレール4は、
図4に示すように、摺動部材4aによってロアレール3に摺動可能に支持され、貫通孔4cを通る図示せぬ固定部材によって図示せぬシートに固定されている。また、一対のアッパーレール4の上面には、後述するロック爪61bが挿入される貫通孔4fが形成されている。また、一対のアッパーレール4におけるシート幅方向内側の内側面には、アッパーレール4の摺動を規制する後述するロック爪61bが通される矩形状のロック孔4g、及びその延長上にあるロック溝4hが、ロック孔3aと同一の間隔で複数形成されている。なお、以下において、第1スライドレール2a側のアッパーレール4を第1レール41、第2スライドレール2b側のアッパーレール4を第2レール42とも称呼する。
【0021】
この構成のシート左右に並設された第1スライドレール2a及び第2スライドレール2bのそれぞれには、アッパーレール4の摺動を規制するものであり後述する規制機構6Bが配設されており、この規制を解除する解除機構6Aが、第1スライドレール2a及び第2スライドレール2b間に配設されている。
規制機構6Bは、詳細については後述するが、第1ロックレバー61を備え、第1ロックレバー61のロック爪61bを、アッパーレール4のロック孔4g及びロック溝4hに通してロアレール3のロック孔3aに係合させることによって、アッパーレール4の摺動を規制する機構である。
この第1ロックレバー61によるアッパーレール4の摺動の規制を、第1リンク60a及び第2リンク65aを移動させることによって解除する解除機構6Aについて次に説明する。
【0022】
<解除機構について>
解除機構6Aは、
図1に示すように、第1スライドレール2aに繋がる第1リンク60a、第2のスライドレール2bに繋がる第2リンク65aと、第1リンク60aと第2リンク65aとをシート幅方向(本発明における所定方向)に互いに逆向きに移動させる第1コントロールケーブル70及び第2コントロールケーブル71と、から構成される。
【0023】
(第1リンクの構成)
第1リンク60aは、
図1中、右側である第1スライドレール2a側に配設されている。第1リンク60aは、
図3に示すように、長尺板材から形成されて、第1スライドレール2a側の基端部60bから第2スライドレール2b側の中間部60cにかけて略直線的に延在し、更に先端部60dが後方に折れ曲がって突出している。
第1リンク60aは、基端部60bで、後述する第1ロックレバー61に係合ピン60kによって回動可能に連結される。また、基端部60bには、後述する第1コントロールケーブル70のインナーケーブル70aの移動をガイドする板厚方向に貫通した貫通孔60eが形成されている。この貫通孔60eは、具体的には、シート幅方向に延びる長穴であり、後述するインナーケーブル70aの係合端部70cが摺動することで、インナーケーブル70aの移動をガイドする。また、係合端部70cは、貫通孔60eの第2スライドレール2b側の縁において係合する。なお、インナーケーブル70aと第1リンク60aとの連動関係については後述する。
【0024】
中間部60cには、第1リンク60aの移動をガイドする板厚方向に貫通した支持孔60fと、板厚方向に貫通した固定孔60gとが形成されており、固定孔60gに摺動ピン60jが固定されている。
具体的には、支持孔60fは、シート幅方向に延びる長穴であり、後述する第2リンク65aに固定された後述する摺動ピン65jに沿って、第1リンク60aを摺動させることで第1リンク60aの移動をガイドするものである。
摺動ピン60jは、後述する第2リンク65aの支持孔65fを挿通して、後述する第2リンク65aを、第1リンク60aに沿って摺動させるためのものである。
【0025】
先端部60dは、具体的には、中間部60cに対して僅かに鈍角を成す角度で後方に折れ曲がって突出して形成されている。先端部60dは、円弧状の切欠き60hを有し、この切欠き60hに、後述する第2コントロールケーブル71のアウターケーブル71bの固定端部71dが固定されることとなる。
【0026】
また、第1リンク60aの中間部60cにおける先端部60d側の下面には、下方に突出して、第2スライドレール2b側に折り曲がったL字状の掛け部60iが形成されている。この掛け部60iと、後述する第2リンク60bの掛け部65iとに、引張コイルばね8が架設されている。この引張コイルばね8は、第1リンク60aと後述する第2リンク60bの双方が相対的にシート幅方向に広がるように、換言すると、後述する第1ロックレバー61が第1レール41をロックする方向に回動するように、第2ロックレバー66が第2レール42をロックする方向に回動するように付勢する。
【0027】
(第2リンクの構成)
次に第2リンク65aについて説明する。第2リンク65aは、
図3に示すように、第1リンク60aの形状に対して点対称の形状を有するもので、シート左右方向において第1リンク60aの逆向きに配設されているものである。
よって、第2リンク65aの構成は、第1リンク60aの構成と多くの点で重複するが、後述する第2リンク65aの動作説明の便宜のために説明する。
【0028】
第2リンク65aは、
図1中、左側である第2スライドレール2b側に配設されている。第2リンク65aは、
図3に示すように、長尺板材から形成されて、第2スライドレール2b側の基端部65bから第1スライドレール2a側の中間部65cにかけて略直線的に延在し、更に先端部65dが前方に折れ曲がって突出している。
第2リンク65aは、基端部65bで、第2ロックレバー66に係合ピン65kによって回動可能に連結される。また、基端部65bには、第2コントロールケーブル71のインナーケーブル71aの移動をガイドする板厚方向に貫通した貫通孔65eが形成されている。この貫通孔65eは、具体的には、シート幅方向に延びる長穴であり、インナーケーブル71aの係合端部71cが摺動することで、インナーケーブル71aの移動をガイドする。また、係合端部71cは、貫通孔65eの第1スライドレール2a側の縁において係合する。なお、インナーケーブル71aと第2リンク65aとの連動関係については後述する。
【0029】
中間部65cには、第2リンク65aの移動をガイドする板厚方向に貫通した支持孔65fと、板厚方向に貫通した固定孔65gとが形成されており、固定孔65gに摺動ピン65jが固定されている。
具体的には、支持孔65fは、シート幅方向に延びる長穴であり、前述した第1リンク60aに固定された摺動ピン60jに沿って、第2リンク65aを摺動させることで第2リンク65aの移動をガイドするものである。
摺動ピン65jは、前述した第1リンク60aの支持孔60fを挿通して、前述した第1リンク60aを、第2リンク65aに沿って摺動させるためのものである。
【0030】
先端部65dは、具体的には、中間部65cに対して僅かに鈍角を成す角度で前方に折れ曲がって突出して形成されている。先端部65dは、円弧状の切欠き65hを有し、この切欠き65hに、後述する第1コントロールケーブル70のアウターケーブル70bの固定端部70dが固定されることとなる。
【0031】
また、第2リンク65aの中間部65cにおける先端部65d側の下面には、下方に突出して、第1スライドレール2a側に折り曲がったL字状の掛け部65iが形成されている。この掛け部65iと、前述した第1リンク60aの掛け部60iとに、前述したように、引張コイルばね8が架設されている。
【0032】
<規制機構について>
次に、規制機構6Bについて、
図4〜
図8を参照して説明する。ここで、
図4は、第1スライドレール2a、第1ロックレバー61、前方支持部材62及び後方支持部材63等を示す分解斜視図である。
図5は、第1ロックレバー61、前方支持部材62、後方支持部材63及び線ばね64を拡大して示す分解斜視図、
図6(A)は、第2スライドレール2bに設けられた第2ロックレバー66を示す斜視図、(B)は、第1スライドレール2aに設けられた第1ロックレバー61を示す斜視図、
図7は、第1ロックレバー61のロック状態を示す
図1のVII-VII断面矢視図、
図8は、
図7で示された第1ロックレバー61のロック解除状態を示す断面矢視図である。
【0033】
規制機構6Bは、第1スライドレール2a側に設けられた第1回動体としての第1ロックレバー61、第1ロックレバー61を前後方向から支持する前方支持部材62及び後方支持部材63、並びに第1ロックレバー61を付勢する線ばね64、並びに、第2スライドレール2b側に設けられた第2回動体としての第2ロックレバー66、第2ロックレバー66を前後方向から支持する前方支持部材67及び後方支持部材68、並びに第2ロックレバー66を付勢する線ばね69から構成される。
これらの第1スライドレール2a側に設けられた各構成部品と第2スライドレール2b側に設けられた各構成部品は、シートの左右で面対称に形成されており、理解を容易にするため、第1スライドレール2a側に設けられた各構成部品のみについて説明する。
【0034】
(第1ロックレバーの構成)
第1ロックレバー61は、上記のように、後述する前方支持部材62及び後方支持部材63に前後を支持され、第1レール41のスライド方向に平行な軸方向を中心に回動可能に構成されている。
第1ロックレバー61は、
図5に示すように、平板状の本体61aと、本体61aに接続され、スライドをロック又はロック解除するロック爪61bと、前縁から上方に突出して形成された前縁壁61cと、後縁から上方に突出して形成された後縁壁61eと、を備える。
【0035】
ロック爪61bは、櫛状に形成された5枚の刃から成り、本体61aのシート幅方向外側から下方に突出しシート幅方向内側に延出している。
【0036】
前縁壁61cは、後述する前方支持部材62の突出支持部62cに回動可能に支持される支持孔61dを有する。支持孔61dは、第1レール41の長手方向に平行な方向である厚さ方向に形成されている。また、前縁壁61cは、シート幅方向内側に突出する突出部61iを有する。この突出部61iは、後述する線ばね64から上方向の付勢力を受ける。ここで上方向とは、換言すると、ロック爪61bが第1レール41の摺動をロックする向きに、第1ロックレバー61が回動する方向である。
【0037】
後縁壁61eは、後述する後方支持部材63の突出支持部63bに回動可能に支持される支持孔61fを有する。支持孔61fは、第1レール41の長手方向に平行な方向である厚さ方向に、且つ、支持孔61dの延長上に形成されている。
また、後縁壁61eは、前縁壁61cよりも上方に延在しており、その延在部分に係合孔61gを有する。係合孔61gは、第1レール41の長手方向に平行な方向である厚さ方向に貫通して形成されている。第1ロックレバー61は、係合孔61gに
図2に示す係合ピン60kが通されることによって、前述の第1リンク60aの基端部60bに回動可能に連結されることとなる。
また、後縁壁61eは、前縁壁61cよりも上方に延在した部分から、シート幅方向外側及び下方に延在するフック部61hを有する。フック部61hは、第1ロックレバー61が前方側から後方側に見て反時計回りに所定量回動したときに、後述する後方支持部材63の回動ストッパ63cに当接することにより、その回動量を制限するためのものである。
【0038】
このように構成された第1ロックレバー61においては、前方側から後方側に見て時計回りに回動した状態で、
図7に示すように、ロック爪61bが、第1レール41の貫通孔4f及びロック孔4gを挿通して、ロアレール3のロック孔3aに係合することで、第1レール41のロアレール3に対する前後方向の摺動をロックする。
このように、第1ロックレバー61が第1レール41の摺動をロックした状態は、第1ロックレバー61が本発明の第1規制位置に回動した状態に相当する。同様に、第2ロックレバー66が第2レール42の摺動をロックした状態は、第2ロックレバー66が本発明の第2規制位置に回動した状態に相当する。
【0039】
逆に、第1ロックレバー61が前方側から後方側に見て反時計回りに回動した状態では、
図8に示すように、ロック爪61bがロアレール3のロック孔3aから抜き出されることで、第1レール41のロアレール3に対する前後方向の摺動のロックを解除する。
このように、第1ロックレバー61が第1レール41の摺動のロックを解除した状態は、第1ロックレバー61が本発明の第1許容位置に回動した状態に相当する。同様に、第2ロックレバー66が第2レール42の摺動のロックを解除した状態は、第2ロックレバー66が本発明の第2許容位置に回動した状態に相当する。
【0040】
(前方支持部材、後方支持部材及びばねの構成)
前方支持部材62は、第1ロックレバー61の前方側を回動可能に支持するためのものである。前方支持部材62は、
図5に示すように、全体として平板状に形成され、前側にある前側支持片62bが上方に突出して形成されている。
前側支持片62bには、第1レール41の長手方向に平行な方向である後方に突出する突出支持部62cが形成されている。突出支持部62cが、前述した第1ロックレバー61の支持孔61dに嵌ることで、前方支持部材62は、後述する後方支持部材63と共に、回動可能に第1ロックレバー61を支持することとなる。
また、前方支持部材62は、前部及び後部において、上下方向である板厚方向に2個の貫通孔62aが形成されており、中央部において、シート幅方向内側に切り欠かれた切欠き62dが形成されている。
前方支持部材62は、2個の貫通孔62a、及び第1レール41の2個の取付孔4dを通る取付具4eによって、第1レール41の上面に沿って取り付けられた状態で、第1レール41に固定されている。また、2個の貫通孔62aのうち、後ろ側の貫通孔62aには、後述する後方支持部材63が、前方支持部材62の上部において取付具4eによって共締めされている。
また、前方支持部材62の切欠き62dは、ロック爪61bを、前方支持部材62の上方から下方にある第1レール41の貫通孔4fに通すために形成されているものである。
【0041】
後方支持部材63は、前方支持部材62の後ろ側上部に、取付具4eによって共締めされて取り付けられている。
具体的には、後方支持部材63は、上下方向に貫通する貫通孔63aを有し、取付具4eが貫通孔63a、前方支持部材62の貫通孔62a、第1レール41の貫通孔4cを通って締結されていることで、第1レール41に固定されている。
【0042】
後方支持部材63には、第1レール41の長手方向に平行な方向である前方に突出する突出支持部63bが形成されている。突出支持部63bが、前述した第1ロックレバー61の支持孔61fに嵌ることで、後方支持部材63は、前述した前方支持部材62と共に、回動可能に第1ロックレバー61を支持することとなる。
また、後方支持部材63には、シート幅方向内側から内側方向及び上方向に突出する回動ストッパ63cが形成されている。回動ストッパ63cは、前述したように、第1ロックレバー61が前方側から後方側に見て反時計回りに所定量回動したときに、第1ロックレバー61のフック部61hに当接することによって、その回動量を制限するためのものである。
また、後方支持部材63の後端部には、折り曲げられて、下方にある前方支持部材62と間隔が空くように形成された掛け部63dが形成されている。掛け部63dに、後述する線ばね64の後端が固定されることとなる。
【0043】
線ばね64は、上面視略U字状に形成されており、開放側がシート幅方向内側に向けられた状態で、前方支持部材62及び後方支持部材63に取り付けられている。
具体的には、線ばね64は、その後端64aが後方支持部材63の掛け部63dに固定され、付勢部である前端64bが、前方支持部材62の前側支持片62bに対して、シート幅方向外側から前方を通って、シート幅方向内側に回り込むようにして、前方支持部材62に取り付けられている。
そして、線ばね64の前端64bは自然状態において、上方に曲がった状態であり、前端64bは、前述した第1ロックレバー61の突出部61iの下方に配置されるように形成されている。
つまり、線ばね64の前端64bは、第1ロックレバー61の突出部61iに上方から押圧されている状態において、第1ロックレバー61をロックする方向である上方向に、第1ロックレバー61の突出部61iを付勢している。
【0044】
<コントロールケーブルの構成について>
次に、スライドロックの解除動作に関わる第1コントロールケーブル70及び第2コントロールケーブル71について、
図9及び
図10を参照して説明する。
ここで、
図9(A)は、スライドロック状態の第1コントロールケーブル70、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す正面図、
図9(B)は、スライドロック解除動作の開始直後における第1コントロールケーブル70、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す正面図、
図9(C)は、スライドロック解除状態の第1コントロールケーブル70、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す正面図である。
また、
図10(A)は、スライドロック状態の第1コントロールケーブル70、第2コントロールケーブル71、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す平面図、
図10(B)は、スライドロック解除動作の開始直後における第1コントロールケーブル70、第2コントロールケーブル71、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す平面図、
図10(C)は、スライドロック解除状態の第1コントロールケーブル70、第2コントロールケーブル71、第1リンク60a及び第2リンク65aの状態を示す平面図である。
【0045】
第1コントロールケーブル70と第2コントロールケーブル71とは、いずれか一方のみを操作することのみによっても、スライドロックを解除できるように構成されるものでる。例えば、第1コントロールケーブル70の操作部は、シートサイドに設けられ、第2コントロールケーブル71の操作部は、シート後方に設けられて、2箇所からのスライドロックの解除操作を可能とするものである。
【0046】
第1コントロールケーブル70は、インナーケーブル70aと、インナーケーブル70aの大部分を覆うアウターケーブル70bとから構成される。
同様に、第2コントロールケーブル71は、インナーケーブル71aと、インナーケーブル71aの大部分を覆うアウターケーブル71bとから構成される。第1コントロールケーブル70及び第2コントロールケーブル71は、スライドロック状態において、撓んだ状態となるように配設されている。
【0047】
第1コントロールケーブル70のインナーケーブル70aにおいては、先端にある係合端部70cが貫通孔60eの縁に係合しており、第1コントロールケーブル70の基端部70eから引き出し可能に構成されている。基端部70eは、アッパーレール4又はアッパーレール4側の部材に固定されている。
同様に、第2コントロールケーブル71のインナーケーブル71aにおいては、先端にある係合端部71cが貫通孔65eの縁に係合しており、第2コントロールケーブル71の図示せぬ基端部から引き出し可能に構成されており、図示せぬ基端部は、アッパーレール4又はアッパーレール4側の部材に固定されている。
【0048】
第1コントロールケーブル70のアウターケーブル70bにおいては、先端にある固定端部70dが第2リンク65aの先端部65dの切欠き65hに固定されており、基端側が第1コントロールケーブル70の基端部70eに固定されている。
同様に、第2コントロールケーブル71のアウターケーブル71bにおいては、先端にある固定端部71dが第1リンク60aの先端部60dの切欠き60hに固定されており、基端側が第2コントロールケーブル71の図示せぬ基端部に固定されている。
【0049】
(コントロールケーブルの動作について)
第1コントロールケーブル70と、第2コントロールケーブル71とは、第1リンク60aを動作させるものが、インナーケーブル70aであるか又はアウターケーブル71bであるか、第2リンク65aを動作させるものが、アウターケーブル70bであるか又はインナーケーブル71aであるかの違いのみで、その他の動作に違いはないため、第1コントロールケーブル70の動作のみについて説明する。
【0050】
図9(A)及び
図10(A)に示すスライドロック状態から、ユーザが図示せぬ操作レバー等を操作することによって、インナーケーブル70aが第1スライドレール2aから第2スライドレール2b側、
図9(B)に示す第1向きD1に引っ張られると、インナーケーブル70aと係合端部70cで係合された第1リンク60aが、第1向きD1に移動することとなる。そして、第1リンク60aの移動に伴って、第1リンク60aに係合ピン60kで固定された第1ロックレバー61が、線ばね64の付勢力に抗して、
図9中、反時計回りに回動することとなる。
【0051】
このとき、第1コントロールケーブル70の基端部70e側からインナーケーブル70aが引っ張られるため、第1コントロールケーブル70の撓み量が小さくなる。このため、基端部70eで固定されたアウターケーブル70bは、第2リンク65aの先端部65dを固定端部70dで押す力が、
図9中、第2向きD2に発生することとなる。更に、インナーケーブル70aを引っ張る力の反作用の力が、アウターケーブル70bから第2向きD2に同様に押す力が発生し、固定端部70dから第2リンク65aの先端部65dに加わることとなる。
これらの先端部65dに加わる固定端部70dからの荷重によって、第2リンク65aが第2向きD2に移動することとなる。そして、第2リンク65aの移動に伴って、第2リンク65aに係合ピン65kで固定された第2ロックレバー66が線ばね69の付勢力に抗して、
図9中、時計回りに回動することとなる。
【0052】
更に、ユーザがインナーケーブル70aを第1スライドレール2aから第2スライドレール2b側に引っ張ると、上記と同様に、第1リンク60aが、第2スライドレール2b側に移動して第1ロックレバー61が反時計回りに回動する。この回動によって、
図8、
図9(C)及び
図10(C)に示すように、ロック爪61bがロック孔3aから第1スライドレール2aの内側に抜き出される。更に、第1ロックレバー61のフック部61hが、回動ストッパ63cに当接することにより、第1ロックレバー61の回動がストップする。
【0053】
この状態で、更にインナーケーブル70aを引っ張ると、上記と同様に、第1コントロールケーブル70の撓み量が小さくなることで、アウターケーブル70bは、第2リンク65aの先端部65dを固定端部70dで押す力が、
図9中、第2向きD2に発生することとなる。更に、インナーケーブル70aを引っ張る力の反作用の力が、アウターケーブル70bから第2向きD2に同様に押す力が発生し、固定端部70dから第2リンク65aの先端部65dに加わることとなる。つまり、第2リンク65aのみが第2向きD2に移動し、第2ロックレバー66が時計回りに回動することとなる。
この回動によって、第1ロックレバー61と同様に、ロック爪66bがロアレール3から外側に抜き出され、第2リンク65aのフック部66hが回動ストッパ68cに当接することにより、第2ロックレバー66の回動がストップする。
【0054】
つまり、第2リンク65aを移動させるのは、第1コントロールケーブル70の撓み量が小さくなることに伴って、シート幅方向に伸長するアウターケーブル70bの力、及びアウターケーブル70bに生じるインナーケーブル70aを引っ張る力の反作用の力である。よって、線ばね64の付勢力に抗する力に第1コントロールケーブル70を撓み量を小さくする力を加えた力でインナーケーブル70aを操作することで、両側にある第1ロックレバー61及び第2ロックレバー66を回動させ、スライドロックを解除することができる。
【0055】
また、インナーケーブル70aが第1リンク60aに、アウターケーブル70bが第2リンク65bに接続されていることで、インナーケーブル70a及びアウターケーブル70bから第1リンク60a又は第2リンク65bに加わる力が、シート左右方向の直線的な変化に変換されて、第1ロックレバー61と第2ロックレバー66に加わることとなる。このため、コントロールケーブル70が、第1リンク60a及び第2リンク65bを介さずに、第1ロックレバー61又は第2ロックレバー66に接続されたものと比較して、インナーケーブル70aの操作量と、第1ロックレバー61と第2ロックレバー66の回動量の変化との相関性が安定することとなる。
【0056】
また、
図9(C)に示すように、スライドロックが解除された状態において、摺動ピン60jが支持孔65fの縁に当接することで、第1リンク60aと第2リンク65aとが、相互に重なる方向に移動することが制限されることとなる。このため、スライドロック状態においてインナーケーブル70aが更に引っ張られた場合に、回動ストッパ63cとフック部61hとの間に荷重が集中すること、又は回動ストッパ68cとフック部66hとの間に荷重が集中することを、支持孔65fの縁に当接する摺動ピン60jに荷重が分散されることによって防ぐことができる。
【0057】
また、
図10に示すように、第1コントロールケーブル70の操作によっては、第2コントロールケーブル71におけるインナーケーブル71aとアウターケーブル71bの相対的な位置関係は変化することはない。特に、第2コントロールケーブル71がユーザに操作されていない状態においては、第2リンク65aの貫通孔65eの縁が、第2コントロールケーブル71の係合端部70cに係合することがないように、
図9に示すように、貫通孔65eは第2スライドレール2b側に十分に長く形成されている。第1リンク60aの貫通孔60eも同様の理由で、第1スライドレール2a側に十分に長く形成されている。
【0058】
また、インナーケーブル70aを引く力が解除された場合には、引張コイルばね8の復元力による第1リンク60a及び第2リンク65aが移動すること、線ばね64,69の復元力が加わることによって、第1ロックレバー61及び第2ロックレバー66は回動して
図9(A)の初期状態に戻ることとなる。なお、引張コイルばね8を備える構成に本発明は限定されず、例えばゴム紐、エラストマー樹脂等の弾性材料を用いて第1リンク60aと第2リンク65aとが重なる方向に付勢するようにしてもよい。
【0059】
本実施形態では、主として本発明に係る車両用シートスライド装置に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0060】
例えば、本実施形態において、第1ロックレバー又は第2ロックレバーを支持する前方支持材と後方支持部材とは、別体であるものとして説明したが、一体的に形成されるものであってもよい。