【解決手段】入力される仕訳データに含まれる借方データと、総勘定科目データとに基づいて、第1〜第3テーブルを作成し、入力される仕訳データに含まれる貸方データと、総勘定科目データとに基づいて、第4〜第6テーブルを作成する。第1、第3、第5テーブルから第1会計区分の借方レコードと第2会計区分の借方レコードを抽出し、第2、第4、第6テーブルから第1会計区分の貸方レコードと第2会計区分の貸方レコードを抽出する。
第1会計区分の仕訳データとして入力される取引のうちの指定された一部金額を、コンピュータに以下のステップを実行させることによって第2会計区分に移行する方法であって、
入力される前記仕訳データは、
複数の借方レコードを有し、各借方レコードにつき、借方科目と、借方金額と、当該借方金額を前記第2会計区分に移すか前記第1会計区分に残すかを示す借方会計区分と、が対応付けられた借方データと、
複数の貸方レコードを有し、各貸方レコードにつき、貸方科目と、貸方金額と、当該貸方金額を前記第2会計区分に移すか前記第1会計区分に残すかを示す貸方会計区分と、が対応付けられた貸方データと、を含み、
前記コンピュータは、前記第1会計区分の総勘定科目と、前記第2会計区分の総勘定科目と、を含む総勘定科目データを記憶した記憶手段を参照可能であり、
前記コンピュータが実行するステップは、
(B) 第1〜第6テーブルを作成するテーブル作成ステップであって、
(B1)前記複数の借方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記借方会計区分を記憶する第1フィールドと、
前記借方科目を記憶する第2フィールドと、
前記借方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記借方データに基づいて作成される第1テーブル、
(B2)前記複数の借方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記借方会計区分を記憶する第4フィールドと、
前記第1会計区分の前記総勘定科目を指定する第5フィールドと、
前記借方金額を記憶する第6フィールドと、を含み、
前記借方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第2テーブル、
(B3)前記複数の借方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記第1会計区分を指定する第1フィールドと、
前記借方会計区分の前記総勘定科目を記憶する第2フィールドと、
前記借方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記借方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第3テーブル、
(B4)前記複数の貸方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記貸方会計区分を記憶する第4フィールドと、
前記貸方科目を記憶する第5フィールドと、
前記貸方金額を記憶する第6フィールドと、を含み、
前記貸方データに基づいて作成される第4テーブル、
(B5)前記複数の貸方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記貸方会計区分を記憶する第1フィールドと、
前記第1会計区分の前記総勘定科目を指定する第2フィールドと、
前記貸方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記貸方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第5テーブル、及び、
(B6)前記複数の貸方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記第1会計区分を指定する第1フィールドと、
前記貸方会計区分の前記総勘定科目を記憶する第2フィールドと、
前記貸方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記貸方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第6テーブル
を作成する前記テーブル作成ステップと、
(C) 前記第1会計区分に残すレコードと前記第2会計区分に移すレコードとを抽出するレコード抽出ステップであって、
(C1)前記第1、第3、第5テーブルから、
前記第1フィールドのデータが前記第1会計区分であり、且つ
前記第2フィールドのデータが前記第1会計区分の前記総勘定科目以外である
レコードを、前記第1会計区分に残す借方レコードとして抽出し、
(C2)前記第2、第4、第6テーブルから、
前記第4フィールドのデータが前記第1会計区分であり、且つ
前記第5フィールドのデータが前記第1会計区分の前記総勘定科目以外である
レコードを、前記第1会計区分に残す貸方レコードとして抽出し、
(C3)前記第1、第3、第5テーブルから、
前記第1フィールドのデータが前記第2会計区分である
レコードを、前記第2会計区分に移す借方レコードとして抽出し、
(C4)前記第2、第4、第6テーブルから、
前記第4フィールドのデータが前記第2会計区分である
レコードを、前記第2会計区分に移す貸方レコードとして抽出する、
前記レコード抽出ステップと、
を具備する方法。
第1会計区分の仕訳データとして入力される取引のうちの指定された一部金額を、コンピュータに以下のステップを実行させることによって第2会計区分に移行するプログラムであって、
入力される前記仕訳データは、
複数の借方レコードを有し、各借方レコードにつき、借方科目と、借方金額と、当該借方金額を前記第2会計区分に移すか前記第1会計区分に残すかを示す借方会計区分と、が対応付けられた借方データと、
複数の貸方レコードを有し、各貸方レコードにつき、貸方科目と、貸方金額と、当該貸方金額を前記第2会計区分に移すか前記第1会計区分に残すかを示す貸方会計区分と、が対応付けられた貸方データと、を含み、
前記コンピュータは、前記第1会計区分の総勘定科目と、前記第2会計区分の総勘定科目と、を含む総勘定科目データを記憶した記憶手段を参照可能であり、
前記コンピュータが実行するステップは、
(B) 第1〜第6テーブルを作成するテーブル作成ステップであって、
(B1)前記複数の借方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記借方会計区分を記憶する第1フィールドと、
前記借方科目を記憶する第2フィールドと、
前記借方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記借方データに基づいて作成される第1テーブル、
(B2)前記複数の借方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記借方会計区分を記憶する第4フィールドと、
前記第1会計区分の前記総勘定科目を指定する第5フィールドと、
前記借方金額を記憶する第6フィールドと、を含み、
前記借方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第2テーブル、
(B3)前記複数の借方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記第1会計区分を指定する第1フィールドと、
前記借方会計区分の前記総勘定科目を記憶する第2フィールドと、
前記借方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記借方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第3テーブル、
(B4)前記複数の貸方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記貸方会計区分を記憶する第4フィールドと、
前記貸方科目を記憶する第5フィールドと、
前記貸方金額を記憶する第6フィールドと、を含み、
前記貸方データに基づいて作成される第4テーブル、
(B5)前記複数の貸方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記貸方会計区分を記憶する第1フィールドと、
前記第1会計区分の前記総勘定科目を指定する第2フィールドと、
前記貸方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記貸方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第5テーブル、及び、
(B6)前記複数の貸方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記第1会計区分を指定する第1フィールドと、
前記貸方会計区分の前記総勘定科目を記憶する第2フィールドと、
前記貸方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記貸方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第6テーブル
を作成する前記テーブル作成ステップと、
(C) 前記第1会計区分に残すレコードと前記第2会計区分に移すレコードとを抽出するレコード抽出ステップであって、
(C1)前記第1、第3、第5テーブルから、
前記第1フィールドのデータが前記第1会計区分であり、且つ
前記第2フィールドのデータが前記第1会計区分の前記総勘定科目以外である
レコードを、前記第1会計区分に残す借方レコードとして抽出し、
(C2)前記第2、第4、第6テーブルから、
前記第4フィールドのデータが前記第1会計区分であり、且つ
前記第5フィールドのデータが前記第1会計区分の前記総勘定科目以外である
レコードを、前記第1会計区分に残す貸方レコードとして抽出し、
(C3)前記第1、第3、第5テーブルから、
前記第1フィールドのデータが前記第2会計区分である
レコードを、前記第2会計区分に移す借方レコードとして抽出し、
(C4)前記第2、第4、第6テーブルから、
前記第4フィールドのデータが前記第2会計区分である
レコードを、前記第2会計区分に移す貸方レコードとして抽出する、
前記レコード抽出ステップと、
を具備するプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、1つの会計区分に入力された仕訳データから、指定された一部金額を別の会計区分に移行することにより、複数の会計区分による分割管理を可能とする装置、方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る装置は、
第1会計区分の仕訳データとして入力される取引のうちの指定された一部金額を第2会計区分に移行する装置であって、
入力される前記仕訳データは、
複数の借方レコードを有し、各借方レコードにつき、借方科目と、借方金額と、当該借方金額を前記第2会計区分に移すか前記第1会計区分に残すかを示す借方会計区分と、が対応付けられた借方データと、
複数の貸方レコードを有し、各貸方レコードにつき、貸方科目と、貸方金額と、当該貸方金額を前記第2会計区分に移すか前記第1会計区分に残すかを示す貸方会計区分と、が対応付けられた貸方データと、を含み、
(A) 前記第1会計区分の総勘定科目と、前記第2会計区分の総勘定科目と、を含む総勘定科目データを記憶した記憶手段と、
(B) 第1〜第6テーブルを作成するテーブル作成手段であって、
(B1)前記複数の借方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記借方会計区分を記憶する第1フィールドと、
前記借方科目を記憶する第2フィールドと、
前記借方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記借方データに基づいて作成される第1テーブル、
(B2)前記複数の借方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記借方会計区分を記憶する第4フィールドと、
前記第1会計区分の前記総勘定科目を指定する第5フィールドと、
前記借方金額を記憶する第6フィールドと、を含み、
前記借方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第2テーブル、
(B3)前記複数の借方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記第1会計区分を指定する第1フィールドと、
前記借方会計区分の前記総勘定科目を記憶する第2フィールドと、
前記借方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記借方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第3テーブル、
(B4)前記複数の貸方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記貸方会計区分を記憶する第4フィールドと、
前記貸方科目を記憶する第5フィールドと、
前記貸方金額を記憶する第6フィールドと、を含み、
前記貸方データに基づいて作成される第4テーブル、
(B5)前記複数の貸方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記貸方会計区分を記憶する第1フィールドと、
前記第1会計区分の前記総勘定科目を指定する第2フィールドと、
前記貸方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記貸方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第5テーブル、及び、
(B6)前記複数の貸方レコードに対応する複数のレコードを有し、各レコードにつき、
前記第1会計区分を指定する第1フィールドと、
前記貸方会計区分の前記総勘定科目を記憶する第2フィールドと、
前記貸方金額を記憶する第3フィールドと、を含み、
前記貸方データ及び前記総勘定科目データに基づいて作成される第6テーブル
を作成する前記テーブル作成手段と、
(C) 前記第1会計区分に残すレコードと前記第2会計区分に移すレコードとを抽出するレコード抽出手段であって、
(C1)前記第1、第3、第5テーブルから、
前記第1フィールドのデータが前記第1会計区分であり、且つ
前記第2フィールドのデータが前記第1会計区分の前記総勘定科目以外である
レコードを、前記第1会計区分に残す借方レコードとして抽出し、
(C2)前記第2、第4、第6テーブルから、
前記第4フィールドのデータが前記第1会計区分であり、且つ
前記第5フィールドのデータが前記第1会計区分の前記総勘定科目以外である
レコードを、前記第1会計区分に残す貸方レコードとして抽出し、
(C3)前記第1、第3、第5テーブルから、
前記第1フィールドのデータが前記第2会計区分である
レコードを、前記第2会計区分に移す借方レコードとして抽出し、
(C4)前記第2、第4、第6テーブルから、
前記第4フィールドのデータが前記第2会計区分である
レコードを、前記第2会計区分に移す貸方レコードとして抽出する、
前記レコード抽出手段と、
を具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記観点によれば、1つの会計区分に仕訳データが入力された場合に、指定された一部金額を別の会計区分に移行することにより、複数の会計区分による分割管理が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る会計区分移行装置について、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0010】
<1.装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る会計区分移行装置の機能ブロック図である。会計区分移行装置1は、仕訳データ入力部11と、テーブル作成部13と、レコード抽出部14と、仕訳データ出力部15と、各種の記憶媒体と、を含むコンピュータ装置である。
【0011】
会計区分移行装置1は、仕訳データ入力部11によって入力され記憶媒体に記憶された仕訳データ21と、予め記憶媒体に記憶された総勘定科目データ22とに基づいて、後述の会計区分移行処理を行う。会計区分移行処理の結果は、第1会計区分の仕訳データ23と、第2会計区分の仕訳データ24との区別が明確化された仕訳データとして出力され、記憶媒体に記憶される。
【0012】
仕訳データ入力部11は、キーボード又はマウスなどの入力装置として実現される。あるいは、仕訳データ入力部11は、外部機器から送信される仕訳データを受信して会計区分移行装置1に取り込むように構成された通信装置として実現されてもよい。
【0013】
テーブル作成部13、レコード抽出部14、仕訳データ出力部15の各機能は、CPUなどのプロセッサーが、記憶媒体に記憶されたプログラムをロードして実行することにより、実現される。
【0014】
ここでは、会計区分移行装置1の各構成は、1つのコンピュータ装置内に含まれるものとして説明するが、これらの構成が別個のコンピュータ装置に分散し、それらのコンピュータ装置の組合せによって会計区分移行装置1が実現されても良い。
【0015】
<2.動作の概要>
図2は、
図1に示された会計区分移行装置1の動作手順を示すフローチャートである。以下の動作は、借方と貸方との金額が一致した仕訳データが入力される毎に、その都度実行されてもよいし、ある程度まとめて(1日分、1ヶ月分、あるいはユーザの指示により)実行されてもよい。
【0016】
まず、会計区分移行装置1は、仕訳データ入力部11により、仕訳データの入力を受付けて、入力された仕訳データ21を記憶媒体に記憶させる(S1)。詳細は後述するが、入力された仕訳データ21は、借方データと貸方データとを含む。
次に、会計区分移行装置1は、記憶媒体から総勘定科目データ22を読み込む(S2)。
【0017】
次に、会計区分移行装置1は、テーブル作成部13により、入力された仕訳データ21及び総勘定科目データ22を用いて第1〜第6テーブルを作成する(S3)。詳細は後述するが、テーブル作成部13は、借方データに基づいて第1〜第3テーブルを作成し、貸方データに基づいて第4〜第6テーブルを作成する。
【0018】
次に、会計区分移行装置1は、レコード抽出部14により、第1〜第6テーブルからレコードを抽出する(S4)。詳細は後述するが、レコード抽出部14は、第1、第3、第5テーブルに基づいて、第1会計区分及び第2会計区分の借方レコードを抽出する。また、レコード抽出部14は、第2、第4、第6テーブルに基づいて、第1会計区分及び第2会計区分の貸方レコードを抽出する。
【0019】
次に、会計区分移行装置1は、仕訳データ出力部15により、第1会計区分の仕訳データ23と、第2会計区分の仕訳データ24とを出力する(S5)。第1会計区分の仕訳データ23は、レコード抽出部14により抽出された第1会計区分の借方レコード及び貸方レコードを含む。第2会計区分の仕訳データ24は、レコード抽出部14により抽出された第2会計区分の借方レコード及び貸方レコードを含む。出力された仕訳データは、例えば記憶媒体に記憶される。
【0020】
<3.仕訳について>
会計区分移行装置1の処理についてより詳細に説明する前に、「仕訳」の基本的なルールについて説明しておく。複式簿記においては、「資産」「負債」「費用」「収益」等に分類される「勘定科目」を用いて、借方(左側)と貸方(右側)とに同じ金額を記入する「仕訳」という手法により、取引を記録する。
【0021】
<3−1.勘定科目>
勘定科目とは、次に例示するような、表示金額の名目を表す科目のことである。
【0022】
「現金」「預金」「未収金」「前払金」は、いずれも「資産」に分類される勘定科目である。「資産」に分類される勘定科目は、決算書類(貸借対照表)においては借方(左側)に記述される。
【0023】
「未払金」「前受金」は、いずれも「負債」に分類される勘定科目である。「負債」に分類される勘定科目は、決算書類(貸借対照表)においては貸方(右側)に記述される。
【0024】
「清掃費」、「建物診断費」は、いずれも「費用」に分類される勘定科目である。「費用」に分類される勘定科目は、決算書類(損益計算書)においては借方(左側)に記述される。
【0025】
「管理費収入」、「修繕積立金収入」は、いずれも「収益」に分類される勘定科目である。「収益」に分類される勘定科目は、決算書類(損益計算書)においては貸方(右側)に記述される。なお、公益法人会計基準では、損益計算書の代わりに「正味財産増減計算書」が作成されるが、考え方はほぼ同様である。
【0026】
<3−2.仕訳帳への記録>
仕訳においては、以上説明した勘定科目を用いて、仕訳帳に取引を記録する。
この仕訳には、決算書類(貸借対照表又は損益計算書)において記述される位置(借方又は貸方)にその勘定科目があれば、その勘定科目の金額の増加(発生)を表し、反対側にあればその勘定科目の金額の減少を表す、というルールがある。
【0027】
例えば、マンション管理組合の会計担当理事が、清掃費30,000円及び建物診断費100,000円の合計130,000円を、マンション管理組合の預金口座からまとめて業者に支払ったとする。すると、仕訳は次の[1]及び[2]のようになる(以下において便宜的に、仕訳帳の各行に行番号[1][2][3]…を付すとともに、借方と貸方との間に記号「/」を付す。左側が借方、右側が貸方である。)。
【0028】
[1]2013年10月1日 清掃費:30,000/預金:130,000
【0029】
[2]2013年10月1日 建物診断費:100,000/ (空欄)
【0030】
上述のように、「清掃費」及び「建物診断費」(いずれも費用に分類される)は損益計算書の借方(左側)に記載され、「預金」(資産に分類される)は貸借対照表の借方(左側)に記載される。従って、上記[1]及び[2]は、清掃費30,000円及び建物診断費100,000円の増加(発生)と、預金130,000円の減少を表す。
【0031】
また、例えば、マンション管理組合の預金口座に、組合員から管理費15,000円及び修繕積立金10,000円の合計25,000円の入金があったとする。すると、仕訳は次の[3]及び[4]のようになる。
【0032】
[3]2013年10月1日 預金:25,000/管理費収入:15,000
【0033】
[4]2013年10月1日 (空欄) /修繕積立金収入:10,000
【0034】
上述のように、「預金」(資産に分類される)は貸借対照表の借方(左側)に記載され、「管理費収入」及び「修繕積立金収入」(いずれも収益に分類される)は損益計算書の貸方(右側)に記載される。従って、上記[3]及び[4]は、預金25,000円の増加と、管理費収入15,000円及び修繕積立金収入10,000円の増加(発生)を表す。
以上のようにして取引を記録するのが、仕訳である。
【0035】
<4.処理の詳細>
次に、
図3〜
図7を用いて、会計区分移行装置1の処理について詳細に説明する。
図3は、入力された仕訳データ21、及び総勘定科目データ22を、概念的に示す。
【0036】
<4−1.入力された仕訳データ>
入力された仕訳データ21は、複数の借方レコードを有する借方データと、複数の貸方レコードを有する貸方データとを含む。複数の借方レコードに含まれる各借方レコードにおいては、「借方科目」と、「借方金額」と、「借方会計区分」とが対応付けられている。複数の貸方レコードに含まれる各貸方レコードにおいては、「貸方科目」と、「貸方金額」と、「貸方会計区分」とが対応付けられている。1つの借方レコードと1つの貸方レコードとで、上述の仕訳帳における各行のデータが構成される。ここでは便宜的に借方レコードと貸方レコードとを別のレコードとして説明するが、仕訳帳の1つの行に相当する借方レコード及び貸方レコードの組合せが、1つのレコードとして記憶されていてもよい。
【0037】
借方科目及び貸方科目としては、上述の勘定科目が入力される。借方金額及び貸方金額は、それぞれの科目に対応する金額である。なお、上述したように、仕訳においては、借方金額の合計X1+X2と、貸方金額の合計Y1+Y2とは一致していなければならない。仮に一致していない場合には、別途のプログラムによりエラーメッセージが出力される。
【0038】
借方会計区分は、当該借方レコードのデータを第2会計区分に移すか第1会計区分に残すかを示す。貸方会計区分は、当該貸方レコードのデータを第2会計区分に移すか第1会計区分に残すかを示す。この例において、入力された仕訳データ21は、ひとまず第1会計区分の仕訳データとして入力されている。そこで、第1会計区分(=入力会計区分)に残すレコードについては、借方会計区分や貸方会計区分の入力を省略できることとしてもよい。
【0039】
<4−2.総勘定科目データ>
総勘定科目データ22は、会計区分毎に、当該会計区分の総勘定科目を対応付けたマスターデータである。例えば、第1会計区分の総勘定科目を「第1勘定」とし、第2会計区分の総勘定科目を「第2勘定」とする。第1〜第6テーブルを作成する処理において、この総勘定科目データ22が参照される。入力される仕訳データに第3会計区分のレコードがある場合には、第3会計区分の総勘定科目を設定しておけば、本実施形態の処理により、第3会計区分に移すデータも生成できる。
【0040】
<4−3.第1〜第3、第7テーブルの作成規則>
図4は、第1〜第8テーブルの作成規則を示す。
第1〜第3テーブルは、入力された仕訳データ21に含まれる上述の借方データに基づいて作成される。第1〜第3テーブルの各々は、上述の借方データに含まれる複数の借方レコードに対応する複数のレコードを有する。
【0041】
第1テーブルは、各レコードにつき、「借方会計区分」を記憶する第1フィールドF1と、「借方科目」を記憶する第2フィールドF2と、「借方金額」を記憶する第3フィールドF3と、を含む。「借方会計区分」としては、各借方レコードにおける借方会計区分に従い、「第1会計区分」又は「第2会計区分」が記憶されることになる。
【0042】
第2テーブルは、各レコードにつき、「借方会計区分」を記憶する第4フィールドF4と、「入力会計区分の総勘定科目」を記憶する第5フィールドF5と、「借方金額」を記憶する第6フィールドF6と、を含む。「入力会計区分の総勘定科目」としては、第1会計区分の総勘定科目である「第1勘定」が指定されることになる。
【0043】
第3テーブルは、各レコードにつき、「入力会計区分」を記憶する第1フィールドF1と、「借方会計区分の総勘定科目」を記憶する第2フィールドF2と、「借方金額」を記憶する第3フィールドF3と、を含む。「入力会計区分」としては、「第1会計区分」が指定されることになる。「借方会計区分の総勘定科目」としては、各借方レコードにおける借方会計区分に従い、総勘定科目データ22によって特定される「第1勘定」又は「第2勘定」が記憶されることになる。
【0044】
第1〜第6テーブルの他に、借方データに基づく第7テーブルが作成されてもよい。
第7テーブルは、各レコードにつき、「入力会計区分」を記憶する第4フィールドF4と、「入力会計区分の総勘定科目」を記憶する第5フィールドF5と、「借方金額」を記憶する第6フィールドF6と、を含む。
【0045】
<4−4.第4〜第6、第8テーブルの作成規則>
第4〜第6テーブルは、入力された仕訳データ21に含まれる上述の貸方データに基づいて作成される。第4〜第6テーブルの各々は、上述の貸方データに含まれる複数の貸方レコードに対応する複数のレコードを有する。
【0046】
第4テーブルは、各レコードにつき、「貸方会計区分」を記憶する第4フィールドF4と、「貸方科目」を記憶する第5フィールドF5と、「貸方金額」を記憶する第6フィールドF6と、を含む。「貸方会計区分」としては、各貸方レコードにおける貸方会計区分に従い、「第1会計区分」又は「第2会計区分」が記憶されることになる。
【0047】
第5テーブルは、各レコードにつき、「貸方会計区分」を記憶する第1フィールドF1と、「入力会計区分の総勘定科目」を記憶する第2フィールドF2と、「貸方金額」を記憶する第3フィールドF3と、を含む。
【0048】
第6テーブルは、各レコードにつき、「入力会計区分」を記憶する第4フィールドF4と、「貸方会計区分の総勘定科目」を記憶する第5フィールドF5と、「貸方金額」を記憶する第6フィールドF6と、を含む。「貸方会計区分の総勘定科目」としては、各貸方レコードにおける貸方会計区分に従い、総勘定科目データ22によって特定される「第1勘定」又は「第2勘定」が記憶されることになる。
【0049】
第1〜第7テーブルの他に、貸方データに基づく第8テーブルが作成されてもよい。
第8テーブルは、各レコードにつき、「入力会計区分」を記憶する第1フィールドF1と、「入力会計区分の総勘定科目」を記憶する第2フィールドF2と、「貸方金額」を記憶する第3フィールドF3と、を含む。
【0050】
<4−5.作成される第1〜第8テーブル>
図5は、テーブル作成部13によって作成される第1〜第8テーブルを概念的に示す。
第1〜第8テーブルは、
図4に示された作成規則に従って作成される。これらのうち、第1テーブルは、入力された仕訳データ21に含まれる上述の借方データに基づいて作成される。第2、第3(及び第7)テーブルは、上述の借方データと、総勘定科目データ22とに基づいて作成される。第4テーブルは、入力された仕訳データ21に含まれる上述の貸方データに基づいて作成される。第5、第6(及び第8)テーブルは、上述の貸方データと、総勘定科目データ22とに基づいて作成される。
【0051】
なお、ここでは説明をわかり易くするために第1〜第8テーブルに分けた場合について説明したが、第1〜第8テーブルのうちの2つ又はそれ以上のデータと同等のデータが、1つのテーブルにまとめられた状態で作成されてもよい。
【0052】
<4−6.データの除去>
図6は、レコード抽出部14によるレコード抽出の第1段階として、第1〜第8テーブルからデータの一部を除去した状態を概念的に示す。
【0053】
レコード抽出部14は、第1フィールドF1又は第4フィールドF4に記憶されたデータが「第1会計区分」であり、且つ、第2フィールドF2又は第5フィールドF5に記憶されたデータが「第1勘定」であるレコードを、すべて除去する。
図6には、除去されるデータが二重線で示されている。
【0054】
なお、
図6に示されるように、第7テーブルに含まれるレコードと第8テーブルに含まれるレコードは、すべて除去されることになる。従って、第7テーブル及び第8テーブルは、作成しなくても本発明の目的を達成可能である。但し、上述の
図5において第7テーブルを一旦作成しておくことにより、第3テーブルの第3フィールドF3の金額と第7テーブルの第6フィールドF6の金額とが一致することを確認できるというメリットがある。第8テーブルについても同様である。
【0055】
<4−7.第1会計区分に残すレコードと第2会計区分に移すレコード>
図7は、レコード抽出部14によるレコード抽出の第2段階として、第1〜第6テーブルから第1会計区分に残すレコードと第2会計区分に移すレコードとを抽出した状態を概念的に示す。
【0056】
第1フィールドF1又は第4フィールドF4に記憶されたデータが「第1会計区分」であるレコードは、第1会計区分に残される。但し、上述の
図6において除去されたデータは除かれる。一方、第1フィールドF1又は第4フィールドF4に記憶されたデータが「第2会計区分」であるレコードは、第2会計区分に移される。
【0057】
このとき、第1、第3、第5テーブルから抽出されるレコードを借方レコードとし、第2、第4、第6テーブルから抽出されるレコードを貸方レコードとする。
なお、上述の処理において、
図6のように一部のレコードを除去してから
図7のように各会計区分のレコードを抽出する2段階の処理について説明したが、本発明はこれに限られない。各会計区分のレコードを抽出するときに、不要なレコードを抽出しないようにすれば、1段階の処理でよい。
【0058】
抽出されたレコードは、仕訳データ出力部15によって出力される。第1会計区分に残されるレコードと、第2会計区分に移されるレコードとは、別々の帳簿データとして出力されてもよいし、会計区分が識別できる状態で1つの帳簿内に収められた状態で出力されてもよい。抽出されたレコードが、日付順などの所定の基準でソートされてもよい。
【0059】
以上の処理により、入力された仕訳データ21から、第1会計区分の仕訳データ23と第2会計区分の仕訳データ24とを作成することができる。
図7において、第1会計区分に残されるレコードの借方金額の合計X1+X2と、貸方金額の合計Y1+Y2とは一致している(
図3参照)。また、
図7において、第2会計区分に移されるレコードの借方金額の合計X2+Y2と、貸方金額の合計X2+Y2とは一致している(計算式から自明)。
【0060】
以上の処理によれば、1つの会計区分に入力された仕訳データにおいて、第1会計区分に関する取引金額と第2会計区分に関する取引金額とが混在する場合に、指定された一部金額を別の会計区分に移行することができる。これにより、仕訳入力の作業負担を軽減することができる。
【0061】
<5.第1の具体例>
次に、
図8〜
図12を用いて、第1の具体例について説明する。第1の具体例は、マンション管理組合の会計において、「管理費」に属する費用と「修繕積立金」に属する費用とが発生し、これらの費用を1つの預金口座からまとめて支払った例である。
図8は、第1の具体例における、入力された仕訳データ21、及び総勘定科目データ22を示す。
【0062】
<5−1.入力された仕訳データ>
入力された仕訳データ21は、上述の[1]及び[2]の仕訳と同様の取引を記録したものである。
【0063】
入力された仕訳データ21の形式は、
図3と同様である。但し、
図8において、各借方レコードにおいては、「借方科目」と、「借方金額」と、「借方会計区分」と、の他に、新たに「補助科目」と「摘要」とが対応付けられている。各貸方レコードにおいては、「貸方科目」と、「貸方金額」と、「貸方会計区分」と、の他に、新たに「補助科目」と「摘要」とが対応付けられている。
【0064】
補助科目は、特定の勘定科目の内訳となる科目である。例えば、「清掃費」という勘定科目に、「廊下清掃」や「窓清掃」などの補助科目を設定することができる。この補助科目を併せて記帳しておけば、年次決算などにおいて、年間費用の内訳として「清掃費」の金額を把握できるだけでなく、さらに細かい内訳として「廊下清掃」の金額や「窓清掃」の金額を把握できる。
【0065】
摘要は、具体的な取引内容などを簡単に記載するための項目である。仕訳データに記録された取引の内容は、勘定科目や補助科目から大まかには推測できるが、具体的にどんな取引だったのか(取引相手、自社担当者、品番など)をより具体的に記載できるようにしたものである。摘要は、1つの借方レコードと1つの貸方レコードとで共通の内容でよい。
【0066】
図8において、入力された仕訳データ21は、ひとまず「管理費会計」という会計区分の仕訳データとして入力されている。すなわち、
図8における入力会計区分は、「管理費会計」である。但し、借方会計区分及び貸方会計区分の欄においては「管理費会計」の入力は省略されている。借方会計区分及び貸方会計区分の欄においては、入力会計区分と異なる会計区分の場合のみ「修繕積立金会計」などの会計区分が入力されている。
【0067】
<5−2.総勘定科目データ>
総勘定科目データ22の形式は、
図3と同様である。但し、
図8においては、総勘定科目データ22において「補助科目」を設定できるようになっている。
図8においては、会計区分毎に、「管理費会計」の総勘定科目として「管理費勘定」が設定され、「修繕積立金会計」の総勘定科目として「修繕積立勘定」が設定されている。総勘定科目の補助科目は、
図8では空欄となっている。
【0068】
<5−3.第1〜第3、第7テーブルの作成規則>
図9は、第1〜第8テーブルの作成規則を示す。第1〜第8テーブルの作成規則は、以下の点が追加されている他は、
図4と同様である。
【0069】
第1テーブルには、「借方科目の補助科目」を記憶する第7フィールドF7と、「入力区分」を記憶する第8フィールドF8と、「摘要」を記憶する第11フィールドF11と、が追加されている。「入力区分」は、借方データに基づくデータ(入力されたデータなので「画面データ」と呼ぶことにする)か、借方データと総勘定科目データとの両方に基づくデータ(「振替データ」と呼ぶことにする)か、を区別するデータである。第1テーブルにおいて、「入力区分」としては「画面データ」が記憶されることになる。
【0070】
第2テーブルには、「入力会計区分の補助科目」を記憶する第9フィールドF9と、「入力区分」を記憶する第10フィールドF10と、「摘要」を記憶する第11フィールドF11と、が追加されている。「入力会計区分の補助科目」としては、総勘定科目データ22に管理費会計の補助科目が設定されていれば、それが記憶されることになる。また、第2テーブルにおいて、「入力区分」としては「振替データ」が記憶されることになる。
【0071】
第3テーブルには、「借方会計区分の補助科目」を記憶する第7フィールドF7と、「入力区分」を記憶する第8フィールドF8と、「摘要」を記憶する第11フィールドF11と、が追加されている。「借方会計区分の補助科目」としては、総勘定科目データ22に借方会計区分の補助科目が設定されていれば、それが記憶されることになる。また、第3テーブルにおいて、「入力区分」としては「振替データ」が記憶されることになる。
【0072】
第7テーブルには、「入力会計区分の補助科目」を記憶する第9フィールドF9と、「入力区分」を記憶する第10フィールドF10と、「摘要」を記憶する第11フィールドF11と、が追加されている。第7テーブルにおいて、「入力区分」としては「振替データ」が記憶されることになる。なお、第7テーブルがなくてもよい場合があることは上述の通りである。
【0073】
<5−4.第4〜第5、第8テーブルの作成規則>
第4テーブルには、「貸方科目の補助科目」を記憶する第9フィールドF9と、「入力区分」を記憶する第10フィールドF10と、「摘要」を記憶する第11フィールドF11と、が追加されている。第4テーブルにおいて、「入力区分」としては「画面データ」が記憶されることになる。
【0074】
第5テーブルには、「入力会計区分の補助科目」を記憶する第7フィールドF7と、「入力区分」を記憶する第8フィールドF8と、「摘要」を記憶する第11フィールドF11と、が追加されている。第5テーブルにおいて、「入力区分」としては「振替データ」が記憶されることになる。
【0075】
第6テーブルには、「貸方会計区分の補助科目」を記憶する第9フィールドF9と、「入力区分」を記憶する第10フィールドF10と、「摘要」を記憶する第11フィールドF11と、が追加されている。「貸方会計区分の補助科目」としては、総勘定科目データ22に貸方会計区分の補助科目が設定されていれば、それが記憶されることになる。また、第6テーブルにおいて、「入力区分」としては「振替データ」が記憶されることになる。
【0076】
第8テーブルには、「入力会計区分の補助科目」を記憶する第7フィールドF7と、「入力区分」を記憶する第8フィールドF8と、「摘要」を記憶する第11フィールドF11と、が追加されている。第8テーブルにおいて、「入力区分」としては「振替データ」が記憶されることになる。なお、第8テーブルがなくてもよい場合があることは上述の通りである。
【0077】
<5−5.作成される第1〜第8テーブル>
図10は、第1の具体例において、テーブル作成部13によって作成される第1〜第8テーブルを示す。
第1〜第8テーブルは、
図9に示された作成規則に従って作成される。なお、
図8に示される入力された仕訳データ21は、貸方レコードが1つのみであるので、
図10における第4〜第6及び第8テーブルも、それぞれレコードは1つのみである。
【0078】
<5−6.データの除去>
図11は、第1の具体例において、レコード抽出部14が第1〜第8テーブルからデータの一部を除去した状態を示す。
【0079】
図11においては、第1フィールドF1又は第4フィールドF4に記憶されたデータが「管理費会計」であり、且つ、第2フィールドF2又は第5フィールドF5に記憶されたデータが「管理費勘定」であるレコードを、すべて除去する。
図11には、除去されるデータが二重線で示されている。
【0080】
<5−7.第1会計区分に残すレコードと第2会計区分に移すレコード>
図12は、第1の具体例において、レコード抽出部14が第1〜第6テーブルから第1会計区分に残すレコードと第2会計区分に移すレコードとを抽出した状態を示す。
【0081】
第1フィールドF1又は第4フィールドF4に記憶されたデータが「管理費会計」であるレコードは、「管理費」の会計区分に残される。但し、上述の
図11において除去されたデータは除かれる。一方、第1フィールドF1又は第4フィールドF4に記憶されたデータが「修繕積立金会計」であるレコードは、「修繕積立金」の会計区分に移される。
【0082】
このとき、第1、第3、第5テーブルから抽出されるレコードを借方レコードとし、第2、第4、第6テーブルから抽出されるレコードを貸方レコードとする。
【0083】
以上の処理により、入力された仕訳データから、「管理費」の会計区分に残される仕訳データと「修繕積立金」の会計区分に移される仕訳データとを作成することができる。
【0084】
図12において、「管理費」の会計区分に残される仕訳データから、以下のことがわかる。
(1)管理費として、清掃費(廊下清掃)が、30,000円増加(発生)したこと。
(2)管理費会計において管理している預金(P銀行)が、130,000円減少したこと。
(3)本来は修繕積立金会計から支払われるべき金額100,000円を、管理費会計において立替払いしたこと。
【0085】
また、
図12において、「修繕積立金」の会計区分に移される仕訳データから、以下のことがわかる。
(4)修繕積立金の目的に沿った費用として、建物診断費(年次診断)が、100,000円増加(発生)したこと。
(5)本来は修繕積立金会計において支払うべき金額100,000円が、管理費会計から立替払いされたこと。
【0086】
以上のような仕訳によれば、「管理費」会計区分に入力された仕訳データに、「管理費」に関する取引金額と「修繕積立金」に関する取引金額とが混在する場合に、指定された一部金額を「修繕積立金」会計区分に移行することができる。これにより、仕訳入力の作業負担を軽減することができる。そして、「清掃費」は管理費会計に計上され、「建物診断費」は修繕積立金会計に計上されるので、会計区分に応じた適切な分別管理を行うことができる。
【0087】
また、預金から一体的になされた130,000円の支払が、会計区分によってばらばらに(30,000円の支払と100,000円の支払とに分けて)記帳されるのではなく、額面130,000円の支払として記帳されるので、実際の取引を正確に表すことができる。
【0088】
また、「修繕積立勘定」及び「管理費勘定」という総勘定科目を用いて会計区分間の過不足を記録しているので、会計区分間で後日精算することも容易にできる。第1の具体例においては、例えば、修繕積立金会計において管理している預金口座から、管理費会計において管理している預金口座に100,000円送金すれば、会計区分間の過不足が解消することが容易にわかる。
【0089】
<6.第2の具体例>
次に、
図13〜
図16を用いて、第2の具体例について説明する。第2の具体例は、マンション管理組合の会計において、「管理費」に属する収益と「修繕積立金」に属する収益とが発生し、これらの収益が1つの預金口座にまとめて入金された例である。
図13は、第2の具体例における、入力された仕訳データ21、及び総勘定科目データ22を示す。
【0090】
<6−1.入力された仕訳データ>
入力された仕訳データ21は、上述の[3]及び[4]の仕訳と同様の取引を記録したものである。
【0091】
入力された仕訳データ21の形式は、
図3と同様である。但し、
図13において、各借方レコードにおいては、「借方科目」と、「借方金額」と、「借方会計区分」と、の他に、新たに「補助科目」と「摘要」とが対応付けられている。各貸方レコードにおいては、「貸方科目」と、「貸方金額」と、「貸方会計区分」と、の他に、新たに「補助科目」と「摘要」とが対応付けられている。この点については、
図8を参照しながら既に述べたので、詳細な説明を省略する。
【0092】
<6−2.総勘定科目データ>
総勘定科目データ22は、
図8に示されたものと同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0093】
<6−3.第1〜第3、第7テーブルの作成規則>
<6−4.第4〜第5、第8テーブルの作成規則>
第1〜第8テーブルの作成規則は、
図9に示されたものと同一であるので、図示及び詳細な説明を省略する。
【0094】
<6−5.作成される第1〜第8テーブル>
図14は、第2の具体例において、テーブル作成部13によって作成される第1〜第8テーブルを示す。
第1〜第8テーブルは、
図9に示された作成規則に従って作成される。なお、
図13に示される入力された仕訳データ21は、借方レコードが1つのみであるので、
図14における第1〜第3及び第7テーブルも、それぞれレコードは1つのみである。
【0095】
<6−6.データの除去>
図15は、第2の具体例において、レコード抽出部14が第1〜第8テーブルからデータの一部を除去した状態を示す。
【0096】
図15においても、第1フィールドF1又は第4フィールドF4に記憶されたデータが「管理費会計」であり、且つ、第2フィールドF2又は第5フィールドF5に記憶されたデータが「管理費勘定」であるレコードを、すべて除去する。
図15には、除去されるデータが二重線で示されている。
【0097】
<6−7.第1会計区分に残すレコードと第2会計区分に移すレコード>
図16は、第2の具体例において、レコード抽出部14が第1〜第6テーブルから第1会計区分に残すレコードと第2会計区分に移すレコードとを抽出した状態を示す。
【0098】
第1フィールドF1又は第4フィールドF4に記憶されたデータが「管理費会計」であるレコードは、「管理費」の会計区分に残される。但し、上述の
図15において除去されたデータは除かれる。一方、第1フィールドF1又は第4フィールドF4に記憶されたデータが「修繕積立金会計」であるレコードは、「修繕積立金」の会計区分に移される。
【0099】
このとき、第1、第3、第5テーブルから抽出されるレコードを借方レコードとし、第2、第4、第6テーブルから抽出されるレコードを貸方レコードとする。
【0100】
以上の処理により、入力された仕訳データから、「管理費」の会計区分に残される仕訳データと「修繕積立金」の会計区分に移される仕訳データとを作成することができる。
【0101】
図16において、「管理費」の会計区分に残される仕訳データから、以下のことがわかる。
(1)管理費会計において管理している預金(P銀行)が、25,000円増加したこと
(2)管理費としての収益が、15,000円増加(発生)したこと
(3)本来は修繕積立金会計に入金されるべき金額10,000円を、管理費会計において預かっていること
【0102】
また、
図16において、「修繕積立金」の会計区分に移される仕訳データから、以下のことがわかる。
(4)修繕積立金としての収益が、10,000円増加(発生)したこと
(5)本来は修繕積立金会計に入金されるべき金額10,000円が、管理費会計に預けられていること
【0103】
以上のような仕訳によれば、「管理費」会計区分に入力された仕訳データに、「管理費」に関する取引金額と「修繕積立金」に関する取引金額とが混在する場合に、指定された一部金額を「修繕積立金」会計区分に移行することができる。これにより、仕訳入力の作業負担を軽減することができる。そして、「管理費」に関する収益は管理費会計に計上され、「修繕積立金」に関する収益は修繕積立金会計に計上されるので、会計区分に応じた適切な分別管理を行うことができる。
【0104】
また、預金口座に一体的になされた25,000円の入金が、会計区分によってばらばらに(15,000円の入金と10,000円の入金とに分けて)記帳されるのではなく、額面25,000円の入金として記帳されるので、実際の取引を正確に表すことができる。
【0105】
また、「修繕積立勘定」及び「管理費勘定」という総勘定科目を用いて会計区分間の過不足を記録しているので、会計区分間で後日精算することも容易にできる。第2の具体例においては、例えば、修繕積立金会計において管理している預金口座に、管理費会計において管理している預金口座から10,000円送金すれば、会計区分間の過不足が解消することが容易にわかる。