【解決手段】台材1と、台材を覆うフィルム2と、台材とフィルムとの間に介在する被包装物3とを備え、台材とフィルムとの間が脱気されたスキンパック包装体A1であって、台材は、被包装物を支持する本体部11本体部と隣り合うつまみ部12本体部およびつまみ部の双方と隣り合う補助部13および本体部とつまみ部とを区画し、かつ本体部とつまみ部との分断を可能とする主分断予定線14を有しており、台材の本体部およびつまみ部の少なくとも一部ずつと補助部の少なくとも一部とを区画し、かつ台材の本体部およびつまみ部の少なくとも一部ずつと補助部の少なくとも一部とをフィルムとともに分断することを可能とする補助分断予定線15を有し、主分断予定線の少なくとも一端が補助分断予定線に到達している。
前記フィルムのうち前記台材の前記本体部を覆う部分には、その一端が前記補助分断予定線に到達し、かつ部分的に切断が容易とされた開封補助線が設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載のスキンパック包装体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1および
図2は、本発明の第1実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。
図1は、スキンパック包装体A1を斜め上方から見た斜視図であり、
図2は、
図1のII−II線に沿う断面における要部拡大断面図である。本実施形態のスキンパック包装体A1は、台材1、フィルム2および被包装物3を備えている。
【0017】
本発明で言う台材としては、被包装物3を適切に保持しつつ、後述する脱気を適切に行いうるものであればよく、一般的な、所謂ノンコート紙と呼ばれる厚紙、普通紙、合成紙等からなる台紙の他に、一部に切り欠き(単なる孔やミシン目などを含み、その形状は特に限定されない)が設けられた、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙、合成樹脂シート、発泡シート、あるいは多孔質シートなどを採用しうる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。台紙として厚紙が用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、0.5mm〜1.0mmである。また、台紙として普通紙、合成紙、コート紙が用いられる場合、その目付量は、特に限定されないが、たとえば、好ましくは50g/m
2〜600g/m
2であり、さらに好ましくは270g/m
2〜500g/m
2である。台紙として合成樹脂シートまたは発泡シートが用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、40μm〜200μm程度である。本実施形態においては、台材1として矩形状の厚紙からなる台紙を用いる場合を例として説明する。
【0018】
台材1は、端縁10、本体部11、つまみ部12および補助部13を有しており、主分断予定線14および補助分断予定線15が形成されている。なお、後述するように、主分断予定線14は、台材1に部分的な加工が施されることにより構成されたものであり、補助分断予定線15は、台材1およびフィルム2の双方に部分的な加工が施されることにより構成されている。
【0019】
端縁10は、様々な形状をとりうる台材1の外形線であり、本実施形態においては四隅が丸められた略矩形状とされている。本体部11は、その片面において被包装物3を支持しており、本実施形態においては台材1の大部分を占めている。
【0020】
つまみ部12は、フィルム2の開封を容易化するためのものであり、本体部11と隣り合っている。つまみ部12は、様々な形状をとりうるものであり、本実施形態においては、略矩形状である。また、つまみ部12は、本実施形態においては台材1の短手方向略中央に位置しており、本体部11に食い込むように配置されている。本体部11とつまみ部12との
図1における手前側の辺は一直線状に揃えられており、後述する補助分断予定線15に一致している。本実施形態においては、つまみ部12は、本体部11および補助部13によって、そのすべてが取り囲まれた形態とされている。
【0021】
補助部13は、本体部11およびつまみ部12と隣り合っている。補助部13は、様々な形状をとりうるものであり、本実施形態においては台材1の短手方向を長手方向とする帯形状とされている。
【0022】
なお、本実施形態においては、つまみ部12および補助部13は、被包装物3の支持には用いられていないが、たとえば本体部11に支持された被包装物3の付属品など比較的小さな部品としての別の被包装物を支持する部位として、いずれか一方または双方を用いてもよい。
【0023】
主分断予定線14は、本体部11とつまみ部12とを区画している。主分断予定線14は、フィルム2によって繋げられた本体部11とつまみ部12とを、スキンパック包装体A1の購入者などの意思によって適切なタイミングに適切な形状で、フィルム2を切断することなく互いに離れた別体の二片とすることを可能とすべく設けられている。この、本体部11とつまみ部12とを互いに離れた別体とすることを、主分断予定線14による分断と称する。主分断予定線14の具体的構成は、このような分断を可能とする様々な構成をとりうるものである。本実施形態においては、分断予定線14は、全長にわたって本体部11とつまみ部12とを離別させる切断線によって構成されている。
【0024】
主分断予定線14の両端は、補助分断予定線15に到達している。主分断予定線14は、様々な形状をとりうるものであり、本実施形態においてはつまみ部12の形状に対応して略コの字状とされている。
【0025】
補助分断予定線15は、本体部11およびつまみ部12の少なくとも一部ずつと補助部13の少なくとも一部とを区画し、かつ本体部11およびつまみ部12の少なくとも一部ずつと補助部13の少なくとも一部とをフィルム2とともに分断することを可能に構成されている。本実施形態においては、本体部11およびつまみ部12のすべてと補助部13のすべてとが、補助分断予定線15によって区画されている。
【0026】
補助分断予定線15は、本体部11およびつまみ部12の少なくとも一部ずつと補助部13の少なくとも一部とを、スキンパック包装体A1の購入者などの意思によって適切なタイミングに適切な形状で、フィルム2とともに互いに離れた別体の二片とすることを可能とすべく設けられている。この、本体部11およびつまみ部12の少なくとも一部ずつと補助部13の少なくとも一部ずつとをフィルム2とともに互いに離れた別体とすることを、補助分断予定線15による分断と称する。
【0027】
補助分断予定線15の具体的構成は、このような分断を可能とする様々な構成をとりうる。本実施形態においては、補助分断予定線15は、台材1およびフィルム2を貫通する複数の短い切断線によって構成されており、所謂ミシン目とされている。これらの複数の切断線は、本体部11の短手方向にそって一直線状に配置されており、補助分断予定線15は、台材1を短手方向に横断している。なお、全長にわたる切断線によって構成された主分断予定線14は、複数の切断線によって構成された補助分断予定線15よりも分断が容易である。
【0028】
フィルム2は、台材1および被包装物3を覆っている。フィルム2と台材1との間が脱気されていることにより、フィルム2は、台材1および被包装物3と、略密着している。
【0029】
フィルム2としては、単層構成または一種あるいは二種以上の複層構成の合成樹脂製フィルムが用いられる。また、適宜必要に応じて、ガスバリアー性や遮光性等の各種機能を有する周知のフィルムを用いることもできる。フィルム2の厚みは、通常30μm〜300μm、好ましくは60μm〜200μmである。なお、
図1においては、透明なフィルム2が台材1および被包装物3を覆っている状態を示しており、台材1および被包装物3がフィルム2を透して視認可能となっている。
【0030】
フィルム2の材質としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。フィルム2には、上述した補助分断予定線15を構成する複数の短い切断線が形成されている。
【0031】
ポリオレフィン系樹脂としては、たとえば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、特に好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンである。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0032】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド重合体、ナイロン6−66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン6−69、ナイロン6−610、ナイロン66−69などの脂肪族ポリアミド共重合体を例示することができる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、特にナイロン6−66、ナイロン6−10またはナイロン6−12が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0033】
ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロへキサンジメタノール/テレフタレート)などが代表格としてあげられ、更にこれらの重合体に共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類、あるいはイソフタール類、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有せしめたものが使用できる。
【0034】
本発明においては、フィルム2として、融点の異なる樹脂を少なくとも二層以上有する複層構成のフィルムが好ましい。具体的には、たとえば、高融点の樹脂(即ち耐熱性を有し、低融点の樹脂よりも強度のある樹脂)を中間層とし、該中間層の樹脂よりも低融点の樹脂を表裏層とする二種三層で構成されたフィルムや、高融点の樹脂と低融点の樹脂とが交互に複数積層された積層部(通常、高融点の樹脂と低融点の樹脂が一層ずつ積層された複層部を3以上含む)を有するフィルム等が挙げられる。台材1への接着に寄与する低融点の樹脂よりも耐熱性を有する樹脂を積層することにより、スキンパックフィルムの特性として必要な延伸性を低融点の樹脂である程度担保しつつ、高融点の樹脂でフィルム2の強度を向上することができる。また、低融点の樹脂を供えることで台材1とフィルム2の接着性を強固にしつつ、高融点の樹脂によりフィルムの強度を向上できる。
【0035】
二種三層で構成されたフィルムとしては、たとえば、ポリオレフィン系樹脂(低融点)/ポリオレフィン系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、等が挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンのいずれかであり、ポリアミド系樹脂が脂肪族ポリアミド共重合体であることが特に好ましい。また、積層部を有するフィルムとしては、上記二種三層で構成されたフィルムと同様の高融点の樹脂および低融点の樹脂が用いられるが、たとえば、ポリアミド系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)からなる複層部を4〜8含む積層部を中間層とし、表層にポリアミド系樹脂を、裏層に直鎖状低密度ポリエチレンを積層したフィルムが好適に用いられる。本実施形態においては、直鎖状低密度ポリエチレン/脂肪族ポリアミド共重合体/直鎖状低密度ポリエチレンから構成される二種三層のフィルムを使用した。
【0036】
台材1とフィルム2とを接合するために、たとえば台材1の片面に接着剤層が設けられている。この接着剤層は、ベタ状に設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよい。また、この接着剤層が、フィルム2の裏面に設けられていてもよい。フィルム2の裏面に接着剤層が設けられている場合、台材1側には接着剤層を設ける必要性はない。接着剤層の厚みは、特に限定されないが、たとえば、10μm〜30μmである。本実施形態においては、台材1の片面に接着剤層が設けられている場合を例として説明する。
【0037】
接着剤層を形成する接着剤としては、特に限定されず、通常公知の感熱性の接着剤や粘着剤、あるいは感圧性の接着剤や粘着剤が挙げられるが、不必要時に接着性を示さず且つ必要時に接着性を発現させることができることから、感熱性の接着剤や粘着剤(以下、これらを総称して「感熱性接着剤等」という)を用いることが好ましい。
【0038】
感熱性接着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現し、冷却によって固化して部材間を接着する接着剤である。感熱性粘着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現して部材間を接着し、冷却後も粘着性が持続する接着剤である。
【0039】
感熱性接着剤等の種類としては、たとえば、ディレードタック型、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型などが挙げられる。
【0040】
ディレードタック型は、室温で接着性を示さず、加熱することによって接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってその接着性が持続するものであり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能なものである。ディレードタック型としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたものなどが例示される。
【0041】
エマルジョン型または溶剤型は、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを、水または有機溶剤などに溶解または分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能であり、塗工後乾燥して使用するものである。これらも、乾燥後は接着性を示さず、加熱することによって接着性を示すものである。
【0042】
ホットメルト型は、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどによって加熱溶融して塗工するものである。この例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが挙げられる。
【0043】
使用される感熱性接着剤等は、通常、軟化点60℃〜180℃のものが用いられ、好ましくは、軟化点70℃〜140℃である。このような軟化点の接着剤を用いることにより、フィルム2を軟化させるために加熱した際に、その熱で接着剤層の接着剤を活性化させることができる。なお、前記軟化点は、JIS K 6863に準じて測定できる。
【0044】
被包装物3は、台材1およびフィルム2の間に介在しており、台材1の本体部11によって支持されるとともに、フィルム2によって台材1の本体部11への固定および保護がなされている。本実施形態においては、細長い円柱状の大小2つの被包装物3が、台材1の本体部11に支持されている。このような被包装物3の一例としては、たとえばアイライナーなどの化粧品が挙げられる。なお、スキンパック包装体A1に含まれる被包装物3の個数は、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0045】
スキンパック包装体A1の製造方法を例示すると、まず複数の台材1を形成しうる厚紙材料を用意する。この厚紙材料には、複数個のスキンパック包装体A1に対応して2つずつの被包装物3を載置する領域が確保されている。また、2つずつの被包装物3のそばには、主分断予定線14となるべき切断線を設けておく。主分断予定線14は、本体部11とつまみ部12とを分断させる一方、本体部11とつまみ部12とにまたがるフィルム2は切断させないことが意図されている。このため、後述するフィルム材料を厚紙材料に密着させる工程に先立って、主分断予定線14を設けておくことが合理的である。
【0046】
次いで、前記厚紙材料の上面に、2つずつの被包装物3を載置する。そして、複数のフィルム2となるフィルム材料を前記厚紙材料と2つずつの被包装物3とに被せる。この際、フィルム材料は、適度な変形を促進するとともに、前記厚紙材料との接着力を発揮させるべく、適切な温度に加熱しておく。
【0047】
次いで、前記厚紙材料の下面からの吸引、すなわち脱気工程を行う。これにより、前記厚紙材料を通して、前記厚紙材料と前記フィルム材料との間の空気が脱気される。そして、前記フィルム材料が伸展しながら前記厚紙材料および2つずつの被包装物3に密着する。ついで、前記厚紙材料と前記フィルム材料とを貫通する複数の短い切断線を補助分断予定線15となるべき箇所に形成する。この後は、各個片が2つの被包装物3と前記切断線とを含むように、前記厚紙材料と前記フィルム材料とを切断することにより複数の個片に分割する。これにより、複数のスキンパック包装体A1が得られる。
【0048】
補助分断予定線15は、本体部11およびつまみ部12と補助部13とをフィルム2とともに分断することが意図されている。このため、補助分断予定線15の形成は、前記厚紙材料だけでなく前記フィルム材料にもたとえば複数の短い切断線の加工などを施すことが必須である。このような補助分断予定線15を上述した脱気工程の前に行ってしまうと、前記フィルム材料に設けられた複数の切断線などの存在によって、前記フィルム材料を通して空気が侵入してしまい、脱気が阻害されてしまう。上述した順に工程を経ることにより、補助分断予定線15を適切に形成しつつ、脱気を確実に行うことができる。なお、上記例では、補助分断予定線15となる複数の短い切断線の形成と複数の個片に分割する切断は別に行ったが、これらは同時に行ってもよい。また、本発明に係るスキンパック包装体の製造方法は、複数の台材1となる厚紙材料および複数のフィルム2となるフィルム材料を用いる製造方法に限定されない。1つのみの台材1および1つのみのフィルム2となる材料を用いた製造方法であってもよい。
【0049】
スキンパック包装体A1から被包装物3を取り出すには、フィルム2を台材1から剥離する必要がある。スキンパック包装体A1においては、
図3に示すように、たとえば本体部11と補助部13の一端とを把持し、本体部11から補助部13をめくり上げる。これにより、補助分断予定線15に沿って台材1とフィルム2とが分断され、補助部13が離別する。この分断により、補助分断予定線15であった辺に主分断予定線14の両端が現れる。ついで、つまみ部12をフィルム2とともにつまみ、つまみ部12を本体部11に対して図中上方に離間させる。この分断により、フィルム2が持ち上げられ、本体部11から徐々に剥離される。この後は、さらにつまみ部12を持ち上げる、あるいはフィルム2の剥離された部分をつまみ、この部分を持ち上げるなどにより、被包装物3をフィルム2から露出させる。これにより、被包装物3を取り出すことができる。
【0050】
次に、スキンパック包装体A1の作用について説明する。
【0051】
本実施形態によれば、補助部13が分断させる以前の状態においては、つまみ部12が補助部13によって保持された格好となっており、つまみ部12が本体部11から分断され難い状態に保たれている。このため、スキンパック包装体A1が店頭に陳列されている状態において、みだりに開封されることを防止することができる。また、被包装物3が化粧品や薬品、あるいは所謂ボタン電池などである場合、スキンパック包装体A1が購入された後に子供が不用意に開封してしまうことを避けることができる。さらに、つまみ部12が補助部13に保持されていることにより、スキンパック包装体A1の製造後、搬送中や店頭での陳列中に、主分断予定線14が折れてしまったり切断されたりすることを防止可能である。したがって、スキンパック包装体A1の開封を容易化するとともに意図しない開封を阻止することができる。
【0052】
特に、本実施形態においては、主分断予定線14の両端が補助分断予定線15に到達している。これにより、つまみ部12は、本体部11および補助部13にそのすべてが取り囲まれている。したがって、補助部13が分断される以前の状態においては、つまみ部12をつまんで開封することが顕著に困難となっており、意図しない開封を阻止するのに好適である。
【0053】
ミシン目からなる補助分断予定線15は、切断線からなる主分断予定線14に比べて分断されにくい構成とされている。このため、搬送中や陳列中などにおいて、補助部13が本体部11から取り去られてしまうことを適切に防止することができる。一方、主分断予定線14が比較的分断しやすい構成であることにより、補助部13が一旦分断された後は、つまみ部12が分断容易な状態に置かれることとなる。したがって、フィルム2の開封を容易に行うことができる。
【0054】
図4〜
図13は、本発明の変形例または他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0055】
図4は、スキンパック包装体A1の変形例を示している。本変形例においては、主分断予定線14は、ミシン目によって構成されている。
【0056】
図5は、スキンパック包装体A1の他の変形例を示している。本変形例においては、主分断予定線14は、その大部分を占める略コの字状の切断線14aと、切断線14aの両端に設けられた2つの連結部14bによって構成されている。このつまみ部12がフィルム2とともにつままれ、本体部11に対して持ち上げられると、2つの連結部14bが即座に切断され、切断線14aと一体となってつまみ部12の端縁を構成する。このように、切断された部分ではない切断線14aであっても、分断に寄与し、分断の後につまみ部12の端縁を構成する部位は、主分断予定線14を構成する部位であるといえる。
【0057】
なお、上述した主分断予定線14は、少なくともその一部が切断線によって構成されているが、これに限定されない。たとえば台材1に折り目を付する、あるいは台材1の厚さを部分的に減じるなどの手法により、台材1の強度を部分的に低下させることによって主分断予定線14を構成してもよい。
【0058】
これらの主分断予定線14の構成は、スキンパック包装体A1および以降に示す実施形態において、単独であるいは互いに組み合わせて適宜採用することができる。
【0059】
図6は、スキンパック包装体A1の他の変形例を示している。本変形例においては、分断開始部16が設けられている。分断開始部16は、補助分断予定線15による分断をよりスムーズに開始するためのものであり、たとえば台材1およびフィルム2を一括してV字状に切り欠いて設けられたものである(慣用的にノッチと呼称されるものを含む)。分断開始部16の両端は台材1の端縁10に到達しており、分断開始部16の頂点は、補助分断予定線15の一端と接している。
【0060】
図7は、スキンパック包装体A1の他の変形例を示している。本変形例においては、フィルム2に2つの開封補助線21が設けられている。開封補助線21は、フィルム2が部分的に切断容易に加工されたものである。開封補助線21の具体例としては、フィルム2を部分的に切断容易にするものであれば特に限定されないが、たとえばフィルム2を厚さ方向に貫通する複数の切断線からなるミシン目や、フィルム2のみを厚さ方向に貫通する切込線等があげられる。以下、開封補助線21をミシン目で設けた場合について説明する。このような開封補助線21は、スキンパック包装体A1の製造方法において、台材1となる厚紙材料とフィルム2となるフィルム材料とを密着させた後に、開封補助線21が配置されるべき箇所に、ミシン目を形成することによって設けることができる。このミシン目を形成する工程においては、各々の切断線が少なくとも前記フィルム材料を貫通するように形成し、さらに形成の便宜によっては、各切断線が前記フィルム材料だけでなく前記厚紙材料を貫通する、あるいは前記厚紙材料を厚さ方向に部分的に凹ませる態様としてもよい。この結果、図示された開封補助線21は、少なくともフィルム2を貫通し、さらに台材1を貫通する、あるいは台材1を厚さ方向に部分的に凹ませる複数の切断線によって構成されたミシン目からなる。なお、開封補助線21の形成は、単独で行ってもよいし、上述した補助分断予定線15の形成とともに一括して行ってもよい。
【0061】
開封補助線21は、フィルム2のうち台材1の本体部11を覆う部分に設けられており、その一端が補助分断予定線15に到達している。本変形例においては、2つの開封補助線21が、補助分断予定線15が延びる方向においてつまみ部12および被包装物3を挟むように配置されている。各開封補助線21の他端は、たとえば被包装物3の中ほどまで到達している。また、2つの開封補助線21は、各々が2つの屈曲部を有している。これにより、2つの開封補助線21同士の距離は、つまみ部12を挟む位置における距離よりも、被包装物3を挟む位置における距離の方が大となっている。
【0062】
図3に示した開封手順に沿って本変形例のスキンパック包装体A1を開封すると、つまみ部12をつまんで本体部11から分断し持ち上げると、フィルム2の一部が本体部11から剥離され始めるのに引き続き、2つの開封補助線21に沿ってフィルム2が切断され始める。この際、つまみ部12が本体部11からすでに分断されているため、仮に本体部11に開封補助線21に沿ったミシン目が形成されていても、このミシン目に沿って本体部11が切断されるおそれはない。さらに、つまみ部12を持ち上げると、2つの開封補助線21に沿った切断が進行し、フィルム2のうち2つの開封補助線21によって挟まれた部分が、選択的に本体部11から剥離される。しかる後に、フィルム2のうち被包装物3を覆う部分が剥離され、被包装物3を取り出し可能な状態となる。
【0063】
本変形例によれば、つまみ部12をつまみ上げることによってフィルム2を剥離させる際に、フィルム2のうち本体部11を覆うすべての部分ではなく、所望の部分のみを選択的に剥離させることができる。このため、不当に大きなフィルム2を剥離させようとして、フィルム2を意図せず延伸させてしまい、フィルム2の剥離が滞ってしまうことを回避することができる。特に、本変形例のように、つまみ部12が本体部11の中央付近に設けられている場合、フィルム2の全体を一度に剥離させることが強いられず、フィルム2の一部を選択的に剥離可能であることは、スムーズな開封に有利である。さらに、2つの開封補助線21によってつまみ部12および被包装物3を挟む配置とすることは、スムーズな開封に好適である。なお、開封補助線21は、本体部11に対する被包装物3およびつまみ部12の配置などに応じて適宜設定されるものであり、1つのみの開封補助線21を設けてもよいし、3つ以上の開封補助線21を設けてもよい。また、開封補助線21の他端を台材1の端縁10のいずれかの箇所に到達させた構成としてもよい。
【0064】
図8は、スキンパック包装体A1のつまみ部12および主分断予定線14の形状についての変形例を示している。同図(a)に示す変形例においては、つまみ部12が半円形状とされている。同図(b)に示す変形例においては、つまみ部12が三角形状とされている。
【0065】
図9は、本発明の第二実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。本実施形態のスキンパック包装体A2においては、主分断予定線14の一端が補助分断予定線15に到達し、他端が端縁10に到達している。このため、つまみ部12の一辺が端縁10の一部を構成しており、つまみ部12のすべてが本体部11および補助部13によって取り囲まれた形態とはなっていない。主分断予定線14は、端縁10および補助分断予定線15に対して傾いた直線状であり、つまみ部12は、三角形状とされている。このような実施形態によっても、スキンパック包装体A2の開封を容易化するとともに意図しない開封を阻止することができる。
【0066】
図10は、A2のつまみ部12および主分断予定線14の形状についての変形例を示している。同図(a)に示す変形例においては、つまみ部12が略矩形状とされている。同図(b)に示す変形例においては、つまみ部12が四半円形状とされている。
【0067】
図11は、本発明の第三実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。本実施形態のスキンパック包装体A3においては、補助分断予定線15の一端のみが台材1の10に到達しており、補助分断予定線15の他端は、台材1の内部にとどまっている。このため、本実施形態の補助分断予定線15は、本体部11の一部と補助部13の一部ずつとを区画する構成となっている。スキンパック包装体A3を開封する際には、補助部13の一端を持ち上げるようにして補助分断予定線15を切断することにより、本体部11の一部およびつまみ部12と補助部13の一部とを分断する。この分断の後においても本体部11の一部と補助部13の一部とが繋がった状態であるが、つまみ部12をつまんでフィルム2を開封することが可能である。このような実施形態によっても、スキンパック包装体A3の開封を容易化するとともに意図しない開封を阻止することができる。
【0068】
図12は、本発明の第四実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。本実施形態のスキンパック包装体A4においては、台材1に2つの本体部11が設けられている。各本体部11は、たとえば矩形状であり、帯状の補助部13を挟んで図中上下方向に離間して配置されている。各本体部11は、たとえば円形状の被包装物3を保持している。2つの本体部11と補助部13とは2つの補助分断予定線15によって区画されている。また、各々の本体部11に食い込むように、2つのつまみ部12が形成されている。
【0069】
スキンパック包装体A4を開封するには、たとえば、2つの補助分断予定線15のいずれか一方を切断することにより、一方の本体部11およびつまみ部12と補助部13とを分断する。そして、この分断されたつまみ部12をつまむことにより、分断された本体部11およびこれに保持された被包装物3を覆うフィルム2を剥離させる。他方の本体部11およびつまみ部12は、いまだ補助部13と繋がっており、直ちには開封される状態ではない。他方の本体部11に保持された3を取り出すべく開封するには、他方の補助分断予定線15を切断することによって本体部11およびつまみ部12と補助部13とを分断した後に、つまみ部12をつまむことにより、フィルム2を剥離する。
【0070】
このような実施形態によっても、スキンパック包装体A4の開封を容易化するとともに意図しない開封を阻止することができる。また、上述したとおり、一方の被包装物3を取り出すべく一方の本体部11を開封しても、他方の本体部11を開封するためのつまみ部12については、補助部13によっていまだ保持された状態を保つことができる。これにより、複数の被包装物3のうち、所望の被包装物3のみを開封しつつ、それ以外の被包装物3について意図しない開封を阻止することができる。また、本実施形態から理解されるように、本体部11の個数は3個以上であってもよい。この場合、隣り合う本体部11の間に補助部13を配置することができる。
【0071】
図13は、本発明の第五実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。本実施形態のスキンパック包装体A5は、2つの本体部11を有する一方、補助部13として機能する専用の部位は設けられていない。2つの本体部11は、1つの補助分断予定線15を挟んで図中上下方向に配置されている。また、2つのつまみ部12は、補助分断予定線15が延びる方向において互いに異なる位置に設けられている。
【0072】
スキンパック包装体A5を開封するには、補助分断予定線15を切断することにより、2つの本体部11および2つのつまみ部12を分断する。これにより、2つのつまみ部12のいずれもがフィルム2を剥離させうる状態となる。このように、本実施形態のスキンパック包装体A5においては、一方の本体部11にとって他方の本体部11が補助部13として機能するものとなっている。このような実施形態によっても、スキンパック包装体A5の開封を容易化するとともに意図しない開封を阻止することができる。また、補助部13としてのみ機能する専用の部位を有さないことにより、台材1となる材料の使用量を削減することができる。2つのつまみ部12を補助分断予定線15に沿って異なる位置に設けることにより、たとえば、2つの主分断予定線14をともに切断線によって構成することができる。仮に、ともに切断線からなる2つの主分断予定線14を同じ位置に設けると、台材1を製造する過程において、2つのつまみ部12が2つの主分断予定線14によって完全に囲まれた領域となってしまい、台材1となる材料から脱落してしまうおそれがある。本実施形態によれば、かかる事態を回避することができる。
【0073】
本発明に係るスキンパック包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るスキンパック包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。