(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-99217(P2015-99217A)
(43)【公開日】2015年5月28日
(54)【発明の名称】インナーフレーム付き眼鏡フロント枠
(51)【国際特許分類】
G02C 1/06 20060101AFI20150501BHJP
G02C 5/12 20060101ALI20150501BHJP
G02C 11/00 20060101ALN20150501BHJP
【FI】
G02C1/06
G02C5/12
G02C11/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-238337(P2013-238337)
(22)【出願日】2013年11月18日
(11)【特許番号】特許第5690907号(P5690907)
(45)【特許公報発行日】2015年3月25日
(71)【出願人】
【識別番号】397038565
【氏名又は名称】株式会社エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100076484
【弁理士】
【氏名又は名称】戸川 公二
(72)【発明者】
【氏名】山出 重克
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AA03
2H006AB00
2H006CA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】花粉や埃等の侵入を防いで目を保護することができるだけでなく、花粉や埃が少ない季節や場所でも外観的な違和感なく使用することができ、しかも、衝撃等によるインナーフレームの外れも生じ難いインナーフレーム付き眼鏡フロント枠を提供する。
【解決手段】隆起サドル型の鼻当部14を備えたフロント枠1と;フード部23が形成されたエラストマー製のインナーフレーム2とを含んで構成すると共に、フロント枠1のブリッジ12の後面と、これに対向するインナーフレーム2のブリッジの前面に互いに嵌合可能な凹凸部を設け、更にインナーフレーム2の両サイド位置に、フロント枠1のリム11または曲げ智13に着脱可能な止着部Fを設ける一方、フロント枠1の鼻当部14の基部に嵌装溝を設けて、嵌装溝にインナーフレーム2の左右リムを挿入可能とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ(L)(L)が左右対称に並立して装着される左右リム(11)(11)、これら左右リム(11)(11)を繋ぐブリッジ(12)、これら左右リム(11)(11)の左右両端に形成された曲げ智(13)(13)、及び前記左右リム(11)(11)のブリッジ12寄りの接眼側に対称に形成された隆起サドル型の鼻当部(14)(14)を備えたフロント枠(1)と;このフロント枠(1)の形状に対応した左右リム(21)(21)及びブリッジ(22)を備え、かつ、少なくとも上縁部および両サイドにフード部(23)が形成されたエラストマー製のインナーフレーム(2)とを含んで成り、
更に前記フロント枠(1)のブリッジ(12)の後面と、これに対向するインナーフレーム(2)のブリッジ(22)の前面に互いに嵌合可能な凹凸部が設けられると共に、前記インナーフレーム(2)の両サイド位置に、フロント枠(1)のリム(11)(11)または曲げ智(13)(13)に着脱可能な止着部(F)が設けられる一方、
前記フロント枠(1)の鼻当部(14)(14)の基部に、前記インナーフレーム(2)の左右リム(21)(21)に対応した形状の嵌装溝(14a)(14a)がそれぞれ設けられて、当該嵌装溝(14a)(14a)にインナーフレーム(2)の左右リム(21)(21)が挿入可能となっていることを特徴とするインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【請求項2】
インナーフレーム(2)の左右リム(21)(21)のブリッジ近傍に、局部的に幅が細くなった細枠部(21a)(21a)が形成されて、この細枠部(21a)がフロント枠(1)の鼻当部(14)の嵌装溝(14a)に挿入可能となっていることを特徴とする請求項1記載のインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【請求項3】
インナーフレーム(2)のフード部(23)の両サイド位置に、止着部(F)として係止突起(23a)(23a)が設けられると共に、フロント枠(1)の曲げ智(13)に貫通孔(13a)(13a)が配設されて、当該貫通孔(13a)(13a)に前記係止突起(23a)(23a)を挿入することにより、インナーフレーム(2)のフード部(23)がフロント枠(1)の曲げ智(13)(13)に固定可能となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【請求項4】
インナーフレーム(2)のフード部(23)の両サイド位置に、止着部(F)として上下のフック片から成る掴持部(23b)(23b)が設けられて、当該掴持部(23b)(23b)がフロント枠(1)の曲げ智(13)(13)に装着されることによって、インナーフレーム(2)のフード部(23)がフロント枠(1)の曲げ智(13)(13)に固定可能となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のことを特徴とするインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【請求項5】
レンズ(L)(L)が左右対称に並立して装着される左右リム(11)(11)、これら左右リム(11)(11)を繋ぐブリッジ(12)、これら左右リム(11)(11)の左右両端に形成された曲げ智(13)(13)、及び前記左右リム(11)(11)またはブリッジ(12)の接眼側に設けられたパッド足(14b)(14b)を有する鼻当部(14)(14)を備えたフロント枠(1)と;このフロント枠(1)の形状に対応した左右リム(21)(21)及びブリッジ(22)を備え、かつ、少なくとも上縁部および両サイドにフード部(23)が形成されたエラストマー製のインナーフレーム(2)とを含んで成り、
更にインナーフレーム(2)の両サイド位置にフロント枠(1)のリム(11)(11)または曲げ智(13)(13)に着脱可能な止着部(F)が設けられる一方、
前記フロント枠(1)の鼻当部(14)のパッド足(14b)に、フロント枠(1)の後面から真後方向に延び、更に端部が斜め下方に屈曲した持出し部(B)が設けられると共に、インナーフレーム(2)のブリッジ(22)下面に一対の圧入溝(22b)(22b)が設けられて、当該インナーフレーム(2)の圧入溝(22b)(22b)に、前記フロント枠(1)の鼻当部(14)(14)の持出し部(B)(B)が差し込み可能となっていることを特徴とするインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【請求項6】
インナーフレーム(2)の両サイド位置にあたるリム(21)(21)に、止着部(F)として嵌挿穴(21b)(21b)が設けられると共に、フロント枠(1)の左右リム(11)(11)の後面に突起部(11a)(11a)が配設されて、当該突起部(11a)(11a)を前記嵌挿穴(21b)(21b)に挿入することによって、インナーフレーム(2)がフロント枠(1)に固定可能となっていることを特徴とする請求項5記載のインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インナーフレームを備えた眼鏡フロント枠の改良、詳しくは、レンズと目の隙間に花粉や埃等が侵入し難いだけでなく、眼鏡を装着した状態で物が顔面にぶつかっても装着者が怪我をする心配もなく、またインナーフレームを外した状態でも問題なく使用することができ、しかも、衝撃等によるインナーフレームの外れも生じ難いインナーフレーム付き眼鏡フロント枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、通常の眼鏡は、装着した状態でフロント枠と顔面の間に大きな隙間が生じるため、この隙間から花粉や埃等が侵入して目の粘膜に付着し、目が開け難くなる。また、装着者が花粉や埃等のアレルギーを持っていると、目の粘膜に付着した花粉や埃等によって目のかゆみや充血が引き起こされて非常に不快な状態となる。
【0003】
そこで、従来、フロント枠と顔面の隙間を塞ぐフード付きの保護眼鏡も開発されたが、フロント枠とフードが一体に成形された従来の保護眼鏡は、花粉や埃等から目を保護する機能には問題がないものの、フレームデザインが通常の眼鏡よりも野暮ったくなりがちであったため、花粉や埃等が少ない季節や場所であまり使用されなかった。
【0004】
また、上記従来の保護眼鏡は、フード部がフロント枠と同じ硬質のプラスチック材料で形成されていたため、眼鏡を装着した状態で顔面に物がぶつかると、フード部が上まぶたや眉、額等に食い込んで怪我をすることもあった。そのため、従来の保護眼鏡は、外観面および安全面において改良の余地があった。
【0005】
そこで、従来においては、フロント枠とフード部を脱着自在の構造とした保護眼鏡も公知となっている(特許文献1〜4参照)。しかし、文献1及び2に係る技術では、フード部を備えたインナーフレーム側に鼻当部を設けていたため、インナーフレームをフロント枠から外した際に、わざわざサドルパッドをフロント枠に取り付ける必要があった。
【0006】
一方、上記文献3及び4に係る技術では、フロント枠側に鼻当部を設けているものの、これらの技術は、フロント枠とインナーフレームの固定手段が、各々の前後面に設けた凹凸部や磁着手段しかなかったため、衝撃等によりインナーフレームを後方に引っ張る負荷が生じた際に、インナーフレームが簡単にフロント枠から外れてしまう欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3152412号公報
【特許文献2】実用新案登録第3179031号公報
【特許文献3】特開2005−292750号公報
【特許文献4】特開2007−163625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、花粉や埃等の侵入を防いで目を保護することができるだけでなく、眼鏡を装着した状態で物が顔面にぶつかっても装着者が怪我をする心配もなく、また花粉や埃等が少ない季節や場所でも外観的な違和感なく使用することができ、しかも、衝撃等によるインナーフレームの外れも生じ難いインナーフレーム付き眼鏡フロント枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段は次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、レンズL・Lが左右対称に並立して装着される左右リム11・11、これら左右リム11・11を繋ぐブリッジ12、これら左右リム11・11の左右両端に形成された曲げ智13・13、及び前記左右リム11・11のブリッジ12寄りの接眼側に対称に形成された隆起サドル型の鼻当部14・14を備えたフロント枠1と;このフロント枠1の形状に対応した左右リム21・21及びブリッジ22を備え、かつ、少なくとも上縁部および両サイドにフード部23が形成されたエラストマー製のインナーフレーム2とを含んでインナーフレーム付きの眼鏡フロント枠を構成すると共に、
前記フロント枠1のブリッジ12の後面と、これに対向するインナーフレーム2のブリッジ22の前面に互いに嵌合可能な凹凸部を設け、更に前記インナーフレーム2の両サイド位置に、フロント枠1のリム11・11または曲げ智13・13に着脱可能な止着部Fを設ける一方、
前記フロント枠1の鼻当部14・14の基部に、前記インナーフレーム2の左右リム21・21に対応した形状の嵌装溝14a・14aがそれぞれ設けて、当該嵌装溝14a・14aにインナーフレーム2の左右リム21・21を挿入可能とした点に特徴がある。
【0011】
また、上記インナーフレーム2については、左右リム21・21のブリッジ近傍に、局部的に幅が細くなった細枠部21a・21aを形成して、この細枠部21aをフロント枠1の鼻当部14の嵌装溝14aに挿入可能とすることにより、フロント枠1の鼻当部14に設ける嵌挿溝14aの深さを小さく抑えることができる。
【0012】
また更に、上記インナーフレーム2とフロント枠1の固定手段に関しては、インナーフレーム2のフード部23の両サイド位置に、止着部Fとして係止突起23a・23aを設けると共に、フロント枠1の曲げ智13に貫通孔13a・13aを配設して、当該貫通孔13a・13aに前記係止突起23a・23aを挿入することにより、インナーフレーム2のフード部23をフロント枠1の曲げ智13・13に容易に固定することができる。
【0013】
一方、上記インナーフレーム2とフロント枠1の固定手段については、インナーフレーム2のフード部23の両サイド位置に、止着部Fとして上下のフック片から成る掴持部23b・23bを設けて、当該掴持部23b・23bをフロント枠1の曲げ智13・13に装着することによって、インナーフレーム2のフード部23をフロント枠1の曲げ智13・13に容易に固定できるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明のインナーフレーム付き眼鏡フロント枠の構成としては、上記構成だけでなく、レンズL・Lが左右対称に並立して装着される左右リム11・11、これら左右リム11・11を繋ぐブリッジ12、これら左右リム11・11の左右両端に形成された曲げ智13・13、及び前記左右リム11・11またはブリッジ12の接眼側に設けられたパッド足14b・14bを有する鼻当部14・14を備えたフロント枠1と;このフロント枠1の形状に対応した左右リム21・21及びブリッジ22を備え、かつ、少なくとも上縁部および両サイドにフード部23が形成されたエラストマー製のインナーフレーム2とを含む構成を採用し、
更にインナーフレーム2の両サイド位置にフロント枠1のリム11・11または曲げ智13・13に着脱可能な止着部Fを設ける一方、
前記フロント枠1の鼻当部14のパッド足14bに、フロント枠1の後面から真後方向に延び、更に端部が斜め下方に屈曲した持出し部Bを設けると共に、インナーフレーム2のブリッジ22下面に一対の圧入溝22b・22bを設けて、当該インナーフレーム2の圧入溝22b・22bに、前記フロント枠1の鼻当部14・14の持出し部B・Bを差し込みできるように構成することもできる。
【0015】
また、上記インナーフレーム2とフロント枠1の固定手段に関しては、インナーフレーム2の両サイド位置にあたるリム21・21に、止着部Fとして嵌挿穴21b・21bを設けると共に、フロント枠1の左右リム11・11の後面に突起部11a・11aを配設して、当該突起部11a・11aを前記嵌挿穴21b・21bに挿入することによって、インナーフレーム2をフロント枠1に容易に固定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、眼鏡のフロント枠にフード部を備えたインナーフレームを取り付けて構成したことによって、インナーフレームが取り付けた状態で眼鏡を装着すれば、空気中を漂う花粉や埃等をフード部で遮蔽して、フロント枠と顔面の隙間に花粉等が入り込む現象を防止することができるため、眼鏡装着者(特に花粉等にアレルギーを持つ使用者)の目を花粉等から保護することが可能となる。
【0017】
また、本発明では、上記インナーフレームを脱着自在に構成しているため、インナーフレームをフロント枠から取り外せば、通常の眼鏡と同様の形態に変更でき、これによって花粉や埃等が少ない季節や場所でも、外観的な違和感なく眼鏡を装着できる。また、本発明では、フロント枠側に鼻当部を設けているため、インナーフレームを取り外した際、フロント枠にサドルパッド等を装着する必要もない
【0018】
そしてまた、本発明では、上記インナーフレームを柔軟なエラストマー材料から作製しているため、眼鏡を装着した状態で顔面に物がぶつかって、インナーフレームが装着者の上まぶたや眉、額等に強く押し付けられた場合でも装着者が怪我をする心配はない。また、インナーフレームがフロント枠の内側で緩衝材の役割を果たすため、フロント枠によって装着者が怪我をする心配も少ない。
【0019】
また更に、本発明では、上記インナーフレームとフロント枠の固定手段として、フロント枠の鼻当部に設けた嵌挿溝にインナーフレームのリムを挿入する構造や、フロント枠の鼻当部のパッド足を、インナーフレームのブリッジ下面に設けた圧入溝に挿入する構造を採用しているため、インナーフレームを後方に引っ張る負荷がかかった場合でも、インナーフレームがフロント枠から簡単に外れることもない。
【0020】
したがって、本発明により、従来の保護眼鏡の機能を損なうことなく、安全面や外観面の問題を解消することができ、しかも、衝撃や振動等によるインナーフレームの外れの問題も防止できる機能性に優れたインナーフレーム付き眼鏡フロント枠を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1におけるインナーフレーム付き眼鏡フロント枠を表わす全体上面図および全体正面図である。
【
図2】本発明の実施例1におけるインナーフレーム付き眼鏡フロント枠を表わす全体側面図およびフロント枠のみの拡大側面図である。
【
図3】本発明の実施例1におけるインナーフレームを表わす全体正面図である。
【
図4】本発明の実施例1におけるインナーフレームとフロント枠の固定手段を表わす分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施例2におけるインナーフレーム付き眼鏡フロント枠を表わす全体上面図および全体正面図である。
【
図6】本発明の実施例2におけるインナーフレーム付き眼鏡フロント枠を表わす全体側面図およびフロント枠のみの拡大側面図である。
【
図7】本発明の実施例2におけるインナーフレームを表わす全体正面図である。
【
図8】本発明の実施例3におけるインナーフレーム付き眼鏡フロント枠を表わす全体上面図および全体正面図である。
【
図9】本発明の実施例3におけるインナーフレームを表わす全体正面図である。
【
図10】本発明の実施例3におけるインナーフレームとフロント枠の固定手段を表わす分解斜視図および分解上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
『実施例1』
本発明の実施例1について、
図1〜
図4に基いて以下に説明する。なお同図において、符号1で指示するものは、フロント枠であり、符号2で指示するものは、インナーフレームである。また、符号Gで指示するものは、保護眼鏡であり、符号Lで指示するものは、レンズである。また、符号Tで指示するものは、テンプルである。
【0023】
まず実施例1では、保護眼鏡Gのフロント枠1にプラスチックフレームを採用すると共に、フロント枠1を、レンズL・Lを左右対称に並立して装着した左右リム11・11、これら左右リム11・11を繋ぐブリッジ12、これら左右リム11・11の左右両端に形成されてテンプルT・Tがヒンジ連結された曲げ智13・13、及び左右リム11・11のブリッジ12寄りの接眼側に形成された隆起サドル型の鼻当部14・14を備えた形状で作製している(
図1、
図2参照)。
【0024】
また、上記フロント枠1に装着するインナーフレーム2は、
図3に示すように、フロント枠1の形状に対応した左右リム21・21及びブリッジ22を備えた形状で、かつ、上縁部および両サイドに沿って内側に張り出したフード部23を備えた形状としている。また、上記インナーフレーム2は、弾力性に優れたエラストマー材料から作製している。
【0025】
一方、上記フロント枠1のブリッジ12の後面と、これに対向するインナーフレーム2のブリッジ22前面には、
図4に示すように、互いに嵌め合わせ可能な凹凸部を設けている。ちなみに、本実施例では、フロント枠1のブリッジ12後面に凹部12aを形成し、インナーフレーム2のブリッジ22の前面に凸部22aを形成しているが、凹凸形状を反対にすることもできる。
【0026】
また、本実施例では、上記インナーフレーム2とフロント枠1の固定手段として、インナーフレーム2のフード部23の両サイド位置に、止着部Fとして係止突起23a・23aを設けている。そして、この係止突起23a・23aを、フロント枠1の曲げ智13に配設した貫通孔13a・13aに挿入することによって、インナーフレーム2のフード部23をフロント枠1の曲げ智13・13に固定している。
【0027】
また更に、本実施例においては、上記フロント枠1の鼻当部14の基部に嵌装溝14aを形成して、この嵌装溝14aに、インナーフレーム2のブリッジ22近傍のリム21を挿入できるようにしている。これにより、インナーフレーム2が後方に引っ張られたとしても、フロント枠1の鼻当部14の嵌装溝14aに挿入されたインナーフレーム2のリム21がズレ止めの役割を果たすため、インナーフレーム2の外れを防止できる。
【0028】
なお、本実施例では、上記フロント枠1の鼻当部14に設ける嵌挿溝14aの深さを小さく抑えられるように、インナーフレーム2の左右リム21・21のブリッジ近傍に、局部的に幅が細くなった細枠部21a・21aを形成して、この細枠部21aをフロント枠1の鼻当部14の嵌装溝14aに挿入できるようにしている。
【0029】
また、本実施例では、上記フロント枠1の鼻当部14の嵌装溝14aを、鼻当部14の裏面(レンズL側の面)に設けて、装着したインナーフレーム2のリム21・21が鼻当部14・14の外側を通るように設計しているが、嵌装溝14aを鼻当部14の内側面(保護眼鏡Gを装着した際に装着者の鼻が当接する面)に設けて、装着したインナーフレーム2のリム21・21が鼻当部14・14の内側を通るように設計することもできる。
【0030】
『実施例2』
次に、本発明の実施例2について、
図5〜
図7に基いて以下に説明する。この実施例2では、インナーフレーム2とフロント枠1の固定手段として、インナーフレーム2のフード部23の両サイド位置に、止着部Fとして上下のフック片から成る掴持部23b・23bを形成している。そして、このインナーフレーム2の掴持部23b・23bをフロント枠1の曲げ智13・13に装着して、インナーフレーム2をフロント枠1に固定している。
【0031】
また更に、本実施例では、上記フロント枠1の曲げ智13・13の外側面に掛止凹部13b・13bを形成して、この掛止凹部13b・13bにフック片を嵌め込んだ状態でインナーフレーム2の掴持部23b・23bを装着している。これにより、保護眼鏡Gの外観が向上するだけでなく、インナーフレーム2の前後方向のズレ止め効果も得られる。また、その他の構成に関しては、実施例1と同様である。
【0032】
『実施例3』
次に、本発明の実施例3について、
図8〜
図10に基いて以下に説明する。この実施例3では、フロント枠1のブリッジ12に、パッド足14a・14aを有する鼻当部14・14を設けると共に、この鼻当部14のパッド足14aに、フロント枠1の後面から真後方向に延び、更に端部が斜め下方に屈曲した持出し部Bを設けている(
図8参照)。
【0033】
一方、インナーフレーム2のブリッジ22下面の左右両側には、
図9に示すように一対の圧入溝22b・22bを設けている。そして、
図10(a)に示すように、このインナーフレーム2の圧入溝22b・22bに、フロント枠1の鼻当部14・14の持出し部B・Bを差し込んでインナーフレーム2とフロント枠1を脱着自在に固定している。
【0034】
これにより、インナーフレーム2が後方に引っ張られた場合でも、フロント枠1の鼻当部14のパッド足14aが、インナーフレーム2に引っ掛かって抜止めの役割を果たすため、インナーフレーム2の外れを防止することができる。なお本実施例では、鼻当部14のパッド足14aの端部をブリッジ12に固定しているが、リム11・11に固定することもできる。
【0035】
また、本実施例では、上記インナーフレーム2とフロント枠1の固定手段として、
図10(b)に示すように、フロント枠1の左右リム11・11の後面に突起部11a・11aを配設すると共に、インナーフレーム2の両サイド位置にあたるリム21・21に、止着部Fとして嵌挿穴21b・21bを設けている。これにより、フロント枠1の突起部11a・11aをインナーフレーム2の嵌挿穴21b・21bに挿入して、インナーフレーム2をフロント枠1に固定できる。
【0036】
なお、本実施例では、インナーフレーム2のフード部23・23の両端外側に、所定大きさのガイド溝23c・23cを前後方向に設けて、このガイド溝23c・23c内にテンプルT・Tまたはフロント枠1の曲げ智13・13がほゞピッタリと収まるようにしている。
【0037】
これにより、上記ガイド溝23c・23c内にテンプルT・Tや曲げ智13・13を嵌め込んだ状態で、インナーフレーム2を前後にスライドさせることができるため、突起部11a・11aと嵌挿穴21b・21bの装着作業を、穴の位置調節を行わずに簡単に行うことができる。また、このインナーフレーム2のフード部23に設けたガイド溝23c・23cによって、眼鏡装着後におけるインナーフレーム2の上下の位置ズレも防止できる。
【0038】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、記載した実施例にのみ限定されるものではなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、フロント枠1には、アセテート樹脂やポリアミド樹脂等を用いた樹脂フレームだけでなく、竹等の木製フレームやチタン合金等の金属フレーム等を用いることもできる。
【0039】
また、インナーフレーム2の材質に関しても、エラストマー材料である熱可塑性エラストマーや天然ゴム、合成ゴム等から任意に選択して使用することができる。そしてまた、インナーフレーム2のフード部23に関しても、左右リム21・21とブリッジ22の上縁部と両サイドだけでなく下縁部にも設けることができる。
【0040】
また更に、フロント枠1とインナーフレーム2の両サイドの固定手段に関しても、凹凸による嵌合構造や係止突起と貫通孔による係止構造、インナーフレーム2の握持部によるグリップ構造だけでなく、磁着構造等の他の止着構造を採用することもでき、上記何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
近年、花粉や埃に加え大陸から飛来する粒子状物質(PM2.5)から目を守るための手段として保護眼鏡の需要が高まっている。そのような中で、本発明のインナーフレーム付き眼鏡フロント枠は、必要に応じてフード部の着脱を行えるようにすることで使い勝手に優れるだけでなく、インナーフレームのズレや外れ等の使用上の問題も防止できる有用な技術であるため、その産業上の利用価値は非常に高い。
【符号の説明】
【0042】
1 フロント枠
11 リム
11a 突起部
12 ブリッジ
12a 凹部
13 曲げ智
13a 貫通孔
13b 掛止凹部
14 鼻当部
14a 嵌装溝
2 インナーフレーム
21 リム
21a 細枠部
21b 嵌挿穴
22 ブリッジ
22a 凸部
22b 圧入溝
23 フード部
23a 係止突起
23b 掴持部
23c ガイド溝
L レンズ
T テンプル
G 保護眼鏡
F 止着部
B 持出部
【手続補正書】
【提出日】2014年12月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ(L)(L)が左右対称に並立して装着される左右リム(11)(11)、これら左右リム(11)(11)を繋ぐブリッジ(12)、これら左右リム(11)(11)の左右両端に形成された曲げ智(13)(13)、及び前記左右リム(11)(11)のブリッジ12寄りの接眼側に対称に形成された隆起サドル型の鼻当部(14)(14)を備えたフロント枠(1)と;このフロント枠(1)の形状に対応した左右リム(21)(21)及びブリッジ(22)を備え、かつ、少なくとも上縁部および両サイドにフード部(23)が形成されたエラストマー製のインナーフレーム(2)とを含んで成り、
更に前記フロント枠(1)のブリッジ(12)の後面と、これに対向するインナーフレーム(2)のブリッジ(22)の前面に互いに嵌合可能な凹凸部が設けられると共に、前記インナーフレーム(2)の両サイド位置に、フロント枠(1)のリム(11)(11)または曲げ智(13)(13)に着脱可能な止着部(F)が設けられる一方、
前記フロント枠(1)の鼻当部(14)(14)において、基部の裏面或いは内側面に、前記インナーフレーム(2)の左右リム(21)(21)本体に対応した形状の嵌装溝(14a)(14a)が上下にわたって設けられ、当該嵌装溝(14a)(14a)にインナーフレーム(2)の左右リム(21)(21)本体が挿入可能となっていることを特徴とするインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【請求項2】
インナーフレーム(2)の左右リム(21)(21)のブリッジ近傍に、局部的に幅が細くなった細枠部(21a)(21a)が形成されて、この細枠部(21a)がフロント枠(1)の鼻当部(14)の嵌装溝(14a)に挿入可能となっていることを特徴とする請求項1記載のインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【請求項3】
インナーフレーム(2)のフード部(23)の両サイド位置に、止着部(F)として係止突起(23a)(23a)が設けられると共に、フロント枠(1)の曲げ智(13)に貫通孔(13a)(13a)が配設されて、当該貫通孔(13a)(13a)に前記係止突起(23a)(23a)を挿入することにより、インナーフレーム(2)のフード部(23)がフロント枠(1)の曲げ智(13)(13)に固定可能となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【請求項4】
インナーフレーム(2)のフード部(23)の両サイド位置に、止着部(F)として上下のフック片から成る掴持部(23b)(23b)が設けられて、当該掴持部(23b)(23b)がフロント枠(1)の曲げ智(13)(13)に装着されることによって、インナーフレーム(2)のフード部(23)がフロント枠(1)の曲げ智(13)(13)に固定可能となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のことを特徴とするインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【請求項5】
レンズ(L)(L)が左右対称に並立して装着される左右リム(11)(11)、これら左右リム(11)(11)を繋ぐブリッジ(12)、これら左右リム(11)(11)の左右両端に形成された曲げ智(13)(13)、及び前記左右リム(11)(11)またはブリッジ(12)の接眼側に設けられたパッド足(14b)(14b)を有する鼻当部(14)(14)を備えたフロント枠(1)と;このフロント枠(1)の形状に対応した左右リム(21)(21)及びブリッジ(22)を備え、かつ、少なくとも上縁部および両サイドにフード部(23)が形成されたエラストマー製のインナーフレーム(2)とを含んで成り、
更にインナーフレーム(2)の両サイド位置にフロント枠(1)のリム(11)(11)または曲げ智(13)(13)に着脱可能な止着部(F)が設けられる一方、
前記フロント枠(1)の鼻当部(14)のパッド足(14b)に、フロント枠(1)の後面から真後方向に延び、更に端部が左右斜め下方に屈曲した持出し部(B)が設けられると共に、インナーフレーム(2)のブリッジ(22)下面に一対の圧入溝(22b)(22b)が設けられ、当該インナーフレーム(2)の圧入溝(22b)(22b)に、前記持出し部(B)(B)の真後方向に延びた部位が差し込み可能となっていることを特徴とするインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。
【請求項6】
インナーフレーム(2)の両サイド位置にあたるリム(21)(21)に、止着部(F)として嵌挿穴(21b)(21b)が設けられると共に、フロント枠(1)の左右リム(11)(11)の後面に突起部(11a)(11a)が配設されて、当該突起部(11a)(11a)を前記嵌挿穴(21b)(21b)に挿入することによって、インナーフレーム(2)がフロント枠(1)に固定可能となっていることを特徴とする請求項5記載のインナーフレーム付き眼鏡フロント枠。