特開2015-98640(P2015-98640A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-98640(P2015-98640A)
(43)【公開日】2015年5月28日
(54)【発明の名称】メッキ装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 21/00 20060101AFI20150501BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20150501BHJP
   C25D 17/12 20060101ALI20150501BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20150501BHJP
【FI】
   C25D21/00 J
   C25D7/00 J
   C25D17/12 Z
   H05K3/18 L
   H05K3/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-4973(P2014-4973)
(22)【出願日】2014年1月15日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0140210
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユ−ジュン ロー
(72)【発明者】
【氏名】チュル−キュ キム
【テーマコード(参考)】
4K024
5E343
【Fターム(参考)】
4K024BB11
4K024CB06
4K024CB08
4K024CB21
4K024GA16
5E343AA02
5E343AA11
5E343DD32
5E343DD43
5E343FF16
5E343FF17
5E343FF18
5E343GG06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被メッキ体のメッキ厚さの偏差をより最小化できるメッキ装置を提供する。
【解決手段】被メッキ体を収容するメッキ槽100と、複数の横と縦でメッキ槽に分割して設けられ、それぞれ独立に電流が供給される複数の陽極部200と、を含み、それぞれの陽極部は、全部または一部が円形状に形成されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被メッキ体を収容するメッキ槽と、
前記メッキ槽に横と縦とで複数分割して設けられ、それぞれ独立に電流が供給される複数の陽極部と、を含み、
前記陽極部のそれぞれは、全部または一部が円形状に形成されることを特徴とするメッキ装置。
【請求項2】
複数の前記陽極部のうち、外郭部に配置される前記陽極部は、中心角が180°の扇状に形成され、
複数の前記陽極部のうち、コーナー部に配置される前記陽極部は、中心角が90°の扇状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のメッキ装置。
【請求項3】
前記陽極部のそれぞれは、供給される電流量が調整可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメッキ装置。
【請求項4】
前記陽極部のそれぞれは、前記被メッキ体との距離及び前記被メッキ体に対する角度のうち、少なくとも1つを互いに独立して調整可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のメッキ装置。
【請求項5】
前記陽極部は、前記被メッキ体を基準として両側に対称に配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のメッキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷回路基板は、携帯電話、半導体、情報通信などの核心部品として使用されることになり、これに関連する技術がますます重要となっている。特に、半導体IC移動通信部品の小型化、高速化、高密度化、高性能化、電磁波遮蔽などに対する信頼性向上とともに印刷回路基板における均一なメッキの必要性が強調されている。
【0003】
このような印刷回路基板の均一なメッキは、微細回路のメッキ膜を薄くし、かつ均一化することにより高性能化することができるとともに、配線のプロファイルを低減させて電子機器の雑音も低減することができる。また、メッキ厚さの均一化は、過剰なメッキを防止するので、製造コストの低減効果をもたらすことができる。
【0004】
しかし、回路の複雑な形態、電解槽及び電極の形態などの幾何学的要素や、溶液及び添加物の特性、電気化学反応の速度に関連する分極と電圧、反応イオンの濃度分布など、メッキ時に複合的に作用する各種因子のために、均一な電流分布を得にくく、これにより、メッキ厚さの偏差を効果的に改善することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10−1998−081740号公報(1998.11.25.公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、被メッキ体のメッキ厚さの偏差をより最小化できるメッキ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、被メッキ体を収容するメッキ槽と、メッキ槽内に複数の横と縦に分割して設けられ、それぞれ独立に電流が供給される複数の陽極部とを含み、それぞれの陽極部は、全部または一部が円形状に形成されることを特徴とするメッキ装置が提供される。
【0008】
ここで、複数の陽極部のうち、外郭部に配置される陽極部は、中心角が180°の扇状に形成可能であり、複数の陽極部のうち、コーナー部に配置される陽極部は、中心角が90°の扇状に形成可能である。
【0009】
それぞれの陽極部は、供給される電流量を調整することが可能である。
【0010】
それぞれの陽極部は、被メッキ体との距離及び被メッキ体に対する角度のうち、少なくとも1つを互いに独立して調整可能である。
【0011】
そして、陽極部は、被メッキ体を基準として両側に対称に配置されることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施例によれば、被メッキ体のメッキ厚さの偏差をより最小化できるメッキ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例に係るメッキ装置を示す図面である。
図2図1のメッキ装置による被メッキ体のメッキ厚さの実験結果を示す図面である。
図3】本発明の他の実施例に係るメッキ装置を示す図面である。
図4図3のメッキ装置による被メッキ体のメッキ厚さの実験結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明に係るメッキ装置の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明し、添付図面に基づいて説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0015】
また、以下に使用される「第1」、「第2」などのような用語は、同一または相応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または相応する構成要素がそれらの「第1」、「第2」などの用語により限定されるものではない。
【0016】
また、「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間の物理的に直接接触する場合のみを意味することではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触されている場合まで含む概念として使用される。
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係るメッキ装置を示す図面である。図2は、図1のメッキ装置による被メッキ体のメッキ厚さの実験結果を示す図面である。
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施例に係るメッキ装置1000は、メッキ槽100と、陽極部200とを含む。
【0019】
メッキ槽100は、被メッキ体10を収容する容器であって、被メッキ体10をメッキするためのメッキ液を収容することができる。ここで、被メッキ体10は、電気分解の原理を用いてメッキが施される対象体であって、メッキ液の収容されたメッキ槽100内に被メッキ体10を陰極として設置し、後述する陽極部200に電流を供給すると、陰極である被メッキ体10の表面にメッキが施されることになる。
【0020】
陽極部200は、メッキ槽100内に横と縦とで複数分割して設けられ、それぞれ独立に電流が供給されるものであって、複数個が形成される。すなわち、図1に示すように、それぞれの陽極部200は、互いに分離されて、被メッキ体10の一側に複数の横と縦に並んで配置されることができる。
【0021】
被メッキ体10のメッキ時、陽極部200に供給された電流は、陰極である被メッキ体10に直線的に伝達されるだけでなく、メッキ液に沿って迂回して被メッキ体10に伝達されることもあるので、被メッキ体10におけるメッキ厚さは、被メッキ体10に対応する位置の陽極部200に供給された電流量と正確に比例しないことがある。
【0022】
特に、電極板の縁では、電気力線が電極板に垂直ではなく、外側に湾曲して延びるエッジ効果(edge effect)などにより、相対的に迂回電流が多く到逹する被メッキ体10の端部でのメッキ厚さが厚く形成されるなど、不均一なメッキが行われることがある。
【0023】
したがって、本実施例に係るメッキ装置1000は、陽極部200を互いに分離し、独立に電流が供給されるように複数配置し、それぞれの陽極部200は、全部または一部が円形状に形成されるように構成することができる。
【0024】
すなわち、全体的な陽極部200の電場を分散させるとともに、それぞれの陽極部200の端部を曲線処理して、分散されたそれぞれの電場において上述したエッジ効果が相対的に被メッキ体10の全体面積にかけて発生されるようにすることができるので、被メッキ体10の端部への電流集中を防止することができる。
【0025】
これにより、本実施例に係るメッキ装置1000は、被メッキ体10のメッキ厚さの偏差、特に被メッキ体10の端部と中央部との間のメッキ厚さの偏差をより最小化することができる。
【0026】
具体的に、図2を参照して被メッキ体10のメッキ厚さの偏差を説明する。
【0027】
図2は、分割されたそれぞれの陽極部200を四角形に形成した場合(比較例1)と図1のメッキ装置のように陽極部200を形成した場合(実施例1)の被メッキ体10の メッキ厚さを比較した実験結果を示している。
【0028】
図2に示すように、図1のメッキ装置のように陽極部200を形成した場合(実施例1)に、被メッキ体10の端部と中央部との間のメッキ厚さの偏差がより小さいことが分かる。
【0029】
このように、図1のメッキ装置のように陽極部200を形成した場合(実施例1)は、被メッキ体10の端部への電流集中が相対的に低減するので、被メッキ体10におけるメッキ厚さの偏差をより最小化することができる。
【0030】
本実施例に係るメッキ装置1000において、それぞれの陽極部200は、供給される電流量を調整可能である。例えば、被メッキ体10の形状や被メッキ体10に要求されるメッキ厚さが変更された場合、それぞれの陽極部200は、供給される電流量を変更してメッキ厚さを調整することができる。
【0031】
この場合、被メッキ体10の形状や被メッキ体10に要求されるメッキ厚さに応じて、それぞれの陽極部200に供給される電流量も常に一定したものではないため、それぞれの陽極部200に供給される電流量を互いに独立して調整できるように構成することができる。
【0032】
このように、本実施例に係るメッキ装置1000において、それぞれの陽極部200は、供給される電流量を調整可能であり、被メッキ体10の形状や被メッキ体10に要求されるメッキ厚さが変更される場合にも、メッキ装置1000の構造を変更することなく、より能動的に対処することができる。
【0033】
また、本実施例に係るメッキ装置1000において、それぞれの陽極部200は、被メッキ体10との距離及び被メッキ体10に対する角度のうち、少なくとも1つを互いに独立して調整可能である。
【0034】
例えば、被メッキ体10の端部のメッキ厚さが相対的に厚く形成されるということを考慮して、被メッキ体10の端部に対応する位置に設けられた陽極部200を被メッキ体10からより遠く離隔したり、被メッキ体10と接する角度を小さくしたりするなどの方法により、被メッキ体10の端部に対するメッキ厚さを調整することができる。
【0035】
これにより、本実施例に係るメッキ装置1000は、それぞれの陽極部200に供給される電流量だけでなく、それぞれの陽極部200と被メッキ体10との間の距離、それぞれの陽極部200と被メッキ体10との間の角度を適宜組み合わせることにより、様々なメッキ条件の変化に対応することができる。
【0036】
本実施例に係るメッキ装置1000において、陽極部200は、被メッキ体10を基準として両側に対称に配置されることができる。すなわち、図1に示すように、被メッキ体10の両側に一対の陽極部200を設置することができる。
【0037】
これにより、被メッキ体10をメッキするとき、被メッキ体10の両側に対するメッキを同時に行うことができる。また、一対の陽極部200を対称に設けて、被メッキ体10の両面のメッキ厚さを均一に形成することができる。
【0038】
図3は、本発明の他の実施例に係るメッキ装置を示す図面である。図4は、図3のメッキ装置による被メッキ体のメッキ厚さの実験結果を示す図面である。
【0039】
図3及び図4に示すように、本発明の他の実施例に係るメッキ装置2000において、複数の陽極部200のうち、外郭部に配置される陽極部200は、中心角が180°の扇状に形成され、複数の陽極部2000のうち、コーナー部に配置される陽極部200は、中心角が90°の扇状に形成されることができる。
【0040】
すなわち、それぞれの陽極部200を同じく円形状に形成することではなく、被メッキ体10の端部に対応する位置に配置された陽極部200の形状及び被メッキ体10のコーナー部に対応する位置に配置された陽極部200の形状を、それぞれ異なるように形成してもよい。
【0041】
これにより、本実施例に係るメッキ装置2000は、被メッキ体10の端部及びコーナー部におけるエッジ効果をより低減させることができるので、被メッキ体10の端部と中央部との間のメッキ厚さの偏差をより効果的に低減することができる。
【0042】
具体的に、図4を参照して被メッキ体10のメッキ厚さの偏差を説明する。
【0043】
図4は、分割されたそれぞれの陽極部200を四角形に形成した場合(比較例2)と図 3のメッキ装置のように陽極部200を形成した場合(実施例2)の被メッキ体10のメッキ厚さを比較した実験結果を示している。
【0044】
図4に示すように、図3のメッキ装置のように陽極部200を形成した場合(実施例2)に、被メッキ体10の端部と中央部との間のメッキ厚さの偏差が著しく小くなることが分かる。
【0045】
また、図3のメッキ装置のように陽極部200を形成した場合(実施例2)は、比較例2に比べて被メッキ体10の中央部のメッキ厚さがかえって増加するなど、被メッキ体10の特定部位ごとにメッキ厚さを互いに異なるように制御することもできる。
【0046】
このように、図3のメッキ装置のように陽極部200を形成した場合(実施例2)には、被メッキ体10の端部への電流集中がより著しく低減するため、被メッキ体10のメッキ厚さの偏差をより効果的に低減することができる。
【0047】
一方、本発明の他の実施例に係るメッキ装置2000は、上述した構成以外には本発明の一実施例に係るメッキ装置1000の構成と同一または類似であるので、重複する構成に対する詳細な説明は省略する。
【0048】
以上では、本発明の実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有した者であれば特許請求範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加することにより本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえよう。
【符号の説明】
【0049】
10 被メッキ体
100 メッキ槽
200 陽極部
1000、2000 メッキ装置
図1
図2
図3
図4