【解決手段】所定形状の台紙10と、被包装物である物品21及び物品21を収容する複数のポケット22aを有するカバー部材22からなる被包装体20と、合成樹脂フィルム30とから構成されており、複数の物品21をポケット22aに収容したカバー部材22に台紙10を載せ、台紙10が下になるように上下を反転した状態で、その上面側を加熱することで軟化させた合成樹脂フィルム30によって被覆し、真空脱気することによって、合成樹脂フィルム30をカバー部材22の外形に沿って伸展させると共に台紙10の表面に接着固定することによって形成される。
被包装体を載置した状態の台紙を、加熱することで軟化させた合成樹脂フィルムによって被覆し、真空脱気することによって、前記合成樹脂フィルムを被包装体の外形に沿って伸展させると共に前記台紙の表面に接着したスキンパック包装体において、
前記被包装体は、少なくとも被包装物と、前記台紙と前記合成樹脂フィルムとの間に、前記被包装物を覆うシート成形体からなるカバー部材とを備えていることを特徴とするスキンパック包装体。
前記被包装体は、前記カバー部材によって覆われた前記被包装物と前記台紙との間に、ガスバリア性を有するシート部材を備えている請求項1に記載のスキンパック包装体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スキンパック包装に使用される合成樹脂フィルムは薄肉であり、全く保形性を有していないので、柔らかい物品や、壊れやすい物品にスキンパック包装を施すと、物品を覆っている合成樹脂フィルムの外側から押圧されることによって、物品自体が変形したり、損傷を受けたりするおそれがあり、スキンパック包装は、こういった柔らかい物品や、壊れやすい物品に適した包装形態であるとはいえなかった。
【0005】
そこで、この発明の課題は、被包装物が柔らかい物品や、壊れやすい物品であっても適用可能なスキンパック包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、被包装体を載置した状態の台紙を、加熱することで軟化させた合成樹脂フィルムによって被覆し、真空脱気することによって、前記合成樹脂フィルムを被包装体の外形に沿って伸展させると共に前記台紙の表面に接着したスキンパック包装体において、前記被包装体は、少なくとも被包装物と、前記台紙と前記合成樹脂フィルムとの間に、前記被包装物を覆うシート成形体からなるカバー部材とを備えていることを特徴とするスキンパック包装体を提供するものである。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のスキンパック包装体において、前記被包装体は、前記カバー部材によって覆われた前記被包装物と前記台紙との間に、ガスバリア性を有するシート部材を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明のスキンパック包装体において、前記被包装物を収容した状態で前記カバー部材と前記シート部材とが予めシールされていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1、2または3に係る発明のスキンパック包装体において、前記合成樹脂フィルムまたは前記カバー部材が遮光性能または紫外線遮蔽性能を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、請求項1に係る発明のスキンパック包装体は、被包装体が、少なくとも被包装物と、台紙と合成樹脂フィルムとの間に、被包装物を覆うシート成形体からなるカバー部材とを備えているので、従来のスキンパック包装体に比べて、被包装物の保護性能が向上し、被包装物が柔らかい物品や、壊れやすい物品にも適用することが可能となる。
【0011】
また、スキンパック包装に使用される台紙は、上述したように、通気性を有しているので、請求項2に係る発明のスキンパック包装体のように、カバー部材によって覆われた被包装物と台紙との間にガスバリア性を有するシートを設けておくと、微生物や細菌等の進入を抑制することができる。
【0012】
また、請求項3に係る発明のスキンパック包装体は、被包装物を収容した状態でカバー部材とシート部材とが予めシールされているので、密封性能に優れており、食品や薬剤に適した包装形態であるといえる。
【0013】
また、請求項4に係る発明のスキンパック包装体は、合成樹脂フィルムまたはカバー部材が遮光性能または紫外線遮蔽性能を有しているので、光や紫外線による被包装物の変色、退色または変質を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)はこの発明に係るスキンパック包装体の一実施形態を示す平面図、(b)は同上のスキンパック包装体を示す底面図、(c)は同上のスキンパック包装体を示す側面図である。
【
図2】
図1(a)のX−X線に沿った断面図である。
【
図3】同上のスキンパック包装体を示す分解断面図である。
【
図4】同上のスキンパック包装体を構成している台紙を示す平面図である。
【
図5】(a)は同上のスキンパック包装体を構成しているカバー部材を示す平面図、(b)は(a)のY−Y線に沿った断面図である。
【
図6】同上のスキンパック包装体の開封方法を示す底面図である。
【
図7】他の実施形態であるスキンパック包装体を示す分解断面図である。
【
図8】さらに他の実施形態であるスキンパック包装体を示す分解断面図である。
【
図9】(a)、(b)は他の開封形態を示す台紙の底面図である。
【
図10】(a)、(b)は他の開封形態を示す台紙の底面図である。
【
図11】他の開封形態を示すスキンパック包装体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。本発明のスキンパック包装体は、薬剤や菓子等の食品等の壊れやすい物品、スポンジ等の変形しやすい物品、SDカード等の損傷を受けやすい物品等の被包装物にスキンパック包装を施したものであり、被包装物として錠剤タイプの薬剤や菓子等の物品を例に挙げて、その包装形態について以下に説明する。
【0016】
図1(a)〜(c)、
図2及び
図3に示すように、このスキンパック包装体1は、所定形状の台紙10と、被包装物である物品21及び物品21を収容する複数のポケット22aを有するカバー部材22とを備えた被包装体20と、合成樹脂フィルム30とから構成されており、複数の物品21をポケット22aに収容したカバー部材22に台紙10を載せ、台紙10が下になるように上下を反転した状態で、その上面側を加熱することで軟化させた合成樹脂フィルム30によって被覆し、真空脱気することによって、合成樹脂フィルム30を被包装体20におけるカバー部材22の外形に沿って伸展させると共に台紙10の表面に接着固定したものである。なお、
図3に示すスキンパック包装体1の分解断面図は、
図2に示すスキンパック包装体1の断面構造を分かりやすくするために記載したものであるため、合成樹脂フィルム30を、カバー部材22及び台紙10の表面に沿うような形状として表わしているが、実際の合成樹脂フィルム30は上述のとおり真空脱気する際にカバー部材22の外形に沿って伸展されるものであり、予め成形したものではないことはいうまでもない。後述する
図7及び8についても同様である。
【0017】
前記台紙10には、
図4に示すように、カバー部材22の左右のポケット22aを上下に挟むように配設された複数本の横ミシン目11と、上下の横ミシン目11を結ぶように、左右のポケット22aの間に配設された縦ミシン目12と、上から2本目及び4本目の横ミシン目11と縦ミシン目12との交差部分に形成された指入れ穴13とを備えており、指入れ穴13の周縁部分をきっかけとして横ミシン目11及び縦ミシン目12を破断しながら、台紙10の一部を部分的に起こすと、カバー部材22の各ポケット22aに対応する部分を個別に露出させることができるようになっている。
【0018】
また、台紙10には、上から3本目の横ミシン目11の両端部付近に半円弧状の切目14が形成されており、
図1(a)に示すように、この切目14によって形成される舌片15でカバー部材22の両側縁部分を挟み込むことで、カバー部材22を台紙10上に位置決めすることができるようになっている。
【0019】
前記台紙10は、ボール紙、ノーコート紙等の通気性の良い厚紙によって形成された基材層と、この基材層の表面に順次積層されたデザイン等の表示印刷層及び接着剤層とから構成される。なお、基材層は、厚紙、普通紙、合成紙等の紙製のものに限定されず、複数の微小通気孔が形成されたコート紙、不織布、合成樹脂シート、発泡樹脂シートなどの単層シート及びこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。合成紙、合成樹脂シート及び発泡樹脂シートの材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系などが挙げられる。なお、ここにいう「シート」には、一般にフィルムと呼ばれるものも含まれる。
【0020】
基材層として厚紙が用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5mm〜1mmである。また、基材層として普通紙、コート紙又は不織布が用いられる場合、その目付量は、特に限定されないが、例えば、好ましくは50g/m
2〜600g/m
2であり、さらに好ましくは270g/m
2〜600g/m
2である。基材層として合成紙、合成樹脂シート又は発泡シートが用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、例えば、40μm〜200μm程度である。
【0021】
前記接着剤層は、ベタ状に設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよい。なお、接着剤層が、合成樹脂フィルム30の裏面に設けられていてもよい。合成樹脂フィルム30の裏面に接着剤層が設けられている場合、台紙10側には接着剤層を設ける必要性はない。接着剤層の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜30μmである。接着剤層を形成する接着剤としては、感熱性接着剤、感熱性粘着剤、溶剤型接着剤、エマルジョン型接着剤、感圧型粘着剤などが挙げられるが、不必要時に接着性を示さず且つ必要時に接着性を発現させることができることから、感熱性接着剤又は感熱性粘着剤を用いることが好ましい。感熱性接着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現し、冷却によって固化して部材間を接着する接着剤である。感熱性粘着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現して部材間を接着し、冷却後も粘着性が持続する接着剤である。感熱性接着剤又は感熱性粘着剤の種類としては、例えば、ディレードタック型、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型などが挙げられる。
【0022】
ディレードタック型の感熱性接着剤は、室温で接着性を示さず、加熱することによって接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってその接着性が持続するものであり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能な接着剤である。ディレードタック型の感熱性接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたエマルジョン型のものなどが例示される。
【0023】
エマルジョン型又は溶剤型の感熱性接着剤又は感熱性粘着剤は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを、水又は有機溶剤などに溶解又は分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能な接着剤又は粘着剤であり、塗工後乾燥して使用するものである。
【0024】
ホットメルト型の感熱性接着剤又は感熱性粘着剤は、加熱溶融し、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどによって塗工可能な接着剤又は粘着剤である。この例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが挙げられる。
【0025】
使用される感熱性接着剤又は感熱性粘着剤は、通常、軟化点60℃〜180℃のものが用いられ、好ましくは、軟化点70℃〜140℃である。このような軟化点の接着剤を用いることにより、フィルムFを軟化させるために加熱した際に、その熱で接着剤層の接着剤を活性化させることができる。なお、前記軟化点は、JIS K 6863に準じて測定できる。
【0026】
前記カバー部材22は、
図5(a)、(b)に示すように、複数のポケット22aが2列で配置されたシート成形体であり、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどの周知の合成樹脂材料からなる厚み100μm〜300μmの透明シートを用いて真空成形や真空圧空成形されている。なかでも、ガスバリア性が比較的高い、ポリエステル系樹脂、及びエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂が好適である。
【0027】
前記合成樹脂フィルム30としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、軟質塩化ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマーフィルム等の単層構成または一種あるいは二種以上の複層構成を使用することができる。また、適宜必要に応じて、ガスバリアー性や遮光性等の各種機能を有する周知のフィルムを用いることもできる。
【0028】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、特に好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンである。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0029】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド重合体、ナイロン6−66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン6−69、ナイロン6−610、ナイロン66−69などの脂肪族ポリアミド共重合体を例示することができる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、特にナイロン6−66、ナイロン6−10またはナイロン6−12が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0030】
ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロへキサンジメタノール/テレフタレート)などが代表格としてあげられ、更にこれらの重合体に共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類、あるいはイソフタール類、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有せしめたものが使用できる。
【0031】
本発明においては、合成樹脂フィルム30として、融点の異なる樹脂を少なくとも二層以上有する複層構成のフィルムが好ましく、なかでも、高融点の樹脂(即ち耐熱性を有する樹脂)を中間層とし、該中間層の樹脂よりも低融点の樹脂を表裏層とする二種三層で構成されたフィルムが特に好ましい。台紙10への接着に寄与する低融点の樹脂よりも耐熱性を有する樹脂が積層されていることにより、フィルム強度が向上する。さらに、二種三層で構成されたフィルムであれば、加熱や冷却に起因したカールをし難くなり、スキンパック包装体の仕上がりの向上を図ることができる。
【0032】
二種三層で構成されたフィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(低融点)/ポリオレフィン系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、等が挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンのいずれかであり、ポリアミド系樹脂が脂肪族ポリアミド共重合体であることが特に好ましい。
【0033】
以上のように構成されたスキンパック包装体1から物品21を取り出すには、
図6に示すように、台紙10の指入れ穴13に指を入れ、その周縁部分をきっかけとして横ミシン目11及び縦ミシン目12を破断しながら、台紙10の一部を部分的に起こすと、カバー部材22の各ポケット22aに対応する部分が開放され、物品21を取り出すことができる。
【0034】
以上のように、このスキンパック包装体1は、被包装物である物品21をカバー部材22によって覆った状態でスキンパック包装が施されているので、カバー部材を備えていない従来のスキンパック包装体に比べて、物品21の保護性能が向上し、被包装物が柔らかい物品や、壊れやすい物品にも適用することが可能となる。
【0035】
なお、スキンパック包装に使用される台紙10は通気性を有しているので、ガスバリア性が要求される被包装物に対しては、
図7に示すように、カバー部材22によって覆われた物品21と台紙10との間にガスバリア性を有するシート23を配設しておくと、微生物や細菌等の進入を抑制することができる。
【0036】
ガスバリア性を有するシート23としては、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、アルミニウム箔、ポリ塩化ビニリデン等のガスバリア性を有するフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂やポリイミド樹脂等の合成樹脂フィルムにアルミニウム、SiOx、Al
2O
3等の無機化合物を蒸着したフィルム、熱可塑性樹脂の表面にポリ塩化ビニリデンのエマルジョン等のガスバリア性材料をコーティングしたフィルム、または、これらの積層体を使用することができる。なお、ここにいう「シート」には、一般にフィルムと呼ばれるものも含まれる。
【0037】
また、
図8に示すように、被包装体20として、カバー部材22のポケット22aに物品21を収容した状態で、カバー部材22とガスバリア性を有するシート23とを予めシールしておくことによって、密封性能を付与することができる。こういった包装形態としては、例えば、薬剤の1次包装体として一般的に採用されているプレススルーパック包装体(以下、PTP包装体という。)に、2次包装としてスキンパック包装を施すことが考えられ、この場合、PTP包装体を構成している、シート成形体からなる底材及びアルミニウム箔からなる蓋材が、本発明におけるカバー部材及びガスバリア性を有するシートに相当する。
【0038】
特に、PTP包装体の場合、乳幼児や子供であっても、シート成形体である底材のポケットを押圧することによって、ポケットを閉塞している蓋材としてのアルミニウム箔が容易に破断され、ポケットに収容されている薬剤を簡単に取り出すことができるが、PTP包装体にスキンパック包装を施すと、台紙と合成樹脂フィルムとの間にPTP包装体が配設されており、蓋材であるアルミニウム箔が台紙に重ね合わされた状態になっているので、台紙の一部を部分的に破断して起こすといった予備開封動作を行わない限り、PTP包装体の底材のポケットを押圧しても、ポケットに収容されている薬剤を取り出すことができず、乳幼児や子供の悪戯や誤飲を防止することができるという効果がある。
【0039】
また、カバー部材22または合成樹脂フィルム30を、遮光性能や紫外線遮蔽性能を有する素材によって形成しておくと、光や紫外線による被包装物である物品21の変色、退色または変質を抑制することができる。
【0040】
遮光性能や紫外線遮蔽性能を有するカバー部材22または合成樹脂フィルム30としては、フィルムを構成する樹脂組成物中にカーボンブラックやシリカ等の可視光遮断性物質や紫外線遮断性物質を含有させた無色または着色フィルム、遮光性接着剤を用いて積層された積層フィルム、フィルムに黒色インキ、銀色インキ、白色インキ等による遮光印刷が施されたフィルム、または、これらの積層体を使用することができる。なお、ここにいう「フィルム」には、一般にシートと呼ばれるものも含まれる。
【0041】
また、台紙10の一部を破断して開封する方法を採用する場合は、例えば、
図9(a)に示すように、カバー部材22の各ポケット22a毎に、上下一対の横ミシン目11の一端同士を繋ぐ縦切目16を形成することで片開きにしたり、同図(b)に示すように、上下一対の横ミシン目11の中央部同士を繋ぐ縦切目16を形成することで観音開きにしたり、
図10(a)、(b)に示すように、放射状のミシン目17を形成することで放射状に開封することも可能である。
【0042】
また、台紙10の一部を破断することによって開封するのではなく、例えば、
図11に示すように、台紙10Aに全てのポケット22aを取り囲む開口18を形成すると共に、複数のミシン目19a及び複数の摘み部19bが形成された、分割して剥離可能なタックシート19を台紙10Aの裏面に貼着することによって開口18を閉塞し、必要に応じてタックシート19をミシン目19aで分割して破断しながら部分的に剥離することによって開封するようにしてもよい。この場合、タックシート19の摘み部19b及び開口18に対応する部分には粘着面が露出しないように、全面に粘着層を形成した後、粘着層の不要部分をマスキングしたり、予め、不要部分に粘着層を形成しないようにしておくことが望ましい。