特開2015-98172(P2015-98172A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-98172ハンドル付容器のブロー成形方法及びブロー成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-98172(P2015-98172A)
(43)【公開日】2015年5月28日
(54)【発明の名称】ハンドル付容器のブロー成形方法及びブロー成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/20 20060101AFI20150501BHJP
   B29C 49/38 20060101ALI20150501BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20150501BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20150501BHJP
【FI】
   B29C49/20
   B29C49/38
   B29C49/42
   B29C49/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-11335(P2015-11335)
(22)【出願日】2015年1月23日
(62)【分割の表示】特願2013-530009(P2013-530009)の分割
【原出願日】2012年8月20日
(31)【優先権主張番号】特願2011-180369(P2011-180369)
(32)【優先日】2011年8月22日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(72)【発明者】
【氏名】荻原 修一
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AG07
4F208AG29
4F208AH55
4F208LA02
4F208LA07
4F208LA09
4F208LB12
4F208LD05
4F208LD16
4F208LG03
4F208LG28
4F208LH06
4F208LJ01
4F208LJ05
4F208LJ11
4F208LJ14
4F208LJ15
4F208LJ17
4F208LJ22
4F208LJ29
(57)【要約】
【課題】 ブロー成形部にハンドルをインサートするハンドルインサーターを不要として、ハンドル付容器をブロー成形することができるブロー成形方法及びブロー成形装置を提供すること。
【解決手段】 一対のブローキャビティ型410,411にプリフォーム2とハンドル500を配置し、プリフォームを容器にブロー成形して、容器にハンドルを一体化させるハンドル付容器のブロー成形方法は、プリフォームを、加熱搬送治具370に保持して加熱する加熱工程と、加熱工程の終了後に、搬送方向にて隣り合う2つのプリフォームの間にて、加熱搬送治具にハンドルを供給して保持させる工程と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のブローキャビティ型にプリフォームとハンドルを配置し、前記プリフォームを容器にブロー成形して、前記容器に前記ハンドルを一体化させるハンドル付容器のブロー成形方法において、
前記プリフォームを、加熱搬送治具に保持して加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の終了後に、搬送方向にて隣り合う2つのプリフォームの間にて、前記加熱搬送治具に前記ハンドルを供給して保持させる工程と、
を有することを特徴とするブロー成形方法。
【請求項2】
請求項1において、前記プリフォームと前記ハンドルとを同時に前記加熱搬送治具からブロー搬送治具に移し換える移し換え工程をさらに有することを特徴とするブロー成形方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記加熱搬送治具は、前記プリフォーム及び前記ハンドルを倒立状態にて搬送し、
前記ブロー搬送治具は、前記プリフォーム及び前記ハンドルを正立状態にて搬送し、
前記プリフォーム及び前記ハンドルを前記加熱搬送治具から前記ブロー搬送治具に移し換える工程の前に、前記プリフォーム及び前記ハンドルを反転させる工程をさらに有することを特徴とするブロー成形方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記一対のブローキャビティ型は、2nもしくは3n(nは自然数)個のハンドル無し容器をブロー成形する2nもしくは3n個のキャビティが確保される領域にて、ハンドル付容器をブロー成形するためにn個のキャビティが形成され、
2nもしくは3n個のハンド無し容器を成形するために用意された2nもしくは3n個のブローコア型のうち、n個のブローコア型を用いてn個のハンドル付容器をブロー成形することを特徴とするブロー成形方法。
【請求項5】
請求項2または3において、
前記加熱搬送治具に保持される前記プリフォームと前記ハンドルとの相対的位置関係は、ブロー成形時での前記プリフォームと前記ハンドルとの相対的位置関係と同一であることを特徴とするブロー成形方法。
【請求項6】
請求項2または3において、
前記プリフォームと前記ハンドルとを前記ブロー搬送治具に保持して、型開きされた一対のブローキャビティ型の間に搬送する工程と、
前記一対のブローキャビティ型を型締めして、前記プリフォームと前記ハンドルとを前記一対のブローキャビティ型に配置する工程と、
前記一対のブローキャビティ型にて前記プリフォームを容器にブロー成形して、前記容器に前記ハンドルを一体化させる工程と、
をさらに有することを特徴とするブロー成形方法。
【請求項7】
一対のブローキャビティ型にプリフォームとハンドルを配置し、前記プリフォームを容器にブロー成形して、前記容器に前記ハンドルを一体化させるブロー成形装置において、
加熱搬送治具に保持されて搬送される前記プリフォームを加熱する加熱部と、
前記加熱部での加熱処理が終了した後に、搬送方向にて隣り合う2つのプリフォームの間にて、前記加熱搬送治具に前記ハンドルを供給して保持させるハンドル供給部と、
を有することを特徴とするブロー成形装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記プリフォームを保持する前記加熱搬送治具は、前記プリフォームの開口するネック部を下向きとした倒立状態にて、前記ネック部を保持する第1の保持部を有し、
前記ハンドルを保持する前記加熱搬送治具は、前記ハンドルを一方向に揃えて保持する第2の保持部を有し、
前記第1の保持部及び前記第2の保持部は、前記加熱搬送治具に対して着脱自在であることを特徴とするブロー成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドル付容器のブロー成形方法及びブロー成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製から製造されるブロー成形容器には、取り扱い易さの向上を目的としてハンドルが一体化されている場合がある。容器をブロー成形する過程で、ハンドルは容器と一体化される。ハンドルは、ブロー成形部にて型開きされた一対のブローキャビティ型にハンドルインサーターにより搬入され、型締めされる一対のブローキャビティ型に配置される(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3599851号公報
【特許文献2】特公平6−28896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のハンドルインサーターは、プリフォームとは独立してハンドルをブロー成形部に搬入するので、ハンドルの搬入位置調整が必要である。その際、一対のブローキャビティ型の同時成形個数に従って一対のブローキャビティ型の幅(プリフォーム搬送方向の幅)が大きくなると、ハンドルインサーターの片持ちアームの長さも大きくなって、不安定である。また、ハンドルを一対のブローキャビティ型にハンドルインサーターにより搬入することで、ブロー成形サイクル時間が長くなる虞もある。
【0005】
本発明の幾つかの態様は、ブロー成形部にハンドルをインサートするハンドルインサーターを不要として、ハンドル付容器をブロー成形することができるブロー成形方法及びブロー成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、
一対のブローキャビティ型にプリフォームとハンドルを配置し、前記プリフォームを容器にブロー成形して、前記容器に前記ハンドルを一体化させるハンドル付容器のブロー成形方法において、
前記プリフォームを、加熱搬送治具に保持して加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の終了後に、搬送方向にて隣り合う2つのプリフォームの間にて、前記加熱搬送治具に前記ハンドルを供給して保持させる工程と、
を有するブロー成形方法に関する。
【0007】
本発明の一態様では、搬送方向にてプリフォームと隣り合う位置にて、加熱搬送治具にハンドルを保持して搬送することで、ブロー成形部にハンドルをインサートするハンドルインサーターを別個に設ける必要がない。また、ハンドルを不用意に加熱することなく、プリフォームとハンドルとを一組にして搬送することができる。
【0008】
(2)本発明の一態様では、 前記プリフォームと前記ハンドルとを同時に前記加熱搬送治具からブロー搬送治具に移し換える移し換え工程をさらに有することができる。
【0009】
ブロー成形前にプリフォームを加熱するブロー成形装置では、加熱搬送治具にてプリフォームを搬送し、ブロー成形前にピッチ等の相違からブロー搬送治具に移し換えることができる。本発明の一態様では、プリフォームとハンドルとを同時に加熱搬送治具からブロー搬送治具に移し換えて、ブロー成形部に搬入させることができる。
【0010】
(3)本発明の一態様では、
前記加熱搬送治具は、前記プリフォーム及び前記ハンドルを倒立状態にて搬送し、
前記ブロー搬送治具は、前記プリフォーム及び前記ハンドルを正立状態にて搬送し、
前記プリフォーム及び前記ハンドルを前記加熱搬送治具から前記ブロー搬送治具に移し換える工程の前に、前記プリフォーム及び前記ハンドルを反転させる工程をさらに有することができる。
【0011】
加熱搬送治具にてプリフォームを倒立状態で搬送すると、加熱搬送治具はプリフォームの開口にピンを挿通させる簡易な構造を採用でき、プリフォームとの相対位置関係を一定にするためにハンドルも倒立状態で搬送される。ブロー成形時にはプリフォームを正立させているので、プリフォーム及びハンドルを反転させる工程を設けている。
【0012】
(4)本発明の一態様では、
前記一対のブローキャビティ型は、2nもしくは3n(nは自然数)個のハンドル無し容器をブロー成形する2nもしくは3n個のキャビティが確保される領域にて、ハンドル付容器をブロー成形するためにn個のキャビティが形成され、
2nもしくは3n個のハンド無し容器を成形するために用意された2nもしくは3n個のブローコア型のうち、n個のブローコア型を用いてn個のハンドル付容器をブロー成形することができる。
【0013】
ハンドル付容器はハンドル無し容器と比較して大型容器であるから、同時ブロー成形個数を半減または減少させて成形スペースを確保しながら、ブロー成形部を大幅に変更することなく、既存の設備を兼用することができる。
【0014】
(5)本発明の一態様では、
前記加熱搬送治具に保持される前記プリフォームと前記ハンドルとの相対的位置関係は、ブロー成形時での前記プリフォームと前記ハンドルとの相対的位置関係と同一とすることができる。
【0015】
こうすると、加熱搬送治具に保持されたプリフォームとハンドルとの相対的な位置関係を変更せずにブロー成形することができ、プリフォームとハンドルとの位置関係を調整するための機構が不要となる。また、ブロー成形により容器に生ずるパーティングラインの位置が均一となり、ハンドル付容器の成形性を改善する処理がし易くなる。
【0016】
(6)本発明の一態様では、
前記プリフォームと前記ハンドルとを前記ブロー搬送治具に保持して、型開きされた一対のブローキャビティ型の間に搬送する工程と、
前記一対のブローキャビティ型を型締めして、前記プリフォームと前記ハンドルとを前記一対のブローキャビティ型に配置する工程と、
前記一対のブローキャビティ型にて前記プリフォームを容器にブロー成形して、前記容器に前記ハンドルを一体化させる工程と、
をさらに有することができる。
【0017】
このように、本発明の一態様ではプリフォームとハンドルとが、ブロー搬送治具に保持されて、型開きされた一対のブローキャビティ型の間に搬送されるので、ブロー成形部にハンドルをインサートするハンドルインサーターを別個に設ける必要がない。しかも、プリフォームとハンドルとはブロー搬送治具により双方の位置関係を一義的に定めることも可能となるので、位置調整を不要とすることもできる。しかも、プリフォームとハンドルとを同時にブロー成形部に搬入できるので、ブロー成形サイクルタイムが長くなることもない。
【0018】
(7)本発明の他の態様は、
一対のブローキャビティ型にプリフォームとハンドルを配置し、前記プリフォームを容器にブロー成形して、前記容器に前記ハンドルを一体化させるブロー成形装置であって、
加熱搬送治具に保持されて搬送される前記プリフォームを加熱する加熱部と、
前記加熱部での加熱処理が終了した後に、搬送方向にて隣り合う2つのプリフォームの間にて、前記加熱搬送治具に前記ハンドルを供給して保持させるハンドル供給部と、を有するブロー成形装置に関する。
【0019】
こうすると、ハンドルを不用意に加熱することなく、プリフォームとハンドルとを一組にして搬送することができる。よって、一対のブローキャビティ型間の狭い空間に、同時成形個数分のハンドルを片持ちアームを用いて同時にインサートするハンドルインサーターを別個に設ける必要がない。
【0020】
(8)本発明の他の態様では、
前記プリフォームを保持する前記加熱搬送治具は、前記プリフォームの開口するネック部を下向きとした倒立状態にて、前記ネック部を保持する第1の保持部を有し、
前記ハンドルを保持する前記加熱搬送治具は、前記ハンドルを一方向に揃えて保持する第2の保持部を有し、
前記第1の保持部及び前記第2の保持部は、前記加熱搬送治具に対して着脱自在とすることができる。
【0021】
こうすると、ハンドルなし容器を成形するブロー成形装置に対して、ハンドル供給部を追加し、加熱搬送治具の一部について第1の保持部から第2の保持部に交換することで、ハンドル付容器を成形することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、ハンドル付容器のブロー成形工程を示す図である。
図2図2は、図1の概略平面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るブロー成形装置の平面図である。
図4図4は、図3に示すブロー成形装置の正面図である。
図5図5は、2n個の搬送部材を連結部材にて連結した搬送治具の正面図である。
図6図6は、ブロー成形装置での間欠搬送と連続搬送を示す図である。
図7図7は、ハンドル付容器を成形するためのプリフォームとハンドルとを加熱搬送治具に搭載した状態を示す図である。
図8図8は、ハンドル付容器を成形するためのブロー成形部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について、比較例を参照して詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0024】
1.ハンドル付容器のブロー成形方法
図1及び図2は、ブロー成形部40での一対のブローキャビティ型410,411の型締め状態を示している。一対のブローキャビティ型410,411は、図2のD1方向に沿って互いに離れる方向に型開き可能である。一対のブローキャビティ型410,411(図1ではブローキャビティ型410を示す)の各々は、ハンドル付容器をブロー成形するためのキャビティ412を有する。
【0025】
ハンドル500は、例えば、把持部501と、それと対向する背面部502とを有するリング状に形成されている。ハンドル500は、その上端部には上端固定部503が上方に向けて突出形成され、その下端部には下端固定部504が下方に向けて突出形成されている。これら上端固定部503及び下端固定部504は、プリフォーム2が二軸方向に延伸されて容器にブロー成形する過程で容器の壁部に巻き込まれて、ハンドル500が容器に一体化される。なお、ハンドル500の形状はこれに限定されるものではない。
【0026】
一対のブローキャビティ型410,411は、ハンドル500のリング状中空部505に挿通されるハンドル固定部414を有する。また、一対のブローキャビティ型410,411は、ハンドル500の把持部501を配置するためのスリット413を有する。
【0027】
プリフォーム2とハンドル500とは、ブロー搬送治具例えば搬入治具420に保持されてブロー成形部40に搬入される。搬入治具420は、プリフォーム2のネック部2Aを保持するネック保持部430と、ハンドル500を保持するハンドル保持部440とを有する。ネック保持部430は、図2に示すようにD1方向と平行な方向に開閉可能な一対のチャック片431,432を有する。この一対のチャック片431,432間にプリフォーム2のネック部2Aが挟持される。
【0028】
ハンドル保持部440も同様に、図2に示すようにD1方向と平行な方向に開閉可能な一対のチャック片441,442を有する。この一対のチャック片441,442の各々は垂下部441A,442Aを有し、垂下部441A,442Aの下端部間にハンドル500が挟持される。ハンドル500は両側面に例えば凹部506,506を有し、凹部506,506を垂下部441A,442Aの下端部間で挟持することで、ハンドル500が一対のチャック片441,442に保持される。垂下部441A,442Aは一対のブローキャビティ型410,411のスリット413,413内に配置されるので、一対のブローキャビティ型410,411が型締めされた後も、一対のブローキャビティ型410,411と干渉せずにハンドル500を保持し続けることができる。
【0029】
本実施形態のブロー成形方法では、プリフォーム2とハンドル500とが、搬入治具(ブロー搬送治具)420に保持されて、型開きされた一対のブローキャビティ型410,411の間に図2のD2方向から搬送される。次に、一対のブローキャビティ型410,411を型閉じして、プリフォーム2とハンドル500とが、一対のブローキャビティ型410,411内に配置される。一対のブローキャビティ型410,411が型締めされて、プリフォーム2とハンドル500とが一対のブローキャビティ型410,411に保持された後は、搬入治具420は矢印D1と平行な方向に開放され、次にブロー成形されるプリフォーム2とハンドル500とを受け取る位置まで移動することができる。一対のブローキャビティ型410,411では、ブローコア型及び延伸ロッドを用いて、一対のブローキャビティ型410,411内にてプリフォーム2を容器にブロー成形して、容器にハンドル500が一体化される。
【0030】
ブロー成形されたハンドル付容器は、搬入治具420と同期して移動される搬出治具(図示せず)により保持されて、型開きされた一対のブローキャビティ型410,411より搬出される。このとき、ハンドルは容器に一体化されているので、搬出治具は容器のネック部のみを保持し、ハンドルを保持する必要はない。なお、ブロー搬送治具を構成する搬入治具420と搬出治具とは、同一の駆動源により駆動することができる。
【0031】
このように、本実施形態ではプリフォーム2とハンドル500とが、搬入治具420に保持されて、型開きされた一対のブローキャビティ型410,411の間に搬送されるので、ブロー成形部40にハンドル500をインサートするハンドルインサーターを別個に設ける必要がない。しかも、プリフォーム2とハンドル500とは搬入治具420により双方の位置関係が一義的に定まっているので、その後の位置調整のための機構が不要である。しかも、プリフォーム2とハンドル500とを同時にブロー成形部40に搬入できるので、ブロー成形サイクルタイムが長くなることもない。
【0032】
なお、搬入治具420がプリフォーム2とハンドル500との位置または位置関係を変更するものであっても良い。例えば、搬入治具420がプリフォーム2とハンドル500とを受け取り、ブロー成形部40に搬入する高さ位置と、ブロー成形時のプリフォーム2とハンドル500との高さ位置が異なっても良い。図1に示すようにネック部2Aを上向きとした正立状態で搬送及びブロー成形を実施する場合には、搬入高さ位置からプリフォーム2とハンドル500とを保持した搬入治具420を下降させて、ブロー成形位置に設定しても良い。こうすると、ブロー成形位置にて搬入治具420を図1の矢印D1方向と平行に開閉させる機構を、搬入経路と干渉せずに作動させ易くなる。この他、ハンドル500のチャック位置をプリフォーム2のネック部2Aと同一位置にした場合には、ブロー成形位置に向けてハンドル500のみを下降させる機構を搬入治具420が有していても良い。
【0033】
搬入治具420はブロー成形中もプリフォーム2及びハンドル500を保持することができる。従って、搬入治具420をブロー搬出治具として兼用し、一対のブローキャビティ型410,411の型開き後に、ハンドル付容器をブロー成形部40より図2のD3方向に搬出することができる。
【0034】
2.射出延伸ブロー成形装置
次に、上述したブロー成形方法を実施するブロー成形装置、例えば射出延伸ブロー成形装置ついて説明する。ホットパリソン方式(1ステージ方式)では、射出成形時の熱を保有したプリフォーム2を必ずしも加熱する必要がないので、搬入治具420にプリフォーム2を取り付ける際に、外部から供給されるハンドル500を同時に搬入治具420に取り付けることが可能である。
【0035】
プリフォーム2をブロー成形前に加熱する1ステージ方式やコールドパリソン方式(2ステージ方式)等では、プリフォーム2を加熱した後に、プリフォーム2を搬送する加熱搬送治具にハンドル500をインサートすることができる。以下に説明するブロー成形装置でも、プリフォーム2を搬送する加熱搬送治具にハンドル500をインサートしている。なお、以下に示すブロー成形装置について、先ずハンドル無し容器を成形する装置について説明し、ハンドル付容器を成形する場合の変更点について後述する。
【0036】
2.1.全体概要
図3は射出延伸ブロー成形装置の平面図、図4は射出延伸ブロー成形装置の正面図である。図3及び図4において、射出延伸ブロー成形装置の機台1には、射出成形部10、冷却部20、加熱部30及びブロー成形部40が設けられている。なお、図3及び図4に示す装置の詳細は特願2010−238199(WО2012−057016)に開示されているものと同一である。
【0037】
本実施形態は、射出成形とブロー成形とをインラインで接続した1ステージ方式であるが、同時射出成形個数と同時ブロー成形個数とを不一致とした2ステージの利点を有し、全体として1.5ステージ方式と称される射出延伸ブロー成形装置である。
【0038】
本実施形態は、同時に射出成形された2N個のプリフォームをm回に分けて2nもしくは3n個ずつブロー成形動作する各回での成形温度差を、加熱前に強制冷却することで小さくし、それにより、容器間の成形品質を均一化するものである。
【0039】
2.2.射出成形部
射出成形部10は、図3に示す4本のタイバー100に沿って型締め駆動する型締め機構102を有する。型締め機構102により、図4に示す射出コア型104が射出キャビティ型106と型締めされる。射出装置110がホットランナー型にノズルタッチして樹脂を射出することで、プリフォームが射出成形される。
【0040】
図3に示すように、射出成形部10にて同時に射出成形されるプリフォーム個数2Nは例えば最大24個(3列×8個)とされる。ハンドル付容器を成形する場合には、各列で4個のプリフォーム配列とされ、3列で計N=12個とされる。例えば、射出成形部10は、例えば1.5リットル容器の成形時には2N=24個の射出キャビティ型106が配置され、ハンドル付容器の成形時にはN=12個の射出キャビティ型106が設けられる。射出コア型104及び射出キャビティ型106は冷媒によりプリフォームを強制冷却する機能を有し、射出コア型104及び射出キャビティ型106より離型できる温度までプリフォームは冷却される。本実施形態の冷却部20は、射出コア型104及び射出キャビティ型106での冷却とは異なる。
【0041】
射出成形部10には、射出成形された2N個のプリフォームを取り出す取出し装置120が設けられている。取出し装置120は、2N個(例えば3列×8個)の保持部材例えばポット122を、射出コア型104の下方の受け取り位置と、タイバー100で囲まれた空間よりも外方の受け渡し位置とに、水平移動可能としている。このポット122の水平移動中に、ポット122の列ピッチは、受け取り位置での広ピッチ(射出成形ピッチ)から受け渡し時の狭ピッチへと変換される。なお、受け渡し位置に描かれた3つのポット122のうち、2つは口径及び長さの大きいプリフォーム用ポットであり(受け取り位置のポットと同じ)、他の一つは口径及び長さの小さいプリフォーム用ポットである。つまり、プリフォームサイズに応じて、ポット122のサイズや数は変更される。なお、図4では受け取り位置と受け渡し位置とにそれぞれポット122が実線で描かれているが、実際にはいずれか一方の位置のみに停止している。
【0042】
ここで、取出し装置120を備えた射出成形部10については、例えば本出願人による特許第4148576号公報に開示されたプリフォーム成形装置の技術を用いることができるが、これに限定されない。
【0043】
2.3.冷却部
射出成形された2N個のプリフォームは、プリフォームを強制冷却する冷却部20に搬送される。このために、図4に示すように、プリフォーム搬送装置50が設けられている。プリフォーム搬送装置50は、図4に示す受け渡し位置にある3列のポット122に保持された2N個のプリフォームを、冷却部20まで搬送する。
【0044】
ここで、本実施形態では、射出成形部10は、ネック部を上向きとした正立状態にて2N個のプリフォーム2を射出成形している。冷却部20は反転部200を有し、反転部200は、正立状態のプリフォーム2を、ネック部を下向きとした倒立状態に反転させることができる。つまり、冷却時間中に反転動作させることができ、反転時間等を別途確保することなく冷却時間を長く確保できる。
【0045】
また、本実施形態では、冷却部20は、射出成形部10にて2N個のプリフォーム2を射出成形するのに要する射出成形サイクルタイム以上の時間に亘って、2N個のプリフォーム2を強制冷却することができる。
【0046】
冷却部20での強制冷却は、冷却後の温度もさることながら、同時に射出成形された2N個のプリフォーム2の温度を、加熱開始タイミングを変えて加熱する場合であっても、加熱直前の2N個のプリフォーム2の温度差を抑制することにある。射出成形時の保有熱を有するプリフォームは、自然冷却では自然冷却時間に依存して加熱直前の2N個のプリフォーム2に明らかな温度差が認められるからである。
【0047】
このように、本実施形態は1.5ステージ方式の射出延伸ブロー成形装置でありながら、射出成形部10から搬出後のプリフォーム2を強制冷却している。ただし、冷却されたプリフォーム2は室温まで冷却される必要はなく、射出成形時の熱を保有していることには変わりはないので、1ステージ方式の装置のエネルギー効率上の利点を共有できる。
【0048】
2.4.加熱部
加熱部30は、冷却された2N個のプリフォーム2を延伸適温まで加熱するものである。本実施形態では、加熱部30は、ネック部を下向きとした倒立状態にて2N個のプリフォーム2を加熱するものである。本実施形態ではさらに、2N個のプリフォーム2を連続搬送しながら加熱するものである。
【0049】
このために、加熱部30は、k(kは2以上(その値を含む)の整数)サイクル分の(k×2N)個のプリフォーム2が搬送される閉ループまたは循環ループをなす搬送路300のうち一部の連続搬送路310に沿って配置されている。搬送路300は、複数のスプロケット321〜328(図3参照)と、複数のスプロケット321〜328に係合可能であって、各々が一つのプリフォーム2を保持する複数の搬送部材330(図5参照)と、複数の搬送部材330を搬送方向に沿って案内する案内レール(図示せず)と、を有することができる。本実施形態では、搬送路300には、上流側の連続搬送路310と下流側の間欠搬送路312とが並存している。
【0050】
搬送部材330は、図5に示すように、自転軸331の一端部(上端部)にネック部2Aに挿入される保持部(第1の保持部)332が着脱自在に支持され、自転軸331の他端部(下端部)には自転駆動力が付与されるスプロケット333が固定されている。スプロケット333は、図3の加熱部30に配される固定または可動チェーン350に係合して自転軸331と共に自転する。加熱部30は周知のようにヒーターと反射鏡とを連続搬送路310の両側に配置して構成することができる。加熱されるプリフォーム2を自転させるので、温度むらが発生することがない。
【0051】
自転軸331には、遮熱部材360がスライダー361に支持されている。スライダー361は、図示しないカムによって押し上げられると、遮熱部材360がプリフォーム2のネック部2Aを包囲して遮熱することができる。
【0052】
図5に示すように、搬送方向にて隣り合う2つの搬送部材330は、互いにが接するリング状部材334を有する。このリング状部材334は、自転軸331に対して回転ベアリング335を介して支持されている。リング状部材334の外周は例えば円形であり、隣り合うリング状部材334は転接可能である。こうすると、湾曲搬送路でも隣り合うリング状部材334は転接関係を維持できる。
【0053】
図5に示すように、搬送方向にて連続する2nもしくは3n(本実施形態では2n=8)個の搬送部材330は、連結部材371により連結されて一つの加熱搬送治具370を構成することができる。連結部材371は、一つの自転軸331を例えば上流側にて隣り合う他の自転軸331と連結する内側リンク372と、一つの自転軸331を例えば下流側にて隣り合うさらに他の自転軸331と連結する外側リンク373とを含んで構成される。内側リンク372と外側リンク373との連鎖である連結部材371がチェーンを形成し、このチェーン(連結部材)371が図3に示す複数のスプロケット321〜328に噛合される。つまり、本実施形態では無端状チェーンは用いられず、2nもしくは3n個の搬送部材330を連結する連結部材371がチェーンを形成している。
【0054】
なお、図5に示すように例えば2n個の搬送部材330を連結して加熱搬送治具370を構成する場合、同時ブロー成形個数2nが異なる仕様では、個数2nに合わせて加熱搬送治具370を用意しなければならない。これに対して、非連結の搬送部材330を用いる場合には、同時ブロー成形個数2nの変化に対する対応が容易となる。ただし、連結せずに個々の搬送部材330を用いる場合には、スプロケット231〜238等の連続・間欠駆動部材に係合するチェーンに相当する部材を、個々の搬送部材330に設けておく必要がある。これは搬送部材を3n個とする場合も、同様である。
【0055】
搬送路300に配置された複数のスプロケット321〜328のうち、例えば、スプロケット321,323,324は連続回転駆動スプロケット、スプロケット325,327は間欠駆動スプロケット、スプロケット322,326,328は従動スプロケットとすることができる。連続駆動源は例えばスプロケット324を駆動し、その駆動力はベルト328A,328Bを介して他の連続駆動スプロケット321,323に伝達される。間欠駆動源は例えばスプロケット325を駆動し、その駆動力はベルト329を介して他の間欠駆動スプロケット327に伝達される。このように、搬送路300の上流経路320は連続駆動であり、下流経路312は間欠駆動であり、ループ状の搬送路300に連続・間欠駆動が並存している。
【0056】
図4に示す冷却部20の下方には、(m+1)以上(その値を含む)の数例えば4つの加熱搬送治具370を並列駆動する並列駆動装置380が配置されている。この並列駆動装置380は、図4に示すように、各軸端部の各2つのスプロケット381,382に掛け渡された2つのチェーン383に多数の搬送レール384の両端を取り付けて構成される。この搬送レール384の各々には、図3の従動スプロケット328で案内される一つの加熱搬送治具370が長手方向からスライドインされ、その加熱搬送治具370の例えば8つのリング状部材334が搬送レール384に載置されて支持される。
【0057】
その後、スプロケット381,382の一方が1ステップ分だけ回転され、搬送レール384が1ステップ分だけ移送される。この動作を繰り返すことで、並列駆動装置380には常時4つの加熱搬送治具370が配置される。そして、図4に示すように、下流側のm(m=2N/2nもしくは2N/3nの整数で本実施形態ではm=3)個の加熱搬送治具370に、冷却部20(反転部200)からプリフォーム2が受け渡される。
【0058】
また、並列駆動装置380に配置される4列の加熱搬送治具370の中の先頭列は、図3に示すように、例えばエアシリンダー等で構成される搬出装置(図示省略)により矢印C方向に押し出される。これにより、プリフォーム2が搭載された例えば8つの搬送部材330(加熱搬送治具370)が順次、連続駆動スプロケット321と係合して連続搬送されることになる。
【0059】
ここで、説明の便宜上、図3では、一つの加熱搬送治具370の中の先頭の搬送部材330(またはプリフォーム2)の位置を、先頭以外の他の7つと区別するためにマーキングしている。図3の先頭列の加熱搬送治具370の中の先頭の搬送部材330が、搬出装置により搬出されて最上流の連続駆動スプロケット321と係合される。その後は、連続駆動スプロケット321から加熱搬送治具370に連続搬送力が付与される。
【0060】
連続搬送路310に存在する3つの連続駆動スプロケット321,323,324と係合する各加熱搬送治具370(搬送部材330)に駆動力が付与されることで、それよりも上流側にて連続駆動スプロットと非係合の他の加熱搬送治具370(搬送部材330)が押動され、複数の加熱搬送治具370が連続搬送路310に沿って連続搬送される。
【0061】
プリフォーム2の射出成形工程、冷却工程、加熱工程の概略の搬送動作を、図6を参照して説明する。なお、図中の矢印に付した符号のうち、I1〜I8はそれぞれ間欠搬送を意味し、C1〜C3は連続搬送を意味する。
【0062】
射出成形部10で射出成形された2N個のプリフォーム2は、取出し装置120によりポット122がI1方向に間欠搬送された後にポット122から取り出される。プリフォーム2は、搬送装置50を介して冷却部20に受け渡され、冷却部20にてI2方向に反転されて、並列駆動装置380上の3つの加熱搬送治具370に2nもしくは3n個ずつ分けて搭載される。
【0063】
並列駆動装置380上の先頭の加熱搬送治具370は、図示しない搬出装置により矢印I3方向に間欠的に搬送されて、連続搬送路310に搬出される。連続搬送路310では、連続駆動スプロケット321,323,324の駆動力と、前後の加熱搬送治具370がリング状部材334で密接することにより、複数の加熱搬送治具370が連続搬送される。その過程で、プリフォーム2は加熱部30により自転されながら加熱される。
【0064】
図3においては、搬送路300の下流側の間欠搬送路312は、間欠搬送が終了した直後の状態を示している。連続駆動スプロケット324に係合している加熱搬送治具370の上流側には、一つの搬送治具370分の長さだけ空白の領域が存在している。つまり、連続駆動スプロケット324に係合している加熱搬送治具370の上流側の複数の加熱搬送治具370は、間欠駆動スプロケット325,327の間欠駆動により、連続搬送よりも速い速度で間欠搬送される(図6の矢印I4参照)。
【0065】
図3の状態から連続駆動スプロケット324が連続駆動を続けることで、連続駆動スプロケット324に係合している加熱搬送治具370は連続搬送される。このとき、間欠駆動スプロケット325は、加熱搬送治具370と係合して従属的に回転する。やがては、間欠搬送路312で間欠停止している上流側の加熱搬送治具370とリング状部材334を介して密接し、そのタイミングで間欠搬送が実施される。それにより、連続駆動スプロケット324に係合している加熱搬送治具370の上流側には、一つの加熱搬送治具370分の長さだけ空白の領域が再度存在することになる。以降は、この動作が繰り返し実施される。また、間欠駆動が繰り返される度に、図4に示す並列駆動装置380の搬送レール384に一つずつ加熱搬送治具370が搬入される(図6の矢印I5参照)。それと同期して、図6の矢印I3で示す通り、連続搬送路310に新たな2nもしくは3n個のプリフォーム2を搭載した加熱搬送治具370が間欠供給される。
【0066】
2.5.ブロー成形部
ブロー成形部40は、2nもしくは3n個のプリフォームを吹き込みエアーと延伸ロッドの縦軸駆動で二軸延伸して容器に成形するものである。図示しないブローキャビティ型、ブローコア型及び必要により底型が型締めされる。これらの構造は周知であるので、説明を省略する。加熱部30よりブロー成形部40に2nもしくは3n個のプリフォーム2を移送する間欠搬送機構400が設けられている。間欠搬送機構400は、例えば一対のネック保持板401,402で構成される。図3では、一対のネック保持板401,402はそれぞれ移動前後の位置で示されているが、実際には一対のネック保持板401,402によりネック部2Aを保持してプリフォーム2が搬送される。
【0067】
本実施形態では、ブロー成形部40ではプリフォーム2が正立状態でブロー成形され、一対のネック保持板401,402により正立状態でプリフォーム2が搬送される。一対のネック保持板401,402は、ブロー成形された2nの容器を取出し部60にて取り出す動作にも兼用される。
【0068】
加熱部30よりブロー成形部40に2nもしくは3n個のプリフォーム2を搬送するために、図示しない2nもしくは3n個の搬送アームが使用される。この搬送アームの動作として、図4に示すように、搬送路300の下流にて間欠搬送された加熱搬送治具370から2nもしくは3n個のプリフォーム2を図示D方向に倒立状態で取出し、図示F方向に反転して正立状態とする(図6の矢印I6参照)。
【0069】
搬送アームはさらに、図4に示すように、配列ピッチが加熱時の挟ピッチからブロー成形時の広ピッチに変換する機能も有する。図4の矢印D,Fの付近には、口径及び長さの小さい2n=8個のプリフォームを反転しピッチ変換する様子と、口径及び長さの大きいn=4個のプリフォームを反転しピッチ変換する様子とを、参考のために描かれている。
【0070】
その後、搬送アームから一対のネック保持板401,402にプリフォーム2が受け渡されて、ブロー成形部40に搬入される(図6の矢印I7参照)。なお、プリフォーム2をブロー成形部40に搬入する図6の矢印I7の動作と、ブロー成形後の容器を取出し部60に搬出する図6の矢印I8の動作とは、共に一対のネック保持板401,402を用いて同時に実施できる。
【0071】
3.ハンドル付容器を成形するための変更点
3.1.ハンドルをインサートするハンドル供給部
図3に示すように、加熱部30の下流であって、例えば駆動スプロケット324と係合して位置精度の高い加熱搬送治具370に、ハンドル供給個所600にてハンドル500をインサートするハンドル供給部630が設けられる。ハンドル供給部630は、例えば、アンスクランブラー610の回転動作とハンドル500の重力とにより単列又は複数列に整列されてシューター620に沿ってハンドル500を整列搬送し、ハンドル供給個所600に位置する加熱搬送治具370に、図示しない反転供給部にて把持されたハンドル500を反転供給する。上述したように、ハンドル付容器を生成する場合には、N=3列×4個=12個のプリフォーム2が同時に成形される。2N=24個のプリフォーム2を同時に射出成形する場合では、図5に示すように加熱搬送治具370には2n=8個のプリフォーム2が搭載されるが、N=12個のプリフォーム2を同時に射出成形する場合には、図7に示すように、加熱搬送治具370にはn=4個のプリフォーム2が搭載される。しかも、加熱搬送治具370を構成する8つの搬送部材330に一つおきに4個のプリフォーム2が搭載される。よって、加熱部30内では、一つの加熱搬送治具370には4個のプリフォーム2が搭載されて加熱される。
【0072】
図7において、プリフォーム2が搭載されない残りの4つの搬送部材330は、プリフォーム2に代えてハンドル500を搭載可能なように、プリフォーム2の保持部(第1の保持部)332に代えて、ハンドル500の保持部(第2の保持部)336に変更されている。この保持部336は、ハンドル500の上端固定部503に形成されている例えば角孔503A(図1参照)に挿入される角ピン336Aを有する。
【0073】
ハンドル供給部630は、駆動スプロケット324と係合している加熱搬送治具370にハンドル500をインサートする時、保持部336の角ピン336Aにハンドル500の上端固定部503の角孔503Aを挿通させる。角ピン336Aが角孔503Aに挿入されることで、ハンドル500は向きが揃えられて加熱搬送治具370に搭載される。
【0074】
ハンドル500の向きが揃えられて加熱搬送治具370に搭載されるとき、プリフォームのネック部2Aの向きも揃えることができる。
【0075】
こうして本実施形態では、加熱搬送治具370に保持されたプリフォーム2とハンドル500との相対的な位置関係は、図1に示すブロー成形時の位置関係と同一となる(正立、倒立の相違は相対的位置関係の違いではない)。このため、以降の工程では、プリフォーム2とハンドル500との相対的な位置関係を変更するための機構が不要となる。また、プリフォーム2とハンドル500との相対的な位置関係が維持されると、ブロー成形時に一対のブローキャビティ型410,411により生ずるパーティングラインの位置が均一となったり、ハンドル付容器の成形性を改善する処理がし易くなったりする。ただし、ハンドル500を加熱搬送治具370に保持する形態は、図7に示すものに限定されるものではない。
【0076】
このように、本実施形態では、加熱部30にてプリフォーム2の加熱工程を終了後に、搬送方向にて隣り合う2つのプリフォーム2の間にて、加熱搬送治具370に4個のハンドル500を供給して保持させる工程を有する。こうすると、ハンドル500を不用意に加熱することなく、プリフォーム2とハンドル500とを一組にして搬送することができる。なお、ハンドルインサーター600は、4個のハンドル500を同時にインサートしても良いし、1回につき1個または複数個のハンドル500をインサートしても良い。また、搬送路300の間欠停止位置にてハンドル500を加熱搬送治具370に供給しても良い。
【0077】
3.2.加熱部からブロー成形部への搬送
本実施形態では、プリフォーム2とハンドルと500とを、加熱搬送治具370から最終的には図1に示す搬入治具420に、同時に移し換える工程を有することができる。このために、図3に示す間欠搬送機構400は、一対のネック保持板401,402に代えて、図1に示すプリフォーム2及びハンドル500を搬入する搬入治具420と、ハンドル付容器を搬出する搬出治具(図示せず)とが用いられる。
【0078】
本実施形態ではさらに、加熱搬送治具370は、図7に示すようにプリフォーム2及びハンドル500を倒立状態にて搬送し、搬入治具420は、図1に示すようにプリフォーム2及びハンドル500を正立状態にて搬送する。このため、プリフォーム2及びハンドル500を加熱搬送治具370から搬入治具420に移し換える工程の前に、図4に示すように、搬送路300の下流にて間欠搬送された加熱搬送治具370から4個のプリフォーム2と共に図4では図示されていない4個のハンドル500を図示D方向に倒立状態で取出し、図示しない搬送アームによりプリフォーム2及びハンドル500を図示F方向に反転して正立状態とする(図6の矢印I6参照)。その後、正立状態のプリフォーム2及びハンドル500の配列ピッチを維持したまま、プリフォーム2の配列ピッチがブロー成形ピッチ(広ピッチ)にピッチ変換される。本実施形態では、ピッチ変換後のプリフォーム2及びハンドル500を図1に示す搬入治具420に受け渡しているが、搬入治具420にピッチ変換機構を設けても良い。このピッチ変換機構として、垂直面内で開閉されるXアーム構造のパンタグラフの可動部をカムによって変位させてピッチ変換させることができる。
【0079】
3.3.ハンドル付容器を成形するブロー成形部
ハンドル付容器を成形するブロー成形部40を図8に模式的に示す。図8は、一方のブローキャビティ型410を示している。図3に示すブロー成形装置では、図8に示すブローキャビティ型410が2個並列に配置され、ハンドル無し容器を2nもしくは3n個同時に、ハンドル付容器はn個同時に、それぞれブロー成形することができる。図8では、2n=8、n=4の場合を示している。
【0080】
2つのブローキャビティ型410、411は、2n(2n=8)個のハンドル無し容器をブロー成形する2n個のキャビティが確保される領域にて、ハンドル付容器をブロー成形するためにn(n=4)個のキャビティ412が形成されるものである(図8では一つのブローキャビティ型410がn=4の半分を省略しており、n/2=2個のキャビティ412とした場合を例示している)。2つのブローキャビティ型410にて2n個のハンド無し容器を成形するために用意された2n個のブローコア型のうち、n個のブローコア型を用いてn個のハンドル付容器をブロー成形する。図8では、一つのブローキャビティ型410のために設けられたn=4個のブローコア型ブローコア型450A〜450Dのうち、2個のブローコア型450A,450Cが用いられる。
【0081】
このように、ハンドル付容器はハンドル無し容器と比較して大型容器であるから、同時ブロー成形個数を半減させて成形スペースを確保しながら、ブロー成形部40を大幅に変更することなく、既存の設備を兼用することができる。
【0082】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0083】
例えば、上述した実施形態では、射出成形部とブロー成形部とを基盤上に備えた1ステージ方式(ホットパリソン方式)または1.5ステージ方式の射出延伸ブロー成形装置に本発明を適用した。ただし本発明は、射出成形部が配置されたステージを分離し、加熱部及びブロー成形部のみを基盤上に有する2ステージ方式(コールドパリソン方式)のブロー成形装置に適用しても良い。
【0084】
例えば、上述した実施形態では加熱部30の下流側にてハンドル500を加熱搬送治具370に供給したがこれに限定されない。少なくとも、搬送方向にて隣り合う2つのプリフォーム2の間にて、図1に示す搬入治具420にハンドル500を保持してブロー成形部40に搬入できれば良い。従って、搬入治具420にハンドル500を供給することや、図4に示す反転動作Fを実施する前に反転用の搬送アームにハンドル500を供給するもの等であっても良い。
【符号の説明】
【0085】
2 プリフォーム、10 射出成形部、20 冷却部、30 加熱部、40 ブロー成形部、300 搬送路、310 連続搬送路、312 間欠搬送路、321〜328 複数のスプロケット、330 搬送部材、332 第1の保持部、336 第2の保持部、370 加熱搬送治具、400 間欠搬送機構、410,411 一対のブローキャビティ型、420 搬入治具(ブロー搬送治具)、450A〜450D ブローコア型、500 ハンドル、630 ハンドル供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8