(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-94594(P2015-94594A)
(43)【公開日】2015年5月18日
(54)【発明の名称】VOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定するための判定用組成物、及びVOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 31/22 20060101AFI20150421BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20150421BHJP
B01D 53/02 20060101ALI20150421BHJP
G01N 21/77 20060101ALI20150421BHJP
【FI】
G01N31/22 122
B01J20/22 A
B01D53/02 Z
G01N21/77 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-232084(P2013-232084)
(22)【出願日】2013年11月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501072016
【氏名又は名称】オー・ジー長瀬カラーケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】恋田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】高島 耕冶
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 貴彦
【テーマコード(参考)】
2G042
2G054
4D012
4G066
【Fターム(参考)】
2G042AA03
2G042CA10
2G042CB06
2G042DA02
2G042DA08
2G042DA10
2G042FA11
2G042HA07
2G054AA01
2G054BB06
2G054CA30
2G054CE01
2G054EA06
2G054GB04
4D012BA01
4D012CA10
4D012CA11
4D012CE02
4D012CF10
4D012CG01
4D012CG03
4D012CG04
4G066AB05D
4G066AB06D
4G066AB10D
4G066AB12D
4G066AB13B
4G066AB13D
4G066AC02C
4G066AC23C
4G066BA03
4G066BA38
4G066BA41
4G066CA04
4G066CA52
4G066DA03
(57)【要約】
【課題】容易にVOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定することができる判定用組成物を提供すること。また、VOC対策材のアルデヒド吸着活性を容易に判定するための方法を提供すること。
【解決手段】スルホン酸基を有する染料又はその塩を含有する、基材及び該基材に付着したアルデヒドキャッチャー剤を有するVOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定するための判定用組成物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホン酸基を有する染料又はその塩を含有する、基材及び該基材に付着したアルデヒドキャッチャー剤を有するVOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定するための判定用組成物。
【請求項2】
前記アルデヒドキャッチャー剤が、アミノ基を有するアルデヒド吸着物質を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記染料が、酸性染料、酸性含金染料、反応染料、直接染料、分散染料、媒染染料、酸性媒染染料、及び建染染料からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記基材が、樹脂部材、木質部材及び不織布からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記VOC対策材が、自動車用内装材である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
VOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定する方法であって、
基材及び該基材に付着したアルデヒドキャッチャー剤を有するVOC対策材に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物を接触させる工程と、
前記VOC対策材の染着の有無又は染着量を確認する工程と、
を備える、方法。
【請求項7】
前記VOC対策材に前記組成物を接触させる工程の後に、前記VOC対策材を水洗する工程をさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の方法により、基材及び該基材に付着したアルデヒドキャッチャー剤を有するVOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定することを含む、VOC対策材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定するための判定用組成物、及びVOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車室内で使用される木質ボード、ウレタンモールド等の各種基材は、VOC(Volatile Organic Compounds)13物質の一種であるアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等を発生させることがある。これらの化学物質は、シックハウス症候群のもっとも大きな原因とされており、自動車等の内装材においても、VOCを低減する動きとして(社)自動車工学会によるVOC排出抑制の自主的取り組みが始まっている。その取り組みの一つとして、アルデヒドキャッチャー剤をクッションパッド等に塗布することが行われている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−100173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、アルデヒドキャッチャー剤を上記基材に付着させてVOC対策材とし、これを自動車メーカーに納入する際、当該アルデヒドキャッチャー剤が効果を発現し、VOCを吸着するか否かを確認することはこれまで実質的に行われていなかった。また、輸送工程や納入先の作業環境下で、VOC対策材が実際にVOC吸着活性を有するか否かを容易に確認する方法がなかった。
【0005】
そこで、本発明は、VOC対策材のアルデヒド吸着活性を容易に判定することを可能にする組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、VOC対策材のアルデヒド吸着活性を容易に判定することが可能な方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、アルデヒド吸着活性を判定することを含む、VOC対策材の製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の染料を指示薬として使用することで、アルデヒド吸着活性の有無を目視等により判定できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、スルホン酸基を有する染料又はその塩を含有する、基材及び該基材に付着したアルデヒドキャッチャー剤を有するVOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定するための判定用組成物に関する。
【0008】
上記組成物を使用することによって、実際に基材がアルデヒドキャッチャー剤で加工されているか否か、或いはアルデヒドキャッチャー剤の活性が保持されているか否かを容易に確認することができる。さらに、上記活性に比例して染着量が増加することから、アルデヒドキャッチャー剤の付着量や活性の有無の管理等も効率的に行うことができる。
【0009】
上記アルデヒドキャッチャー剤は、アミノ基を有するアルデヒド吸着物質を含有することが好ましい。
【0010】
これにより、アルデヒドキャッチャー剤におけるアルデヒド吸着物質のアミノ基と、染料のスルホン酸基がイオン結合し、不溶性の物質に変化することで基材の表層に固定され、基材への染着量がより増大するものと本発明者らは推察する。
【0011】
上記染料は、酸性染料、酸性含金染料、反応染料、直接染料、分散染料、媒染染料、酸性媒染染料、及び建染染料からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0012】
上記基材は、樹脂部材、木質部材及び不織布からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。樹脂部材としては、ウレタンモールド等のウレタン成形体又はウレタン発泡体、プラスチック部材、フィルム部材等が含まれ、不織布としては、反毛フェルト等のフェルト等が含まれる。その他、ニット、織物、紙等であってもよい。また、本発明の趣旨によれば、このようなVOC対策材は、シート部材、木質ボード等の自動車用内装材であることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、VOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定するための方法にも関する。本発明に係る方法は、基材及び該基材に付着したアルデヒドキャッチャー剤を有するVOC対策材に、上記組成物を接触させる工程と、VOC対策材の染着の有無又は染着量を確認する工程と、を備える。
【0014】
本発明の方法を採用することによって、実際にVOC対策材がアルデヒドキャッチャー剤で加工されているか否か、或いはアルデヒドキャッチャー剤の活性が保持されているか否かを容易に確認することができる。さらに、上記活性に比例して染着量が増加することから、アルデヒドキャッチャー剤の付着量や活性の有無の管理等も効率的に行うことができる。
【0015】
本発明の方法は、VOC対策材に組成物を接触させる工程の後に、VOC対策材を水洗する工程をさらに備えることが好ましい。
【0016】
本発明の方法がVOC対策材を水洗する工程をさらに備えることにより、染着量の判定をより正確に行うことができる。
【0017】
さらに、本発明は、上記方法により、基材及び該基材に付着したアルデヒドキャッチャー剤を有するVOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定することを含む、VOC対策材の製造方法に関する。
【0018】
本発明の製造方法によって得られたVOC対策材は、実際にアルデヒド吸着活性の有無や活性の程度が判定されていることから、商品の管理等を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、実際に基材がアルデヒドキャッチャー剤で加工されているか否か、或いはアルデヒドキャッチャー剤の活性が保持されているか否かを目視で容易に確認することができる。さらに、上記活性に比例して染着量が増加することから、アルデヒドキャッチャー剤の付着量や活性の有無の管理等も効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】アルデヒドキャッチャー剤の塗布量とK/S値との関係を示す図である。
【
図2】スルホン酸基を有する染料及びスルホン酸基を有しない染料を用いた場合の基材の呈色を示す図である(水洗前)。
【
図3】スルホン酸基を有する染料及びスルホン酸基を有しない染料を用いた場合の基材の呈色を示す図である(水洗後)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0022】
本実施形態に係る判定用組成物は、染料と、該染料が溶解した水と、必要により他の成分とを含有する。
【0023】
染料は、一般にその性質及び染色法から酸性染料、酸性含金染料、反応染料、直接染料、分散染料、媒染染料、酸性媒染染料、又は建染染料などに分類される。本実施形態に係る染料は、スルホン酸基を有する染料又はその塩であれば特に限定されるものではない。染料は、フェニル基等のアリール基と、アリール基に結合したスルホン酸基とを有していることが好ましい。
【0024】
このような染料の具体例としては、これらに限定されるものではないが、例えば、
CI Direct Blue 86(分子量約768):
【化1】
Acid Orange 56(分子量約727):
【化2】
Acid Green 28(分子量約739):
【化3】
Acid Green 27(分子量約707):
【化4】
及び、Acid Green 25(分子量約623):
【化5】
からなる群より選ばれる少なくとも1種の染料が好適である。
【0025】
染料の分子量は、好ましくは700以上である。染料の分子量が大きいと、アルデヒドキャッチャー剤の活性を反映してより鮮明な呈色を示すことができる傾向がある。分子量の上限値には特に制限はなく、当業者によって適宜選択され得る。
【0026】
判定用組成物における染料の濃度は、染色方法、目的等に応じて、当業者によって適宜設定され得る。染料の濃度は、例えば、1〜5g/Lの範囲内であることが好ましい。
【0027】
判定用組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、その他の染料成分、各種助剤等の他の成分を含有していてもよい。他の成分の例としては、ポリエチレングリコール等の乾燥防止剤、pH調整剤、防腐剤等が挙げられる。これらの他の成分の含有量は特に限定されず、目的に応じて、適宜設定され得る。
【0028】
このような染料を含有する組成物を用いることによって、実際に基材がアルデヒドキャッチャー剤で加工されているか否か、或いはアルデヒドキャッチャー剤の活性が保持されているか否かを目視によって容易に確認することができる。以下に、アルデヒドキャッチャー剤が付着したVOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定する方法、及び該方法によりアルデヒド吸着活性を判定することを含むVOC対策材の製造方法について説明する。
【0029】
本実施形態に係るVOC対策材のアルデヒド吸着活性を判定する方法は、VOC対策材に上記実施形態に係る組成物を接触させる工程と、VOC対策材の染着の有無又は染着量を確認する工程とをこの順に備える。
【0030】
VOC対策材は、基材にアルデヒドキャッチャー剤を付着させて製造することができる。
【0031】
アルデヒドキャッチャー剤は、主にアセトアルデヒドやホルムアルデヒド等のアルデヒド分子をキャッチすることができるアルデヒド吸着物質を含有する。アルデヒド吸着物質は、例えばアミノ基を有する。アミノ基を有するアルデヒド吸着物質によるアルデヒド分子の吸着機構は以下の反応式に示されるとおりである。
【化6】
【0032】
アミノ基を有するアルデヒド吸着物質の場合、アルデヒド吸着物質のアミノ基と、染料のスルホン酸基がイオン結合し、染料が不溶性の物質に変化することで基材の表層に固定され、その結果、基材への染着量がより増大するものと考えられる。
【0033】
アミノ基を有するアルデヒド吸着物質を含有するアルデヒドキャッチャー剤としては、例えば、シリカ粒子等の多孔性物質と、当該多孔性物質の表面上に設けられたアミノ基とを有するものが挙げられる。また、アミノ基を有するアルデヒド吸着物質を含有するアルデヒドキャッチャー剤としては、キラクルAL−07(日華化学(株)製、商品名)、及びリケンレジン FC−100(三木理研工業(株)製、商品名)等の市販品を挙げることができる。
【0034】
VOC対策材に用いられる基材は、特に限定されるものではないが、自動車用内装材に用いられる基材であることが好ましい。基材は、例えば、樹脂部材、木質部材及び不織布からなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。このような基材の具体例としては、ボランスPET3層不織布(東洋紡(株)製、商品名)が挙げられる。
【0035】
基材の大きさ、厚み、寸法等は特に限定されない。また基材には、目的に応じて当該分野で一般に利用される各種添加剤が付与又は含有されていてもよい。
【0036】
アルデヒドキャッチャー剤を基材へ付着させる方法としては、例えば特許文献1に記載されているように公知の手法を用いることができる。
【0037】
VOC対策材に判定用組成物を接触させる工程には、当該技術分野において通常使用される染色手法が採用され得る。例えば、判定用組成物をVOC対策材に対して滴下してもよい。接触させる組成物の使用量は、当該技術分野において通常用いられる量であれば必ずしも限定されず適宜変更が可能である。なお、その後のVOC対策材の染着の有無又は染着量を確認する工程における正確性の観点から、組成物の基材への接触の後は、必要に応じ当業者に周知の手段を用いて水洗を行うことが好ましい。
【0038】
VOC対策材の染着の有無又は染着量を確認する方法としては、目視による確認方法や、染着量の指標となるK/S値を測定する方法等が挙げられる。ここで、K/S値とは、次式で定義される表面色濃度の指数であり、K/S値は、値が高いほど色濃度は高くなり、値が低いほど色濃度は低くなる。K/S値等を指標として染着量を定量的に評価することで、アルデヒド吸着物質の吸着量又は吸着活性を定量的に判定することが可能である。K/S値は、当該技術分野において通常用いられる測定装置を用いて、測定することができる。
【数1】
(K:光の吸収係数、S:光の散乱係数、R:表面反射率)
【0039】
上記方法によりアルデヒド吸着活性を判定した後、VOC対策材を自動車内装材等の各用途に使用することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0041】
VOC対策材の原料となる基材として、ボランスPET3層不織布(東洋紡(株)製)又はPETトロピカル織布(オージー長瀬カラーケミカル(株)製)を使用した。アルデヒドキャッチャー剤としては、以下のものを用いた。
キラクル(kirakulu)AL−07(日華化学(株)製):表面にアミノ基を有するアルデヒド吸着物質
リケンレジン FC−100(三木理研工業(株)製):末端にアミノ基を有する有機物の複合体
【0042】
<キラクルAL−07をアルデヒドキャッチャー剤として用いたVOC対策材の判定試験>
(実施例1)
キラクルAL−07を0.5g/m
2でボランス不織布(10cm×10cm)に塗布して、VOC対策材を準備した。このVOC対策材に対して、判定用組成物として濃度5g/LのCI Direct Blue 86(Kayarus Turquoise Blue GL、日本化薬(株)製)水溶液を2mL滴下後、常温で3分間放置した。その後、VOC対策材を水洗すると、きわめて鮮明なブルー色が残った。
【0043】
これは、アルデヒドキャッチャー剤におけるアルデヒド吸着物質のアミノ基と染料のスルホン酸基との反応物が不織布繊維の表層に固定化したためと考えられる。この結果から、VOC対策材が、アルデヒドキャッチャー剤によるアルデヒド吸着活性を有すると判定できた。
【0044】
(実施例2)
用いる染料をCI Direct Blue 86から、Acid Orange 56(Kayanol Milling Orange O、日本化薬(株)製)に替えて、実施例1と同様の方法によって試験した結果、VOC対策材にきわめて鮮明なオレンジ色が残った。この結果から、VOC対策材がアルデヒド吸着活性を有すると判定できた。
【0045】
(実施例3)
用いる染料をCI Direct Blue 86から、Acid Green 28(Kayanol Milling Green 5GW)に替えて、実施例1と同様の方法によって試験した結果、VOC対策材に鮮明なグリーン色が残った。この結果から、VOC対策材がアルデヒド吸着活性を有すると判定できた。
【0046】
(実施例4)
用いる染料をCI Direct Blue 86から、Acid Green 27(Kayanol Milling Green GW)に替えて、実施例1と同様の方法によって試験した結果、VOC対策材に鮮明なグリーン色が残った。この結果から、VOC対策材がアルデヒド吸着活性を有すると判定できた。
【0047】
(実施例5)
用いる染料をCI Direct Blue 86から、Acid Green 25(Kayanol Cyanine Green G)に替えて、実施例1と同様の方法によって試験した結果、VOC対策材にグリーン色が残った。この結果から、VOC対策材がアルデヒド吸着活性を有すると判定できた。
【0048】
<他のアルデヒドキャッチャー剤を用いた再現性試験>
(実施例6)
アルデヒドキャッチャー剤をキラクルAL−07からリケンレジン FC−100に替えて実施例1と同様の方法によって試験したところ、VOC対策材にきわめて鮮明なブルー色が残った。この結果から、他のアルデヒドキャッチャー剤が塗布されたVOC対策材であっても、そのアルデヒド吸着活性の有無を判定でき、判定用組成物による方法が汎用性を有することがわかった。
【0049】
<キラクルAL−07の塗布量と染着濃度との関連性試験>
(実施例7)
ボランス不織布(10cm×10cm)に、キラクルAL−07をそれぞれ、0g/m
2、0.01g/m
2、0.05g/m
2、0.10g/m
2、0.50g/m
2、2.00g/m
2、及び4.00g/m
2の塗布量で塗布して、VOC対策材を準備した。それぞれのVOC対策材に対して、5g/LのCI Direct Blue 86水溶液(判定用組成物)を2mL滴下後、常温で3分間放置した。その後、各VOC対策材を水洗し、呈色部分のK/S値を測定した。
【0050】
アルデヒドキャッチャー剤の塗布量とK/S値の関係を
図1に示す。
図1の結果から、アルデヒドキャッチャー剤の塗布量に比例してK/S値が上昇することが確認され、アルデヒドキャッチャー剤の塗布量を定量的に測定することが可能であることがわかった。
【0051】
<アルデヒドキャッチャー剤未処理の基材を用いた比較試験>
(比較例1)
アルデヒドキャッチャー剤処理を施していない不織布に対し、実施例1及び2において用いた各染料を滴下し、実施例1と同様の方法によって試験した結果、染料の固着は全く見られず、不織布の呈色も確認できなかった。
【0052】
<スルホン酸基の有無に関する比較試験>
キラクルAL−07を2g/m
2でPETトロピカル織布に塗布して、VOC対策材を準備した。このVOC対策材に対して、判定用組成物として濃度5g/LのCI Direct Blue 86水溶液及びスルホン酸基を有しない染料を含有する組成物として濃度5g/LのCI Basic Blue 41(Kayacyl Blue GRL、分子量約419、日本化薬(株)製、化学構造を以下に示す。)水溶液をそれぞれ0.5mLずつ滴下後、常温で5分間放置した。その後、VOC対策材を水洗すると、CI Direct Blue 86についてはきわめて鮮明なブルー色が残ったのに対し、CI Basic Blue 41については染料の固着は全く見られず、基材の呈色も確認できなかった。
図2に、それぞれの染料を塗布した場合の水洗前の基材の呈色を、
図3に、水洗後の基材の呈色をそれぞれ示す。
【化7】