(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-95462(P2015-95462A)
(43)【公開日】2015年5月18日
(54)【発明の名称】動力電池の安全ヘッドカバー
(51)【国際特許分類】
H01M 2/34 20060101AFI20150421BHJP
H01M 2/12 20060101ALI20150421BHJP
H01M 2/06 20060101ALI20150421BHJP
H01M 2/04 20060101ALI20150421BHJP
【FI】
H01M2/34 A
H01M2/12 101
H01M2/06 A
H01M2/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-210800(P2014-210800)
(22)【出願日】2014年10月15日
(31)【優先権主張番号】201320706489.5
(32)【優先日】2013年11月11日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】賀夢江
(72)【発明者】
【氏名】蔡如来
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼平華
(72)【発明者】
【氏名】王鵬
(72)【発明者】
【氏名】李全坤
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC06
5H011DD12
5H011DD13
5H011DD15
5H011EE04
5H011KK01
5H011KK04
5H012AA01
5H012BB02
5H012BB11
5H012DD05
5H012EE04
5H012FF01
5H012GG01
5H012JJ02
5H012JJ10
5H043AA04
5H043AA13
5H043AA15
5H043BA19
5H043CA04
5H043DA05
5H043GA13
5H043HA04D
5H043HA08D
5H043HA11D
5H043HA17D
5H043HA22D
5H043JA04D
5H043JA12D
5H043JA21D
5H043KA06D
5H043KA09D
5H043KA11D
5H043KA22D
5H043KA45D
5H043LA02
5H043LA21D
5H043LA32D
5H043LA33D
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動力電池の安全ヘッドカバーの提供。
【解決手段】第1の電極ポールユニット1、第2の電極ポールユニット7、減圧弁4、液体注入孔3及び安全逆転弁6を備え、第1の電極ポールユニット1がヘッドカバーシート2に電気接続され、第2の電極ポールユニット7がヘッドカバーシート2に絶縁的に配置され、安全逆転弁6がヘッドカバーシート2に電気接続され、ヘッドカバーシート2の上方にショート保護導電性シートが設置され、ショート保護導電性シート5が第2の電極ポールユニット7に電気接続され、ショート保護導電性シート5が安全逆転弁6の上方に位置しており、第1の電極ポールユニット1は、第1の電極ポール本体11並びに第1の電極ポール本体11の周方向に設置されている金属パッド12及び電気抵抗ブロック13を含む動力電池の安全ヘッドカバー。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドカバーシート並びに前記ヘッドカバーシートに設置されている第1の電極ポールユニット、第2の電極ポールユニット、減圧弁、液体注入孔及び安全逆転弁を備え、
前記第1の電極ポールユニットが前記ヘッドカバーシートに電気接続され、前記第2の電極ポールユニットが前記ヘッドカバーシートに絶縁的に配置され、前記安全逆転弁が前記ヘッドカバーシートに電気接続され、前記ヘッドカバーシートの上方にショート保護導電性シートが設置され、前記ショート保護導電性シートが前記第2の電極ポールユニットに電気接続され、前記ショート保護導電性シートが前記安全逆転弁の上方に位置している、動力電池の安全ヘッドカバーであり、
前記第1の電極ポールユニットは、第1の電極ポール本体並びに前記第1の電極ポール本体の周方向に設置されている金属パッド及び電気抵抗ブロックを含み、前記電気抵抗ブロックが前記金属パッドの下方に設置され、前記電気抵抗ブロックは、基材及び前記基材の表面に塗布されているコーティング層を含むことを特徴とする動力電池の安全ヘッドカバー。
【請求項2】
前記電気抵抗ブロックが前記第1の電極ポール本体と前記ヘッドカバーシートとの間に位置しており、且つ前記第1の電極ポール本体が前記電気抵抗ブロックを介して前記ヘッドカバーシートに導通されていることを特徴とする請求項1記載の動力電池の安全ヘッドカバー。
【請求項3】
前記電気抵抗ブロックの形状が方形、丸形または楕円形に構成されていることを特徴とする請求項1記載の動力電池の安全ヘッドカバー。
【請求項4】
前記コーティング層の厚さが150〜400μmであることを特徴とする請求項1記載の動力電池の安全ヘッドカバー。
【請求項5】
前記コーティング層の厚さが200〜300μmであることを特徴とする請求項4記載の動力電池の安全ヘッドカバー。
【請求項6】
前記ショート保護導電性シートの一端は、溶接、リベット締め、螺合または粘着することによって前記ヘッドカバーシートに接続され、前記ショート保護導電性シートの他端は、溶接、リベット締め、螺合または粘着することによって前記第2の電極ポールユニットに接続されていることを特徴とする請求項1記載の動力電池の安全ヘッドカバー。
【請求項7】
前記安全逆転弁が前記ヘッドカバーシートに溶接されていることを特徴とする請求項1記載の動力電池の安全ヘッドカバー。
【請求項8】
前記安全逆転弁にノッチが設けられており、前記ノッチの深さが0.05〜2mmであることを特徴とする請求項1記載の動力電池の安全ヘッドカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力電池の技術分野に関し、特に動力電池の安全ヘッドカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会の発展と伴い、人々の環境保護意識の増加のため、益々多くの設備には、充電可能な二次電池を電源として利用されている。例えば、携帯電話、ノートパソコン、電動ツール及び電動自動車等が挙げられる。充電可能な二次電池の応用及び発展に広大な空間が提供されている。
【0003】
電動自動車及びエネルギー蓄積発電所等では、一般的に大容量の動力電池を電源として利用する必要がある。これらの動力電池に対し、高容量を有することだけでなく、良好なセキュリティー及び比較的長いサイクル寿命等を有することが要請されている。そうでないと、使用の基準に達成できず、人々のニーズにも満足できない。
【0004】
一定の程度で動力電池の安全性を保証するために、電池ヘッドカバーの上に一つの減圧弁を取り付けることが一般的である。電池の不正充電、ショート、または高温等の悪い環境に露見されたことによって突発事故が発生する時、高エネルギーの電池には大量の気体が発生すると共に温度が急速に上昇し、気体が減圧弁に突き当たって圧力排出の目的が達成する。減圧弁が存在するため、一定の程度で電池の安全性能が向上できる。しかし、突発事故が発生する場合、電池そのものに蓄積しているエネルギーが放出できないおそれがあるので、電池そのものが隠れた危険体であり、一定の安全問題があると認められている。突発事故が発生した後、引き続き電池が過充電されると、さらに大きな安全事故が発生してしまう恐れがある。
【0005】
登録番号がZL201220419624.3の中国実用新案出願に上記課題を解決する技術案が提案され、当該発明は、電気抵抗ブロックを増加し且つこれを絶縁体の内部に設置することにより、電池の外部にショートが発生する時、電気抵抗ブロックによって外ショート時の電流の大きさを制御して、安全逆転弁及びショート保護導電性シートの安全を保護することが図れる。しかし、現在の時点で、上記実用新案の構成が複雑であり、独立な電気抵抗ブロックによって外ショート電流の大きさを制御する場合、その効果は理想的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の不足に対して、一種の動力電池の安全ヘッドカバーを提供することであり、当該ヘッドカバーに電気抵抗率が比較的大きく且つ融点が比較的高いコーティング層が設けられており、外部ショートが発生した時、回路の電気抵抗を制御することによって回路の電流の大きさを制御して、安全逆転弁及びショート保護導電性シートの安全性を守ることが図れ、動力電池の安全性能をさらに向上させる。そして、本発明の構成は簡単で、実用性が良い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明には以下の技術的手段を採用した。動力電池の安全ヘッドカバーは、ヘッドカバーシート、及び前記ヘッドカバーシートに設置されている第1の電極ポールユニット、第2の電極ポールユニット、減圧弁、液体注入孔及び安全逆転弁を備え、前記第1の電極ポールユニットが前記ヘッドカバーシートに電気接続され、前記第2の電極ポールユニットが前記ヘッドカバーシートに絶縁的に取づけられ、前記安全逆転弁が前記ヘッドカバーシートに電気接続され、前記ヘッドカバーシートの上方にショート保護導電性シートが設置され、前記ショート保護導電性シートが前記第2の電極ポールユニットに電気接続され、前記ショート保護導電性シートが前記安全逆転弁の上方に位置しており、前記第1の電極ポールユニットは、第1の電極ポール本体並びに前記第1の電極ポール本体の周方向に設置されている金属パッド及び電気抵抗ブロックを含み、前記電気抵抗ブロックが前記金属パッドの下方に設置され、前記電気抵抗ブロックは、基材及び前記基材の表面に塗布されているコーティング層を含む。
【0008】
電気抵抗ブロックの基材は、金属スタンピング・プレスまたは機械加工などの方式で製造でき、基材の表面のコーティング層は、浸漬塗装、吹き付け塗装またはブレード塗装等で実現できる。
【0009】
本発明に記載の動力電池の安全ヘッドカバーの改善案として、前記電気抵抗ブロックが前記第1の電極ポール本体と前記ヘッドカバーシートとの間に位置しており、且つ前記第1の電極ポール本体が前記電気抵抗ブロックを介して前記ヘッドカバーシートに導通されている。
【0010】
本発明に記載の動力電池の安全ヘッドカバーの改善案として、前記電気抵抗ブロックの形状が方形、丸形または楕円形に構成されている。
【0011】
本発明に記載の動力電池の安全ヘッドカバーの改善案として、前記コーティング層の厚さが150〜400μmである。
【0012】
本発明に記載の動力電池の安全ヘッドカバーの改善案として、前記コーティング層の厚さが200〜300μmである。
【0013】
本発明に記載の動力電池の安全ヘッドカバーの改善案として、前記ショート保護導電性シートの一端は、溶接、リベット締め、螺合または粘着することによって前記ヘッドカバーシートに接続され、前記ショート保護導電性シートの他端は、溶接、リベット締め、螺合または粘着することによって前記第2の電極ポールユニットに接続されている。
【0014】
本発明に記載の動力電池の安全ヘッドカバーの改善案として、前記安全逆転弁が前記ヘッドカバーシートに溶接されている。
【0015】
本発明に記載の動力電池の安全ヘッドカバーの改善案として、前記安全逆転弁にノッチが設けられており、前記ノッチの深さが0.05〜2mmである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益効果として、本発明は、ヘッドカバーに電気抵抗ブロックを増加し、且つ前記電気抵抗ブロックに電気抵抗率の比較的大きく、融点の比較的高いコーティング層を有させることにより、外部ショートが発生した時、回路の電気抵抗を制御することによって回路の電流量を制御して、安全逆転弁及びショート保護導電性シートの安全性を守ることが図れ、電池に突発事故が発生した後の過充電を有効に予防でき、また、突発事故が発生した電池内部のエネルギーを放出できるため、動力電池の安全性能がさらに向上した。本発明によれば、基材上にコーティング層を塗布することだけで、動力電池の安全性能を向上させることができる。その反面、従来技術では電気抵抗ブロックを絶縁体の内部に設置するこそ実現できることから考えると、本発明の構成が簡単で、実用性が良いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】本発明における電気抵抗ブロックの構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施形態及び図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。しかし、本発明の実施形態はそれに限定されるものではない。
【0019】
図1〜3に示されているように、動力電池の安全ヘッドカバーは、ヘッドカバーシート2、及びヘッドカバーシート2に設置されている第1の電極ポールユニット1、第2の電極ポールユニット7、減圧弁4、液体注入孔3、安全逆転弁6を備え、第1の電極ポールユニット1がヘッドカバーシート2に電気接続され、第2の電極ポールユニット7とヘッドカバーシート2とが絶縁的に取づけられ、安全逆転弁6がヘッドカバーシート2に電気接続され、ヘッドカバーシート2の上方にショート保護導電性シート5が設置され、ショート保護導電性シート5が第2の電極ポールユニット7に電気接続され、ショート保護導電性シート5は、安全逆転弁6の上方に位置している。安全逆転弁6及びショート保護導電性シート5は、例えば、銅または鉄などの融点が比較的高い材料を採用することが好ましい。第1の電極ポールユニット1は、第1の電極ポール本体11及び第1の電極ポール本体11の周方向に設置されている金属パッド12、電気抵抗ブロック13を備え、電気抵抗ブロック13が金属パッド12の下方に設置され、電気抵抗ブロック13の形状が方形に構成され、電気抵抗ブロック13は、基材14及び基材14の表面に塗布されているコーティング層15を含み、基材14及びコーティング層15のいずれも材料の成分及び厚さによって電気抵抗ブロックの電気抵抗の大きさを調整でき、基材14は、一般的に、
【0020】
なお、電気抵抗ブロック13は、第1の電極ポール本体11とヘッドカバーシート2との間に位置しており、そして、第1の電極ポール本体11が電気抵抗ブロック13を介してヘッドカバーシート2に導通されている。電気抵抗ブロック13の形状が、丸形または楕円形に設定されても良い。
【0021】
コーティング層15の厚さが150〜400μmであることが好ましい。
【0022】
さらに、コーティング層15の厚さが200〜300μmであることが好ましい。電池に外ショートを発生した時、この厚さで電気抵抗ブロック13の電気抵抗が予めデザインされた50〜130mohmの範囲に達成できるため、回路の電気抵抗が一定の安定的な範囲に維持されることが保証でき、回路の電流が制御できことになり、最終的に安全逆転弁6及びショート保護導電性シート5を保護することが実現できる。
【0023】
ショート保護導電性シート5の一端は、溶接、リベット締め、螺合または粘着することによってヘッドカバーシート2に接続され、ショート保護導電性シート5の他端は、溶接、リベット締め、螺合または粘着することによって第2の電極ポールユニット7に接続される。これにより、ショート保護導電性シート5は同時にヘッドカバーシート2及び第2の電極ポールユニット7に電気接続されている。
【0024】
安全逆転弁6がヘッドカバーシート2に溶接されている。具体的に、安全逆転弁6は、レーザー溶接によって、ヘッドカバーシート2に設けられた孔にシールに設置されている。安全逆転弁6の逆転気圧が0.3〜0.5MPaであり、そして、0.7MPaの気圧で破裂することはなく、逆転高さが0.5mm又は0.5mm以上である。安全逆転弁6にノッチ9が設けられ、ノッチ9の深さが0.05〜2mmであり、一般的に、ノッチ9の深さが0.25程度である。この深さでの調整によって逆転気圧を改善することができるため、ノッチ9付きの安全逆転弁6の周辺がヘッドカバーシート2における孔8のエッジに固定接続され、ノッチ9の深さが深ければ深いほど、安全逆転弁6の逆転すべき気圧が低い。
【0025】
通常の場合、安全逆転弁6がショート保護導電性シート5に接触しない。電池に突発事故が発生した時、電池内部の気圧が上昇し、内圧が安全逆転弁6の逆転圧力に達成した時、安全逆転弁6が動作してショート保護導電性シート5に接触することになり、電池の外ショートを実現することができる。第1の電極ポールユニット1及び第2の電極ポールユニット7は、その中に設置されている電気抵抗によって電流の大きさを制御して、熱発生量の大きさを制御することができ、安全逆転弁6の熔けきりが発生しないように保護を行うため、安全逆転弁6を保護する役割を果たせる。このように、過充電流の解消を確保することができる一方、隠れた危険となる電池のエネルギーを放出でき、隠れた危険が消除される。
【0026】
上記明細書の開示及び教導に基づき、本発明の分野に所属する技術者は、さらに上記実施形態を変更または修正することができる。そのため、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されるものではなく、当業者によって本発明を元に完成した、如何なる明らかな改善、切替または変更はすべて本発明の保護範囲に含まれる。また、本明細書においていくつかの特定用語が使われるが、それらの用語は、説明の便利上のため、本発明に限定を与えるものではない。
【符号の説明】
【0027】
1 第1の電極ポールユニット、2 ヘッドカバーシート、3 液体注入孔、4 減圧弁、5 ショート保護導電性シート、6 安全逆転弁、7 第2の電極ポールユニット、8 孔、9 ノッチ、11 第1の電極ポール本体、12 金属パッド、13 電気抵抗ブロック、14 基材、15 コーティング層