【解決手段】医薬品のPTP包装体PCと、PTP包装体PCの底材Bの全てのポケットpが入り込むポケット嵌入穴11が形成された台紙10と、台紙10に接着される合成樹脂フィルム20とから構成されており、底材Bのポケットpをポケット嵌入穴11に嵌入した状態でPTP包装体PCを台紙10に載置し、台紙10におけるPTP包装体PCの蓋材C側を、加熱することで軟化させた合成樹脂フィルム20によって被覆して真空脱気することで台紙10の表面に接着してある。合成樹脂フィルム20にはPTP包装体PCの各ポケットpに対応する部分を剥離するための横ミシン目21及び縦ミシン目22が形成されており、台紙10には合成樹脂フィルム20の側縁部と共に摘むことができるように、半円弧状の切目12が形成されている。
経口摂取品を収容する複数のポケットが形成された底材と、前記底材の各ポケットに経口摂取品を収容した状態で、各ポケットを閉塞するように底材にシールされる蓋材とを有するPTP包装体と、
前記PTP包装体の全てのポケットが入り込む一または複数のポケット嵌入穴が形成された台紙と、
前記台紙に接着される合成樹脂フィルムとを備え、
前記底材のポケットを前記台紙のポケット嵌入穴に嵌入した状態で、前記PTP包装体を前記台紙に載置し、前記台紙における前記PTP包装体の蓋材側を、前記合成樹脂フィルムによって被覆して剥離可能に接着した経口摂取品包装体であって、
前記合成樹脂フィルムにおける前記PTP包装体の全てのポケットに対応する部分を剥離した状態で、剥離されずに残された前記合成樹脂フィルムが前記PTP包装体の一部を前記台紙に保持していることを特徴とする経口摂取品包装体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高齢者の中には、服用量に応じて切り離したPTP包装体PCから医薬品Mを取り出さずに、誤ってそのまま飲み込んでしまう人がおり、喉や食道などを傷つけるといった問題が発生している。特に、痛みなどの症状が表れるまで誤飲したことに気付きにくく、誤飲を自覚せず体調不良などで検査しても、PTP包装体PCの素材はX線写真に写りにくいため、発見されにくく、重症化するおそれもある。
【0006】
こういった高齢者の誤飲の問題を解消するために、PTP包装体PCを細かく分割できないように、底材Bに設ける破断線lの数を減らしたり、底材Bに破断線lを全く設けないことも提案されているが、高齢者以外の服用者にとっては、PTP包装体PCを細かく分割できるほうが便利であることは否めない。
【0007】
従って、同一の医薬品に対して、底材に破断線を設けないPTP包装体と、底材に破断線を設けたPTP包装体とをそれぞれ製造しておき、服用者に応じて使い分けるといったことも考えられるが、製造工程が複雑になると共に、PTP包装体の管理が煩雑となり、コストアップの要因となる。
【0008】
そこで、この発明の課題は、分割可能なPTP包装体を二次包装することによって高齢者の誤飲を防止することができる経口摂取品包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、経口摂取品を収容する複数のポケットが形成された底材と、前記底材の各ポケットに経口摂取品を収容した状態で、各ポケットを閉塞するように底材にシールされる蓋材とを有するPTP包装体と、前記PTP包装体の全てのポケットが入り込む一または複数のポケット嵌入穴が形成された台紙と、前記台紙に接着される合成樹脂フィルムとを備え、前記底材のポケットを前記台紙のポケット嵌入穴に嵌入した状態で、前記PTP包装体を前記台紙に載置し、前記台紙における前記PTP包装体の蓋材側を、前記合成樹脂フィルムによって被覆して剥離可能に接着した経口摂取品包装体であって、前記合成樹脂フィルムにおける前記PTP包装体の全てのポケットに対応する部分を剥離した状態で、剥離されずに残された前記合成樹脂フィルムが前記PTP包装体の一部を前記台紙に保持していることを特徴とする経口摂取品包装体を提供するものである。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の経口摂取品包装体において、前記合成樹脂フィルムには、前記PTP包装体の各ポケットに対応する部分を剥離するための破断手段が設けられていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明の経口摂取品包装体において、前記破断手段は、前記合成樹脂フィルムを一または複数のポケットに対応する部分毎に剥離可能に構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、請求項1に係る発明の経口摂取品包装体は、底材のポケットを台紙のポケット嵌入穴に嵌入した状態で、PTP包装体を台紙に載置し、台紙におけるPTP包装体の蓋材側を、合成樹脂フィルムによって被覆して剥離可能に接着し、しかも、合成樹脂フィルムにおけるPTP包装体の全てのポケットに対応する部分を剥離した状態で、剥離されずに残された合成樹脂フィルムがPTP包装体の一部を台紙に保持するようになっているので、一または複数のポケット毎に分離することができるように、PTP包装体の底材に破断線が設けられている場合であっても、その破断線でPTP包装体を分割することができず、PTP包装体をそのまま経口摂取するといった高齢者の誤飲を有効に防止することができる。
【0013】
従って、高齢者用として、底材に破断線を設けないPTP包装体を別途製造する必要がなく、高齢者以外のユーザには、底材に破断線を設けたPTP包装体をそのまま提供すればよいので、PTP包装体の使い勝手の自由度が広がると共に、PTP包装体の製造工程が複雑になったり、PTP包装体の管理が煩雑になったりすることもない。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、合成樹脂フィルムに、PTP包装体の各ポケットに対応する部分を剥離するための破断手段が設けられているので、綺麗に剥離することができ、体裁がよい。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、破断手段が、合成樹脂フィルムを一または複数のポケットに対応する部分毎に剥離可能に構成されているので、例えば、経口摂取品が医薬品等の場合は、服用時に合成樹脂フィルムを部分剥離して服用量だけを取り出すようにすると、医薬品が収容されているポケットは常に合成樹脂フィルムで覆われているので、ポケットを押圧しても蓋剤が破断することがなく、合成樹脂フィルムを剥離しなければ取り出すことができないので、乳幼児や子供の悪戯や誤飲を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)はこの発明に係る経口摂取品包装体の一実施形態を示す正面図、(b)は同上の経口摂取品包装体を示す背面図、(c)は同上の経口摂取品包装体を示す側面図である。
【
図2】
図1(a)のX−X線に沿った断面図である。
【
図3】同上の経口摂取品包装体を示す分解断面図である。
【
図4】同上の経口摂取品包装体を構成している台紙を示す正面図である。
【
図5】同上の台紙に形成された切目部分を示す部分拡大平面図である。
【
図6】同上の経口摂取品包装体を構成している合成樹脂フィルムを示す背面図である。
【
図7】合成樹脂フィルムにおけるPTP包装体の全てのポケットに対応する部分を台紙から剥離した状態の経口摂取品包装体を示す背面図である。
【
図8】(a)、(b)は同上の経口摂取品包装体の製造方法を説明するための説明図である。
【
図9】(a)、(b)は同上の経口摂取品包装体の製造方法を説明するための説明図である。
【
図10】同上の経口摂取品包装体の製造方法を説明するための説明図である。
【
図11】他の実施形態である経口摂取品包装体を示す正面図である。
【
図12】(a)は他の実施形態である経口摂取品包装体を示す正面図、(b)は同上の経口摂取品包装体を示す背面図である。
【
図13】(a)は他の実施形態である経口摂取品包装体を示す正面図、(b)は同上の経口摂取品包装体を示す背面図である。
【
図14】(a)は他の実施形態である経口摂取品包装体を示す背面図、(b)は合成樹脂フィルムの剥離規制手段の一例を示す図である。
【
図15】他の実施形態である経口摂取品包装体を示す正面図である。
【
図16】(a)はPTP包装体を示す平面図、(b)は同上のPTP包装体を示す底面図、(c)は同上のPTP包装体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の経口摂取品包装体は、経口投与される錠剤、カプセル剤等の医薬品やタブレット菓子等の食品のPTP包装体にスキンパック包装を施したものであり、
図16に示す医薬品のPTP包装体PCを例に挙げて、その包装形態について以下に説明する。
【0018】
図1(a)〜(c)、
図2及び
図3に示すように、この経口摂取品包装体1は、
図11(a)〜(c)に示す医薬品のPTP包装体PCと、このPTP包装体PCにおける底材Bの全てのポケットpが入り込む、ポケットpと略同一形状及び寸法の複数のポケット嵌入穴11が形成された台紙10と、この台紙10に接着される合成樹脂フィルム20とから構成されており、底材Bのポケットpを台紙10のポケット嵌入穴11に嵌入した状態で、PTP包装体PCを台紙10に載置し、台紙10におけるPTP包装体PCの蓋材C側を、加熱することで軟化させた合成樹脂フィルム20によって被覆し、真空脱気することによって、合成樹脂フィルム20をPTP包装体PCの蓋材Cの外形に沿って伸展させると共に台紙10の裏面に接着固定したものである。
【0019】
前記台紙10には、
図4に示すように、上述した複数のポケット嵌入穴11が幅方向の中央部に左右2列で形成されていると共に、両側縁には合成樹脂フィルム20を剥離する際に摘み部として機能する半円形部分13を切り離すために、
図5に示すように、破断可能に一部が繋がった半円弧状の切目12が形成されており、表面側における最上位のポケット嵌入穴11よりも上側の領域には、医薬品Mの名称、成分、効能、注意書きといった医薬品Mに関連する種々の情報が表示されている。
【0020】
前記台紙10は、ボール紙、ノーコート紙等の通気性の良い厚紙によって形成された基材層と、この基材層の一面側に積層されたデザイン等の表示印刷層及び基材層の他面側に積層された接着剤層とから構成される。なお、基材層は、厚紙、普通紙、合成紙等の紙製のものに限定されず、複数の微小通気孔が形成されたコート紙、不織布、合成樹脂シート、発泡樹脂シートなどの単層シート及びこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。合成紙、合成樹脂シート及び発泡樹脂シートの材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系などが挙げられる。
【0021】
基材層として厚紙が用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5mm〜1mmである。また、基材層として普通紙、コート紙又は不織布が用いられる場合、その目付量は、特に限定されないが、例えば、好ましくは50g/m
2〜600g/m
2であり、さらに好ましくは270g/m
2〜600g/m
2である。基材層として合成紙、合成樹脂シート又は発泡シートが用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、例えば、40μm〜200μm程度である。
【0022】
前記接着剤層は、ベタ状に設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよい。なお、接着剤層が、合成樹脂フィルム20に設けられていてもよい。合成樹脂フィルム20に接着剤層が設けられている場合、台紙10側には接着剤層を設ける必要性はない。接着剤層の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜30μmである。接着剤層を形成する接着剤としては、感熱性接着剤、感熱性粘着剤、溶剤型接着剤、エマルジョン型接着剤、感圧型粘着剤などが挙げられるが、不必要時に接着性を示さず且つ必要時に接着性を発現させることができることから、感熱性接着剤又は感熱性粘着剤を用いることが好ましい。感熱性接着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現し、冷却によって固化して部材間を接着する接着剤である。感熱性粘着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現して部材間を接着し、冷却後も粘着性が持続する接着剤である。感熱性接着剤又は感熱性粘着剤の種類としては、例えば、ディレードタック型、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型などが挙げられる。
【0023】
ディレードタック型の感熱性接着剤は、室温で接着性を示さず、加熱することによって接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってその接着性が持続するものであり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能な接着剤である。ディレードタック型の感熱性接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたエマルジョン型のものなどが例示される。
【0024】
エマルジョン型又は溶剤型の感熱性接着剤又は感熱性粘着剤は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを、水又は有機溶剤などに溶解又は分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能な接着剤又は粘着剤であり、塗工後乾燥して使用するものである。
【0025】
ホットメルト型の感熱性接着剤又は感熱性粘着剤は、加熱溶融し、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどによって塗工可能な接着剤又は粘着剤である。この例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが挙げられる。
【0026】
使用される感熱性接着剤又は感熱性粘着剤は、通常、軟化点60℃〜180℃のものが用いられ、好ましくは、軟化点70℃〜140℃である。このような軟化点の接着剤を用いることにより、合成樹脂フィルム20を軟化させるために加熱した際に、その熱で接着剤層の接着剤を活性化させることができる。なお、前記軟化点は、JIS K 6863に準じて測定できる。
【0027】
前記合成樹脂フィルム20には、
図6に示すように、PTP包装体PCの各ポケットpに対応する部分を上下に挟むように配設された複数本の横ミシン目21と、上下の横ミシン目21を結ぶように、左右の各ポケットpの間に配設された縦ミシン目22とを備えており、
図1(b)に示すように、台紙10に形成された切目12が上下の横ミシン目21の間に配置されるようになっている。従って、台紙10に形成された切目12で囲われた半円形部分13を合成樹脂フィルム20の側縁部と共に摘んで起こすことによって切目12の部分的に繋がった箇所を破断し、そのまま、上下の横ミシン目21、21を破断しながら剥離し、最終的に縦ミシン目22を破断することによって切除すると、PTP包装体PCの各ポケットpに対応する部分を個別に露出させることができるようになっている。
【0028】
また、
図7に示すように、最上位の横ミシン目21と最下位の横ミシン目21との間の合成樹脂フィルム20を全て剥離したとしても、上下に残された合成樹脂フィルム20が台紙10との間にPTP包装体PCの上下端部を挟み込むことによって、PTP包装体PCが台紙10に保持されているので、PTP包装体PCが台紙10から脱落することがない。
【0029】
前記合成樹脂フィルム20としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、軟質塩化ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマーフィルム等の単層構成または一種あるいは二種以上の複層構成を使用することができる。また、適宜必要に応じて、ガスバリアー性や遮光性等の各種機能を有する周知のフィルムを用いることもできる。
【0030】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、特に好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンである。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0031】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド重合体、ナイロン6−66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン6−69、ナイロン6−610、ナイロン66−69などの脂肪族ポリアミド共重合体を例示することができる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、特にナイロン6−66、ナイロン6−10またはナイロン6−12が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0032】
ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロへキサンジメタノール/テレフタレート)などが代表格としてあげられ、更にこれらの重合体に共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類、あるいはイソフタール類、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有せしめたものが使用できる。
【0033】
本発明においては、合成樹脂フィルム20として、融点の異なる樹脂を少なくとも二層以上有する複層構成のフィルムが好ましく、なかでも、高融点の樹脂(即ち耐熱性を有する樹脂)を中間層とし、該中間層の樹脂よりも低融点の樹脂を表裏層とする二種三層で構成されたフィルムが特に好ましい。台紙10への接着に寄与する低融点の樹脂よりも耐熱性を有する樹脂が積層されていることにより、フィルム強度が向上する。さらに、二種三層で構成されたフィルムであれば、加熱や冷却に起因したカールをし難くなり、スキンパック包装体の仕上がりの向上を図ることができる。
【0034】
二種三層で構成されたフィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(低融点)/ポリオレフィン系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、等が挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンのいずれかであり、ポリアミド系樹脂が脂肪族ポリアミド共重合体であることが特に好ましい。
【0035】
以上のように構成された経口摂取品包装体1は、例えば、以下に示す各工程を経て製造される。
【0036】
〔第1工程〕
先ず、
図8(a)に示すように、シート素材SMにおける、台紙10となる領域の所定位置を打抜刃で打ち抜くことによって、上述したポケット嵌入穴11及び
図5に示すように破断可能に一部が繋がった半円弧状の切目12を形成する。なお、ポケット嵌入穴11の形成処理と半円弧状の切目12の形成処理は別個に行ってもよい。
【0037】
〔第2工程〕
次に、
図8(b)に示すように、PTP包装体PCを、その底材Bのポケットpを台紙10となるシート素材SMのポケット嵌入穴11に嵌入した状態でシート素材SMの裏面側に載置した後、
図9(a)に示すように、加熱することによって軟化させた合成樹脂フィルム20となるフィルム素材FMを被せて、そのフィルム素材FMとPTP包装体PCの間を真空脱気することによりスキンパック包装を施す。フィルム素材FMの加熱温度は通常80℃〜180℃、好ましくは90℃〜170℃である。ここで、加熱温度が180℃以上の場合は、この熱により被包装体を変質させるおそれがあり、とりわけ、被包装体が医薬品MのPTP包装体10である場合には、医薬品Mの効能に影響することも考えられ得る。
【0038】
〔第3工程〕
最後に、
図9(b)に示すように、前工程においてフィルム素材FMが接着されたシート素材SMに対して、ミシン刃等により上述した横ミシン目21及縦ミシン目22を形成した後、
図10に示すように、打抜刃等により台紙10となる領域を打ち抜くと、
図1(a)〜(c)に示す経口摂取品包装体1が出来上がる。なお、ミシン刃等によるミシン目の形成処理と打抜刃等による打抜処理とは同時に行ってもよい。
【0039】
本発明に係る経口摂取品包装体1を製造するに際し、スキンパック包装前のフィルム素材FMに部分的に剥離するための上記ミシン目を入れた場合、それらのミシン目から空気が内部に進入して、第2工程において真空脱気をすることが困難となるが、上述した製造方法のように、スキンパック包装後の第3工程において部分的に剥離するための上記ミシン目を形成することで、簡便かつ容易にスキンパック包装体1を製造することができる。
【0040】
なお、上述した製造方法では、第1工程において、半円弧状の切目12を形成しているが、これに限定されるものではなく、スキンパック包装後の第3工程において、ミシン目の形成と同時に切目12を形成してもよい。このように、スキンパック包装後に切目12を形成する場合、切目12によって囲われた半円形部分13は合成樹脂フィルムに接着されているので、形成する切目12は破断可能に一部が繋がっている必要はなく、完全な切目を形成すればよい。
【0041】
また、上述した製造方法では、スキンパック包装後の第3工程において、ミシン目の形成と同時に台紙10の形状に打ち抜いているが、これに限定されるものではなく、予め、台紙10の形状に打ち抜いた状態で、各工程の処理を行うようにしてもよい。
【0042】
以上のように構成された経口摂取品包装体1を開封して医薬品Mを服用するには、切目12で囲われた半円形部分13を合成樹脂フィルム20の側縁部と共にを摘んで、その切目12の上下に位置しているミシン目21を破断しながら、合成樹脂フィルム20を部分的に剥離すると、PTP包装体PCにおける服用すべき医薬品Mが収容されたポケットpに対応する蓋材C部分が露出するので、台紙10のポケット嵌入穴11から突出している底材Bのポケットpを押圧すると、露出した蓋材C部分が破断され、医薬品を取り出すことができる。
【0043】
以上のように、この経口摂取品包装体1は、医薬品MのPTP包装体PCを、その底材Bのポケットpを台紙10のポケット嵌入穴11に嵌入した状態で蓋材C側を台紙10との間に挟み込むように、合成樹脂フィルム20によって被覆して台紙10に接着固定したスキンパック包装体とし、合成樹脂フィルム20には、PTP包装体PCの各ポケットpに対応する部分を剥離するための破断手段としての横ミシン目21及び縦ミシン目22を設け、さらに、合成樹脂フィルム20におけるPTP包装体PCの全てのポケットpに対応する部分を剥離した状態では、剥離されずに残された合成樹脂フィルム20がPTP包装体PCの一部を台紙10に保持するようになっているので、一または複数のポケットp毎に分離することができるように、PTP包装体PCの底材Bに破断線lが設けられている場合であっても、その破断線lでPTP包装体PCを分割することができず、PTP包装体PCをそのまま経口摂取するといった高齢者の誤飲を有効に防止することができる。
【0044】
従って、高齢者用として、底材に破断線を設けないPTP包装体を別途製造する必要がなく、高齢者以外のユーザには、底材に破断線を設けたPTP包装体をそのまま提供すればよいので、PTP包装体の使い勝手の自由度が広がると共に、PTP包装体の製造工程が複雑になったり、PTP包装体の管理が煩雑になったりすることもない。
【0045】
また、この経口摂取品包装体1では、合成樹脂フィルム20に破断手段としての横ミシン目21及び縦ミシン目22を設けることで、合成樹脂フィルム20をPTP包装体PCの各ポケットpに対応する部分毎に剥離可能に構成されているので、服用時に合成樹脂フィルム20を部分剥離して服用量だけを取り出すようにしておくと、医薬品が収容されているポケットpの蓋材C部分は常に合成樹脂フィルム20で覆われた状態となっており、ポケットpを押圧しても蓋材Cが破断することがなく、合成樹脂フィルム20を剥離しなければ取り出すことができないので、乳幼児や子供の悪戯や誤飲を防止することもできる。
【0046】
また、この経口摂取品包装体1では、医薬品MのPTP包装体PCが保持されている台紙10に、医薬品Mの名称、成分、効能、注意書きといった医薬品Mに関連する種々の情報が表示されているので、服用者は医薬品Mに対して常に正しい情報を入手することができる。
【0047】
また、この経口摂取品包装体1では、PTP包装体PCを構成している底材Bのポケットpを、台紙10に形成したポケット嵌入穴11に嵌入することで、台紙10に対してPTP包装体PCが位置決めされるので、台紙に位置決め手段を別途設ける必要もない。
【0048】
なお、上述した実施形態では、PTP包装体PCの各ポケットp毎に合成樹脂フィルム20を剥離する際、横ミシン目21及び縦ミシン目22によって、部分剥離した合成樹脂フィルム20を切除するようにしているが、これに限定されるものではなく、縦ミシン目を省略し、部分剥離した合成樹脂フィルム20が切除できずにそのまま繋がった状態であってもよい。
【0049】
また、上述した実施形態では、PTP包装体PCを構成している底材Bの各ポケットpが個別に嵌入するポケット嵌入穴11を台紙10に形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図11に示す経口摂取品包装体1Aのように、全てのポケットpを取り囲むような単一のポケット嵌入穴11Aを形成したり、
図12(a)、(b)に示す経口摂取品包装体1Bのように、2個のポケットpを取り囲むようなポケット嵌入穴11Bを複数形成することも可能であり、その場合も、ポケット嵌入穴11A、11Bの形状、寸法等を適宜調整することによって、PTP包装体PCの位置決め機能を付与することができる。
【0050】
また、上述した実施形態では、合成樹脂フィルム20におけるPTP包装体PCの各ポケットpに対応する部分を個別に剥離することができるようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば、1回の服用量が2錠の場合、
図12に示す経口摂取品包装体1Bのように、隣接する2個のポケットpに対応する部分毎に剥離することができるように横ミシン目21のみを形成するといった具合に、複数のポケットpに対応する部分毎に合成樹脂フィルム20を剥離することができるように破断手段を形成してもよく、全てのポケットpに対応する部分を全体的に剥離することができるような破断手段を形成してもよい。また、
図12に示す経口摂取品包装体1Bのように、隣接する2個のポケットpに対応する部分毎に剥離する場合は、同図に示すように、台紙10に形成する切目12は、必ずしも台紙10の両側縁に設ける必要はなく、少なくとも一方の側縁に形成しておけばよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、合成樹脂フィルム20を剥離する際に合成樹脂フィルム20の側縁部を摘むことができるように、台紙10の側縁部分に半円弧状の切目12を形成しているが、これに限定されるものではなく、こういった切目12に代えて、半円形状の切欠部を形成してもよく、また、例えば、
図13(a)、(b)に示す経口摂取品包装体1Cのように、摘み部31が台紙10の側縁から外側に張り出すように、別部材である摘み部形成部材30を合成樹脂フィルム20に貼着しておいてもよい。
【0052】
また、上述した各実施形態では、合成樹脂フィルム20におけるPTP包装体PCの全てのポケットpに対応する部分を剥離した状態で、剥離されずに残された合成樹脂フィルム20がPTP包装体PCの上端部及び下端部の2箇所を台紙10に保持するようになっているが、これに限定されるものではなく、PTP包装体PCが脱落しないのであれば、PTP包装体PCの一部を台紙10に保持していればよい。
【0053】
また、上述した各実施形態では、合成樹脂フィルム20に破断手段としてミシン目を形成しているが、これに限定されるものではなく、ミシン目に替えて切目を形成することも可能であり、また、
図14(a)に示すようにミシン目や切目等の破断手段を設けずに台紙10のコーナー部から合成樹脂フィルム20を剥離するようにしてもよい。ただし、このように、台紙10のコーナー部から合成樹脂フィルム20を剥離する場合は、PTP包装体PCを台紙10に保持するために、合成樹脂フィルム20が必要以上に剥離しないように、合成樹脂フィルム20の剥離量を規制するようにしておくことが望ましい。具体的な規制手段としては、PTP包装体PCにかかり、かつ剥離量を規制したい位置に押し罫線を形成したり、台紙10における合成樹脂フィルム20を剥離させたくない部分に塗布する接着剤を変更または接着剤の塗布密度を大きくすることによって合成樹脂フィルム20の接着強度を部分的に大きくしたり、台紙10における合成樹脂フィルム20を剥離させたくない部分にヒートシール性を有する樹脂層を形成しておき、その樹脂層に合成樹脂フィルム20をヒートシールすることが考えられる。さらに、同図(b)に示すように、合成樹脂フィルム20を剥離させたくない位置に合成樹脂フィルム20の両側縁から内側に傾斜した傾斜切目23aとこの傾斜切目23aから剥離端側に反転して延びる円弧切目23bを形成しておくことで、合成樹脂フィルム20の剥離量を規制することも可能である。
【0054】
また、
図15に示す経口摂取品包装体1Dのように、台紙10の表面側におけるポケット嵌入穴11と切目12との間に、PTP包装体PCの各ポケットpに収容された医薬品Mを何時服用すべきかを鉛筆又はボールペンなどの筆記具によって記入するための記入枠14を表示しておくと、薬剤師等が医師等からの指示に従って服用日時等を記入しておくことで、医薬品Mの服用者は適正に服用することができる。
【0055】
特に、記入枠14の内側の記入領域は、溶液コーティング、押出コーティングまたは蒸着等の手法を用いて、インクの乗りやすい材料によってコーティングしたり、微細な粒子を打ち付けるサンドブラスト加工や、表面が凹凸形状を有する加熱ローラを押し当てるエンボス加工等によって凹凸状に形成しておくと、インクを保持しやすくなり、鉛筆やボールペンなどの筆記具によって文字や図柄を記載しやすくなる。
【0056】
また、経口摂取品包装体1Fでは、台紙10に記入枠14を表示しているが、これに限定されるものではなく、合成樹脂フィルム20側に記入枠を形成してもよい。
【0057】
また、上述した各自実施形態では、台紙10と合成樹脂フィルム20とを用いて、PTP包装体PCにスキンパック包装を施した経口摂取品包装体1、1A、1B、1C、1Dについて説明したが、これに限定されるものではなく、底材Bのポケットpを台紙10のポケット嵌入穴11に嵌入した状態で、PTP包装体PCを台紙10に載置し、台紙10におけるPTP包装体PCの蓋材C側に粘着シートを貼着するようにしてもよい。ただし、その場合も、上述したミシン目や切目等の破断手段を粘着シートに形成しておく必要があることはいうまでもない。