特開2015-98190(P2015-98190A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015098190-車両内装材表皮構造 図000003
  • 特開2015098190-車両内装材表皮構造 図000004
  • 特開2015098190-車両内装材表皮構造 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-98190(P2015-98190A)
(43)【公開日】2015年5月28日
(54)【発明の名称】車両内装材表皮構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20150501BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20150501BHJP
   B32B 3/06 20060101ALI20150501BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20150501BHJP
【FI】
   B60R13/02 B
   B60K37/00 G
   B32B3/06
   B32B27/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-237572(P2013-237572)
(22)【出願日】2013年11月18日
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083091
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141416
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】竹市 親史
【テーマコード(参考)】
3D023
3D344
4F100
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB07
3D023BD02
3D023BD11
3D023BE17
3D344AA03
3D344AA12
3D344AB01
3D344AC03
4F100DB02
4F100DB05
4F100EC08
4F100GB33
4F100JL02
(57)【要約】
【課題】内装材に設けられる凹部を廃止できる、車両用内装装置の提供。
【解決手段】表皮30の縫製部33aが、内装材20の端部22に対向する位置にあるため、表皮30の縫製部33aが内装材20の端部22以外の部分(一般板厚部21)に対向する位置にある場合に比べて、表皮30の縫製部33aの位置が内装材20に対してずれにくい。そのため、内装材20に凹部を設けることなく、縫製部33aを基準として表皮30を内装材20に取付けることができる。したがって、内装材20に設けられる従来要していた凹部を廃止できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装材と、前記内装材を覆う表皮と、を有し、
前記内装材は、一般板厚部と、該一般板厚部に連なり該一般板厚部から離れるにつれて板厚が薄くなる端部と、を備えており、
前記表皮は、一枚構成であり、前記内装材の表面に沿って配置される第1、第2のカバー部と、該第1、第2のカバー部の一端部同士を繋いでおり前記内装材から離れる方向に突出しており山折りに折り返されて根元が縫い合わされることでてできる重複部と、を備えており、
前記表皮の重複部の根元の縫製部は、前記内装材の前記端部に対向する位置にある、車両内装材表皮構造。
【請求項2】
前記内装材の隣に配置される、車両の第2の内装材をさらに有しており、
前記表皮の前記重複部は、前記第2の内装材の車室側面に乗り上げている、請求項1記載の車両内装材表皮構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装材の表皮構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002−79852号公報は、2枚の表皮を用いてシングルステッチを施す、車両内装材表皮構造を開示している。該公報開示の車両内装材表皮構造では、表皮で覆われる内装材に、表皮の縫い代を収容する収容凹部が設けられている。表皮の縫い代を収容凹部に収容することにより、縫い代を基準として表皮を内装材に取り付けている。
【0003】
しかし、上記公報開示の車両内装材表皮構造には、つぎの問題点がある。
収容凹部の大きさを、表皮のバラツキを吸収できる大きさ以上の大きさにする必要がある。そのため、使用者が収容凹部に触れた際にぶかつきなどの違和感を覚えるおそれがあり、また、ステッチ(縫製ライン)のよたりが発生しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−79852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、内装材に設けられる凹部を廃止できる、車両用内装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 車両の内装材と、前記内装材を覆う表皮と、を有し、
前記内装材は、一般板厚部と、該一般板厚部に連なり該一般板厚部から離れるにつれて板厚が薄くなる端部と、を備えており、
前記表皮は、一枚構成であり、前記内装材の表面に沿って配置される第1、第2のカバー部と、該第1、第2のカバー部の一端部同士を繋いでおり前記内装材から離れる方向に突出しており山折りに折り返されて根元が縫い合わされることでてできる重複部と、を備えており、
前記表皮の重複部の根元の縫製部は、前記内装材の前記端部に対向する位置にある、車両内装材表皮構造。
(2) 前記内装材の隣に配置される、車両の第2の内装材をさらに有しており、
前記表皮の前記重複部は、前記第2の内装材の車室側面に乗り上げている、(1)記載の車両内装材表皮構造。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)の車両内装材表皮構造によれば、表皮の縫製部が、内装材の端部に対向する位置にあるため、つぎの効果を得ることができる。
表皮の縫製部が内装材の端部以外の部分(一般板厚部)に対向する位置にある場合に比べて、表皮の縫製部の位置が内装材に対してずれにくい。そのため、内装材に凹部(従来の凹部)を設けることなく、縫製部を基準として表皮を内装材に取付けることができる。したがって、内装材に設けられる従来要していた凹部を廃止できる。
【0008】
また、上記(1)の車両内装材表皮構造によれば、さらにつぎの効果を得ることができる。
表皮が一枚構成であり、1回の縫製ですむため、2枚の表皮を用いて2回縫製する場合に比べて、コスト上有利である。また、一枚の表皮を1回縫製するだけでシングルステッチを施すことができるため、比較的容易にシングルステッチを施すことができる。
【0009】
上記(2)の車両内装材表皮構造によれば、表皮の重複部が、内装材の隣に配置される第2の内装材の車室側面に乗り上げているため、つぎの効果を得ることができる。
第2の内装材にも前記表皮とは異なる別の表皮(たとえば同色かつ同質感の表皮)を設けることにより、内装材と第2の内装材とで意匠の一体感を得ることができる。一方、第2の内装材には表皮を設けない、または、第2の内装材に前記表皮とは全く色や質感の異なる表皮を設けることにより、内装材と第2の内装材とで全く異なる意匠にすることができる。すなわち、車両内装の意匠自由度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明実施例の車両内装材表皮構造の部分斜視図である。
図2】本発明実施例の車両内装材表皮構造における、内装材の断面図である。
図3】本発明実施例の車両内装材表皮構造における、表皮の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明実施例の車両内装材表皮構造を、図面を参照して説明する。なお、図中、INは車室側を示し、OUTと反車室側を示す。
【0012】
本発明実施例の車両内装材表皮構造(以下、単に表皮構造または構造ともいう)10は、車両の内装部品であるインストルメントパネル部位、コンソールパネル部位、ドアトリム部位等に配置される内装材を、表皮にて覆う構造である。以下、本発明実施例では、内装材がインストルメントパネル部位に配置される場合を例にとって説明する。
【0013】
表皮構造10は、図1に示すように、車両の内装材20と、内装材20を覆う表皮30と、内装材20の隣に配置される車両の第2の内装材40と、を有する。
【0014】
内装材20は、たとえば樹脂製であり、型成形品である。内装材20は、インストルメントパネル1と別体に形成されており、表皮30にて覆われた後にインストルメントパネル1に取付けられる。内装材20は、インストルメントパネル1に直接固定して取付けられていてもよく、インストルメントパネル1および内装材20とは別体の加飾パネル2を介してインストルメントパネル1に固定して取付けられていてもよい。内装材20が加飾パネル2を介してインストルメントパネル1に取付けられる場合、内装材20は、加飾パネル2とインストルメントパネル1との間に配置されており、ビス等の締結部材3を用いて加飾パネル2に取付けられる。
【0015】
内装材20は、一般板厚部21と、一般板厚部21に連なり一般板厚部21から離れるにつれて板厚が薄くなる端部(板厚減少部)22と、を備える。
【0016】
一般板厚部21は、図2に示すように、端部22以外の部分である。内装材20は、一般板厚部21にて加飾パネル2に締結固定される。一般板厚部21の板厚は、一定であってもよく、非一定であってもよい。
【0017】
端部22の傾斜角度αは、5°以上90度未満(5°は含み90°は含まない)とされている。端部22の、一般板厚部21に接続する側の端(基端)の厚みは、一般板厚部21の、端部22に接続する側の端の厚みと同じである。端部22の先端部22aは、尖っていてもよいが、表皮30へダメージを与えることを抑制するためにR形状となっていることが望ましい。
【0018】
表皮30は、本皮製であってもよく、合成皮革製であってもよく、その他であってもよい。表皮30は、図1に示すように、一枚構成である。表皮30は、一層構造であってもよく、複数層構造であってもよい。表皮30は、内装材20の全体を覆っていてもよく、図示例のように内装材20の一部のみを覆っていてもよい。表皮30は、第1、第2のカバー部31,32と、重複部33と、を備える。
【0019】
第1のカバー部31は、内装材20の表面20aに沿って配置される。第1のカバー部31は、重複部33から、内装材20の車室側の表面20a1に沿って延びている。第1のカバー部31は、内装材20に接着剤を用いて接着されていてもよい。第1のカバー部31の、重複部33と反対側の延び方向先端部31aは、加飾パネル2から延びる延び部2aにて内装材20に押し付けられており、内装材20から剥がれることが抑制されている。ただし、第1のカバー部31の延び方向先端部31aは、図示略のタッカーにて内装材20に固定されることで、内装材20から剥がれることが抑制されていてもよい。
【0020】
第2のカバー部32は、内装材20の表面20aに沿って配置される。第2のカバー部32は、重複部33から、内装材20の側面20a2および反車室側の表面20a3に沿って延びている。第2のカバー部32は、内装材20に接着剤を用いて接着されていてもよい。第2のカバー部33の、重複部33と反対側の延び方向先端部32aは、タッカー4にて内装材20に固定されており、内装材20から剥がれることが抑制されている。
【0021】
第1、第2のカバー部31,32は、単なる縫い代としては設けられておらず、いずれも内装材20に接触しており内装材20をカバーしている。すなわち、第1のカバー部31の延び方向先端部31aと第2のカバー部32の延び方向先端部32aとの間には、内装材20が配置されている。
【0022】
重複部33は、第1、第2のカバー部31,32の一端部(基端部)31b、32b同士を繋いでおり、内装材20から離れる方向に突出しており、山折りに折り返されて根元が縫製糸34にて縫い合わされることでてできている。重複部33の根元の縫製部33aには1回のみの縫製が行なわれており、これによりシングルステッチが表皮30に施される。重複部33の根元の縫製部33aは、表皮30が内装材20に対してずれることを抑制するために、内装材20の、一般板厚部21に対向(対応)する位置にはなく、端部22に対向(対応)する位置にある。重複部33の縫製部33aは、表皮30が内装材20に対してずれることを最も効果的に抑制するために、端部22の先端部22a(図2参照)に対向(対応)する位置にあることが望ましい。
【0023】
重複部33は、第2の内装材40の車室側面40aに乗り上げている(接触している)。重複部33は、第2の内装材40の、内装材20側の端部に設けられる凹み部41に、一部のみが入り込んでいる。これにより、重複部33の車室側への突出量をゼロではなく小にすることができる。
【0024】
第2の内装材40は、たとえば樹脂製である。第2の内装材40は、インストルメントパネル1と一体に形成されていてもよく、インストルメントパネル1と別体に形成されてインストルメントパネル1に固定して取り付けられていてもよい。第2の内装材40がインストルメントパネル1と一体に形成される場合、第2の内装材40は、インストルメントパネル1自体であってもよい。なお、本発明図示例では、第2の内装材40がインストルメントパネル1に一体に形成される場合を示している。
【0025】
第2の内装材40には、表皮30とは別の図示略の第2の表皮が設けられていてもよい。図示略の第2の表皮は、第2の内装材40にスラッシュ成形にて一体化して設けられていてもよく、表皮30と同色・同質感の材料を第2の内装材40に貼ることで設けられていてもよく、表皮30と色・質感の少なくとも一方が異なる材料を第2の内装材40に貼ることで設けられていてもよい。
【0026】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
(A)表皮30の縫製部33aが、内装材20の端部22に対向する位置にあるため、表皮30の縫製部33aが内装材20の端部22以外の部分(一般板厚部21)に対向する位置にある場合に比べて、表皮30の縫製部33aの位置が内装材20に対してずれにくい。そのため、内装材20に凹部(従来の凹部)を設けることなく、縫製部33aを基準として表皮30を内装材20に取付けることができる。したがって、内装材20に設けられる従来要していた凹部を廃止できる。
【0027】
(B)表皮30が一枚構成であり、1回の縫製ですむため、2枚の表皮を用いて2回縫製する場合に比べて、コスト上著しく有利である。また、一枚の表皮30を1回縫製するだけでシングルステッチを施すことができるため、比較的容易にシングルステッチを施すことができる。
【0028】
(C)表皮30の重複部33が、内装材20の隣に配置される第2の内装材40の車室側面40aに乗り上げているため、第2の内装材40にも表皮30とは異なる別の図示略の第2の表皮(たとえば同色かつ同質感の表皮)を設けることにより、内装材20と第2の内装材40とで意匠の一体感を得ることができる。一方、第2の内装材40には図示略の第2の表皮を設けない、または、第2の内装材40に表皮30とは全く色や質感の異なる図示略の第2の表皮を設けることにより、内装材20と第2の内装材40とで全く異なる意匠にすることができる。すなわち、車両内装の意匠自由度が高くなる。
【符号の説明】
【0029】
1 インストルメントパネル
2 加飾パネル
2a 延び部
3 締結部材
4 タッカー
10 表皮構造
20 内装材
20a 内装材の表面
20a1 内装材の車室側の表面
20a2 内装材の側面
20a3 内装材の反車室側の表面
21 一般板厚部
22 端部
22a 端部の先端部
30 表皮
31 第1のカバー部
31a 第1のカバー部の延び方向先端部
31b 第1のカバー部の一端部
32 第2のカバー部
32a 第2のカバー部の延び方向先端部
32b 第2のカバー部の一端部
33 重複部
33a 縫製部
34 縫製糸
40 第2の内装材
40a 第2の内装材の車室側面
α 内装材の端部の傾斜角度
図1
図2
図3