特開2015-94188(P2015-94188A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-94188(P2015-94188A)
(43)【公開日】2015年5月18日
(54)【発明の名称】杭打機
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20150421BHJP
【FI】
   E02D3/12 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-235608(P2013-235608)
(22)【出願日】2013年11月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 庸公
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AB05
2D040BA08
2D040BB01
2D040BD05
2D040CA01
2D040CB03
(57)【要約】
【課題】杭打機に設けられているシリンダを操作することによってカウンタウエイトなどをベースマシンの後部に自力で着脱することができる杭打機を提供する。
【解決手段】ベースマシン12の前部にリーダ20を起伏可能に備えるともに、後部に搭載用架台13を備えた杭打機11において、ベースマシンの前部にベースマシン左右方向に揺動可能に設けられたリーダサポート17と、該リーダサポートをベースマシン左右方向に揺動させる揺動シリンダと、リーダサポートにベースマシン前後方向に起伏可能に設けられたサブリーダ18と、サブリーダとリーダサポートとの間に設けられたリーダ起伏シリンダ21と、サブリーダの長手方向にスライド可能に設けられたメインリーダ19と、サブリーダに対してメインリーダをスライドさせるリーダスライドシリンダ36と、メインリーダの上端部に設けられた吊り金具25とを備えている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンの前部にリーダを起伏可能に備えるともに、前記ベースマシンの後部に搭載用架台を備えた杭打機において、前記ベースマシンの前部にベースマシン左右方向に揺動可能に設けられたリーダサポートと、該リーダサポートをベースマシン左右方向に揺動させる揺動シリンダと、前記リーダサポートにベースマシン前後方向に起伏可能に設けられたサブリーダと、前記リーダサポートに基部が取り付けられたリーダ起伏シリンダと、前記サブリーダの長手方向にスライド可能に設けられたメインリーダと、サブリーダに対してメインリーダをスライドさせるリーダスライドシリンダと、前記メインリーダの上端部に設けられた吊り金具とを備えていることを特徴とする杭打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機に関し、詳しくは、ベースマシンの後部にカウンタウエイトや油圧ユニット、発電ユニットを搭載した小型の杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
ベースマシンの後部に、カウンタウエイトや油圧ユニット、発電ユニットを搭載した杭打機が知られている。通常、これらのカウンタウエイトや各種ユニットは、クレーンや油圧ショベルを利用して搭載するようにしている。また、大型の杭打機に設けられているAフレームを利用してカウンタウエイトを吊り上げたり(例えば、特許文献1参照。)、油圧ユニットの下部に走行装置を設け、ベースマシンの後部に設けた架台に自走させたりすることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特に、小型の杭打機では、ベースマシンの後部に油圧ユニットを搭載した状態でリーダを後方に倒すと、油圧ユニットとリーダとが干渉し、リーダを倒した輸送状態にすることができず、杭打機を輸送する際には、油圧ユニットをベースマシンの後部から取り外さなければならないものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−149498号公報
【特許文献2】特開2000−319878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、小型の杭打機しか入れないような狭い場所では、クレーンや油圧ショベルを利用することが困難なことがあり、また、小型の杭打機ではAフレームが設けられておらず、油圧ユニットなどが走行装置を備えていても、走行させるスペースが十分に取れないなどの問題があった。
【0005】
そこで本発明は、クレーンや油圧ショベルを利用することなく、杭打機に設けられているシリンダを操作することによってカウンタウエイトなどをベースマシンの後部に自力で着脱することができる杭打機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機は、ベースマシンの前部にリーダを起伏可能に備えるともに、前記ベースマシンの後部に搭載用架台を備えた杭打機において、前記ベースマシンの前部にベースマシン左右方向に揺動可能に設けられたリーダサポートと、該リーダサポートをベースマシン左右方向に揺動させる揺動シリンダと、前記リーダサポートにベースマシン前後方向に起伏可能に設けられたサブリーダと、前記リーダサポートに基部が取り付けられたリーダ起伏シリンダと、前記サブリーダの長手方向にスライド可能に設けられたメインリーダと、サブリーダに対してメインリーダをスライドさせるリーダスライドシリンダと、前記メインリーダの上端部に設けられた吊り金具とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の杭打機によれば、揺動シリンダ、リーダ起伏シリンダ及びリーダスライドシリンダを操作することにより、メインリーダの上端部に設けた吊り金具の位置を調節することができるので、カウンタウエイトや油圧ユニット、発電ユニットなどの搭載物をワイヤロープなどを介して吊り金具で吊り上げることができる。これにより、クレーンや油圧ショベルなどを使用することなく、ベースマシン後部の搭載用架台にカウンタウエイトなどの搭載物を自力で着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の杭打機の一形態例を示す作業状態の側面図である。
図2】同じく杭打機の要部を示す正面図である。
図3】搭載用架台に油圧ユニットを搭載する際の準備段階を示す側面図である。
図4】油圧ユニットを吊り上げる段階を示す側面図である。
図5】油圧ユニットを吊り上げた段階を示す側面図である。
図6】油圧ユニットの左右方向の位置調整を行っている段階を示す杭打機の背面図である。
図7】搭載用架台に油圧ユニットを搭載した段階を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1乃至図7は、本発明の杭打機の一形態例を示すもので、図3乃至図7は、小型の杭打機11におけるベースマシン12の後部に設けた搭載用架台13に油圧ユニット14を搭載する手順の一例を示している。
【0010】
まず、図1及び図2において、杭打機11は、クローラを備えた下部走行体15の上に、旋回ベアリングを介して上部旋回体16を旋回可能に設けたベースマシン12と、上部旋回体16の前部に設けたリーダサポート17を介して起伏可能に装着されたサブリーダ18及び該サブリーダ18の前面にスライド可能に設けられたメインリーダ19を組み合わせたリーダ20と、前記サブリーダ18をリーダサポート17の後部から起伏可能に支持するリーダ起伏シリンダ21と、前記メインリーダ19の前面側に設けれた左右一対のガイドパイプ22にガイドされて昇降するオーガドライブなどの作業装置23と、メインリーダ19の前面側下部に設けられた下部振止24と、メインリーダ19の後面側上部に設けられた吊り金具25と、上部旋回体16の後部に張り出した状態で設けられた前記搭載用架台13と、上部旋回体16の前後左右の4箇所にそれぞれ設けられたフロントジャッキ26及びリアジャッキ27と、上部旋回体16の上に設けられた運転席28とを備えている。
【0011】
リーダサポート17及び運転席28は、上部旋回体16の幅方向中心に対してリーダサポート17を右側に配置するとともに運転席28を左側に配置し、杭打機11を輸送する際に、リーダ20を後方に倒して上部旋回体16の上に沿った輸送状態にできるようにしている。
【0012】
リーダサポート17は、上部旋回体16の幅方向中心側下部が、軸線を上部旋回体16の前後方向に向けて配置された揺動軸29によって左右方向に揺動可能に設けられており、リーダサポート17の右側面下部から側方に突設されたシリンダ連結ブラケット30の先端部には、リーダサポート17と上部旋回体16との間に設けられた揺動シリンダ31の先端が取り付けられている。リーダサポート17は、揺動シリンダ31を伸縮させることにより、前記揺動軸29を中心にしてリーダ起伏シリンダ21と共に左右方向に揺動するように形成されている。
【0013】
リーダサポート17の前部側上部には、軸線を左右方向に向けて配置されたリーダ取付軸32を介して前記サブリーダ18の下端部から突出した下部ブラケット33が回動可能に取り付けられており、リーダサポート17の後部側上部には、前記リーダ起伏シリンダ21の基部が取り付けられている。リーダ20は、リーダ起伏シリンダ21を伸長させることによって起立した作業状態となり、リーダ起伏シリンダ21を短縮させることによって倒伏した輸送状態になるように形成されている。
【0014】
サブリーダ18とメインリーダ19とは、サブリーダ18の前面側上下2箇所にそれぞれ設けられたガイド部材34と、メインリーダ19の後部側長手方向に設けられたガイドレール35とを摺動可能に連結することにより、サブリーダ18の長手方向にメインリーダ19がスライド可能な状態に組み付けられている。サブリーダ18には、サブリーダ18に対してメインリーダ19をスライドさせるためのリーダスライドシリンダ36の基部が取り付けられており、リーダスライドシリンダ36のロッド先端はメインリーダ19の先端部に取り付けられている。メインリーダ19は、リーダスライドシリンダ36を伸長させることによってサブリーダ18の上方に向かってスライドし、リーダスライドシリンダ36を短縮させることによってサブリーダ18の下方に向かってスライドするように形成されている。
【0015】
また、サブリーダ18の後面上部には、ホースガイド37が設けられており、作業装置23に接続される油圧ホース38などが掛け回されている。さらに、メインリーダ19には、チェーン39を介して作業装置23をメインリーダ19に沿って昇降させる昇降装置40が設けられている。
【0016】
このように形成した杭打機11を使用して杭打ち作業(地盤改良作業)を行う際には、作業開始状態において、リーダスライドシリンダ36を伸長させてメインリーダ19をサブリーダ18の上方にスライドさせ、中空ロッド41の中間部を把持した作業装置23をメインリーダ19の最上部に上昇させた状態とする。中空ロッド41の下端部には、掘削刃42と撹拌羽根43とを備えた掘削ヘッド44を装着するとともに、中空ロッド41の上端部には、回り止めロッド45で保持されたスイベルジョイント(図示せず)に、地盤改良剤注入ホース46を接続する。
【0017】
この作業開始状態から、地盤改良剤注入ホース46から地盤改良剤(セメントミルク)を注入し、作業装置23によって中空ロッド41を回転させながら、作業装置23をメインリーダ19の下方に移動させるとともに、メインリーダ19をサブリーダ18の下方にスライドさせ、作業途中で、作業装置23による中空ロッド41の把持位置を中空ロッド41の上部側に切り替え、掘削刃42で掘削した土砂と注入された地盤改良剤とを撹拌羽根43で撹拌混合する。所定深度まで掘削ヘッド44を下降させた後、逆の手順で掘削ヘッド44を引上げることにより、1回の作業が終了する。この作業を行うことにより、地中に土砂と地盤改良剤とが混合して固化した杭が形成される。
【0018】
次に、図3乃至図7を参照しながら、油圧ユニット14を搭載用架台13に搭載する手順を説明する。まず、杭打機11は、リーダ起伏シリンダ21を短縮させてリーダ20を後方に倒伏させた輸送状態で、下部走行体15を操作して油圧ユニット14の前方の適当な位置に杭打機11を停止させる(図3参照)。次に、リーダ起伏シリンダ21を伸長させてリーダ20を所定角度まで起立させ、リーダスライドシリンダ36をストロークエンド付近まで伸長させてメインリーダ19を後方に突出させる。
【0019】
そして、メインリーダ19のスライド位置や起立角度、揺動状態を調節して吊り金具25を油圧ユニット14の重心上方に位置させ、吊り金具25と油圧ユニット14とを所定長さの吊り上げ用のワイヤロープ47で連結する。さらに、リアジャッキ27を作動させて上部旋回体16の後部側を安定させてから、リーダ起伏シリンダ21を伸長させてリーダ20を所定角度まで起立させる(図4参照)。
【0020】
次に、リーダ起伏シリンダ21を伸長させて油圧ユニット14を所定高さに吊り上げた状態になる所定角度までリーダ20を起立させる(図5参照)。そして、揺動シリンダ31を操作し、リーダサポート17を介してリーダ20を左右に揺動させることにより、油圧ユニット14の左右方向の位置合わせを行う(図6参照)。最後に、リーダスライドシリンダ36を縮めることにより、メインリーダ19を下方へ移動させ、油圧ユニット14を搭載用架台13の上に所定の状態で搭載する。
【0021】
このように、クレーンや油圧ショベルを利用することなく、杭打機11の各シリンダを操作することにより、油圧ユニット14をはじめとしてカウンタウエイトや発電ユニットなどの各種搭載物を搭載用架台13の上に搭載することができる。また、逆の手順で操作することにより、油圧ユニット14などを搭載用架台13の上から取り外すことができ、各種搭載物を搭載用架台13の上に自力で着脱することができる。
【0022】
なお、本発明は、小型の杭打機に特に適したものであるが、中型の杭打機にも適用可能であり、搭載用架台に搭載する物品は任意である。
【符号の説明】
【0023】
11…杭打機、12…ベースマシン、13…搭載用架台、14…油圧ユニット、15…下部走行体、16…上部旋回体、17…リーダサポート、18…サブリーダ、19…メインリーダ、20…リーダ、21…リーダ起伏シリンダ、22…ガイドパイプ、23…作業装置、24…下部振止、25…吊り金具、26…フロントジャッキ、27…リアジャッキ、28…運転席、29…揺動軸、30…シリンダ連結ブラケット、31…揺動シリンダ、32…リーダ取付軸、33…下部ブラケット、34…ガイド部材、35…ガイドレール、36…リーダスライドシリンダ、37…ホースガイド、38…油圧ホース、39…チェーン、40…昇降装置、41…中空ロッド、42…掘削刃、43…撹拌羽根、44…掘削ヘッド、45…回り止めロッド、46…地盤改良剤注入ホース、47…ワイヤロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7