【実施例】
【0034】
ポリイミド薄膜の熱膨張係数、厚さ、剛性、および、誘導結合プラズマ発光分光分析法 (ICP-OES) のスペクトルを測定した。ポリイミド薄膜の黒鉛化後、グラファイトシートの厚さ、黒鉛化レベル、電気伝導性、および、走査電子顕微鏡像 (SEM)断面観察を測定した。測定方法は以下のようである。
【0035】
ポリイミド薄膜の熱膨張係数を、動機械的熱分析 (TA instrumentsから市販されているQ400)により測定した。30℃ から 400℃の温度範囲で、ポリイミド薄膜のサイズ変化を測定し、50℃ から 200℃ の温度範囲のポリイミド薄膜のサイズ変化を考察した。
【0036】
サンプル、たとえば、ポリイミド薄膜、または、グラファイトシートの厚さを、定期的に補正されたマイクロメーター (No. 293561N)により測定した。マイクロメーターをゼロにし、その後、サンプルをテスト位置で固定し、マイクロメーターのモニターで表示される値が、サンプルの実際の厚さである。
【0037】
ポリイミド薄膜の剛性を以下のように測定した。ポリイミド薄膜を10mm×60mmのストリップ状にカットすると共に、高さ 1.5cmのU字型に曲げた。U字型ストリップを、ゼロにした精密天秤上に固定した。ストリップの曲げ程度は、材料の剛性に関連する。ストリップの剛性を、天秤により測定して、ポリイミドの剛性を算出した。
【0038】
ポリイミド薄膜のICP-OES のスペクトルをSPECTRO ARCOS により測定して、金属錯体を含むポリイミド薄膜の金属元素を測定した。
【0039】
薄膜 X-線回折計 (Bede Scientific Instrument Ltd.から市販されているBede D1)を使用し、グラファイトシートの黒鉛化レベルを、波長 0.154056nm のCuKα X-線、角度走査 24°から 29°、および、走査速度0.02°/秒により測定した。以下の等式C
0 は、測定されたデータのd002 (nm)により置換して、黒鉛化レベル (g%)を得た。C
0 は、六角グラファイトの層間隔 (nm)である。C
0 が理想の六角グラファイト層間隔0.3354nmに近い場合、黒鉛化レベルは高い。
【0040】
【数1】
【0041】
グラファイトシートの電気伝導性を、4点探針テスター(Laresta-EP MCP-T360)により直接測定し、グラファイトシートの熱伝導率を間接的に得た。
【0042】
グラファイトシートのSEM断面を以下のように得た。グラファイトシートを銅ペースト上に固定すると共に、導電性金属をめっきして、サンプルを完成した。サンプルを電界放出電子顕微鏡 (HITACHIから市販されているS-4200)のチャンバーに入れ、チャンバーを真空にして、サンプルの断面の微細構造を観察した。サンプルが高い黒鉛化レベルを有する場合、その断面の層ごとの微細構造は密度が高く、さらに明らかである。一方、サンプルが低黒鉛化レベルを有する場合、その断面は、ブロック構造、または、非連続構造で、その層ごとの微細構造はまばらで、あまりはっきりしない。
【0043】
実施例1−1
123gの1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン (DMI)を反応ボトルに入れた。その後、0.3 mole (5.96g)の式1のジアミンと0.7 mole (8.53g)の式2のジアミンとをDMIに加えて、十分に攪拌、および、溶解した。1.0mole (12.51g)の式3の二無水物を、室温で、ジアミン溶液に加え、反応物を6時間攪拌して、固形分18wt%のポリアミド酸溶液を得た。ポリアミド酸溶液を脱気して、適当な厚さのブレードにより、離型フィルムが塗布されたガラスキャリア上に均一にコートした。ガラスキャリア上のコーティングを熱風循環炉に入れて、80℃で30分ベイクすることで大部分の溶媒を除去して、ゲルフィルムを形成した。ゲルフィルムを離型フィルムから取り外して、二軸ストレッチャー上に置き、その後、熱風循環炉に入れてベイクした。ゲルフィルムを、加熱速度1.6℃/分で230℃まで加熱し、230℃で半時間放置することで余剰の溶媒を除去して、その後、加熱速度1℃/分で350℃まで加熱して、350℃で半時間放置することで、ポリアミド酸を脱水させて、ポリイミドを形成し、その後、室温まで冷却して、ポリイミド薄膜を得た。ポリイミド薄膜の特性が表1に示される。
【0044】
ポリイミド薄膜を、黒鉛化加熱炉内の滑らかなグラファイトペーパー同士の間隔に入れた。チャンバーを窒素によりパージして、真空にし、ポリイミド薄膜中の微量の水気を除去した。その後、チャンバーを、16.7℃/分の加熱速度で1000℃まで加熱し、1000℃で半時間放置することで、ポリイミド薄膜を炭化した。その後、チャンバーを0.8kg/cm
2 のアルゴンでパージし、7℃/分の加熱速度で2800℃の黒鉛化温度まで加熱し、2800℃で1 時間放置することで、炭化された薄膜を黒鉛化し、冷却してグラファイトシートを得た。グラファイトシートの特性が表1に示される。
【0045】
実施例1−2
実施例1−2は実施例1−1と類似し、異なる点は、実施例1−2は、黒鉛化温度が2400℃であることである。グラファイトシートの特性が表1に示される。
【0046】
実施例1−3
実施例1−3は実施例1−1と類似し、異なる点は、実施例1−3は、黒鉛化温度が2200℃であることである。グラファイトシートの特性が表1に示される。
【0047】
実施例1−4
実施例1−4は実施例1−1と類似し、異なる点は、実施例1−4は、黒鉛化温度が1800℃であることである。グラファイトシートの特性が表1に示される。
【0048】
表1に示されるように、高い黒鉛化レベルと高い電気伝導性とを有するグラファイトシートが、高い黒鉛化温度により形成される。
【0049】
【表1】
【0050】
比較例1−1
市販のポリイミド薄膜 (Kanake NPI)を、黒鉛化加熱炉内の滑らかなグラファイトペーパー同士の間隔に入れた。チャンバーを窒素によりパージして、真空にし、ポリイミド薄膜中の微量の水気を除去した。その後、チャンバーを、10℃/分の加熱速度で500℃に加熱し、500℃で半時間放置し、さらに6℃/分の加熱速度で1200℃に加熱し、1200℃で半時間放置して、ポリイミド薄膜を炭化した。その後、チャンバーを0.8kg/cm
2 のアルゴンでパージし、8℃/分の加熱速度で2800℃の黒鉛化温度まで加熱し、2800℃で 2時間放置することで、炭化された薄膜を黒鉛化し、冷却して、グラファイトシートを得た。グラファイトシートの特性が表2に示される。
【0051】
比較例1−2
比較例1−2は比較例1−1に類似し、異なる点は、比較例1−2は、黒鉛化温度が2400℃であることである。グラファイトシートの特性は表2に示され、グラファイトシートのSEM (x50,000)が
図3に示される。グラファイトシートの断面が、ブロック構造から積層微細構造に転移される。積層微細構造は全く密ではなく、まだ、部分的に非連続のブロック構造がある。
【0052】
比較例1−3
比較例1−3は比較例1−1に類似し、異なる点は、比較例1−3は、黒鉛化温度が2200℃であることである。グラファイトシートの特性が表2に示される。
【0053】
比較例1−4
比較例1−4は比較例1−1に類似し、異なる点は、比較例1−4は、黒鉛化温度が1800℃であることである。グラファイトシートの特性が表2に示され、グラファイトシートのSEM (x50,000)が
図1に示される。グラファイトシートの断面は、ブロック、および、非連続構造である。
【0054】
表1と表2との間の比較からわかるように、実施例1−1から1−4のポリイミド薄膜は、比較例1−1から1−4の市販のポリイミド薄膜より、低係数の熱膨張、高い剛性、高い均一性の分子配列を有する。実施例1−1から1−4のグラファイトシートは、同じ黒鉛化温度下で、比較例1−1から1−4のグラファイトシートと比較して、高い黒鉛化レベルと電気伝導性とを有する。しかし、実施例1−1から1−4のグラファイトシートの電気伝導性は、2600℃より低い黒鉛化温度下で、明らかに減少する。
【0055】
【表2】
【0056】
比較例2−1
123g の1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン (DMI)を反応ボトルに入れた。1 mole (13.32g)の式2のジアミンをDMIに加え、十分に攪拌、および、溶解した。1.0mole (13.68g)の式3の二無水物を、室温で、ジアミン溶液に加え、反応物を6時間攪拌して、固形分18wt%のポリアミド酸溶液を得た。ポリアミド酸溶液を脱気して、適当な厚さのブレードにより、離型フィルムが塗布されたガラスキャリア上に均一にコートした。ガラスキャリア上のコーティングを熱風循環炉に入れて、80℃ で30分ベイクし、大部分の溶媒を除去して、ゲルフィルムを形成した。ゲルフィルムを離型フィルムから取り外し、二軸ストレッチャーにおいて、熱風循環炉に入れてベイクした。ゲルフィルムを、1.6℃/分の加熱速度で230℃まで加熱し、230℃で半時間放置することで余剰の溶媒を除去して、その後、1℃/分の加熱速度で350℃まで加熱し、350℃で半時間放置することで、ポリアミド酸を脱水させて、ポリイミドを形成したが、壊れて、膜が形成できなかった。
【0057】
実施例2−1
123g の 1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン (DMI)を反応ボトルに入れ、0.005 mole のジルコニウム錯体 (式22を参照。M は Zr, R
1 はCH
3, R
2 は CF
3, および n=4)をDMIに溶解させた。続いて、0.3 mole (5.92g)の式1のジアミンと0.7 mole (8.46g)の式2のジアミンとを、ジルコニウム錯体溶液に加え、十分に攪拌、および、溶解した。1.0mole (12.42g)の式3の二無水物を、室温で、ジアミン溶液に加え、反応物を6時間攪拌して、固形分18wt%のポリアミド酸溶液を得た。ポリアミド酸溶液を脱気して、適当な厚さのブレードにより、離型フィルムが塗布されたガラスキャリア上に均一にコートした。ガラスキャリア上のコーティングを熱風循環炉に入れて、80℃で30分をベイクし、大部分の溶媒を除去して、ゲルフィルムを形成した。ゲルフィルムを離型フィルムから取り外し、二軸ストレッチャーに置き、熱風循環炉に入れてベイクした。ゲルフィルムを、加熱速度1.6℃/分で230℃ まで加熱し、230℃で半時間放置することで余剰の溶媒を除去して、その後、加熱速度1℃/分で350℃まで加熱し、350℃で半時間放置することで、ポリアミド酸を脱水させて、ポリイミドを形成し、その後、室温まで冷却して、ポリイミド薄膜を得た。ポリイミド薄膜の特性は表3に示される。ポリイミド薄膜はICP-OESにより測定し、0.070wt% のZr 元素が検出された。
【0058】
ポリイミド薄膜を、黒鉛化加熱炉内の滑らかなグラファイトペーパー同士の間隔に入れた。チャンバーを窒素によりパージして、真空にし、ポリイミド薄膜中の微量の水気を除去した。その後、チャンバーを、加熱速度10℃/分で500℃まで加熱し、500℃ で半時間放置し、その後、加熱速度6℃/分で1200℃まで加熱し、1200℃で半時間放置後することで、ポリイミド薄膜を炭化した。チャンバーを0.8kg/cm
2 のアルゴンでパージし、加熱速度8℃/分で黒鉛化温度2800℃まで加熱し、2800℃で2時間放置することで、炭化された薄膜を黒鉛化し、冷却して、グラファイトシートを得た。グラファイトシートの特性が表3に示される。
【0059】
実施例2−2
実施例2−2は実施例2−1に類似し、異なる点は、実施例2−2では、ジルコニウム錯体を、0.005 mole (0.1g)のニッケル錯体 (式22を参照。MはNi, R
1 はCH
3, R
2 は CF
3,および n=4)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例2−1と類似する。グラファイトシートの特性は表3に示される。
【0060】
実施例2−3
実施例2−3は実施例2−1に類似し、異なる点は、実施例2−3では、ジルコニウム錯体を、0.005 mole (0.07g)のチタン錯体 (式22を参照。Mは TiO, R
1はCH
3, R
2は CH
3, および n=2)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例2−1と類似する。グラファイトシートの特性は表3に示される。
【0061】
実施例2−4
実施例2−4は実施例2−1に類似し、異なる点は、実施例2−4では、ジルコニウム錯体を 0.005 mole (0.15g)の鉄錯体 (式22を参照。Mは Fe, R
1 はCH
3, R
2はCF
3,およびn=3)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例2−1と類似する。グラファイトシートの特性は表3に示される。
【0062】
【表3】
【0063】
実施例3−1
実施例3−1は実施例2−1に類似し、異なる点は、実施例3−1では、黒鉛化温度が2400℃であることである。グラファイトシートの特性は表4に示され、グラファイトシートのSEM (x50,000)は
図4に示される。グラファイトシートの断面は
図3でさらに明らかである。
図3と
図4との比較からわかるように、金属錯体は、確かに、黒鉛化を触媒する。
【0064】
実施例3−2
実施例3−2は実施例3−1に類似し、異なる点は、実施例3−2では、ジルコニウム錯体を、0.005 mole (0.1g)のニッケル錯体(式22を参照。MはNi, R
1 はCH
3, R
2はCF
3, およびn=4)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例3−1と類似する。グラファイトシートの特性は表4に示される。
【0065】
実施例3−3
実施例3−3は実施例3−1に類似し、異なる点は、実施例3−3では、ジルコニウム錯体を0.005 mole (0.07g)のチタン錯体 (式22を参照。MはTiO, R
1はCH
3, R
2 はCH
3,およびn=2)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例3−1と類似する。グラファイトシートの特性は表4に示される。
【0066】
実施例3−4
実施例3−4は実施例3−1に類似し、異なる点は、実施例3−4では、ジルコニウム錯体を0.005 mole (0.15g) の鉄錯体 (式22を参照。M は Fe, R
1 は CH
3, R
2は CF
3, および n=3)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例3−1と類似する。グラファイトシートの特性は表4に示される。
【0067】
【表4】
【0068】
実施例4−1
実施例4−1は実施例2−1に類似し、異なる点は、実施例4−1では、黒鉛化温度は2200℃である。グラファイトシートの特性は、表5に示される。
【0069】
実施例4−2
実施例4−2は実施例4−1に類似し、異なる点は、実施例4−2では、ジルコニウム錯体を0.005 mole (0.1g)のニッケル錯体 (式22を参照。M は Ni, R
1 は CH
3, R
2 は CF
3, および n=4)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例4−1と類似する。グラファイトシートの特性は、表5に示される。
【0070】
実施例4−3
実施例4−3は実施例4−1に類似し、異なる点は、実施例4−3では、ジルコニウム錯体を0.005 mole (0.07g)のチタン錯体 (式22を参照。M は TiO, R
1 は CH
3, R
2 は CH
3, および n=2)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例4−1と類似する。グラファイトシートの特性は、表5に示される。
【0071】
実施例4−4
実施例4−4は実施例4−1に類似し、異なる点は、実施例4−4では、ジルコニウム錯体を0.005 mole (0.15g)の鉄錯体(式22を参照。M は Fe, R
1 は CH
3, R
2 は CF
3, および n=3)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例4−1と類似する。グラファイトシートの特性は、表5に示される。
【0072】
【表5】
【0073】
実施例5−1
実施例5−1は実施例2−1に類似し、異なる点は、実施例5−1では、黒鉛化温度は1800℃である。グラファイトシートの特性は表6に示され、グラファイトシートのSEM (x50,000)は
図2に示される。グラファイトシートの断面は、積層微細構造を有する。
図1と
図2との間の比較からわかるように、金属錯体は、確かに、黒鉛化を触媒する。
【0074】
実施例5−2
実施例5−2は実施例5−1に類似し、異なる点は、実施例5−2では、ジルコニウム錯体を0.005 mole (0.1g)のニッケル錯体(式22を参照。M は Ni, R
1 は CH
3, R
2 は CF
3, および n=4)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例5−1と類似する。グラファイトシートの特性は表6に示される。
【0075】
実施例5−3
実施例5−3は実施例5−1に類似し、異なる点は、実施例5−3では、ジルコニウム錯体を0.005 mole (0.07g)のチタン錯体 (式22を参照。M は TiO, R
1 は CH
3, R
2 は CH
3, および n=2)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例5−1と類似する。グラファイトシートの特性は表6に示される。
【0076】
実施例5−4
実施例5−4は実施例5−1に類似し、異なる点は、実施例5−4では、ジルコニウム錯体を0.005 mole (0.15g)の鉄錯体(式22を参照。M は Fe, R
1 は CH
3, R
2 は CF
3, および n=3)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例5−1と類似する。グラファイトシートの特性は表6に示される。
【0077】
【表6】
【0078】
表3および表6に示されるように、式22の金属錯体は、明らかに、黒鉛化温度を低下させる。特に、黒鉛化温度が2600℃より低い時、表4中の2400℃で黒鉛化されるグラファイトシート電気伝導性は、表1および表2中の2400℃で黒鉛化されるグラファイトシート (金属錯体なし)の電気伝導性より明らかに高い。
【0079】
実施例6−1
実施例6−1は実施例2−1に類似し、異なるのは、実施例6−1では、ポリイミド薄膜厚さは50μmに増加し、ジルコニウム錯体用量は 0.005mole (0.2g)、および、黒鉛化温度は2400℃であることである。グラファイトシートの特性は表7に示される。
【0080】
実施例6−2
実施例6−2は実施例6−1に類似し、異なる点は、実施例6−2では、ジルコニウム錯体を0.007 mole (0.15g)のニッケル錯体(式22を参照。M は Ni, R
1 は CH
3, R
2 は CF
3, および n=4)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例6−1と類似する。グラファイトシートの特性は表7に示される。
【0081】
実施例6−3
実施例6−3は実施例6−1に類似し、異なる点は、実施例6−3では、ジルコニウム錯体を0.01 mole (0.15g)のチタン錯体に置換したことである(式22を参照。M は TiO, R
1 は CH
3, R
2 は CH
3,および n=2)。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例6−1と類似する。グラファイトシートの特性は表7に示される。
【0082】
実施例6−4
実施例6−4は実施例6−1に類似し、異なる点は、実施例6−4では、ジルコニウム錯体を0.005 mole (0.15g)の鉄錯体 (式22を参照。M は Fe, R
1 は CH
3, R
2 は CF
3, および n=3)に置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例6−1と類似する。グラファイトシートの特性は表7に示される。
【0083】
【表7】
【0084】
実施例7−1
実施例7−1は実施例2−1に類似し、異なるのは、実施例7−1では、ポリイミド薄膜厚さが75μmに増加し、ジルコニウム錯体用量は 0.02mole (0.78g)、および、黒鉛化温度は 2400℃であることである。グラファイトシートの特性は表8に示される。
【0085】
実施例7−2
実施例7−2は実施例7−1に類似し、異なる点は、実施例7−2では、ポリイミド薄膜厚さが125μmに増加し、ジルコニウム錯体用量は0.026mole (1.01g)であることである。グラファイトシートの特性は表8に示される。
【0086】
【表8】
【0087】
上述の実施例と比較例に示されるように、ポリイミド薄膜中の金属錯体は、黒鉛化温度を低下させ、グラファイトシートの電気伝導性を増加する。
【0088】
実施例8−1
実施例8−1は実施例1−1に類似し、異なるのは、実施例8−1では、ジアミンを0.6 mole (11.01g)の式1のジアミン、0.3 mole (3.37g)の式2のジアミン、および、 0.1 mole (1.06g)の式10のジアミンに置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例1−1と類似する。グラファイトシートの特性は表9に示される。
【0089】
実施例8−2
実施例8−2は実施例1−1に類似し、異なるのは、実施例8−2は、ジアミンを、0.1 mole (2.09g)の式1のジアミン、0.6 mole (7.69g)の式2のジアミン、および、0.3 mole (4.06g)の式13のジアミンに置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例1−1と類似する。グラファイトシートの特性は表9に示される。
【0090】
実施例8−3
実施例8−3は実施例1−1に類似し、 異なるのは、実施例8−3では、ジアミンを、0.1 mole (2.27g)の式1のジアミン、0.6 mole (8.34g)の式2のジアミン、および、0.3 mole (2.12g)の式21のジアミンに置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例1−1と類似する。グラファイトシートの特性は表9に示される。
【0091】
実施例8−4
実施例8−4は実施例1−1に類似し、異なるのは、実施例8−4 では、ジアミンを、0.1 mole (2.39g)の式1のジアミン、0.3 mole 4.4g) の式2のジアミン、0.5 mole (3.74g)の式21のジアミン、および、0.1 mole (1.38g)の式10のジアミンに置換したことである。ポリイミド薄膜の製造方法および黒鉛化方法は実施例1−1と類似する。グラファイトシートの特性は表9に示される。
【0092】
【表9】
【0093】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。