【課題】荷電粒子ビーム描画システムで時間および費用を低減することが有利な表面に所望のパターンを形成するための、可変整形ビーム(VSB)ショットを用いるための方法を提供する。
【解決手段】複数のVSBショットの集合体は、所望のパターンから逸脱する。さらに、VSBショットは、互いに重なり合うことが可能にされ、ショットのドーズを変化することが可能である。同様の方法が、光近接効果補正(OPC)、フラクチャリング、マスクデータ準備、および近接効果補正に適用される。グリフ生成のため、1つのVSBショットまたはVSBショットのグループから表面上にもたらされるパターンが事前計算される。最適化技術が、ショット数を最小化するために用いられ得る。本方法は、たとえば、レチクルを用いる光リソグラフィによって集積回路を製造するプロセスや、直接描画を用いて集積回路を製造するプロセスにおいて用いられ得る。
前記計算された基板像が、前記入力パターンに対して、予め定められた許容値の範囲内で等価ではない場合に、前記複数の荷電粒子ビームショットにおけるあるショットを修正することをさらに備える、請求項2に記載の方法。
前記修正された複数のショットにより前記レチクルパターンを再計算し、前記再計算されたレチクルパターンによって前記基板像を再計算することをさらに備える、請求項5に記載の方法。
前記複数の荷電粒子ビームショットにおける各ショットは、割り当てられたドーズを含み、前記荷電粒子ビームショットの前記ドーズは、前記近接効果補正の前に、互いに変化する、請求項1に記載の方法。
前記レチクルパターンの前記計算は、粒子ビームシミュレーションを含み、前記粒子ビームシミュレーションは、前方散乱、後方散乱、レジスト拡散、クーロン効果、エッチング、フォギング、装荷、およびレジスト帯電からなる群のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
前記基板像と前記入力パターンとの比較に基づいて、前記複数の荷電粒子ビームショットにおけるあるショットを修正するように構成された装置をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
前記レチクルパターンを計算するように構成された前記装置は、粒子ビームシミュレーションを実行し、前記粒子ビームシミュレーションは、前方散乱、後方散乱、レジスト拡散、クーロン効果、エッチング、フォギング、装荷、およびレジスト帯電からなる群のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のシステム。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、以下を優先権として主張する。
1)2008年9月1日に出願された、「キャラクタプロジェクション粒子ビームリソグラフィを用いたレチクルを製造するための方法およびシステム(Method and System for Manufacturing a Reticle Using Character Projection Particle Beam Lithography)」と題された、米国特許出願番号12/202,364
2)2008年9月1日に出願された、「キャラクタプロジェクションリソグラフィを用いて製造されるべきレチクルの光近接効果補正のための方法(Method For Optical Proximity Correction Of A Reticle To Be Manufactured Using Character Projection Lithography)」と題された米国特許出願番号12/202,365
3)2008年9月1日に出願された、「キャラクタプロジェクションリソグラフィを用いて製造されるべきレチクルの設計のための方法およびシステム(Method And System For Design Of A Reticle To Be Manufactured Using Character Projection Lithography
)」と題された米国特許出願番号12/202,366
4)2008年11月12日に出願された、「キャラクタプロジェクションリソグラフィを用いてレチクルを製造するための方法およびシステム(Method and System For Manufacturing a Reticle Using Character Projection Lithography)」と題された米国特許出願番号12/269,777
5)2009年5月27日に出願された、「可変整形ビームリソグラフィを用いて表面および集積回路を製造するための方法(Method For Manufacturing A Surface And Integrated Circuit Using Variable Shaped Beam Lithography)」と題された米国特許出願番号12/473,241
6)2009年5月27日に出願された、「可変整形ビームリソグラフィを用いて製造されるべきレチクルの光近接効果補正ための方法(Method For Optical Proximity Correction Of A Reticle To Be Manufactured Using Variable Shaped Beam Lithography)」と題された米国特許出願番号12/473,248
7)2009年5月27日に出願された、「可変整形ビームリソグラフィを用いて製造されるべきレチクルの設計のための方法およびシステム(Method And System For Design Of A Reticle To Be Manufactured Using Variable Shaped Beam Lithography)」と題された米国特許出願番号12/473,265
そして、それらのすべては、すべての目的のために、参照によりここに引用される。
【0002】
開示の背景
本開示はリソグラフィに関し、より特定的には、可変整形ビーム(variable shaped beam:VSB)荷電粒子ビームリソグラフィを用いた、レチクル、ウェハ、または他のいかなる表面であり得る表面の設計および製造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】表面を製造するために用いられる、可変整形ビーム荷電粒子ビーム描画システムを示す図である。
【
図3A】基板上に配置されるべきパターンのデザインを示す図である。
【
図3B】
図3Aに示されるデザインからレチクル内に形成されるパターンを示す図である。
【
図3C】
図3Bのレチクルを用いる基板のフォトレジスト内に形成されるパターンを示す図である。
【
図4A】
図3Aに示されるパターンの光近接効果補正されたバージョンを示す図である。
【
図4B】レチクル内に形成された後の、
図4Aに示されるパターンの光近接効果補正されたバージョンを示す図である。
【
図4C】
図4Bのレチクルを用いて基板のフォトレジスト内に形成されたパターンを示す図である。
【
図5A】表面上に形成されるべきパターンのデザインを示す図である。
【
図5B】通常ドーズを用いて表面上に形成された
図5Aのパターンを示す図である。
【
図5C】通常より少ないドーズを用いて表面上に形成された
図5Aのパターンを示す図である。
【
図5D】通常より多いドーズを用いて表面上に形成された
図5Aのパターンを示す図である。
【
図6A】表面上に形成されるべき多角形パターンを示す図である。
【
図6B】重なり合う長方形への、
図6Aのパターンのフラクチャリングを示す図である。
【
図6C】
図6Bの重なり合う長方形から形成される表面について、結果として得られるパターンを示す図である。
【
図6D】重なり合わない長方形内への、
図6Aのパターンのフラクチャリングを示す図である。
【
図7A】荷電粒子ビーム描画システムの視野(field)境界にわたって伸延する長方形パターンを示す図である。
【
図7B】荷電粒子ビーム描画システムの不正確さのために
図7Aにおけるパターンの描画からもたらされる、表面のパターンを示す図である。
【
図7C】荷電粒子ビーム描画システムの不正確さのために
図7Aにおけるパターンの描画からもたらされる、表面の他のパターンを示す図である。
【
図7D】ゴーストショットを用いて、
図7Aのパターンを表面へ転写する方法を示す図である。
【
図8A】荷電粒子ビーム描画システムによる描画のために、視野内に(生成される(hatched))デザインパターンの1つの部分を示す図である。
【
図8B】荷電粒子ビーム描画システムによる描画のために、視野内に(生成される(hatched))デザインパターンの他の部分を示す図である。
【
図9A】2つの重なり合うVSBショットを示す図である。
【
図9B】通常のドーズを用いた
図9Aの重なり合うVSBショットからもたらされる、表面のパターンを示す図である。
【
図9C】通常よりも高いドーズを用いた
図9Aの重なり合うVSBショットからもたらされる、表面のパターンを示す図である。
【
図10A】正方形パターンのデザインを示す図である。
【
図10C】重なり合わない長方形への、
図10Bのパターンのフラクチャリングを示す図である。
【
図10D】重なり合わないショットへの、
図10Bのパターンの、従来のフラクチャリングを示す図である。
【
図10E】本開示に従う、例示的な複数の重なり合う長方形を示す図である。
【
図11A】シリコンウェハ上の集積回路のような基板の製造に使用するための表面の準備の仕方の、概念的なフロー図の実施形態を示す図である。
【
図11B】シリコンウェハ上の集積回路のような基板の製造に使用するための表面の準備の仕方の、概念的なフロー図の他の実施形態を示す図である。
【
図12】シリコンウェハ上の集積回路のような基板の製造に使用するための表面の準備の仕方の、概念的なフロー図のさらに他の実施形態を示す図である。
【
図14】パラメータ化されたグリフの例を示す図である。
【
図15】シリコンウェハ上の集積回路のような基板の製造に使用するための表面の準備の仕方の、概念的なフロー図のさらになる実施形態を示す図である。
【
図16A】表面上に形成されるべきパターンを示す図である。
【
図16B】
図16Aのパターンを形成するための、主要VSBショットおよび補助VSBショットの使用を示す図である。
【
図17A】表面上に形成されるべきパターンを示す図である。
【
図17B】
図17Aのパターンを形成するための、主要VSBショットおよび補助VSBショットの使用を示す図である。
【
図18A】互いに近接近した2つのVSBショットを示す図である。
【
図18B】
図18Aの形状を通して描かれるラインに沿った、ドーズのグラフを示す図である。
【
図18C】
図18Aのショットから表面上に結果としてもたらされるパターンを示す図である。
【
図19A】基板上に形成されるべきパターンを示す図である。
【
図19B】
図19AのパターンのOPC処理の結果である曲線パターンを示す図である。
【
図19C】レチクル上に
図19Bの曲線パターンを形成し得る、重なり合うVSBショットの例示的な組を示す図である。
【
図19D】レチクル上に
図19Bの曲線パターンを形成し得る、重なり合うVSBショットの他の例示的な組を示す図である。
【
図20】VSBショットフラクチャリングの概念的なフロー図の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態の詳細な説明
本開示の改善点および利点は、重なり合うVSBショットおよび通常以外のドーズを可能にすること、ならびに、ショットの集合体を目標パターンから逸脱させることによって達成され得、多くの従来の重なり合わない通常のドーズのVSBショットと比較して、低減されたショット数から生成されるべきパターンを可能にする。したがって、方法およびシステムは、表面の準備に関連する長い描画時間および結果として生じる高いコストのような従前の問題に対処する、表面の製造のために提供される。
【0017】
図面を参照して、同じ番号は同じ事項を参照し、
図1は、荷電粒子ビーム描画システムのようなリソグラフィシステムの実施形態を特定し、この場合は、本開示に従って表面12を製造するために可変整形ビーム(VSB)を採用する電子ビーム描画システム10である。電子ビーム描画システム10は、開口プレート18に向けて電子ビーム16を投射する電子ビーム源14を有する。プレート18は、電子ビーム16が通過できるように形成された開口部20を有する。電子ビーム16が開口20を通過すると、レンズシステム(図示せず)によって、電子ビーム22として、他の開口プレートまたはステンシルマスク21に向けて方向付けられまたは屈折される。ステンシルマスク24は、その中に形成された、長方形や三角形のような多くの単純な形状を定める複数の開口部26を有する。ステンシルマスク24内に形成された各開口部26は、表面12においてパターンを形成するために用いられ得る。電子ビーム30は、開口部26のうちの1つから現れ、パターン28として表面12上に向けられる。表面12は、電子ビーム30と反応するレジスト(図示せず)でコーティングされている。電子ビーム22は、開口部26の多くの部分が重なるように方向付けられ、パターンの大きさおよび形状に影響を与える。表面12は、移動可能なプラットフォーム32上に取付けられる。最大屈折能力または荷電粒子ビーム30の視野サイズよりも大きいパターンが表面12上に書き込まれ得るように、表面12は、プラットフォーム32によって再位置決めすることができる。1つの実施形態においては、表面12はレチクルであり得る。この実施形態においては、レチクルは、パターンが露光された後、さまざまな製造ステップを受け、それを通してリソグラフィマスクになる。その後、マスクは、
図2に示される、光リソグラフィ装置または機械34において用いられ得る。光リソグラフィ機械34は、照明光源36と、マスク37と、概してサイズが低減されるレチクルパターン28の像をシリコンウェハ39上に投射して集積回路を生成するための1つまたはより多くのレンズ38とを備える。より一般的には、マスク37は、他の装置または機械において用いられ、パターン28を基板39上に転写する。他の実施形態においては、表面12はシリコンウェハのような基板である。
【0018】
上記に示されるように、半導体製造および他のナノテクノロジ製造は、光リソグラフィの限界に達しており、基板上に理想パターンを転写することが困難である。たとえば、
図3Aは、基板のレジスト内に形成されるべき回路を表わす理想パターン40を示す。その上に形成されるパターンを有するように企図されたレチクルおよびマスクが生成されると、レチクルはパターン40の完全な表現ではない。パターン40を表わすように企図された、レチクル内に形成され得るパターン42が
図3Bに示される。パターン42は、パターン40と比べると、より丸みを帯び、かつより短くされたフィーチャを有する。光リソグラフィプロセスにおいてパターン42が採用されると、
図3Cに示されるように、パターン44が、基板上のフォトレジストに形成される。パターン44は、理想パターン40にはあまり近くはなく、なぜ光近接効果補正が必要であるかを実証している。
【0019】
パターン40および44の間の違いを補償する取り組みにおいて、光近接効果補正が用いられる。光近接効果補正はデザインパターンを変化させ、レチクルを変化して、光回折、近接形状との光干渉、およびレジストプロセス効果によって生成される歪みを補償する。
図4A〜
図4Cは、パターン44のより良いバージョンを開発するために、どのように光近接効果補正が採用されて光リソグラフィプロセスが拡張されるかを示す。特に、
図4Aは、パターン40の変形バージョンであるパターン50を示す。角の鋭さを低下させる光学的およびプロセス効果を低減するために余分な領域が設けるため、パターン50は、パターン50のさまざまな角に付加されたセリフ(serif)要素52を有する。パターン50のレチクルが生成されると、
図4Bに示されるようなパターン54として、レチクル内に現れ得る。光近接効果補正されたパターン54が光リソグラフィ装置において用いられると、
図4Cに示されるような出力パターン56が生成される。パターン56は、パターン44よりも理想パターン40によく似ており、これは光近接効果補正によるものである。光近接効果補正を用いることは有用であるが、すべてのパターンが変形され、または装飾されることが必要とされ、それはレチクルを生産するための時間およびコストを増加する。また、レチクル上に形成されるさまざまなパターンは、正確には、それらの間でわずかな違いがあり、OPCが適用される場合に、これは、レチクルの処理において、時間と費用を追加する。
【0020】
図1を参照して、パターンが、レジストがコーティングされた表面12へ描画される場合、表面上に結果として得られるパターンは、露光量またはドーズと呼ばれる、レジストに到達する粒子の量に依存する。可変整形ビームショットのドーズはシャッタ速度で、すなわち与えられたショットが表面上に投射される時間の長さである。「ドーズ補正」は、所与のショットについてのドーズが、たとえば、近接効果補正(proximity effect correction:PEC)のために若干修正されるプロセスステップである。このため、最適なまたは「通常の」ドーズは、全てのショットについて同じであるわけではない。
図5Aは、表面上に描画されるべき多角形パターン60のサンプルを示す。
図5Bは、通常のドーズの場合に表面上にもたらされるパターン62を示す。パターン62の角が、理想パターン60に比べていくらか丸みを帯びていることに注意すべきである。
図5Cは、通常より少ないドーズの場合に表面上にもたらされ得るパターン64を示す。パターン64は概してより細く、パターンの長手方向の端部が、通常ドーズのパターン62と比べて、いくらか短くなっている。
図5Dは、通常より多いドーズの場合に表面上にもたらされ得るパターン66を示す。パターン66は「より太く」、通常ドーズのパターン62と比べて、全ての寸法がわずかに大きくなっている。パターン62、64および66間の違いは、変化するドーズに対するレジストの反応によるものである。
【0021】
重なり合うVSBショットは、本質的に、重なり合う領域と重なり合わない領域との間のドーズの差を生じ得る。たとえば、
図6Aは、VSB描画のための単純な形状に分解または分割(fractured)されなければならないデザインパターン70を示す。
図6Bは、1つのフラクチャリング解を示し、2つの長方形72および74で構成される。長方形72および74は、認識を容易にするために、内部に「X」のパターンが記されている。理解されるように、長方形72および74は、長方形領域75において重なり合う。形状70が長方形72および74を用いて露光される場合、領域75は、長方形72のドーズおよび長方形74のドーズの合計であるドーズを受ける。これは、領域75の近傍において、露光されるパターンを設計されたパターン70よりも「太く」し得る。
図6Cは、
図6Bのフラクチャリングを用いて、表面上に形成され得るパターン76を示す。パターン76においては、領域75における余分の露光のために、内部の角77が非常に丸みを帯びていることに注意すべきである。
図6Dは、重なり合わない3つの三角形78、79および80で構成される、代替的なパターン70のフラクチャリングを示す。
図6Dのフラクチャリングは、パターン70の全ての部分が通常露光を受けるので、従来的に好ましく、
図6Bのフラクチャリングよりも、表面へのデザインパターン70のより忠実な転写を提供し得る。
【0022】
VSBショットが従来でも重なり合わされる特定の状況がある。たとえば、パターンが露光のために準備されるときに、パターン形状が
図1の電子ビーム30の、1つの視野の境界を越えて伸延するように定められる場合、その形状は複数のステップにおいて露光され、パターンの一部が露光され、プラットフォーム32が動かされ、そしてパターンの他の部分が露光される。
図7Aは、この例において、視野境界82が交差するパターンを示す。
図7Bは、2つのショット83および84が、異なる視野のショットの場合に、表面を露光し得る1つの手法を示す。プラットフォーム32を位置決めする能力の不正確さのために、ショット83および84は、垂直方向および水平方向の両方において、わずかにずれている。
図7Bの例においては、そのずれは、重なり合う小領域を生成する。このパターンが最終的に基板に転写されて集積回路に製造されると、この重なりは、一般的に何も問題は引き起こさない。
図7Cは、他の可能性のあるずれを示す。
図7Cにおいては、ショット86および88の間における水平方向のずれが、ショット間の隙間を生成する。この隙間がシリコンウェハのような基板に転写されると、結果として得られる集積回路は、適切には機能しないかもしれない。潜在的なずれによって回路の機能不全が引き起こされることを防止する1つの方法が
図7Dに示されており、ショット90および92間の潜在的な隙間が、ゴーストショットと呼ばれる小さな追加的ショット94を用いて満たされる。パターン描画プロセスにおける不正確さを補償するように設計されたゴーストショットおよび類似の技術は、増加したショット数をもたらす。
【0023】
マルチパス描画は、VSBショットを意図的に重ね合わせる他の従来技術である。全体のパターンが、この技術を用いて一回露光され、その後に全体のパターンの2回目の露光がされる。2回より多くのパス回数も用いられ得る。マルチパス描画は、レジスト加熱、レジスト帯電、および視野と視野とのずれのような、望ましくない描画効果を低減するために用いられ得る。
図8A,
図8Bは、視野と視野との間のずれが、どのように低減され得るかを示す。
図8Aは、ハッチングされた領域で示される、5×5の視野グリッド98上に重ね合わされたデザイン96を示す。
図7で前述したように、視野境界が交差する形状は分割され、複数のステップにおいて露光される。
図8Bは、ハッチングされた領域に示される同じデザイン96を示し、グリッド100とデザイン96との配置がグリッド98とは異なるように、5×5の視野グリッド100上に重ね合わされる。デザイン96におけるパターンが、1つのパスにおけるグリッド98上への露光のために分割される場合、第2のパスにおけるグリッド100上への露光のために再分割され、第1のパスからの視野と視野との間のずれが、第2のパスからの視野と視野との間のずれとは異なる位置に生じ、それによって、ずれの効果を低減する。マルチパス描画においては、各パスについてのドーズは、単一パス描画についてよりも比例的に低く、その目標は、全パスについてのドーズの合計が、パターンの全ての部分についての通常ドーズになることである。したがって、従来においては、1つのパスにおけるショットの重なりは避けられる。マルチパス露光は、レジスト加熱およびレジスト帯電のような、他の望ましくない描画効果の効果を低減するためにも用いられ得る。マルチパス露光は、実質的にショット数を増加する。
【0024】
図16A,
図16Bは、他の公知の技術を示す。
図16Aにおいては、形状150は、表面に形成されるべき所望パターンである。
図16Bは、その形状150を形成するために用いられ得る、3つの露光パターンの組を示す。この例においては、露光パターン151は、所望パターンの形状である、露光パターン152および153は、補助露光である。露光パターン152および153は、通常よりも低いドーズで露光され、露光中および後続のレジストプロセス中に、形状150の端部が短くなることを防止するためのデザインである。
図16A,16Bの技術においては、所望パターンについての露光と補助露光との間に、明らかな区別がある。
【0025】
図17A,
図17Bは、他の公知技術を示す。
図17Aは、表面に形成されるべき所望パターン160を示す。
図17Bは、そのパターンを形成するために用いられ得る5つのVSBショットを示す。ショット161は、メインショットである。補助ショット162、163、164および165は、ショット161に完全に重なり合っている。補助ショットは、メインショットよりも十分に低いドーズを使用し、そうでなければ粒子ビーム露光システムの限界のために生じ得る、表面上のパターンにおける角の丸みを低減するのに役立つ。
【0026】
ゴーストショット、マルチパス描画、および補助ショットを含む、重なり合うVSBショットについての上述の技術は、2つの共通の特性を有する。
・おそらくサイズが大きくされるか小さくされるすべてのショットまたはショットのサブセットのいずれかの集合体は、目標パターンに一致する。
・すべての技術は、重なり合わない単一パスのVSBショットに比べてショット数が増加する。
現在の開示は、これらの2つの特性を回避するパターンを生成するための方法を提示する。この方法においては、
・ショットの重なり合いが許容される。
・どのようなショットもサイズが大きくされた場合であっても、一般的に、集合化されると目標パターンに一致するショットのサブセットは存在しない。
・ショット数は、単一パス、重なり合わないVSBについてのショット数よりも、少なく、しばしば実質的に少なくなり得る。
本開示の方法は、たとえば、コンピュータベースの最適化技術を用いて、表面上に所望パターンを形成するために計算される、有望な重なり合うVSBショットの組を決定することによって、これらの目標を達成する。具体的には、パターンのすべての部分におけるレジストに対して通常のドーズを提供することの従来の制限は排除される。重なり合わないVSBショットおよび重なり合うVSBショットの両方において、通常のレジストのドーズ以外を使用することは、従来の技術を用いるよりも、少ないショットで特定のパターンを可能にする。最適化技術は、レジストにおいて通常以外のドーズから記録されるパターンを計算するために、粒子ビームシミュレーションのような正確な方法に依存する。しかしながら、完全なデザインに適用される場合は、粒子ビームシミュレーションおよびショット最適化に含まれる計算の複雑さは高い。計算の複雑さは、これまで、一律の通常ドーズを用いることを人々に強いており、完全なデザインの粒子ビームシミュレーションは必要とされない。
【0027】
本開示において説明される様々なフローは、適切なコンピュータソフトウェアを有する汎用コンピュータを用いて実現され得る。大量の計算が必要とされるために、複数のコンピュータまたはプロセッサコアが並列に用いられ得る。1つの実施形態においては、計算は、フローにおける1つまたはより多くの計算集中ステップについて、複数の二次元幾何学領域に分割され、並列処理をサポートする。他の実施形態においては、単一あるいは複数のいずれかで用いられる特殊目的のハードウェア装置が用いられ、汎用コンピュータまたはプロセッサコアを用いるよりも、大きな速度で1つまたはより多くのステップの計算を実行する。本開示において説明される最適化およびシミュレーション処理は、可能性のある解の書き換えおよび再計算の繰り返し処理を含み得る。
【0028】
従来技術と比較した現在の開示のショット数低減は、曲線パターンについて特に顕著であり得る。たとえば、
図9Aは2つの長方形が重なり合うショット110および112を示す。
図9Bは、通常ドーズのショット110および112から表面上に生成され得るパターン114を示し、
図9Bにおける点線として示される。重なり合わないショットが用いられた場合には、パターン114は2つより多くのショットを必要とする。他の例においては、
図9Cは、各ショットが通常よりも高いドーズを有するショット110および112によって生成され得るパターン116を示す。全体的に、パターン116はパターン114よりも大きく、いくらか異なった形状をしている。パターンの数を拡張するために用いられ得るパターンを含む1つまたはより多くの重なり合うショットのドーズを変化させることは、少ない数のショットのみを用いて利用可能である。粒子ビーム露光シミュレーションは、
図9Bおよび
図9Cのパターンのような、複数のショットから表面上に形成されるパターンを決定するために用いられ得る。単一のVSBショットまたはVSBショットの組み合わせによって生成されるように知られたパターンは、グリフと呼ばれる。グリフのライブラリは、事前計算され、光近接効果補正またはマスクデータ準備機能に対して利用可能とされ得る。たとえば、パターン116および114は事前計算されて、グリフライブラリに記憶される。
【0029】
重なり合うショットを用いる1つの複雑さは、パターンの各部分について応答するレジストを計算することである。レジストのある領域が複数のショットからドーズを受ける場合、ショットの各々からのドーズはトータルドーズを決定するために組み合わされなければならない。たとえば、
図18Aは、近接近した2つのVSBパターン500および502を示す。
図18Bは、パターン500および502を横切る線503に沿って受けるドーズを示す。
図18Bにおいては、パターン500についてのVSBショットからレジスト上に記録されるドーズは504であり、パターン502についてのVSBショットからレジスト上に記録されるドーズは506である。破線508は、それより上においてレジストがパターンを記録する、しきい値508を示す。点線510は、504および506の両方が顕著な領域における、504および506の組み合わせを示す。組合されたドーズ510は、パターン500および502の間のいかなる点においてもレジストしきい値508を下回らないことに注意すべきである。したがって、
図18Cに示されるように、組み合わせドーズ曲線510は、レジストがパターン500および502を単一の組合されたパターン512として記録する。
【0030】
領域が、通常より十分に大きいまたは十分に小さいドーズをレジスト上に受ける場合に、表面上に結果として得られるパターンを予測することは、非常に困難なことである。粒子ビーム露光シミュレーションが、結果として得られるパターンを決定するために用いられる。このプロセスは、レジストコーティングされた表面の、荷電粒子ビームシステムによる露光をシミュレートし、荷電粒子ビームシステムの物理特性、ならびに、レジストおよびレジスト下層の表面の電気光学特性および化学特性を説明する。粒子ビーム露光シミュレーションは、前方散乱、後方散乱、レジスト拡散、クーロン効果、エッチング、フォギング、装荷(loading)、およびレジスト帯電を含む荷電粒子ビーム露光プロセスの様々な理想的でない効果をモデル化するために用いられる。これらの効果のほとんどは、短い範囲の効果であり、各VSBショットはパターンに隣接する部分にのみ影響を与えることを意味する。しかしながら、後方散乱、フォギング、および装荷は、長い範囲の効果であり、パターンの小さい部分のみが考慮される場合には、正確にはシミュレートすることができない。レジスト帯電は、短い範囲の効果であるが、最終ショット露光シーケンスが知られた後に計算されなくてはならない。
【0031】
たとえば、
図20は、フラクチャリングと呼ばれるプロセスである、グリフを事前計算する事によりパターンについてのVSBショットを生成するためのフローの1つの実施形態を示す。
図20のフロー900においては、所望パターン902は、表面上に形成されるべきパターンであり、プロセスへの一次入力である。ステップ904にて、エッチング補正が、エッチングモデル906に基づいて計算され得る。ステップ904は、エッチング前にレジスト上に形成されるべき所望パターンである、所望のレジストパターン908を生成する。したがって、所望レジストパターン908は、グリフと一致するための目標パターンである。個別に、ステップ922にて、VSBショット920の組み合わせがシミュレートされ、グリフ926のライブラリへ追加するためのグリフを生成する。粒子ビームシミュレーションステップ922は、1つまたはより多くの短い範囲の露光効果924についてのモデルを用いる。したがって、グリフライブラリ926内の結果として得られるグリフは、短い範囲の露光効果を事前補償される。グリフ生成の間に、長い範囲の露光効果を補償することはできない。なぜなら、効果の範囲が、グリフパターンより大きいからである。ステップ910においては、グリフライブラリ910からのグリフが選択され、配置され、そして、エッチング補正された所望パターン908を予め定められた許容範囲に一致させるパターンをレジスト上に生成するためのドーズが与えられる。ステップ910は、ショットのドーズを決定するために、1つまたはより多くの長い範囲の露光効果912を用いる。ステップ910の出力は、VSBショット914の初期リストである。その後、VSBショット914の初期セットがステップ916にてシミュレートされ、さらに補正されまたは修正される。ステップ917において、ステップ916からのシミュレートされたパターンが所望レジストパターン908と比較されて、2つのパターンが予め定められた許容範囲内に一致するかどうかを決定する。予め定められた許容範囲内の一致が見出せない場合は、ステップ916からのシミュレートされた粒子ビームパターンがエッチング補正された所望パターン908の予め定められた許容範囲内になるまで、ステップ916において、追加の補正およびシミュレーションがなされ得る。予め定められた許容範囲内の一致を達成することができない場合は、ステップ917において用いられる許容値も調整され得る。ステップ917の結果は、荷電粒子ビームシステムを用いた、レジストコーティングされた表面への描画に適した、検証されたショットリスト918である。
【0032】
図10A〜
図10Eは、変化するドーズを用いた重なり合うショットの使用が、どのようにショット数を低減することができるかの例を示す。
図10Aは、電子自動設計ソフトウェアシステムによって生成され得るコンタクト(contact)のような、基板上にパターンを形成する光リソグラフィで用いられるべき所望パターン118を示す。パターン118は、正方形の形状である。
図10Bは、パターン118のOPC処理によって生成され得る曲線パターン120を示す。パターン120は、光リソグラフィプロセスを用いるためのマスクをつくることにおいて用いるためにレチクル上に形成されるべきものである。
図10Cは、VSB技術を用いてレチクル上にパターン120を書き込むために用いられ得る、重なり合わない長方形の1つの組122を示す。理解されるように、長方形120の組の集合体は、形状120にほぼ近似する。しかしながら、スライバ(sliver)と呼ばれる、幅に対する長さの高いアスペクト比を有するショットが照射される場合は、いくつかの荷電粒子ビームシステムは、比較的不正確となる。したがって、長方形120の組は、フラクチャリングソフトウェアによって従来的には生成されない。
図10Dは、表面へ形状120を描画するために従来的に用いられ得る、重なり合わない形状の他の組−長方形と三角形−を示す。この形状の組は、スライバを使用せずにVSB技術を用いて照射することができる。ショットグループ124には7つのショットがある。これは、形状120と同じくらい単純な図形について多くの数のショットである。
図10Eは、適当なドーズを用いて、所望パターン120近いレチクル上のパターンを記録することができる、本開示の3ショットのグループ130を示す。この例において、ショット132および134は、1.0の相対ドーズを有し、ショット136は0.6の相対ドーズを有する。レジスト上に記録されたパターンは形状140であり、予め定められた許容範囲内で所望パターン120と等価である。3ショットのグループ130は、7ショットのグループ124よりも所望パターン120に近いパターンを、レジスト上に記録することができる。この例は、変化するドーズを用いた重なり合うショットが、ショット数を低減するためにどのように効果的に用いられ得るかを示す。単純なショットの集合体によって形成されるパターンとは実質的に異なるパターンが形成され得る。さらに、デカルト平面の軸に平行なショットをもちいても、曲線形状が形成され得る。ショットグループ130は、事前計算され、コンタクトパターン118と一致するすべてのコンタクトで用いるためのグリフとして利用可能とされ得る。
【0033】
図19A〜
図19Dは、より複雑なパターンを有する、重なり合うVSBショットを示す。
図19Aにおいては、パターン180は、たとえば、光リソグラフィプロセスの使用のためにコンピュータ支援設計ソフトウェアによって生成され得る2つの正方形182および184で構成される。
図19Bは、パターン180のOPC処理によって生成され得る対応するパターン186を示す。この例は、2つの全く同じ形状182および184のOPC処理が、わずかに異なる形状の組を結果として生成し得ることを示す。多くの従来的な重なり合わないVSBショットが、パターン186をレチクル上に形成するために必要とされる。
図19Cは、曲線パターン186をレチクル上に生成し得る、重なり合う可変ドーズVSBショットの組を示す。ドーズは示されていないが、VSBショット190の組におけるショットは変化するドーズを有する。このショットの組の決定において、最小ショットサイズおよび最大ショットアスペクト比が、制約として設定された。190におけるショットの集合体−すなわちショットの組み合わせ190によって覆われる全領域−は、曲線パターン186に一致しないことに注意すべきである。さらに、VSBショットの組190のいかなるサブセットも、曲線パターン186に一致しない。しかしながら、レジストが記録する計算パターンは、予め定められた許容範囲内で、曲線パターン186と一致する。
図19Dは、曲線パターン186をレチクル上に生成し得る、重なり合う可変ドーズVSBショット194の他の組を示す。
図19Cのように、VSBショット194の組におけるショットは、変化するドーズを有する。ショット190の組におけるショットの位置とショット194の組におけるショットの位置とはかなり異なっているが、両方の組は、予め定められた許容範囲内の曲線パターン186を形成する。この例は、本開示によって、比較的効果的な曲線パターンがレチクルのような表面上にどのように生成され得るかを示している。
【0034】
図11Aは、光リソグラフィを用いたシリコンウェハ上への集積回路のような基板の製造に用いる表面を準備するための、本開示の実施形態の概念的なフロー
図250である。
最初のステップ252において、集積回路の物理設計のような物理設計が設計される。これは、論理ゲート、トランジスタ、金属層、および集積回路のような物理設計に見出されるように要求される他の事項を決定することを含み得る。次に、ステップ254において、光近接効果補正が決定される。本開示の実施形態においては、これは、事前計算されたグリフまたはパラメータ化されたグリフの入力を採用することを含み得、それは、有利にも、OPCを実行するための計算時間を低減し得る。本開示の実施形態においては、OPCステップ254は、ショット数または描画回数の同時最適化も含み得、そして、フラクチャリング演算(fracturing operation)、重なり合うショットを可能にするショット配置演算、通常ドーズ以外を可能とするドーズ割り当て演算も含み得、あるいは、ショットシーケンス最適化演算または他のマスクデータ準備演算も含み得る。OPCステップ254は、粒子ビームシミュレーションも用い得る。光近接効果補正が完了すると、ステップ256において、マスクデザインが現像される。ステップ258において、フラクチャリング演算、ショット配置演算、ドーズ割り当て演算、またはショットシーケンス最適化を含み得る、マスクデータ準備が実行され得る。OPCステップ254またはMDPステップ258のいずれか、あるいはこれら2つのステップ254または258と独立した分離プログラムが、要求されるパターンのすべてまたは大部分を表面上に描画するために表面上に照射され得る、多くのグリフまたはパラメータ化されたグリフを決定するためのプログラムを含み得る。OPCと、1つのステップにおけるマスクデータ準備のさまざまな演算のいくつかまたはすべての組み合わせが、本開示において意図される。マスクデータ準備(mask data preparation:MDP)ステップ258は、ショットの重なり合いおよび通常以外のドーズ割り当てが可能とされるフラクチャリング演算を含み得、粒ビームシミュレーションも含み得る。MDPステップ258は、マスクデザインにぴったり一致するマスクを生成するようにグリフを一致するためのパターンマッチング演算も含み得る。マスクデータ準備は、表面上に形成されるべきパターンを、わずかに異なるいくつかのパターンとともに入力すること、およびショット数またはトータル描画回数を低減するためのショットドーズの変化またはショットの重なり合いの変化を計算するための、粒子ビーム露光シミュレーションを用いることも含み得る。表面上のわずかに異なるパターンの組は、基板上に実質的に同じパターンを生成するように設計され得る。マスクデータ準備が完了すると、表面が、電子ビーム描画システムのようなマスク描画機械において生成される。この特定のステップは、ステップ262として定義される。ステップ264に示されるように、電子ビーム描画システムは、表面上にパターンを形成するために、表面上のステンシルマスクにおける開口部を通して電子のビームを投射する。完成した表面は、その後、光リソグラフィ機械において用いられ得、それはステップ266に示される。最後に、ステップ268において、シリコンウェハのような基板が製造される。グリフ生成ステップ274は、ステップ276におけるグリフまたはパラメータ化されたグリフの組に対して情報を提供する。上述のように、グリフ生成ステップ274は、粒子ビームシミュレーションを用い得る。また、論じたように、グリフまたはパラメータ化されたグリフステップ276は、OPCステップ254またはMDPステップ258に情報を提供する。
【0035】
図11Bは、シリコンウェハ上の集積回路のような基板の製造に使用するための表面の演算方法の、より詳細なフロー
図280であり、OPCおよびMDP演算が単一のステップに有利にも組み合わされている。最初のステップ282において、集積回路の物理設計のような物理設計が取得される。物理設計は、従来のCAD物理設計ソフトウェアから直接的に取得される集積回路デザインであり得、あるいは、たとえば、ブール演算、サイジング、バイアシング、または1つまたは複数の設計層の再標的化(retargeting)を実行することによる集積回路設計から生成され得る。次に、ステップ284において、OPCおよびMDP演算が、マスクデータ補正(Mask Data Correction:MDC)と称される単一のステップにおいて実行される。荷電粒子ビーム描画システムおよびマスク製造プロセスの特性に関する情報296が、MDCステップに供給される。情報296は、たとえば、前方散乱、後方散乱、レジスト拡散、クーロン効果、レジスト帯電、フォギング、最大ショットサイズ、最大ショットアスペクト比、およびショットの幾何学的記述を含み得る。情報296は、有望なVSBショットのライブラリも含み得る。他の実施形態においては、事前演算された、または事前計算されたグリフ297のライブラリも、MDCステップに供給される。OPCを実行するために必要とされる情報298も、MDCステップ284に供給される。MDCステップ284は、光近接効果補正298を実行するときに、荷電粒子ビームシステムおよびプロセスに関する、利用可能な情報296を使用する。MDCステップ284は、所望のウェハイメージ294を達成するために、生成されたVSBショットの組を最適化する。所望のウェハイメージ、すなわちMDCステップの目標は物理設計282であり得、または物理設計282から抽出され得る。最適化は、VSBショット、それらの配置、およびそれらのドーズの選択を含み得る。VSBショット、それらの配置、およびそれらのドーズの選択は、荷電粒子ビームシステム情報296、VSBショットのデータベース、グリフのライブラリ、またはそれらの組み合わせに基づき得る。分割されたデータの最適化は、マスクデータイメージのシミュレーション、シミュレートされたマスクイメージに基づくウェハイメージのシミュレーション、シミュレートされたウェハイメージと目標ウェハイメージとの比較を含み得る。そのような比較の結果は、最適化基準として用いられ得る。他の最適化基準は、さらに、VSBショット数、VSBショットの最小サイズ(すなわち、スライバ)、同一環境における同一の目標ウェハイメージについての同一のVSBショットの組の生成、および物理設計282に対称パターンを描画するための対称的なVSBショットの組の生成を含み得る。次に、MDCステップ284によって生成された準備されたマスクレイアウト286が、マスク描画システム288において用いられ、表面290上にパターンを生成する。その後、完了した表面は、光リソグラフィ機械において用いられ、ステップ292に示される。最後に、ウェハ上のイメージがステップ294にて生成される。
【0036】
図12を参照して、光リソグラフィを用いてシリコンウェハ上への集積回路のような基板の製造に用いるための表面の準備方法の、他の概念的フロー
図300が示され、マスクデータ準備出力から生成されたマスクデザインが、等価基準に基づくポストOPCマスクデザインと比較される。第1のステップ302において、集積回路の物理設計のような物理設計が設計される。これは、設計者が基板上に転写されることを望んでいる理想パターンであり得る。次に、ステップ304において、ステップ302において生成された理想パターンの光近接効果補正が決定される。これは、準備に必要とされるグリフを選択することを含み得る。光近接効果補正は、有望なグリフを入力することも含み、そのグリフは、変化するショットのドーズまたは変化するショットの重なり合いを計算するために、粒子ビーム露光シミュレーションを用いて決定される。さらに、光近接効果補正は、有望なグリフから1つのグリフを選択すること、選択されたグリフに基づいて基板上に転写されるパターンを演算すること、および、演算されたパターンが予め定められたしきい値より大きい程度に所望の補正されたパターンと異なっている場合に他のグリフを選択することを含み得る。光近接効果補正が完了すると、ステップ304においてマスクデザインが現像される。その後、ステップ306において、マスクデザインが準備される。マスクデザインが準備されると、マスクデザインのさらなる拡張がマスクデータ準備ステップ308において実行される。マスクデータ準備は、マスクデザインに近く一致するマスクを生成するために、グリフを一致させるパターンマッチングをさらに含み得る。検証並行型設計(correct-by-construction)「決定性」計算が実行される潜在的には1回だけの反復を含む、パターンマッチング、ドーズ割り当て、および等価性検証の反復も実行され得る。これらのステップは、拡張された等価マスクデザインの準備を支援する。
【0037】
マスクが拡張されると、VSBショットの組のような等価マスクデザインが、ステップ310にて生成される。等価マスクデザインが、マスクデザインと本当に等価であるかどうかを決定するために用いられ得る試験のための2つの動機付けがある。1つの動機付けは、マスク検査を通過することである。他方の動機付けは、チップまたは集積回路が、製造されたときに適切に機能することを確認することである。パターンマッチング演算が一致を宣言する緊密さは、一組の等価基準によって決定され得る。等価基準は、少なくとも部分的に、リソ等価(litho-equivalence)によって駆動され得る。リソ等価は、予め定められた一組の幾何学的規則、一致、一部一致または不一致を宣言する一組の数学式によって、あるいは、マスクデザインのリソグラフィシミュレーションおよび等価マスクデザインのリソグラフィシミュレーションを実行するとともに、2つの結果を予め定められた一組の幾何学的規則または一致、一部一致または不一致を宣言する一組の数学式と比較することによって決定され得る。MDPステップ308は、予め決定されたグリフの組、またはパラメータ化されたグリフを用いて、結果として得られる等価マスクデザイン310が等価基準を満たすことを保証しつつ、ショット数または描画時間について最適化し得る。他の実施形態においては、OPCおよびMDPは、検証並行型設計において組合わされ得、そのような場合においては、等価マスクデザイン310から別個に生成されるマスクデザイン306はなくてもよい。
【0038】
等価マスクデザインが正しいことが決定されると、電子ビーム描画システムのような荷電粒子ビーム描画システムにおいて表面が処理される。このステップは、ステップ314マスク描画として認識される。電子ビーム描画システムは、表面上のステンシルマスクにおける開口部を通して電子のビームを投影して、表面上にパターンを形成する。表面は、ステップ316において、マスクイメージが完成する。完成した表面は、その後、光リソグラフィ機械で用いられ、それはステップ318に示されており、表面上に見出されるパターンをシリコンウェハのような基板に転写して集積回路を製造する。最後に、ステップ320にて、半導体ウェハのような基板が生産される。グリフ生成ステップ326は、ステップ328における一組のグリフまたはパラメータ化されたグリフに情報を提供する。先述のように、グリフ生成ステップ326は、粒子ビームシミュレーションを用い得る。また、論じたように、グリフまたはパラメータ化されたグリフステップ328は、OPCステップ304またはMDPステップ308のいずれかに情報を提供する。
【0039】
再び
図11Aを参照して、上述のように、1つの実施形態においては、OPCステップ254は、MDPステップ258の様々な機能を含み得る。光近接効果補正システムは、事前演算されたまたは事前計算されたグリフの大きなライブラリとともに開始し得る。光近接効果補正システムは、その後、集積回路の元の物理設計のレチクル設計への光近接効果補正変換の実行において、できるだけ多くの利用可能なグリフを用いるように試みる。グリフは、関連するショット数および描画時間最適値を用いて各々印付けられ、光近接効果補正システム、マスクデータ準備システム、またはいくつかの従属プログラムは、より少ないショット数または描画時間を選択することによって、ショット数または描画時間を最適化し得る。最適化は、各グリフが、パターンが一致するようにグリフを選択する特定の順序で、ショット数または描画時間を選択するための最良のグリフであるものを最適化するように選択される欲深い(greedy)手法で、あるいは、グリフ選択の交換が全体のショット数または描画時間を最適化する、シミュレートされたアニーリング(annealing)を用いるような反復最適化手法で実行され得る。レチクル上に形成されるべきいくつかの所望パターンが、利用可能なグリフによってもまだ不一致のままであり得るという可能性があり、そのようなパターンは事前演算されたグリフの一部ではない個々のVSBショットの使用によって形成されることを必要とする。
図15を参照して、シリコンウェハのような基板の表面上に直接描画されるパターンの準備方法の他の概念的なフロー
図700が示される。最初のステップ702において、集積回路の物理設計のような物理設計が決定される。これは、設計者が基板上に転写されることを望んでいる理想パターンであり得る。次に、ステップ704において、近接効果補正(proximity effect correction:PEC)および他のデータ準備:(data preparation:DP)ステップが実行され、基板描画装置への入力データを準備し、ここで物理設計の結果は、わずかに異なる多くのパターンを含む。ステップ704は、ステップ724から有望なグリフまたはパラメータ化されたグリフを入力することも含み、そのグリフは、可能性のある重なり合うVSBに基づいており、そのグリフは、グリフ生成ステップ722において、変化するショットドーズまたは変化するショット位置の計算を用いて決定される。ステップ704は、ステップ702において創出された物理設計に接近して一致するウェハイメージを創出するようにグリフを一致させるパターンマッチングも含み得る。検証並行型設計(correct-by-construction)「決定性」計算が実行される潜在的には1回だけの反復を含む、パターンマッチング、ドーズ割り当て、および等価性検証の反復も実行され得る。ステップ704の結果は、一組のウェハ描画指令706である。ウェハ描画指令706は、その後、電子ビーム描画システムのような、ウェハ描画機械においてウェハを準備するために用いられる。このステップは、ステップ710として認識される。電子ビーム描画システムは、表面上の開口部を通して電子ビームを投影して、表面内にパターンを形成する。表面はステップ712において完成する。グリフ生成ステップ722は、ステップ724における一組のグリフまたはパラメータ化されたグリフへ情報を提供する。グリフまたはパラメータ化されたグリフは、PECおよびデータ準備ステップ704へ情報を提供する。ステップ710は、潜在的には、
図11Aおよび
図12に関連して説明された方法を用いたいくつかの処理、および
図15を参照して上記概説した方法を用いた他の処理、またはシリコンウェハ上に集積回路を生成するための他のウェハ描画方法を用いて生成された他のものを有する、各層の処理に必要とされる繰り返しアプリケーションを含み得る。
【0040】
図13を参照して、光近接効果補正、フラクチャリング、近接効果補正、またはマスクデータ準備の他のステップによって用いられ得るグリフ1000,1002,1004,1006の例が示される。これらのグリフ1000,1002,1004,1006は、類似の分割された一組のVSBショットによって生成されてもよいし、または異なるフラクチャリングによって生成されてもよい。グリフを生成する方法にかかわらず、そのグリフは、表面上の可能なパターンであることが知られた、可能なパターンを表わす。各グリフは、グリフを含むVSBショットの各々についての、位置およびドーズの情報に関連し得る。
【0041】
図14は、パラメータ化されたグリフ1010および1012の例を示す。グリフ1010は、変化され得る寸法仕様で記述された一般的な形状を例示し、この場合は、長さXは、10と25との間で長さの値が変化される。グリフ1012は、より制限的な手法における同様の一般的な形状を例示しており、ここで、長さXは、特定の値である、たとえば、10、15、20または25の特定の値のうちの1つのみを取り得る。パラメータ化されたグリフ1010は、これらの記述が、パラメータ化されていないグリフの列挙法では実現されない、多くの可能性のあるグリフを可能とすることを例示している。
【0042】
グリフ1010についてのパラメータ化されたグリフの記述の例は以下のように示され得る。
【0044】
グリフ1020についてのパラメータ化されたグリフの記述の例は以下のように示され得る。
【0046】
これらの記述例は、どのパラメータの値が、「where ((x = 10) or (x = 15) or (x = 20) or (x = 25))」または「where ((x = 10) or ((x>10) and (x<25)) or (x = 25))」
のような特定の基準を満たしているか決定する、論理試験を生じさせるパラメータに基づいている。パラメータ化されたグリフを記述する多くの他の手法がある。構築法を例示する他の例は以下のように示される。
【0048】
本明細書は、特定の実施形態に関して詳細を説明したが、当業者が、上述の理解に到達することについて、これらの実施形態の変更、修正、および均等物を容易に相当し得ることは明らかであろう。可変整形ビームリソグラフィを用いて表面または集積回路を製造するための提示したシステムおよび方法についての、これらのおよび他の修正および変形は、添付の特許請求の範囲により特定的に記載される本主題の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実現され得る。さらに、当業者は、上記説明は例示に過ぎず、限定されるべきことが意図されていないことを理解するであろう。したがって、本主題は、添付された特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内のものとして、そのような修正および変形に及ぶことが意図される。