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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-99666(P2015-99666A)
(43)【公開日】2015年5月28日
(54)【発明の名称】灯具ユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20150501BHJP
   F21V 29/00 20150101ALI20150501BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20150501BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150501BHJP
【FI】
   F21S8/12 123
   F21V29/00 111
   F21S8/10 530
   F21Y101:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-238173(P2013-238173)
(22)【出願日】2013年11月18日
(71)【出願人】
【識別番号】591032703
【氏名又は名称】群馬県
(71)【出願人】
【識別番号】391005983
【氏名又は名称】IPF株式会社
(72)【発明者】
【氏名】世取山 重剛
(72)【発明者】
【氏名】新井 貞好
【テーマコード(参考)】
3K014
3K243
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014LA01
3K014LB04
3K243AA01
3K243AA08
3K243BA09
3K243BB03
3K243BB06
3K243BE01
3K243CC04
(57)【要約】
【課題】半導体型光源の放熱性を向上させ、小型でも所要の灯具配光性能を確保できる車両用灯具等の灯具ユニットを提供すること。
【解決手段】略回転放物面の反射面を有するリフレクターと、このリフレクターの焦点位置に配置される発光チップを有する半導体型光源と、この半導体型光源を保持するホルダーとを備える灯具ユニットにおいて、前記リフレクターは、中心を通る放射線によって複数の反射面に分割されて構成され、前記半導体型光源は、前記リフレクターの複数の反射面のそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその発光チップを、前記ホルダーのリフレクター側に向けた面にそれぞれ取り付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略回転放物面の反射面を有するリフレクターと、このリフレクターの焦点位置に配置される発光チップを有する半導体型光源と、この半導体型光源を保持するホルダーとを備える灯具ユニットにおいて、前記リフレクターは、中心を通る放射線によって複数の反射面に分割されて構成され、前記半導体型光源は、前記リフレクターの複数の反射面のそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその発光チップを、前記ホルダーのリフレクター側に向けた面にそれぞれ取り付けるようにしたことを特徴とする灯具ユニット。
【請求項2】
リフレクターは、上半部と下半部とに分割されて構成され、前記半導体型光源は、前記リフレクターの上半部と下半部のそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその各々発光チップを、前記ホルダーの各々リフレクター側に傾斜した面に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の灯具ユニット。
【請求項3】
リフレクターは、中心を通る放射線によって略120度の間隔で3個の反射面に分割されて構成され、前記半導体型光源は、前記リフレクターの3個の反射面のそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその各々発光チップを、前記ホルダーの各々リフレクター側に向けた3角面にそれぞれ取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の灯具ユニット。
【請求項4】
前記リフレクターの反射面は、高光度帯および中光度帯を形成する中央部寄りの反射面と、低光度帯を形成する端部寄りの反射面であると共に、左右方向に短冊状に分割された反射面を有し、各反射面からの反射光が左右方向に分散して照射するマルチリフレクターを備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の灯具ユニット。
【請求項5】
前記ホルダーは、リフレクターの背面側から挿入され、半導体型光源で発生した熱を効率的に灯具外部に放出し、かつ半導体型光源から側方に放射される光を遮ることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の灯具ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDランプ等の半導体型光源を使用した車両用灯具やスポットライトとして用いられる灯具ユニットに関し、特に、前方が開口した灯具ボディとその前方開口部に取り付けられた透明カバーとで形成された灯室内に、半導体型光源が固定されたホルダーを備える灯具ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および3に示される車両用灯具は、半導体型光源を使用したもので、水平軸を挟んで上下に配置された発光ユニットから射出した光が灯具前方で合成され、中央部に高光度帯を有し、かつ水平線上に左右に長い配光パターンを形成することを特徴としたものが知られている。
【0003】
ところが、一般的に市場に供給されている半導体型光源は照射角が狭いものが多く、半導体型光源を使用した車両用灯具においては、水平軸の上下に半導体型光源を配置するだけでは、半導体型光源から射出される光を受けるのに、依然として大きな反射面を有するリフレクターでなければ、所要の灯具配光性能を確保できない。
【0004】
また、特許文献2に示される赤外線投光器は、回転放物面系の基本軸方向(光軸)に沿う半部とした反射面と、それとの組とする投光ユニットで構成され、半導体型光源から射出される光の照射角のほぼ全てが反射面に達するように、投光ユニットの光軸を照射方向の前方側に傾けるもので、灯具正面視での面積を小さくすることに効果があるが、灯具全体の奥行き寸法が大きくなって、本来の意味で小型化を図るのが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−332104号公報
【特許文献2】特開2002−219994号公報
【特許文献3】特開2006−024509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
略回転放物面からなるリフレクターの焦点位置に半導体型光源を略一致させ、照射角の狭い半導体型光源から射出した光をリフレクターで反射し、灯具前方に平行光を照射させる車両用灯具および灯具ユニットについて、我々発明者達は小型化を図ることができないか鋭意研究に取り組んできた。
【0007】
その結果、照射角が狭い半導体型光源においては、前記特許文献1,2,3の先行技術のいずれの方法であっても、前照灯や霧灯などの車両用灯具に関する配光規格を満たすためには大きなリフレクターが必要になることが分かった。
【0008】
したがって、この発明の目的は、上記課題を解決するために、所要の灯具配光性能を確保できると共に、より小型で良好な車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、略回転放物面の反射面を有するリフレクターと、このリフレクターの焦点位置に配置される発光チップを有する半導体型光源と、この半導体型光源を保持するホルダーとを備える車両用灯具等の灯具ユニットにおいて、前記リフレクターは、中心を通る放射線によって複数の反射面に分割されて構成され、前記半導体型光源は、前記リフレクターの複数の反射面のそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその発光チップを、前記ホルダーのリフレクター側に向けた面にそれぞれ取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0010】
前記リフレクターは、上半部と下半部とに2分割されて構成され、前記半導体型光源は、前記リフレクターの上半部と下半部のそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその各々発光チップを、前記ホルダーのリフレクター側に傾斜した面に取り付けるようにしてもよいし、また、前記リフレクターは、中心を通る放射線によって略120度の間隔で3個の反射面に分割されて構成され、前記半導体型光源は、前記リフレクターの3個の反射面のそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその各々発光チップを、前記ホルダーの各々リフレクター側に向けた3角面にそれぞれ取り付けるようにしてもよい。
【0011】
前記リフレクターの反射面は、高光度帯および中光度帯を形成する中央部の反射面と、低光度帯を形成する端部の反射面と、左右方向に短冊状に分割された反射面を有し、各反射面からの反射光が左右方向に分散して照射するマルチリフレクターを備えることを特徴とする。
【0012】
前記ホルダーは、リフレクターの背面側から挿入され、半導体型光源で発生した熱を効率的に灯具外部に放出し、かつ半導体型光源から側方に放射される光を遮ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、略回転放物面の反射面を有するリフレクターと、このリフレクターの焦点位置に配置される発光チップを有する半導体型光源と、この半導体型光源を保持するホルダーとを備える車両用灯具において、前記リフレクターは、中心を通る放射線によって複数の反射面に分割されて構成され、前記半導体型光源は、前記リフレクターの複数の反射面のそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその発光チップを、前記ホルダーのリフレクター側に向けた面にそれぞれ取り付けるようにしたので、複数個の半導体型光源をリフレクターの反射面側、つまりは照射方向の後方側に向けて、リフレクターの焦点位置に半導体型光源を略一致させ配置させるホルダーを備えた灯具ユニットによって、半導体型光源から射出する光をリフレクターで補足する効率が向上し、かつ灯具の小型化と優れた灯具配光性能が実現できる。また、前記ホルダーは灯具正面視(ランプ前方)から半導体型光源を隠すように一対の端部を有することで、灯具前方に照射される半導体型光源からの直接光を遮光することができると共に、半導体型光源が発する熱を前記ホルダーでランプ外部に放出させ、熱影響による半導体型光源の光束値の変動や寿命の短縮を抑えることができる。
さらに、半導体型光源から射出する光は法線方向に光度が最大になるので、半導体型光源がリフレクターの反射面側、つまりは照射方向の後方側に傾斜することで、半導体型光源から射出する光を回転放物面の底部側に向けて、照射角の狭い半導体型光源では光が及ばないリフレクターの外周部を極小化することで、リフレクターの開口寸法を小さくすることができる。また、半導体型光源をリフレクターの反射面側に傾斜させることで半導体型光源から射出する光を灯具外部に照射する割合(器具効率)が向上でき、回転放物面の開口寸法を一定にして、放物面の奥行きを小さくもできる。つまり、半導体型光源から射出した光を灯具前方に照射する光を損失なく変換するもので、灯具の小型化を図ることができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、前記リフレクターは、上半部と下半部とに分割されて構成され、前記半導体型光源は、前記リフレクターの上半部と下半部のそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその発光チップを、前記ホルダーのリフレクター側に傾斜した面に取り付けるようにしたので、特に、左右に細長く照射する車両灯具として使用したとき、上半部は、ドライビングランプとし、下半部をスポットランプとする等のカットラインを出しやすいという効果を有する。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、リフレクターは、中心を通る放射線によって略120度の間隔で3個の反射面に分割されて構成され、前記半導体型光源は、前記リフレクターの3個の反射面のそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその発光チップを、前記ホルダーのリフレクター側に向けた3角面にそれぞれ取り付けるようにしたので、半導体光源であるLEDは、指向角度が約120度であるため、反射面を3分割にすると、効率のよい灯具となる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、前記リフレクターの反射面は、高光度帯および中光度帯を形成する中央部の反射面と、低光度帯を形成する端部の反射面と、左右方向に短冊状に分割された反射面を有し、各反射面からの反射光が左右方向に分散して照射するマルチリフレクターとして形成したので、照射光にムラが生じることがなく、全体として均一な光を得ることができる。
自動車灯具は、正面を遠くまで照らすために用いる走行用(ハイビーム)、やや下方を照らして、対向車や前方の車を照らす光を抑えたすれ違い(ロービーム)、霧や雪などに光が反射する場合に用いる霧灯(フォグ)などのランプカテゴリーに応じて規格適合の配光パターンが異なるが、上半分と下半分の略回転放物面の焦点距離や小反射面の傾きを変えることで、反射面によって反射された光を制御して、ランプカテゴリー毎の規格適合するように配光パターンを調整することができる。
さらに、上半分と下半分の反射面の一方を傾斜させ、反射された光を重ねることで、鮮明なカットラインをもった配光パターンの実現も可能で、広範なランプカテゴリーへの適用が可能であり、自動車灯具全般に応用し得る。また、上半分と下半分の反射面の傾斜角度は、灯具の開口寸法、反射面のF値、反射面の凹凸形状等の条件により決まるものであり、条件が変われば好ましい傾斜角度も変わる。
【0017】
通常は、回転放物面(パラボラ基調)では、カットラインのある配光パターンを形成するには、灯室内にシェードをつける、もしくは光源の近傍にカットラインを形成する遮光板が必要である。
これに対し、請求項5記載の発明によれば、前記ホルダーは、リフレクターの背面側から挿入され、半導体型光源で発生した熱を効率的に灯具外部に放出し、かつ半導体型光源から側方に放射される光を遮るようにしたので、ホルダーは灯具正面視(ランプ前方)から半導体型光源を隠すように一対の端部を有することで、灯具前方に照射される半導体型光源から射出する直接光を遮光することができる。このことによって、車両用灯具の灯室内でシェードもしくは遮光板の配置に誤りがなくなり、配光パターンの不揃いや、光度分布の規格不適合、視認性の低下を招くことがなくなり、ホルダーによってリフレクターに対する半導体型光源の位置精度を保証する取付が容易になる。
また、半導体型光源が発する熱を前記ホルダーによってランプ外部に放出させ、熱影響による半導体型光源の光束値の変動や寿命の短縮を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係る車両用灯具等の灯具ユニットの縦断面斜視図である。
図2図1に示した車両用灯具等の灯具ユニットの透明カバーを外した状態の正面図である。
図3図1に示した車両用灯具等の灯具ユニットの縦断面図である。
図4】本発明の実施例1に係る車両用灯具等の灯具ユニットのホルダーの斜視図である。
図5】(a)は、実施例1に係る車両用灯具等の灯具ユニットの反射面の説明図、(b)は、A−A線断面図である。
図6】(a)は、実施例1に係る車両用灯具等の灯具ユニットの配光の説明図、(b)は、半導体型光源の取付傾斜角度が20度と0度の配光の説明図である。
図7】(a)は、リフレクターの回転放物線の奥行きを変化させたときの断面図、(b)は、リフレクターの奥行きと器具効率の関係の特性図である
図8】(a)、(b)、(c)は、それぞれ半導体型光源を反射面側に20度、10度、0度に傾けたときの光が到着する有効反射面の説明図である。
図9】(a)は、本発明の実施例1に係る車両用灯具等の灯具ユニットのホルダーの断面図、(b)は、本発明の異なる実施例に係る車両用灯具等の灯具ユニットのホルダーの断面図、(c)は、半導体型光源を反射面側に20度、10度、0度に傾けたときの説明図である。
図10】本発明の実施例2に係る車両用灯具等の灯具ユニットのホルダーの斜視図である。
図11図10に示した車両用灯具等の灯具ユニットの透明カバーを外した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態に係る灯具ユニットは、前方が開口した灯具ボディとその前方開口部に取り付けられた透明カバーとにより、形成された灯室内に、灯具光軸上に配置された光源である半導体型光源と、この半導体型光源からの光を前方へ反射させるリフレクターと、このリフレクターの焦点位置に半導体型光源を高い位置精度で一致固定させるホルダーと、を備えた灯具ユニットである。勿論、本発明に係る灯具ユニットは、ヘッドランプやフォグランプ等の種々の車両用灯具等に用いられるだけでなく、スポットライト等としても好適な灯具ユニットに適用できるものである。
【0020】
なお、本明細書における「前方」とは、車両用灯具等の灯具ユニットにおける半導体型光源から透明カバーへと向かう方向であり、「後方」とは当該「前方」とは反対の方向である。即ち、ヘッドランプに用いた本実施例の車両用灯具等の灯具ユニットにおいては、「前方」とは車両前方を示す。
【実施例1】
【0021】
図1乃至図4は、本発明の実施例1に係る車両用灯具等の灯具ユニットを示している。以下、この実施例1における車両用灯具10の構成について説明する。
【0022】
前記本発明の車両用灯具等の灯具ユニット10は、灯具ボディ11と、透明カバー12と、ホルダー20と、半導体型光源30と、リフレクター40と、導電性基板50とで構成されている。
前記灯具ボディ11は、合成樹脂材料やアルミにより一体的に成形されている。この合成樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)樹脂やポリカーボネート(PC)樹脂やポリカーボネートABS(PC−ABS)樹脂等が好適に用いられる。この灯具ボディ11は、内側の灯室に相当する部分で凹部状に形成されており、後部中央に半導体型光源30を備えたホルダー20が、後方から挿入され、取り付けられ、そしてリフレクター40が前方側から灯具ボディ11に取り付けられる。
【0023】
前記透明カバー12は、例えばポリカーボネート樹脂やポリカーボネートABS樹脂、アクリル(PMMA)樹脂、ハイヒートポリカ樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂等の透明または半透明な合成樹脂材料により成形される。そして、図1及び図3に示すように、透明カバー12は、灯具ボディ11の前方開口部の全面を覆って組み付けられ、接着又は融着により固定される。
【0024】
前記半導体型光源30は、平面矩形形状の発光チップとリードフレームを金ワイヤでボンディングして電気的導通させ、セラミックや樹脂などで形成したケースに収められ、シリコーンなどの接着材で封止されたLED等の発光素子であり、発光チップから放射された光は黄色蛍光体を励起して白色光などに変換する。なお、本実施例1では光源として半導体型光源を用いたが、勿論ファイバーでレーザー等をホルダーまで導光したものを用いてもよい。
この半導体型光源30は、ホルダー20の先端の上面20aと下面20bに取り付けられる2個の半導体型光源30aと30bからなる。
【0025】
前記リフレクター40は、前方側から後方側に凹んだ形状をしており、後部中央には半導体型光源30を備えたホルダー20を挿通するための貫通穴41が形成されている。半導体型光源30からの光を前方へ反射させる反射面は、略回転放物面(パラボラ系自由曲面)を基調とした形状で左右方向に短冊状に分割されたマルチリフレクターとして形成していることを特徴とする。短冊状に分割して各部の反射光を調整することによって反射光が横方向(左右方向)に分散して照射されるように設計したもので、凹状の前面にはアルミニウム蒸着等による鏡面処理を施すことによって形成されている。
前記リフレクター40は、水平軸を境にして上半分40aと下半分40bからなり、上半分40aの焦点位置に上面20aの半導体型光源30aが取り付けられ、下半分40bの焦点位置に下面20bの半導体型光源30bが取り付けられる。
【0026】
図5(a)(b)に示すように、前記リフレクター40を構成する上半分40aの反射面は、高光度帯および中光度帯を形成する中央部の反射面(第1反射面40a1および第2反射面40a2)と、低光度帯を形成する端部の反射面(第3反射面40a3)とが、左右方向に短冊状に分割された反射面を形成し、同様に、下半分40bの反射面は、高光度帯および中光度帯を形成する中央部の反射面(第1反射面40b1および第2反射面40b2)と、低光度帯を形成する端部の反射面(第3反射面40b3)とが、左右方向に短冊状に分割された反射面を形成し、各反射面からの反射光が左右方向に分散して照射する。
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の反射面形状を採りうることも云うまでもない。
【0027】
前記ホルダー20は、半導体型光源30が導電性基板50を介して載置され、半導体型光源30で発生した熱を効率的に灯室外部に放出することができる。ホルダー20は放熱性、半導体型光源の出力を考慮して種々の大きさに形成することができ、このようなホルダー20の材質としては、銅、鉄、アルミニウムが好適に用いられるが、灯室内部で半導体型光源30から射出した光を反射するように、加工が容易で反射率が高いアルミニウムが好ましいことは言うまでもない。
また、半導体型光源30を載置するホルダー20は、図9(a)に示すように、照射方向の後方側に傾斜するように先端部がへ字形状に折曲され、このへ字形状部分におけるリフレクター40側に向けた上面20aと下面20bにそれぞれ半導体型光源30aと30bが取り付けられている。このホルダー20は、電気的接続が容易に可能な範囲で折り曲げ加工され、半導体型光源から側方に放射される光を遮るだけでなく、車両用灯具10の前方から半導体型光源30や導電性基板50を概ね隠すことができる。
【0028】
前記ホルダー20の他方の後端部は、リフレクター40の焦点位置に半導体型光源30を確実に位置決めすることができ、灯具ボディ11との固定に利用される他、灯具ボディ11に直接接続により熱を直接伝熱し、放熱させる機能を持たせることができる。
【0029】
例えば、上記実施例1の車両用灯具等の灯具ユニットにおいては、2回折り曲げたへ字形状の断面形状を有して左右方向に延びる板状に形成されたホルダー20を用いたが、図9(b)に示すように、先端部をY字形状、略台形状の他に、略半円状等の種々の断面形状を採り得る。また、板状以外の円形状や多角形状 、楕円状等の種々の外形形状を採り得ることは勿論である。この場合において、リフレクター40側に向けた上面20aと下面20bにそれぞれ半導体型光源30aと30bを取り付けるようにする。
前記半導体型光源30aと30bは、図9(c)に示すように、半導体型光源を反射面側に傾斜して設けるが、傾斜角度は、図8に示すように、20度のときにリフレクター40の有効反射面を小さくでき、次いで、10度がよく、0度に傾けたとき効果が少ないことが示される。
図7(b)に示すように、半導体型光源30を反射面側に20度傾けたときは、リフレクター40の奥行き90mmのときの器具効率が、半導体型光源30の傾斜角度が0度のときの120mmとほぼ同等であり、20〜30mm薄くできることを表わしている。
【0030】
本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施例に限られるものではない。
【0031】
図6に示すスクリーン上に投影される配光パターン(光度分布)は、上半分40aと下半分40bの反射面によって、ランプ光軸とほぼ平行した光を灯具外に照射させている走行用灯具の配光を示している。尚、スクリーン上のH−Hは水平線、V−Vは鉛直線をそれぞれ示している。
【0032】
灯具外に照射させた光は、水平基準線(H−H)と鉛直基準線(V−V)との交点付近の最高光度、左右方向に左側約7°〜右側約7°、上下方向に上側約2°〜下側約2°の範囲に及んでいる。これでよく分かるとおり、水平線、鉛直線の中央寄りに光度が大きくなる配光で、半導体型光源から射出した光がリフレクターで反射、その反射光のほとんどが灯具光軸に沿ってほぼ平行に灯具外部に照射していることを示している。
【0033】
図7は、灯具の開口寸法を半径r=90mmとして、焦点位置を一致させた条件で回転放物面の奥行きを、80mm、90mm、100mm、110mmと変化させた場合の、半導体型光源の傾斜有無による器具効率を示したもので、半導体型光源の傾斜が0°に比べ、半導体型光源30をリフレクター40の反射面に向けて傾斜させた場合は、放物面の奥行きが少ない条件でも器具効率は高いことを示している。
【0034】
つまり、リフレクター40の奥行きが少ない条件で、半導体型光源30の傾斜が器具効率を高める効果があり、回転放物面の焦点位置に半導体型光源30を配置し、リフレクター40の反射面側に半導体型光源30を傾斜させることで、反射面の全面を有効に利用して、サイズの小さいリフレクター40でも相対的に大きな光出力を得ることが可能である。この半導体型光源30の傾斜角度は灯具の開口寸法、反射面のF値、反射面の反射特性、凹凸形状等の条件により決まるものであり、条件が変われば好ましい半導体型光源30の傾斜角度も変わる、所望の配光パターンを得ることができる。
【実施例2】
【0035】
前記実施例1では、リフレクター40は、上半部40aと下半部40bとに分割されて構成され、前記半導体型光源30は、前記リフレクター40の上半部40aと下半部40bのそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその発光チップ30aと30bを、前記ホルダー30のリフレクター40側に傾斜した面20aと20bに取り付けるようにした。このように構成することにより、特に、左右に細長く照射する車両灯具として使用したとき、上半部は、ドライビングランプとし、下半部をスポットランプとする等のカットラインを出しやすいという効果を有する。
しかし、これに限られるものではなく、図10及び図11に示すように、リフレクター40は、中心を通る放射線によって略120度の間隔で3個の反射面40a、40b、40cに分割されて構成され、前記半導体型光源30は、前記リフレクター40の3個の反射面40a、40b、40cのそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその発光チップ30a、30b、30cを、前記ホルダー20のリフレクター側に向けた3角面20a、20b、20cにそれぞれ取り付けるようにしてもよい。このような構成により、半導体光源であるLEDは、指向角度が約120度であるため、反射面を3分割にすると、効率のよい灯具となる。
さらに、リフレクター40は、等間隔の反射面ではなく、使用目的によっては、不等間隔で分割してもよく、また、4以上に分割し、それぞれに発光チップを配置してもよい。
【0036】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0037】
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10 車両用灯具等の灯具ユニット
11 灯具ボディ
12 透明カバー
20 ホルダー
30 半導体型光源
40 リフレクター
50 導電性基板
図1
図2
図3
図4
図5
図7
図9
図10
図11
図6
図8