【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、立体構造新機能集積回路(ドリームチップ)技術開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【課題】複数の半導体チップが積層された構造を有する半導体装置において、各半導体チップの接合面における接続強度の均一性を高めることができ、加工歩留りを向上できる、半導体装置およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】第1半導体チップ20aと、第1半導体チップ20aと互いの表面が対向するように配置された第2半導体チップ20bと、第1半導体チップ20aと第2半導体チップ20bとを電気的に接続するように第1半導体チップ20aと第2半導体チップ20bとの間に形成された第1および第2バンプ電極4a,4bを含む電極領域5と、電極領域5の周囲に形成され、かつ第1半導体チップ20aと第2半導体チップ20bとを接続するように、第1半導体チップ20aと第2半導体チップ20bとの間に形成された第1および第2ダミーリング6a,6bとを含む、半導体装置1を形成する。
前記第1電極と電気的に接続されるように前記第2半導体チップの裏面から厚さ方向に向けて形成されたビア電極を含むビア電極領域をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記ビア電極領域の周囲を取り囲むように前記第2半導体チップの前記裏面を厚さ方向に掘り下げて形成され、前記第2半導体チップの前記裏面と前記第3半導体チップの前記表面との間に形成された前記裏面側接合部と接続される埋め込み接合部をさらに含む、請求項7に記載の半導体装置。
前記半導体ウエハを積み重ねる工程の後、前記半導体ウエハを切断する工程に先立って、いずれか一方の前記半導体ウエハの裏面に前記バンプと電気的に接続されるビア電極を形成する工程をさらに含む、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
前記バンプおよび前記接合部を形成する工程を経た前記半導体ウエハを、前記バンプと前記裏面側バンプとが接続されるように、かつ前記接合部と前記裏面側接合部とが接続されるように積み重ねる工程をさらに含む、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
前記ビア電極を形成する工程と同時に、前記半導体チップの裏面を厚さ方向に掘り下げるように、前記ビア電極の周囲を取り囲むように埋め込み接合部を形成する工程をさらに含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
前記バンプおよび前記接合部を形成する工程を経た前記半導体ウエハを、前記バンプと前記ビア電極とが接続されるように、かつ前記接合部と前記埋め込み接合部とが接続されるように積み重ねる工程をさらに含む、請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明のようにバンプやビア電極を用いて複数の半導体チップの接合を行う半導体装置の製造方法では、各半導体チップの接続強度はバンプやビア電極に依存するため、各半導体チップの接合面における接続強度の均一性を確保することが難しい。
そのため、積層された複数の半導体ウエハがそれぞれの接合面において不均一な接続強度を有していると、半導体ウエハを研磨する工程、半導体ウエハにビア電極を形成する工程、半導体ウエハを切断する工程等で生じるストレスによって、各半導体チップの接合面が部分的に剥離したり、各半導体チップの表面に破損等が生じたりする問題がある。このような問題は、加工歩留りの低下を招くため、解決されることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、複数の半導体チップが積層された構造を有する半導体装置において、各半導体チップ間の接合面における接続強度の均一性を高めることができ、加工歩留りを向上できる、半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、第1半導体チップと、前記第1半導体チップと互いの表面が対向するように配置された第2半導体チップと、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとを電気的に接続するように前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間に形成された第1電極を含む第1電極領域と、前記第1電極領域の周囲を取り囲むように形成され、かつ前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとを接続するように、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間に形成された接合部とを含む、半導体装置である。
【0007】
この構成によれば、第1半導体チップおよび第2半導体チップは、第1電極および接合部の両方により接続されている。つまり、第1半導体チップおよび第2半導体チップの接合面における接続強度が第1電極だけに依存するということがない。これにより、第1半導体チップと第2半導体チップとの接合面における接続強度の均一性を効果的に高めることができる。その結果、半導体装置の製造工程時に生じるストレスに強い半導体装置を提供できる。
【0008】
また、この構成によれば、第1電極領域の周囲を取り囲むように接合部が形成されているので、当該接合部により第1電極(第1電極領域)をシールできる。その結果、半導体装置の耐湿信頼性を効果的に向上できる。
請求項2に記載の発明のように、前記第1電極は、前記第1半導体チップの前記表面に形成された第1バンプと、前記第1バンプと電気的に接続されるように、前記第2半導体チップの前記表面に形成された第2バンプとを含み、前記接合部は、前記第1半導体チップの前記表面に形成された第1接合部と、前記第1接合部と接続されるように、前記第2半導体チップの前記表面に形成された第2接合部とを含むことが好ましい。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記第1半導体チップの前記表面に形成された第1絶縁層と、前記第2半導体チップの前記表面に形成された第2絶縁層とをさらに含み、前記第1バンプおよび前記第1接合部は、前記第1絶縁層の表面と面一になるように前記第1絶縁層を厚さ方向に貫通して形成されており、前記第2バンプおよび前記第2接合部は、前記第2絶縁層の表面と面一になるように前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通して形成されている、請求項2に記載の半導体装置である。
【0010】
この構成によれば、第1半導体チップおよび第2半導体チップの接合面を隙間なく密着させることができる。換言すれば、第1半導体チップと第2半導体チップとの間に隙間のない密着層を形成できる。これにより、第1半導体チップと第2半導体チップとの接合面における接続強度の均一性を効果的に高めることができる。
請求項4に記載の発明のように、前記第1半導体チップおよび前記第2半導体チップは、それぞれ半導体素子を含み、前記接合部は、各前記半導体素子と電気的に分離して形成されていることが好ましい。
【0011】
請求項5に記載の発明のように、前記第1電極と電気的に接続されるように前記第2半導体チップの裏面から厚さ方向に向けて形成されたビア電極を含むビア電極領域をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置である。
この構成によれば、半導体装置は、製造工程時に生じるストレスに強い構造を有しているので、第1半導体チップおよび第2半導体チップが部分的に剥離することを抑制しつつ、第1電極とビア電極とを良好に電気的に接続できる。
【0012】
請求項6に記載の発明のように、前記ビア電極は、平面視で前記第1電極と重なる位置に同一の形状で形成されていることが好ましい。
請求項7に記載の発明は、前記第2半導体チップの前記裏面に表面が対向するように配置された第3半導体チップと、前記第2半導体チップと前記第3半導体チップとを電気的に接続するように前記第2半導体チップと前記第3半導体チップとの間に形成された第2電極を含む第2電極領域と、前記第2電極領域の周囲を取り囲むように形成され、前記第2半導体チップと前記第3半導体チップとを接続するように、前記第2半導体チップの前記裏面と前記第3半導体チップの前記表面との間に形成された裏面側接合部とを含む、請求項5または6に記載の半導体装置である。
【0013】
この構成によれば、第2半導体チップおよび第3半導体チップの接合面における接続強度の均一性をも効果的に高めることができる。したがって、第2半導体チップの裏面にさらに第3半導体チップを積層する場合であっても、半導体装置の製造工程時に生じるストレスに強い半導体装置を提供できる。
また、この構成によれば、第2電極領域の周囲を取り囲むように裏面側接合部が形成されているので、当該接合部により第2電極(第2電極領域)をシールできる。その結果、半導体装置の耐湿信頼性を効果的に向上できる。
【0014】
請求項8に記載の発明のように、前記第2電極は、前記第2半導体チップの前記裏面において、前記ビア電極と電気的に接続されるように、かつ前記ビア電極と一体的に連なるように形成された第1裏面側バンプと、前記第1裏面側バンプと電気的に接続されるように前記第3半導体チップの前記表面に形成された第2裏面側バンプとを含み、前記裏面側接合部は、前記第2半導体チップの前記裏面に形成された第1裏面側接合部と、前記第1裏面側接合部と接続されるように前記第3半導体チップの前記表面に形成された第2裏面側接合部とを含むことが好ましい。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記ビア電極領域の周囲を取り囲むように前記第2半導体チップの前記裏面を厚さ方向に掘り下げて形成され、前記第2半導体チップの前記裏面と前記第3半導体チップの前記表面との間に形成された前記裏面側接合部と接続される埋め込み接合部をさらに含む、請求項7に記載の半導体装置である。
請求項10に記載の発明は、前記第2電極は、前記第3半導体チップの前記表面に形成されており、前記裏面側接合部は、前記第3半導体チップの前記表面に形成されている、請求項9に記載の半導体装置である。
【0016】
このような構成によっても、前述の請求項7で述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、この構成によれば、第2半導体チップの裏面にバンプを形成する必要がなく、第3半導体チップに形成された第2電極および裏面側接合部を、第2半導体チップに形成されたビア電極および埋め込み接合部に接続できる。しかも、ビア電極を形成する工程と同一の工程で埋め込み接合部を形成できるので、製造工程を簡略化できる。
【0017】
請求項11に記載の発明は、スクライブ領域により区画された複数の素子形成領域を含む半導体ウエハの表面に、絶縁材料を堆積させて絶縁層を形成する工程と、前記複数の素子形成領域において、前記絶縁層を厚さ方向に掘り下げるように貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を形成する工程と同時に、前記絶縁層を厚さ方向に掘り下げるように前記貫通孔の周囲を取り囲むようにトレンチを形成する工程と、前記絶縁層の表面と面一になるように、前記貫通孔および前記トレンチに導電材料を埋設して、バンプおよび接合部を形成する工程と、前記バンプおよび前記接合部を形成する工程を経た2つの前記半導体ウエハを、互いの前記バンプが接続されるように、かつ互いの前記接合部が接続されるように積み重ねる工程と、前記スクライブ領域に沿って前記半導体ウエハを切断する工程とを含む、半導体装置の製造方法である。
【0018】
この製造方法によれば、各半導体ウエハをバンプおよび接合部の両方により接続できるので、各半導体ウエハの接合面における接続強度の均一性を効果的に高めることができる。また、各半導体ウエハの接合面を隙間なく密着させることができる。これにより、半導体装置の製造工程時に生じるストレスに強い半導体装置を製造できるので、製造工程時に生じるストレスによって、各半導体ウエハの接合面が部分的に剥離したり、各半導体ウエハの表面に破損等が生じたりすることを効果的に抑制できる。その結果、加工歩留りを向上できる。また、接合部によりバンプをシールできるので、半導体装置の耐湿信頼性を向上できる。
【0019】
請求項12に記載の発明は、前記半導体ウエハを積み重ねる工程の後、前記半導体ウエハを切断する工程に先立って、いずれか一方の前記半導体ウエハの裏面に前記バンプと電気的に接続されるビア電極を形成する工程をさらに含む、請求項11に記載の半導体装置の製造方法である。
この製造方法によれば、ビア電極を形成する際のストレスによって、各半導体ウエハの接合面が部分的に剥離したり、半導体ウエハの表面に破損等が生じたりすることを抑制できるので、バンプとビア電極とを良好に接続できる。
【0020】
請求項13に記載の発明は、前記ビア電極を形成する工程の後、前記半導体ウエハを切断する工程に先立って、前記半導体ウエハの前記裏面に絶縁材料を堆積させて裏面側絶縁層を形成する工程と、前記裏面側絶縁層を厚さ方向に掘り下げるように裏面側貫通孔を形成する工程と、前記裏面側貫通孔を形成する工程と同時に、前記裏面側貫通孔の周囲を取り囲むように裏面側トレンチを形成する工程と、前記裏面側絶縁層の表面と面一になるように、前記裏面側貫通孔および前記裏面側トレンチに導電材料を埋設して、裏面側バンプおよび裏面側接合部を形成する工程とをさらに含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法である。
【0021】
この製造方法によれば、裏面側バンプおよび裏面側接合部を形成する際のストレスによって、各半導体ウエハの接合面が部分的に剥離したり、半導体ウエハの表面に破損等が生じたりすることを抑制できるので、裏面側バンプおよび裏面側接合部を良好に形成できる。
請求項14に記載の発明は、前記バンプおよび前記接合部を形成する工程を経た前記半導体ウエハを、前記バンプと前記裏面側バンプとが接続されるように、かつ前記接合部と前記裏面側接合部とが接続されるように積み重ねる工程をさらに含む、請求項13に記載の半導体装置の製造方法である。
【0022】
この製造方法によれば、積層された半導体ウエハのいずれか一方の裏面にさらに半導体ウエハを積層する場合であっても、各半導体ウエハの間を隙間なく密着させることができる。また、各半導体ウエハをバンプ(裏面側バンプ)および接合部(裏面側接合部)の両方により接続できるので、各半導体ウエハの接合面における接続強度の均一性を効果的に高めることができる。その結果、半導体装置の製造工程時に生じるストレスに強い半導体装置を製造できるので、加工歩留りを向上できる。
【0023】
また、この構成によれば、接合部(裏面側接合部)によりバンプ(裏面側バンプ)をシールできるので、半導体装置の耐湿信頼性を効果的に向上させることができる。
請求項15に記載の発明は、前記ビア電極を形成する工程と同時に、前記半導体チップの裏面を厚さ方向に掘り下げるように、前記ビア電極の周囲を取り囲むように埋め込み接合部を形成する工程をさらに含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法である。
【0024】
この製造方法によれば、埋め込み接合部を形成する際のストレスによって、各半導体ウエハの接合面が部分的に剥離したり、各半導体ウエハの表面に破損等が生じたりすることを抑制できるので、埋め込み接合部を良好に形成できる。しかも、このような埋め込み接合部は、ビア電極を形成する工程と同一の工程で形成できるので、製造工程が増加することもない。
【0025】
請求項16に記載の発明は、前記バンプおよび前記接合部を形成する工程を経た前記半導体ウエハを、前記バンプと前記ビア電極とが接続されるように、かつ前記接合部と前記埋め込み接合部とが接続されるように積み重ねる工程をさらに含む、請求項15に記載の半導体装置の製造方法である。
この製造方法のように、半導体ウエハの裏面に埋め込み接合部を形成する場合には、当該半導体ウエハの裏面上にバンプを形成する必要がない。そのため、当該半導体ウエハの裏面に、バンプおよび接合部を形成する工程を経た他の半導体ウエハをそのまま積層できる。その結果、製造工程を簡略化できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1および
図2を参照して、半導体装置1を形成するための半導体ウエハ100の構成について説明し、次に、
図3を参照して、半導体装置1の構成について説明する。
<半導体ウエハ>
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体ウエハ100を示す模式的な平面図である。
図2は、
図1の切断面線II−IIから見た断面図である。なお、
図1では、半導体ウエハ100において4つの素子形成領域2を含む領域D(二点鎖線で囲まれた領域)を拡大して示している。
【0028】
半導体ウエハ100は、
図2に示すように、シリコン基板からなる半導体基板10と、半導体基板10上に形成された配線層11と、配線層11上に形成された絶縁層12とを含む。半導体基板10には、複数の素子形成領域2と、複数の素子形成領域2を区画するスクライブ領域3とが設定されている。
各素子形成領域2は、
図1に示すように、平面視矩形状に形成されていて、互いに間隔を空けるように行方向および列方向にそれぞれ整列して形成されている。つまり、各素子形成領域2は、行列状に形成されている。
【0029】
スクライブ領域3は、ダイシングブレードによるダイシングカットが行われる領域である。スクライブ領域3は、
図1に示すように、各素子形成領域2を区画するようにメッシュ状に形成されている。スクライブ領域3に沿って半導体ウエハ100がダイシングされることにより、各素子形成領域2が個片化されて半導体チップが得られる。
半導体基板10の素子形成領域2には、トランジスタ、MOSFET、レジスタ、キャパシタ等の各種の半導体素子、受動素子等が選択的に形成されている。以下では、半導体基板10の半導体素子、受動素子等が選択的に形成された側の表面を、半導体基板10のアクティブ面15という。半導体基板10の膜厚T1は、たとえば700μm〜800μmである。
【0030】
配線層11は、たとえば多層配線構造を有しており、最上層配線としてのトップメタル16を含む。なお、
図2では、最上層配線の下方の配線層の図示を省略している。トップメタル16は、素子形成領域2に形成されており、配線層11の最表面から露出するように形成されている。トップメタル16は、半導体基板10のアクティブ面15に形成された半導体素子等と電気的に接続されている。
【0031】
絶縁層12は、トップメタル16を覆うように配線層11上に形成されている。絶縁層12の膜厚は、たとえば2μm〜10μmである。絶縁層12は、ポリイミド、カーボンポリイミド等の有機絶縁材料を含む有機絶縁層からなることが好ましいが、酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁材料によって形成されていてもよい。なお、この実施形態では、一つの層からなる絶縁層12について説明するが、複数層に亘って形成された絶縁層が採用されてもよい。素子形成領域2における絶縁層12には、本発明の第1電極領域としての電極領域5と、電極領域5の周囲を取り囲む本発明の接合部としてのダミーリング6とが形成されている。
【0032】
電極領域5には、本発明の第1電極としての複数のバンプ電極4が形成されている。複数のバンプ電極4は、この実施形態では、
図1に示すように、平面視円形状に形成されており、互いに間隔を空けるように行方向および列方向に整列して形成されている。つまり、複数のバンプ電極4は、電極領域5において行列状に形成されている。
バンプ電極4は、
図2に示すように、貫通孔17に埋設された導電材料を含む。貫通孔17は、トップメタル16を露出させるように、絶縁層12を厚さ方向に貫通して形成されている。バンプ電極4の導電材料は、絶縁層12の表面と面一になるように貫通孔17に埋設されている。つまり、バンプ電極4は、トップメタル16(配線層11)を介して、半導体基板10のアクティブ面15に形成された半導体素子等と電気的に接続されている。バンプ電極4の導電材料としては、Cu(銅),Au(金),Sn(錫)等を例示できる。
【0033】
一方、ダミーリング6は、
図1に示すように、電極領域5の周囲を取り囲むように閉環状(この実施形態では、平面視四角環状)に形成されている。ダミーリング6は、トレンチ18に埋設された導電材料を含む。トレンチ18は、絶縁層12を掘り下げるように平面視四角環状に形成されている。また、トレンチ18の底部は、配線層11に至る位置に形成されている。ダミーリング6の導電材料は、絶縁層12の表面と面一になるようにトレンチ18に埋設されている。ダミーリング6の導電材料としては、Cu,Au,Sn等を例示できる。
【0034】
ダミーリング6は、その底部が配線層11に至るように形成されているが、トップメタル16と電気的には接続されていない。つまり、ダミーリング6は、半導体基板10のアクティブ面15に形成された半導体素子等とは電気的に分離して形成されている。
半導体装置1は、このような半導体ウエハ100を互いの表面および/または裏面が対向するように複数周期に亘って積層して形成されたウエハ積層構造物をスクライブ領域3に沿って切断することにより得ることができる。このとき積層される各半導体ウエハ100の各素子領域2には、互いに異なる機能を有する半導体素子、受動素子等が形成されていてもよいし、同一の機能を有する半導体素子、受動素子等が形成されていてもよい。
<半導体装置>
図3は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1を示す模式的な断面図である。
【0035】
半導体装置1は、この実施形態では、複数の半導体チップが積層された構成を有している。この実施形態では、複数の半導体チップとして3つの半導体チップ(第1〜第3半導体チップ20a,20b,20c)が積層された例について説明するが、3つ以上の半導体チップが積層されていてもよい。
図3に示すように、半導体装置1は、第1〜第3半導体チップ20a,20b,20cを含む。第1〜第3半導体チップ20a,20b,20cには、素子形成領域2と、終端領域21とが設定されている。終端領域21は、スクライブ領域3のダイシングブレードにより切断されなかった領域である。第1〜第3半導体チップ20a,20b,20cの各素子形成領域2には、それぞれ、互いに異なる機能を有する半導体素子、受動素子が形成されていてもよいし、同一の機能を有する半導体素子、受動素子等が形成されていてもよい。
【0036】
第1〜第3半導体チップ20a,20b,20cは、第1〜第3半導体基板10a,10b,10cと、第1〜第3半導体基板10a,10b,10c上に形成された第1〜第3配線層11a,11b,11cと、第1〜第3配線層11a,11b,11c上に形成された第1〜第3絶縁層12a,12b,12cとを含む。第1〜第3絶縁層12a,12b,12cには、第1〜第3バンプ電極4a,4b,4cと第1〜第3ダミーリング6a,6b,6cとが形成されている。第1〜第3バンプ電極4a,4b,4cは、第1〜第3配線層11a,11b,11cに選択的に形成されたトップメタル16と各々接続されている。以下では、第1〜第3半導体基板10a,10b,10cの半導体素子、受動素子等が選択的に形成された側の各表面を、それぞれ第1〜第3アクティブ面15a,15b,15cという。
【0037】
第1半導体チップ20aは、第1半導体基板10aの第1アクティブ面15aを上方に向けた姿勢で、支持基板として最下層に配置されている。また、第2半導体チップ20bは、第2半導体基板10bの第2アクティブ面15bが第1半導体チップ20aの第1アクティブ面15aと互いに対向するように第1半導体チップ20a上に積層されている。また、第3半導体チップ20cは、第3半導体基板10cの第3アクティブ面15cが第2半導体チップ20bの裏面(すなわち、第2半導体チップ20bの第2アクティブ面15bと反対側の面)と対向するように積層されている。
【0038】
第2半導体チップ20bは、第2バンプ電極4bが第1半導体チップ20aの第1バンプ電極4aと接続されるように、かつ第2ダミーリング6bが第1半導体チップ20aの第1ダミーリング6aと接続されるように第1半導体チップ20a上に積層されている。つまり、第1および第2半導体チップ20a,20bは、第1および第2バンプ電極4a,4bを介して電気的および機械的に接続され、また第1および第2ダミーリング6a,6bを介して機械的に接続されている。
【0039】
換言すれば、第1および第2半導体チップ20a,20bは、第1および第2バンプ電極4a,4bが一体的に連なるように形成された柱状の接続電極と、第1および第2ダミーリング6a,6bが一体的に連なるように形成されたリング状の接合部とによって接続されている。また、第1および第2半導体チップ20a,20bの間には第1および第2絶縁層12a,12bが一体的に連なるように形成された絶縁層が形成されていて、第1および第2半導体チップ20a,20bの接合面は、隙間なく密着している。すなわち、第1および第2半導体チップ20a,20bの間には、絶縁層と、当該絶縁層を貫通するように形成された接続電極と、当該接続電極を取り囲む接合部とによって、隙間のない密着層が形成されている。
【0040】
第2半導体チップ20bの第2半導体基板10bは、第1半導体チップ20aの第1半導体基板10aよりも薄く形成されており、その膜厚T2は、たとえば10μm〜100μmである。
第2半導体基板10bには、本願発明のビア電極領域としての第1ビア電極領域28が形成されている。第1ビア電極領域28は、第2配線層11bと電気的に接続されるように形成された本願発明のビア電極としての複数の第1ビア電極25を含む。この実施形態では、第1ビア電極25が、平面視で第2バンプ電極4bと重なる位置に同一の形状で形成された例を示している。なお、第1ビア電極25は、TSV(Through Silicon Via)である。
【0041】
第1ビア電極25は、貫通孔26に埋設された導電材料を含む。貫通孔26は、その底部が第2半導体基板10bの第2配線層11bに至るように、第2半導体基板10bを厚さ方向に貫通して形成されている。貫通孔26の側面を含む第2半導体基板10bの裏面には、絶縁膜27が形成されている。絶縁膜27は、たとえばシリコン酸化膜である。第1ビア電極25の導電材料は、貫通孔26の側面に形成された絶縁膜27を介して貫通孔26に埋め込まれている。第1ビア電極25の導電材料としては、Cu,Au,Sn等を例示できる。
【0042】
なお、第1ビア電極25は、平面視において第2バンプ電極4bと重なる位置に形成されている必要はなく、たとえば引き回し配線等(図示せず)を介して第2バンプ電極4bと異なる位置に形成されている例を採用してもよい。また、第1ビア電極25は、第2バンプ電極4bと異なる形状、大きさで形成されていてもよい。
第2半導体基板10bの裏面上には、裏面側絶縁層29と、本発明の裏面側電極領域としての裏面側電極領域31と、本発明の裏面側接合部としての裏面側ダミーリング32とが形成されている。
【0043】
裏面側絶縁層29は、第1ビア電極25を覆うように、第2半導体基板10bの裏面上に形成されている。裏面側絶縁層29の膜厚は、たとえば2μm〜10μmである。裏面側絶縁層29は、ポリイミド、カーボンポリイミド等の有機絶縁材料を含む有機絶縁層からなることが好ましいが、酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁材料によって形成されていてもよい。
【0044】
裏面側電極領域31は、複数の第1ビア電極25と電気的に接続されるように形成された本願発明の裏面側電極としての複数の裏面側バンプ電極30を含む。この実施形態では、各裏面側バンプ電極30が、平面視において、各第1ビア電極25と重なる位置に同一の形状で形成された例を示している。
裏面側バンプ電極30は、貫通孔33に埋設された導電材料を含む。貫通孔33は、第1ビア電極25を露出させるように、裏面側絶縁層29を厚さ方向に貫通して形成されている。裏面側バンプ電極30の導電材料は、裏面側絶縁層29の表面と面一になるように貫通孔33に埋設されている。裏面側バンプ電極30は、第1ビア電極25と電気的に接続されるように一体的に連なるように形成されている。つまり、裏面側バンプ電極30は、第1ビア電極25を介して、第1および第2半導体チップ20a,20bと電気的に接続されている。裏面側バンプ電極30の導電材料としては、Cu,Au,Sn等を例示できる。
【0045】
なお、各裏面側バンプ電極30は、平面視において各第1ビア電極25と重なる位置に形成されている必要はなく、たとえば引き回し配線等(図示せず)を介して各第1ビア電極25と異なる位置に形成されている例を採用してもよい。また、各裏面側バンプ電極30は、各第1ビア電極25と異なる形状、大きさで形成されていてもよい。
裏面側ダミーリング32は、裏面側トレンチ34に埋設された導電材料を含み、この実施形態では、平面視において、前述の第1および第2ダミーリング6a,6bと同じ位置に同一の形状で形成されている。裏面側トレンチ34は、裏面側絶縁層29を掘り下げるように平面視四角環状に形成されている。裏面側トレンチ34は、裏面側絶縁層29を厚さ方向に貫通して、その底部が第2半導体基板10bの裏面に形成された絶縁膜27に至るように形成されている。
【0046】
裏面側ダミーリング32の導電材料は、裏面側絶縁層29の表面と面一になるように裏面側トレンチ34に埋設されている。すなわち、裏面側ダミーリング32は、第1および第2半導体チップ20a,20bと電気的に分離するように形成されている。裏面側ダミーリング32は、裏面側バンプ電極30と同一の導電材料で形成されていることが好ましい。
【0047】
第3半導体チップ20cは、第3バンプ電極4cと裏面側バンプ電極30とが接続されるように、かつ第3ダミーリング6cと裏面側ダミーリング32とが接続されるように第2半導体基板10bの裏面上に積層されている。つまり、第2および第3半導体チップ20b,20cは、第3バンプ電極4cおよび裏面側バンプ電極30を介して電気的および機械的に接続され、また第3ダミーリング6cおよび裏面側ダミーリング32を介して機械的に接続されている。
【0048】
換言すれば、第2および第3半導体チップ20b,20cは、第3バンプ電極4cと裏面側バンプ電極30とが一体的に連なるように形成された柱状の接続電極と、第3ダミーリング6cと裏面側ダミーリング32とが一体的に連なるように形成されたリング状の接合部とによって接続されている。また、第2および第3半導体チップ20b,20cの間には第3絶縁層12cおよび裏面側絶縁層29が一体的に連なるように形成された絶縁層が形成されていて、第1および第2半導体チップ20a,20bの接合面は、隙間なく密着している。すなわち、第2および第3半導体チップ20b,20cの間には、絶縁層と、当該絶縁層を貫通するように形成された接続電極と、当該接続電極を取り囲む接合部とによって隙間のない密着層が形成されている。
【0049】
第3半導体チップ20cの第3半導体基板10cは、前述の第2半導体基板10bと同様に、第1半導体チップ20aの第1半導体基板10aよりも薄く形成されており、その膜厚T3は、たとえば10μm〜100μmである。
第3半導体基板10cには、第2ビア電極領域37が形成されている。第2ビア電極領域37は、第3半導体チップ20cの第3配線層11cと電気的に接続されるように形成された複数の第2ビア電極38を含む。この実施形態では、複数の第2ビア電極38が、平面視で第3バンプ電極4cと重なる位置に同一の形状になるように形成された例を示している。なお、第2ビア電極38は、第1ビア電極25と同様、TSVである。
【0050】
第2ビア電極38は、貫通孔39に埋設された導電材料を含む。貫通孔39は、その底部が第3半導体チップ20cの第3配線層11cに至るように、第3半導体基板10cを厚さ方向に貫通して形成されている。貫通孔39の側面を含む第3半導体基板10cの裏面には、絶縁膜40が形成されている。絶縁膜40は、たとえばシリコン酸化膜である。第2ビア電極38の導電材料は、貫通孔39の側面に形成された絶縁膜40を介して貫通孔39に埋め込まれている。第2ビア電極38の導電材料としては、Cu,Au,Sn等を例示できる。
【0051】
なお、各第2ビア電極38は、各第3バンプ電極4cと重なる位置に形成されている必要はなく、たとえば引き回し配線等(図示せず)を介して各第3バンプ電極4cと異なる位置に形成されている例を採用してもよい。また、各第2ビア電極38は、各第3バンプ電極4cと異なる形状、大きさで形成されていてもよい。
第3半導体基板10cの裏面上には第2ビア電極38を覆うように表面バンプ電極41が形成されている。表面バンプ電極41の導電材料としては、Cu,Au,Sn等を例示できる。表面バンプ電極41は、半導体装置1の外部端子として機能する。表面バンプ電極41に電力が供給されると、第1〜第3半導体チップ20a,20b,20cに電力が供給される。
【0052】
以上のように、半導体装置1の構成によれば、第1および第2半導体チップ20a,20bは、複数の第1および第2バンプ電極4a,4bおよび第1および第2ダミーリング6a,6bの両方により接続されている。つまり、第1および第2半導体チップ20a,20bの接合面における接続強度が複数の第1および第2バンプ電極4a,4bの接続部だけに依存するということがない。
【0053】
また、同様に、第2および第3半導体チップ20b,20cは、複数の裏面側バンプ電極30および第3バンプ電極4c、ならびに裏面側ダミーリング32および第3ダミーリング6cの両方により接続されている。つまり、第2および第3半導体チップ20b,20cの接合面における接続強度が裏面側バンプ電極30および第3バンプ電極4cの接続部だけに依存するということがない。
【0054】
これにより、第1および第2半導体チップ20a,20bの接合面における接続強度の均一性、ならびに第2および第3半導体チップ20b,20cの接合面における接続強度の均一性をより一層高めることができるので、半導体装置の製造工程時に生じるストレスに強い半導体装置を提供できる。
さらに、半導体装置1の構成によれば、第1〜第3ダミーリング6a,6b,6cおよび裏面側ダミーリング32により、第1〜第3バンプ電極4a,4b,4cおよび裏面側バンプ電極30をシールできるので、半導体装置1の耐湿信頼性をより一層向上できる。
【0055】
次に、
図4A〜
図4Jを参照して半導体装置1の製造工程について説明する。
図4A〜
図4Jは、
図3に示す半導体装置1の製造工程の一例を説明するための断面図である。
図4Aに示すように、半導体装置1を製造するためには、まず、半導体基板10に素子形成領域2とスクライブ領域3とが設定される。次に、素子形成領域2における半導体基板10に、トランジスタ、MOSFET、レジスタ、キャパシタ等の各種の半導体素子、受動素子等が選択的に形成される。これにより、半導体基板10の表面に、半導体素子、受動素子等が選択的に形成されたアクティブ面15が形成される。
【0056】
次に、
図4Bに示すように、半導体基板10上に、アクティブ面15に形成された半導体素子等と電気的に接続される配線層11(たとえば、多層配線構造)が形成される。このとき、配線層11の素子形成領域2には、最上層配線としてのトップメタル16が配線層11の最表面から露出するように形成される。
次に、
図4Cに示すように、トップメタル16を覆うように絶縁材料(たとえば、感光性ポリイミド)が堆積されて、絶縁層12が形成される。次に、フォトリソグラフィによって、貫通孔17およびダミーリング6に対応するパターンで絶縁層12が露光される。これにより、貫通孔17とダミーリング6を形成するためのトレンチ18とが同時に形成(現像)される。
【0057】
次に、
図4Dに示すように、貫通孔17およびトレンチ18、ならびに絶縁層12の表面全域に下地電極膜としてのシード膜(図示せず)がスパッタ法により成膜される。次に、シード膜成膜後の貫通孔17およびトレンチ18を埋め戻すように、導電材料が絶縁層12上にめっき成膜される。次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法により、絶縁層12上にめっき成膜された導電材料およびシード膜の不要な部分が除去される。これにより、絶縁層12の表面と面一な表面を有する複数のバンプ電極4(電極領域5)とダミーリング6とが形成されて、
図1および
図2に示す半導体ウエハ100が得られる。
【0058】
次に、
図4Eに示すように、
図4A〜
図4Dの工程を経た2つの半導体ウエハ100が用意される。以下では、説明の便宜上、最下層に配置される半導体ウエハ100を第1半導体ウエハ100aといい、当該第1半導体ウエハ100a上に順に積層される半導体ウエハ100を第2および第3半導体ウエハ100b,100cという。
次に、第2半導体ウエハ100bが第1半導体ウエハ100a上に積層される。このとき、第2半導体ウエハ100bは、第1半導体ウエハ100aの第1アクティブ面15aと第2半導体ウエハ100bの第2アクティブ面15bとが互いに対向するように積層される。より具体的には、第1および第2半導体ウエハ100a,100bは、第1および第2バンプ電極4a,4b、第1および第2ダミーリング6a,6b、および第1および第2絶縁層12a,12bがそれぞれ接続されるように積み重ねられる。このとき、第1および第2半導体ウエハ100a,100bは、それぞれの接合面がプラズマクリーニングされた後、所定の接着温度で熱圧着される。
【0059】
次に、第2半導体ウエハ100bの第2半導体基板10bの裏面(すなわち、第2アクティブ面15bと反対側の面)に対して、砥石による研削、およびCMP法による研磨が実行されて、第2半導体基板10bが薄化される。
次に、
図4Fに示すように、第1ビア電極25を形成すべき領域に選択的に開口を有するマスク22が第2半導体基板10bの裏面上に形成される。次に、マスク22を介して第2半導体基板10bの裏面がエッチングされて、貫通孔26が形成される。貫通孔26が形成された後、マスク22は除去される。
【0060】
次に、
図4Gに示すように、CVD法により貫通孔26の側面を含む第2半導体基板10bの裏面全域にシリコン酸化膜からなる絶縁膜27が形成される。次に、貫通孔26を含む絶縁膜27の表面全域に下地電極膜としてのシード膜(図示せず)がスパッタ法により成膜される。次に、シード膜成膜後の貫通孔26を埋め戻すように、導電材料が絶縁膜27上にめっき成膜される。次に、CMP法により、絶縁膜27上にめっき成膜された導電材料の不要な部分が除去される。これにより、絶縁膜27の表面と面一な表面を有する第1ビア電極25が形成される。
【0061】
次に、
図4Hに示すように、第1ビア電極25を覆うように絶縁材料(たとえば、感光性ポリイミド)が第2半導体基板10bの裏面に堆積されて、裏面側絶縁層29が形成される。次に、フォトリソグラフィによって、貫通孔33と、裏面側ダミーリング32を形成するための裏面側トレンチ34とに対応するパターンで裏面側絶縁層29が露光される。これにより、貫通孔33と裏面側ダミーリング32を形成するための裏面側トレンチ34とが同時に形成(現像)される。
【0062】
次に、貫通孔33および裏面側トレンチ34を含む裏面側絶縁層29の表面全域に下地電極膜としてのシード膜(図示せず)がスパッタ法により成膜される。次に、シード膜成膜後の貫通孔33および裏面側トレンチ34を埋め戻すように、導電材料が裏面側絶縁層29上にめっき成膜される。次に、CMP法により、裏面側絶縁層29上にめっき成膜された導電材料およびシード膜の不要な部分が除去される。これにより、裏面側バンプ電極30および裏面側ダミーリング32が、裏面側絶縁層29の表面と面一な表面を有するように同時に形成される。
【0063】
次に、
図4Iに示すように、
図4A〜
図4Dの工程を経た第3半導体ウエハ100cが第2半導体ウエハ100bの裏面上に積層される。このとき、第3半導体ウエハ100cは、第2半導体ウエハ100bの裏面と第3半導体ウエハ100cの第3アクティブ面15cとが互いに対向するように積層される。より具体的には、第2半導体ウエハ100bと第3半導体ウエハ100cとは、第3バンプ電極4cおよび裏面側バンプ電極30、第3ダミーリング6cおよび裏面側ダミーリング32、ならびに、第3絶縁層12cおよび裏面側絶縁層29がそれぞれ互いに接続されるように積み重ねられる。このとき、第2および第3半導体ウエハ100b,100cは、それぞれの接合面がプラズマクリーニングされた後、所定の接着温度で熱圧着される。
【0064】
次に、第3半導体基板10cの裏面(すなわち、第3アクティブ面15cと反対側の面)に対して、砥石による研削、およびCMP法による研磨が実行されて、第3半導体基板10cが薄化される。
次に、
図4Jに示すように、第3半導体基板10cの裏面に第2ビア電極38が形成される。第2ビア電極38を形成するには、まず、第3半導体基板10cの裏面に第2ビア電極38を形成すべき領域に選択的に開口を有するマスク(図示せず)が形成される。次に、当該マスクを介して第3半導体基板10cの裏面がエッチングされて、貫通孔39が形成される。貫通孔39が形成された後、マスクは除去される。
【0065】
次に、CVD法により貫通孔39の側面を含む第3半導体基板10cの裏面全域にシリコン酸化膜からなる絶縁膜40が形成される。次に、貫通孔39を含む絶縁膜40の表面全域に下地電極膜としてのシード膜(図示せず)がスパッタ法により成膜される。次に、シード膜成膜後の貫通孔39を埋め戻すように、導電材料が絶縁膜40上にめっき成膜される。次に、CMP法により、絶縁膜40上にめっき成膜された導電材料およびシード膜の不要な部分が除去される。これにより、絶縁膜40の表面と面一な第2ビア電極38が形成される。
【0066】
次に、各第2ビア電極38上に、導電材料を選択的にめっき成膜することにより、表面バンプ電極41が形成される。これにより、第1〜第3半導体ウエハ100a,100b,100cが積層されたウエハ積層構造物101が形成される。
次に、ダイシングブレードDBによってウエハ積層構造物101がスクライブ領域3に沿って切断される。これにより、
図3に示すように、第1〜第3半導体チップ20a,20b,20cが積層された構造を有する半導体装置1が製造される。
【0067】
以上のように、半導体装置1の製造方法によれば、
図4Eの工程において、第1および第2半導体ウエハ100a,100bを第1および第2バンプ電極4a,4bおよび第1および第2ダミーリング6a,6bの両方により接続できる。このとき、第1および第2半導体ウエハ100a,100bとの接合面は、隙間なく密着されている。
これにより、第1および第2半導体ウエハ100a,100bの接合面における接続強度の均一性を効果的に高めることができるので、CMPによる第2半導体基板10bの研磨工程時におけるストレスによって、第1および第2半導体ウエハ100a,100bの接合面が部分的に剥離したり、第1および第2半導体ウエハ100a,100bの各表面に破損等が生じたりすることを効果的に抑制できる。
【0068】
また、この製造方法によれば、
図4F〜
図4Hの工程において、第1ビア電極25、裏面側バンプ電極30、および裏面側ダミーリング32を形成する際のストレスによって、第1および第2半導体ウエハ100a,100bの接合面が部分的に剥離したり、半導体ウエハの表面に破損等が生じたりすることも効果的に抑制できるので、第1ビア電極25、裏面側バンプ電極30、および裏面側ダミーリング32を良好に形成できる。
【0069】
さらに、この製造方法によれば、
図4Iの工程において、第2半導体ウエハ100bの裏面に第3半導体ウエハ100cをさらに積層する場合であっても、第2および第3半導体ウエハ100b,100cを第3バンプ電極4cおよび裏面側バンプ電極30、ならびに第3ダミーリング6cおよび裏面側ダミーリング32の両方により接続できる。このとき、第2および第3半導体ウエハ100b,100cの接合面は、隙間なく密着されている。
【0070】
これにより、第2および第3半導体ウエハ100b,100cの接合面における接続強度の均一性を効果的に高めることができるので、CMPによる第3半導体基板10cの研磨工程時におけるストレスによって、第1〜3半導体ウエハ100a,100b,100cの各接合面が部分的に剥離したり、第1〜3半導体ウエハ100a,100b,100cの各表面に破損等が生じたりすることを効果的に抑制できる。
【0071】
また、この製造方法によれば、
図4Jの工程において、第2ビア電極38および表面バンプ電極41を形成する際のストレスによって、第1〜3半導体ウエハ100a,100b,100cの各接合面が部分的に剥離したり、第1〜3半導体ウエハ100a,100b,100cの各表面に破損等が生じたりすることも効果的に抑制できるので、第2ビア電極38および表面バンプ電極41を良好に形成できる。
【0072】
さらに、
図4Jの工程において、ウエハ積層構造物101をダイシングブレードDBによって切断する際のストレスによって第1〜3半導体ウエハ100a,100b,100cの各接合面が部分的に剥離したり、第1〜3半導体ウエハ100a,100b,100cの各表面に破損等が生じたりすることも効果的に抑制できるので、ウエハ積層構造物101を良好に切断できる。
【0073】
以上のように、半導体装置1の製造工程によれば、第1〜3半導体ウエハ100a,100b,100cの間の各接合面における接続強度の均一性を効果的に高めることができるので、加工歩留りを向上できる。さらに、第1〜第3ダミーリング6a,6b,6cおよび裏面側ダミーリング32により、第1〜第3バンプ電極4a,4b,4cおよび裏面側バンプ電極30を効果的にシールできるので、半導体装置1の耐湿信頼性をより一層向上できる。
【0074】
図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置51を示す模式的な平面図である。第2実施形態に係る半導体装置51が、前述の第1実施形態に係る半導体装置1と異なる点は、第2半導体チップ20bの裏面上に裏面側絶縁層29、裏面側バンプ電極30(裏面側電極領域31)、裏面側ダミーリング32が形成されていない点、および、第2半導体チップ20bに埋め込みダミーリング52が形成されている点である。その他の構成は、前述の第1実施形態に係る半導体装置1の構成と同等である。
図5において、前述の
図1〜
図4Jに示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0075】
図5に示すように、第2半導体チップ20bの裏面には、第1ビア電極領域28の周囲を取り囲むように、本発明の埋め込み接合部としての埋め込みダミーリング52が形成されている。
埋め込みダミーリング52は、平面視において、第1および第2ダミーリング6a,6bと同じ位置に同一の形状で形成されている。埋め込みダミーリング52は、裏面側トレンチ53に埋設された導電材料を含む。裏面側トレンチ53は、第2半導体チップ20bを厚さ方向に掘り下げるように平面視四角環状に形成されている。裏面側トレンチ53の底部は、第2半導体チップ20bの厚さ方向途中部に位置するように形成されている。つまり、裏面側トレンチ53の底部は、第2半導体チップ20bの表面(第2アクティブ面15b)と裏面との間に形成されている。また、裏面側トレンチ53の幅Wは、貫通孔26の直径φよりも幅狭に形成されている。裏面側トレンチ53の側面を含む第2半導体基板10bの裏面には、絶縁膜27が形成されている。
【0076】
埋め込みダミーリング52の導電材料は、絶縁膜27を介して、第2半導体チップ20bの裏面と面一になるように裏面側トレンチ53に埋設されている。埋め込みダミーリング52は、第1および第2半導体チップ20a,20bと電気的に分離するように形成されている。埋め込みダミーリング52は、第1ビア電極25の導電材料と同一材料(すなわち、Cu,Au,Sn等)で形成されている。
【0077】
このような構成によっても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。このような半導体装置51を製造するには、前述の第1実施形態における
図4F〜
図4Gの工程に代えて、
図6A〜
図6Bの工程を実行すればよい。
図6A〜
図6Bは、
図5に示す半導体装置51の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【0078】
第2実施形態では、
図4Eの工程において、第2半導体基板10bが薄化された後、
図6Aに示すように、マスク22に代えて、第1ビア電極25および埋め込みダミーリング52を形成すべき領域に選択的に開口を有するマスク122が第2半導体基板10bの裏面上に形成される。
次に、マスク122を介して第2半導体基板10bの裏面がエッチングされて、貫通孔26および裏面側トレンチ53が形成される。このとき、マスク122のレイアウトは、裏面側トレンチ53の幅Wが、貫通孔26の直径φよりも幅狭に形成されるように調整されている。そのため、裏面側トレンチ53は、貫通孔26よりも遅くエッチングされる。したがって、貫通孔26の底部が配線層11に到達した際には、裏面側トレンチ53の底部は、第2半導体基板10bの厚さ方向途中部に位置するように形成される。これにより、その底部が第2半導体チップ20bの表面(第2アクティブ面15b)と裏面との間に形成された裏面側トレンチ53を得ることができる。貫通孔26および裏面側トレンチ53が形成された後、マスク122は除去される。
【0079】
次に、
図6Bに示すように、CVD法により貫通孔26の側面および裏面側トレンチ53の側面を含む第2半導体基板10bの裏面全域にシリコン酸化膜からなる絶縁膜27が形成される。次に、貫通孔26および裏面側トレンチ53を含む絶縁膜27の表面全域に下地電極膜としてのシード膜(図示せず)がスパッタ法により成膜される。次に、シード膜成膜後の貫通孔26および裏面側トレンチ53を埋め戻すように、導電材料が絶縁膜27上にめっき成膜される。次に、CMP法により、絶縁膜27上にめっき成膜された導電材料の不要な部分が除去される。これにより、絶縁膜27の表面と面一な表面を有する第1ビア電極25および埋め込みダミーリング52が形成される。
【0080】
次に、
図4Iの工程と同様に、
図4A〜
図4Dの工程を経た第3半導体ウエハ100cが第2半導体ウエハ100bの裏面上に直接積層される。このとき、第3半導体ウエハ100cは、第3アクティブ面15cが第2半導体ウエハ100bの裏面と対向するように積層される。より具体的には、第2および第3半導体ウエハ100b,100cは、第3バンプ電極4cおよび第1ビア電極25、第3ダミーリング6cおよび埋め込みダミーリング52、ならびに第3絶縁層12cおよび第2半導体基板10bの裏面上に形成された絶縁膜27がそれぞれ互いに接続されるように積み重ねられる。このとき、第2および第3半導体ウエハ100b,100cは、それぞれの接合面がプラズマクリーニングされた後、所定の接着温度で熱圧着されることが好ましい。
【0081】
第3半導体ウエハ100cが積層された後、
図4Jと同様の工程を経て、
図5に示す半導体装置51が製造される。
以上のように、半導体装置51の製造方法によれば、埋め込みダミーリング52を形成する際のストレスによって、第1および第2半導体ウエハ100a,100bの接合面が部分的に剥離したり、第1および第2半導体ウエハ100a,100bの表面に破損等が生じたりすることを抑制できる。その結果、埋め込みダミーリング52を良好に形成できる。しかも、このような埋め込みダミーリング52は、第1ビア電極25を形成する工程と同一の工程で形成できるので、製造工程の工程数が増加することがない。
【0082】
また、半導体装置51の製造方法によれば、前述の第1実施形態と異なり、第2半導体ウエハ100bの裏面上に裏面側絶縁層29、裏面側バンプ電極30(裏面側電極領域31)、裏面側ダミーリング32を形成する必要がなく、第3半導体ウエハ100cを第2半導体ウエハ100bの裏面に直接積層できる。その結果、製造工程を簡略化できる。
さらに、
図4Jの工程において、ウエハ積層構造物101をダイシングブレードDBによって切断する際のストレスによって第1〜3半導体ウエハ100a,100b,100cの各接合面が部分的に剥離したり、第1〜3半導体ウエハ100a,100b,100cの各表面に破損等が生じたりすることも効果的に抑制できるので、ウエハ積層構造物101を良好に切断できる。
【0083】
以上のように、半導体装置51の製造工程によっても、第1〜3半導体ウエハ100a,100b,100cの間の各接合面における接続強度の均一性を効果的に高めることができるので、加工歩留りを向上できる。
図7は、本発明の第3実施形態に係る半導体ウエハ200を示す模式的な平面図である。第3実施形態に係る半導体ウエハ200が、前述の第1実施形態に係る半導体ウエハ100と異なる点は、平面視四角環状のダミーリング6に代えて、平面視閉曲環状のダミーリング62が形成されている点である。その他の構成は、前述の第1実施形態に係る半導体ウエハ100の構成と同等である。
図7において、前述の
図1〜
図6Bに示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0084】
このように、ダミーリング62の各辺が連続的な曲線を描くように絶縁層12に形成されている場合、ダミーリング62の各辺には角部が形成されない。そのため、複数の半導体ウエハ200を積み重ねて、加工する際に生じる応力がダミーリング62の角部に集中するということがない。したがって、このような半導体ウエハ200を前述の第1および第2実施形態の半導体装置1,51の製造工程に適用することにより、各半導体ウエハ200a,200b,200c間(各半導体チップ20a,20b,20c間)の接続強度をより一層高めることができる。また、前述の第1および第2実施形態では、裏面側ダミーリング32および埋め込みダミーリング52が、平面視四角環状に形成されている例について説明したが、半導体装置1,51の製造工程に半導体ウエハ200a,200b,200cを適用する場合、当該ダミーリング62のように、裏面側ダミーリング32および埋め込みダミーリング52も平面視閉曲環状に形成されることが好ましい。
【0085】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の各実施形態では、電極領域5(裏面側電極領域31)の周囲を取り囲むように一つのダミーリング6(裏面側ダミーリング32)が形成された例について説明したが、ダミーリング6(裏面側ダミーリング32)の周囲を取り囲むダミーリングをさらに形成することによって、複数のダミーリング(裏面側ダミーリング)が形成された例を採用してもよい。
【0086】
また、前述の各実施形態では、電極領域5,28,31の周囲に閉環状に形成されたダミーリング6,62,34,52の例について説明したが、閉環状のダミーリング6,62,34,52に代えて、電極領域5,28,31の周囲を取り囲む閉じた領域に沿って複数のライン状のダミーバンプが互いに間隔を空けるように形成されている例を採用してもよい。また、複数のダミーバンプが電極領域5,28,31の周囲を取り囲む閉じた領域に沿って点在(たとえば行列状に点在)するように形成されている例を採用してもよい。これらのダミーバンプを採用する場合、第1および第2半導体ウエハ100a,100b(第2および第3半導体ウエハ100b,100c)の接合面積は前述の第1実施形態の場合よりも小さくなるため、前述の第1実施形態の構成の方が好ましいといえる。
【0087】
また、前述の各実施形態では、
図4A〜
図4Dの工程を経た第1および第2半導体ウエハ100a,100bを、第1および第2バンプ電極4a,4b、および第1および第2ダミーリング6a,6bをそれぞれ接続させる例について説明したが、
図4A〜
図4Dの工程を経た半導体ウエハを
図4Aのみの工程を経た半導体ウエハに接続する例を採用してもよい。
【0088】
また、前述の第1および第2実施形態では、裏面側ダミーリング32(埋め込みダミーリング52)が、平面視において第1および第2ダミーリング6a,6bと同じ位置に同一の形状で形成されている例について説明したが、裏面側ダミーリング32(埋め込みダミーリング52)は、第3半導体チップ20c(第3半導体ウエハ100c)に形成された第3ダミーリング6cと同じ位置に同一の形状で形成されていればよい。したがって、第2および第3半導体チップ20b,20cにおいて、裏面側ダミーリング32(埋め込みダミーリング52)が、平面視において第1および第2ダミーリング6a,6bと異なる形状、異なる大きさであっても、裏面側ダミーリング32(埋め込みダミーリング52)が、第3ダミーリング6cと同じ位置に同一の形状で形成されている限り、本発明の目的を達成することができる。
【0089】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。