【解決手段】複数の受け渡し位置の間でウェーハ搬送装置2によりウェーハWの搬送を行うウェーハ搬送システムTSに用いられるものであって、ウェーハWを覆うことのできるカバーと、カバーより周辺雰囲気とは異なる性質を有するガスGを供給し得るガス供給手段MGと、ウェーハ搬送装置2とは独立して移動可能にカバーを支持するカバー移動手段MHとを備えており、ウェーハ搬送装置2によりウェーハWを搬送させるに際し、カバー移動手段MHによりカバー3をウェーハWに相対する位置に移動させ、ガス供給手段MGよりガスGを供給することでウェーハW表面の雰囲気をガスGによって置換し得るように構成した。
前記カバーが、基板に相対し得る本体部と当該本体部の周縁に設けられた壁部とを備えており、前記カバー接離手段によって前記カバーを基板に近接させた際に前記本体部と壁部との間で形成される内部空間に基板を収容させ得るように構成したことを特徴とする請求項2記載の雰囲気置換装置。
前記カバーを基板に近接させた際に、前記カバーの壁部の開放端が近接又は当接することで協働して前記内部空間を略閉止し得るカバー受け部材を前記基板搬送装置側に設けたことを特徴とする請求項3記載の雰囲気置換装置。
前記ガス供給手段が、外部よりガスを導入するためのガス導入口と、当該ガス導入口より前記カバーの下方にガスを拡散させる拡散手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の雰囲気置換装置。
請求項1〜6の何れかに記載の雰囲気置換装置と、基板搬送装置とを備える基板搬送システムであって、前記カバー移動手段が、前記基板搬送装置の一部を構成するガイドレールを利用して構成されていることを特徴とする基板搬送システム。
前記基板がウェーハであり、請求項7記載の基板搬送システムと、この基板搬送システムを覆う筐体とを備え、当該筐体の壁面に隣接して前記受け渡し位置を設定したことを特徴とするEFEM。
前記基板がウェーハであり、請求項1〜6の何れかに記載の雰囲気置換装置と基板搬送装置とを備える基板搬送システムと、この基板搬送システムを覆う筐体とを備え、前記面内方向移動手段を前記筐体内に設けられた天井面に支持させ、前記筐体の壁面に隣接して前記受け渡し位置を設定したことを特徴とするEFEM。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、ますますのクリーン化が進められる中で、EFEMのウェーハ搬送室内はクリーン度が高いものの、FOUP内や処理装置内とは異なる空気雰囲気であることによる影響が懸念されるようになってきている。
【0008】
すなわち、空気雰囲気であることから基板表面に水分や酸素が付着しやすく、腐食や酸化が生じる可能性がある。また、処理装置において用いられた腐食性ガス等がウェーハの表面に残留している場合には、ウェーハ表面の配線材料を腐食して歩留まりの悪化が生じる可能性もある。これを避けるために、FOUPと同様、ウェーハ搬送室の内部を窒素雰囲気にするべく雰囲気置換装置を設けた場合には、ウェーハ搬送室の容積が大きいことから大量の窒素ガスを要してコストが増大するとともに、窒素置換に長時間を要することになる。また、EFEMより窒素が漏れ出した場合には、周辺での酸素欠乏等の問題が生じることも考えられる。さらに、近年では、更なる効率化のために多数のFOUPを接続可能とするEFEMが提案されており、こうすることでますますウェーハ搬送室の容積が増大することになるため、より上記の問題が顕著に表れることになる。
【0009】
加えて、上記の問題は、処理や保管場所とは異なる雰囲気のもとで搬送を行う限り、ウェーハ以外の基板を搬送する場合においても同様に生じるものといえる。
【0010】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には、搬送中の基板表面の雰囲気を少量のガスによって置換することができる雰囲気置換装置及びこれを備えた基板搬送システム、並びにこの基板搬送システムを備えたEFEMを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0012】
すなわち、本発明の雰囲気置換装置は、複数の受け渡し位置の間で基板搬送装置により基板の搬送を行う基板搬送システムに用いられるものであって、基板を覆うことのできるカバーと、当該カバーより周辺雰囲気とは異なる性質を有するガスを供給し得るガス供給手段と、前記基板搬送装置とは独立して移動可能に前記カバーを支持するカバー移動手段とを備えており、前記基板搬送装置により基板を搬送させるに際し、前記カバー移動手段により前記カバーを基板に相対する位置に移動させ、前記ガス供給手段よりガスを供給することで基板表面の雰囲気を前記ガスによって置換し得るように構成したことを特徴とする。
【0013】
このように構成すると、基板搬送装置により搬送される基板に相対するようカバー移動手段を用いてカバーを移動させ、このカバーより基板の表面に周辺雰囲気とは異なる性質を有するガスを供給して、基板表面の周囲の雰囲気を置換することが可能となる。そのため、基板表面の周辺雰囲気を適切に置換して基板への悪影響を回避することが可能となる上に、基板搬送装置周りの雰囲気を全て置換する場合に比べて、ガスの使用量を削減することができ、ガスに要するコストと雰囲気の置換に要する時間を減らすことも可能となる。また、このガスが周囲に漏れ出た場合であっても、使用量が少ないことから作業環境の悪化を抑制することもできる。さらには、カバー移動手段により基板とは独立してカバーを移動できるため、次に搬送される基板に備えた準備動作を行わせることも、ガスの供給が不要な場合には退避させて未使用とすることも可能となる。
【0014】
より少量のガスで基板表面周辺の雰囲気の置換を行わせるとともに、基板や基板搬送装置とカバーとの干渉を回避可能とするためには、前記カバーを基板面に対して近接又は離間させるカバー接離手段を備えるように構成することが好適である。
【0015】
基板表面以外にガスが漏れ出る量を減少させて、ガスの使用量の一層の削減を図るためには、前記カバーが、基板に相対し得る本体部と当該本体部の周縁に設けられた壁部とを備えており、前記カバー接離手段によって前記カバーを基板に近接させた際に前記本体部と壁部との間で形成される内部空間に基板を収容させ得るように構成することが好適である。
【0016】
さらにガスの使用量を削減可能とするためには、前記カバーを基板に近接させた際に、前記カバーの壁部の開放端が近接又は当接することで協働して前記内部空間を略閉止し得るカバー受け部材を前記基板搬送装置側に設けるように構成することが好適である。
【0017】
また、一般の配管と同様に簡単にガスを導入するのみで、ガスを基板表面全体に供給して効率よく基板表面の雰囲気を置換することを可能とするためには、前記ガス供給手段が、外部よりガスを導入するためのガス導入口と、当該ガス導入口より前記カバーの下方にガスを拡散させる拡散手段を備えるように構成することが好適である。
【0018】
さらに、基板表面を昇温することで効果的に水分の除去を行うためには、前記ガス供給手段が、前記ガスを加熱する加熱手段を備えるように構成することが好適である。
【0019】
また、上記の雰囲気置換装置と基板搬送装置とを備える基板搬送システムを簡単且つ安価に構成するためには、前記カバー移動手段を、前記基板搬送装置の一部を構成するガイドレールを利用して構成することが好適である。
【0020】
さらに、前記基板がウェーハであり、上記の基板搬送システムと、この基板搬送システムを覆う筐体とを備え、当該筐体の壁面に隣接して前記受け渡し位置を設定したEFEMとして構成することで、ウェーハ表面の性状を良好に保ったままFOUPと処理装置との間で受け渡しを行うことのできるEFEMとして有効に構成することができる。
【0021】
また、前記基板がウェーハであり、上記の雰囲気置換装置と基板搬送装置とを備える基板搬送システムと、この基板搬送システムを覆う筐体とを備え、前記面内方向移動手段を前記筐体内に設けられた天井面に支持させ、前記筐体の壁面に隣接して前記受け渡し位置を設定したEFEMとして構成しても、同様に、ウェーハ表面の性状を良好に保ったままFOUPと処理装置との間で受け渡しを行うことのできるEFEMとして有効に構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明した本発明によれば、搬送中の基板表面の雰囲気を少量のガスによって置換することができるとともに、置換に要する時間やコストの増大を招くことのない雰囲気置換装置、基板搬送システム、及びEFEMを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
<第1実施形態>
第1実施形態の雰囲気置換装置1は、
図1に示すように、基板搬送装置であるウェーハ搬送装置2とともに基板搬送システムであるウェーハ搬送システムTSを構成している。そして、これを囲む筐体51によって略閉止されたウェーハ搬送室5が構成され、その一方の壁面51aに隣接して複数(図中では4つ)のロードポート61〜61が設けられており、これらと上記ウェーハ搬送システムTSによってEFEMを構成している。なお、図中ではロードポート61上にFOUP62が載置された状態を模式的に示している。各ロードポート61は扉61aを備えており、この扉61aがFOUP62に設けられた蓋部62aと連結してともに移動することで、FOUP62がウェーハ搬送室5に対して開放されるようになっている。FOUP62内には、対をなして1枚のウェーハWを支持する載置部62b,62bが上下方向に多数設けられており、これらを用いることで多数のウェーハWを格納することができる。また、FOUP62内には通常窒素ガスが充填されるとともに、ロードポート61を介してFOUP62内の雰囲気を窒素置換することも可能となっている。
【0026】
また、EFEMを構成するウェーハ搬送室5には、ロードポート61と対向する壁面51bに隣接して処理装置PEの一部を構成するロードロック室81が接続できるようになっており、ロードロック室81の扉81aを開放することで、ウェーハ搬送室5とロードロック室81とを連通した状態とすることが可能となっている。処理装置PEとしては種々のものを使用でき、一般には、ロードロック室81と隣接して搬送室82が設けられ、さらに搬送室82と隣接して複数(図中では3つ)の処理ユニット83が設けられる構成となっている。搬送室82と、ロードロック室81や処理ユニット83〜83との間には、それぞれ扉82a,83a〜83aが設けられており、これを開放することで各々の間を連通させることができ、搬送室82内に設けられた搬送ロボット82bを用いてロードロック室81及び処理ユニット83〜83の間でウェーハWを移動させることが可能となっている。
【0027】
図2、
図3は、本実施形態におけるウェーハ搬送システムTSを拡大して示した模式図であり、
図2(a)は各部を基準位置に設定した際の平面図、
図2(b)はその状態における正面図である。また、
図3(a)は、後述する搬送アーム22をFOUP62内に進入させるべく伸長させた状態を示す平面図、
図3(b)はその状態における正面図である。以下、
図2及び
図3を用いて、ウェーハ搬送システムTSの構成について説明する。
【0028】
雰囲気置換装置1とともにウェーハ搬送システムTSを構成するウェーハ搬送装置2は、壁面51a,51b(
図1参照)と平行になるようにウェーハ搬送室5の底面に直線状に配置されたガイドレール24と、ガイドレール24上に支持され、このガイドレール24に沿って移動可能とされたベース21と、ベース21上で支持された搬送アーム22とから構成されている。
【0029】
搬送アーム22は、一般的に知られている種々の構造とすることができ、例えば、SCARA型の水平多関節ロボットや、リンク式のアームロボットなどを好適に使用することができる。この実施形態では、搬送アーム22を複数のアーム要素22a〜22cより構成し、これらを相対移動させることで、アーム要素22全体を伸長させることができるように構成している。末端のアーム要素22cの先にはU字形に形成された板状のエンドエフェクタ23が設けられており、その上部にウェーハWを載置することが可能となっている。また、搬送アーム22はベース21に対して、水平旋回することが可能となっており、エンドエフェクタ23を壁面51a,51bのいずれの方向に向けることも可能となっている。
【0030】
上記のように構成することで、ウェーハ搬送装置2は、搬送アーム22を構成するエンドエフェクタ23上に載置したウェーハWを、壁面51a,51bに平行な方向と、直交する方向の2軸に移動させることが可能となっている。さらに、ベース21は昇降動作も可能となっており、この動作を組み合わせることで、エンドエフェクタ23によりウェーハWを持ち上げることも、エンドエフェクタ23上のウェーハWを所定の受け渡し位置に移載させることも可能となっている。本実施形態におけるEFEMにおいては、複数のロードポート61に設置されるFOUP62及びこれに対向するロードロック室81(
図1参照)が、ウェーハWを受け渡すための受け渡し位置として設定されており、この間でウェーハ搬送装置2を用いてウェーハWを移動させることが可能となっている。
【0031】
雰囲気置換装置1は、大きくはウェーハWの表面を覆った状態で雰囲気置換用のガスGを供給するためのカバー3と、このカバー3を支持するためのカバー支持手段4とから構成されている。
【0032】
カバー3は、円盤状の本体部31とその周縁より下方に向けて延在する壁部32とから構成されたフード状の形態となっている。そして、平面視においてウェーハWよりもやや大きく形成され、ウェーハWを覆うことが可能な大きさとされている。そのため、本体部31と壁部32とにより形成される下方に開放された内部空間S(
図13参照)内に、ウェーハWを収容することも可能となっている。
【0033】
カバー3は、後に詳述するように種々の構造とすることができるが、ここでは、
図13(b)に示すカバー3Bの構造のものを採用している。すなわち、上面31bの中央にガス供給口34が設けられており、図示しないガス供給源よりガス供給口34を通じて供給されるガスGを、拡散板33によって拡散させながら下方に向かって放出可能となっている。ガス供給源は、ガスGの供給と供給停止とを選択的に変更することが可能となっており、必要な際にのみガスGを供給することが可能としている。また、供給圧力や流量を変更するように構成することもできる。これらガス供給源と、ガス供給口34から拡散板33に至るカバー3内が備えるガスGの供給構造とによって、カバー3よりガスGを供給するためのガス供給手段MGは構成されている。ここでは、ガスGとして窒素ガスを用いるようにしている。
【0034】
図2,3に戻って、カバー支持手段4は、上述したガイドレール24に支持され、ガイドレール24に沿って移動可能とされたカバー用ベース41に加えて、これに順次支持されるカバー用レール42、可動ブロック43、支柱44、昇降ブロック45及び支持アーム46より構成されている。
【0035】
具体的な構成を説明すると、カバー用ベース41上には、カバー用レール42がガイドレール24に直交する水平方向に延在するように設けられており、このカバー用レール42に可動ブロック43が移動可能に支持されている。こうすることで、可動ブロック43は壁面51a,51b(
図1参照)に対して直交する方向に移動することが可能となっている。また、可動ブロック43上には、上方に向かって支柱44が起立して設けられており、可動ブロック43とともに移動することができるようになっている。そして、支柱44には昇降ブロック45が支柱44に沿って上下方向に移動可能に設けられており、昇降ブロック45よりガイドレール24と平行に支持アーム46が延び、その先端でカバー3を構成する本体部31の上面31b(
図13参照)の中央を支持するようになっている。
【0036】
また、
図2(a)に示すように、カバー用ベース41をウェーハ搬送装置2のベース21に近接させ、可動ブロック43をガイドレール24の上方に位置させた基準位置にした場合には、支持アーム46によって支持されるカバー3はウェーハ搬送装置2の真上に位置するようにしている。この際、ウェーハ搬送装置2が搬送アーム22を縮めて、エンドエフェクタ23上で保持するウェーハWをベース2上に移動させた場合には、平面視においてカバー3によりウェーハWが覆われるような位置関係となる。
【0037】
上記のように構成することで、カバー用ベース41とガイドレール24とによってカバー3を壁面51a,51bに平行な方向に移動させるとともに、カバー用レール42と可動ブロック43とによってカバー3を壁面51a,51bに垂直な方向に移動させることができるようになっている。すなわち、これらのカバー用ベース41、ガイドレール24、カバー用レール42及び可動ブロック43は、搬送アーム22により移動されるウェーハWに追従してカバー3を動作させることのできるカバー移動手段MHを構成している。さらには、支柱44と昇降ブロック45とによってカバー3を上下方向に移動させ、ウェーハWの表面が形成する基板面としてのウェーハ面Fに対して、カバー3を近接又は離間させることが可能となっている。すなわち、これら支柱44及び昇降ブロック45は、ウェーハ面Fに対してカバー3を接離させるカバー接離手段MVを構成している。
【0038】
上記のように構成した雰囲気置換装置1を備えるウェーハ搬送システムTSを制御部Cp(
図1参照)により制御を行い動作させることで、以下のようにしてウェーハWの搬送を行うことが可能となる。制御部CpはEFEM全体を制御するものとして適宜に構成されており、ウェーハ搬送装置2と同期してカバー移動手段MH及びカバー接離手段MVによってカバー3を移動させるとともに、ガス供給手段MGによってカバー3よりガスGの供給ができるようになっている。
【0039】
すなわち、
図4に示すように、基板搬送システムTSを構成するウェーハ搬送装置2は、ガイドレール24に沿ってウェーハWを取り出す対象となるFOUP62の前までベース21を移動させ、搬送アーム22を伸長させてエンドエフェクタ23をFOUP62内に進入させ、FOUP62よりウェーハWを取り出す。そして、
図5に示すように、ロードロック室81の前にまでベース21を移動させ、搬送アーム22を逆方向に伸長させることでエンドエフェクタ23をロードロック室81内に進入させて、ウェーハWを移載させる。これらの搬送経路の一部において、カバー3はウェーハWに追従してウェーハWに相対するように移動しながら、ガス供給手段MG(
図13参照)によってウェーハWの表面にガスGを供給して、ウェーハWの表面の雰囲気を置換することが可能となっている。
【0040】
上記の動作について、
図6〜
図12を用いてさらに詳細に説明する。
【0041】
図6は、ウェーハWの搬送を行うために、基板搬送装置1のベース21をガイドレール24に沿って移動させ、搬送アーム22を一方の受け渡し位置であるロードポート61の前に位置させた状態を示している。なお、この図では、搬送に関係の無い他のロードポート61については記載を省略してある。カバー移動手段MHは、ベース21とは独立してカバー3を移動させることができるため、カバー3は適宜の位置にすることができる。また、ベース21は、カバー3とは独立して動作可能であるため、軽量で精度良く動作させることが可能となっている。
【0042】
図7は、
図6の状態より、ロードポート61の扉61aとFOUP62の蓋部62aを開放させ、搬送アーム22を伸長させてエンドエフェクタ23をFOUP62内に進入させた状態を示している。エンドエフェクタ23は、取り出す対象となるウェーハWの直ぐ下に僅かな隙間を持たせながら進入しており、ベース21を所定量上昇させることで、エンドエフェクタ23でウェーハWを持ち上げて保持させることができる。この状態において、カバー移動手段MHによりカバー3をFOUP62の手前に位置させる。この際、カバー接離手段MVによって、カバー3における壁部32の開放端32a(
図13参照)が、エンドエフェクタ23上に持ち上げたウェーハWの上面(ウェーハ面F)よりも高い位置になるようにしている。
【0043】
図8は、
図7の状態より搬送アーム22を縮ませて、ウェーハW(
図7参照)をFOUP62より取り出した状態を示している。カバー3はFOUP62の手前で待機していたため、ウェーハWがFOUP62の手前にまで取り出されることで、直ぐにカバー3によってウェーハWを覆い相対する状態とすることができる。この状態において、カバー接離手段MVによりカバー3を下方に移動させることで、内部空間SにウェーハWの上部が僅かに収容されるようにしている。さらに、ガス供給手段MG(
図13参照)によって、ガスGの供給が開始され、ウェーハWの表面の雰囲気をそれまでのウェーハ搬送室5内と同じエア雰囲気よりガスGの雰囲気に置換する。ロードポート61は、ウェーハWが干渉しない位置になった段階で扉61aとFOUP62の蓋部62aとを閉止させ、FOUP62内を窒素ガスで満たすようにしており、取り出したウェーハW以外に収容されているウェーハW表面の酸化や水分の付着を防ぐようにしてある。
【0044】
図9は、
図8の状態より更に搬送アーム22を縮ませて、エンドエフェクタ23(
図7参照)を平面視においてベース21の中央に位置させた状態を示している。このような搬送アーム22の動きと連動して、カバー移動手段MHはカバー3を移動させるようにしている。こうすることで、ウェーハW(
図7参照)表面の雰囲気の置換を、長時間、効率よく行うことが可能となっている。そのため、ウェーハWの搬送に要する時間を無駄にすることもない。
【0045】
図10は、
図9の状態よりベース21を移動させて、他方の受け渡し位置であるロードロック室81の前に位置させた状態を示している。この移動に連動してカバー移動手段MHを構成するカバー用ベース41もガイドレール24上を移動し、カバー3をウェーハW(
図7参照)と相対させた状態を維持させることが可能となっている。そのため、移動中も、ウェーハW表面へのガスGの供給を継続して行うことが可能となっている。
【0046】
図11は、
図10の状態より搬送アーム22をロードロック室81側に向けて伸長させ、エンドエフェクタ23(
図7参照)をロードロック室81の扉81aの手前にまで位置させた状態を示している。この際にも、カバー移動手段MHによってカバー3はウェーハW(
図7参照)に追従し、相対する位置を維持しており、ウェーハW表面へのガスGの供給を継続して行うことが可能となっている。
【0047】
図12は、
図11の状態より、ロードロック室81の扉81aを開放し、搬送アーム22をさらに伸長させてエンドエフェクタ23をロードロック室内に進入させた状態を示している。この際、カバー3はロードロック室81の手前の位置で停止させるとともに、カバー接離手段MVにより上昇させることで、ロードロック室82、ウェーハW及び搬送アーム22に干渉することがないようにしている。この状態より、ベース21を下降させることで、搬送アーム22の位置を下げて、エンドエフェクタ23上のウェーハWをロードロック室81内に移載するようになっている。この時、カバー3には、次の搬送動作のために搬送アーム22の動作とは独立して、次に搬送するウェーハWの存在する位置周辺に先行して移動するような準備動作を行わせるようにしても良い。なお、表面の雰囲気置換の必要が無いウェーハWを搬送する場合には、ガイドレール24の端部付近に退避させるような使い方をすることもできる。
【0048】
上述したように、本雰囲気置換装置1を備えるウェーハ搬送システムTSを用いることで、ウェーハWをFOUP62よりロードロック室81に搬送する際に、ウェーハ搬送室5の内部全体の雰囲気を置換しなくても、カバー3を介してウェーハWの表面周りの局所的な雰囲気を置換することでウェーハWの表面状態を適切に維持することが可能となる。
【0049】
また、ウェーハWをロードロック室81よりFOUP62に搬送する場合にも、上述した
図6〜
図12の動作を逆に行わせることで、同様にウェーハWの表面周りの局所的な雰囲気を置換させることができる。
【0050】
ここで、カバー3の具体的な構造について説明を行う。
図13〜15に示したカバー3A〜3Gの何れタイプのものでも採用することができ、目的に応じて使い分けることができる。
【0051】
図13(a)に示すカバー3Aは、最もシンプルな構造を備えるものであり、上述した円盤状の本体部31の周縁31aより壁部32を垂下させた形態となっている。上面31bの中央には、通常の気体供給用配管口と同様に構成されたガス供給口34が設けられており、支持アーム46(
図2,3参照)を通じてガスGを供給することが可能となっている。ガス供給口34は、内部空間Sに連通しており、供給されたガスGを内部空間に充満させつつ下方に向けて放出することができる。この際、ガスGとして窒素ガスを用いる場合には、空気よりも軽い性質を持つことから、容易に内部空間Sより空気を排除して内部空間S内の窒素ガスの濃度を高めた状態にすることが可能となる。そのため、窒素ガスの濃度が一定以上に高まった状態となってからは、窒素ガスの供給量を減少させてもよく、このようにしてもウェーハW表面の雰囲気を窒素ガスによって置換した状態を維持することができる。
【0052】
図13(b)に示すカバー3Bは、カバー3Aの構造を基にして本体部31の下方に拡散手段としての拡散板33を設けたものとなっている。拡散板33は、多数の小孔33aを開けたものであり、ガスGはこれを通過することでほぼ均一に拡散して下方に向けて放出される。そのため、これを用いた場合には、ウェーハW表面のいずれの位置においても、適切にガスGを供給することが可能となる。
【0053】
図14(a)に示すカバー3Cは、上述したカバー3A(
図13参照)の構造を基にして本体部31の内部に、加熱手段としての加熱用ヒータ35を設けたものである。このように構成することで、供給するガスGを加熱してウェーハWの表面に供給することができ、ウェーハW表面の雰囲気温度を上昇させることができる。そのため、ウェーハW表面の温度を上げて、水分の除去を図ることができる。さらには、処理装置PE(
図1参照)の内部で昇温するプロセスが必要な場合には、予熱を与えることで処理時間を短縮することにもつながる。
【0054】
図14(b)に示すカバー3Dは、上述した3A(
図13参照)の構造を基にして本体部31の内部に、ガスGを拡散するための拡散手段として分岐配管37を設けたものである。こうすることでも、ガスGを均一に拡散して放出して、ウェーハW表面のいずれの位置においても適切にガスGを供給することが可能となる。
【0055】
図15(a)に示すカバー3Eは、上述したカバー3B(
図13参照)の構造と、カバー3C(
図14参照)の構造とを組み合わせたものである。こうすることで、ガスGを加熱するとともに拡散してウェーハW表面に適切に供給することが可能となる。また、この例で示すように拡散板33は複数(図中では2つ)設けてもよく、よりガスGを拡散させて均一に供給することが可能となる。
【0056】
図15(b)に示すカバー3Fは、上述したカバー3Eの構造を基にして、壁部32の開放端32aを下方に延長したものである。こうすることで、内部空間SによってウェーハWだけでなく、搬送アーム22を全て覆うような構成とすることも可能であり、ウェーハW周辺の空間に占めるガスGの濃度をより高めることが可能となる。
【0057】
図15(c)に示すカバー3Gは、上述したカバー3Eの構造を基にして、加熱手段を加熱ヒータ35より加熱ランプ36に変更したものである。このようにしても、ガスGを加熱するとともに拡散してウェーハW表面に適切に供給することが可能となる。また、加熱ランプ36より照射される光がウェーハWに到達するようにすることで、ガスGを媒介とすることなく直接ウェーハWの表面を昇温させるようにしても良い。
【0058】
以上のように、本実施形態における雰囲気置換装置1は、複数の受け渡し位置の間で、基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置2により基板としてのウェーハWの搬送を行う基板搬送システムとしてのウェーハ搬送システムTSに用いられるものであって、ウェーハWを覆うことのできるカバー3と、カバー3より周辺雰囲気とは異なる性質を有するガスGを供給し得るガス供給手段MGと、ウェーハ搬送装置2とは独立して移動可能にカバー3を支持するカバー移動手段MHとを備えており、ウェーハ搬送装置2によりウェーハWを搬送させるに際し、カバー移動手段MHによりカバー3をウェーハWに相対する位置に移動させ、ガス供給手段MGよりガスGを供給することでウェーハW表面の雰囲気をガスGによって置換し得るように構成したものである。
【0059】
このように構成しているため、ウェーハ搬送装置2により搬送されるウェーハWに相対するよう、カバー移動手段MHを用いてカバー3を移動させ、カバー3よりウェーハWの表面に周辺雰囲気とは異なる性質を有するガスGを供給して、ガスGによってウェーハW表面の周囲の雰囲気を置換することが可能である。そのため、ウェーハW表面に影響を及ぼす周辺雰囲気を適切に変更することでウェーハW表面への悪影響を回避することが可能となる上に、ウェーハ搬送装置2周りの雰囲気を全て置換する場合に比べて、ガスGの使用量を削減することができ、ガスGの費用と雰囲気の置換に要する時間とを減らすことも可能になる。また、このガスGが周囲に漏れ出た場合であっても、使用量が少ないことから作業環境の悪化も抑制することができる。さらには、カバー移動手段MHによりウェーハWとは独立してカバー3を移動できるようにしていることから、次に搬送されるウェーハWに備えた準備動作を行わせることも、ガスGの供給が不要な場合には退避させて未使用とすることも可能であり、より効率的に用いることができる。
【0060】
また、カバー3を基板面としてのウェーハ面Fに対して近接又は離間させるカバー接離手段MVを備えるように構成していることから、ウェーハWやウェーハ搬送装置2を構成する搬送アーム22との干渉を避けることができる上に、搬送状態に応じて近接させることで、より少量のガスGでウェーハW表面周辺の雰囲気の置換を行わせることも可能である。
【0061】
さらに、カバー3が、ウェーハWに相対し得る本体部31と本体部31の周縁に設けられた壁部32とを備えており、カバー接離手段MVによってカバー3をウェーハWに近接させた際に本体部31と壁部32との間で形成される内部空間SにウェーハWを収容させ得るように構成していることから、内部空間SにウェーハWを収容した状態でガスGを供給することで、ウェーハW表面以外にガスGが漏れ出る量を減少させて、よりガスGの使用量の削減を図ることも可能である。
【0062】
また、ガス供給手段MGが、外部よりガスGを導入するためのガス導入口34と、ガス導入口34よりカバー3の下方にガスGを拡散させる拡散手段としての拡散板33又は分岐配管37を備えるように構成することで、ガス導入口34を一般の配管と同様に簡単な構成とした上で、ガスGを効果的に拡散させてウェーハWの表面全体に供給して効率よく表面の雰囲気を置換させることが可能となる。
【0063】
さらには、ガス供給手段MGが、ガスGを加熱する加熱手段としてのヒータ35又は加熱ランプ36を備えるように構成することで、供給するガスGを加熱して、ウェーハWの表面を昇温することができ、水分の除去を行うことも可能となる。また、処理装置PEにおいて昇温することが必要な場合には、予熱を与えて処理時間を短縮することもできる。
【0064】
また、この実施形態における基板搬送システムとしてのウェーハ搬送システムTSは、上記のように構成された雰囲気置換装置1と、ウェーハ搬送装置2とを備えるものであって、カバー移動手段MVが、ウェーハ搬送装置2の一部を構成するガイドレール24を利用して構成するようにしているため、全体の製造コストを削減するとともに、設備全体の設置スペースを小さくすることも可能である。また、ウェーハ搬送装置2のみを備える既存のEFEMに対して容易に後付けして構成することも可能となる。
【0065】
さらに、基板としてウェーハWを用い、上記のウェーハ搬送システムTSと、このウェーハ搬送システムTSを覆う筐体51とを備え、筐体51の壁面51a,51bに隣接して受け渡し位置としてのロードポート61と、ロードロック室81を設定するように構成することで、筐体51内に設けられたウェーハ搬送システムTSを用いて、ウェーハWの表面の雰囲気を適切にしながら受け渡し位置間で搬送を行うEFEMとして有効に構成されている。
【0066】
<第2実施形態>
図16は、第2実施形態の雰囲気置換装置101を示す模式図である。この場合においても、雰囲気置換装置101は、基板搬送装置であるウェーハ搬送装置2とともに基板搬送システムであるウェーハ搬送システムTSを構成している。この図において、第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0067】
本実施形態においてウェーハ搬送装置2は、第1実施形態において説明したものと同じものとなっており、雰囲気置換装置101の構造が異なるにすぎない。
【0068】
図16(a)は、ウェーハ搬送システムTSを、ウェーハ搬送装置2を構成するガイドレール24(
図1参照)が延在する方向より見た場合の位置関係を模式的に示している。
【0069】
雰囲気置換装置101は、ウェーハ搬送室5を構成する筐体51に設定された天井面51より、カバー支持手段104を介して吊り下げられた状態で支持されている。カバー支持手段104は、ガイドレール24(
図1参照)に沿ってカバー3を水平に移動させるカバー移動手段MHと、カバー3を上下方向に移動させることでカバー3をウェーハ面Fに対して近接又は離間させるカバー接離手段MVを備えている。
【0070】
カバー3は、本体部131とその周縁に設けられ垂下する壁部132とを備えており、これらによって下方が開放された内部空間Sが形成されている。また、本体部131の上面131bの中央にはガス供給口134が設けられ、カバー支持手段104を介してガスGの供給が可能となっている。本体部131は、拡散板33を備えており供給されたガス
Gを拡散させながら下方に向けて供給することが可能となっている。
【0071】
また、
図16(b)に示すように、搬送アーム22を縮めてベース21上にエンドエフェクタ23とともにウェーハWを位置させた際に、カバー3が、搬送アーム22全体を上方から覆い、内部空間Sに収容できるようにしている。こうすることで、一層ウェーハWの周辺におけるガスGの濃度を高めて、雰囲気置換による効果を一層高めることが可能となっている。
【0072】
このように構成した場合でも、上述した第1実施形態に準じる効果を得ることができるとともに、雰囲気置換装置1とウェーハ搬送装置2との独立性をより高めることができる。
【0073】
すなわち、本実施形態では、基板としてウェーハWを用い、雰囲気置換装置101とウェーハ搬送装置2とを備えるウェーハ搬送システムTSと、この基板搬送システムTSを覆う筐体51とを備え、カバー移動手段MHを筐体内に設けられた天井面51cに支持させ、筐体51の壁面51a,51bに隣接して受け渡し位置としてロードポート61と、ロードロック室81を設定するように構成することで、筐体51内に設けられたウェーハ搬送装置2に干渉することなく、雰囲気置換装置101を高い自由度で容易に移動させることができ、ウェーハWの搬送を行うEFEMとして有効に構成することができる。
【0074】
<第3実施形態>
図17は、第3実施形態におけるウェーハ搬送システムTSの構成を模式的に示したものである。この図において、第1実施形態や第2実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。このウェーハ搬送システムTSは、第2実施形態において説明した雰囲気置換装置101を用い、ウェーハ搬送装置202の構造を変更したものとなっている。
【0075】
具体的には、ウェーハ搬送装置202を構成し搬送アーム22を支持するベース21の上部に、円板状のカバー受け部材225を設けている。カバー受け部材225は、平面視においてカバー103よりもやや大きな直径とされており、カバー103が下方に移動してきた場合に、カバー103における壁部132の開放端132aとカバー受け部材225の上面225aとの間が近接することで、協働して内部空間Sを略閉止することが可能となっている。こうすることで、内部空間SにガスGを供給した場合にガスGの濃度を一層高め、雰囲気置換による効果を増大させることもできる。
【0076】
もちろん、開放端132aと上面225aとを接触させるようにしてもよく、ガスGによる雰囲気の置換が終了した後に両者の接触を行わせて密閉するようにすれば、ガスGの供給を停止しても雰囲気を置換した状態で維持することができ、ウェーハWの表面が汚染されることもない。
【0077】
以上のように構成した場合でも、上記の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。さらには、カバー103をウェーハWに近接させた際に、カバー103の壁部132の開放端132aが近接又は当接することで協働して内部空間Sを略閉止し得るカバー受け部材225をウェーハ搬送装置202側に設けるように構成しているため、カバー103とカバー受け部材225との間で略閉止空間を形成し、その内部にウェーハWを収容することで、一層ガスGの使用量を削減することができる。
【0078】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0079】
例えば、上述の実施形態では、ウェーハW周辺の雰囲気を置換するためのガスGとして窒素ガスを使用していたが、処理に応じて空気やオゾン等種々様々なガスGを用いることができる。ウェーハ搬送室5内ではクリーンエア雰囲気とされており、この雰囲気を構成するエアと異なる性質を持つものであればよく、更にクリーン度の高い清浄エアを用いることも、加熱手段によって温度を上げられたエアであっても使用することができる。
【0080】
また、上述の実施形態では、カバー3,103が備える内部空間SにウェーハWの一部又は全体を収容させた状態でガスGを供給するようにしていたが、カバー3,103内にウェーハWを収容することなく、カバー3,103をウェーハW表面に近接させた状態でガスGを供給するようにしても上記に準じた効果を得ることができる。さらには、カバー3,103を本体部31,131のみで構成し、垂下する壁部32,132を有しない構成としても、同様の効果を得ることができる。
【0081】
さらには、カバー供給手段MGによるガスGの供給開始や供給停止するタイミングは、処理プロセスに応じて適宜変更することが可能である。具体的には、FOUP62より取り出してから、数秒後にガスGの供給を開始するようにしても良いし、カバー3内におけるガスGの濃度に応じて供給量を変更するようにしても良い。さらに、ガスGを供給する場合をロードロック室81より処理後のウェーハWを取り出してFOUP62内に戻す経路にのみ限定することでも、上記に準じた効果を得ることができる。
【0082】
上述の実施形態では、ウェーハWの受け渡しをロードポート61上のFOUP62とロードロック室81間で行うものとしていたが、本発明は、この形態に限ることなくFOUP62同士の間で搬送を行う場合にも適宜用いることができる。さらには、ウェーハWの受け渡し位置は水平方向に離間して配置させるものだけでなく、上下方向に離間して配置させる場合も考えられ、こうした場合においても上下方向にウェーハWを移動させるのに追従してカバー3をウェーハWに相対させるよう移動させ、ガスGを供給してウェーハW周辺の雰囲気を置換させるようにすればよい。
【0083】
また、上述の実施形態では、基板としてウェーハWを用いるものを前提としており、ウェーハ搬送装置2やウェーハ搬送システムTSとして構成していたが、本発明はガラス基板等様々な精密加工品を対象とする搬送システムに用いることができる。すなわち、ガラス基板等の一般的な基板を対象とする基板搬送装置や基板搬送システムとして構成することができる。
【0084】
基板搬送装置としては、上述したリンク式アームロボットや、SCARA型多関節ロボットに限ることなく多様なものを使用することができ、水平2軸に動作するXYステージや、コンベヤ等の搬送手段も利用することができる。
【0085】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。