【解決手段】車載用オーディオビジュアル装置10は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lと、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを支持するベース部材13と、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを移動させるモーター20と、モーター20の駆動力を、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lをベース部材13上でスライド移動させる力に変換してスライド移動させる変換機構35とを備え、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、互いに重なって閉じた状態から変換機構35を介してスライド移動して側方に開かれ、配列される。
複数の表示板と、当該表示板を支持するベース部材と、複数の前記表示板を移動させるモーターと、当該モーターの駆動力を、複数の前記表示板を前記ベース部材上でスライド移動させる力に変換してスライド移動させる変換機構とを備え、
複数の前記表示板は、互いに重なって閉じた状態から前記変換機構を介してスライド移動して側方に開かれ、配列されることを特徴とする表示装置。
複数の前記表示板は、前記変換機構のスライド位置の終端に位置して開かれた状態では、互いの表示面が略面一になることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
前記他方の搬送部材の前記他方のカム溝は、前記突部の他方の回動の軌跡に沿った円弧状カム溝部を備え、前記一方の表示板が前後にスライドする際は、前記突部の他方は、円弧状カム溝部内を移動することを特徴とする請求項5記載の表示装置。
筐体内にスライドにより収納されると共に、前記筐体外の視認位置では起立されるベース部材を備え、このベース部材に複数の表示部を備え、少なくとも前記視認位置では前記複数の表示部が側方に展開することを特徴とする表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら以下に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車載用オーディオビジュアル装置を示す斜視図である。
車載用オーディオビジュアル装置10は、箱状の筐体11と、左右一対で設けられる一方のモニタ12R(一方の表示板、表示部)及び他方のモニタ12L(他方の表示板、表示部)と、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを支持するベース部材13とを備える。一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、同一のサイズのモニタである。
車載用オーディオビジュアル装置10は、車両のダッシュボード内に筐体11が埋め込まれるようにして設置され、非使用時には一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが筐体11内に収納され、使用時には一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが筐体11の外側にせり出す、いわゆるインダッシュ式の表示装置である。また、車載用オーディオビジュアル装置10は、モーター等を駆動してモニタ12R及び他方のモニタ12Lの動作を制御する制御部(不図示)を筐体11内に備える。
【0014】
図2は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが筐体11に収納された状態の車載用オーディオビジュアル装置10の斜視図である。
車載用オーディオビジュアル装置10は、筐体11の前面に設けられた開口を塞ぐ前面パネル14を備える。前面パネル14は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの出し入れ用の横長の開口部14aを備える。また、前面パネル14は、ユーザーに対向して設けられるパネルであり、前面パネル14には、車載用オーディオビジュアル装置10の電源ボタンや、操作ボタン等を設けることができる。本実施の形態では、ユーザーに面する前面パネル14側を車載用オーディオビジュアル装置10の前側とし、ユーザー側から見た左右方向を、車載用オーディオビジュアル装置10の左右方向とする。
【0015】
図3は、車載用オーディオビジュアル装置10の収納の動作を示す斜視図であり、(a)は一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが引き出された状態を示し、(b)は一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが起立した状態を示し、(c)及び(d)は一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが左右に移動した状態を示す。
一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、
図2に示す収納状態では、厚さ方向に互いに重なるとともに表示面15R,15Lを下方に向けた状態でベース部材13に支持され、筐体11内に位置している。
【0016】
車載用オーディオビジュアル装置10は、ベース部材13を前後にスライドさせるスライド機構部(不図示)を備える。このスライド機構部は、モーター(不図示)の駆動力によりベース部材13を略水平にスライドさせ、
図3(a)に示すように、上記収納状態の姿勢の一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lをベース部材13と共に開口部14aからユーザー側にせり出させる。
【0017】
車載用オーディオビジュアル装置10は、
図3(b)に示すように、ベース部材13を回動させて一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを起立させるチルト機構部16を備える。チルト機構部16は、開口部14aの左右の両端部から前後に移動可能な一対のアーム16aと、アーム16aに設けられて左右に延びる回動軸16bと、モーター及び歯車を含み、ベース部材13を回動させる駆動部(不図示)とを備える。回動軸16bは、ベース部材13の下部の左右の側面に連結されている。ベース部材13は、回動軸16bを中心に回動させられ、略水平の状態または起立した状態の姿勢とされる。
図3(b)〜
図3(d)及び
図1に示すように、車載用オーディオビジュアル装置10では、互いに重なっている一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを左右にスライドさせていき、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを左右側方に開いて横並びに配置することができる。
【0018】
以下、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを左右にスライドさせて開閉する構造について詳細に説明する。
図4は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが開いた状態の車載用オーディオビジュアル装置10を示す正面図である。
図5は、車載用オーディオビジュアル装置10の分解斜視図である。ここで
図5では、一方のモニタ12R、他方のモニタ12L及びベース部材13の周辺構造が分解されて示されている。
【0019】
図4及び
図5を参照し、車載用オーディオビジュアル装置10は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを左右にスライドさせる力の駆動源となる一つのモーター20と、モーター20によって回転させられる円板状のカムギヤ21とを備える。
また、車載用オーディオビジュアル装置10は、円板状のカムギヤ21に連結されるとともに一方のモニタ12Rを支持する一方のキャリア22R(一方の搬送部材)と、円板状のカムギヤ21に連結されるとともに他方のモニタ12Lに連結される他方のキャリア22L(他方の搬送部材)とを備える。
【0020】
図6は、ベース部材13の斜視図である。
図4〜
図6に示すように、ベース部材13は、起立した状態において一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを下方から支持する下面支持部23と、下面支持部23の後縁部から上方へ立設される後壁部24と、後壁部24の上端から略水平に前方へせり出す上壁部25とを有する。
下面支持部23、後壁部24及び上壁部25の左右の長さは、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの左右の長さに略等しい。
【0021】
下面支持部23は、前後方向よりも左右方向に長い略直方体の箱状に形成されており、内部には空間S(
図9)を有する。下面支持部23の上面は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの下面に対向して略水平に延びる下壁部26を構成している。
下壁部26の前後の中間部には、後壁部24に沿って左右に延びる一方のガイド溝27a,27bが一対形成されている。
下壁部26の前部には、後壁部24に沿って左右に直線状に延びる他方のガイド溝28が形成されている。
【0022】
一方のガイド溝27a,27b及び他方のガイド溝28は、空間Sまで貫通するスリット状の孔である。
一方のガイド溝27a,27bは、左右方向に直線状に延びる左右ガイド溝部29,29と、左右ガイド溝部29,29の右端から略直角に屈曲して前方に延びる前後ガイド溝部30,30とを備える。一方のガイド溝27a,27bは、同一形状であるが、一方のガイド溝27bは、一方のガイド溝27aよりも後方側且つ外側方側(右側)に配置されている。また、一方のガイド溝27a,27bは、他方のガイド溝28が設けられた部分よりも一段低く形成された下壁段部34に設けられている。
【0023】
図7は、
図4のVII−VII断面図である。
図7に示すように、下壁部26に対向する上壁部25の内面には、一方のガイド溝27a,27bと同一形状の一方のガイド溝37a,37bが形成されている。また、上壁部25の内面には、上方に一段窪んだ上壁段部(不図示)が形成されており、一方のガイド溝37a,37bは上壁段部に設けられている。この上壁段部は、下壁段部34と略同一形状である。一方のガイド溝37a,37bは、上壁部25を貫通しない溝である。一方のガイド溝37a,37bは、左右ガイド溝部29,29及び前後ガイド溝部30,30を備える。平面視では、一方のガイド溝27a,27bと一方のガイド溝37a,37bとは同一の位置に設けられており、上方から見た場合、一方のガイド溝27a,27bと一方のガイド溝37a,37bとは重なる。
また、上壁部25の内面には、他方のガイド溝28と同一形状の他方のガイド溝38が形成されている。他方のガイド溝38は、上壁部25を貫通しない溝である。平面視では、他方のガイド溝28と他方のガイド溝38とは同一の位置に設けられており、上方から見た場合、他方のガイド溝28と他方のガイド溝38とは重なる。
【0024】
図6に示すように、下壁部26の後部には、後壁部24に沿って左右に直線状に延びる逃げ溝部31が形成されている。逃げ溝部31は、空間Sまで貫通するスリット状の孔である。
下壁部26の後部の左右端には、チルト機構部16の回動軸16bが嵌合する軸連結部32,32が設けられている。
下面支持部23の奥行き方向の長さは、一方のモニタ12R、他方のモニタ12L及びカムギヤ21等を重ねた厚さよりも大きく形成されている。
【0025】
後壁部24の上下方向の高さは、下壁部26と上壁部25との間に一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを立てて収納できるように、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの高さよりも大きく形成されている。
後壁部24の上下及び左右の中間部には、カムギヤ21を軸支するカムギヤ支持軸(不図示)が固定される軸支持部33が設けられている。
ベース部材13、カムギヤ21、一方のキャリア22R及び他方のキャリア22Lは、モーター20の駆動力を、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lをベース部材13上でスライド移動させる力に変換してスライド移動させる変換機構35を構成する。
【0026】
図8は、変換機構35をベース部材13の後壁部24側から見た図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。ここで、
図8は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが左右に完全に開いた状態を示している。
図4〜
図6及び
図8に示すように、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、板状の液晶モニタであり、略同一の画面サイズ及び外形を有する。一方のモニタ12Rは、略矩形の板状のモニタ本体40と、表示面15Rとを有する。他方のモニタ12Lは、略矩形の板状のモニタ本体41と、表示面15Lとを有する。
一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、縦短寸及び横長寸のアスペクト比が、例えば16:9の横長のワイドタイプのモニタである。
【0027】
一方のモニタ12Rは、一方のモニタ12Rの高さ方向に真っ直ぐ延びる棒状の一方のガイド部43,43を、モニタ本体40の背面側に一対備える。一方のガイド部43,43は、モニタ本体40の背面側に突出して設けられたガイド部支持部44(
図8)に支持されて上下に延びており、上端及び下端は、一方のモニタ12Rの上縁及び下縁よりも上方及び下方にそれぞれ突出している。一方のガイド部43,43は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが左右に開いた状態における一方のモニタ12Rの左右方向の内縁40a側に寄せて配置されている。
【0028】
一方のモニタ12Rは、一方のガイド部43,43の上端及び下端を、ベース部材13の一方のガイド溝37a,37b及び一方のガイド溝27a,27bにそれぞれ嵌合させた状態で、上壁部25と下壁部26との間に配置される。
一方のモニタ12Rは、一方のガイド部43,43が一方のガイド溝37a,37b,27a,27bにガイドされることで、一方のガイド溝37a,37b,27a,27bに沿ってスライド移動する。
【0029】
他方のモニタ12Lは、他方のモニタ12Lの高さ方向に真っ直ぐ延びる棒状の他方のガイド部45,45を、モニタ本体41に一対備える。他方のガイド部45,45は、モニタ本体41の上縁及び下縁から上方及び下方に突出して設けられている。他方のガイド部45,45は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが左右に開いた状態における他方のモニタ12Lの左右方向の内縁41a側に寄せて配置されている。また、一対の他方のガイド部45,45のうち、内縁41aに近い側のガイド部45は、遠い側のガイド部45の下端よりも下方に延出する下方延出部45aを備える。
【0030】
他方のモニタ12Lは、他方のガイド部45,45の上端及び下端を、ベース部材13の他方のガイド溝38及び他方のガイド溝28にそれぞれ嵌合させた状態で、上壁部25と下壁部26との間に配置される。
他方のモニタ12Lは、他方のガイド部45,45が他方のガイド溝38,28にガイドされることで、他方のガイド溝38,28に沿ってスライド移動する。
【0031】
カムギヤ21は、一枚の円板状の歯車であり、一方のモニタ12Rの高さ方向の長さよりも大きな直径を有する。
カムギヤ21は、円板状の歯車本体部21aと、歯車本体部21aの中心に形成されて上記カムギヤ支持軸によって軸支される支持孔21bとを備え、カムギヤ支持軸を中心に回転する。また、カムギヤ21は、歯車本体部21aの外周の全体に設けられるギヤ部21cと、ギヤ部21cと支持孔21bとの間の板部に形成される複数の肉抜き孔21dとを有する。カムギヤ21は、後壁部24に対し略平行に設けられており、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの背面に対向するギヤ表面21eと、ベース部材13の後壁部24に対向するギヤ裏面21fとを有する。
カムギヤ21の回転時の下部は、ベース部材13の逃げ溝部31を通って空間S内に位置する。
【0032】
図8に示すように、カムギヤ21は、ギヤ表面21eに立設されて一方のモニタ12Rの背面側へ突出する一方の突部46R(突部の一方)と、ギヤ裏面21fに立設されてベース部材13の後壁部24側へ突出する他方の突部46L(突部の他方)とを備える。
一方の突部46R及び他方の突部46Lは、径方向においてカムギヤ21の外周側に寄せて設けられており、ギヤ部21cの近傍に位置する。また、一方の突部46Rと他方の突部46Lとは、カムギヤ21の周方向では、略180°異なる位置に配置されている。詳細には、後述する一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを閉じる際のカムギヤ21の回転方向(閉方向CL)で見ると、一方の突部46Rと他方の突部46Lとは、周方向に180°よりもわずかに大きい角度だけ異なる位置に配置されている。一方の突部46R及び他方の突部46Lは、例えば、歯車本体部21aに立設されるピンにより構成される。
【0033】
モーター20は、寝かせて配置される柱状の本体部20aと、本体部20aの端から軸方向に突出するモーター軸に設けられるウォームギヤ20bとを有する。
モーター20は、下面支持部23の空間S内に配置されている。詳細には、モーター20は、左右に長い空間S内において他方のモニタ12L側の一端部に位置し、ウォームギヤ20bが空間S内の他端部側を指向する向きで配置されている。
ウォームギヤ20bとカムギヤ21との間には、ウォームギヤ20bの駆動力をカムギヤ21に伝達する中間ギヤ47が配置されている。
中間ギヤ47は、ウォームギヤ20bに噛み合う小径ギヤ部47a(
図5)と、カムギヤ21のギヤ部21cに噛み合う大径ギヤ部47bとを一体に備える歯車である。中間ギヤ47は、後壁部24に軸支される。
【0034】
図5及び
図8に示すように、一方のキャリア22Rは、一方のモニタ12Rの背面に沿って上下に延びる縦板部50と、縦板部50の上縁から一方のモニタ12R側に前方へ延びる上板部51と、縦板部50の下縁から一方のモニタ12R側に前方へ延びる下板部52とを備える。一方のキャリア22Rの左右方向の幅は、カムギヤ21の半径よりも小さい。
上板部51及び下板部52は、互いに対向して配置されるとともに、一方のモニタ12Rの上面及び下面に対し略平行に設けられている。
上板部51及び下板部52には、一方のモニタ12Rの左右のスライド方向、すなわち一方のガイド溝27a,27bの左右ガイド溝部29,29の延在方向、に対して斜めに交差する傾斜溝53,54が、それぞれ形成されている。詳細には、傾斜溝53,54は、一方のモニタ12Rを開いていく際の一方のモニタ12Rの左右のスライド方向に行くほど、一方のモニタ12Rに対して前後方向に遠くなるように傾斜している。また、傾斜溝53,54は、左右方向に延びる左右溝部53a,54aを前端に有する。
【0035】
傾斜溝53は、左右方向に並べて上板部51に一対設けられている。傾斜溝54は、左右方向に並べて下板部52に一対設けられている。傾斜溝53,54は、上板部51及び下板部52を貫通する同一形状のスリット状の孔である。
平面視では、傾斜溝53と傾斜溝54とは、同一の位置に設けられており、上方から見た場合、傾斜溝53と傾斜溝54とは重なる。
一方のキャリア22Rは、下板部52がベース部材13の下壁段部34に嵌まるとともに、上板部51が上記上壁段部に嵌まることで、前後方向へのスライドを規制された状態で左右方向にスライドする。
【0036】
一方のキャリア22Rの縦板部50は、カムギヤ21の一方の突部46Rが嵌まる一方のカム溝55を有する。一方のカム溝55は、鉛直方向に直線状に延びるスリット状の孔であり、縦板部50の上部から上下の中間部に亘って設けられている。また、一方のカム溝55は、一方のモニタ12Rが
図8に示すように左右方向に開かれた状態において、縦板部50の左右方向の外端部に設けられている。
【0037】
一方のキャリア22Rは、各傾斜溝53,54を一方のガイド部43,43の上端及び下端に嵌合させて、一方のモニタ12Rの背面側に取り付けられる。
一方のキャリア22Rと一方のモニタ12Rとは、傾斜溝53,54内を一方のガイド部43,43が動くことで、相対移動可能である。一方のモニタ12Rが、縦板部50に近づく方向に移動した状態では、一方のモニタ12Rは、上板部51と下板部52との間に挟まれる。
【0038】
一方のガイド部43,43の上端及び下端は、傾斜溝53,54を貫通して上方及び下方にさらに延びており、これら上端及び下端は、ベース部材13の一方のガイド溝37a,37b及び一方のガイド溝27a,27bにそれぞれ嵌合する。すなわち、一方のモニタ12Rは、ベース部材13との間に一方のキャリア22Rを介装した状態で、一方のガイド溝27a,27b,37a,37bに沿って左右にスライド可能に設けられる。
一方のキャリア22Rは、一方のモニタ12Rとカムギヤ21との間に挟んで配置されており、カムギヤ21の一方の突部46Rが一方のカム溝55に嵌合することでカムギヤ21に連結される。すなわち、一方のモニタ12Rは、一方のキャリア22Rを介してカムギヤ21に連結されている。
【0039】
他方のキャリア22Lは、ギヤ裏面21fに沿って上下に延びる板部60と、板部60の下縁からカムギヤ21の下方を回り込んで前方に延出される延出部61とを備える。他方のキャリア22Lの左右方向の幅は、カムギヤ21の半径よりも小さい。板部60は、カムギヤ21の下部から他方のモニタ12Lの上部まで延びる。
【0040】
他方のキャリア22Lの板部60には、カムギヤ21の他方の突部46Lが嵌まる他方のカム溝62が上下に延びて形成されている。他方のカム溝62は、円弧状に形成された円弧状逃げ溝部62aと、円弧状に形成された円弧状カム溝部62bと、鉛直方向に直線状に延びる直線状カム溝部62cとを有する。
円弧状逃げ溝部62aは、板部60の上端部から上下の中間部まで延び、円弧状カム溝部62bは、円弧状逃げ溝部62aの下端に連続して板部60の下部まで延び、直線状カム溝部62cは、円弧状カム溝部62bの下端に連続して板部60の下端部まで延びている。
【0041】
一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを左右に開いた状態から閉じた状態に変更する場合、カムギヤ21は、
図8に示すように、閉方向CLに回転する。円弧状カム溝部62bは、閉方向CLにカムギヤ21が回転する際の他方の突部46Lの回動の軌跡に沿った円弧形状に形成されている。
一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを、互いに重なって閉じた状態から開いた状態に変更する場合、カムギヤ21は、
図13に示すように、閉方向CLとは反対の開方向OPに回転する。円弧状逃げ溝部62aは、開方向OPにカムギヤ21が回転する際の他方の突部46Lの回動の軌跡に沿った円弧形状に形成されている。
【0042】
他方のキャリア22Lは、延出部61(
図13)の先端にガイド部45の下方延出部45aが係合することで、他方のモニタ12Lに連結されている。また、他方のキャリア22Lは、カムギヤ21の他方の突部46Lが他方のカム溝62に嵌合することでカムギヤ21に連結される。すなわち、他方のモニタ12Lは、他方のキャリア22Lを介してカムギヤ21に連結されている。
【0043】
図9は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの配線の配置を示す斜視図である。
図9では、空間Sが見えるように、車載用オーディオビジュアル装置10の一部が切り欠かれている。
一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、帯状のFPC(フレキシブルプリント基板)65,66によって、筐体11内の制御部等に接続されており、FPC65,66を介して、映像信号及び電源等が一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lに供給される。
【0044】
一方のモニタ12Rに接続されるFPC65は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの背面側で下壁部26に沿って配索されている。FPC65は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが開いた状態における他方のモニタ12L側から一方のモニタ12R側に引き回され、内縁40a近傍で折り返されて一方のモニタ12Rの背面の下部に接続される。
【0045】
他方のモニタ12Lに接続されるFPC66は、空間S内に配索されている。FPC65は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが開いた状態における一方のモニタ12R側から他方のモニタ12L側に引き回され、内縁41a近傍の他方のモニタ12Lの下部に接続される。詳細には、FPC66は、ガイド溝28を通って下方から他方のモニタ12Lに接続される。
このように、FPC65を下壁部26の上面に沿わせて設け、FPC66を空間Sに設けたため、FPC65,66同士が干渉せず、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lがスライドする構成であっても、モニタ用の配線を設けることができる。
【0046】
次に、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの開閉動作を説明する。まず、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが開いた状態から閉じた状態になるまでの閉動作を説明する。
図10は、
図8よりも閉じ方向に進んだ状態を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
図11は、
図10よりも閉じ方向に進んだ状態を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
図12は、
図11よりも閉じ方向に進んだ状態を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
図13は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが閉じた状態を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
【0047】
図7及び
図8に示すように、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが完全に左右側方に開いた状態(以下、この状態を開状態と呼ぶ。)では、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、左右に横並びに配置されている。開状態では、内縁40aと内縁40aとは当接するとともに、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの前後の位置が揃っており、表示面15Rと表示面15Lとは略面一に配置されている。
【0048】
上記開状態では、カムギヤ21は、一方の突部46Rが一方のカム溝55の下部に位置し、他方の突部46Lが他方のカム溝62の円弧状カム溝部62bの上部に位置するような回動位置にある。このようにカムギヤ21が回動することで、一方のキャリア22Rは、一方のキャリア22Rの左右のスライド位置の右端(スライド位置の一側の端)に配置され、他方のキャリア22Lは、他方のキャリア22Lの左右のスライド位置の左端(スライド位置の他側の端)に配置される。
【0049】
開状態では、一方のガイド部43,43は、一方のガイド溝27a,27bの右端において前後ガイド溝部30,30の前端(
図7)に位置するとともに、傾斜溝53,54の左右溝部53a,54aに位置する。すなわち、開状態では、一方のモニタ12Rは、一方のガイド部43,43が左右溝部53a,54aの後縁に押されるようにして前後ガイド溝部30,30の前端に配置されることで、最も前側且つ右端の位置にスライド移動させられている。また、開状態では、一方のガイド部43,43が左右溝部53a,54aの後縁によって支持されるため、一方のモニタ12Rを後方に移動させるような外力が作用したとしても、外力を左右溝部53a,54aで受けることができ、一方のモニタ12Rが後方へ移動してしまうことを防止できる。
また、開状態では、他方のガイド部45,45は、他方のガイド溝28,38の左端側に位置し、これにより、他方のモニタ12Lは、スライド位置における左端に位置する。
【0050】
ユーザー等により、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを閉じる指示が出されると、上記制御部は、モーター20を駆動し、カムギヤ21を閉方向CLに回動させる。
開状態からカムギヤ21が閉方向CLに回動し始めると、
図10に示すように、一方の突部46Rは、左上方に円弧状の軌跡で移動し、一方のカム溝55に対しては、カム溝55内で上方に移動する。これにより、一方のキャリア22Rは左端側へスライド移動され、一方のモニタ12Rは後方へのスライド移動を開始する。このように、一方のモニタ12Rが前後にスライド移動する工程を、以下では、前後スライド工程と呼ぶ。
【0051】
図14は、前後スライド工程における、前後ガイド溝部30,30、一方のガイド部43,43及び傾斜溝53,54の位置関係を示す図である。
前後スライド工程では、一方のガイド部43,43は、
図8に示す傾斜溝53,54の前端の左右溝部53a,54aから、
図14に示す途中位置を経て、
図10に示す傾斜溝53,54の後端まで移動する。
【0052】
詳細には、
図14に示すように、前後スライド工程では、一方のキャリア22Rのスライドに伴う傾斜溝53,54の左側へのスライドに伴って、一方のガイド部43,43は、傾斜溝53,54の前縁によって後方へ押され、前後ガイド溝部30,30内を後方へスライドする。これにより、一方のモニタ12Rは、前後ガイド溝部30,30の長さの分だけ後方にスライド移動する。ここで、一方のモニタ12Rの前後のスライド量は、一方のモニタ12Rが他方のモニタ12Lの後方で左右にスライド移動できるように、他方のモニタ12Lの厚さよりも大きく設定される。
【0053】
また、前後スライド工程では、
図10に示すように、他方の突部46Lは、一方のカム溝55内で右下方に円弧状の軌跡で移動する。詳細には、前後スライド工程では、他方の突部46Lは、他方の突部46Lの回動の軌跡と同一形状に形成された円弧状カム溝部62b内を上端から下端まで移動するだけである。従って、前後スライド工程では、他方のキャリア22Lは移動せず、他方のモニタ12Lも移動しない。
すなわち、前後スライド工程は、他方のモニタ12Lの移動を停止した状態で、一方のモニタ12Rのみを前後にスライドさせる工程である。本実施の形態では、円弧状カム溝部62bを設けることで他方のモニタ12Lの移動を停止でき、簡単な構成で前後スライド工程を実現できる。
【0054】
前後スライド工程が終わってカムギヤ21が閉方向CLにさらに回動されると、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、左右ガイド溝部29,29及び他方のガイド溝28に沿って左右方向にスライド移動する。
図11は、カムギヤ21が
図10よりも閉方向CLに回動した状態であり、一方のキャリア22R及び他方のキャリア22Lは、一方の突部46R及び他方の突部46Lの移動に伴って、閉じ方向にスライド移動する。一方のガイド部43,43は、一方のキャリア22Rの傾斜溝53,54に押されるようにして、左右ガイド溝部29,29に沿ってスライド移動する。
図11の状態では、一方の突部46Rは一方のカム溝55の上端部に位置し、他方の突部46Lは直線状カム溝部62cの下端部に位置している。他方の突部46Lが直線状カム溝部62c内を移動する区間では、他方の突部46L及び一方の突部46Rは共に鉛直な溝内を移動するため、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lのスライドの速さは略同一である。
【0055】
図12は、カムギヤ21が
図11よりも閉方向CLに回動した状態であり、一方のキャリア22R及び他方のキャリア22Lは、一方の突部46R及び他方の突部46Lの移動に伴って、閉じ方向にスライド移動する。
図12の状態では、他方の突部46Lは円弧状カム溝部62b内を上方に移動し、一方の突部46Rは一方のカム溝55内を下方へ移動する。他方の突部46Lが円弧状カム溝部62b内を上方に移動する区間では、他方のモニタ12Lは、直線状カム溝部62cの区間よりも速く閉じ方向にスライドする。
【0056】
図13に示すように、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが互いに重なって完全に閉じた状態(以下、この状態を閉状態と呼ぶ。)では、他方の突部46Lは、円弧状逃げ溝部62aの上下の中間部に位置し、一方の突部46Rは、一方のカム溝55の下端部に位置する。
円弧状逃げ溝部62aは、他方の突部46Lの回動の軌跡と同一形状に形成されているため、他方の突部46Lが円弧状逃げ溝部62a内に位置する状態では、他方のモニタ12Lのスライド移動は停止される。すなわち、他方のモニタ12Lは、
図12の状態から他方の突部46Lが上方に移動して円弧状逃げ溝部62aの下端に入った段階で、スライド位置の左端に到達し、スライド移動が停止される。また、他方の突部46Lは、他方のモニタ12Lのスライド移動が停止した後も上方に移動し、最終的には、円弧状逃げ溝部62aの上下の中間部まで移動する。
【0057】
これに対し、一方の突部46Rは、他方のモニタ12Lのスライド移動の停止後も一方のカム溝55内を下方に移動し、一方のモニタ12Rをスライド移動させる。最終的には、一方の突部46Rは、一方のカム溝55の下端部まで移動し、これに対応して、一方のモニタ12Rのスライド移動も停止される。
図8及び
図13に示すように、開状態から閉状態までのカムギヤ21の回転量は、略半回転であり、詳細には、180°よりもわずかに小さい回転角度である。
車載用オーディオビジュアル装置10は、開状態及び閉状態の両方の状態において、表示面に情報を表示可能である。詳細には、制御部は、開状態では表示面15R,15Lの両方に情報を表示させるが、閉状態では、一方のモニタ12Rを停止し、他方のモニタ12Lのみに情報を表示させる。
【0058】
次に、閉状態から開状態への開動作を説明する。
ユーザー等により、車載用オーディオビジュアル装置10の使用の指示が出されると、制御部は、上記スライド機構部を駆動して、ベース部材13とともに一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを前方にせり出させる。次いで、制御部は、チルト機構部16を駆動してベース部材13を起立させる。これにより、他方のモニタ12Lは、ユーザーに略正対する視認位置となる。チルト機構部16によってベース部材13が起立された状態では、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは閉状態にあり、他方のモニタ12Lのみがユーザーから視認される。車載用オーディオビジュアル装置10では、上述のように閉状態で情報を表示することも可能である。
【0059】
起立が完了すると、制御部は、モーター20を駆動し、カムギヤ21を開方向OPに回動させ、閉状態から開状態への開動作を開始する。開動作は、上述の閉動作の逆の動作である。
図13に示す閉状態からカムギヤ21が開方向OPに回動し始めると、一方の突部46Rは、右上方に円弧状の軌跡で移動し、一方のカム溝55に対しては、カム溝55内で上方に移動する。これにより、一方のキャリア22Rは右端側へスライド移動され、一方のモニタ12Rは右端側へ開方向にスライド移動を開始する。
これに対し、他方の突部46Lは、カムギヤ21が開方向OPに回動し始めると、左下方に円弧状の軌跡で移動し、円弧状逃げ溝部62a内を移動する。他方の突部46Lが円弧状逃げ溝部62a内を移動する区間では、他方のモニタ12Lはまだスライド移動を開始しない。
【0060】
図13から
図12の状態に開方向に進み、他方の突部46Lが円弧状カム溝部62bを通ると、他方のモニタ12Lは、左端側へ開方向にスライド移動する。また、
図12の状態では、一方のモニタ12Rは、右端側へのスライド移動を継続する。
図12からさらに開方向に進んだ
図11の状態では、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、略同一の速さで開方向にスライド移動する。
【0061】
図11の状態からさらに開方向に進むと、前後スライド工程が開始され、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、
図10の状態から
図14の状態を経て、
図8の開状態となる。詳細には、前後スライド工程では、
図14に示すように、一方のキャリア22Rのスライドに伴う傾斜溝53,54の右側へのスライドに伴って、一方のガイド部43,43は、傾斜溝53,54の後縁によって前方へ押され、前後ガイド溝部30,30内を前方へスライドする。これにより、一方のモニタ12Rは、前後ガイド溝部30,30の長さの分だけ前方にスライド移動し、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは左右に横並びに配列されるとともに、表示面15R,15Lが互いに同一面内に位置するようになる。
【0062】
また、
図10に示すように、他方の突部46Lが直線状カム溝部62cの上端に達すると、他方のモニタ12Lの開方向へのスライド移動は完了する。その後の前後スライド工程では、一方の突部46Rは一方のキャリア22Rをスライド移動させるが、他方の突部46Lは、円弧状カム溝部62bを上方に移動し、円弧状カム溝部62bの上端まで移動するだけである。このように、他方のモニタ12Lの開方向へのスライド移動が、前後スライド工程の前に完了しているため、他方のモニタ12Lが一方のモニタ12Rの前後のスライドの邪魔にならない。
また、一方のキャリア22Rの下板部52の板厚に対応して下壁段部34(
図6)を設け、下壁段部34に下板部52を配置したため、一方のキャリア22Rで一方のモニタ12Rの下面を支持する構成であっても、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの上下の位置は揃っている。
【0063】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、車載用オーディオビジュアル装置10は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lと、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを支持するベース部材13と、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを移動させるモーター20と、モーター20の駆動力を、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lをベース部材13上でスライド移動させる力に変換してスライド移動させる変換機構35とを備え、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、互いに重なって閉じた状態から変換機構35を介してスライド移動して側方に開かれ、配列される。これにより、互いに重なって閉じた状態の一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを、変換機構35を介したモーター20の駆動力によってスライド移動させて左右の側方に開くことができ、必要な際に一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを配列させることができるため、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを備えた車載用オーディオビジュアル装置10をコンパクトに設けることができる。
【0064】
また、重なって閉じた状態の一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lをベース部材13とともに収容する箱状の筐体11を備え、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、情報を表示する際には、筐体11からベース部材13と一体に引き出されるとともに起立される。このため、重なって閉じた状態の一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lをコンパクトに筐体11に収容しておくことができ、必要な際には、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを起立させるとともに側方に開いて配列させることができる。
また、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、変換機構35の左右のスライド位置の終端に位置して開かれた状態では、互いの表示面15R,15Lが略面一になるため、表示面15R,15Lを見易くできる。
【0065】
また、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは一対で設けられ、変換機構35は、一方のモニタ12Rに連結される一方のキャリア22Rと、他方のモニタ12Lに連結される他方のキャリア22Lと、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの裏面側に配置され、一方のキャリア22R及び他方のキャリア22Lに連結されるカムギヤ21とを備え、カムギヤ21はモーター20に駆動されて回転され、カムギヤ21は、円板状に形成されるとともに、板面上に一対の一方の突部46R及び他方の突部46Lを備え、一方のキャリア22Rは、一方の突部46Rが嵌まる一方のカム溝55を備え、他方のキャリア22Lは、他方の突部46Lが嵌まる他方のカム溝62を備え、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lは、カムギヤ21の回転によって周方向に移動する一方の突部46R及び他方の突部46Lによって、一方のカム溝55及び他方のカム溝62を介してスライド移動させられる。これにより、モーター20に駆動されるカムギヤ21の回転を、側方にスライドさせる力に変換し、一方のキャリア22R及び他方のキャリア22Lを介して、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを側方に開くことができ、簡単な構成で一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを配列できる。
【0066】
さらに、ベース部材13は、一方のモニタ12Rのスライド方向に延びる一方のガイド溝27a,27b,37a,37bを備え、一方のガイド溝27a,27b,37a,37bは、スライド方向と略直交する前後ガイド溝部30を終端にそれぞれ備え、一方のモニタ12Rは、上下方向に突出して一方のガイド溝27a,27b,37a,37bに嵌まる一方のガイド部43,43を備え、一方のキャリア22Rは、一方のガイド部43,43が嵌まる傾斜溝53,54を備え、傾斜溝53,54は、一方のモニタ12Rのスライド方向に交差する方向に斜めに延びており、一方のモニタ12Rは、傾斜溝53,54を介して一方のガイド部43,43が一方のキャリア22Rに押されるようにして一方のガイド溝27a,27b,37a,37bに沿ってスライド移動させられ、一方のモニタ12Rは、一方のガイド部43,43が、傾斜溝53,54に押されて前後ガイド溝部30,30に沿って動くことで前後にスライドする。このため、一方のモニタ12Rのスライド方向の終端で、一方のキャリア22Rのスライド方向に移動する力を、傾斜溝53,54によって、一方のモニタ12Rを前後にスライドさせる力に変換でき、簡単な構成で一方のモニタ12Rを前後にスライドさせて、表示面15R,15Lを略面一にできる。
【0067】
また、他方のキャリア22Lの他方のカム溝62は、他方の突部46Lの回動の軌跡に沿った円弧状カム溝部62bを備え、一方のモニタ12Rが前後にスライドする際は、他方の突部46Lは、円弧状カム溝部62b内を移動する。これにより、一方のモニタ12Rが前後にスライドする際は、他方のモニタ12Lのスライドを止めておくことができ、他方のモニタ12Lが邪魔になることを防止できるため、表示面15R,15Lを略面一にすることが可能な構造を簡単な構造で実現できる。
また、一方のモニタ12Rはカムギヤ21の前面側に一方のキャリア22Rを介して支持され、他方のキャリア22Lは、カムギヤ21の後面側に配置され、他方のモニタ12Lは、一方のモニタ12Rの前面側に配置され、他方のキャリア22Lからカムギヤ21及び一方のモニタ12Rの下方を回りこんで延出された延出部61に連結されている。このため、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを前後に重ねてコンパクトに配置する構成であっても、一方のキャリア22R及び他方のキャリア22Lを一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lに連結でき、簡単な構成で、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを側方に開くことができる。
【0068】
さらに、ベース部材13は、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを下方から支持する下面支持部23を備え、他方のモニタ12Lは、下面支持部23に当接して下方から支持され、一方のキャリア22Rは、一方のモニタ12Rの下面を支持する下板部52を備え、下面支持部23は、少なくとも下板部52の板厚分だけ窪む下壁段部34を備える。これにより、下板部52を下壁段部34に配置して一方のキャリア22Rの位置を下方に下げることができるため、一方のモニタ12Rを一方のキャリア22Rで支持する構成としながら、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの高さ位置を合わせることができる。
【0069】
また、車載用オーディオビジュアル装置10は、筐体11内にスライドにより収納されると共に、筐体11外の視認位置では起立されるベース部材13を備え、ベース部材13に一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを備え、少なくとも視認位置では一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが側方に展開する。これにより、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lをベース部材13とともに筐体11にコンパクトに収納しておくことができるとともに、筐体11外の視認位置でベース部材13を起立させて一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを側方に展開できる。このため、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを供えた車載用オーディオビジュアル装置10をコンパクトに設けることができる。
また、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lが側方に展開し、かつ、同一面内に配列されるため、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを見易くできる。
【0070】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、車載用オーディオビジュアル装置10において電気的に情報を表示する一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを開閉する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、講義等の際に用いられるホワイトボードに本発明を適用しても良い。この場合、ユーザーがペン等で情報を書き記す一対のホワイトボードの背面側に変換機構35を設けることで、一対のホワイトボードを簡単な構成で左右の側方に開閉できる。また、車載用オーディオビジュアル装置10において、一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lの片方または両方を、ホワイトボード等にしても良い。
また、上記実施の形態では、複数の表示板として、一対の一方のモニタ12R及び他方のモニタ12Lを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3枚以上の表示板を筐体11に収容し、モーターを用いたスライド式の開閉機構によって、起立状態で側方に開いて複数の表示板を横並びに配置する構成としても良い。