【解決手段】車載装置2は、第1の通信路を介して携帯端末へ無線で所定の制御信号を送信する第1車載無線通信手段26と、第2の通信路を介して携帯端末1から送信される映像および音声を無線で受信する第2車載無線通信手段25とを備える。携帯端末1は、第1の通信路を介して、車載装置2から無線で制御信号を受信する第1携帯無線通信手段16と、第2の通信路を介して、車載装置2へ無線で映像および音声を送信する第2携帯無線通信手段15とを備える。第1車載無線通信手段26は、第1の通信路を介して、第2の通信路を確立するための接続要求を第1携帯無線通信手段へ送信し、第2携帯無線通信手段は、第1携帯無線通信手段が接続要求を受信すると、第2車載無線通信手段25との間で第2の通信路を確立する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(伝送モード)
本発明に係る車載情報システムを構成する携帯端末と車載装置は単独でも使用できるが、伝送モードを有効にすると、車載装置から携帯端末を操作するだけでなく、携帯端末から出力される映像および音声を車載装置から出力することができる。車載装置から携帯端末を操作する制御信号伝送用の通信路、および携帯端末から車載装置へ映像および音声を伝送する映像・音声伝送用の通信路を確立させることにより、伝送モードが有効になる。ただし、制御信号伝送用の通信路では携帯端末から車載装置への情報送信も可能であり、伝送モードを有効にするまでの各種手続きは制御信号伝送用の通信路を利用する。
【0010】
伝送モードでは、車載装置のタッチパネル等を使用して携帯端末を操作し、携帯端末が出力する映像および音声を車載装置から出力するため、携帯端末にインストールされているアプリケーションを、あたかも車載装置にインストールされているかのように扱うことができる。このとき携帯端末では、車載装置でアプリケーションを選択するのに適したメニュー画面を生成すると共に、車載装置に対する操作内容を認識するための処理を行うアプリケーション(ランチャーアプリ)が実行される。ただし安全性に配慮し、車両の走行状態に応じて、アプリケーションごとに操作や画面表示の可否を設定できる。例えば、ナビゲーションのアプリケーションは、車両の走行中は表示のみを許可し、停車中には表示および操作を許可する。また、Webブラウザは走行中は表示および操作を禁止する。
【0011】
携帯端末および車載装置の起動直後は伝送モードは無効になっており、所定の手順により有効にできるが、前述の2つの通信のうちいずれか1つでも切断されると伝送モードは再び無効になる。
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、
図1〜
図9を参照して、本発明による第1の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る車載情報システムの構成を示したものである。車載情報システムは、携帯端末1および車載装置2を含む。
【0014】
携帯端末1は、制御部10、表示部11、音声出力部12、操作部13、記憶部14、映像・音声伝送用無線伝送部(以下、映像伝送部)15、制御信号伝送用無線伝送部(以後、制御伝送部)16を含む。
【0015】
制御部10は、図示しないCPU、ROM、RAMを備え、ROMから後述するフローチャートで表されるプログラムや、後述する記憶部14に保存されているプログラムを読み取り、RAMに展開して実行する。また、制御部10は携帯端末1の各構成部とバスで接続されており、各構成部とデータを授受できるだけでなく、構成部同士でデータを授受させることもできる。
【0016】
表示部11は、不図示の液晶ディスプレイなどを備え、制御部10で実行しているプログラムにより生成されたインタフェース画面や、記憶部14に保存されている映像コンテンツなどが表示される。ただし、伝送モードが有効になると、制御部10は表示部11に出力するデータを、映像伝送部15にも同様に出力する。
【0017】
音声出力部12は、不図示のDA変換器やスピーカーを備え、制御部10から伝送された音声データがスピーカーから出力される。ただし、伝送モードが有効になると、制御部10は音声出力部12に出力するデータを、映像伝送部15にも同様に出力する。
【0018】
操作部13は、不図示のタッチパネルやボタンを備え、ユーザの操作を制御部10に伝達する。ただし伝送モードが有効になると、操作部13からの入力だけでなく、車載装置2からの入力も制御部10へ伝達される。
【0019】
記憶部14は、不図示のフラッシュメモリを備え、ユーザがダウンロードしたアプリケーションおよび音声や動画などのマルチメディアファイルが保存される。
【0020】
映像伝送部15は、携帯端末1から車載装置2に映像及び音声を無線により伝送する、例えばMiracast(登録商標)の通信が可能な通信モジュールであり、制御部15a、通信部15b、記憶部15c、ROM15dを備える。制御部15aは不図示のCPUおよびRAMを備え、ROM15dから所定のプログラムをRAMに展開して実行する。通信部15bは、車載装置2の映像伝送部25と無線通信するための電波の送受信を行う部分であり、変復調回路、増幅回路、アンテナ等を含む。記憶部15cは、これまでに接続した車載装置2の映像伝送部25に対して設定されている固有の映像伝送部識別情報(たとえばMACアドレス)のリスト(以下、接続済み映像伝送部リスト)を保存する。ROM15dは、制御部15aが実行するプログラム、映像伝送部15が対応する通信方式、携帯端末1のデバイス属性を表す名称や型番等の情報、および映像伝送部15に固有の映像伝送部識別情報が記録されている。なお、これらの構成の機能の一部は、制御部10や記憶部14が担ってもよい。
【0021】
さらに映像伝送部15は、デバイス被探索機能に対応しており、映像伝送部15が起動していれば、制御部15aは常に以下の動作を行う。通信部15bが、車載装置2を含む他のデバイスから規定のデバイス探索信号を受信すると、制御部15aはROM15dに保存されている映像伝送部識別情報、および携帯端末1のデバイス属性に関する情報を、デバイス探索信号の送信元に送信する。なお、映像伝送部15は、省電力のために通常は起動しておらず、制御部10により必要に応じて起動されるようにしてもよい。
【0022】
制御伝送部16は、車載装置2から携帯端末1へ制御信号を無線により伝送する、例えばBluetooth(登録商標)の通信が可能な通信モジュールであり、制御部16a、通信部16b、記憶部16c、ROM16dを備える。これらの構成が有する機能は、制御部15a、通信部15b、記憶部15c、ROM15dとほぼ同じである。ただし、記憶部16cは接続済み映像伝送部リストではなく、これまでに接続した車載装置2の制御伝送部26に対して設定されている固有の制御伝送部識別情報(たとえばBTアドレス)のリスト(以下、接続済み制御伝送部リスト)を備える点が、記憶部15cと異なる。また、ROM16dは保存するプログラムが異なる点、および保存する識別情報が例えばBTアドレスである点が異なる。また、映像伝送部15と同様に、デバイス探索機能を有しており、各構成の機能の一部を制御部10や記憶部14が担ってもよい。
【0023】
車載装置2は、制御部20、表示部21、音声出力部22、操作部23、記憶部24、映像伝送部25、制御伝送部26を含む。
【0024】
制御部20の構成は、制御部10と同様である。ただし制御部20は、さらに車両から出力される車速信号およびパーキング信号を、たとえば不図示のCAN(Controller Area Network)を経由して取得することができる。この車速信号およびパーキング信号に基づいて、制御部20は、車両が停止中もしくは走行中のいずれの状態にあるかを判断することができる。
【0025】
表示部21の構成は表示部11とほぼ同様であるが、伝送モードが有効になると、携帯端末1から伝送された映像が表示部21に表示される。
【0026】
音声出力部22は、不図示のDAコンバータおよびスピーカー、もしくは車載スピーカーへの接続部を備える。伝送モードが有効になると、携帯端末1から伝送された音声が音声出力部22から出力される。
【0027】
操作部23の構成は操作部13とほぼ同様であるが、伝送モードが有効になると、操作部23の入力が携帯端末1の制御伝送部16へ伝送される点が異なる。
【0028】
記憶部24、映像伝送部25、および制御伝送部26の構成は、それぞれ、記憶部14、映像伝送部15、および制御伝送部16と同様である。なお、映像伝送部15や制御伝送部16と同様に、映像伝送部25や制御伝送部26が有する各構成の機能の一部を制御部20や記憶部24が担ってもよい。
【0029】
次に、第1の実施の形態に係る動作を説明する。
【0030】
車載装置2から携帯端末1を操作し、携帯端末1の音声および映像を車載装置2で再生するためには、携帯端末1と車載装置2の間で映像・音声伝送用の通信路および制御信号伝送用の通信路が確立し、伝送モードが有効になっている必要がある。すなわち以下では、携帯端末1と車載装置2の間で2つの通信路を確立させ、伝送モードを有効にする動作を説明する。
【0031】
図2は、携帯端末1の制御部10が実行するプログラムの動作を表すフローチャートである。制御部10は、所定のアプリケーションが実行されているときに、一定の時間間隔ごと、例えば1分ごとに、
図2のフローチャートで示されるプログラムを実行する。ただし、前回の実行が終了していない場合は実行しない。以下の説明で特に明示しない場合は、各ステップの実行主体は制御部10のCPUである。
【0032】
ステップS101では、制御部10は、伝送モードが有効であるかを判断し、伝送モードが有効でない場合はステップS102に、伝送モードが有効な場合は
図2のフローチャートを終了する。ステップS102では、車載装置2の制御部20からのコンフィグレーションの通信を待つ。ここで、コンフィグレーションとは、携帯端末1と車載装置2が互いの詳細情報を交換する処理であり、製造会社の名称や機器の型番、対応する機能の一覧などがコンフィグレーション情報として交換される。このコンフィグレーションにおける制御部10と制御部20との通信は、携帯端末1の制御伝送部16と車載装置2の制御伝送部26の間で確立されている制御信号伝送用の通信路を介して行われる。なお、制御信号伝送用の通信路を確立する際に制御伝送部16、26でそれぞれ実行される処理の内容については、後で
図4、5のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0033】
続くステップS103では、一定時間内にコンフィグレーション情報を受信したかを判断し、受信した場合はステップS104に進み、受信しなかった場合は
図2のフローチャートを終了する。ステップS104では、受信したコンフィグレーション情報に応答して、制御信号伝送用の通信路を介して、携帯端末1に関する製造会社の名称や機器の型番、対応する機能の一覧などを表すコンフィグレーション情報を送信する。続くステップS105では、ステップS103で受信したコンフィグレーション情報を参照し、車載装置2が映像・音声伝送機能に対応していることを、コンフィグレーション情報に含まれる製造会社の名称及び機器の型番、もしくは対応する機能の一覧から判断する。これらに対応していると判断する場合はS106に進み、対応していないと判断する場合は
図2のフローチャートを終了する。
【0034】
ステップS106では、後述する
図5のステップS406において車載装置2の制御部20から制御信号伝送用の通信路を介して送信される接続の催促を待ち受ける。続くステップS107では一定時間内に、車載装置2からの接続要求の催促を制御伝送部16が受信したかを判断し、受信した場合はステップS108に進み、受信しなかった場合は
図2のフローチャートを終了する。
【0035】
ステップS108では、映像・音声伝達用の通信路を確立するために、映像伝送部15に対して、後述する
図3のフローチャートに示す処理の実行を開始させる。続くステップS109では、映像伝送部15において
図3のフローチャートに示す処理が実行されることにより、一定時間内に映像伝送部15と車載装置2の映像伝送部25の間で映像・音声伝送用の通信路が確立されたかを判断する。その結果、通信が確立された場合はステップS110に進み、通信が確立されなかった場合は
図2のフローチャートを終了する。なお、映像伝送部15は、車載装置2の映像伝送部25との間で映像・音声伝送用の通信路が確立されると、後述する
図3のステップS208においてその旨を制御部10に通知する。制御部10では、この映像伝送部15からの通知を受けたかどうかを判断することで、ステップS109の判定を行うことができる。
【0036】
ステップS110では、後述する
図5のステップS408において車載装置2から送信されるランチャーアプリの起動要求を待つ。ステップS111では、車載装置2からランチャーアプリの起動要求を受信したか否かを判断し、起動要求を受信した場合はステップS112に進み、起動要求を受信しなかった場合は
図2のフローチャートを終了する。ステップS112ではランチャーアプリを起動するとともに携帯端末1の伝送モードを有効にする。さらに続くステップS113では、車載装置2に対して伝送モードを有効にする要求を出す。
【0037】
次に、携帯端末1の映像伝送部15の動作を説明する。
【0038】
図3に示すフローチャートで表されるプログラムは、制御部10からの指示に応じて、映像伝送部15において制御部15aにより実行される。以下の説明で特に明示しない場合は、各ステップの実行主体は制御部15aのCPUである。
【0039】
ステップS201では、制御部15aは、車載装置2の映像伝送部25との間で映像・音声伝送用の通信路が既に確立しているかを判断し、確立している場合は
図3に示すフローチャートを終了し、確立していない場合はステップS202に進む。ステップS202では、制御部15aが通信部15bから前述のデバイス探索信号を出力し、周辺にあるデバイスから映像伝送部識別情報やデバイス属性に関する情報などを取得することにより、映像・音声の通信が可能なデバイスを検出する。以下では、通信可能なデバイスとして車載装置2の映像伝送部25が検出されたものとして説明を進める。
【0040】
続くステップS203では、制御部15aは、ステップS202において通信可能なデバイスとして検出した車載装置2の映像伝送部25に対して設定されている映像伝送部識別情報が、記憶部15cの接続済み映像伝送部リストに登録されているか否かを判断する。登録されている場合はステップS204に進み、登録されていない場合はステップS205に進む。
【0041】
ステップS204では、制御部15aは、車載装置2の映像伝送部25と再接続の処理を行い、ステップS208に進む。ここでは、映像伝送部25に対して接続の要求を行い、映像伝送部25との間で再接続に必要な情報を所定の通信手順に従って交換することにより、映像・音声伝送用の通信路を確立する。この再接続の処理はユーザの操作を必要とせず自動で行われる。これにより、携帯端末1の映像伝送部15と車載装置2の映像伝送部25の間で、映像・音声伝送用の通信路が確立される。また、初回接続とは異なり、再接続が失敗することはない。
【0042】
ステップS205では、制御部15aは、ステップS202において通信可能なデバイスとして検出した車載装置2のデバイス属性を表す名称や型番等を表示部11に表示し、ユーザの操作を伴う初回接続処理を行う。まず、制御部15aが映像伝送部25に対して接続の要求を行うことにより、映像伝送部25との接続を試みる。接続の要求を受けた映像伝送部25の制御部25aは、後述する記憶部25cの接続済み映像伝送部リストに接続を要求してきた映像伝送部15の映像伝送部識別情報がないことから、初回接続であると判断し、映像伝送部15にパスワードを要求する。
【0043】
そのため制御部15aは、予め設定されている認証用のパスワードをユーザに入力させて、それを映像伝送部25に送信する。ユーザが入力したパスワードが正しい場合には、前述のステップS204と同様に、映像伝送部25との間で所定の通信手順に従って接続情報の交換が行われることにより、映像・音声伝送用の通信路が確立され、接続が成功する。しかし、ユーザが入力したパスワードが正しくない場合や、ユーザがパスワードを入力しない場合は接続は成功しない。
【0044】
続くステップS206では、映像伝送部25との接続が成功したかを判断する。接続が成功した場合はステップS207に進み、接続が成功しない場合は
図3のフローチャートを終了する。
【0045】
ステップS207では、制御部15aは、記憶部15cの接続済み映像伝送部リストに、ステップS206において接続が成功したと判断した車載装置2の映像伝送部25の映像伝送部識別情報を追加する。続くステップS208では、制御部10に接続が確立したことを通知し、
図3のフローチャートを終了する。
【0046】
なお、以上説明した
図3のフローチャートに示した各ステップの処理のうち、いずれか一部または全部の処理については、制御部10において実行してもよい。あるいは、制御部10から映像伝送部15の制御部15aに対して所定の制御コマンドを送信することにより、各ステップの処理が制御部15aにおいて実行されるようにしてもよい。
【0047】
次に、携帯端末1の制御伝送部16の動作を説明する。
【0048】
制御伝送部16は、一定時間ごと、例えば1分ごとに、
図4に示すフローチャートで表されるプログラムを、制御部16aにより実行する。
図4のフローチャートは、
図3のフローチャートとほぼ同じであり、
図4のステップS301〜ステップS308が、
図3のステップS201〜ステップS208にそれぞれ相当する。
【0049】
ステップS301では、制御部16aは、車載装置2の制御伝送部26との間で制御信号伝送用の通信路が既に確立しているかを判断する。ステップS302では、制御部16aが通信部16bからデバイス探索信号を出力し、周辺にあるデバイスから制御伝送部識別情報やデバイス属性に関する情報などを取得することにより、制御信号の通信が可能なデバイスを検出する。以下では、通信可能なデバイスとして車載装置2の制御伝送部26が検出されたものとして説明を進める。
【0050】
ステップS303では、ステップS302において通信可能なデバイスとして検出した車載装置2の制御伝送部26に対して設定されている制御伝送部識別情報が、記憶部16cの接続済み制御伝送部リストに登録されているか否かを判断する。ステップS304では、車載装置2の制御伝送部26と再接続の処理を行う。ここでは、制御伝送部26との間で、再接続に必要な情報を所定の通信手順に従って交換することにより、制御信号伝送用の通信路を確立する。ステップS304を実行したら、ステップS308に進む。これにより、携帯端末1の制御伝送部16と車載装置2の制御伝送部26の間で、制御信号伝送用の通信路が確立される。
【0051】
ステップS305では、ユーザの操作を伴う初回接続処理を行う。ここでは、車載装置2の制御伝送部26において予め設定されているパスコード(PINコード)をユーザに入力させ、制御伝送部26との接続を試みる。続くステップS306では、制御伝送部26との接続が成功したかを判断する。接続が成功した場合はステップS307に進み、接続が成功しない場合は
図4のフローチャートを終了する。
【0052】
ステップS307では、制御部16aは、記憶部16cの接続済み制御伝送部リストに、ステップS306において接続が成功したと判断した車載装置2の制御伝送部26の制御伝送部識別情報を追加する。続くステップS308では、制御部10に接続が確立したことを通知し、
図4のフローチャートを終了する。
【0053】
なお、以上説明した
図4のフローチャートに示した各ステップの処理のうち、いずれか一部または全部の処理については、制御部10において実行してもよい。あるいは、制御部10から制御伝送部26の制御部16aに対して所定の制御コマンドを送信することにより、各ステップの処理が制御部16aにおいて実行されるようにしてもよい。
【0055】
図5は、車載装置2の制御部20が実行するプログラムの動作を表すフローチャートである。制御部20は一定の時間間隔ごと、例えば1分ごとに、
図5のフローチャートで示されるプログラムを実行する。ただし、前回の実行が終了していない場合は実行しない。以下の説明で特に明示しない場合は、各ステップの実行主体は制御部20のCPUである。
【0056】
ステップS401では、制御部20は、伝送モードが有効か否かを判断し、有効ならば
図5のフローチャートを終了し、有効でなければステップS402に進む。ステップS402では、制御部20は、制御伝送部26により前述の
図4のフローチャートに示した処理が実行されることで、携帯端末1との間で制御信号伝送用の通信路が確立されているかを判断する。制御信号伝送用の通信路が確立されている場合はステップS403に進み、確立されていない場合は
図5のフローチャートを終了する。
【0057】
ステップS403では、制御部20は、すでに確立されている制御信号伝送用の通信路を利用して、携帯端末1との間でコンフィグレーションを開始する。ここでは、車載装置2のデバイス属性を表す名称や型番等の情報と共に、車載装置2の対応機能に映像・音声伝送機能が含まれることを示すコンフィグレーション情報を携帯端末1に送信する。続くステップS404では、ステップS403で開始したコンフィグレーションに対して、一定時間内に携帯端末1の制御部10が応答し、コンフィグレーションが終了したかを判断する。ここでは、
図2のステップS104で携帯端末1の制御部10から送信されたコンフィグレーション情報を受信することで、コンフィグレーション終了と判断する。コンフィグレーションが終了した場合はステップS405に進み、コンフィグレーションが終了していない場合は
図5のフローチャートを終了する。
【0058】
ステップS405では、コンフィグレーションで入手した携帯端末1の情報を参照して、携帯端末1が映像・音声伝送機能に対応しているか否かを判断し、対応している場合はステップS406に進み、対応していない場合は
図5のフローチャートを終了する。
【0059】
ステップS406では、制御部20は、前述の
図3のフローチャートに示した映像・音声伝送用の通信路を確立するための処理を携帯端末1において開始させるために、制御伝送部26の通信部26bを用いて、携帯端末1に映像伝送部15からの接続処理を催促する通知を送信する。この通知を受けた携帯端末1は、映像伝送部15に対して
図3のフローチャートに示す処理を実行させ(
図1のステップS108)、映像・音声伝達用の通信路を確立させる。続くステップS407では、一定時間内に、映像伝送部25により携帯端末1との間で映像・音声伝送用の通信路が確立されたか否かを判断し、確立された場合はステップS408に進み、確立されていない場合は
図5のフローチャートを終了する。
【0060】
ステップS408では、携帯端末1にランチャーアプリの起動を要求する。この起動要求を受けた携帯端末1は、ランチャーアプリを起動し、伝送モードを有効にする(
図1のステップS112)。続くステップS409では、一定時間内に携帯端末1から伝送モードを有効にする指令を受信したかを判断する。携帯端末1の制御部10において
図1のステップS113の処理が実行されることで携帯端末1から送信された指令を受信していた場合には、車載装置2の伝送モードを有効にしてから
図5のフローチャートを終了し、受信していない場合はそのまま
図5のフローチャートを終了する。
【0061】
次に、車載装置2の映像伝送部25の動作を説明する。
【0062】
映像伝送部25は、一定時間ごと、例えば1分ごとに
図6に示すフローチャートで表されるプログラムを、制御部25aにより実行する。以下の説明で特に明示しない場合は、各ステップの実行主体は制御部25aのCPUである。
【0063】
ステップS501では、制御部25aは、携帯端末1の映像伝送部15から、
図3に示したフローチャートのステップS204またはS205の処理による接続の要求があったかを判断し、要求があった場合はステップS502に進み、要求がない場合は
図6のフローチャートを終了する。
【0064】
ステップS502では、制御部25aは、通信確立の要求に含まれる、映像伝送部15の映像伝送部識別情報が記憶部25cの接続済み映像伝送部リストに登録されているか否かを判断する。登録されている場合はステップS503に進み、登録されていない場合はステップS505に進む。
【0065】
ステップS503では、制御部25aは、携帯端末1の映像伝送部15と再接続処理を行い、接続を確立する。続くステップS504では、制御部25aは、車載装置2の制御部20に映像伝送部25が携帯端末1の映像伝送部15との接続が確立した旨の通知を行い、
図6のフローチャートを終了する。
【0066】
ステップS505では、制御部25aは、携帯端末1の映像伝送部15との初回接続処理を行う。携帯端末1の映像伝送部15は、記憶部25cの接続済み映像伝送部リストに登録されていないので、初回の接続処理であることから、制御部25aは接続を要求している携帯端末1に予め設定されている認証用のパスワードを求める。
【0067】
続くステップS506では、ステップS505における接続処理が成功したか否かを判断し、成功した場合はステップS507に進み、失敗した場合は
図6のフローチャートを終了する。ステップS507では、制御部25aは、記憶部25cの接続済み映像伝送部リストに、ステップS506において接続が成功したと判断した映像伝送部の映像伝送部識別情報を追加し、ステップS504に進む。
【0068】
なお、以上説明した
図6のフローチャートに示した各ステップの処理のうち、いずれか一部または全部の処理については、制御部20において実行してもよい。あるいは、制御部20から映像伝送部25の制御部25aに対して所定の制御コマンドを送信することにより、各ステップの処理が制御部25aにおいて実行されるようにしてもよい。
【0069】
次に、車載装置の制御伝送部26の動作を説明する。
【0070】
制御伝送部26は、一定時間ごと、例えば1分ごとに、
図7に示すフローチャートで表されるプログラムを制御部26aにより実行する。以下の説明で特に明示しない場合は、各ステップの実行主体は制御部26aのCPUである。
【0071】
ステップS601では、制御部26aは、携帯端末1の制御伝送部16との間で制御信号伝送用の通信路が確立しているかを判断し、確立している場合は
図7に示すフローチャートを終了し、確立していない場合はステップS602に進む。ステップS602では、制御部26aは、携帯端末1の制御伝送部16から一定時間内に通信確立の要求があったかを判断し、要求があった場合はステップS603に進み、要求がなかった場合は
図7のフローチャートを終了する。以下では、携帯端末1の制御伝送部16から接続の要求があったものとして説明を進める。
【0072】
ステップS603では、制御部26aは、接続を要求した制御伝送部16の制御伝送部識別情報が記憶部25cの接続済み制御部リストに登録されているか否かを判断する。登録されている場合はステップS604に進み、登録されていない場合はステップS605に進む。
【0073】
ステップS604では、制御部26aは、ステップS602で検出し、なおかつ記憶部26cの接続済み制御伝送部リストに登録されていた制御伝送部16と再接続の処理を行い、ステップS608に進む。
【0074】
ステップS605では、制御部26aは、初回の接続なので携帯端末1に予め設定されているパスコード(PIN入力)を要求し、一定時間の経過後、もしくはパスコードの入力があるとステップS606に進む。このとき制御部26aは、パスコードを表示部21に表示してもよい。制御部26aは、一定時間内に携帯端末1から正しいパスコードが入力されると接続を確立させ(接続処理が成功)、パスコードが正しくない場合や一定時間内に入力がない場合は接続を行わない。
【0075】
ステップS606では、制御部26aは、ステップS605における接続処理が成功したか否かを判断し、成功した場合はステップS607に、失敗した場合は
図7のフローチャートを終了する。
【0076】
ステップS607では、制御部26aは、記憶部26cの接続済み制御伝送部リストに、ステップS606において接続が成功したと判断した制御伝送部の制御伝送部識別情報を追加し、ステップS608に進む。
【0077】
ステップS608では、制御部26aは、車載装置2の制御部20に、制御伝送部26の接続が確立したことを通知し、
図7のフローチャートを終了する。
【0078】
以上が各制御部の動作である。次に、伝達モードが有効になるまでの時系列での処理を、初回接続時と2回目以降に分けて説明する。
【0079】
図8は、初回接続時における、伝送モードが有効になるまでの時系列の処理を表しており、図中の上から下に向かって時間が経過している。図の右側から順に、ユーザ、携帯端末1の制御部10、携帯端末1の映像伝送部15、携帯端末1の制御伝送部16、車載装置2の制御伝送部26、車載装置2の映像伝送部25、車載装置2の制御部20、の動作を表している。また、図中の矢印が操作や指令を表しており、黒丸は矢印の始点および終点を、白丸は通信の経由を表している。たとえば、
図8の矢印706は制御部20を始点とし、制御伝送部26および制御伝送部16を経由して、終点の制御部10にたどり着く。これは、車載装置の制御部20と携帯端末の制御部10とは直接に通信ができないので、制御伝送部26〜制御伝送部16を経由することを表している。また、
図8の図中には、各制御部の条件分岐のうち一部のみを表示している。
【0080】
まず、制御伝送部同士の通信が確立する必要があるが、初回接続時には、記憶部16cの接続済み制御伝送部リストに、制御伝送部26の制御伝送部識別情報が記載されていない。そのため、ユーザが
図4のステップS305および
図7のステップS607に記載の初回接続処理において正しいパスワードの入力を行うと(
図8の矢印701)、制御伝送部16および制御伝送部26の間に接続が確立し(
図8の矢印702、矢印703)、制御部10および制御部20に制御信号伝送用の通信路の確立がそれぞれ通知される(
図4のステップS308、
図7のステップS608、
図8の矢印704,705)。
【0081】
制御部20は、制御用通信の確立を通知されると(
図5のステップS402:YES)、コンフィグレーションを開始する(
図5のステップS403、
図8の矢印706)。コンフィグレーションの通信を受信した制御部10は(
図2のステップS103:YES)、コンフィグレーションに応答する(
図2のステップS104および
図8の矢印707)。
【0082】
コンフィグレーションが終了した制御部20は(
図5のステップS404:YES)、
図8の符号708に示す条件1の判断を行う。ここでは、コンフィグレーションで得られた情報から携帯端末1が映像・音声伝送機能に対応しているかを判断する(
図5のステップS405)。制御部20は、携帯端末1が映像・音声伝送機能に対応していると判断することで(
図5のステップS405:YES)、条件1が満たされたと判断し、制御部10に接続を促す通知を送信する(
図5のステップS406、
図8の矢印709)。
【0083】
一方、制御部10は、コンフィグレーション終了後に、
図8の符号710に示す条件2の判断を行う。ここでは、接続を促す通知を制御部20から受信したかどうかを判断する(
図2のステップS107)。制御部10は、接続を促す通知を制御部20から受信することで(
図2のステップS107:YES、710)、条件2が満たされたと判断し、映像伝送部15に映像・音声伝達用の通信路を確立するための処理を開始させる(
図2のステップS108、
図8の矢印711)。
【0084】
制御部10から処理開始の指令を受けると、映像伝送部15の制御部15aは、映像・音声伝達用の通信路を確立するための処理として、
図3のフローチャートに示した処理を開始する。この処理が開始されると、映像伝送部15の制御部15aは周辺のデバイスとして車載装置2の映像伝送部25を検出し(
図3のステップS202)、
図8の符号712に示す条件3の判断を行う。ここでは、検出した映像伝送部25の映像伝送部識別情報が記憶部15cの接続済み映像伝送部リストに登録済みであるかを判断する(
図3のステップS203)。この場合、初回接続なので記憶部15cの接続済み映像伝送部リストには、映像伝送部25の映像伝送部識別情報が登録されていない(
図3のステップS203:NO)。そのため、条件3は満たさないと判断され(
図8の712:NO)、検出デバイスの一覧が表示される(
図3のステップS205、
図8の714)。
【0085】
検出デバイス一覧を見たユーザが初回接続処理において正しいパスワードの入力を行うと(
図8の矢印715)、映像伝送部15および映像伝送部25の間に接続が確立し(
図8の矢印716および矢印717)、映像伝送部15の記憶部15cに保存されている接続済み映像伝送部リストおよび映像伝送部25の記憶部25cに保存されている接続済み映像伝送部リストに、互いの映像伝送部識別情報が登録される(
図3のステップS207、
図6のステップS507)。そして、制御部10および制御部20に映像・音声伝送用の通信路の確立がそれぞれ通知される(
図3のステップS208、
図6のステップS504、
図8の矢印718、719)。
【0086】
制御部10に接続を促す通知を送信した後に制御部20は、
図8の符号720に示す条件4の判断を行う。ここでは、映像・音声伝送用の通信路が確立されたかを判断する(
図5のステップS407)。制御部20は、映像伝送部25から通信路確立の通知を受けることで(
図5のステップS407:YES)、条件4が満たされたと判断し、制御部10にランチャーアプリの起動を要求する(
図5のステップS408、
図8の矢印721)。
【0087】
ランチャーアプリの起動要求を受けた制御部10は(
図2のステップS111:YES)、ランチャーアプリを起動するとともに伝送モードを有効にする(
図2のステップS112、
図8の722)。そして、車載装置2の伝送モードを有効にする要求を制御部20に送信する(
図2のステップS113、
図8の矢印723)と共に、携帯端末1の伝送モードが有効になったことを制御伝送部16および映像伝送部15に通知する(
図8の矢印724および矢印725)。
【0088】
車載装置2の伝送モードを有効にする旨の要求を受けた制御部20は(
図5のステップS409:YES)、車載装置2の伝送モードを有効にして(
図5のステップS410)、映像伝送部25および制御伝送部26に通知する(
図8の矢印726および矢印727)。
【0089】
これ以後は、操作部23に対して入力されたユーザの操作内容が制御伝送部26から制御伝送部16に送信され(
図8の矢印728)、携帯端末1において操作部13からの入力として扱われる。また、表示部11および音声出力部12に出力されるデータが、映像伝送部15から映像伝送部25へ送信され(
図8の矢印729)、車載装置2において表示部21および音声出力部22からそれぞれ出力される。
【0090】
次に、2回目以降の接続により伝送モードが有効になるまでの時系列の処理を、
図9を使って説明する。ただし、
図8と同一の処理には同じ番号を付し、主に
図8と異なる点を説明する。
【0091】
この場合、すでに1回は携帯端末1と車載装置2は接続をして伝送モードが有効になったことがあるので、記憶部15cには映像伝送部25の映像伝送部識別情報が、記憶部16cには制御伝送部26の制御伝送部識別情報が、記憶部25cには映像伝送部15の映像伝送部識別情報が、記憶部26cには制御伝送部16の制御伝送部識別情報が、それぞれ保存されている。
【0092】
制御伝送部16の制御部16aは、周辺デバイスを検出し(
図4のステップS302)、車載装置2の制御伝送部26を検出すると、前述のとおり制御伝送部26の制御伝送部識別情報が記憶部16cに登録済なので(
図4のステップS303:YES)、自動的に再接続処理を行い(
図4のステップS304、
図9の矢印702a)、制御伝送部16と制御伝送部26の接続を確立させる。
【0093】
制御伝送部26の通信部26bが制御伝送部16から再接続の要求を受信すると(
図7のS602:YES、
図9の702a)、制御部26aは、再接続を要求した制御伝送部16の制御伝送部識別情報が記憶部26cに含まれていることから(
図7のS603:YES)、自動で再接続処理を行う(
図7のS604、
図9の矢印703a)。接続が完了すると、制御伝送部26の制御部26aは、車載装置2の制御部20に接続確立の通知を行う(
図7のステップS608、
図9の矢印704)。
【0094】
その後、携帯端末1の制御部10から処理開始の指示(
図9の矢印711)を受けた映像伝送部15の制御部15aは、映像・音声伝達用の通信路を確立するための処理として、
図3のフローチャートに示した処理を開始し、車載装置2の映像伝送部25を検出する(
図3のステップS202)。制御部15aは、検出した映像伝送部25の映像伝送部識別情報が記憶部15cに登録されているので(
図3のステップS203:YES)、条件3が満たされたと判断し(
図9の712:YES)、自動で再接続処理を行う(
図3のS204、
図9の矢印713a)。これ以後の処理は、初回と同様である。
【0095】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)第1の実施の形態に係る車載情報システムは、携帯端末1と車載装置2とを有する。車載装置2は、携帯端末1との間で確立された制御信号伝送用の通信路を介して、携帯端末1へ無線で所定の制御信号を送信する制御伝送部26と、携帯端末1との間で確立された映像・音声伝送用の通信路を介して、携帯端末1から送信される映像および音声を無線で受信する映像伝送部25とを備える。携帯端末1は、制御信号伝送用の通信路を介して、車載装置2から無線で制御信号を受信する制御伝送部16と、映像・音声伝送用の通信路を介して、車載装置2へ無線で映像および音声を送信する映像伝送部15とを備える。制御伝送部26は、制御部20からの指示により、制御信号伝送用の通信路を介して、映像・音声伝送用の通信路を確立するための接続の催促を制御伝送部16へ送信する(
図5のステップS406)。映像伝送部15は、制御伝送部16がこの接続要求を受信すると(
図2のステップS107:YES)、映像伝送部25との間で映像・音声伝送用の通信路を確立する(
図3のステップS204)。
【0096】
そのため、すでに携帯端末1と車載装置2の間で伝送モードが有効になったことがあれば、制御伝送部16と制御伝送部26との接続が自動で確立するので、上記作用により映像伝送部15と映像伝送部25との接続処理が自動で開始される。さらに、映像伝送部15と映像伝送部25との接続処理も自動で確立するため、携帯端末1を所持するユーザは車載装置2と通信できる距離まで近づくだけで、簡便に制御伝送部16と制御伝送部26の接続および映像伝送部15と映像伝送部25の接続を確立できる。したがって、車載装置2と携帯端末1を簡単な手順で無線接続し、携帯端末1から車載装置2に無線で映像や音声を送信することができる。
【0097】
(2)また、車載装置2は、制御用通信および映像用通信が確立すると、制御用通信の通信を介して、携帯端末1にランチャーアプリを起動させる。そのため、車載装置2から携帯端末1を操作するとともに、携帯端末1から出力される映像および音声を車載装置2から出力することができる。
【0098】
(3)制御信号伝送用の通信路はたとえばBluetoothを使用し、映像・音声伝送用の通信路はたとえばMiracastを使用することができる。このようにすれば、既定の規格を利用して、これらの通信路を確実かつ容易に確立することができる。
【0099】
(変形例1)
第1の実施の形態では、映像用通信の通信路と制御用通信の通信路は、映像伝送部15および25と制御伝送部16および26のそれぞれ異なる通信インタフェースを用いて形成したが、同一の通信インタフェースを用いて形成してもよい。たとえば、携帯端末1と車載装置2とがともに無線LANのインタフェースを備え、映像用通信と制御用通信では異なるポート番号を用いて接続することにより、2つの通信を同時に確立することができる。この変形例1によれば、少ないハードウエアを用いて本発明を実施できる。
【0100】
(第2の実施の形態)
図10〜11を参照して、本発明による第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、初回の接続であることを携帯端末1の制御部10が判断し、表示部14にメッセージを表示して、ユーザに操作を促す表示を有する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0101】
第2の実施の形態に係るシステムの構成は、第1の実施の形態とほぼ同じである。ただし、携帯端末1の制御部10が備えるROMに保存されているプログラムが一部異なる。また、携帯端末1の記憶部14には、これまでに接続した映像伝送部の映像伝送部識別情報のリスト(以下、デバイスリスト)も保存される。なお、映像伝送部15の記憶部15cにも、接続済み映像伝送部リストとして同一の情報が保存されているが、制御部10が直接参照できないため、記憶部14に別途保存する。
【0102】
また、第1の実施の形態におけるコンフィグレーション情報には、製造会社の名称や機器の型番、対応する機能の一覧などが含まれていたが、第2の実施の形態においては、これらの情報に加えて、映像伝送部15および映像伝送部25の映像伝送部識別情報も含まれる。
【0103】
次に、第2の実施の形態に係る動作を説明する。
図10のフローチャートに示すプログラムは、第1の実施の形態における
図2のフローチャートに示すプログラムに代わって、第2の実施の形態において携帯端末1の制御部10が実行する。第1の実施の形態の
図2の処理と同じ内容のステップには、同じステップ番号を付してその説明を省略する。すなわち、第2の実施の形態では、第1の実施の形態のステップS107の直後にステップS801およびステップS802が追加され、ステップS109の直後にステップS803が追加された点のみが異なる。
【0104】
ステップS107では、制御部10は、一定時間内に車載装置2の制御部20から制御信号伝送用の通信路を介して、映像伝送部の接続を催促する通信を受信したと判断すると、ステップS801に進む。ステップS801では、制御部10は、ステップS103で制御伝送部26から受信したコンフィグレーション情報に含まれる、車載装置2の映像伝送部識別情報が、記憶部14のデバイスリストに含まれるかを判断する。デバイスリストに含まれている場合はステップS108に進み、デバイスリストに含まれない場合はステップS802に進む。
【0105】
ステップS802では、制御部10は、表示部11に映像伝送部15の操作が必要である旨の表示を出力してステップS108に進む。例えば、これから表示される、デバイス属性を表す名称や型番の一覧から、映像伝送部25を示すものを選択し、さらに車載装置2からの要求に応じてパスワードを入力する必要がある旨を表示する。
【0106】
ステップS108では、映像・音声伝達用の通信路を確立するために、映像伝送部15に対して、前述の
図3のフローチャートに示す処理の実行を開始させる。続くステップS109では、映像伝送部15において
図3のフローチャートに示す処理が実行されることにより、一定時間内に映像伝送部15と車載装置2の映像伝送部25の間で映像・音声伝送用の通信路が確立されたかを判断する。その結果、通信が確立された場合はステップS803に進み、通信が確立されなかった場合は
図10のフローチャートを終了する。
【0107】
ステップS803では、制御部10は、携帯端末1の映像伝送部15と制御信号伝送用の通信路が確立している、映像伝送部25の映像伝送部識別情報を記憶部14のデバイスリストに追加し、ステップS110に進む。ただし、すでにその映像伝送部識別情報が記憶部14のデバイスリストにある場合には追加しない。
【0108】
次に、第2の実施の形態における、初回接続時に伝送モードが有効になるまでの時系列での処理を説明する。なお、2回目以降の時系列での処理は、第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0109】
図11は、第2の実施の形態の初回接続時における、伝送モードが有効になるまでの時系列の処理を表しており、第1の実施の形態の
図2と同じ内容の処理には、同じ番号を付してその説明を省略する。
【0110】
映像伝送部15および映像伝送部25の映像伝送部識別情報が含まれているコンフィグレーション情報が、制御部10と制御部20の間で交換される。(
図11の706b、707b)。接続の催促を待っていた制御部10は(
図10のステップS106)、一定時間内に車載装置2の制御部20から接続の催促を受信すると、コンフィグレーション情報に含まれる映像伝送部識別情報が記憶部14のデバイスリストに含まれていないと判断する(
図10のステップS107:YESおよびステップS801:NO、
図11の710b)。そのため制御部10は、表示部11にユーザへ映像伝送部15の操作が必要である旨のメッセージを表示する(
図10のステップS802、
図11の吹き出し806)。
【0111】
携帯端末1の映像伝送部15は、車載装置2の映像伝送部25との間で通信路が確立すると、制御部10にその旨を通知するので(
図3のステップS208、
図11の719)、制御部10は映像伝送部25の映像伝送部識別情報を記憶部14のデバイスリストに追加する(
図10のステップS803、
図11のS807)。
【0112】
以上説明した第2の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
携帯端末1は、過去に映像用通信が確立された車載装置2に関する識別情報を記憶する記憶部14のデバイスリストと、制御伝送部16が接続要求を受信した車載装置2に関する識別情報が記憶部14のデバイスリストに記憶されていない場合、車載装置2との間で映像用通信を確立するために携帯端末1に対して所定の操作が必要であることを表示部11に表示する報知手段と、をさらに備える。
【0113】
また、車載装置2は、過去に映像用通信が確立された携帯端末1に関する識別情報を記憶する記憶部24のデバイスリストと、制御用通信が確立された携帯端末1に関する識別情報が記憶部24のデバイスリストに記憶されていない場合、携帯端末1との間で映像用通信を確立するために携帯端末1に対して所定の操作が必要であることを表示部21に表示する報知手段と、をさらに備える。
そのため、初回接続時にユーザを操作が必要な携帯端末1の映像伝送部15へと誘導し、映像伝送部15の接続を完了させることができる。そして、その後はユーザの手を煩わせることなく自動で伝送モードが有効になるため、初回接続時においても、ユーザが簡便に映像伝送システムを使用できる。
【0114】
(変形例2)
第2の実施の形態では、携帯端末1の制御部10が初回の接続であることを判断して、携帯端末1の表示部11のみにメッセージを表示したが、携帯端末1から車載装置2に別途通知をして、車載装置2の表示部21にも同様のメッセージを表示してもよい。この変形例2によれば、車内で目につきやすい車載装置2にもメッセージが表示されるので、ユーザはメッセージを見逃すことがない。
(変形例3)
第2の実施の形態では、記憶部14のデバイスリストには映像伝送部識別情報を保存していたが、装置に固有の識別子、たとえばUUID(Universally Unique Identifier)を用いてもよい。車載装置2の1台ごとにUUIDを生成し、これをあらかじめ車載装置2の記憶部24に保存する。そしてコンフィグレーションの際に、UUIDもあわせて交換することにより、デバイスリストに接続済みの機器のUUIDを保存することができる。
【0115】
(第3の実施の形態)
図12〜14を参照して、本発明による第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、初回の接続であることを車載装置2の制御部20が判断し、ユーザに携帯端末1の映像伝送部15の操作を促す点で、第1の実施の形態と異なる。
【0116】
第3の実施の形態に係るシステムの構成は、第1の実施の形態とほぼ同じである。ただし、携帯端末1の制御部10が備えるROMに保存されているプログラム、および車載装置2の制御部20が備えるROMに保存されているプログラムが一部異なる。また、車載装置2の記憶部24には、デバイスリストも保存される。なお、映像伝送部25の記憶部25cにも、接続済み映像伝送部リストとして同一の情報が保存されているが、制御部20が直接参照できないため、記憶部24に別途保存する。また、第2の実施の形態と同様に、コンフィグレーション情報には、映像伝送部15および映像伝送部25の映像伝送部識別情報も含まれる。
【0117】
次に、第3の実施の形態に係る動作を説明する。
携帯端末1の制御部10は、制御部10が保持する情報のみによっては初回の接続か否かを判断できないが、車載装置2からの通信に含まれる初回フラグの真偽(ON/OFF)により初回の接続であることを知ることができる。
【0118】
図12のフローチャートに示すプログラムは、第1の実施の形態における
図2のフローチャートに示すプログラムに代わって、第3の実施の形態において携帯端末1の制御部10が実行する。第1の実施の形態の
図2の処理と同じ内容のステップには、同じステップ番号を付してその説明を省略する。すなわち、第3の実施の形態では、第1の実施の形態のステップS107の直後にステップS811およびステップS812が追加される点のみが異なる。
【0119】
ステップS107では、制御部10は、一定時間内に、車載装置2からの接続要求の催促を制御伝送部16が受信したかを判断し、受信した場合はステップS811に進み、受信しなかった場合は
図12のフローチャートを終了する。
【0120】
ステップS811では、制御部10は、ステップS107で車載装置2から受信した接続要求の催促の信号に含まれる初回フラグの真偽を判断し、真(ON)であればステップS812に進み、偽(OFF)であればステップS108に進む。ステップS812では、制御部10は、表示部11に映像伝送部15の操作が必要である旨の表示を出力してステップS108に進む。
【0121】
図13のフローチャートに示すプログラムは、第1の実施の形態における
図5のフローチャートに示すプログラムに代わって、第3の実施の形態において車載装置2の制御部20が実行する。第1の実施の形態の
図5の処理と同じ内容のステップには、同じステップ番号を付してその説明を省略する。すなわち、第3の実施の形態では、第1の実施の形態のステップS405の直後にステップS816からステップS818が追加される点、ステップS406とステップS408に処理が追加されて、それぞれステップ406cとステップS408cになった点のみが異なる。
【0122】
ステップS405では、制御部20は、コンフィグレーションで入手した携帯端末1の情報を参照して、携帯端末1が映像・音声伝送機能に対応しているか否かを判断し、対応している場合はステップS816に進み、対応していない場合は
図13のフローチャートを終了する。
【0123】
ステップS816では、制御部20は、コンフィグレーション情報に含まれる映像伝送部識別情報が記憶部24のデバイスリストに含まれるかを判断し、含まれる場合はステップS817に進み、含まれない場合はステップS818に進む。ステップS817では、制御部20は、初回接続ではないと判断したので初回フラグを偽(OFF)に設定し、ステップS406cに進む。ステップS818では、制御部20は、初回接続であると判断したので初回フラグを真(ON)に設定し、ステップS406cに進む。
【0124】
ステップS406cでは、制御部20は、前述の
図3のフローチャートに示した映像・音声伝送用の通信路を確立するための処理を携帯端末1において開始させるために、制御伝送部26の通信部26bを用いて、携帯端末1に映像伝送部15からの接続処理を催促する通知を送信する。さらに、制御部20は、表示部21に携帯端末1の操作が必要である旨の表示を出力する。
【0125】
ステップS408cでは、制御部20は、携帯端末1に伝送用アプリの起動を要求するとともに、接続が完了した相手側である映像伝送部15の伝送部識別情報を記憶部24のデバイスリストに追加し、ステップS409に進む。ただし、すでにその映像伝送部識別情報が記憶部24のデバイスリストに含まれる場合は追加しない。
【0126】
次に、第3の実施の形態の初回接続時に伝送モードが有効になるまでの時系列での処理を説明する。なお、2回目以降の時系列での処理は、第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0127】
図14は、初回接続時における、伝送モードが有効になるまでの時系列の処理を表しており、第1の実施の形態の
図2と同じ内容の処理には、同じ番号を付してその説明を省略する。
【0128】
映像伝送部15および映像伝送部25の映像伝送部識別情報が含まれているコンフィグレーション情報が、制御部10と制御部20の間で交換される。(
図14の706c、707c)。制御部20は、コンフィグレーションが完了すると(
図13のステップS404:YES)、
図14の符号708cに示す条件1の判断を行う。ここでは、コンフィグレーションで得られた情報から、携帯端末1が映像・音声伝送機能に対応していること(
図13のステップS405:YES)、および携帯端末1の映像伝送部識別情報が記憶部24のデバイスリストにないこと(
図13のステップS816:NO)、を判断する(
図14の708c)。そのため制御部20は、初回フラグを真(ON)にセットして(
図13のステップS818)、制御部10に映像伝送部15の接続処理を促す通知を送信する(
図13のステップS406c、
図14の709c)。さらに制御部20は、表示部21に携帯端末1の操作が必要である旨の表示を出力する(
図13のステップS406c、
図14の吹き出し821)。
【0129】
接続の催促を待っていた制御部10は(
図12のステップS106)、一定時間内に接続の催促を受信すると、初回フラグが真(ON)であると判断する(
図12のステップS107:YESおよびステップS811:YES、
図14の710c)。そのため、制御部10は、表示部11にユーザへ映像伝送部15の操作が必要である旨のメッセージを表示する(
図14の吹き出し822)。
【0130】
その後、映像伝送部25の接続が確立すると制御部25aから通知がされるので(
図6のステップS504)、制御部20は
図8の符号720に示す条件4の判断において、映像伝送部25の接続が確立して条件が満たされたと判断する(
図13のステップS407:YES)。そして、映像伝送部15の映像伝送部識別情報をデバイスリストに追加するとともに(
図14の823)、制御部10にランチャーアプリの起動要求を送信する(
図13のステップS408c、
図14の721)。
【0131】
以上説明した第3の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
携帯端末1だけでなく、車内で目につきやすい車載装置2にもメッセージが表示されるので、ユーザは携帯端末1の映像伝送部15の操作が必要である旨のメッセージを見逃すことがない。そのため、ユーザは容易に車載装置と携帯端末を無線接続し、携帯端末から車載装置に無線で映像や音声を送信することができる。
【0132】
(第4の実施の形態)
図15〜17を参照して、本発明による第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、初回の接続であることを車載装置2の制御部20が判断し、さらに制御部20が車両が走行中か停止中かを判断して表示部21にメッセージを表示する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0133】
第4の実施の形態に係るシステムの構成は、第1の実施の形態とほぼ同じである。ただし、携帯端末1の制御部10が備えるROMに保存されているプログラム、および車載装置2の制御部20が備えるROMに保存されているプログラムが一部異なる。また、車載装置2の記憶部24には、デバイスリストも保存される。さらに、第4の実施の形態においては、コンフィグレーション情報には、映像伝送部15および映像伝送部25の映像伝送部識別情報も含まれる。
【0134】
次に、第4の実施の形態に係る動作を説明する。
車載装置2は、初回の接続か否かの判断および車両が走行中か否かの判断をすることができ、初回接続の場合のみ車両が走行中か否かを走行フラグとして送信する。そのため携帯端末1は、走行フラグの有無、および走行フラグの真偽により、初回接続および車両の状態を判断できる。
【0135】
図15のフローチャートに示すプログラムは、第1の実施の形態における
図2のフローチャートに示すプログラムに代わって、第4の実施の形態において携帯端末1の制御部10が実行する。第1の実施の形態の
図2の処理と同じ内容のステップには、同じステップ番号を付してその説明を省略する。すなわち、第4の実施の形態では、第1の実施の形態のステップS108の直後にステップS831〜ステップS837が追加される点が異なる。
【0136】
ステップS108では、制御部10は、映像・音声伝達用の通信路を確立するために、映像伝送部15に対して、前述の
図3のフローチャートに示す処理の実行を開始させて、ステップS831に進む。ステップS831では、制御部10は、ステップS106にて車載装置2の制御部20から受信したデータに走行フラグが付加されているかを判断し、付加されている場合はステップS832に進み、付加されていない場合はステップS109に進む。
【0137】
ステップS832では、制御部10は、ステップS106にて車載装置2の制御部20から受信したデータに付されていた走行フラグの真偽を判定する。その走行フラグが真(ON)であればステップS833に進み、偽(OFF)であればステップS835に進む。ただし、ステップS834もしくはステップS837からステップS832に進んだ場合は、それぞれステップS834もしくはステップS837において、新たに受信したと判断したデータに付されていた走行フラグの真偽を判断する。
【0138】
ステップS833では、制御部10は、携帯端末1の表示部11に“停車後に操作をしてほしい”旨の表示を出力するとともに、車両の走行中にユーザが携帯端末1を操作をしないように、携帯端末1の操作部13を一時的に無効化し、ステップS834に進む。操作部13の無効化とは、たとえば、次に操作部13を有効化するまでの間は、操作部13から制御部10へ入力があっても、それを制御部10が無視することをいう。
【0139】
ステップS834では、制御部10は、車載装置2から走行フラグが付されたデータを新たに受信したかを判断し、受信した場合はステップS832に戻り、受信していない場合はステップS834に戻り、車載装置2からのデータの受信を待つ。
【0140】
ステップS835では、制御部10は、表示部11に映像伝送部15の操作が必要である旨の表示を出力し、操作部13が無効になっている場合は操作部13を有効にして、ステップS836に進む。ステップS836では、制御部10は、映像伝送部15と車載装置2の映像伝送部25の間で映像・音声伝送用の通信路が確立されたかを判断し、確立されている場合はステップS110に進み、確立されていない場合はステップS837に進む。ステップS837では、制御部10は、車載装置2から走行フラグが付されたデータを新たに受信したかを判断し、受信した場合はステップS832に戻り、受信していない場合はステップS836に戻り、車載装置2からのデータの受信を待つ。
【0141】
図16のフローチャートに示すプログラムは、第1の実施の形態における
図5のフローチャートに示すプログラムに代わって、第4の実施の形態において車載装置2の制御部20が実行する。第1の実施の形態の
図5の処理と同じ内容のステップには、同じステップ番号を付してその説明を省略する。すなわち、第4の実施の形態では、第1の実施の形態のステップS405の直後にステップS841〜ステップS846が追加される点が主に異なる。
【0142】
ステップS405では、制御部20は、コンフィグレーションで入手した携帯端末1の情報を参照して、携帯端末1が映像・音声伝送機能に対応しているか否かを判断し、対応している場合はステップS841に進み、対応していない場合は
図16のフローチャートを終了する。
【0143】
ステップS841では、制御部20は、コンフィグレーション情報に含まれる映像伝送部識別情報が記憶部24のデバイスリストに含まれるかを判断し、含まれる場合はステップS406に進み、含まれない場合はステップS842に進む。
【0144】
ステップS842では、制御部20は、車速およびパーキング信号から車両が走行中か否かを判断し、走行中と判断する場合はステップS843に進み、停車中と判断する場合はステップS845に進む。たとえば、パーキング信号が出力されておらず(パーキングブレーキが解除状態)、なおかつ車速がゼロでない場合に、車両が走行中であると判断し、それ以外の場合は停車中と判断できる。
【0145】
ステップS843では、制御部20は、走行フラグが真にセットされたデータを携帯端末1に送信するとともに、表示部21に“停車後に携帯端末1を操作をしてほしい”旨の表示を出力し、ステップS844に進む。ステップS844では、制御部20は、ステップS842と同様に車両が走行中か否かを判断し、走行中と判断する場合はステップS844に戻り、停車中と判断する場合はステップS845に進む。すなわち、車両が停車するまでステップS844で処理が一時停止する。
【0146】
ステップS845では、制御部20は、走行フラグが偽にセットされたデータを携帯端末1に送信するとともに、表示部21に“携帯端末1を操作をしてほしい”旨の表示を出力し、ステップS407dに進む。ステップS407dでは、一定時間内に、映像伝送部25により携帯端末1との間で映像・音声伝送用の通信路が確立されたか否かを判断し、、確立された場合はステップS408に進み、確立されていない場合はステップS846に進む。ステップS846では、制御部20は、ステップS842と同様に車両が走行中か否かを判断し、走行中と判断する場合はステップS843に戻り、停車中と判断する場合はステップS407dに進む。
【0147】
次に、初回接続時に伝送モードが有効になるまでの時系列での処理を説明する。なお、2回目以降の時系列での処理は、第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0148】
図17は、第4の実施の形態の初回接続時における、伝送モードが有効になるまでの時系列の処理を表しており、第1の実施の形態の
図2と同じ内容の処理には、同じ番号を付してその説明を省略する。
【0149】
映像伝送部15および映像伝送部25の映像伝送部識別情報が含まれているコンフィグレーション情報が、制御部10と制御部20の間で交換される。(
図17の706d、707d)。コンフィグレーションが終了した制御部20は(
図16のステップS404:YES)、コンフィグレーションで得られた情報から、携帯端末1が映像・音声伝送機能に対応していること(
図16のステップS405:YES)、および携帯端末1の映像伝送部識別情報がデバイスリストにないこと(
図16のステップS841:NO)を判断する(
図17の708)。
【0150】
そして、制御部20は、車両が走行中であると判断したので(
図16のステップS842:YES)、走行フラグを真にセットして、携帯端末1に映像伝送部15からの接続処理を催促する通知および走行フラグを含むデータを送信する(
図16のステップS843、
図17の矢印709d)。また、制御部20は、表示部21に“停車後に携帯端末1を操作をしてほしい”旨の表示を出力する(
図16のステップS843、
図17の吹き出し851)。
【0151】
携帯端末1の制御部10は、接続処理を催促する通知を受信すると、映像伝送部15に対して、
図3のフローチャートに示す処理の実行を開始させる。(
図15のステップS108)。続いて、制御部10は、その受信データに走行フラグが付加されていたと判断し(
図15のステップS831:YES)、その走行フラグが真であったことから(
図15のステップS832:YES)、表示部11に“停車後に操作してほしい”旨の表示を出力するとともに、操作部13を無効化する(
図15のステップS833、
図17の吹き出し852)。
【0152】
しばらくすると車両の停止を制御部20が検出し(
図16のステップS844:NO)、走行フラグを偽にして携帯端末1に送信するとともに(
図17の矢印853)、表示部21に携帯端末1の操作を促す表示を出力する(
図16のステップS845、
図17の吹き出し854)。
【0153】
制御部10は、新たに走行フラグが付されたデータを受信すると(
図15のステップS834:YES)、受信したデータに付された走行フラグが偽であったことから(
図15のステップS832:NO)、表示部11に映像伝送部15の操作を促す表示を出力するとともに(
図17の吹き出し855)、操作部13を有効化する(
図15のステップS835)。表示部11および表示部21を見たユーザは、映像伝送部15を操作し(
図17の矢印715)、携帯端末1と車載装置2の接続処理が以後進んでゆく。
【0154】
以上説明した第4の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)車載装置2は、車速・パーキング信号により車両の走行状態を検出する制御部20を備え、表示部21によるユーザへの報知は、制御部20により検出された車両の走行状態に基づいて、表示を変化させる。たとえば、走行中には“停車後に操作をしてください”と表示し、車両が停車すると映像伝送部15の操作を促す表示を出力する。
そのため、ユーザの車両走行時の安全性を向上させることができる。また、ユーザが携帯端末1の映像伝送部15に対して操作が可能になると、表示部11および表示部21の表示が変化するため、ユーザが意識していなくても車両の停車時に操作を忘れることがない。
【0155】
(2)さらに、車両の走行中は、携帯端末1の操作部13を無効化する。そのため、仮にユーザが表示部11や表示部21のメッセージを無視して操作を試みても、携帯端末1に変化がないため操作を断念せざるをえず、ユーザの車両走行時の安全性を向上させることができる。
【0156】
(変形例4)
第4の実施の形態では、携帯端末1は初回の接続か否かを車載装置2からの通信内容により判断したが、記憶部14がデバイスリストを備えて、携帯端末1の制御部10が初回の接続か否かを判断してもよい。
【0157】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。