【解決手段】杖本体と前記杖本体の下端に位置する複数の支持脚とを備え、前記支持脚のうち少なくとも1脚は、長さが可変である多点杖であり、本発明の多点杖は、支持脚が杖本体に対して伸縮自在な構成とされており、伸縮後の位置で支持脚と杖本体とを固定する固定部を備えており、杖本体に対して長さの異なる支持脚を着脱することで、前記支持脚の長さを変更してもよく、支持脚と杖本体との一方に凸部を設けるとともに他方の軸心方向に2以上の凹部を設け、凸部を所望の凹部に嵌め合わせることで、支持脚の長さを変更してもよい。
前記支持脚と前記杖本体との一方に凸部を設けるとともに他方の軸方向に沿って2以上の凹部を設け、前記凸部を所望の凹部に嵌め合わせることで、前記支持脚の長さを変更する、請求項1記載の多点杖。
前記支持脚に凸部を設けるとともに前記杖本体に1以上の凹部を設け、前記凸部を所望の前記凹部に嵌め合わせることで、前記支持脚の長さを変更する多点杖であって、前記凸部が、前記支持脚の側面又は上面に位置する、請求項1記載の多点杖。
前記支持脚の端部には、当該支持脚の中空部分に係止された伸縮部材と、当該伸縮部材に取り付けられた撚り戻しとを含む連結部を介して、ゴムチップが位置する態様で連結されている、請求項1記載の多点杖。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同様の部分には、同一符号を付している。なお、本発明の多点杖は、この実施形態に説明されたもののみに限定されるものではない。
(実施形態1)
【0016】
図1(a)は、本発明の実施形態1に係る多点杖であるところの3点杖1の模式図である。
図1(b)は、
図1(a)に示す第1杖本体20除く部分の平面図である。
図1(c)は、
図1(a)の杖本体用連結部21での断面図である。
図1(d)は、
図1(a)の後部支持脚用ボタン52での断面図である。
【0017】
本実施形態の3点杖1は、以下説明する、第1〜3杖本体20,30,40と、第3杖本体40に連結される支持脚50と、第3杖本体40の一部を構成する支持脚60,70とに大別される。
【0018】
第1杖本体20は、上部が
図1(a)の左に突出する形態の湾曲部分を有し、下部が
図1(a)の下方に垂下する部分を有する、パイプ状をしている。第1杖本体20の上端には、使用者による把持部10が設けられている。
【0019】
第1杖本体20内には、パイプ状の第2杖本体30が通されていている。後述するように、第1杖本体20と第2杖本体30とは、杖本体用連結部21によって、相互に連結されている。
【0020】
第2杖本体30は、支持板80の上面に接合されており、支持板80の下面には第3杖本体40が接合されている。本実施形態では、第3杖本体40には、その先端の各々に支持脚50,60,70が位置している。
【0021】
支持脚50,60,70の各下端部には、地面と接するゴムチップ90a,90b,90cが取り付けられている。
【0022】
つぎに、
図1(a)〜
図1(d)に示す各部の構成について説明する。まず、把持部10は、握りやすさを考慮してABS樹脂などの樹脂製とする、或いは、柔らかさを考慮してウレタン製とすることができる。
【0023】
本実施形態の3点杖1を使用する場合には、通常は、
図1(a)の左側が使用者の進行方向前方側となる態様で把持部10を把持し、3点杖1が身体の側方に位置するように使用することを想定しているが、これとは反対に、
図1(a)の右側が使用者の進行方向前方側となる態様で把持部10を把持した使用態様でもよい。
【0024】
第1杖本体20は、例えば、アルミニウム製、竹及び柿木などを含む木製、マグネシウム製、カーボン樹脂製などとすることができる。第1杖本体20は、既述のように、上部が湾曲しているが、これは把持部10を把持した使用者の体重を支える際、重心のバランスが良く、手首に係る負担を軽減するためである。
【0025】
第1杖本体20における垂下部分には、その軸方向に沿って、複数の杖本体用孔22a〜22jが設けられている。杖本体用孔22a〜22jは、3点杖1の長さを調節するためのもので、ここでは杖本体用孔22a〜22jを設けて、10段階に杖の長さを調節できるようにしている。
【0026】
第2杖本体30は、第1杖本体20と同様に、例えば、アルミニウム製、マグネシウム製、カーボン樹脂製とすればよい。第2杖本体30の上部には、杖本体用連結部21が位置する。杖本体用連結部21は、杖本体用孔22a〜22jと、杖本体用孔22a〜22jのいずれかに嵌められる杖本体用ボタン32と、杖本体用ボタン32の位置を規定するための杖本体用スプリング34とを備える。
【0027】
杖本体用ボタン32を嵌める位置は、使用者の背丈などに応じて決定すればよい。換言すると、杖本体用孔22a等と杖本体用ボタン32とによって、杖本体の長さは変更可能である。
【0028】
図1(c)では、杖本体用孔22jに杖本体用ボタン32が嵌っている状態を示しているが、杖本体用孔22a〜22jのいずれかに対して杖本体用ボタン32が嵌れば、第1杖本体20と第2杖本体30との連結が達成される。
【0029】
なお、本実施形態では、杖本体用ボタン32に対して予期せぬ外力がかかることで、第1杖本体20と第2杖本体30との連結が解除されないようにすべく、
図1(a)に示すように、第2杖本体30の下端部の外壁に螺子切り部を設け、そこに内壁が螺子切りされた杖本体用キャップ25を螺合して、第1杖本体20によって第2杖本体30を締め付けて、これらの連結を維持している。杖本体用キャップ25は、例えば、アルミニウム製、マグネシウム製、カーボン樹脂製とすればよい。
【0030】
図1(b)に示すように、後部支持脚50の軸方向に対して、内側支持脚60及び外側支持脚70は、各々、例えば、略45°の角度をもって分岐している。
【0031】
本実施形態では、後部支持脚50の長さを調節できるように構成としている。後部支持脚50は、第3杖本体40の分岐部の一に伸縮自在に取り付けられている。そして、第3杖本体40の分岐部の一と後部支持脚50とは、
図1(a)に示すように、支持脚用連結部41によって連結されている。
【0032】
ここで、支持脚用連結部41は、第3杖本体40の分岐部の一に設けられている後部支持脚用孔51a〜51cと、後部支持脚50に設けられている後部支持脚用ボタン52及び後部支持脚用スプリング54とを備える。後部支持脚用孔51a〜51c等は、後部支持脚50の長さを調節するためのもので、ここでは3段階に支持脚の長さを調節することができるようにしている。
【0033】
図1(a)には、後部支持脚用孔51aに後部支持脚用ボタン52が嵌っている状態を示している。後部支持脚用孔51a〜51cのいずれかに対して後部支持脚用ボタン52が嵌れば、後部支持脚50と第3杖本体40の分岐部の一との連結が達成される。
【0034】
なお、後部支持脚用ボタン52に対して予期せぬ外力がかかることで、後部支持脚50と第3杖本体40の分岐部の一との連結が解除されないようにすべく、
図1(a)に示すように、第3杖本体40の分岐部の一の下端部の外壁に螺子切り部を設け、そこに内壁が螺子切りされた後部支持脚用キャップ55を螺合して、第3杖本体40の分岐部の一によって後部支持脚50を締め付けて、これらの連結を維持している。後部支持脚用キャップ55は、例えば、アルミニウム製、マグネシウム製、カーボン樹脂製とすればよい。
【0035】
本実施形態では、後部支持脚用キャップ55を用いて後部支持脚50と第3杖本体40の分岐部の一との連結が解除されることを防止しているが、仮に、後部支持脚用キャップ55を用いない場合には、3点杖1の使用中に地面からの障害物などによって後部支持脚用ボタン52が押されて、後部支持脚50と第3杖本体40の分岐部の一との連結が解除される可能性がある。
【0036】
これを避けるため、後部支持脚用孔51a〜51cの位置を第3杖本体40の分岐部の一の側面又は上面に配列するとともに、後部支持脚用ボタン52の位置も、これに応じて後部支持脚50の側面又は上面に設けてもよい。こうすると、地面からの障害物などによって後部支持脚用ボタン52が押されることによって、上記の連結が解除される可能性が少なくなる。
【0037】
なお、後述する実施形態2の場合も、本実施形態と同様に後部支持脚用ボタン52の連結が解除される危険性が生じるため、後部支持脚用孔51を第3杖本体40の分岐部の一の側面又は上面に設けるとともに、後部支持脚用ボタン52を後部支持脚50の側面又は上面に設けてもよい。
【0038】
また、支持脚用連結部41の構成として、後部支持脚用ボタン52に代えて、例えば、後部支持脚用孔51を第3杖本体40の分岐部の一及び後部支持脚50の軸方向に対して直交する方向に貫通するタイプに変更し、かつ、この貫通孔に対して蝶螺子などの螺子を通すことで、上記連結をすることもできる。
【0039】
こうすれば、後部支持脚用キャップ55を用いない場合であっても、地面からの障害物などによって後部支持脚50と第3杖本体40の分岐部の一との連結が外れる可能性はない。
【0040】
支持板80は、
図1(b)に示すように略3角形をしており、アルミニウム、マグネシウム、カーボン樹脂などから成る板材としている。支持板80は、3点杖1の使用中に第2杖本体30にかかる応力を、第3杖本体40にうまく分散させる役割を担っている。
【0041】
支持板80の中央部には、第2杖本体30を貫通させるための孔が設けられており、ここに第2杖本体30の下端を通した状態で、溶接等によって支持板80と接合される。
【0042】
なお、支持板80の形状は、略3角形に限定されず、長方形、正方形等としてもよいし、支持板80の厚さも素材などに応じて決定すればよい。
【0043】
また、ゴムチップ90は、例えば、軟質ゴム部とスパイクピン形状の硬質ゴム部とで構成された成型物とすることができ、
図1(b)に示すように、略台形状の外形をしている。底面からみた場合には、円形の外形をしているが、これに限定されず、例えば、六角形又は八角形としてもよい。
【0044】
つぎに、第1杖本体20と第2杖本体30との長さを調整する方法、及び、第3杖本体40に対する後部支持脚50の長さを調節する方法について説明する。まず、螺合している杖本体用キャップ25を回転させ、当該螺合状態を解除する。
【0045】
つぎに、杖本体用スプリング34の反発力によって杖本体用孔22jから突き出した状態で固定されている杖本体用ボタン32を第1杖本体20の内側に入り込むまで押下する。これにより、第1杖本体20と第2杖本体30との連結状態が解除されるので、第1杖本体20と第2杖本体30とをスライドさせて所要の長さとした後に、杖本体用ボタン32を、その近傍に位置する杖本体用孔に嵌るようにすればよい。そして、杖本体用キャップ25を回転させて締め付ければよい。
【0046】
同様に、第3杖本体40に対する後部支持脚50の長さ調節は、
図1(a)に示す状態から、まず、後部支持脚用キャップ55を回転させ、螺合状態を解除する。つぎに、後部支持脚用ボタン52を押下することによって、第3杖本体40と後部支持脚50との連結を解除してから、第3杖本体40と後部支持脚50とをスライドさせて所要の長さとした後に、後部支持脚用ボタン52を、その近傍に位置する後部支持脚用孔51b又は51cに嵌るようにすればよい。そして、後部支持脚用キャップ55を回転させて締め付ければよい。
【0047】
3点杖1の材質に関しては、アルミニウム、マグネシウム、カーボン樹脂などとすればよいが、これは、使用上、製作上、軽量で強度がありかつ加工しやすいことの要求に応じるためである。一般的には、アルミニウム合金製、マグネシウム合金製、カーボン樹脂製等のパイプ材が使用される。アルミニウム合金製等では、強度を増すために、熱処理を施してもよい。具体的には、例えば、溶体化処理、焼き入れ処理及び時効処理を施すことによって、強度や耐久性を向上させるとよい。
【0048】
また、支持板80は、厚さ2.0mm〜5.0mm(例えば、3.0mm)のアルミニウム合金板等を使用すればよい。
【0049】
なお、杖本体用キャップ25及び後部支持脚用キャップ55は、既述の励磁のほかに、プラスチック製でもよいし、杖本体用ボタン32及び後部支持脚用ボタン52は真鍮製、ステンレス製等でもよい。また、杖本体用スプリング34及び後部支持脚用スプリング54は、ばね用ステンレス製等でよい。
【0050】
3点杖1の各部の寸法に関しては、本実施形態では、例えば、第1杖本体20は、外形20mm〜25mm(例えば、22mm)、厚さ1.0mm〜2.0mm(例えば、1.5mm)とすることができる。
【0051】
また、第2杖本体30は、外形18mm〜23mm(例えば、19mm)、厚さ1.0mm〜2.0mm(例えば、1.5mm)、第3杖本体40の分岐部の一は外形1.0mm〜2.0mm(例えば、19mm)、厚さ1.0mm〜2.0mm(例えば、1.5mm)とすることができる。
【0052】
さらに、後部支持脚50は、外形14mm〜18mm(例えば、16mm)、厚さ1.0mm〜2.0mm(例えば、1.5mm)のアルミニウム合金管、マグネシウム合金管、カーボン樹脂管とすることができる。なお、内側支持脚60及び外側支持脚70は、第3杖本体40の分岐部の一と同じ外形及び厚さのアルミニウム合金管等とすることができる。
【0053】
本実施形態では、前部支持脚60及び70は、後部支持脚50とは異なり、長さを変更できるようにはしておらず、第3杖本体40の分岐部の一と同様に、溶接により支持板80の下面に対して接続されている。
【0054】
図2(a)〜
図2(b)は、
図1(a)の変形例を示す図であり、それぞれ、
図1(a)〜
図1(b)に対応している。
図2(c)は、
図1(a)に示す別の変形例を示す図であり、
図2(a)の杖本体用連結部21付近の拡大図に対応する図である。
図2(d)は、
図2(c)の杖本体用連結部21における断面図である。
【0055】
図2(a)〜
図2(b)に示す3点杖1は、杖本体用スプリング34にスプリング係止端35が追加されている。このスプリング係止端35に杖本体用スプリング34が係止されることにより、杖本体用ボタン32を押下した場合に、杖本体用スプリング34が第2杖本体30内で落下したり、位置ズレしたりすることを防止することが可能となるので、杖本体用スプリング34を確実に位置決めすることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、第1杖本体20と第2杖本体30とを連結するための杖本体用連結部21として、構成が比較的簡単である3種類の連結方法を開示したが、これら以外の連結方法、例えば、第1杖本体20と第2杖本体30とを蝶螺子で連結する方法や、第1杖本体20と第2杖本体30とを通しボルトで連結する方法等を用いてもよい。
【0057】
或いは、
図2(c)又は
図2(d)に示すように、一対の杖本体用ボタン32,33を用いてもよい。
【0058】
(実施形態2)
図3(a)〜
図3(d)は、本発明の実施形態2に係る3点杖1の模式図であり、ぞれぞれ、
図1(a)〜
図1(d)に対応している。また、
図3(e)は、第3杖本体40と後部支持脚50との関係を示す図である。
【0059】
実施形態1では、後部支持脚50の長さを使用者等が各自で調節できる多点杖について説明したが、本実施形態では長さの異なる後部支持脚50を何種類か用意しておき、使用者等が各自でいずれかの後部支持脚50を選定し、選定した後部支持脚50を第2杖本体30の分岐部の一に連結する多点杖について説明する。
【0060】
このような多点杖は、頻繁に多点杖の支持脚の長さを変更しない場合に適している。具体的には、病院などに対して杖をレンタルする業者などが、長中短という長さの異なる後部支持脚50を用意しておく場合に好適である。このため、
図3(a)、
図3(b)に示すように、第3杖本体40には、一つの後部支持脚用孔51しか形成されていない。
【0061】
図3(e)には、長中短という長さの異なる後部支持脚50を示している。各々の後部支持脚50の長さは、例えば、140mm、110mm、80mmとすればよい。もちろん、これよりも多くの種類の後部支持脚、例えば、10mm毎の長さのものを用意してもよい。なお、本実施形態における後部支持脚50の外形寸法等は、実施形態1と同様でよい。
【0062】
つぎに、後部支持脚50の取替方法について説明する。
図3(a)に示す状態から、まず、螺合している後部支持脚用キャップ55を回転させ、螺合状態を解除する。つぎに、後部支持脚用ボタン52を第2杖本体30の分岐部より内側に入り込むまで押下する。
【0063】
これにより、後部支持脚50と第3杖本体40との連結が解除されるので、第3杖本体40から後部支持脚50を引き抜き、希望する長さの後部支持脚50を後部支持脚用ボタン52と後部支持脚用孔51と対向するように位置合わせして差し込む。
【0064】
後部支持脚用ボタン52が後部支持脚用孔51の位置まで到達すると、後部支持脚用スプリング54の反発力によって後部支持脚用ボタン52が後部支持脚用孔51に嵌る。そして、後部支持脚用キャップ55を回転させて締め付ければ後部支持脚50の取替が終了する。
【0065】
なお、
図3には、
図1と同様の構成の杖本体用連結部21を示したが、
図2に示すような構成の杖本体用連結部21を採用してもよい。
【0066】
(実施形態3)
図4(a)〜
図4(e)は、本発明の実施形態3に係る3点杖1の模式図であり、
図3(a)〜
図3(e)にそれぞれ対応する。
【0067】
実施形態1,2では、後部支持脚50のみ支持脚の長さを選定できる3点杖1を説明したが、本実施形態では、後部支持脚50に加えて内側支持脚60もあらかじめ支持脚の長さを選定できる3点杖1について説明する。本実施形態の3点杖1の場合、内側支持脚60を短くすることが可能であるので、使用者の足が内側支持脚60に接触することを防止できるという利点がある。
【0068】
本実施形態では、内側支持脚60の長さ調整も、後部支持脚50の長さ調整の場合と同じ手法で実現できるようにしている。もっとも、長さ調整の手法は、これに限定されるものではない。したがって、例えば、内側支持脚60の場合には、既述の蝶螺子などを用いることも一法である。
【0069】
なお、内側支持脚60に代えて、又は、これとともに、外側支持脚70の長さを選定することができるようにしてもよい。さらに、本実施形態のように、あらかじめ支持脚を何種類か準備しておく代わりに、後部支持脚50、内側支持脚60、外側支持脚70のうち少なくとも2脚を第2杖本体30の分岐部に伸縮自在に取り付ける構成としてもよい。
【0070】
(実施形態4)
図5(a)〜
図5(d)は、本発明の実施形態4に係る3点杖1の模式図であり、
図1(a)〜
図1(d)にそれぞれ対応する。
【0071】
本実施形態の3点杖1は、第1杖本体20の軸方向に対して第2杖本体30を90°毎に回転できるように構成している。すなわち、
図5(c)に示すように、同一平面上に例えば4個の杖本体用孔、例えば、杖本体用孔22jと同一平面上に杖本体用孔22j2〜22j4を90°間隔で設けている。
【0072】
これにより、本実施形態の3点杖1を、後部支持脚50が使用者の進行方向前方側となる態様で使用することもできるし、後部支持脚50が使用者の進行方向後方側となる態様で使用することもできる。
【0073】
なお、本実施形態では同一平面上に4個の杖本体用孔22j〜22j4を設けている例を説明したが、杖本体用孔の数は4個に限定されず、2個としてもよい。
【0074】
(実施形態5)
図6(a)〜
図6(d)は、本発明の実施形態5に係る3点杖1の模式図であり、
図1(a)〜
図1(d)にそれぞれ対応する。
図6(e)は、支持脚の撚り戻し部分の拡大図である。
図6(f)は、支持脚70とゴムチップ71とを引き外してゴムチップ71を回転させる操作を示すである。
【0075】
本実施形態の3点杖1は、ゴムチップ90a〜90cに付帯して撚り戻し71を設けることにより、ゴムチップ90の有効利用を図ることができる。ゴムチップ90a〜90cは、3点杖1を使用する際に地面と接する部分のみがすり減るといった片減りが生じるが、この状態で使用を継続することは安全面で問題があるので、通常、ゴムチップ90a等を交換することになる。
【0076】
しかし、片減の場合、ゴムチップ90a等を、その軸心に沿って回転させると、摩耗していない個所が地面と接するようになるので、ゴムチップ90a等の交換時期を長くすることができる。
【0077】
まず、撚り戻し71の周辺部分の構成について説明する。本実施形態では、支持脚50の内部に、撚り戻し71と、第1ゴム72と、第1ストッパー73とが配置されており、ゴムチップ90aを受けるパイプ状のゴムチップ受け91の内部に、第2ゴム92と、第2ストッパー93とが配置されている。
【0078】
撚り戻し71の周辺部分は、支持脚50及びゴムチップ受け91の各内部に配置されるのに先立って組み立てられる。この組立は以下の要領で行われる。すなわち、まず、第1ゴム72は、撚り戻し71の上側部に一端が通された状態で、断面が台形状のゴム材の中央に形成されている穴部に両端が通される。その後、第1ゴム72の両端は、当該穴部の直径よりも大きい第1ストッパー73を組み込む態様で結ばれる。
【0079】
一方、第2ゴム92は、撚り戻し71の下側部に一端が通された状態で、断面が台形状のゴム材の中央に形成されている穴部に両端が通される。そして、第2ゴム92の両端は、当該穴部の直径よりも大きな第2ストッパー93を組み込む態様で結ばれる。
【0080】
その後、支持脚70の内部に第2ストッパー93側のゴム材が圧入され、ゴムチップ90の内部にも第1ストッパー73側のゴム材が圧入される。この結果、
図6(e)に示すような態様で、支持脚50とゴムチップ受け91とが、第1ゴム72及び第2ゴム92の張力によって連結される。
【0081】
なお、ゴムチップ90cを回転させる場合には、
図6(f)に示すように、ゴムチップ90を把持して支持脚50から遠ざけ、その状態で、ゴムチップ90cと支持脚70とを相互に、所望の角度だけ回転させればよい。
【0082】
この際、仮に、撚り戻し71が存在しない場合には、ゴムチップ90cの回転によって、第1ゴム72及び第2ゴム92に捻じれが生じるので、この捻じれが解消されるように、第1ゴム72及び第2ゴム92が元の状態に戻ろうとする。これでは、結局、ゴムチップ90cの回転位置も元通りになってしまう。
【0083】
しかし、本実施形態では、撚り戻し71の存在により、ゴムチップ90cの回転位置が元通りになってしまうといった事態を回避することができる。なお、ここでいう撚り戻し71とは、第1ゴム72及び第2ゴム92の捩れを、これらが接続されている支持脚70とゴムチップ90cとの回動を回避しながら解消することができるものの総称をいい、
図6(e)に示す形状、構造、機構のものには限定されない。
【0084】
また、撚り戻し71は、支持脚の下端内部の狭い空間に設置されるため、寸法上は小さなもの、例えば、全長1.5cm程度で、材質としては、ステンレス製やエンジニアリングプラスチック製等とすればよい。
【0085】
また、
図6(e)に示す第2ゴム92に代えて、例えば、撚り戻し71とゴムチップ90とを弾性のないワイヤーやフック等で繋いでもよい。また、反対に、撚り戻し71と支持脚とを繋ぐために使用している第1ゴム72の代わりに弾性のないワイヤーやフックを使用してもよい。