(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-95656(P2015-95656A)
(43)【公開日】2015年5月18日
(54)【発明の名称】非接触方式の電力伝送コイル及び非接触方式の電力供給装置
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20150421BHJP
H02J 17/00 20060101ALI20150421BHJP
【FI】
H01F23/00 B
H02J17/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-229351(P2014-229351)
(22)【出願日】2014年11月11日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0136570
(32)【優先日】2013年11月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0078487
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0096826
(32)【優先日】2014年7月29日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リム、ヒュン ケウン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、キ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】スン、ジェ スク
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン ウク
(72)【発明者】
【氏名】カン、チャン ソー
(72)【発明者】
【氏名】キム、シ ヒュン
(57)【要約】
【課題】本発明は、非接触方式で電力を伝送するコイル及び電力供給装置に関する。
【解決手段】非接触方式の電力伝送コイルは、一定面積を有するベースの少なくとも一面に形成されて複数のターンを有し、伝達された電力を非接触方式で外部に伝送する少なくとも一つの導電体パターンを含むことができる。上記導電体パターンの内径中心から上記導電体パターンの外郭パターン部に向かう一方向に沿って、上記導電体パターンの互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン間の間隔は互いに異なることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のターンを有し、電力を非接触方式で外部に伝送する少なくとも一つの導電体パターンを含み、
前記導電体パターンの中心から前記導電体パターンの外郭パターン部に向かう一方向に沿って、前記導電体パターンの互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部間の間隔が互いに異なる、非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項2】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部間の前記間隔が次第に短くなる、請求項1に記載の非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項3】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部のうち前記少なくとも一部のパターン部間の前記間隔は異なる第1の比率で与えられ、
前記導電体パターンの前記中心から前記導電体パターンの他の外郭パターン部に向かう他方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部間の間隔は異なる第2の比率で与えられ、
前記第1の比率は前記第2の比率とは異なる、請求項1または2に記載の非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項4】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部のうち前記少なくとも一部のパターン部間の前記間隔は異なる第1の比率で与えられ、
前記導電体パターンの前記中心から前記導電体パターンの他の外郭パターン部に向かう他方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部間の間隔は異なる第2の比率で与えられ、
前記第1の比率は前記第2の比率と同一である、請求項1または2に記載の非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項5】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部間の間隔が、前記導電体パターンの少なくとも一つの区間において異なり、
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも他のパターン部間の間隔が、他の区間において同一である、請求項1に記載の非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項6】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部の幅が互いに異なる、請求項1から5のいずれか1項に記載の非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項7】
複数のターンを有し、電力を非接触方式で外部に伝送する少なくとも一つの導電体パターンを含み、
前記導電体パターンの中心から前記導電体パターンの外郭パターン部に向かう一方向に沿って、前記導電体パターンの互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部の幅が互いに異なる、非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項8】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部の前記幅が次第に狭くなる、請求項7に記載の非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項9】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部のうち前記少なくとも一部のパターン部の前記幅は異なる第1の比率で与えられ、
前記導電体パターンの前記中心から前記導電体パターンの他の外郭パターン部に向かう他方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部の幅は異なる第2の比率で与えられ、
前記第1の比率は前記第2の比率とは異なる、請求項7または8に記載の非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項10】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部のうち前記少なくとも一部のパターン部の前記幅は異なる第1の比率で与えられ、
前記導電体パターンの前記中心から前記導電体パターンの他の外郭パターン部に向かう他方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部の幅は異なる第2の比率で与えられ、
前記第1の比率は前記第2の比率と同一である、請求項7または8に記載の非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項11】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部の幅が、前記導電体パターンの少なくとも一つの区間において異なり、
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも他のパターン部の幅が、前記導電体パターンの他の区間において互いに同一である、請求項7から10のいずれか1項に記載の非接触方式の電力伝送コイル。
【請求項12】
ベースと、前記ベースの少なくとも一面に形成されて複数のターンを有する少なくとも一つの導電体パターンとを有するコイルと、
前記コイルに電力を供給して非接触方式で前記電力を外部に伝送させる電力部と、
を含み、
前記導電体パターンの中心から前記導電体パターンの外郭パターン部に向かう一方向に沿って、前記導電体パターンの互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部間の間隔が互いに異なる、非接触方式の電力供給装置。
【請求項13】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部間の前記間隔が次第に短くなる、請求項12に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項14】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部のうち前記少なくとも一部のパターン部間の前記間隔は異なる第1の比率で与えられ、
前記導電体パターンの前記中心から前記導電体パターンの他の外郭パターン部に向かう他方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部間の間隔は異なる第2の比率で与えられ、
前記第1の比率は前記第2の比率とは異なる、請求項12または13に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項15】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部のうち前記少なくとも一部のパターン部間の前記間隔は異なる第1の比率で与えられ、
前記導電体パターンの前記中心から前記導電体パターンの他の外郭パターン部に向かう他方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部間の間隔は異なる第2の比率で与えられ、
前記第1の比率は前記第2の比率と同一である、請求項12または13に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項16】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部間の間隔が、前記導電体パターンの少なくとも一つの区間において互いに異なり、
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも他のパターン部間の間隔が、前記導電体パターンの他の区間において同一である、請求項12から15のいずれか1項に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項17】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部の幅が互いに異なる、請求項12から16のいずれか1項に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項18】
ベースと、
前記ベースの少なくとも一面に形成されて複数のターンを有する少なくとも一つの導電体パターンと、
前記導電体パターンに電力を供給して非接触方式で前記電力を外部に伝送する電力部と、
を含み、
前記導電体パターンの中心から前記導電体パターンの外郭パターン部に向かう一方向に沿って、前記導電体パターンの互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部の幅が互いに異なる、非接触方式の電力供給装置。
【請求項19】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部の前記幅が次第に狭くなる、請求項18に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項20】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部のうち前記少なくとも一部のパターン部の前記幅は異なる第1の比率で与えられ、
前記導電体パターンの前記中心から前記導電体パターンの他の外郭パターン部に向かう他方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部の幅は異なる第2の比率で与えられ、
前記第1の比率は前記第2の比率とは異なる、請求項18または19に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項21】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記隣接したパターン部のうち前記少なくとも一部のパターン部の前記幅は異なる第1の比率で与えられ、
前記導電体パターンの前記中心から前記導電体パターンの他の外郭パターン部に向かう他方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部の幅は異なる第2の比率で与えられ、
前記第1の比率は前記第2の比率と同一である、請求項18または19に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項22】
前記一方向に沿って、前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン部の幅が、前記導電体パターンの少なくとも一つの区間において異なり、
前記導電体パターンの前記互いに隣接したパターン部のうち少なくとも他のパターン部の幅が、前記導電体パターンの他の区間において互いに同一である、請求項18から21のいずれか1項に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項23】
複数のターンを有し、電力を非接触方式で供給する少なくとも一つの導電体パターンを含み、
前記導電体パターンの前記複数のターン間の間隔のうち、少なくとも一部の間隔は互いに異なる、非接触方式の電力供給装置。
【請求項24】
前記導電体パターンの前記複数のターン間の前記間隔は、前記導電体パターンの内側のターンから外側のターンに向かう順で短くなる、請求項23に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項25】
前記導電体パターンの前記複数のターン間の間隔のうち、他の間隔は同一である、請求項23または24に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項26】
前記導電体パターンの前記複数のターンのうちの少なくとも一部は、互いに異なる幅を有する、請求項23から25のいずれか1項に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項27】
複数のターンを有し、電力を非接触方式で供給する少なくとも一つの導電体パターンを含み、
前記導電体パターンの前記複数のターンのうちの少なくとも一部は、互いに異なる幅を有する、非接触方式の電力供給装置。
【請求項28】
前記導電体パターンの前記複数のターンの前記幅は、前記導電体パターンの内側のターンから外側のターンに向かう順で短くなる、請求項27に記載の非接触方式の電力供給装置。
【請求項29】
前記導電体パターンの前記複数のターンのうちの他の幅は同一である、請求項27または28に記載の非接触方式の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、非接触方式で電力を伝送するコイル及び電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子装置を作動させるためには、エネルギー源として電力を供給することが必要であろう。例えば、電力は外部電源から供給されてよく、また、自立稼動する装置は、その自己発電によって電力を取得することができるであろう。
【0003】
電子装置に対して外部電力を供給するためには、外部の電力供給設備から電子装置に電力を伝達するための電力供給装置が必要になるであろう。
【0004】
電子装置に内蔵されたバッテリー(battery)に電力を供給するために、有線方式の電力供給装置が、コネクタなどで電子装置へと直接連結されてよい。非接触方式の電力供給装置は、例えば磁気誘導効果または磁気共振効果を用いて、非接触方式で、電子装置に内蔵されたバッテリーに電力を供給することができる。
【0005】
例えば、磁気誘導効果または磁気共振効果を用いて非接触方式で電力を伝送するために、送電コイルと受電コイルとが、互いに隣接するように配置されて、使用されてよい。この場合、例えば、送電コイルと受電コイルとの間の距離による電力伝送効率及び伝送可能電力のレベルの問題点が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2013−0093667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のいくつかの実施例によると、送電面上または送電面上方に配置された送電コイル及び受電コイルの位置に依存した電力伝送効率の低減を抑制する非接触方式の電力伝送コイル及び非接触方式の電力供給装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の本発明の課題を解決するための本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルは、一定面積を有するベースの少なくとも一面に形成されて複数のターンを有し、伝達された電力を非接触方式で外部に伝送する少なくとも一つの導電体パターンを含むことができる。上記導電体パターンの内径中心から上記導電体パターンの外郭パターン部に向かう一方向に沿って、上記導電体パターンの互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン間の間隔は互いに異なることができる。
【0009】
本発明の他の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルにおいて、上記導電体パターンの内径中心から上記導電体パターンの外郭パターン部に向かう一方向に沿って、上記導電体パターンの互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターンの幅は互いに異なることができる。
【0010】
本発明の他の実施例による非接触方式の電力伝送装置は、一定面積を有するベースと、上記ベースの少なくとも一面に形成されて複数のターンを有する少なくとも一つの導電体パターンと、上記導電体パターンに電力を伝達して非接触方式で電力を外部に伝送させる電力部と、を含む。上記導電体パターンの内径中心から上記導電体パターンの外郭パターン部に向かう一方向に沿って、上記導電体パターンの互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターン間の間隔は互いに異なることができる。
【0011】
本発明の他の一実施例による非接触方式の電力伝送装置において、上記導電体パターンの内径中心から上記導電体パターンの外郭パターン部に向かう一方向に沿って、上記導電体パターンの互いに隣接したパターン部のうち少なくとも一部のパターンの幅は互いに異なることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施例によると、非接触方式の電力供給装置の送電面全体に電力伝送効率が均一に形成される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例による非接触方式の電力供給装置を概略的に示す図面である。
【
図2a】本発明の実施例による非接触方式の電力伝送コイルを概略的に示す平面図である。
【
図2b】本発明の実施例による非接触方式の電力伝送コイルを概略的に示す平面図である。
【
図2c】本発明の実施例による非接触方式の電力伝送コイルを概略的に示す平面図である。
【
図2d】本発明の実施例による非接触方式の電力伝送コイルを概略的に示す平面図である。
【
図2e】本発明の実施例による非接触方式の電力伝送コイルを概略的に示す平面図である。
【
図2f】本発明の実施例による非接触方式の電力伝送コイルを概略的に示す平面図である。
【
図2g】本発明の実施例による非接触方式の電力伝送コイルを概略的に示す平面図である。
【
図3a】本発明の一実施例による、送電コイルと受電コイルとの間の距離による効率グラフである。
【
図3b】本発明の一実施例による、送電コイルの平面図である。
【
図3c】本発明の一実施例による、
図3bに示された送電コイル及び受電コイルの位置による効率グラフである。
【
図4】本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの磁場の強さを示す図面である。
【
図5】本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの電流密度を示すグラフである。
【
図6a】本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの磁界の強さを示す図面である。
【
図6b】本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの磁界の強さを示す図面である。
【
図7a】本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの電界の強さを示す図面である。
【
図7b】本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの電界の強さを示す図面である。
【
図8】本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの各位置別の電力伝送効率を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施例について説明する。しかし、本発明の実施例は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施例に限定されない。また、本発明の実施例は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0015】
図1は本発明の一実施例による非接触方式の電力供給装置を概略的に示す図面である。
【0016】
図1を参照すると、本発明の一実施例による非接触方式の電力供給装置100は、コイル110及び電力部120を含むことができる。
【0017】
コイル110は非接触方式で外部に電力を伝送することができる。電力部120はコイル110に電力を伝達することができる。
【0018】
ここで非接触方式とは、例えば、これに限定されるものではないが、送信側と受信側との導電体間の直接的な連結無しに、電源が送信側から受信側に伝送される方式を意味する。さらに、非接触方式とは、無接点方式または無線伝送方式などを意味することができる。
【0019】
非接触方式の電力供給装置100の電力が伝送される送電面には、受電装置Aが配置されてよい。非接触方式の電力供給装置100の電力は、受電装置Aの受電コイルaにコイル110からの電力が伝送されるように、非接触方式の電力供給装置100の送電面から伝送されることができる。
【0020】
非接触方式の電力供給装置100の送電面に配置された受電装置Aが非接触方式の電力供給装置100から電力の伝送を受ける場合、受電装置Aと非接触方式の電力供給装置100のコイル110との距離、例えば、これに限定されるものではないが、受電装置Aの受電コイルaと非接触方式の電力供給装置100のコイル110との距離によって電力伝送効率が変化し得る。
【0021】
例えば、本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルは、
図2aから
図2gに示されるように構成されることができる。
【0022】
図2aから
図2gは本発明の実施例による非接触方式の電力伝送コイルを概略的に示す平面図である。
【0023】
まず、
図2aを参照すると、本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイル110は、ベース111及び導電体パターン112を含むことができる。
【0024】
図1に示されているように、導電体パターンは、複数個備えられてよい。複数の導電体パターンの動作及び作用は、一つの導電体パターンと、あるいは一つの導電体パターンを用いた場合と同一または同様であるため、説明の便宜上、以下では非接触方式の電力伝送コイルが一つの導電体パターンを含むことに基づいて詳細に説明する。
【0025】
ベース111は一定面積を有することができる。導電体パターン112はベース111の少なくとも一面に配置することができる。
【0026】
ベース111の一面に配置された導電体パターン112は、複数のターンを有することができ、また、複数の折り曲げパターン部112a1〜112a6、112b1、112c1、112d1を備えることができ、複数の折り曲げパターン部112a1〜112a6、112b1、112c1、112d1が電気的に連結されて、複数のターンを有する一つのパターンを形成することができる。
【0027】
上述の通り、複数の折り曲げパターン部112a1〜112a6、112b1、112c1、112d1が他に電気的に連結されて複数のターンを有することができる。また、少なくとも一つの直線パターン112l1、112l2、112l3が、それぞれ(112a1、112b1)、(112b1、112c1)、(112c1、112d1)のように、少なくとも二つの折り曲げパターン部112a1、112b1、112c1、および112d1の間に形成されて、折り曲げパターン部(112a1、112b1)、(112b1、112c1)、(112c1、112d1)の間を電気的に連結することができる。従って、複数のターンを有する一つのパターンを形成することができる。
【0028】
これにより、導電体パターン112は、例えば、円、四角形などの多様な形状からなる複数のターンを有することができる。
【0029】
一方、導電体パターン112の中心Cから外郭パターン部に向かう一方向αにおいて、隣接した折り曲げパターン部(112a1、112a2)、(112a2、112a3)、(112a3、112a4)、(112a4、112a5)、(112a5、112a6)間のそれぞれの距離d1、d2、d3、d4、d5のうち少なくとも一部は互いに異なることができる。
【0030】
例えば、一方向αにおいて、隣接した折り曲げパターン部(112a1、112a2)、(112a2、112a3)、(112a3、112a4)、(112a4、112a5)、(112a5、112a6)間のそれぞれの距離d1、d2、d3、d4、d5は、次第に短くなることができる。
【0031】
直線パターン部112l1、112l2、112l3、112l1a、112l1b、112l1c、112l1d、112l1eがさらに形成されてよい。導電体パターン112の中心Cから外郭パターン部に向かう一方向βにおいて、隣接した直線パターン部(112l1、112l1a)、(112l1a、112l1b)、(112l1b、112l1c)、(112l1c、112l1d)、(112l1d、112l1e)間の距離l1、l2、l3、l4のうち少なくとも一部は互いに異なることができる。例えば、隣接した直線パターン部間の距離l1、l2、l3、およびl4は、次第に短くなることができる。
【0032】
例えば、パターンを容易に形成するために、ベース111の両面に導電体パターン112を配置することができる。例えば、導電体パターン112が互いに重なることを防止するために、電力を伝送している導電体パターン112のうちの一または複数の部分を、複数のターンを有する複数の導電体パターン112が配置されたベース111の他面とは反対面である、ベース111の一面に配置することができる。
【0033】
上述の導電体パターン112は、近距離通信(Near Field Communication、NFC)のアンテナにも用いることができる。
【0034】
また、
図2bを参照すると、パターンの形状において、導電体パターン112は、パターン部間の間隔が異なる領域140、及び、バターン部間の間隔が同一である領域130を含むことができる。パターン部間の間隔が異なる領域140と、パターン部間の間隔が同一である領域130とは、交互に備えられてよい。さらに、導電体パターン112は、複数の領域130および/または140を有することができる。例えば、領域130と140とは、択一的に形成されることができる。
【0035】
図2c及び
図2dに示されているように、導電体パターン112は、例えば、これらに限定されるものではないが、円形または八角形のように様々な形状を有することができる。
【0036】
図2eに示されているように、導電体パターン112は、横の長さと縦の長さが同一であってよい。導電体パターン112の中心から外郭に行くほど、導電体パターン112のパターン部間の間隔を次第に狭くすることができる。さらに、導電体パターン112のパターン部間の間隔は、同一の比率で狭くすることができる。
【0037】
図2fに示されているように、導電体パターン112のパターン部は、同一の間隔を有することができる。導電体パターン部112の線幅は、導電体パターン112の中心から外郭に行くほど次第に狭くすることができる。
【0038】
図2gに示されているように、導電体パターン112の中心から外郭に行くほど、導電体パターン112のパターン部間の間隔を次第に狭くすることができる。パターンの横縦比に基づいて、導電体パターン112のパターン部の線幅を、導電体パターン112の中心から外郭に行くほど次第に狭くすることができる。導電体パターン112の線幅を、同一のターンにおいて、互いに異なる比率で狭くすることができる。例えば、
図2gに示されているように、導電体パターン112は、横の長さが縦の長さより長い長方形で形成されることができる。導電体パターン112の中心に垂直な第1方向に沿った導電体パターン112のパターン部の線幅は、導電体パターン112の中心に水平な第2方向に沿った導電体パターン112のパターン部の線幅より狭くてもよい。もちろん、広くてもよい。
【0039】
以下では、上述の導電体パターン112のパターン部間の間隔による、電気的な作用または特性について説明する。
【0040】
図3aは、本発明の一実施例による送電コイルと受電コイルとの間の距離による効率グラフであり、
図3bは、本発明の一実施例による送電コイルの平面図であり、
図3cは、本発明の一実施例による、
図3bに示された送電コイル及び受電コイルの位置による効率グラフである。
【0041】
一般に、非接触方式で電力を伝送する送電コイルと電力の伝送を受ける受電コイルとの間の電力伝送効率は、
図3aに示されているように、コイル中心間の距離dが遠くなるほど低下する。
図3bのように多くのターン及び同一間隔のパターン配列を有するコイル110が備えられる場合、コイル中央の開口面に多くの磁場が集まってコイル110同士の中心が一致するようになると、高い効率を達成することができる。しかし、
図3cのように受電コイルの中心が送電コイルの中心を外れると、効率が急激に低下するという問題点がある。特に、受電コイルの位置が送電コイルの中心からX軸及びY軸の外郭に移動すると、電力伝送効率が最も低いレベルに成り得る。
【0042】
これに対し、
図4は本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの磁場の強さを示す図面である。
【0043】
図2a及び
図4を参照すると、本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイル110のパターン部間の間隔、即ち、線密度は、コイルの外郭では高く、内部に行くほど低くなる。即ち、コイルの中心に向かうほど、非接触方式の電力伝送コイル110のパターン部間の間隔が広くなる(非等間隔と称する)。
【0044】
図4のように磁場(磁界、F)は、アンペア右ネジの法則によって電流の進行方向に垂直に形成される。電流からの距離が近くなるほど磁場Fの強さが大きくなる。これにより、中心部ではコイルのすべての電線に流れる電流方向が同一であるため同一方向の磁界が形成されて、高い効率で充電することができる。この例では、
図3bに示された等間隔コイルに比べて、コイルの中心から最も内側のパターン部までの距離が近いため、
図3bに示された等間隔コイルに比べて、本発明の一実施例による非等間隔コイルにおいて、より大きい磁場を形成することができる。
【0045】
また、等間隔コイルは、中心における磁場が強いが、線が外郭に密集しているため、コイルの中心から外れるほど磁場の強さが急激に落ちるようになる。これに対し、コイルの中心と外郭との間にもパターンが形成される本発明の一実施例による非等間隔コイルは、等間隔コイルに比べて、一定面積に相対的に平坦な磁場を形成することができる。これにより、等間隔コイルに比べて、非等間隔コイルの中心部の位置自由度が増大する。即ち、コイルの中心から遠くなっても、電力伝送効率が急激に低くなることを抑制することができる。
【0046】
但し、非等間隔コイルの外郭では磁界の強さが低下し得る。これを補償するために、非等間隔コイルの中心から外れるようになると、線密度を高くすることができる。即ち、コイルに流れる電流で形成された電界によって電力を伝送することで、磁界により電力伝送効率が低くなることを補償することができる。
【0047】
図5は本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの電流密度を示すグラフである。
【0048】
図5に示されているように、電流密度が上昇するようになって、高い線密度を有する非接触方式の電力伝送コイルのコイル部分の上に受電装置Aの受電コイルaが位置する場合、高い電流密度によって電界が強く形成されて高い効率で電力が伝送される。
【0049】
図5においては、青色はコイルを示し、赤色、黄色及び緑色は電流密度を示す。赤色−黄色−緑色の順に、電流密度は低くなる。コイルの外郭に行くほど電流密度が高くなって、コイルの外郭において強い電界が形成される。上記電流密度は変位電流密度であることができる。
【0050】
図2f及び
図2gに示されているように、コイルのパターン部の線幅tおよび/またはパターン部間の間隔は、非等間隔で形成することができる。
【0051】
例えば、電力伝送効率を高めるために、コイルの中心から外郭に行くほどコイルの線幅を増加させたり減少させたりして、コイルの外郭における電流密度を増加させることができる。
【0052】
また、
図2gに示されているように、コイルの横の長さと縦の長さの比率によってコイルの線幅を部分的に変化させること、および/または、コイルのパターン部間の間隔を同一のターン内で互いに異なるように変化させることができる。
【0053】
図6a及び
図6bは本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの磁界の強さを示す図面である。
【0054】
図6aに示されているように、受電装置の受電コイルaが非接触方式の電力伝送コイル110の中心に位置する場合、非接触方式の電力伝送コイル110から受電コイルaへの方向に形成される磁界の強さが高いのに対し、
図6bに示されているように、受電装置の受電コイルaが非接触方式の電力伝送コイル110の外郭に位置する場合、非接触方式の電力伝送コイル110から受電コイルaへの方向に形成される磁界の強さが低くなることが確認できる。
【0055】
図7a及び
図7bは本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの電界の強さを示す図面である。
【0056】
図7aに示されているように、受電装置の受電コイルaが非接触方式の電力伝送コイル110の中心に位置する場合、非接触方式の電力伝送コイル110から受電コイルaへの方向に形成される電界の強さが低いのに対し、
図7bに示されているように、受電装置の受電コイルaが非接触方式の電力伝送コイル110の外郭に位置する場合、非接触方式の電力伝送コイル110から受電コイルaへの方向に形成される電界の強さが高くなることが確認できる。
【0057】
図8は本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルの各位置別の電力伝送効率を示す図面である。
【0058】
本発明の一実施例による非接触方式の電力伝送コイルは、中心部において磁界による電力伝送効率が高く、外郭において電界による電力伝送効率が高い。これにより、
図8に示されているように、送電コイル全体に電力伝送効率が均一になって、どの位置に受電装置Aが位置しても電力の伝送を一定に受けることができるため、高い位置自由度を有する。
【0059】
図8における点線の交点は受電コイルの中心を示す。送電コイルの送電領域全体に配置された交点において受電コイルの中心が送電コイルのどの位置にあっても、84%〜90%程度の均一な無線電力伝送効率を有することができる。
【0060】
上述の通り、本発明のいくつかの実施例によると、送電コイルのパターン部の間隔を非等間隔で形成することにより、受電コイルの中心が送電コイルのどの位置にあっても、均一な無線電力伝送効率を得ることができる。
【0061】
上述の通り、本発明の実施例によると、電力伝送効率は、非接触方式の電力供給装置の送電面全体にわたって均一となることができる。
【0062】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0063】
100 非接触方式の電力供給装置
110 コイル
111 ベース
112 導電体パターン
120 電力部