【課題】過去の任意の時間における測定信号について、過去の解析結果を読み出したり、再度解析を行ったり、解析条件を変更して新たな解析を行ったりする信号処理装置および信号処理方法を提供する。
【解決手段】制御装置がタッチセンサまたは操作部から測定信号の所定の信号部分を特定する信号が入力されると、記憶手段に記憶されている測定信号の所定の信号部分と、測定信号に対する解析処理の結果とを読み出し、表示装置に、記憶手段から読み出した測定信号の所定の信号部分と、測定信号に対する解析処理の結果とを表示する。
前記表示装置は、前記測定信号の波形を表示する波形表示部(210)と、前記測定信号の前記所定の信号部分の前記解析処理の結果を表示する解析処理結果表示部(220)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の信号処理装置。
前記表示手段の前記第2の出力信号の波形を表示する波形表示部(210)には、タッチパネル(52)が設けられており、前記タッチセンサは、操作者のタッチ操作によって前記測定信号の前記所定の信号部分が選択されるように前記タッチセンサ(52a)が配置されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の信号処理装置。
前記制御装置は、前記タッチセンサまたは前記操作部から前記測定信号の所定の信号部分を特定する信号が入力され、さらに、前記タッチセンサまたは前記操作部から前記解析処理と異なる解析処理の指示入力があると、前記記憶手段に記憶されている前記測定信号の所定の信号部分を読み出し、前記読み出した前記測定信号の所定の信号部分に対し前記指示入力された新たな解析処理を行い、前記表示装置に、前記記憶手段から読み出した前記測定信号の所定の信号部分と、前記測定信号に対する前記新たな解析処理の結果とを表示するように構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたスペクトルアナライザは、周波数掃引同調方式のスペクトラムアナライザであるため、掃引周波数における解析信号のスペクトラムデータは記憶できるが、信号の時間変動波形を記憶することはできない。このため、特許文献1に記載されたスペクトルアナライザでは、例えば、デジタル通信におけるEVM等の詳細な解析データについて、過去に遡って確認することができない。
【0006】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、過去の任意の時間における測定信号について、過去の解析結果を読み出したり、再度解析を行ったり、解析条件を変更して新たな解析を行ったりすることが可能な信号処理装置および信号処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る信号処理装置(100)は、検査対象物(DUT)からの測定信号(S)に対し所定の解析処理を行う制御装置(30)と、前記測定信号と前記制御装置による前記測定信号に対する解析処理の結果とを記憶する記憶手段(32または33)と、前記制御装置に接続されていて前記測定信号と前記測定信号に対する解析処理の結果とを表示する表示装置(50)であって、操作者の接触操作を検知して操作に対応する信号を前記制御装置に出力するタッチセンサ(52a)を備える表示装置(50)と、前記制御装置および前記表示装置を操作するための信号を出力する操作部(40)とを備え、前記制御装置は、前記タッチセンサまたは前記操作部から前記測定信号の所定の信号部分を特定する信号が入力されると、前記記憶手段に記憶されている前記測定信号の所定の信号部分と、前記測定信号に対する解析処理の結果とを読み出し、前記表示装置に、前記記憶手段から読み出した前記測定信号の所定の信号部分と、前記測定信号に対する解析処理の結果とを表示するように構成されている。
【0008】
この構成により、本発明の請求項1に係る信号処理装置は、過去の任意の時間における測定信号について、過去の解析結果を読み出したり、再度解析を行ったり、解析条件を変更して新たな解析を行ったりすることを可能にする。
【0009】
本発明の請求項2に係る信号処理装置において、前記表示装置は、前記測定信号の波形を表示する波形表示部(210)と、前記測定信号の前記所定の信号部分の前記解析処理の結果を表示する解析処理結果表示部(220)とを備えることを特徴とする。
【0010】
この構成により、本発明の請求項2に係る信号処理装置は、表示装置に表示された測定信号の信号部分を選択することによって、所望の信号部分の解析処理結果を解析処理結果表示部に表示することを可能にする。
【0011】
本発明の請求項3に係る信号処理装置において、前記表示手段の前記第2の出力信号の波形を表示する波形表示部(210)には、タッチパネル(52)が設けられており、前記タッチセンサは、操作者のタッチ操作によって前記測定信号の前記所定の信号部分が選択されるように前記タッチセンサ(52a)が配置されていることを特徴とする。
【0012】
この構成により、本発明の請求項3に係る信号処理装置は、操作者のタッチ操作によって所定の信号部分を選択できるため、ユーザの直感的な操作を可能にする。
【0013】
本発明の請求項4に係る信号処理装置において、前記記憶手段は、RAM(32)または外部記憶装置(33)であることを特徴とする。
【0014】
この構成により、本発明の請求項4に係る信号処理装置は、多数の所定の信号部分およびそれらの解析結果を記憶させることを可能にする。
【0015】
本発明の請求項5に係る信号処理装置において、前記制御装置は、前記タッチセンサまたは前記操作部から前記測定信号の所定の信号部分を特定する信号が入力され、さらに、前記タッチセンサまたは前記操作部から前記解析処理と異なる解析処理の指示入力があると、前記記憶手段に記憶されている前記測定信号の所定の信号部分を読み出し、前記読み出した前記測定信号の所定の信号部分に対し前記指示入力された新たな解析処理を行い、前記表示装置に、前記記憶手段から読み出した前記測定信号の所定の信号部分と、前記測定信号に対する前記新たな解析処理の結果とを表示するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成により、本発明の請求項5に係る信号処理装置は、測定信号の所定の信号部分に対し、信号処理装置に入力したときとは異なる解析処理を行うことを可能にする。
【0017】
本発明の請求項6に係る信号処理方法は、検査対象物(DUT)からの測定信号(S)に対し所定の解析処理を行うステップ(S13)と、前記測定信号と前記制御装置による前記測定信号に対する解析処理の結果とを記憶するステップ(S12およびS14)と、前記測定信号と前記測定信号に対する解析処理の結果とを表示するステップ(S12およびS14)と、前記測定信号の所定の信号部分を特定する信号が入力されると、前記記憶されている前記測定信号の所定の信号部分と、前記測定信号に対する解析処理の結果とを読み出し、前記記憶手段から読み出した前記測定信号の所定の信号部分と、前記測定信号に対する解析処理の結果とを表示するステップ(S12およびS18)とを含む。
【0018】
この構成により、本発明の請求項6に係る信号処理方法は、過去の任意の時間における測定信号について、過去の解析結果を読み出したり、再度解析を行ったり、解析条件を変更して新たな解析を行ったりすることを可能にする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、過去の任意の時間における測定信号について、過去の解析結果を読み出したり、再度解析を行ったり、解析条件を変更して新たな解析を行ったりすることが可能な信号処理装置および信号処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る信号処理装置および信号処理方法について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
なお、図面の理解の容易さの観点から、図面において、信号波形は、実際の測定値に基づくものではなく、抽象化もしくは簡略化したもの、または観念的に表したものである。
【0023】
本発明の実施の形態に係る信号処理装置は、概略を説明すると、例えば、携帯電話装置や基地局などの検査対象物(Device Under Test;DUT)の設計時に作成されたテストパターンに基づいて検査対象物を測定した測定信号の解析処理を行うものである。
【0024】
本発明の実施の形態に係る信号処理装置は、例えば、測定信号に対し所定の処理ソフト(スペクトラムアナライズソフトウェア)を用いて所望の周波数スペクトラム波形となるグラフを生成し、さらに、この周波数スペクトラム波形のパターン認識処理を行って信号成分を分離させた後、信号成分の中心周波数、信号帯域幅、入力電力値などをパラメータとして、変調システム(通信方式)に応じて特定される解析ソフト(変調システム解析ソフトウェア)に基づいて解析処理を行い、これにより、測定信号の劣化の割合を示す変調精度、キャリア周波数、送信電力や規格値とのマッチングの程度などを判別することができるものである。
【0025】
詳細に説明すると、
図1に、本発明の実施の形態にかかる信号処理装置100の概略の構成を示す。信号処理装置100は、信号解析部10と表示装置50とを備える。
【0026】
信号解析部10は、DUT20からの測定信号Sを制御装置30での解析処理に適した測定信号Sに処理する信号処理部10aと、信号処理部10aで処理された測定信号Sの解析処理を行ったりするための制御装置30とを備える。
【0027】
ここで、DUT20は、検査対象物で、例えば、LTE、LTE−Advanced、WCDMA(登録商標)、cdma2000、PDC、PHS、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n、IEEE802.11acの通信規格を採用する携帯電話装置や基地局などである。
【0028】
信号処理部10aは、ATT(アッテネータ;減衰器)11と、周波数混合器(MIX)12と、所定の範囲の周波数のみを通過させる(言い換えると、所定の範囲外の周波数は減衰させる)バンドパスフィルタ回路(band-pass filter circuit)13と、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)14と、局部発振器(local oscillator;LO)15とを備える。
【0029】
ATT11は、内部に抵抗を有し、高周波の被測定信号としての測定信号Sを制御装置30における信号分析可能で測定に影響を与えない最適なミキサ入力レベル(例えば、デシベル)に減衰させるためのもので、インピーダンスを変化させない電子部品である。
【0030】
局部発振器15は、ローカル信号として、元の測定信号Sの周波数の値から、変換先の周波数の値の分だけ高い周波数あるいは低い周波数の正弦波を発生させるものである。局部発振器15から発振されるローカル信号は、測定する周波数によって変わる。
【0031】
周波数混合器12は、ATT11で減衰された測定信号Sと局部発振器15から発振されたローカル信号とを混合し、2つの信号の和および差の周波数成分を含む出力信号を生成するものである。
【0032】
ADC14は、バンドパスフィルタ13を通過した信号をデジタルデータに変換し、その変換された測定信号Sを、表示装置50に例えば周波数スペクトラム波形のグラフ表示を制御するための制御装置30に入力する。
【0033】
制御装置30は、解析処理部30a、測定信号記憶処理部30b、表示制御部30c等の各種の機能ブロックを備える。解析処理部30aは、例えば、スペクトラムアナライズソフトウエアに基づいて高速フーリエ変換処理を行うFFT解析部35を備える。
【0034】
制御装置30には、格納手段としてのROM(リード・オンリ・メモリ)31、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)32および操作部40が接続されている。
【0035】
ROM31は、測定信号Sに対し所定の解析処理を実行するための各種の解析ソフトを格納する。例えば、解析ソフトには、スペクトラムアナライズソフトウエア、測定信号Sの劣化の割合を示す変調精度、キャリア周波数、送信電力を測定するための変調解析ソフトウエアや、スペクトログラム(Spectrogram)、累積確率分布(CCDF: Complementary Cumulative. Distribution Function)、周波数対時間、電力対時間、位相対時間などの解析処理等をするためのソフトウエアが含まれている。
【0036】
RAM32は、制御装置30の制御動作のための作業エリアとして使用され、また、例えば一時的記憶手段としても使用される。例えば、記憶手段として、RAM32に、測定信号Sと測定信号Sの解析結果とを記憶してもよい。
【0037】
スペクトラムアナライズソフトは、信号処理部10aの各構成要素(11〜15)およびFFT解析部35を動作させることによって、表示画面に、DUT20からの測定信号Sを周波数と入力電力値(振幅レベル)とのスペクトラムとして、グラフにより表示させるようにするためのアプリケーションである。
【0038】
上記のとおり、解析ソフト(群)は、信号処理部10aの各構成要素(11〜15)および解析処理部30aを動作させることによって、測定信号Sのスペクトラムに対して所定の解析処理を施すためのアプリケーションである。解析ソフト(群)は、測定信号Sのスペクトラムから選択された信号成分の少なくとも中心周波数、信号帯域幅および中心周波数と信号帯域幅から特定される検査対象物の通信方式(変調システム)ごとに複数用意されている。
【0039】
操作部40は、例えば、信号処理装置10および表示装置50を操作するためのもので、電源の投入時、測定・解析処理の開始時、解析結果の表示時などに、ユーザによって操作されるものである。操作部40は、例えば、後述する表示装置50の表示パネル51の信号表示部51aに表示された信号の一部を特定して選択するためにも用いることができる。
【0040】
また、制御装置30には表示装置50が接続されている。表示装置50は、表示パネル51とタッチパネル52とを備えている。表示パネル51は、例えば、制御装置30からの信号を表示する信号表示部51aと、所定の画像を表示する画像表示部51bとを備えている。
【0041】
タッチパネル52は、信号表示部51aおよび画像表示部51bに設けられており、また、信号処理装置10の操作者によるタッチ操作等の接触操作による信号入力を検知するタッチセンサ52aを備えている。
【0042】
本実施の形態において、表示装置50は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)やELディスプレイ(Electroluminescence Display)などの、フラットパネル・ディスプレイを用いて構成されている。
【0043】
また、タッチパネル52は、例えば、人体の一部(指先など)や静電ペンなどの接触を検知する静電容量方式のものであり、その検知信号は制御装置30に出力される。また、静電容量方式に代えて、ペン先などの堅い物質の接触を検知して、その検知信号を制御装置30に出力する方式のものや、その他の方式(例えば、LCDパネル内にタッチパネルを内蔵するイン・セル型やオン・セル型の構造)のものを用いてもよい。
【0044】
表示装置50において、表示パネル51の信号表示部51aには、制御装置30からの映像信号を入力することによって、スペクトラムアナライズソフトウェアによる所定のアナライズ処理の結果として、測定信号Sの周波数軸上の強度を周波数ドメイン(横軸を周波数、縦軸を振幅レベル)とする、周波数スペクトラム波形のグラフを表示することができる。
【0045】
さらに、信号表示部51aには、測定の一過程として選択された信号成分に対する解析処理のための各処理パラメータ(少なくとも、中心周波数、信号帯域幅および入力電力値)や、後述する変調システム解析ソフトウェア(以下、単に「解析ソフト」と称す)の変調システムをリストとして表示することができる。
【0046】
解析処理の対象として選択された信号成分を解析するための解析ソフトにおいて、複数の解析ソフトが変調システム(通信方式)の異なる候補として選出される場合、変調システムは、変調システムとしての可能性の高いものから順に表示することができる。これによると、変調システムに適した解析ソフトによる解析処理を即座に実施することが可能になる。
【0047】
さらに、信号表示部51aに、測定の一過程または最終過程として、解析処理の対象である信号成分の変調システムに対応する解析ソフトによって、例えば自動的に所定の解析処理が行われた際の解析結果220を表示することができる(例えば、
図2から
図6参照)。
【0048】
このように、測定信号Sに対する解析処理を行うための解析ソフトの変調システムを、選択された信号成分に応じて自動的にリストアップすることができるので、選択された信号成分の変調システムに対応する解析ソフトをより確実に選択できるようになる。
【0049】
したがって、ユーザの経験値などによらず、常に測定信号Sの変調システムに適した解析ソフトによる解析処理を実現することが可能となる。
【0050】
また、表示パネル51の画像表示部51bには、例えば、機能を選択するためのスイッチ類を表すアイコンや設定値などを入力するためのキーボードが表示される。
【0051】
タッチパネル52は、信号表示部51aに表示されるグラフや波形や画像表示部51bに表示されるアイコンやキーボードなどに対応する位置情報を検知信号として制御装置30に出力する。
【0052】
なお、タッチパネル52から出力される位置情報は、タッチパネル52に設けられるタッチセンサ52aが、例えばマトリックス状に配設されたものであれば、タッチ操作位置の行方向の番地と列方向の番地との組み合わせからなる数ビットのデジタルデータになる。
【0053】
本実施の形態においては、後述の通り、例えば、表示パネル51上の信号表示部51aの波形表示部210の所定の位置をタップすることによって、解析処理の対象となる信号部分が表されている例えば区間211の選択を行うことができる(例えば、
図2参照)。これにより、解析処理の対象としたい信号部分の選択を表示画面上でのタップ操作によって行うことができる。
【0054】
このような表示装置50における信号表示部51aおよび画像表示部51bの表示や、タッチパネル52におけるタッチセンサ52aの作動は、制御装置30における表示制御部30cによって実行される。
【0055】
図2は、変調システム解析ソフトウエアにより測定信号Sを解析処理した結果を信号表示部51aに表示した表示画面の一例を示す。表示画面200は、ADC14から制御装置30に、所定の処理がされた測定信号Sが入力されると、その測定信号Sの波形を時間の経過に応じて表示する波形表示部210と、測定信号Sが制御装置30に入力されて変調システム解析ソフトウエアによって解析処理された結果を示す解析処理結果表示部220とを含む。
【0056】
解析処理結果表示部220は、測定信号Sの所定の信号部分の解析結果に関して、位相と振幅とを極座標においてI/Q平面上に個々の点として表すグラフ表示部221と、エラーベクトル振幅(EVM)表示部222とを含む。また、この解析結果は、測定信号Sの所定の信号部分に対応させて、RAM32または外部記憶装置33に記憶させる。
【0057】
波形表示部210は、DUT20から信号処理部10aに入力されて測定信号Sの所定の処理が行われた測定信号Sを信号波形210fとして示す。信号波形210fは、解析処理を行った所定時間ごとの信号部分を区間ごとに波形表示部210上で区切られて表示されている。
【0058】
図2に向かって、信号波形210fは、波形表示部210上に、時間の経過とともに区間に区切られた状態で、右端から左端に向かって進行するように表示される。このため、
図2に向かって、右端の第1の区間211が最新の測定信号Sの信号部分を表し、その左側の第2の区間212が、過去に入力された測定信号Sの信号部分を表し、そのさらに左側の第3の区間213が、さらに過去に入力された測定信号Sの信号部分を表し、右端の第4の区間214が、第3の区間より過去に入力された測定信号Sの信号部分を表す。
【0059】
信号波形210fは、波形表示部210に表示されるとともに、区間ごとに、RAM32または外部記憶装置33に記憶される。
【0060】
波形表示部210上には、タッチパネル52が設けられていて、タッチセンサ52aが区間211〜214ごとを選択できるように配置されている。このため、例えば、区間211がタップされると、
図2に示すように、区間211のフレームが強調され、その区間内の信号部分に関するデータがRAM32または外部記憶装置33から読み出される。
【0061】
また、
図3に示すように、波形表示部210の上を左から右にスワイプすると、信号波形210fの全体を右方向に移動させることができ、これにより、過去の測定信号Sの部分を示す例えば区間215を波形表示部210に表示させることができる。
【0062】
なお、スワイプに代えて、制御装置30に接続されている操作部40のキーボードを用いて、
図3に示すように、人差し指の形をしたカーソル40aで信号波形210fをドラッグしたり、測定日時を入力したりすることによって所望の信号部分が波形表示部210に表示されるようにしてもよい。
【0063】
図2に示すように、区間211がタップされてそのフレームが強調されると、解析処理結果表示部220には、区間211に示されている測定信号Sの解析処理の結果が示される。例えば、
図2に示すように、測定信号Sの解析処理の結果として、Frequency Error(周波数誤差)2.45Hz、0.002ppm、Output Power(出力電力)−8.91dBm、Total EVM(rms) 20.29%、Total EVM(peak) 94.89%と、サブキャリアに対するEVM(ベクトル誤差)を表す波形が表示される。
【0064】
通常は、区間211のように右端の位置の区間のフレームが強調されて、解析処理結果表示部220には、その区間に示されている最新の測定信号Sの部分の解析処理された結果が表示される。
【0065】
このように、最新の測定信号Sが、時間の経過とともに、順次、波形表示部210の右端にある区間に表示される。
【0066】
制御装置30の測定信号記憶処理部30bは、最新の測定信号Sが、このように表示されると、順次、この最新の測定信号Sの部分自体のデータを記憶手段のRAM32または外部記憶装置33に記憶させる。
【0067】
また、測定信号記憶処理部30bは、この測定信号Sの部分の記憶とともに、この測定信号Sの部分の解析処理結果も区間に関連付けて記憶手段に記憶させる。
【0068】
なお、多数の区間211等に表示された測定信号Sの多数の部分を記憶させたい場合、または、RAM32を主として制御装置30の作業領域として用いる場合等には、記憶手段として、制御装置30に接続されている外部記憶装置33を用いるようにしてもよい。
【0069】
これにより、例えば、
図4において、区間214の測定信号Sの部分の解析処理の結果は、その区間が波形表示部210の右端にある時に既に求めているため、区間214をタップしてそのフレームを強調すると、解析処理結果表示部220には、区間214の測定信号Sの部分の解析処理の結果が即時に表示される。
【0070】
図5は、変調システム解析ソフトウエアにより測定信号Sを解析処理した結果を信号表示部51aに表示した表示画面の他の一例を示す。
図5では、波形表示部210に表示されている3つの区間211、212、213を同時にまたは既定の短時間内に連続してタップすることにより、3つの区間の全てのフレームを強調した状態を示す。
【0071】
この場合には、変調システム解析ソフトウエアにより、選択した区間211、212、213に関して、平均値(Average)、最大値(Max)、最小値(図示せず)を算出して表示することができる。
【0072】
また、選択した区間211、212、213の信号部分に関するグラフを重ね合わせて表示することができる。例えば、Graphに示すI/Q座標のグラフにおいて、シンボルタイミング時におけるI/Q平面上のステートのマッピングのコンスタレーションダイアグラムが点の集まり、ステート周辺でドットが拡散することがある。このように、時間経過による測定値の変化が認識しやすくなる。
【0073】
また、重ね合わせる複数の区間を選択する際に、ノイズ等の特異点を含む測定信号Sの部分を含む区間を除くことも容易に行うことができるため、解析の精度を高めることができる。
【0074】
図6は、変調システム解析ソフトウエアにより測定信号Sを解析処理した結果を信号表示部51aに表示した表示画面のさらに他の一例を示す。
図6では、波形表示部210に表示されている4つの区間211、212、213、214において、信号波形210fの上方に、それぞれの区間の解析処理結果を重ねて表示している。ここでは、各区間において、破線で示す信号がFrequency Errorを表し、実線で示す信号がTotal EVMを表している。これにより、過去の測定信号の解析結果を参照する際に目的の測定信号の部分のある区間を容易に探し出すことができるようになる。
【0075】
図7は、本実施の形態に係る信号処理装置100の制御装置30で実行される信号解析処理の一例を示すフローチャートである。
【0076】
制御装置30は、操作者の操作部40等からの入力があると、操作者の指示した解析処理に適した解析ソフトをROM31から読み出す(S11)。
【0077】
次に、制御装置30は、検査対象物20からの測定信号を表示装置50の信号表示部51aに表示し(S12)、それとともに、その測定信号をRAM32または外部記憶装置33に記憶する(S12)。
【0078】
制御装置30は、測定信号の保存および表示(S12)の処理とともに、その測定信号に対し解析ソフトによって所定の解析処理を行う(S13)。解析処理の結果がでると、制御装置30は、その結果を表示装置50の信号表示部51aに表示するとともに(S14)、RAM32または外部記憶装置33に記憶する(S14)。
【0079】
次に、制御装置30は、操作者が、信号表示部51aの波形表示部210のいずれかの区間のタッチセンサに触れたか否かを判別し(S15)、操作者が、例えば、
図4に示すように、波形表示部210の区間214のタッチセンサに触れると、続いて、解析ソフトが変更されたか否か判別する(S16)。これは、選択した区間の信号に対し、操作者が異なる信号解析処理を希望する場合があるからである。
【0080】
制御装置30は、区間が選択されていないと判断したときには、区間が選択されたか否かの判断を繰り返す(S15)。
【0081】
次に、制御装置30は、選択された区間の信号部分に対する解析ソフトが変更されたか否かを判別する(S16)。
【0082】
制御装置30が、解析ソフトが変更されたと判別したときには、解析ソフトをROM31から読み出して選択された区間の信号部分に対し解析処理を行う(S17)。
【0083】
制御装置30が、解析ソフトは変更されていないと判別したときには、その時点での解析ソフトによって選択された区間の信号部分に対し解析処理を行う(S17)。
【0084】
続いて、その解析処理を行った結果を表示装置50の信号表示部51aに表示する(S18)。
【0085】
この後、制御装置30は、操作者から信号解析処理の要求の入力があると、この信号解析処理を繰り返す。
【0086】
本実施の形態における信号処理装置100は、表示装置50の表示パネル51において、信号表示部51aに対応するようにして設けられた、タッチ操作に伴う位置情報を出力するタッチセンサ52aを有するタッチパネル52を備えているので、区間211他の選択等をタッチ操作によって行えるので、ユーザの直感的な操作が可能となる。
【0087】
また、上記した本実施の形態では、本発明に係る信号処理装置をスペクトラムアナライザなどの信号処理装置100に適用した場合を例に説明したが、これに限らず、例えばスペクトラムアナライザ以外の汎用測定器にも同様に適用可能である。
【0088】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
【0089】
以上により、本発明によると、過去の任意の時間における測定信号について、過去の解析結果を読み出したり、再度解析を行ったり、解析条件を変更して新たな解析を行ったりすることが可能な信号処理装置および信号処理方法を提供することができる。