(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-9922(P2015-9922A)
(43)【公開日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
B66B 23/00 20060101AFI20141216BHJP
B66B 29/04 20060101ALI20141216BHJP
【FI】
B66B23/00 C
B66B29/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-134558(P2013-134558)
(22)【出願日】2013年6月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000232944
【氏名又は名称】日立水戸エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503180948
【氏名又は名称】水戸エンジニアリングサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健永
(72)【発明者】
【氏名】上田 誠
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA07
3F321AA09
3F321CD14
3F321CD18
3F321GA32
(57)【要約】
【課題】誘導柵の意匠形状、或いは取付け位置が決まらなくても中間床組立体の製作を含む設置工事を早く行うことができる新規な乗客コンベアを提供することにある。
【解決手段】誘導柵の脚部が挿通できる空間を形成するようにした中間プレート支持部材をランディングプレートの間の下方に位置する夫々の本体フレームに固定して据え付け、この状態で誘導柵の脚部を中間プレート支持部材の間の空間を介して任意の位置で本体フレームと固定する共に、誘導柵の脚部と本体フレームが固定された後に中間プレート支持部材の空間を塞ぐ板状の中間プレートを中間プレート支持部材に取り付けた。誘導柵の取付け位置が決まらなくてもランディングプレート及び中間プレート支持部材を含めて据え付け作業を行え、中間プレートが板状なので誘導柵の脚部の設置位置や形状に合わせて簡単に中間プレートを製作でき、設置工事の期間を短くできる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された乗客コンベアの乗降口にランディングプレートが隣接して配置され、前記ランディングプレートの間で誘導柵の脚部を本体フレームに固定するようにした乗客コンベアにおいて、
前記誘導柵の前記脚部が挿通できる空間を形成するようにした中間プレート支持部材を前記ランディングプレートの間の下方に位置する夫々の前記本体フレームに固定して据え付け、この状態で前記誘導柵の前記脚部を前記中間プレート支持部材の間の前記空間を介して任意の位置で前記本体フレームと固定する共に、前記誘導柵の前記脚部と前記本体フレームが固定された後に前記中間プレート支持部材によって形成された前記空間を塞ぐ板状の中間プレートを前記中間プレート支持部材に取り付けたことを特徴とする乗客コンベア。
【請求項2】
請求項1において、
前記中間プレート支持部材は夫々の前記本体フレームに固定された基礎部材に固定されていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項3】
請求項1或いは請求項2において、
前記中間プレート支持部材には中間プレート載置部が形成されており、この中間プレート載置部に前記板状の中間プレートが載置されることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、
前記中間プレートは複数の中間プレートよりなり、隣り合った中間プレートの分割部分は前記誘導柵の前記脚部の形状に切り欠かれた切り欠き部が形成され、この切り欠き部によって前記脚部が挟み込まれていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、
前記中間プレート支持部材には位置調整板が設けられており、この位置調整板は前記中間プレートの側面と接触して前記中間プレートの移動を規制することを特徴とすることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項6】
請求項5において、
前記位置調整板の上方先端部は前記中間プレート載置部よりも上方に突出すると共に、前記ランディングプレートの表面と同じ高さに形成されており、前記中間プレート載置部に載置された前記中間プレートの表面は前記位置調整板の上方先端部と同じ高さであることを特徴とすることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項7】
請求項6において、
前記中間プレート載置部と前記中間プレートの間には高さ調整用の当板が介装され、これによって前記中間プレートの表面が前記位置調整板の上方先端部と同じ高さに調整されることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかにおいて、
前記中間プレートの表面には前記ランディングプレートと同じ色調、或いは同じ模様が施されていることを特徴とする乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗客を輸送するエスカレータ装置や電動道路装置等の乗客コンベアに係り、特に、並設された乗客コンベアの乗降口近傍に誘導柵を設置した乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアとして代表的には、鉄道の駅舎や百貨店等の建屋の各階層をつなぐエスカレータ装置や、空港等で使用される電動道路装置等が良く知られている。この乗客コンベア、例えば、エスカレータ装置にあっては建築構造物に設置された強度部材である本体フレームの長手方向両端部に設けた乗降床間を無端状に連結されて循環移動する踏板、及びこの踏板の移動方向に沿って本体フレームに立設された欄干に設けられ踏板と同期して駆動される移動手摺り等より構成されている。
【0003】
そして、このようなエスカレータ装置においては、乗客の輸送能力を向上するために複数のエスカレータ装置を上階或いは下階に向けて並設して架け渡す設置方式や、連続してエスカレータ装置を乗り継いでいくために複数のエスカレータ装置を上階方向或いは下階方向に連続して架け渡す設置方式のものが知られている。
【0004】
ところで、このように複数のエスカレータ装置が並設されたものにおいては利用客を安全にエスカレータ装置に案内するための誘導柵を設置することが義務付けられている。この誘導柵はJEAS−524(日本エレベーター協会標準集)に示されているように、混雑時に利用客の動線を整理して利用客の移動を円滑に誘導するものである。このような誘導柵を設けたエスカレータ装置としては特開昭63−189385号公報(特許文献1)にあるように、所定の長さを有した誘導柵の一方の脚部を各エスカレータ装置のランディングプレートの間の下にある本体フレームに固定し、他方の脚部を建屋の床面に固定するように構成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−189385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように並設されたエスカレータ装置において、その乗降口の前側に誘導柵を設置する場合、上述したように誘導柵の一方の脚部をランディングプレートの間の下にある本体フレームに溶接、或いはボルトによって固定し、他方の脚部を建屋の床面にアンカーボルトによって固定するようにしていた。そして、ランディングプレートの間に見える誘導柵の脚部の固定部分を覆い隠すためと、隣り合うランディングプレートの表面を連続的に繋げるために、中間床組立体を各ランディングプレートの間に介装する構成を採用している。
【0007】
この中間床組立体はランディングプレートの間の空間を埋めるように内部が中空の箱状体に形成されている。更にこの箱状体を2分割し、その対向する分割部に誘導柵の一方の脚部が挿通される挿通孔を形成するための半円形の切り欠きを設けていた。そして、エスカレータ装置を設置した後に誘導柵の意匠形状、設置寸法等が決められ、これに従って誘導柵の脚部を本体フレームと床面に固定し、その後に本体フレームと脚部の固定位置に合わせて脚部の挿通用の切り欠きを形成した箱形状の中間床組立体を製作し、ランディングプレートの間の空間を埋めるように中間床組立体を配置して固定していた。
【0008】
ところで、エスカレータ装置のランディングプレート、中間床組立体を含む設置工事はエスカレータ装置の設置会社(例えば、エスカレータ装置の製造会社)で取り扱われ、誘導柵の意匠形状、設置寸法等の仕様の決定及びこれの床面への設置工事は建屋の建築会社側で取り扱われるのが一般的である。
【0009】
このため、ランディングプレートの間の空間を埋める中間床組立体は、建屋側の誘導柵の意匠や取付け位置が決まらないとその寸法、形状等の仕様が定まらず、箱状の中間床組立体の製作を含む設置工事が早期に終了できないものであった。例えば脚部を1本から2本にするといった意匠形状の変更と、これに伴う設置位置の変更があった場合、中間床組立体はこれに合わせて寸法、形状等を変更して製作する必要があった。
【0010】
したがって、設置工事を行うエスカレータ装置の設置会社から見れば、上述した中間床組立体の製作を含む設置工事が誘導柵の意匠や取付け位置が決まるまでは行えず、エスカレータ装置の設置工事の期間が長くなってしまうという課題があった。尚、このような課題は電動道路装置においても同様に生じるものである。
【0011】
本発明の目的は、中間床組立体の製作を含む設置工事を早く行うことができる新規な乗客コンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の特徴は、誘導柵の脚部が挿通できる空間を形成するようにした一対の中間プレート支持部材をランディングプレートの間の下方に位置する本体フレームに固定して据え付け、この状態で誘導柵の脚部を中間プレート支持部材の間の空間を介して任意の位置で本体フレームと固定する共に、誘導柵の脚部と本体フレームが固定された後に中間プレート支持部材の空間を塞ぐ板状の中間プレートを中間プレート支持部材に取り付けた、ところにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ランディングプレートと中間プレート支持部材を据え付けた状態において、中間プレート支持部材の空間を利用して任意の位置で誘導柵の脚部を本体フレームに固定すると共に、板状の中間プレートによって中間プレート支持部材の空間を塞ぐようにすることで、誘導柵の取付け位置が決まらなくてもランディングプレート及び中間プレート支持部材を含めて据え付け作業を行え、しかも、中間プレートが板状なので誘導柵の脚部の設置位置や形状に合わせて簡単に中間プレートを製作でき、設置工事の期間を短くできるという効果を奏するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明が適用される乗客コンベアとしてのエスカレータ装置の乗降口近傍を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したエスカレータ装置の乗降口近傍を上面からみた平面図である。
【
図3】
図2に示したエスカレータ装置の乗降口近傍を側面からみた側面図である。
【
図4】本発明の一実施例になるエスカレータ装置に使用される中間床組立体を構成する中間プレートの上部斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例になるエスカレータ装置に使用される中間床組立体を取り付けた状態の誘導柵の脚部付近の断面図である。
【
図6】本発明の一実施例になるエスカレータ装置に使用される中間プレートを取り付けた状態の誘導柵の脚部付近の上部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0016】
本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明が適用される乗客コンベアの代表例としてエスカレータ装置の乗降口近傍の構成を
図1乃至
図3に基づいて説明する。尚、
図1乃至
図3には本実施例に使用される中間プレートも併せて示している。
【0017】
図1において、二台のエスカレータ装置(乗客コンベア)1、2が並設されており、これらのエスカレータ装置1、2の乗降口が近接して配置されている。このようなエスカレータ装置1、2は、乗客の輸送能力を向上するために複数のエスカレータ装置を上階或いは下階に向けて並設して架け渡す設置方式や、連続してエスカレータ装置を乗り継いでいくために複数のエスカレータ装置を上階方向或いは下階方向に連続して架け渡す設置方式のものが知られている。そして、いずれの設置方式であっても乗降口が近接して配置される構成となっている。
【0018】
各エスカレータ装置1、2の乗降口には、建屋側床面に連続して繋がるようにランディングプレート3、4が敷設されている。また、両ランディングプレート3、4の表面は床面との間に所定の高さを有しているので、両ランディングプレート3、4の間には隙間(空間)が存在し、この隙間を塞ぐように中間床組立体5が設置されている。そして、この中間床組立体5の表面には中間床組立体5を構成する構成要件の一つである中間プレート6、7、8が設けられており、中間プレート6、7、8は両ランディングプレート3、4の表面と段差がないように形成され、ほぼ均一な平面形状に構成されている。更に、両ランディングプレート3、4や中間プレート6、7、8の表面には、近傍の建屋床面に合わせて適切な色調の色や模様などが施されて化粧プレートとしても良いものである。本実施例では中間プレート6、7、8の表面にはランディングプレート3、4と同じ色調の色、或いは同じ模様が施されるようになっている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、両ランディングプレート3、4の間に設置した中間床組立体5を利用して誘導柵9が固定、配置されている(
図1では誘導柵9は図示省略している)。つまり、両エスカレータ装置1、2の隣り合った移動手摺り25、26の折り返し先端部付近から夫々200mm程度離れた位置に誘導柵9が中間床組立体5及び建屋の床面から植立するように配置されている。そして、誘導柵9の一方の脚部、本実施例では2本の脚部9A、9Bをランディングプレート3、4の間に下にある強度部材として機能する夫々の本体フレームに溶接、或いはボルトによって固定し、他方の脚部を建屋の床面にアンカーボルトによって固定するようにしている。この誘導柵9はJEAS−524(日本エレベーター協会標準集)に示されているように、混雑時に利用者の動線を整理して利用者の移動を円滑に誘導するものである。
【0020】
図4には中間プレート6、7、8を斜め上方からから見た形状を示している。
図4からわかるように、中間プレート6、7、8は細長い板状の金属材料から作られており、その長手方向に三分割して形成されている。金属材料としてはステンレス、鋼材等を使用することができるが、これ以外の金属材料を使用することも可能である。
【0021】
隣り合う中間プレート6と中間プレート7の分割部分には誘導柵9の脚部9Aを挟み込むために使用する半円形に切り欠かれた切り欠き部が形成されている。中間プレート6には切り欠き部10が形成され、中間プレート7には切り欠き部11が形成されている。同様に、隣り合う中間プレート7と中間プレート8の分割部分には誘導柵9の脚部9Bを挟み込むために使用する半円形に切り欠かれた切り欠き部が形成されている。中間プレート7には切り欠き部12が形成され、中間プレート8には切り欠き部13が形成されている。中間プレート6乃至中間プレート8は、誘導柵9の脚部の本数、位置、形状等が変更になった場合に合わせて新たなものが製作されるものである。
【0022】
ここで、本実施例では中間プレート6乃至中間プレート8は長手方向の中心線と直交すると共に夫々の脚部9A、9Bの中心を通る線に沿って3分割されているが、長手方向の中心線を境に2分割するような形状に形成することもできる。この場合も脚部9A、9Bに合わせた形状に切り欠き部を形成すれば良いものである。このような中間プレート6乃至中間プレート8は後述するように、中間床組立体5が据え付けられた後に誘導柵9の意匠形状や設置寸法に合わせて新たに製作されるものである。
【0023】
次に本実施例の特徴的な構成である中間床組立体5の構成について
図5を用いて詳細に説明する。
図5はエスカレータ装置1、2の乗降口近傍の誘導柵9の脚部9A或いは脚部9B付近の断面を示す図である。
【0024】
図5に示すように、一方のエスカレータ装置1の強度部材である本体フレーム14Aには補助強度部材15Aが溶接等の固定方法で固定されている。同様に他方のエスカレータ装置2の強度部材である本体フレーム14Bには補助強度部材15Bが溶接等の固定方法で固定されている。尚、補助強度部材15A、15Bは本体フレーム14A、14Bと一体的に構成されていても良いものである。本実施例では従来の本体フレームを使用するため補助強度部材15A、15Bを用いて溶接するようにしている。
【0025】
これらの補助強度部材15A、15Bの上面には中間床組立体5を構成する基礎部材16A、16Bがボルトや溶接等によって固定されている。この基礎部材16A、16Bは紙面から見て手前側から奥側に向けて延びており、少なくとも
図4に示す中間プレート6乃至中間プレート8の長さに亘って延びている。本実施例においては、基礎部材16A、16Bは強度部材として使用されるL型鋼を用いている。基礎部材16A、16Bは互いに分離された別体で構成されている。
【0026】
そして、一方の基礎部材16Aの水平部17Aには調整スペーサ18Aを介してエスカレータ装置1側のランディングプレート3が載置されるように構成されている。他方の基礎部材16Bの水平部17Bにも調整スペーサ18Bを介してエスカレータ装置2側のランディングプレート4が載置されるように構成されている。本体フレーム14A、14Bとランディングプレート3、4の間には、ランディングプレート3、4を乗せるための床枠(図示せず)があり、この床枠は本体フレーム14A、14Bにボルトによって固定されている。ランディングプレート3、4は床枠に乗せるだけで固定されておらず、エスカレータ装置の乗降口の下にある機械室のメンテナンスを行なうため、ランディングプレート3、4を容易に外せる構造とされている。
【0027】
また、一方の基礎部材16Aの垂直部19Aには上側に延びる位置調整板20Aを挟んで中間プレート支持部材21Aが配置され、ボルト22Aによって位置調整板20A及び中間プレート支持部材21Aが基礎部材16Aに強固に固定されている。同様に、他方の基礎部材16Bの垂直部19Bには上側に延びる位置調整板20Bを挟んで中間プレート支持部材21Bが配置され、ボルト22Bによって位置調整板20B及び中間プレート支持部材21Bが基礎部材16Bに強固に固定されている。中間プレート支持部材21A、21Bは互いに分離された別体で構成されている。ここで、本実施例では一対の位置調整板20A、20Bとこれも一対の中間プレート支持部材21A、21Bはボルト22A、22Bによって基礎部材16A、16Bに強固に固定されているが、溶接によってこれらを固定することも可能である。
【0028】
そして、これらの基礎部材16A、16B、位置調整板20A、20B、中間プレート支持部材21A、21B及び中間プレート6乃至中間プレート8等の構成部材が中間床組立体5を構成している。
【0029】
更に、一対の中間プレート支持部材21A、21Bの上部側にはそれぞれ水平方向に延びる一対の中間プレート載置部23A、23Bが形成されており、これらの中間プレート載置部23A、23Bは互いに向き合うように対向して形成されている。また、位置調整板20A、20Bは板状に形成されており、その上方先端部は中間プレート支持部材21A、21Bに形成された中間プレート載置部23A、23Bの表面よりよりも上方に突出すると共に、ランディングプレート3、4の表面と同じ高さに形成されている(ここで言う同じ高さとは、厳密に同じ高さである必要はなく、実用上問題ない範囲でほぼ同じ高さである場合も含む)。これによって、中間プレート6乃至中間プレート8の側端面の位置決めを行うことができるようになっている。つまり、この位置調整板20A、20Bは中間プレート6乃至中間プレート8の側面と接触して中間プレート6乃至中間プレート8の移動を規制する機能を有している。
【0030】
中間プレート支持部材21A、21Bの中間プレート載置部23A、23Bは、同じ高さで対向して配置されており、中間プレート載置部23A、23Bに高さ調整用の当板24を介在させてから中間プレート6乃至中間プレート8を載置するようにしている。当板24と中間プレート6乃至中間プレート8はほぼ同じ幅寸法であり、当板24と中間プレート6乃至中間プレート8を中間プレート載置部23A、23Bの上に載せると、対向して配置された位置調整板20A、20Bの間に嵌め込まれることになる。しかも、中間プレート6乃至中間プレート8の表面はランディングプレート3、4の表面とその高さがほぼ一致しているので、連続した表面とすることができる。更に、中間プレート支持部材21A、21B及び中間プレート載置部23A、23Bの間には誘導柵9の脚部9A、9Bが本体フレーム14A、14Bに向けて挿通できるように空間が形成されている。
【0031】
当板24は中間プレート6乃至中間プレート8と同じ形状にしても良いが、これに限定されずに誘導柵9の脚部9A、9Bの設置に障害とならない他の形状であっても良い。また、この当板24は必ず用いることはなく、中間プレート6乃至中間プレート8の表面の高さをランディングプレート3、4の表面とほぼ一致させることができる場合は、当板24を省略することができるものである。
【0032】
そして、エスカレータ装置1、2を据え付ける場合は、先ず、本体フレーム14A、14Bを建屋に架け渡した後に、本体フレーム14A、14Bの長手方向両端部に設けられる乗降床(ランディングプレート)間に連結されて循環移動する踏板、本体フレーム14A、14Bに立設された欄干及び踏板と同期して駆動される移動手摺り25、26等が取り付けられるものである。
【0033】
次に、この据え付けが終了すると、上述したように補助強度部材15A、15Bの上面に中間床組立体5を構成する基礎部材16A、16Bが溶接等によって固定されるものである、更に、基礎部材16A、16の垂直部19A、19Bに位置調整板20A、20Bを挟んで中間プレート支持部材21A、21Bが配置され、ボルト22A、22Bによって基礎部材16A、16Bに強固に固定される。この後に、基礎部材16A、16Bの水平部17A、17Bには調整スペーサ18A、18Bを介してランディングプレート3、4が載置されるものである。これによって、エスカレータ装置1、2の据え付け工事が終了するものである。
【0034】
そして、このような据え付け状態で、誘導柵9の設置寸法に合わせて誘導柵9の脚部9A、9Bを中間プレート載置部23A、23Bの間の空間を利用して本体フレーム14A、14B側に向けて差し込み、脚部9A、9Bと本体フレーム14A、14Bを溶接することによって相互に固定することができる。ここで、中間プレート載置部23A、23Bの間の空間は紙面の手前側から奥側に向けて所定の長さに亘って開口されているため、建屋側の誘導柵9の意匠や設置寸法の変更に合わせて誘導柵9の脚部9A、9Bの固定位置を、中間プレート載置部23A、23Bの間の空間の開口範囲内で移動することで任意に決めることができる。
【0035】
次に、誘導柵9の脚部9A、9Bの溶接による固定が終了すると、誘導柵9の脚部9A、9Bの設置位置やその形状に合せて板状の中間プレート6乃至中間プレート8を別途製作し、中間プレート載置部23A、23Bに当板24を介装して載置、固定することで、脚部9A、9Bと本体フレーム14A、14Bの固定部を覆い隠すことができるようになる。
【0036】
尚、中間プレート6乃至中間プレート8は中間プレート載置部23A、23Bへボルトや接着剤を利用して固定しても良いが、中間プレート6乃至中間プレート8を中間プレート載置部23A、23Bに単に載置するようにしても良いものである。つまり、誘導柵9によってエスカレータ装置1、2の利用者が誘導されているため、利用者が誘導柵9の脚部9A、9B付近に進入してこの中間プレート6乃至中間プレート8の載置領域に乗る恐れが少ない。このため、中間プレート6乃至中間プレート8は一対の位置調整板20A、20Bの間に位置する中間プレート載置部23A、23Bに載せるだけで保持するようにしても良いものである。また、位置調整板20A、20Bと中間プレート支持部材23A、23Bは組み立てに先立って一体化させておくと、狭隘部での調整作業が楽になる効果がある。
【0037】
また、本実施例では中間プレート6乃至中間プレート8は板状であるため、脚部9A、9Bの形状や設置位置に合わせて極めて容易に製作することができる。従来のように複雑な形状の中間床組立体を使用することがないので製作に費やす時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0038】
上述した通り、ランディングプレート3、4の間の空間に収納される従来の中間床組立体は、建屋側の誘導柵6の意匠形状や取付け位置が決まらないとその寸法、形状等の仕様が定まらず、中間床組立体の製作、設置工事が早期に終了できないものであった。したがって、設置工事を行うエスカレータ装置の設置会社から見れば、中間床組立体の製作や、これの設置工事が誘導柵9の意匠や取付け位置が決まるまでは行えず、設置工事の期間が長くなってしまうという課題があった。
【0039】
これに対して、本実施例によれば建屋側の誘導柵9の設置寸法等の仕様が決まらなくても、ランディングプレート3、4と、基礎部材16A、16B、位置調整板20A、20B、中間プレート支持部材21A、21Bの設置工事を行うことができるものである。つまり、エスカレータ装置1、2が据え付けられた状態で、誘導柵9の設置寸法に合わせて、中間プレート支持部材21A、21Bに形成された中間プレート載置部23A、23Bの間の空間の開口範囲内で誘導柵9の脚部9A9Bの取り付け位置が任意に決められ、誘導柵9の脚部9A、9Bはこの位置で本体フレーム14A、14Bに溶接することできる。
【0040】
更に、誘導柵9の仕様が決まった後に板状の中間プレート6乃至中間プレート8を製作して、誘導柵9の脚部9A、9Bの固定が終了してから中間プレート載置部23A、23Bに載置することで誘導柵9の脚部9A、9Bと本体フレーム14A、14Bとの固定部を覆い隠すことができる。そして、中間プレート6乃至中間プレート8は板状であるため、脚部9A、9Bの固定位置やその形状に合わせて極めて容易に製作することができ、従来のような複雑な形状の中間床組立体を製作して設置することがないので、中間床組立体の製作を含む設置工事の時間が短縮されるようになるものである。
【0041】
本実施例によれば、誘導柵9の意匠形状や取付け位置が変更になっても中間プレート載置部23A、23Bの間の空間の開口範囲内で脚部9A、9Bの取り付け位置の融通がきくのでエスカレータ装置側での据え付け作業を進めることができる。また、この変更に合せて板状の中間プレート6乃至中間プレート8を製作し、既に据え付けされている中間プレート載置部23A、23Bに新たに製作された中間プレート6乃至中間プレート8を取り付けて内部を覆い隠すことができるので効率的に据え付け作業を進めることができるものである。
【0042】
このようにして据え付けられた誘導柵9の設置状態を
図6に示している。
図6にあるように、切り欠き部10乃至切り欠き部13を有する中間プレート6乃至中間プレート8によって誘導柵9の脚部9A、9Bを挟み込むため、誘導柵9の脚部9A、9Bが固定された本体フレーム14A、14B等は中間プレート6乃至中間プレート8によって遮蔽されて見えなくなるものである。また、中間プレート6乃至中間プレート8によって誘導柵9の脚部9A、9Bを挟み込んだ部分に固定用のボルト等を設けなければ更に美観が保たれるものである。更に、中間プレート6乃至中間プレート8は、その形状が板状であることから容易に製作することができるので、ランディングプレート3、4や乗降口近傍の建屋床面の意匠が決まった後に、これと調和する適切な装飾を施すことによって、乗降口近傍を全体的に調和の取れたデザインとすることができるようになる。
【0043】
尚、上述した実施例では、誘導柵9は二本の脚部9A、9Bを中間プレート6乃至中間プレート8で挟み込んでいるが、誘導柵9の意匠によっては脚部を1本にする構成としても良いことは言うまでもない。
【0044】
以上述べた通り本発明によれば、誘導柵の脚部が挿通できる空間を形成するようにした一対の中間プレート支持部材をランディングプレートの間の下方に位置する本体フレームに固定して据え付け、この状態で誘導柵の脚部を中間プレート支持部材の間の空間を介して任意の位置で本体フレームと固定する共に、誘導柵の脚部と本体フレームが固定された後に中間プレート支持部材の空間を塞ぐ板状の中間プレートを中間プレート支持部材に取り付けた構成とした。
【0045】
このような構成によれば、ランディングプレートと中間プレート支持部材を据え付けた状態において、中間プレート支持部材の空間を利用して任意の位置で誘導柵の脚部を本体フレームに固定すると共に、板状の中間プレートによって中間プレート支持部材の空間を塞ぐようにすることで、誘導柵の取付け位置が決まらなくてもランディングプレート及び中間プレート支持部材を含めて据え付け作業を行え、しかも、中間プレートが板状なので誘導柵の脚部の設置位置や形状に合わせて簡単に中間プレートを製作でき、設置工事の期間を短くできるという効果を奏するようになる。
【符号の説明】
【0046】
1、2…乗客コンベア、3、4…ランディングプレート、6、7、8…中間プレート、9…誘導柵、9A、9B…脚部、10、11、12、13…切り欠き部、14A、14B…本体フレーム、16A、16B…基礎部材、17A、17B…水平部、19A、19B…垂直部、20A、20B…位置調整板、21A、21B…中間プレート支持部材、23A、23B…中間プレート載置部、24…当板、25、26…移動手摺り。