特開2015-95645(P2015-95645A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-95645(P2015-95645A)
(43)【公開日】2015年5月18日
(54)【発明の名称】タンタルキャパシタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/15 20060101AFI20150421BHJP
   H01G 9/012 20060101ALI20150421BHJP
【FI】
   H01G9/05 F
   H01G9/05 D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-33624(P2014-33624)
(22)【出願日】2014年2月25日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0135333
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クワク、スン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、フン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ジェオン オー
(72)【発明者】
【氏名】チャ、スン ソー
(72)【発明者】
【氏名】ミュン、ヒー ドン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヘー スン
(57)【要約】
【課題】本発明は、タンタルキャパシタ及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、タンタル粉末を含み、一端面に露出するタンタルワイヤを有するキャパシタ本体と、陽極端子部、上記陽極端子部の一側先端から垂直に延長形成された垂直支持部、及び上記垂直支持部から上記陽極端子部の方に延長形成され、上記タンタルワイヤと接続された陽極連結部を含む陽極リードフレームと、上面に上記キャパシタ本体が実装された陰極リードフレームと、上記キャパシタ本体を覆うように形成され、上記陽極リードフレームの上記陽極端子部の下面及び上記陰極リードフレームの下面が露出するように形成されたモールディング部と、を含むタンタルキャパシタを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンタル粉末を含み、一端面に露出するタンタルワイヤを有するキャパシタ本体と、
陽極端子部、前記陽極端子部の一側先端から垂直に延長形成された垂直支持部、及び前記垂直支持部から前記陽極端子部の方に延長形成され、前記タンタルワイヤと接続された陽極連結部を含む陽極リードフレームと、
一方側の面に前記キャパシタ本体が実装された陰極リードフレームと、
前記キャパシタ本体を覆うように形成され、前記陽極リードフレームの前記陽極端子部の他方側の面及び前記陰極リードフレームの他方側の面が露出するように形成されたモールディング部と、を含む、タンタルキャパシタ。
【請求項2】
前記陽極リードフレームは、前記陽極端子部と前記陽極連結部との間に前記モールディング部が形成されるように溝部を有する、請求項1に記載のタンタルキャパシタ。
【請求項3】
前記陽極リードフレームは、幅方向に第1拡張部を有する、請求項1または2に記載のタンタルキャパシタ。
【請求項4】
前記陰極リードフレームは、前記他方側の面の一部に前記モールディング部が形成されるように段顎を有する、請求項1から3の何れか1項に記載のタンタルキャパシタ。
【請求項5】
前記陰極リードフレームは、前記キャパシタ本体との接触面積を増やすことができるように第2拡張部を有する、請求項1から4の何れか1項に記載のタンタルキャパシタ。
【請求項6】
前記キャパシタ本体と前記陰極リードフレームとの間に形成された導電性接着層を含む、請求項1から5の何れか1項に記載のタンタルキャパシタ。
【請求項7】
前記導電性接着層は、エポキシ系の熱硬化性樹脂及び導電性金属粉末を含む、請求項6に記載のタンタルキャパシタ。
【請求項8】
第1導電性金属板材の一部を外側から内側に向かって一次折曲して垂直に立て、この垂直に立てられた部分が奥面に位置するように第1導電性金属板材を二次折曲して陽極端子部及び陽極連結部を有する陽極リードフレームを設ける段階と、
第2導電性金属板材からなる陰極リードフレームを設ける段階と、
前記陽極及び陰極リードフレームを水平に相対するように配置する段階と、
前記陰極リードフレームの一方側の面にタンタル粉末を含み、一側に露出するタンタルワイヤを有するキャパシタ本体を実装し、前記キャパシタ本体のタンタルワイヤを前記陽極リードフレームの前記陽極連結部と接続させる段階と、
前記キャパシタ本体の周りを樹脂でモールディングし、前記陽極リードフレームの前記陽極端子部の他方側の面及び前記陰極リードフレームの他方側の面が露出するようにモールディング部を形成する段階と、を含む、タンタルキャパシタの製造方法。
【請求項9】
前記陽極リードフレームは、前記陽極端子部と前記陽極連結部との間に溝部を形成し、樹脂モールディング時に前記溝部に樹脂を満たし、前記モールディング部を形成させる、請求項8に記載のタンタルキャパシタの製造方法。
【請求項10】
前記陽極リードフレームは、幅方向に第1拡張部を形成する、請求項8または9に記載のタンタルキャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記陰極リードフレームは、前記他方側の面の一部に段顎を形成し、樹脂モールディング時に前記段顎に樹脂を満たし、前記モールディング部を形成させる、請求項8から10の何れか1項に記載のタンタルキャパシタの製造方法。
【請求項12】
前記陰極リードフレームは、前記キャパシタ本体との接触面積を増やすことができるように第2拡張部を形成する、請求項8から11の何れか1項に記載のタンタルキャパシタの製造方法。
【請求項13】
前記陰極リードフレームの前記一方側の面に前記キャパシタ本体を実装する段階の前に、前記陰極リードフレームの前記一方側の面に導電性接着剤を塗布して導電性接着層を形成する段階を含む、請求項8から12の何れか1項に記載のタンタルキャパシタの製造方法。
【請求項14】
前記導電性接着剤は、エポキシ系の熱硬化性樹脂及び導電性金属粉末を含む、請求項13に記載のタンタルキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンタルキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンタル(tantalum、Ta)素材は、融点が高く、延性や耐腐食性などに優れた機械的または物理的特徴により、電気、電子、機械及び化学工業をはじめ宇宙及び軍事分野などの産業全般にわたって広範囲に用いられる金属である。
【0003】
このようなタンタル素材は、安定した陽極酸化皮膜を形成させることができるという特性によって小型キャパシタの陽極素材として広く用いられており、最近では、電子及び情報通信のようなIT産業の急激な発達に伴い、その使用量が毎年急増している。
【0004】
一般に、キャパシタは、電気を一時的に貯蔵する蓄電器を意味し、絶縁された二つの平板電極を接近させて陽極の間に誘電体を挟んで引力によって電荷を帯電して蓄積する部品であり、二つの導体で囲まれた空間に電荷と電界を閉じ込めて静電容量を得ようとするときに用いられる。
【0005】
上記タンタル素材が用いられるタンタルキャパシタ(Tantalum Capacitor)は、タンタル粉末(Tantalum Powder)を焼結して固めたときに生じる隙間を用いる構造である。上記タンタルキャパシタは、まず、タンタルの表面に陽極酸化法を用いて酸化タンタル(Ta)を形成し、この酸化タンタルを誘電体にしてその上に電解質である二酸化マンガン層(MnO)を形成した後、上記二酸化マンガン層上にカーボン層及び金属層を形成して本体を形成する。その後、上記本体に回路基板の実装のために陽極及び陰極を形成しモールディング部を形成することで完成される。
【0006】
一方、従来のタンタルキャパシタには、タンタル素材と電極を連結するために、内部リードフレームを用いた構造、またはフレームなしで端子を外部に取り出す構造が用いられていた。
【0007】
しかし、上記内部リードフレームが用いられる構造の場合は、陽極及び陰極を構成する内部リードフレームのためモールディング部内のタンタル素材が占める空間が減少し、静電容量がタンタル素材の体積に比例して制限されるという問題点があった。
【0008】
また、上記フレームなしで端子を外部に取り出す構造の場合は、接触する材料が多数存在し、接触抵抗が上昇するため、キャパシタのESRが高くなるという問題点があった。
【0009】
なお、上記フレームなしで端子を外部に取り出す構造の場合、陰極端子が製品の側面に位置するため、タンタル素材と陰極端子との間にはんだを形成するための溶接距離を確保しなければならなくなり、上記理由などによってタンタル素材の内部容積率が小さくなるため静電容量が低下するという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−300123号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2008−0029203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当技術分野では、低ESRを具現しながら静電容量を向上させ、タンタルワイヤと陽極リードフレームとの溶接不良を解消することができるタンタルキャパシタに対する新たな方案が求められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面は、タンタル粉末を含み、一端面に露出するタンタルワイヤを有するキャパシタ本体と、陽極端子部、上記陽極端子部の一側先端から垂直に延長形成された垂直支持部、及び上記垂直支持部から上記陽極端子部側に延長形成され、上記タンタルワイヤと接続された陽極連結部を含む陽極リードフレームと、上面に上記キャパシタ本体が実装された陰極リードフレームと、上記キャパシタ本体を覆うように形成され、上記陽極リードフレームの上記陽極端子部の下面及び上記陰極リードフレームの下面が露出するように形成されたモールディング部と、を含むタンタルキャパシタを提供する。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記陽極リードフレームは、陽極端子部と陽極連結部との間に上記モールディング部が形成されるように溝部を有することができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記陽極リードフレームは、幅方向に第1拡張部を有することができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記陰極リードフレームは、下面の一部に上記モールディング部が形成されるように段顎を有することができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記陰極リードフレームは、上記キャパシタ本体との接触面積を増やすことができるように拡張部を有することができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体と上記陰極リードフレームとの間に形成された導電性接着層を含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態において、上記導電性接着層は、エポキシ系の熱硬化性樹脂及び導電性金属粉末を含むことができる。
【0019】
本発明の他の側面は、第1導電性金属板材の一部を外側から内側に向かって一次折曲して垂直に立て、この垂直に立てられた部分が奥面に位置するように第1導電性金属板材を二次折曲して陽極端子部及び陽極連結部を有する陽極リードフレームを設ける段階と、第2導電性金属板材からなる陰極リードフレームを設ける段階と、上記陽極及び陰極リードフレームを水平に相対するように配置する段階と、上記陰極リードフレームの上面にタンタル粉末を含み、一側に露出するタンタルワイヤを有するキャパシタ本体を実装し、上記キャパシタ本体のタンタルワイヤを上記陽極リードフレームの上記陽極連結部と接続させる段階と、上記キャパシタ本体の周りを樹脂でモールディングし、上記陽極リードフレームの上記陽極端子部の下面及び上記陰極リードフレームの下面が露出するようにモールディング部を形成する段階と、を含むタンタルキャパシタの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態によると、陽極リードフレームから陰極リードフレームに連結される電流経路(current path)の長さを最小限にすることで、タンタルキャパシタの電気抵抗特性(ESR)を低減させることができる効果がある。
【0021】
また、陽極連結部は、陽極リードフレームの一部を外側から内側に向かって折り曲げることによって形成されるため、キャパシタ本体のタンタルワイヤが露出する部分のモールディング部体積を最小限にし、減少したモールディング部の体積分だけ従来よりキャパシタ本体のサイズを拡大して静電容量を増加させることができる効果がある。
【0022】
なお、従来のキャパシタ本体と陰極リードフレームとの間に形成されていたはんだがなくなるため、このようにして省略されたはんだの面積の分だけキャパシタ本体のサイズを拡大して静電容量を増加させることができる効果がある。
【0023】
さらに、陽極リードフレームの陽極連結部は、設計と実際の工程後の散布が非常に少ないため、設計通りタンタルワイヤを接続させて容易に溶接することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタを概略的に示した透過斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの概略的な構造を示した側面図である。
図3図1の底面図である。
図4a】本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの製造過程を順に示した側断面図である。
図4b】本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの製造過程を順に示した側断面図である。
図4c】本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの製造過程を順に示した側断面図である。
図4d】本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの製造過程を順に示した側断面図である。
図5a】本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの陽極リードフレームの製造過程を順に示した斜視図である。
図5b】本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの陽極リードフレームの製造過程を順に示した斜視図である。
図5c】本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの陽極リードフレームの製造過程を順に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0026】
また、本実施形態では、説明の便宜のために、キャパシタ本体においてタンタルワイヤが露出する方向を前方、上記前方に対向する方向を後方、上記前方及び後方と垂直に交差する方向を両側、キャパシタ本体の厚さ方向に該当する両面を上面及び下面(または実装面)に設定して説明する。上面は一方側の面の一例であってよく、下面は他方側の面の一例であってよい。
【0027】
図1は本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタを概略的に示した透過斜視図であり、図2は本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの概略的な構造を示した側面図であり、図3図1の底面図である。
【0028】
図1から図3を参照すると、本実施形態によるタンタルキャパシタは、キャパシタ本体10と、陽極リードフレーム20と、陰極リードフレーム30と、モールディング部40と、を含む。
【0029】
キャパシタ本体10は、タンタル材質を用いて形成され、一例としてタンタル粉末及びバインダーを一定比率で混合して撹拌させ、混合された粉末を圧縮して直方体に成形した後、これを高温及び高真空下において焼結させることで製作することができる。
【0030】
また、キャパシタ本体10は、前方に露出するタンタルワイヤ11を有する。
【0031】
タンタルワイヤ11は、上記タンタル粉末とバインダーが混合された粉末を圧縮する前に、その中心から偏心されるように上記タンタル粉末とバインダーの混合物に挿入されて装着されることができる。
【0032】
即ち、キャパシタ本体10は、バインダーを混合したタンタル粉末にタンタルワイヤ11を挿入装着することで所望するサイズのタンタル素子を成形した後、上記タンタル素子を約1,000〜2,000℃の高真空(10−5torr以下)の雰囲気において約30分焼結して製作することができる。
【0033】
このとき、キャパシタ本体10の表面には、必要に応じて、カーボン及び銀(Ag)が塗布されることができる。
【0034】
上記カーボンはキャパシタ本体10の表面の接触抵抗を減少させるためのもので、上記銀(Ag)は陰極リードフレーム30との電気連結性を向上させるためのものである。
【0035】
陽極リードフレーム20は、ニッケル/鉄合金などの導電性金属を含む第1導電性金属板材からなることができ、陽極端子部21、垂直支持部22及び陽極連結部23を含む。
【0036】
陽極端子部21は、モールディング部40の下面に露出し、他の電子製品との電気的連結のための連結端子として用いられる。
【0037】
また、陽極端子部21は、幅方向に広い面積を有する第1拡張部(図示せず)を有することができる。第1拡張部は、モールディング部40との固着強度を強化させる役割をすることができる。
【0038】
なお、垂直支持部22は、陽極端子部21の一側先端から垂直に延長形成される。さらに、陽極連結部23は、垂直支持部22から陽極端子部21の方に延長形成され、奥面がタンタルワイヤ11が露出する部分と接続して電気的に連結される。
【0039】
このとき、上記第1導電性金属板材における垂直支持部22と陽極連結部23が折り曲げられて形成される溝部23aは、樹脂モールディング時に樹脂を満たし、モールディング部40の一部を形成することにより、陽極リードフレーム20の固着強度を向上させ、クラックを防止する役割をする。
【0040】
また、陽極連結部23の奥面とタンタルワイヤ11は、例えば、電気溶接などによって付着されることができる。上記電気溶接は、特に電気スポット溶接方式を用いることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0041】
これにより、陽極連結部23とタンタルワイヤ11との接合部分が安定的に結合され、信頼性及び電気伝導性が向上することができる。
【0042】
本実施形態では、陽極連結部23が第1導電性金属板材の一部を外側から内側に向かって2段階に折り曲げて形成されるため、陽極連結部23を設計通り正確な位置に配置させることができ、設計と実際の工程後の散布を最小限にすることができる。
【0043】
また、キャパシタ本体10のタンタルワイヤ11が露出する部分のモールディング部40の体積を最小限にすることで、減少したモールディング部40の体積分だけ従来よりキャパシタ本体10のサイズを拡大してキャパシタ本体10の体積効率を相対的に高めることができる。なお、陽極リードフレーム20から陰極リードフレーム30に連結される電流経路(current path)の長さを減らすことで、電気抵抗特性(ESR)をさらに改善させることができる。
【0044】
一方、本実施形態では、陽極リードフレーム20の陽極端子部21と陽極連結部23が一体型からなるように図示して説明するが、本発明はこれに限定されず、必要に応じて、陽極端子部21、垂直支持部22及び陽極連結部23をそれぞれ製造した後、溶接などで付着して構成することもできる。
【0045】
陰極リードフレーム30は、ニッケル/鉄合金などの導電性金属からなることができ、陰極端子部31及び陰極連結部32を含む。
【0046】
陰極端子部31は、陽極リードフレーム20の陽極端子部21と平行に離隔されて配置され、その下面はモールディング部40の下面に露出して他の電子製品との電気的連結のための連結端子として用いられる。
【0047】
陰極連結部32は、陰極端子部31の上面に位置する部分で、キャパシタ本体10との接合面を確保するために平坦に構成され、その上にキャパシタ本体10が実装されて電気的に連結される。
【0048】
このとき、陰極連結部32は、陰極端子部31と一体型で構成されるか、またはそれぞれを製作して付着することで構成されることができる。
【0049】
また、陰極連結部32は、陰極端子部31に比べて広い面積を有するように構成されることで、キャパシタ本体10との接触面積を増やす第2拡張部としての役割をすることができる。
【0050】
なお、陰極リードフレーム30は、その下面の一部にモールディング部41が形成されるように段顎を有することができる。
【0051】
本実施形態では、陰極リードフレーム30の陰極端子部31と陰極連結部32を上下方向に段差を有するように形成することで、陰極リードフレーム30が上記段顎の構造を有するようにしたが、本発明はこれに限定されない。
【0052】
例えば、本実施形態における上記段顎は、モールディング部40の下面に陰極端子部31を露出させるために、陰極リードフレーム30を構成する第2導電性金属板材を湿式エッチングする過程において構成されるものである。このような湿式エッチング過程によって陰極リードフレーム30を構成する第2導電性金属板材において、エッチング後にモールディング部40の下面に露出する部分は陰極端子部31、モールディング部40の内部に位置する部分は陰極連結部32であることができる。
【0053】
陰極リードフレーム30の陰極連結部32とキャパシタ本体10との間には、陰極リードフレーム30の固着強度を向上させるために、導電性接着層50が形成されることができる。
【0054】
また、導電性接着層50は、例えば、エポキシ系の熱硬化性樹脂及び導電性金属粉末を含む導電性接着剤を一定量ディスペンジングまたはドッティングすることで形成されることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0055】
なお、上記導電性金属粉末として銀(Ag)を用いることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0056】
モールディング部40は、キャパシタ本体10を覆うようにEMC(エポキシモールディングコンパウンド、epoxy molding compound)などの樹脂をトランスファーモールディング(transfer molding)して形成されることができる。
【0057】
モールディング部40は、外部からタンタルワイヤ11及びキャパシタ本体10を保護する役割をすることができる。
【0058】
このとき、モールディング部40は、陽極リードフレーム20の陽極端子部21の下面及び陰極リードフレーム30の陰極端子部31の下面が露出するように形成される。
【0059】
一般に、タンタルキャパシタの構造において、キャパシタ本体の体積を大きくするほどキャパシタの静電容量が向上するが、物理的体積が増加するため素子の小型化に限界がある。
【0060】
本実施形態では、陽極リードフレーム20の陽極連結部23が第1導電性金属板材の一部を外側から内側に向かって2段階に折り曲げることによって形成されるため、キャパシタ本体10のタンタルワイヤ11が形成された部分のモールディング部40の体積を最小限にし、減少したモールディング部40の体積分だけ従来よりキャパシタ本体10のサイズを拡大して静電容量を増加させることができる効果がある。
【0061】
また、従来は、キャパシタ本体と陰極リードフレームとの間にはんだが形成されていたが、上記はんだが省略されるため、省略されたはんだの面積分だけ従来よりキャパシタ本体10のサイズを拡大して静電容量を増加させることができる効果がある。
【0062】
図4aから図4dは、本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの製造過程を順に示した側断面図である。
【0063】
以下では、図4aから図4dを参照し、本発明の一実施形態によるタンタルキャパシタの製造方法について説明する。
【0064】
図4aでは、まず、平板状からなる第1導電性金属板材を用いて陽極端子部21及び陽極連結部23を含む陽極リードフレーム20を設ける。
【0065】
陽極リードフレーム20では、図5a及び図5bに示されているように、上記第1導電性金属板材の一部、本実施形態では一側端部を外側から内側に向かって一次折曲して垂直に立て、図5cに示されているように、この垂直に立てられた部分が奥面に位置するように上記第1導電性金属板材を二次折曲して陽極連結部23に形成する。
【0066】
陽極連結部23は、その奥面がタンタルワイヤの露出部分と接続して電気的に連結され、上記第1導電性金属板材における底面に位置する部分は陽極端子部21として構成される。
【0067】
このとき、陽極リードフレーム20では、陽極端子部21と陽極連結部23との間に溝部23aが形成され、樹脂モールディング時に上記溝部23aに樹脂を満たし、モールディング部40を形成することができる。
【0068】
次に、図4bでは、平板状からなる第2導電性金属板材を用いて陰極端子部31及び陰極連結部32を含む陰極リードフレーム30を設ける。
【0069】
このとき、陰極リードフレーム30には、上記第2導電性金属板材の下面を湿式エッチングすることで段顎を形成することができる。
【0070】
本実施形態では、このような段顎によって陰極リードフレーム30が陰極端子部31と陰極連結部32に分けられる。
【0071】
上記段顎は、後述するキャパシタ本体の周りを樹脂でモールディングするとき、陰極リードフレーム30の下面の一部にモールディング部が形成されるようにすることで、陰極リードフレーム30とモールディング部との固着強度を向上させる役割をすることができる。
【0072】
また、陰極リードフレーム30の陰極連結部32は、陰極端子部31に比べて広い面積を有する第2拡張部として構成することで、後述するキャパシタ本体との接触面積を増やすことができる。
【0073】
上記の通り、本実施形態では、従来とは異なって陰極リードフレームを製造するとき、導電性金属板材を曲げたりする工程が省略されるため、製造工程が非常に簡単になる効果を期待することができる。
【0074】
一方、陽極リードフレーム20及び陰極リードフレーム30は、基板への実装時にはんだ付けの安定性を確保すべく、下面に露出する陽極端子部21及び陰極端子部31が対称構造を有するように形成されることができる。
【0075】
その後、図4cでは、陽極及び陰極リードフレーム20、30を水平に相対するように配置する。
【0076】
このとき、陽極及び陰極リードフレーム20、30の下面には、上記陽極リードフレーム20と陰極リードフレーム30が連結されるように、必要に応じて、耐熱性テープ(図示せず)が付着されることができる。
【0077】
上記耐熱性テープは、後続するモールディング工程において陽極及び陰極リードフレーム20、30の表面が汚染されることを防止するためのものである。
【0078】
続いて、陰極リードフレーム30の陰極連結部32上に、タンタル粉末を含み、一側に露出するタンタルワイヤ11を有するキャパシタ本体10を実装する。
【0079】
このとき、キャパシタ本体10のタンタルワイヤ11は、陽極リードフレーム20の陽極連結部23の奥面と接続する。
【0080】
即ち、キャパシタ本体10のタンタルワイヤ11を陽極リードフレーム20の陽極連結部23の奥面と接続するようにした状態で、タンタルワイヤ11と陽極連結部23をスポット溶接(spot welding)またはレーザ溶接(laser welding)したり、導電性接着剤を塗布して電気的に付着することで、タンタルワイヤ11と陽極リードフレーム20を電気的に連結する。
【0081】
一方、キャパシタ本体10を陰極連結部32上に実装する前に、陰極リードフレーム30の陰極連結部32の上面に導電性接着剤を塗布して導電性接着層50を形成する段階が行われる。これにより、キャパシタ本体10と陰極リードフレーム30との固着強度を向上させることができる。
【0082】
上記導電性接着層は、エポキシ系の熱硬化性樹脂及び導電性金属粉末を含んで構成されることができる。このような導電性接着剤を一定量ディスペンジングまたはドッティングして導電性接着層50を形成しキャパシタ本体10と陰極連結部32を付着させた後、密閉されたオーブンまたはリフローの条件下で150〜170℃において40〜60分間硬化することで、樹脂モールディング時にキャパシタ本体10が動かないようにする役割をすることができる。
【0083】
このとき、上記導電性金属粉末として銀(Ag)を用いることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0084】
次いで、図4dでは、タンタルワイヤ11及びキャパシタ本体10を覆うようにEMC(エポキシモールディングコンパウンド、epoxy molding compound)などの樹脂をトランスファーモールディング(transfer molding)してモールディング部40を形成する。
【0085】
ここで、モールドの温度は約170℃であり、EMCモールディングのための上記温度及びその他の条件は、用いられるEMCの成分及び形状によって適切に調節されることができる。
【0086】
また、モールディングの後に、必要に応じて、密閉されたオーブンまたはリフローの条件下で約160℃において30〜60分間硬化させることができる。
【0087】
このとき、陰極リードフレーム30の陰極端子部31の下面及び陽極リードフレーム20の陽極端子部21の下面が外部に露出するようにモールディング作業を行う。
【0088】
その後、モールディング部40の形成作業が完了すると、陽極及び陰極リードフレーム20、30の下面に付着されていた耐熱性テープを除去し、モールディング過程で生じたフラッシュ(flash)を除去するためのデフラッシュ工程をさらに行うことができる。
【0089】
続いて、陽極及び陰極リードフレーム20、30が付着された状態で、レーザーマーキングを行うことで、タンタルキャパシタの陽極方向とともに、必要に応じて、該当容量を標記することができる。
【0090】
また、後続工程として、必要に応じて、エージング工程をさらに行うことができる。
【0091】
上記エージング工程は、組立工程中に発生した電気的散布を減らす作用をする。
【0092】
最後に、チップの電極を設計通りに形成するために、陽極及び陰極リードフレーム20、30の残余部分を除去する工程を行ってタンタルキャパシタを完成させる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0094】
10 キャパシタ本体
11 タンタルワイヤ
20 陽極リードフレーム
21 陽極端子部
22 垂直支持部
23 陽極連結部
30 陰極リードフレーム
31 陰極端子部
32 陰極連結部
40、41 モールディング部
50 導電性接着層
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c