(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-96515(P2015-96515A)
(43)【公開日】2015年5月21日
(54)【発明の名称】ルフィナマイドの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 249/04 20060101AFI20150424BHJP
A61P 25/08 20060101ALN20150424BHJP
A61K 31/4192 20060101ALN20150424BHJP
【FI】
C07D249/04 506
A61P25/08
A61K31/4192
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-240724(P2014-240724)
(22)【出願日】2014年11月28日
(62)【分割の表示】特願2011-530559(P2011-530559)の分割
【原出願日】2009年10月9日
(31)【優先権主張番号】2190/MUM/2008
(32)【優先日】2008年10月13日
(33)【優先権主張国】IN
(71)【出願人】
【識別番号】511109180
【氏名又は名称】シプラ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ラジェンドラ ナラヤンラオ カンカン
(72)【発明者】
【氏名】ドハルマラジェ ラマチャンドラ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ドイルイプ ラムダス ビラリ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗痙攣薬である、式(I)で表されるルフィナマイドの新規製造方法の提供。
【解決手段】(i)式IIAの2,6-ジフルオロベンジルハライドをアジドと反応させ、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンとする;(ii)該化合物をプロピオル酸メチルと反応させ、式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチルとする;(iii)該化合物をアンモニアと反応させ、ルフィナマイドとする;(i)〜(iii)の、全ての反応工程が、溶媒としての水の存在下で行われる、ルフィナマイドの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのルフィナマイドの製造方法であって、
【化1】
(i) 式IIの2,6-ジフルオロベンジルハライド(式中、Xは、クロリド、ブロミド又はヨー
ジドである。)をアジドと反応させ、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼン
を得ること;
【化2】
(ii) 式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンをプロピオル酸メチルと反応さ
せ、式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチルを
得ること;
及び
【化3】
(iii) 式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチル
をアンモニアと反応させ、式Iのルフィナマイドを得ること;
を含む、前記製造方法。
【請求項2】
Xがクロリドである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
Xがブロミドである、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記アジドがアルカリ金属アジドである、請求項1、2又は3記載の製造方法。
【請求項5】
前記アルカリ金属アジドがナトリウムアジド又はカリウムアジドである、請求項4記載
の製造方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属アジドがナトリウムアジドである、請求項4記載の製造方法。
【請求項7】
前記アジドがトリメチルシリルアジドである、請求項1、2又は3記載の製造方法。
【請求項8】
前記アジドがジフェニルホスホリルアジドである、請求項1、2又は3記載の製造方法
。
【請求項9】
工程(iii)における前記アンモニアが、アンモニア水の形態である、請求項1〜8のい
ずれか1項記載の製造方法。
【請求項10】
全ての反応工程が、溶媒として水の存在下で行われる、請求項1〜9のいずれか1項記
載の製造方法。
【請求項11】
工程(i)〜(iii)が、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンを単離すること
なく、及び式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール−4−カルボン酸
メチルを単離することなく行われる、請求項1〜10のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項12】
ワンポットである、請求項1〜11のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項13】
ルフィナマイドの製造方法における、プロピオル酸メチルの使用。
【請求項14】
前記方法を溶媒として水中で行う、請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記方法がワンポット方法である、請求項13又は14記載の使用。
【請求項16】
前記ルフィナマイドの製造方法が、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法である、
請求項13、14、又は15記載の使用。
【請求項17】
本明細書中の実施例に実質的に記載された方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルフィナマイドの改良された製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景及び先行技術)
ルフィナマイドは抗痙攣薬である。Lennox-Gastaut痙攣及び様々な他のてんかん発作の
治療のために他の薬剤及び療法と組み合わせて使用されている。トリアゾール誘導体であ
るルフィナマイドは、Novartis Pharma, AGにより2004年に開発され、Eisaiにより製造さ
れている。ルフィナマイドの化学名は、1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾ
ール-4-カルボキサミド(式I)であり、下記構造により表される。
【化1】
【0003】
ルフィナマイドは、US 4,789,680に最初に記載された。使用される合成方法は、下記の
反応スキーム1に示される。
【化2】
【0004】
式IIの2,6-ジフルオロベンジルクロリド及びナトリウムアジドを、DMSOの存在下で反応
させ、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンを得て、その後、2-プロピオル
酸で処理し、カルボン酸中間体を得る。硫酸の存在下でメタノールと反応させ、式IVの1-
(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチル中間体を得る。
その後、この中間体を単離し、メタノール性アンモニアとさらに反応させ、式Iのルフィ
ナマイドを得る。
【0005】
また、US 4,789,680は、式IIIの2,6-ジフルオロベンジルアジドをプロピオル酸と反応
させ、対応するカルボン酸中間体を得て、その後、塩化チオニルで処理し、続いてアンモ
ニアで処理して、ルフィナマイドを得る、ルフィナマイドの製造方法を開示している。
WO1998/002423は、2,6-ジフルオロベンジルアジドを2-クロロアクリロニトリルと反応
させることを含む、ルフィナマイドの製造方法を開示する。
【0006】
以前の方法に記載されているルフィナマイドの合成は、各工程において中間体の単離、
その後、異なる条件、溶媒、温度などを必要とする単離した中間体の新たな試薬への曝露
を伴う。多段階の抽出後処理手順のために、溶媒使用の増加とともに処理時間が長くなる
。そのような不連続な方法は、各単離工程時に生成物が損失し、かつ負荷流出が増えるの
で、収率が低くなる。さらに、先行技術に記載された方法は、環境に優しくない有機溶媒
の使用を伴う。したがって、多段階単離工程、複数の反応容器の使用、及び有機溶媒の使
用を避け、かつ高収率となる、ルフィナマイドの別の合成方法の必要性があることは明ら
かである。
【発明の概要】
【0007】
(本発明の目的)
本発明の目的は、ルフィナマイドの改善された製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、少ない反応時間とともに単純で、経済的で、かつ環境に優しい、
ルフィナマイドの製造方法を提供することである。
【0008】
(本発明の要旨)
本発明の第一の態様に従って、式Iのルフィナマイドの製造方法を提供する。
【化3】
該方法は、(i) 式IIの2,6-ジフルオロベンジルハライド(式中、Xは、クロリド、ブロ
ミド、又はヨージドである)を、アジドと反応させ、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフ
ルオロベンゼンを得ること;
【化4】
(ii) 式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンをプロピオル酸メチルと反応さ
せ、式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチルを
得ること;
【化5】
及び(iii) 式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メ
チルをアンモニアと反応させ、式Iのルフィナマイドを得ること;を含む。
【0009】
ある実施態様において、Xはクロリドであり、式IIの化合物は式IIAである。
【化6】
【0010】
ある実施態様において、Xはブロミドであり、式IIの化合物は式IIBである。
【化7】
【0011】
ある実施態様において、アジドは、アルカリ金属アジド、アルキルシリルアジド、又は
ホスホリルアジドである。アルカリ金属アジドは、ナトリウムアジド又はカリウムアジド
とすることができる。好ましくは、アルカリ金属アジドはナトリウムアジドである。アル
キルシリルアジドは、式R
3Si-N
3を有することができ、各Rは、C
1〜C
6アルキル基、例えば
、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシルである。
好ましくは、アルキルシリルアジドは、トリメチルシリルアジドである。あるいは、アジ
ドは、ホスホリルアジドであり、例えば、式P(O)(OR')
2N
3を有し、各R'は、C
1〜C
6アルキ
ル基であり、又は任意に置換されたアリールである。適切には、R'は、非置換フェニルで
ある。
【0012】
工程(iii)で使用されるアンモニアは、気体アンモニア、液体アンモニア、又はアンモ
ニア水の形態であることができ、好ましくはアンモニア水である。適切には、アンモニア
水の濃度は、約20%〜約25%の範囲である。典型的に、アンモニア水は滴下添加される。
【0013】
ある実施態様において、工程(i)は、約60℃〜約80℃の範囲の温度、好ましくは、約70
℃〜約75℃の範囲の温度で行われる。
ある実施態様において、工程(i)の反応時間は、約25時間〜約40時間、好ましくは、約2
5時間〜約30時間の範囲である。
【0014】
他の実施態様において、工程(ii)のプロピオル酸メチルは、式IIIの2-(アジドメチル)-
1,3-ジフルオロベンゼン中間体に、約20℃〜約30℃(適切には約25℃)の範囲の温度で滴
下して加えられる。その後、その温度を、約50℃〜約75℃の範囲の温度、好ましくは、約
60℃〜約65℃の範囲の温度に上げることができ、工程(ii)の反応時間は、約4時間〜約5時
間の範囲である。
【0015】
ある実施態様において、全ての反応工程は、溶媒として水の存在下で行う。これによっ
て、水が唯一の溶媒である。
適切には、工程(i)〜(iii)は、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンを単
離することなく、かつ式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カ
ルボン酸メチルを単離することなく行う。言い換えると、これらの中間体のいずれも、反
応混合物から固体として単離しない。
ある実施態様において、該方法はワンポット方法である。言い換えると、本発明の方法
において、ルフィナマイドを得る全ての工程は、単一の反応容器内で行われる。
【0016】
本発明の他の態様に従って、本発明の方法で製造されたルフィナマイドを提供する。
本発明の他の態様に従って、本発明の方法で製造されたルフィナマイドを、1以上の医
薬として許容し得る賦形剤とともに含む医薬組成物を提供する。
本発明の他の態様に従って、てんかん又はその徴候の治療に使用するための、本発明の
方法で製造されたルフィナマイドを提供する。
本発明の他の態様に従って、てんかん又はその徴候の治療方法であって、その必要があ
る対象に、治療的有効量の本発明の方法により製造したルフィナマイドを投与することを
含む、前記方法を提供する。
【0017】
したがって、本発明は、プロピオル酸メチルの使用を伴う、ルフィナマイドの改善され
た製造方法を提供するという利益がある。プロピオル酸メチルの使用は、先行技術におけ
るプロピオル酸よりも、反応時間を減らし、かつ環境に優しく安全な水を溶媒として使用
することができる。本発明の別の態様に従って、ルフィナマイドの製造方法におけるプロ
ピオル酸メチルの使用を提供する。ある実施態様において、該方法は、溶媒として水中で
行われる。適切には、該方法は、ワンポット方法である。
【0018】
本方法は、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンをプロピオル酸メチルと
反応させ、式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メ
チルを得ること、及び式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カ
ルボン酸メチルをルフィナマイドに変換することを含むことができる。
【化8】
【0019】
本発明の第一の態様に関して上述した条件と同じ反応条件を、この工程に適用すること
ができる。
式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチルの、
ルフィナマイドへの変換は、式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール
-4-カルボン酸メチルをアンモニアと反応させ、ルフィナマイドを得ることを含むことが
できる。
本発明の第一の態様に関して上述した条件と同じ反応条件を、この工程に適用すること
ができる。
【0020】
式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンは、式IIの2,6-ジフルオロベンジル
ハライド(式中、Xはクロリド、ブロミド、又はヨージドである。)をアジドと反応させ
、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンを得ることにより製造されてもよい
。
【化9】
本発明の第一の態様に関して上述した条件と同じ反応条件を、この工程に適用すること
ができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、特定の好ましくかつ任意の実施態様に関連して、これから詳細に記載される
であろう。その様々な態様は、より完全に理解され、かつ認識されることができる。
【0022】
本発明の方法は、ルフィナマイドの合成を含み、かつ溶媒として、グリーンケミストリ
ーに寄与する水を使用することができる。本発明は、ルフィナマイド製造の実用的、経済
的、及び効率的合成を開示する。この方法は、先の工程により形成された中間体を単離す
ることなく反応を行うことができるため、公知の方法と比較して特に有利である。本発明
の方法は、有害化学物質の取扱いのリスク、複数の反応器に付随する高コスト化を排除し
、かつ反応時間及び掃除作業を減らし、結果、より産業的に実行可能な方法となる。
【0023】
本発明のある実施態様において、下記の反応スキーム2に示す、ルフィナマイドの改良
した合成方法を提供する。
【化10】
【0024】
従って、ある実施態様において、本発明は、式Iのルフィナマイドの製造方法であって
、(a) 式IIAの2,6-ジフルオロベンジルクロリド
【化11】
を、水の存在下で、ナトリウムアジドと反応させ、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフル
オロベンゼン中間体を得ること;
【化12】
(b) 式IIIの中間体を、溶媒として水の存在下で、プロピオル酸メチルと反応させ、式IV
の1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチルを得ること
;
【化13】
及び(c) 式IVの中間体を、アンモニアと反応させ、式Iのルフィナマイドを得ること;を
含む、前記製造方法を提供する。
【0025】
ある実施態様において、本方法は、2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンを単離
することなく、かつ1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸
メチルを単離することなく行う。別の実施態様において、本方法は、ワンポット方法であ
る。あるいは、本方法は、中間体を単離して行うこともできる。
【0026】
ある実施態様において、水が、各工程(i)、(ii)及び(iii)における溶媒である。水は、
先行時技術において使用される環境に優しくない有機溶媒よりも有利である。さらに、水
の使用は、製造コストを下げ、後処理を単純化でき、かつ放流処理問題を最小限にする。
ある実施態様において、工程(a)は、約60℃〜約80℃の範囲、好ましくは、約70℃〜約7
5℃の範囲の温度で行う。
ある実施態様において、式IIIのアジド中間体を製造する反応時間は、約25時間〜約40
時間の範囲であり、好ましくは、約25時間〜約30時間の範囲である。
【0027】
別の実施態様において、工程(b)の2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼン中間体は
、室温(約25℃)で、プロピオル酸メチルの滴下添加により閉環反応に曝され、その後、そ
の温度を、約50℃〜約75℃の範囲の温度、好ましくは約60℃〜約65℃の範囲の温度に上げ
ることができ、該反応に必要な時間は、約4時間〜約5時間の範囲である。
【0028】
また別の実施態様において、工程(c)のアミド化反応は、気体アンモニア、液体アンモ
ニア、又はアンモニア水、好ましくは、アンモニア水の形態であり得る、アンモニアを用
いて行う。適切には、アンモニア水の濃度は、約20%〜約25%の範囲である。典型的には
、アンモニア水は滴下添加する。好ましくは、該反応は、約65℃〜約80℃の範囲、好まし
くは、約70℃〜約75℃の範囲の温度で行う。
該反応物を、室温(約25℃)に冷却し、水で洗浄し、その後、減圧下で乾燥して、固体ル
フィナマイドを得る。
【0029】
また別の実施態様において、ルフィナマイドは、先の各工程で得られた中間体を単離し
て、製造される。
また、本発明は、好ましくは、てんかん及びその徴候の治療用医薬製剤の形成における
、ルフィナマイドの使用に関する。
【0030】
好ましい実施態様を含む下記実施例は、本発明の実施の説明に役立つであろう。示され
る詳細は、一例として、本発明の好ましい実施態様の例示的説明の目的のためのものであ
ることが理解されるであろう。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
(1-[(2,6-ジフルオロフェニル)メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド (ル
フィナマイド)のワンポット製造)
250 mlの丸底フラスコに、2,6-ジフルオロベンジルブロミド(0.024 mol, 5 g)、ナトリ
ウムアジド(0.026 mol, 1.72 g)、及び水(50 ml)を加えた。反応混合物を70℃〜75℃に30
分間加熱し、アジド中間体形成を薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターした。反応終
了後に、反応物を室温に冷却し、その後、このプロピオル酸メチル(0.024 mol, 2.1 ml)
を滴下して加え、内容物を室温に維持した。添加終了後に、混合物を再び60℃〜65℃で4
〜5時間加熱した。反応終了後に、内容物を室温に冷却し、これに25%アンモニア水(40 m
l)溶液を滴下して加えた。反応物を70℃〜75℃に4〜5時間加熱し、その後、徐々に室温に
冷却させた。得られた固体を濾過し、水で洗浄した。生成物を、減圧下70℃〜75℃で乾燥
し、3.0 gのルフィナマイドを得た。
【0032】
(実施例2)
(1-[(2,6-ジフルオロフェニル)メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド(ルフ
ィナマイド)の多段階製造)
(工程A 2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンの製造)
250 mlの丸底フラスコに、2,6-ジフルオロベンジルブロミド(0.024 mol, 5 g)、ナトリ
ウムアジド(0.026 mol, 1.72 g)、及び水(50 ml)を加えた。反応混合物を70℃〜75℃に30
時間加熱し、アジド中間体の形成(99.4%)を、ガスクロマトグラフィーでモニターした。
反応終了後、内容物を室温に冷却した。反応混合物の層を分離し、上の水層及び下のアジ
ド中間体層を得た。その後、下層を濃縮し、減圧下で乾燥して、3.8 gの当該生成物を得
た。
【0033】
(工程B 1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチルの製
造)
250 mlの丸底フラスコに、工程Aから得られた2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼ
ン (0.0207 mol, 3.0 g)及び水(50 ml)を加えた。この混合物に、プロピオル酸メチル (0
.0207 mol, 2.1 ml)を室温で滴下添加し、その後、60℃〜65℃に4〜5時間加熱した。反応
の進行は、TLCによりモニターした。反応終了後に、反応混合物を室温に冷却した。得ら
れた固体を濾過し、その後、水(10 ml)で洗浄した。生成物を、減圧下50℃〜55℃で乾燥
し、2.5 gの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチルを
得た。
【0034】
(工程C ルフィナマイドの製造)
工程Bから得られた中間体の混合物(0.0098 mol, 2.5 g)、及び20%アンモニア水溶液(0.
196 mol, 15 ml)を、250 ml丸底フラスコに加えた。その後、混合物を、70℃〜75℃で5〜
6時間撹拌した。TCLでモニターして、反応終了後に、反応混合物を室温に冷却した。得ら
れた固体を濾過し、水で洗浄し、かつ減圧下60℃〜65℃で乾燥して、固体生成物(1.7 g)
を得た。
本発明は、添付の特許請求の範囲内で変更できることが理解されるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2014年12月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのルフィナマイドの製造方法であって、
【化1】
(i) 式IIの2,6-ジフルオロベンジルハライド(式中、Xは、クロリド、ブロミド又はヨージドである。)をアジドと反応させ、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンを得ること;
【化2】
(ii) 式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンをプロピオル酸メチルと反応させ、式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチルを得ること;
及び
【化3】
(iii) 式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸メチルをアンモニアと反応させ、式Iのルフィナマイドを得ること;を含み、かつ全ての反応工程が、溶媒としての水の存在下で行われる、前記製造方法。
【請求項2】
Xがクロリドである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
Xがブロミドである、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記アジドがアルカリ金属アジドである、請求項1、2又は3記載の製造方法。
【請求項5】
前記アルカリ金属アジドがナトリウムアジド又はカリウムアジドである、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属アジドがナトリウムアジドである、請求項4記載の製造方法。
【請求項7】
前記アジドがトリメチルシリルアジドである、請求項1、2又は3記載の製造方法。
【請求項8】
前記アジドがジフェニルホスホリルアジドである、請求項1、2又は3記載の製造方法。
【請求項9】
工程(iii)における前記アンモニアが、アンモニア水の形態である、請求項1〜8のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項10】
工程(i)〜(iii)が、式IIIの2-(アジドメチル)-1,3-ジフルオロベンゼンを単離することなく、かつ式IVの1-(2,6-ジフルオロベンジル)-1H-1,2,3-トリアゾール−4−カルボン酸メチルを単離することなく行われる、請求項1〜9のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項11】
ワンポットである、請求項1〜10のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項12】
ルフィナマイドの製造方法における、プロピオル酸メチルの使用であって、前記ルフィナマイドの製造方法が、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法である、前記使用。
【外国語明細書】