【実施例1】
【0021】
図1乃至
図4は、本発明の実施例1に係る車両用灯具等の灯具ユニットを示している。以下、この実施例1における車両用灯具10の構成について説明する。
【0022】
前記本発明の車両用灯具等の灯具ユニット10は、灯具ボディ11と、透明カバー12と、ホルダー20と、半導体型光源30と、リフレクター40と、導電性基板50とで構成されている。
前記灯具ボディ11は、合成樹脂材料やアルミにより一体的に成形されている。この合成樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)樹脂やポリカーボネート(PC)樹脂やポリカーボネートABS(PC−ABS)樹脂等が好適に用いられる。この灯具ボディ11は、内側の灯室に相当する部分で凹部状に形成されており、後部中央に半導体型光源30を備えたホルダー20が、後方から挿入され、取り付けられ、そしてリフレクター40が前方側から灯具ボディ11に取り付けられる。
【0023】
前記透明カバー12は、例えばポリカーボネート樹脂やポリカーボネートABS樹脂、アクリル(PMMA)樹脂、ハイヒートポリカ樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂等の透明または半透明な合成樹脂材料により成形される。そして、
図1及び
図3に示すように、透明カバー12は、灯具ボディ11の前方開口部の全面を覆って組み付けられ、接着又は融着により固定される。
【0024】
前記半導体型光源30は、平面矩形形状の発光チップとリードフレームを金ワイヤでボンディングして電気的導通させ、セラミックや樹脂などで形成したケースに収められ、シリコーンなどの接着材で封止されたLED等の発光素子であり、発光チップから放射された光は黄色蛍光体を励起して白色光などに変換する。なお、本実施例1では光源として半導体型光源を用いたが、勿論ファイバーでレーザー等をホルダーまで導光したものを用いてもよい。
この半導体型光源30は、ホルダー20の先端の上面20aと下面20bに取り付けられる2個の半導体型光源30aと30bからなる。
【0025】
前記リフレクター40は、前方側から後方側に凹んだ形状をしており、後部中央には半導体型光源30を備えたホルダー20を挿通するための貫通穴41が形成されている。半導体型光源30からの光を前方へ反射させる反射面は、略回転放物面(パラボラ系自由曲面)を基調とした形状で左右方向に短冊状に分割されたマルチリフレクターとして形成していることを特徴とする。短冊状に分割して各部の反射光を調整することによって反射光が横方向(左右方向)に分散して照射されるように設計したもので、凹状の前面にはアルミニウム蒸着等による鏡面処理を施すことによって形成されている。
前記リフレクター40は、水平軸を境にして上半分40aと下半分40bからなり、上半分40aの焦点位置に上面20aの半導体型光源30aが取り付けられ、下半分40bの焦点位置に下面20bの半導体型光源30bが取り付けられる。
【0026】
図5(a)(b)に示すように、前記リフレクター40を構成する上半分40aの反射面は、高光度帯および中光度帯を形成する中央部の反射面(第1反射面40a1および第2反射面40a2)と、低光度帯を形成する端部の反射面(第3反射面40a3)とが、左右方向に短冊状に分割された反射面を形成し、同様に、下半分40bの反射面は、高光度帯および中光度帯を形成する中央部の反射面(第1反射面40b1および第2反射面40b2)と、低光度帯を形成する端部の反射面(第3反射面40b3)とが、左右方向に短冊状に分割された反射面を形成し、各反射面からの反射光が左右方向に分散して照射する。
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の反射面形状を採りうることも云うまでもない。
【0027】
前記ホルダー20は、半導体型光源30が導電性基板50を介して載置され、半導体型光源30で発生した熱を効率的に灯室外部に放出することができる。ホルダー20は放熱性、半導体型光源の出力を考慮して種々の大きさに形成することができ、このようなホルダー20の材質としては、銅、鉄、アルミニウムが好適に用いられるが、灯室内部で半導体型光源30から射出した光を反射するように、加工が容易で反射率が高いアルミニウムが好ましいことは言うまでもない。
また、半導体型光源30を載置するホルダー20は、
図9(a)に示すように、照射方向の後方側に傾斜するように先端部がへ字形状に折曲され、このへ字形状部分におけるリフレクター40側に向けた上面20aと下面20bにそれぞれ半導体型光源30aと30bが取り付けられている。このホルダー20は、電気的接続が容易に可能な範囲で折り曲げ加工され、半導体型光源から側方に放射される光を遮るだけでなく、車両用灯具10の前方から半導体型光源30や導電性基板50を概ね隠すことができる。
【0028】
前記ホルダー20の他方の後端部は、リフレクター40の焦点位置に半導体型光源30を確実に位置決めすることができ、灯具ボディ11との固定に利用される他、灯具ボディ11に直接接続により熱を直接伝熱し、放熱させる機能を持たせることができる。
【0029】
例えば、上記実施例1の車両用灯具等の灯具ユニットにおいては、2回折り曲げたへ字形状の断面形状を有して左右方向に延びる板状に形成されたホルダー20を用いたが、
図9(b)に示すように、先端部をY字形状、略台形状の他に、略半円状等の種々の断面形状を採り得る。また、板状以外の円形状や多角形状 、楕円状等の種々の外形形状を採り得ることは勿論である。この場合において、リフレクター40側に向けた上面20aと下面20bにそれぞれ半導体型光源30aと30bを取り付けるようにする。
前記半導体型光源30aと30bは、
図9(c)に示すように、半導体型光源を反射面側に傾斜して設けるが、傾斜角度は、
図8に示すように、20度のときにリフレクター40の有効反射面を小さくでき、次いで、10度がよく、0度に傾けたとき効果が少ないことが示される。
図7(b)に示すように、半導体型光源30を反射面側に20度傾けたときは、リフレクター40の奥行き90mmのときの器具効率が、半導体型光源30の傾斜角度が0度のときの120mmとほぼ同等であり、20〜30mm薄くできることを表わしている。
【0030】
本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施例に限られるものではない。
【0031】
図6に示すスクリーン上に投影される配光パターン(光度分布)は、上半分40aと下半分40bの反射面によって、ランプ光軸とほぼ平行した光を灯具外に照射させている走行用灯具の配光を示している。尚、スクリーン上のH−Hは水平線、V−Vは鉛直線をそれぞれ示している。
【0032】
灯具外に照射させた光は、水平基準線(H−H)と鉛直基準線(V−V)との交点付近の最高光度、左右方向に左側約7°〜右側約7°、上下方向に上側約2°〜下側約2°の範囲に及んでいる。これでよく分かるとおり、水平線、鉛直線の中央寄りに光度が大きくなる配光で、半導体型光源から射出した光がリフレクターで反射、その反射光のほとんどが灯具光軸に沿ってほぼ平行に灯具外部に照射していることを示している。
【0033】
図7は、灯具の開口寸法を半径r=90mmとして、焦点位置を一致させた条件で回転放物面の奥行きを、80mm、90mm、100mm、110mmと変化させた場合の、半導体型光源の傾斜有無による器具効率を示したもので、半導体型光源の傾斜が0°に比べ、半導体型光源30をリフレクター40の反射面に向けて傾斜させた場合は、放物面の奥行きが少ない条件でも器具効率は高いことを示している。
【0034】
つまり、リフレクター40の奥行きが少ない条件で、半導体型光源30の傾斜が器具効率を高める効果があり、回転放物面の焦点位置に半導体型光源30を配置し、リフレクター40の反射面側に半導体型光源30を傾斜させることで、反射面の全面を有効に利用して、サイズの小さいリフレクター40でも相対的に大きな光出力を得ることが可能である。この半導体型光源30の傾斜角度は灯具の開口寸法、反射面のF値、反射面の反射特性、凹凸形状等の条件により決まるものであり、条件が変われば好ましい半導体型光源30の傾斜角度も変わる、所望の配光パターンを得ることができる。
【実施例2】
【0035】
前記実施例1では、リフレクター40は、上半部40aと下半部40bとに分割されて構成され、前記半導体型光源30は、前記リフレクター40の上半部40aと下半部40bのそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその発光チップ30aと30bを、前記ホルダー30のリフレクター40側に傾斜した面20aと20bに取り付けるようにした。このように構成することにより、特に、左右に細長く照射する車両灯具として使用したとき、上半部は、ドライビングランプとし、下半部をスポットランプとする等のカットラインを出しやすいという効果を有する。
しかし、これに限られるものではなく、
図10及び
図11に示すように、リフレクター40は、中心を通る放射線によって略120度の間隔で3個の反射面40a、40b、40cに分割されて構成され、前記半導体型光源30は、前記リフレクター40の3個の反射面40a、40b、40cのそれぞれの焦点位置に半導体型光源の中心が略一致し、かつその発光チップ30a、30b、30cを、前記ホルダー20のリフレクター側に向けた3角面20a、20b、20cにそれぞれ取り付けるようにしてもよい。このような構成により、半導体光源であるLEDは、指向角度が約120度であるため、反射面を3分割にすると、効率のよい灯具となる。
さらに、リフレクター40は、等間隔の反射面ではなく、使用目的によっては、不等間隔で分割してもよく、また、4以上に分割し、それぞれに発光チップを配置してもよい。
【0036】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0037】
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成を取り得ることは勿論である。