(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-98528(P2015-98528A)
(43)【公開日】2015年5月28日
(54)【発明の名称】吸引器
(51)【国際特許分類】
C08L 69/00 20060101AFI20150501BHJP
C08K 5/1525 20060101ALI20150501BHJP
C08K 5/103 20060101ALI20150501BHJP
【FI】
C08L69/00
C08K5/1525
C08K5/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-238713(P2013-238713)
(22)【出願日】2013年11月19日
(71)【出願人】
【識別番号】396001175
【氏名又は名称】住化スタイロンポリカーボネート株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀澤 和史
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CG011
4J002CG021
4J002EH047
4J002EH077
4J002EL056
4J002FD010
4J002GB01
(57)【要約】
【構成】 ポリカーボネート樹脂(A)100重量部と特定のアルキルケテンダイマー(B)0.01〜20重量部及びペンタエリスリトールと炭素数が12〜30である飽和または不飽和脂肪酸とのフルエステル(C)を0.01〜2重量部を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする、吸引器。
【効果】 本発明の吸引器は、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、熱安定性等の性能を保持したまま、消毒薬等の薬品に対する耐薬品性を改善したものであり、かかる樹脂組成物からなる吸引器に消毒液等の薬品が付着しても割れ等の不具合の発生が抑えられ極めて有用である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂(A)100重量部、下記一般式1に示すアルキルケテンダイマー(B)0.01〜20重量部及びペンタエリスリトールと炭素数が12〜30である飽和または不飽和脂肪酸とのフルエステル(C)を0.01〜2重量部を含有する組成物からなることを特徴とする、吸引器。
一般式1:
【化1】
(一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基をあらわす。)
【請求項2】
前記アルキルケテンダイマー(B)の一般式1に示されるRの炭素数が10〜21のアルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載の吸引器。
【請求項3】
前記アルキルケテンダイマー(B)の配合量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.03〜5重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の吸引器。
【請求項4】
前記ペンタエリスリトールと炭素数が12〜30である飽和または不飽和脂肪酸とのフルエステルが、ペンタエリスリトールテトラステアレートであることを特徴とする、請求項1に記載の吸引器。
【請求項5】
前記樹脂組成物から射出成形された厚み3mmの成形片のJIS K7361に準拠した光線透過率が80%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状廃棄物を吸引して廃棄する処理装置に用いられる吸引器に関する。より詳しくは、本発明は、例えば、医療や介護の現場において廃棄する必要のある患者の体液や、患部の洗浄に使用した生理食塩水や消毒液等の廃棄物を吸引して廃棄する処理装置に用いられる吸引器であって、透明性、耐衝撃性、耐熱性等の諸特性および消毒薬等の薬品に対する耐薬品性に優れるポリカーボネート樹脂製の吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、痰、鼻汁、血などの体液を吸引する吸引器が医療現場等において広く使用されている。これらの吸引器としては、これら体液等の廃棄物を集め、廃棄、焼却処分するために使用されるものが知られている(特許文献1)。
従来の吸引器は、視認性のよいガラス製のものが広く用いられていたが、ガラス製の吸引器は、現場における不測の衝突や落下により割れることがあり、また、軽量化の要望も強く樹脂への代替が望まれており、透明性、耐衝撃性、耐熱性等に優れた熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂がガラスの替わりに使用されるケースが増えてきている。そして、特に、医療現場や介護現場で用いられる吸引器にあっては、体液にウイルス感染や病原菌感染のおそれがある場合もあり、各種消毒薬等の薬品で殺菌洗浄や清掃処理が頻繁に行われるケースもある。
【0003】
しかしながら、ポリカーボネート樹脂成形品に消毒液等の強い薬品が付着すると、その付着部分から割れ等の不具合が発生する場合があり、このような不具合が発生しないように耐薬品性、とりわけ消毒液等の薬品に対する耐薬品性に優れたポリカーボネート樹脂が要望されている。
【0004】
これまで、上記不具合を改良する目的でポリカーボネート樹脂にポリエステル樹脂を配合した樹脂組成物が提案された。しかしながら、ポリエステル樹脂を配合することで、
(1)一般的な洗剤や洗浄剤などに対する耐溶剤性は若干改良されるものの、消毒液等の薬品に対する耐薬品性の改良効果は十分とはいえず、また、
(2)ポリカーボネート樹脂の長所である透明性を大きく低下させると共に、
(3)ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性が損なわれる、
という問題があった。
【0005】
さらに、上記のような不具合のうち耐衝撃強性を改良する為にポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂からなる樹脂組成物にMBS等の耐衝撃改良材を配合する方法が提案されている(特許文献2)が、MBSに起因する着色やポリエステル樹脂がエステル交換を起こして分解するという問題が生じ、さらなる改良が期待されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−60231号公報
【特許文献2】特公昭55−9435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ポリカーボネート樹脂が本来有する透明性、衝撃性、耐熱性、熱安定性等を保持したまま、消毒薬等の薬品に対する耐薬品性に優れるポリカーボネート樹脂製の吸引器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる従来からの課題に鑑み鋭意研究を行った結果、ポリカーボネート樹脂に特定のアルキルケテンダイマーとペンタエリスリトールと炭素数が12〜30である飽和または不飽和脂肪酸とのフルエステルとを併用することにより、驚くべきことに、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、熱安定性等の諸特性に加え、消毒薬等の薬品に対する耐薬品性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部および下記一般式1に示すアルキルケテンダイマー(B)0.01〜20重量部及びペンタエリスリトールと炭素数が12〜30である飽和または不飽和脂肪酸とのフルエステル(C)を0.01〜2重量部を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする吸引器を提供するものである。
一般式1:
【0010】
【化1】
(一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基をあらわす。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の吸引器は、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、熱安定性等の性能を保持したまま、消毒薬等の薬品に対する耐薬品性を改善したものであり、かかる樹脂組成物からなる吸引器に消毒液等の薬品が付着しても割れ等の不具合の発生が抑えられ極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の吸引器とは、医療や介護の現場において廃棄する必要のある患者等から採取された痰、鼻汁、血、尿などの各種体液、患部の洗浄に使用した生理食塩水や消毒液、薬液等(以下、体液等という)を各種検査するために用いられる吸引器、あるいはそれら体液等を廃棄物として吸引して廃棄する処理装置等に用いられる吸引器を意味する。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0013】
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類が挙げられる。
【0014】
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0015】
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
【0016】
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは14000〜30000、さらに好ましくは16000〜26000の範囲である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
【0017】
本発明にて使用されるアルキルケテンダイマー(B)は下記一般式1にて示される化合物である。
一般式1:
【0018】
【化2】
【0019】
一般式1において、Rは、同一でも異なっても良いが、炭素数6〜33のアルキル基、好ましくは炭素数10〜21のアルキル基、最も好ましくは、Rの炭素数が14〜16のアルキル基である。
【0020】
アルキルケテンダイマー(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.01〜20重量部である。0.01重量部未満では耐薬品性に劣り、20重量部を越えると造粒加工が困難になり樹脂組成物のペレットを得ることができなくなることから好ましくない。好ましい配合量は、0.01〜10重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。
【0021】
本発明にて使用されるペンタエリスリトールと炭素数が12〜30である飽和または不飽和脂肪酸とのフルエステル(C)としてはペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラベヘネートなどが挙げられる。これらは一種または二種以上で用いることが出来る。特に好適なものとしては、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることが出来る。
【0022】
ペンタエリスリトールと炭素数が12〜30である飽和または不飽和脂肪酸とのフルエステルはポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.01〜2重量部である。0.01重量部未満では耐薬品性に劣り、2重量部を越えると、射出成形加工中にシリンダー内での材料のスリップが起こるため成形が極めて困難になり好ましくない。好ましくは0.1〜1.5重量部、特に好ましくは0.3〜1.0重量部である。
【0023】
本発明により得られるポリカーボネート樹脂組成物、及びその成形体やシート等に適用され得る薬品としては、両性界面活性剤に分類されるアルキルポリアミノエチルグリシン系消毒液等が挙げられる。これらは、テゴー51(アルフレッサファーマ社製)、アルキッド、ウスノン、エルエイジー、キンサールG、コンクノール、サテニジン、ニッサンアノン、ハイジール、ハイパール、パール、ヒシパンチ等の商品名にて市販されている。これらの消毒薬等に対する薬品に対して高い耐薬品性を示す。
【0024】
本発明の各種配合成分(A)、(B)、(C)の配合方法には特に制限はなく、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等によりこれらを混合し、通常の単軸または二軸押出機等で溶融混練することができる。また、これら配合成分の配合順序や一括混合、分割混合を採用することについても特に制限はない。
【0025】
また、混合時、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染顔料、展着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)や強化材(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ等)等、又、他の樹脂を配合することができる。
【0026】
本発明の吸引器の成形方法にとしては、ブロー成形や射出成形が挙げられる。数個の吸引器が同時に成形できるような金型を用いて射出成形される場合もある。成形温度は、成形加工性の面から260〜290℃が望ましい。
【実施例】
【0027】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、部や%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
【0028】
使用した配合成分は、以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
(住化スタイロンポリカーボネート社製 カリバー200−20
粘度平均分子量:19000、以下、PCと略記)
アルキルケテンダイマー(B):
永恒化工社製 AKD1840(以下、AKDと略記)
成分は、下記式のとおり:
【0029】
【化3】
上記一般式でRは炭素数が15〜18のアルキル基であるアルキルケテンダイマー。
【0030】
ペンタエリスリトールと炭素数が12〜30である飽和または不飽和脂肪酸とのフルエステル(C):
コグニス社製 ロキシオールVPG861(以下PETSと略す)を使用した。
ポリブチルテレフタレート樹脂:
ポリプラスチックス社製 600FP (以下PBTと略す)
【0031】
前述の各種配合成分を表1および2に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所製KTX37)を用いて、溶融温度280℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0032】
(耐薬品性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm
2にて試験片(127x13x3.2mm)を作成した。
得られた試験片を片持ち梁の耐薬品試験治具(下式参照)を用いて任意の歪みをかけて、試験片の中央部に下記評価用薬品をそれぞれ塗布した。
評価用薬品(消毒液)
アルフレッサファーマ社製 テゴー51(詳細は以下参照)を日本薬局方 健栄製薬社製 精製水にて10倍希釈溶液(テゴー51:精製水=600ml:6000ml)を作成した(以下、C−1と略記)。
テゴー51:アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩:
式[RNH・CH
2・CH
2・NH・CH
2・CH
2・NH・CH
2・COOH]・HCl (RはC
8H
17〜C
16H
33、主としてC
12H
25及びC
14H
29からなる)
上記の薬品塗布後の試験片を23℃の雰囲気下で48時間放置し、試験片上の割れやヒビの位置から臨界歪み(%)を次の式により求めた。
【0033】
(式)
【0034】
上記式にて求めた臨界歪みから、耐薬品性を下記基準にて判定し、臨界歪みが0.7%超(○〜◎)を合格とした。
耐薬品性の判定:
◎:臨界歪みが1.0%以上
○:臨界歪みが0.7%以上〜1.0%未満
△:臨界歪みが0.5%以上〜0.7%未満
×:臨界歪みが0.3%以上〜0.5%未満
××:臨界歪みが0.3%未満
【0035】
(ノッチ付きシャルピー衝撃強度および荷重たわみ温度の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm
2にてISO試験法に準じた試験片を作成し、得られた試験片を用いてISO 179−1、ISO 75−2に準じノッチ付きシャルピー衝撃強さ及び荷重たわみ温度を測定し、ノッチ付きシャルピー衝撃強度が10KJ/m
2以上、および、荷重たわみ温度が105℃以上を合格とした。
【0036】
(透明性の評価)
上記で得られた各種樹脂組成物のペレットをそれぞれ125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100E−C5)を用いて設定温度280℃、射出圧力1600kg/cm
2にて透明性評価用試験片(150x90x3.0mm)を作成した。
得られた試験片を用いてJIS K 7361に準じ、試験片厚み3mmの光線透過率を測定し、光線透過率が80%以上を合格とした。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
実施例1〜4に示すように、本発明の構成要件を満足する場合にあっては、透明性、耐薬品性、衝撃強度、及び耐熱性のそれぞれに亘って良好な結果を示した。
【0040】
一方、比較例1〜5に示すように、本発明の構成要件を満足しない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1,2はアルキルケテンダイマーが添加されていない、又、本発明の定める範囲よりも少ない場合であり、耐薬品性に劣っていた。
比較例3はアルキルケテンダイマーが本発明の定める範囲より多いことから、造粒困難のためペレットが作成出来なかった。
比較例4はペンタエリスリトールと炭素数が12〜30である飽和または不飽和脂肪酸とのフルエステルが本発明の定める範囲より少ない場合であり、耐薬品性に劣っていた。
比較例5は従来から耐薬品性および耐溶剤性を改良する目的で提案されているポリエステル樹脂を配合した場合であり、透明性、衝撃性、耐熱性及び耐薬品性に劣っていた。