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特開2016-101540汚泥凝集方法及び装置、及び汚泥処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-101540(P2016-101540A)
(43)【公開日】2016年6月2日
(54)【発明の名称】汚泥凝集方法及び装置、及び汚泥処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/14 20060101AFI20160502BHJP
   C02F 11/12 20060101ALI20160502BHJP
【FI】
   C02F11/14 DZAB
   C02F11/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-239775(P2014-239775)
(22)【出願日】2014年11月27日
(71)【出願人】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】西脇 正人
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA02
4D059AA04
4D059AA05
4D059AA06
4D059AA09
4D059AA23
4D059BE01
4D059BE08
4D059BE10
4D059BE15
4D059BE16
4D059BE37
4D059BE46
4D059BE55
4D059BE56
4D059BE57
4D059BE58
4D059BE59
4D059BE61
4D059BJ00
4D059BJ06
4D059BJ16
4D059CB01
4D059CB08
4D059DA16
4D059DA17
4D059DA23
4D059DA24
4D059DB24
4D059DB25
4D059DB26
4D059DB28
4D059EB20
(57)【要約】
【課題】装置の簡素化と工程の簡素化が図れる汚泥凝集方法及び装置、及び汚泥処理装置を提供すること。
【解決手段】汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を撹拌して凝集しながら加圧して圧送する第1凝集圧送装置(第1凝集圧送工程)40と、第1凝集圧送装置40によって圧送されてきた混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を第1凝集圧送装置40の撹拌速度よりも低速で撹拌して凝集させ凝集フロックを形成して凝集汚泥を得る第2凝集装置(第2凝集工程)80とを有する汚泥凝集装置(汚泥凝集方法)1−1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を撹拌して凝集しながら加圧して圧送する第1凝集圧送工程と、
前記第1凝集圧送工程によって圧送されてきた混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を前記第1凝集圧送工程の撹拌速度よりも低速で撹拌して凝集させ凝集フロックを形成して凝集汚泥を得る第2凝集工程と、
を有する汚泥凝集方法。
【請求項2】
請求項1に記載の汚泥凝集方法であって、
前記第1凝集圧送工程における混合汚泥の撹拌と加圧は、ポンプインペラの回転によって行うことを特徴とする汚泥凝集方法。
【請求項3】
汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を撹拌して凝集しながら加圧して圧送する第1凝集圧送装置と、
前記第1凝集圧送装置によって圧送されてきた混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を前記第1凝集圧送装置の撹拌速度よりも低速で撹拌して凝集させ凝集フロックを形成して凝集汚泥を得る第2凝集装置と、
を有する汚泥凝集装置。
【請求項4】
請求項3に記載の汚泥凝集装置であって、
前記第1凝集圧送装置は、前記混合汚泥を圧送するインペラを有する非容積型のポンプであることを特徴とする汚泥凝集装置。
【請求項5】
請求項4に記載の汚泥凝集装置であって、
前記第1の高分子凝集剤の溶液は、前記ポンプの吸込口近傍又は前記ポンプのインペラ内に直接供給されることを特徴とする汚泥凝集装置。
【請求項6】
水処理系からの汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、
前記汚泥貯留槽内の汚泥を搬送する汚泥供給ポンプに、第1の高分子凝集剤の溶液を供給することで、汚泥と第1の高分子凝集剤との混合汚泥を撹拌して凝集しながら加圧して圧送する第1凝集圧送装置と、
前記第1凝集圧送装置から圧送されてきた混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を前記第1凝集圧送装置の撹拌速度よりも低速で撹拌して凝集させ凝集フロックを形成して凝集汚泥を得る第2凝集装置と、
前記第2凝集装置から送られてくる凝集汚泥を脱水する汚泥脱水機と、
を具備する汚泥処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、廃水処理施設や浄水処理施設などから排出される汚泥を減容化するための脱水処理において汚泥を凝集させるためなどに用いて好適な汚泥凝集方法及び装置、及びこの汚泥凝集装置を用いて構成される汚泥処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物量を削減し、環境負荷を低減することが求められる中、廃水処理施設や浄水処理施設などから排出される汚泥を減容化するための脱水処理技術は極めて重要であり、より効率的な汚泥の脱水処理技術が望まれている。
【0003】
汚泥の脱水処理は、凝集剤を用いて汚泥を凝集させる凝集工程と、脱水機により凝集汚泥を脱水する脱水工程とから構成されるのが一般的である。汚泥の脱水処理における成功の可否は、凝集剤によって如何に効果的に凝集させることができるかに依るところが大きい。
【0004】
凝集剤を利用して汚泥を凝集させる方法の内、高分子凝集剤を利用すると共に、汚泥を撹拌する際の回転速度を異なる2段階とした撹拌工程により、汚泥を凝集させる方法が知られている(例えば特許文献1〜4など)。
【0005】
また特許文献1〜4に示す従来技術よりも、汚泥の凝集に必要な凝集剤の注入量を削減することができ、しかも脱水後に得られる脱水ケーキの含水率を低減して廃棄物量をより一層削減することができる汚泥凝集装置として、特許文献5に示す汚泥の凝集方法(装置)がある。この特許文献5には、第1の高分子凝集剤の溶液を汚泥に注入し、1000min-1(rpm)以上の高速撹拌により汚泥と第1の高分子凝集剤の溶液を混合して混合汚泥を調整する第1撹拌工程と、第2の高分子凝集剤の溶液を前記混合汚泥に注入し、10〜500min-1の撹拌により混合汚泥と第2の高分子凝集剤の溶液を混合して凝集フロックを形成させる第2撹拌工程と、を有する汚泥の凝集方法(装置)が開示されている。
【0006】
特許文献5に示す汚泥の凝集方法(装置)によれば、第1撹拌工程において1000min-1以上の高速撹拌を行うので、第1の高分子凝集剤を均一に汚泥に分散させることができる上、第1の高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることができる。そして第1の高分子凝集剤を汚泥に均一に分散させることによって、無駄な高分子凝集剤を削減でき、高分子凝集剤の注入量を削減できる。また高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることにより、凝集汚泥が緻密になるため、脱水処理後の脱水ケーキの含水率を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭57−130599号公報
【特許文献2】特開昭62−277200号公報
【特許文献3】特開平11−57800号公報
【特許文献4】特開2006−263514号公報
【特許文献5】国際公開2012−108312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献5に示す汚泥の凝集方法(装置)においては、第1撹拌工程と第2撹拌工程とを行うために、第1凝集装置と第2凝集装置の2つの独立した装置を設置する必要があるので、凝集装置の簡素化、小型化や、凝集工程の簡素化が図れないという問題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、装置の簡素化と工程の簡素化が図れ、これによって装置の小型化、コストの低減化、動力の低減化等を図ることができる汚泥凝集方法及び装置、及び汚泥処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる汚泥凝集方法は、汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を撹拌して凝集しながら加圧して圧送する第1凝集圧送工程と、前記第1凝集圧送工程によって圧送されてきた混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を前記第1凝集圧送工程の撹拌速度よりも低速で撹拌して凝集させ凝集フロックを形成して凝集汚泥を得る第2凝集工程と、を有して構成されている。
汚泥を移送するのに元々必要な圧送工程に、第1凝集工程を兼用させたので、汚泥に第1の凝集を行わせるとともに、圧送することができ、これによって凝集工程の簡素化を図ることができる。従ってこの凝集方法を行う凝集装置の小型化、低コスト化も図れる。また汚泥の圧送のための動力を第1の凝集のための撹拌に利用できるので、動力コスト(運転コスト)の低減化(省エネルギー化)も図れる。
一方で、その凝集効果、即ち高分子凝集剤の注入量、脱水後に得られる脱水ケーキの含水率等は、第1凝集工程を圧送工程と別々に行った場合の凝集効果と同等である。
【0011】
前記第1凝集圧送工程における混合汚泥の撹拌と加圧は、ポンプインペラの回転によって行われることが好ましい。
本発明の第1凝集圧送工程における混合汚泥の撹拌と加圧は、汚泥を圧送するポンプ(汚泥供給ポンプ)によって行うのが好ましい。ポンプの形式としては、渦巻ポンプやディフューザポンプ等の遠心ポンプ、渦巻斜流ポンプやディフューザ形斜流ポンプ等の斜流ポンプ、軸流ポンプが好ましい。用いられる羽根車形式(ポンプインペラ形式)としては、半径流インペラ、混流形インペラ、斜流形インペラ、軸流形インペラ、クローズインペラ、セミオープンインペラ、フルオープンインペラ、ノンクロッグインペラ、等があり、これらインペラは何れも上記遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプに使用できる。
【0012】
また本発明にかかる汚泥凝集装置は、汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を撹拌して凝集しながら加圧して圧送する第1凝集圧送装置と、前記第1凝集圧送装置によって圧送されてきた混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を前記第1凝集圧送装置の撹拌速度よりも低速で撹拌して凝集させ凝集フロックを形成して凝集汚泥を得る第2凝集装置と、を有して構成されている。
汚泥を移送するのに元々必要な圧送装置に、第1凝集装置を兼用させたので、汚泥に第1の凝集を行わせるとともに、圧送することができ、これによって凝集装置の簡素化、小型化、低コスト化が図れる。また汚泥の圧送のための動力を第1の凝集のための撹拌に利用できるので、動力コスト(運転コスト)の低減化(省エネルギー化)も図れる。
一方で、その凝集効果、即ち高分子凝集剤の注入量、脱水後に得られる脱水ケーキの含水率等は、第1凝集装置を圧送装置と別々に設置した場合の凝集効果と同等である。
【0013】
前記第1凝集圧送装置は、前記混合汚泥を圧送するインペラを有する非容積型のポンプであることが好ましい。
第1の凝集を行わせるためには、混合汚泥を撹拌してせん断する必要がある。このため、第1凝集圧送装置に用いるポンプとして、撹拌及びせん断に乏しい容積型のポンプ(例えばピストンポンプや一軸ネジ式ポンプ等)は不向きである。即ち、第1凝集装置に用いるポンプとしては、非容積型のポンプが好ましく、特に、上述した遠心ポンプが好ましい。
【0014】
また前記第1の高分子凝集剤の溶液は、前記ポンプの吸込口近傍又は前記ポンプのインペラ内に直接供給することが好ましい。
これによって、汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液を確実に注入できると共に撹拌でき、効果的な凝集を行わせることができる。
【0015】
また本発明にかかる汚泥処理装置は、水処理系からの汚泥を貯留する汚泥貯留槽と、前記汚泥貯留槽内の汚泥を搬送する汚泥供給ポンプに第1の高分子凝集剤の溶液を供給することで汚泥と第1の高分子凝集剤との混合汚泥を撹拌して凝集しながら加圧して圧送する第1凝集圧送装置と、前記第1凝集圧送装置から圧送されてきた混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を注入した混合汚泥を前記第1凝集圧送装置の撹拌速度よりも低速で撹拌して凝集させ凝集フロックを形成して凝集汚泥を得る第2凝集装置と、前記第2凝集装置から送られてくる凝集汚泥を脱水する汚泥脱水機と、を具備して構成されている。
汚泥貯留槽から汚泥を移送するのに元々必要な汚泥供給ポンプ(圧送装置)に第1凝集装置を兼用させたので、汚泥に第1の凝集を行わせるとともに、圧送することができる。これによって汚泥処理装置の簡素化、小型化、低コスト化が図れる。また汚泥の圧送のための動力を第1の凝集のための撹拌に利用できるので、動力コスト(運転コスト)の低減化(省エネルギー化)も図ることができる。
一方で、その凝集効果、即ち高分子凝集剤の注入量、汚泥脱水機により得られる脱水ケーキの含水率等は、第1凝集装置を汚泥供給ポンプと別々に設置した場合の凝集効果と同等である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装置の簡素化と工程の簡素化が図れ、これによって装置の小型化、コストの低減化、動力の低減化等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】汚泥処理装置(汚泥凝集脱水装置)1−1の全体概略図である。
図2】汚泥処理装置(汚泥凝集脱水装置)1−2の全体概略図である。
図3】汚泥処理装置(汚泥凝集脱水装置)1−3の全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態にかかる汚泥処理装置(汚泥凝集脱水装置)1−1の全体概略図である。同図に示すように、汚泥処理装置1−1は、水処理系からの汚泥を貯留する汚泥貯留槽10と、汚泥貯留槽10から送られてくる汚泥を凝集させる汚泥凝集装置30と、汚泥凝集装置30から送られてくる凝集汚泥を脱水する汚泥脱水機100とを具備して構成されている。
【0019】
また汚泥凝集装置30は、汚泥貯留槽10から引き出した汚泥を下流側に圧送していく第1凝集圧送装置40と、第1凝集圧送装置40に導入する汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液を注入する第1薬注手段70と、第1凝集圧送装置40で混合撹拌されて圧送された混合汚泥(混合した汚泥と第1の高分子凝集剤)を導入する第2凝集装置80と、第2凝集装置80に導入する汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を注入する第2薬注手段90と、を具備して構成されている。
【0020】
汚泥貯留槽10は、水処理系からの汚泥を貯留するものである。貯留する汚泥(被処理物)としては、有機性汚泥、無気性汚泥の何れでも良い。
【0021】
有機性汚泥としては、例えば下水処理、し尿処理、各種産業廃水処理において発生する有機性汚泥などを挙げることができる。より具体的には、最初沈殿池汚泥、余剰汚泥、嫌気性消化汚泥、好気性消化汚泥、浄化槽汚泥、消化脱離液などを挙げることができる。有機性汚泥は無機物を含んでも良い。
【0022】
無機性汚泥としては、例えば浄水処理、建設工事廃水処理、各種産業廃水処理において発生する無機性汚泥などを挙げることができる。ここで、浄水処理で発生する汚泥とは、浄水処理施設における沈殿池、排泥池、濃縮槽などから排出される汚泥などである。無機性汚泥は有機物を含んでも良い。
【0023】
以上のように、この汚泥処理装置1−1では、有機性汚泥、無機性汚泥のいずれも被処理物とすることができるが、本発明の効果をより享受できるという観点からすると、有機性汚泥が好ましく、その中でも、難脱水性の嫌気性消化汚泥が特に好ましい。
【0024】
第1凝集圧送装置40は、汚泥貯留槽10内に溜められた汚泥を吸い込んで第2凝集装置80方向(下流方向)に圧送するポンプ(汚泥供給ポンプ)によって構成されている。このポンプは、この例ではタービン羽根ポンプを用いているが、渦巻ポンプ等の他の遠心ポンプを用いても良い。ここで渦巻ポンプは、インペラ(羽根車)を回転することで流体に渦流を起こし、その力で吸い上げたり押し上げたりするポンプである。またタービン羽根ポンプは、前記渦巻ポンプのインペラの回りに案内羽根を取り付ける構造とすることで、羽根車から出る高速の流体のエネルギーをさらに効率よく圧力エネルギーに変換して高揚程にするポンプである。上記渦巻ポンプやタービンポンプを多段とした多段渦巻ポンプや多段タービンポンプを用いても良い。さらに吸込スクリュー付ポンプ等のポンプを用いても良い。第1の凝集を行わせるためには、混合汚泥を撹拌してせん断する必要がある。このため、第1凝集圧送装置に用いるポンプとして、撹拌及びせん断に乏しい容積型のポンプ(例えばピストンポンプや一軸ネジ式ポンプ等)は不向きである。即ち、第1凝集圧送装置に用いるポンプとしては、非容積型のポンプが好ましい。要は、ポンプインペラの回転によって流体(汚泥)を撹拌しながら加圧して圧送するポンプであれば、どのようなポンプであっても良い。即ち、ポンプの形式としては、渦巻ポンプやディフューザポンプ等の上記遠心ポンプの他に、渦巻斜流ポンプ、ディフューザ形斜流ポンプ等の斜流ポンプや、軸流ポンプが好ましい。これらのポンプが好ましいのは、何れも流れてくるものをせん断、圧縮、混合撹拌するという性質が同等だからであるが、しいて言えば、遠心ポンプが斜流ポンプや軸流ポンプに比べて、本発明に適している。また用いられる羽根車形式(ポンプインペラ形式)としては、半径流インペラ、混流形インペラ、斜流形インペラ、軸流形インペラ、クローズインペラ、セミオープンインペラ、フルオープンインペラ、ノンクロッグインペラ、等があり、これらインペラは何れも上記遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプに使用できる。
【0025】
そしてこの第1凝集圧送装置40を駆動してそのインペラを回転することで、汚泥貯留槽10内の汚泥を吸引して第1凝集圧送装置40内に導入し、導入した汚泥をインペラで撹拌しながら同時に加圧して第2凝集装置80側に圧送する。インペラの回転数は、この例では1000min-1以上の所定の回転数に設定されている。
【0026】
次に、第1薬注手段70は、第1の高分子凝集剤溶解槽71と、第1の高分子凝集剤溶解槽71から前記第1凝集圧送装置40の上流側の配管に第1の高分子凝集剤を移送する第1の高分子凝集剤ポンプ73とを具備している。
【0027】
第1の高分子凝集剤としては、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、カチオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤のいずれも用いることができる。有機性汚泥を処理する場合には、カチオン性高分子凝集剤又は両性高分子凝集剤を用いるのが特に好ましい。
【0028】
アニオン性高分子凝集剤としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合物、ポリメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウムとアクリルアミドの共重合物などを挙げることができる。
【0029】
ノニオン性高分子凝集剤としては、例えばポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイドなどを挙げることができる。
【0030】
カチオン性高分子凝集剤としては、例えばアクリレート系高分子凝集剤(「DAA系高分子凝集剤」とも称する)、メタクリレート系高分子凝集剤(「DAM系高分子凝集剤」とも称する)、アミド基、ニトリル基、アミン塩酸塩、ホルムアミド基などを含むポリビニルアミジン(「アミジン系高分子凝集剤」とも称する)、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物などが挙げられる。DAA系高分子凝集剤には、ジメチルアミノエチルアクリレートの四級化物の重合物、ジメチルアミノエチルアクリレートの四級化物とアクリルアミドとの共重合物などがある。DAM系高分子凝集剤には、ジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化物の重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化物とアクリルアミドとの共重合物などがある。
【0031】
両性高分子凝集剤としては、例えばジメチルアミノメチルアクリレートの四級化物とアクリルアミドとアクリル酸との共重合物、ジメチルアミノメチルメタクリレートの四級化物とアクリルアミドとアクリル酸との共重合物などを挙げることができる。
【0032】
但し、以上は第1の高分子凝集剤の例示であり、これらに限定するものではない。
【0033】
第1の高分子凝集剤の分子量は450万以上であるのが好ましい。より好ましい分子量は500万以上である。ここでの分子量は、粘度法により求められた平均分子量である。高速撹拌によって高分子凝集剤を汚泥中に分散させる場合、高速撹拌により高分子凝集剤の分子鎖が切断されることが生じるため、高分子凝集剤の分子量が低すぎると高分子凝集剤の凝集力が弱まってしまう。このため、分子量が450万以上の高分子凝集剤を使用することにより、たとえ高速撹拌により分子鎖が切断されてもある程度の高分子凝集剤の凝集力を維持することができる。
【0034】
第1の高分子凝集剤の粘度は、分子量と同じ観点から、150mPa・s以上であるのが好ましく、特に175mPa・s以上、その中でも200mPa・s以上であるのが好ましい。この際の粘度は、高分子凝集剤を純水に2g/Lで溶解し、B型粘度計を使用し、25℃、60min-1の回転速度で測定した値である。
【0035】
第1の高分子凝集剤の分子量が450万以上である場合、第1の高分子凝集剤の注入量は、第1の高分子凝集剤と下記する第2の高分子凝集剤の合計注入量の45〜95質量%となるように調整して加えるのが好ましく、中でも50〜95質量%、その中でも特に55〜90質量%を占めるように調整して加えるのが好ましい。
【0036】
第1の高分子凝集剤の注入量の割合が高すぎると、第2の高分子凝集剤の注入量が少なすぎるようになるため、凝集フロックは成長しない可能性がある。この結果、濃縮処理や脱水処理において、ろ過性が悪化する。一方、第1の高分子凝集剤の注入量の割合が低すぎると、第1凝集圧送装置40において、高速撹拌により汚泥に均一に分散する高分子凝集剤の割合が少なくなるため、高速撹拌の効果は低下するようになる。このため第1の高分子凝集剤の注入量は、合計注入量の45〜95質量%に制御することにより、高分子凝集剤を汚泥に均一に分散させるとともに凝集フロックを成長させることができる。
【0037】
第1の高分子凝集剤の溶液における溶媒は、純水、水道水、工業用水、地下水、各種廃水処理の処理水、海水などを挙げることができるが、高分子凝集剤の凝集力を最大限発揮させる観点からは純水が好ましい。この点は下記する第2の高分子凝集剤の溶液についても同様である。一方、経済性の観点からは、水道水、工業用水、地下水、各種廃水処理の処理水が好ましい。この点も、第2の高分子凝集剤の溶液についても同様である。
【0038】
第1の高分子凝集剤の溶液における高分子凝集剤濃度は1〜3g/Lであってもよいが、3g/L以上であるのが好ましく、より好ましくは5g/L以上、さらにより好ましくは10g/L以上である。高分子凝集剤による汚泥の凝集において、高分子凝集剤の溶液は1〜3g/Lに調製するのが一般的であり、通常は3g/L以上の高分子凝集剤の溶液を使用することはない。この理由は、高分子凝集剤濃度が3g/L以上になると、高分子凝集剤の溶液は高粘度になるため、従来の凝集槽で使用される撹拌機の回転速度(10〜500min-1程度)では、高分子凝集剤を汚泥に均一に分散させることが難しいからである。一方、第1凝集圧送装置40における高速撹拌では、3g/L以上の高濃度溶液を使用しても、高分子凝集剤を汚泥に均一に分散させることができる。この結果、高分子凝集剤の溶解水量を削減できるメリットが生じる。高濃度の高分子凝集剤の溶液を使用する別のメリットとして、高分子凝集剤を加えた汚泥中の高分子凝集剤の濃度を高めることができるため、高分子凝集剤の注入量を削減でき、脱水処理後の脱水ケーキの含水率を低減できる点を挙げることができる。例えば、1Lの汚泥に2g/Lの高分子凝集剤の溶液を200mL注入(高分子凝集剤として0.4g注入)した場合、汚泥中の高分子凝集剤の濃度は333mg/Lである。一方、1Lの汚泥に10g/Lの高分子凝集剤を40mL注入(高分子凝集剤として0.4g注入)した場合、汚泥中の高分子凝集剤の濃度は385mg/Lである。このように、同じ0.4gの高分子凝集剤を加える場合であっても、2g/Lの高分子凝集剤の溶液を使用するよりも、10g/Lの高分子凝集剤の溶液を使用する方が汚泥中の高分子凝集剤の濃度を高められ、高分子凝集剤の注入量を削減でき、脱水処理後の脱水ケーキの含水率を低減することができる。
【0039】
第2凝集装置80は、槽状の第2撹拌部81と、第2撹拌部81内に設置される撹拌翼83と、撹拌翼83に連結されて第2撹拌部81外に引き出されるシャフト85と、シャフト85を回転駆動するモータ(駆動源)87とを具備している。そしてモータ87を駆動して撹拌翼83を回転することで、上流側から第2撹拌部81内に導入された汚泥を撹拌し、撹拌した汚泥を下流側に排出する。撹拌翼83の回転数は、従来の汚泥の凝集装置において一般的な回転速度、すなわち10〜500min-1であればよい。その理由は、第2凝集装置80では第2の高分子凝集剤を第1凝集圧送装置40において調整した混合汚泥に緩やかに接触させ、凝集フロックを成長させる必要があるからである。かかる観点から、第2凝集装置80において撹拌する際の回転速度は、10〜500min-1であればよく、中でも20min-1以上或いは400min-1以下、その中でも30min-1以上或いは300min-1以下であるのがさらに好ましい。なお、第2凝集装置80における撹拌する際の回転速度は、汚泥の種類、汚泥の性状、高分子凝集剤の分子量、高分子凝集剤の溶解濃度などに合わせて、10〜500min-1において調整するのが好ましい。
【0040】
第2薬注手段90は、第2の高分子凝集剤溶解槽91と、第2の高分子凝集剤溶解槽91から前記第2凝集装置80の上流側の配管に第2の高分子凝集剤を移送する第2の高分子凝集剤ポンプ93とを具備している。
【0041】
第2の高分子凝集剤としては、前記第1の高分子凝集剤と同様のものを用いることができる。この場合、第2の高分子凝集剤は、第1の高分子凝集剤と同一種類の高分子凝集剤を用いることもできるし、異なる種類の高分子凝集剤を用いることもできる。第1、第2の高分子凝集剤溶解槽71,91を共用できる観点からは、第2の高分子凝集剤は、第1の高分子凝集剤と同一種類の高分子凝集剤を用いるのが好ましい。第2の高分子凝集剤の溶液における高分子凝集剤濃度は1〜3g/Lであってもよいが、3g/L以上であるのが好ましく、より好ましくは5g/L以上、さらに好ましくは10g/L以上である。
【0042】
汚泥脱水機100としては、スクリュープレス脱水機を使用しているが、従来から知られた他の各種の脱水機を使用することもできる。例えば、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、真空脱水機、フィルタプレス脱水機、多重円板脱水機などを使用しても良い。
【0043】
次に汚泥処理装置1−1の動作を説明する。まず第1凝集圧送装置40を駆動することで、汚泥貯留槽10内に溜められた汚泥が、前記第1凝集圧送装置40に向けて移送される。同時に第1の高分子凝集剤ポンプ73を駆動することで、第1の高分子凝集剤の溶液が、第1の高分子凝集剤溶解槽71から第1凝集圧送装置40の上流側の配管内に供給され、汚泥に注入される。
【0044】
そして第1の高分子凝集剤が注入された混合汚泥は、第1凝集圧送装置40内に導入され、そのインペラの1000min-1以上の高速回転によって混合・撹拌されながら、加圧され第2凝集装置80に向けて圧送される。そしてこの高速撹拌によって、第1の高分子凝集剤を汚泥中に均一に分散させることができ、第1の高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることができる。
【0045】
以上のように、第1凝集圧送装置40によれば、上記撹拌により、第1の高分子凝集剤を汚泥中に均一に分散させることができ、第1の高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることができるため、汚泥の表面電荷の中和と、高分子の吸着又は架橋作用による凝集とを同時に行わせることができる。
【0046】
第1凝集圧送装置40でのインペラの回転速度は、上述のように、1000min-1以上の高速であることが好ましいが、さらに好ましい回転速度は2000min-1以上である。この回転速度は、汚泥の種類、汚泥の性状、高分子凝集剤の分子量、高分子凝集剤の溶解濃度などに合わせて、1000min-1以上において調整するのが好ましい。
【0047】
高分子凝集剤により汚泥を凝集させる場合、高分子凝集剤を汚泥に均一に分散させること、高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることが重要である。高分子凝集剤を汚泥に均一に分散させることにより、無駄な高分子凝集剤を削減でき、高分子凝集剤の注入量を削減することができる。また、高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることにより、凝集汚泥が緻密になるため、脱水処理後の脱水ケーキの含水率を低減できる。高分子凝集剤の溶液は高粘度の液体であり、例えばインペラの回転速度を10〜500min-1とした場合では、高分子凝集剤を汚泥に均一に分散させることが難しい上、高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることができず、このため、高分子凝集剤の注入量の増加や脱水ケーキ含水率の悪化が生じる。一方、インペラの回転速度を1000min-1以上の高速として撹拌した場合では、高分子凝集剤を均一に汚泥に分散させることができる上、高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることができ、このため、高分子凝集剤の注入量を削減でき、脱水ケーキ含水率を低減することができる。
【0048】
第1凝集圧送装置40における撹拌時間、即ち第1の高分子凝集剤の溶液と汚泥を混合撹拌する時間は、20秒以下、特に5秒〜20秒とするのが好ましく、より好ましくは5秒〜15秒、さらにより好ましくは5秒〜10秒である。高速撹拌による撹拌時間が長すぎると、高分子凝集剤の凝集力が弱まる程度まで高分子凝集剤の分子鎖は切断されてしまう。このため、撹拌時間を20秒以下に制御することにより、高分子凝集剤の凝集力を弱めることなく、高分子凝集剤を汚泥に均一に分散させ、高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることができる。
【0049】
即ち、第1凝集圧送装置40によれば、高分子凝集剤を汚泥に均一に分散させることにより、無駄な高分子凝集剤を削減でき、高分子凝集剤の注入量を削減することができる。また、高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることにより、凝集汚泥が緻密になるため、脱水処理後の脱水ケーキの含水率を低減できる。なお、高分子凝集剤の溶液は高粘度の液体であり、一般的な凝集槽で使用される撹拌機の回転速度(10〜500min-1程度)では、高分子凝集剤を汚泥に均一に分散させることが難しい上、高分子凝集剤を汚泥の細部まで行き渡らせることができないため、高分子凝集剤の注入量の増加や脱水ケーキの含水率の悪化が生じる。また、高速撹拌によって高濃度の高分子凝集剤を使用できるため、高分子凝集剤の使用量を削減することができ、設備の小型化、省エネルギー化を図ることができる。さらには、脱水ろ液を水処理系に返流する際、返流水量を削減することができるため、水処理系全体の省エネルギー化及び省スペース化を図ることができる。
【0050】
そして上記第1凝集圧送装置40によれば、汚泥を移送するのに元々必要な圧送装置(圧送工程)に第1凝集装置(第1凝集工程)を兼用させたので、汚泥に第1の凝集を行わせるとともに、圧送することができ、これによって凝集装置(凝集工程)の簡素化が図れ、さらに凝集装置の小型化、低コスト化が図れる。また汚泥の圧送のための動力を第1の凝集のための撹拌に利用できるので、動力コスト(運転コスト)の低減化(省エネルギー化)も図れる。一方で、その凝集効果、即ち高分子凝集剤の注入量、脱水後に得られる脱水ケーキの含水率等は、第1凝集装置と圧送装置とを別々に設置し、第1凝集装置によって高分子凝集剤を1000min-1以上の高速で撹拌した場合の凝集効果と同等である。
【0051】
次に、図1において、第1凝集圧送装置40を通過して圧送された混合汚泥は、第2凝集装置80の第2撹拌部81内に導入される。第2凝集装置80の上流側の配管内には、第2の高分子凝集剤ポンプ93によって、第2の高分子凝集剤溶解槽91から第2の高分子凝集剤が供給され、汚泥内に注入される。第2凝集装置80では、第1凝集圧送装置40での撹拌速度よりも低速の撹拌速度(10〜500min-1、以下「通常撹拌」とも称する)によって撹拌翼83を回転し、前記混合汚泥と前記第2の高分子凝集剤の溶液とを混合撹拌し、凝集フロックを形成させて凝集汚泥を得る(第2凝集工程)。
【0052】
第1凝集圧送装置40において高分子凝集剤を汚泥の細部まで均一に分散させ、汚泥の表面電荷の中和と、高分子の吸着又は架橋作用による凝集とを同時に行わせることができるため、第2凝集装置80では、第1凝集圧送装置40で得られた混合汚泥に対して高分子凝集剤を比較的ゆっくりと撹拌混合することにより、大きな凝集フロックを形成させることができ、ろ過性のよい凝集汚泥を形成できる。
【0053】
第2撹拌部81における撹拌時間、即ち第2の高分子凝集剤の溶液と混合汚泥を混合撹拌する時間は1分〜20分であるのが好ましい。その理由は、第2凝集装置80では、高分子凝集剤を第1凝集圧送装置40において調整した混合汚泥に緩やかに接触させ、凝集フロックを成長させる必要があるからである。かかる観点から、第2凝集装置80における撹拌の撹拌時間は、1分〜20分であるのが好ましく、中でも2分以上或いは15分以下、その中でも3分以上或いは10分以下であるのがさらに好ましい。
【0054】
次に、第2凝集装置80で凝集フロックを形成させて得た凝集汚泥は、汚泥脱水機100に移送され、この汚泥脱水機100において固液分離され、固体として脱水ケーキを得、液体として脱水ろ液を得る。
【0055】
本汚泥処理装置1−1によれば、脱水ケーキの含水率を低減することができるから、廃棄物量を削減することができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
図2は本発明の第2実施形態にかかる汚泥処理装置(汚泥凝集脱水装置)1−2の全体概略図である。同図に示す汚泥処理装置1−2において、前記図1に示す汚泥処理装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−2」を付す。)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1に示す実施形態と同じである。同図に示す汚泥処理装置1−2において、上記図1に示す汚泥処理装置1−1と相違する点は、上記汚泥処理装置1−1で用いた第2の高分子凝集剤溶解槽91を省略し、その代りに、第1の高分子凝集剤溶解槽71−2から第2の高分子凝集剤ポンプ93−2によって、第2凝集装置80−2の上流側の配管内に第2の高分子凝集剤を供給し、第1凝集圧送装置40−2から圧送されてきた混合汚泥内に注入した点である。即ち、第1の高分子凝集剤と第2の高分子凝集剤とが同じ高分子凝集剤の場合は、第2の高分子凝集剤溶解槽を第1の高分子凝集剤溶解槽71−2で兼用しても良い。
【0057】
〔第3実施形態〕
図3は本発明の第3実施形態にかかる汚泥処理装置(汚泥凝集脱水装置)1−3の全体概略図である。同図に示す汚泥処理装置1−3において、前記図1に示す汚泥処理装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し「−3」を付す。)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1に示す実施形態と同じである。同図に示す汚泥処理装置1−3において、上記図1に示す汚泥処理装置1−1と相違する点は、上記汚泥処理装置1−1で用いた第2の高分子凝集剤溶解槽91と第2の高分子凝集剤ポンプ93を省略し、その代りに、第1の高分子凝集剤ポンプ73−3の下流側の配管を分岐させて第2凝集装置80−3の上流側の配管に接続し、この分岐した配管中に高分子凝集剤流量調整バルブ95−3を設置した点である。この汚泥処理装置1−3によれば、第1の高分子凝集剤の溶液は、第1の高分子凝集剤ポンプ73−3によって第1の高分子凝集剤溶解槽71−3から第1凝集圧送装置40−3に供給され、高分子凝集剤流量調整バルブ95−3によって流量が調整された上で第2凝集装置80−3に供給される。この汚泥処理装置1−3の場合も、第1の高分子凝集剤と第2の高分子凝集剤とが同じ高分子凝集剤である場合に利用できる。
【0058】
〔その他の実施形態〕
また汚泥処理装置1−1に設置した第1凝集圧送装置40の上流側の配管において、汚泥貯留槽10からの汚泥に無機凝集剤を供給するように構成しても良い。その後は前記汚泥処理装置1−1の場合と同様の凝集、脱水処理を行う。添加する無機凝集剤としては、例えば塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄などを挙げることができる。
【0059】
無機凝集剤は、粘度を低下させて汚泥中に分散させ易くするとともに、希釈することによりボリュームを増やして均一分散させ易くする観点から、希釈水で希釈して添加することが好ましい。上記観点から、無機凝集剤の希釈倍率は2〜5倍が好ましい。より好ましい希釈倍率は3〜4倍である。希釈液には、純水、水道水、工業用水、地下水、各種廃水処理の処理水、海水などが使用できるが、経済性の観点からは、工業用水、地下水、各種廃水処理の処理水が好ましい。
【0060】
無機凝集剤は、汚泥のTSに対して1.0質量%(Fe換算)以上添加すれば、脱水効果を高めることができる一方、10質量%(Fe換算)を超えて添加しても無機凝集剤の無駄である。よって、かかる観点から、無機凝集剤の添加量は、汚泥に対して1.0〜10質量%(Fe換算)で添加するのが好ましく、中でも1.5質量%(Fe換算)以上或いは8.0質量%(Fe換算)以下、その中でも2質量%(Fe換算)以上或いは6.0質量%(Fe換算)以下の割合で添加するのがより一層好ましい。
【0061】
以上のように構成すれば、前記汚泥処理装置1−1の第1凝集圧送装置40と第2凝集装置80を用いて、回転速度が異なる2段階の撹拌工程により汚泥を凝集させることに加えて、無機凝集剤を前添加することにより、脱水ケーキの含水率をさらに低減できるばかりか、脱水ろ液の色度を低減することができる。
【0062】
次に、さらに他の実施形態として、汚泥処理装置1−1に設置した第2凝集装置80の下流側に、第2凝集装置80で得られた凝集汚泥を濃縮して濃縮汚泥を得る濃縮装置と、濃縮装置で得た濃縮汚泥に無機凝集剤を加える無機凝集剤添加装置とを設置しても良い。その後は前記汚泥処理装置1−1の場合と同様の脱水処理を行う。
【0063】
濃縮装置は、例えば遠心濃縮機、スクリュー濃縮機、楕円板型濃縮機、ふるいなどを使用して、加圧せずに凝縮汚泥を濃縮する装置を採用することも可能であるし、また例えばベルトプレス濃縮機、フィルタプレス濃縮機などを使用して、加圧しながら凝集汚泥を濃縮する方法を採用することも可能である。水分量をより減らすことができ、無機凝集剤添加効果をより一層高めることができる観点から、加圧しながら濃縮する装置を採用するのがより一層好ましい。
【0064】
無機凝集剤添加装置は、濃縮装置からの濃縮汚泥に無機凝集剤を添加する装置である。前記濃縮装置で得られた濃縮汚泥に、無機凝集剤を添加することにより、脱水効果をさらに高めることができる。使用する無機凝集剤としては、例えば塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄などを挙げることができる。
【0065】
無機凝集剤は、粘度を低下させて濃縮汚泥内に含浸及び分散させ易くすると共に、希釈することによりボリュームを増やして均一分散させ易くする観点から、希釈水で希釈後、濃縮汚泥に添加することが好ましい。希釈水には、純水、水道水、工業用水、地下水、各種廃水処理の処理水、海水などが使用できるが、経済性の観点からは、工業用水、地下水、各種廃水処理の処理水が好ましい。
【0066】
以上のように構成すれば、第2凝集装置80から排出された凝集フロックを含む凝集汚泥は、濃縮装置に導入される。濃縮装置では、凝集汚泥が濃縮されて濃縮汚泥となって無機凝集剤添加装置に供給され、濃縮汚泥に無機凝集剤が添加され、汚泥脱水機100に移送される。そしてこの汚泥脱水機100において固液分離され、固体として脱水ケーキを得、液体として脱水ろ液を得る。
【0067】
以下、本発明を下記実験例に基づいてさらに詳述する。
【0068】
(実験例1)
本実験例では、第1の高分子凝集剤の溶液を汚泥に注入して撹拌・加圧(圧送)した後、第2の高分子凝集剤の溶液を注入して撹拌を実施し、得られた凝集汚泥をベルトプレス脱水機により脱水して脱水ケーキを得るという工程において、前記撹拌・加圧時における撹拌の回転速度を変更して脱水ケーキの含水率との関係を検討した。
【0069】
実験には2種類の汚泥(A、B)を使用した。いずれも嫌気性消化汚泥である。いずれも異なる廃水処理施設から採取した。
汚泥A、BのTSは、それぞれ11.0、23.0g/Lである。なお、TSとは、蒸発残留物のことであり、汚泥を105〜110℃で蒸発乾固したときに残留する物質の濃度である。測定方法は下水試験方法に準拠した。
汚泥A,Bの実験では、第1及び第2の高分子凝集剤ともに、カチオン性高分子凝集剤a(DAM系高分子凝集剤、分子量300万、粘度114mPa・s)を使用した。
また、第1の高分子凝集剤の溶液及び第2の高分子凝集剤の溶液は、いずれも高分子凝集剤を水に溶解して得た水溶液であり、その濃度とは、水溶液中の高分子凝集剤の濃度の意味である。
【0070】
実験手順は以下の通りである。
汚泥貯留槽に接続されたポンプ(第1凝集圧送装置)の吸込配管に上記第1の高分子凝集剤の溶液(濃度10g/L)を所定量注入し、このポンプ(第1凝集圧送装置)の吐出配管から吐出された混合汚泥サンプルを得る。次に、得られた混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液(濃度10g/L)を所定量注入し、撹拌する際の回転速度150min-1の撹拌機により混合汚泥と高分子凝集剤を2分間混合撹拌し、混合汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。最後に、ベルトプレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。
【0071】
なお、汚泥Aの実験では、第1の高分子凝集剤の溶液を2mL、第2の高分子凝集剤を2mL注入した。
汚泥Bの実験では、第1の高分子凝集剤の溶液を4mL、第2の高分子凝集剤の溶液を5mL注入した。
【0072】
脱水ケーキの含水率(%)は、脱水ケーキを105〜110℃で蒸発乾固したときに蒸発する水の質量から求めた。測定方法は下水試験方法に準拠した。
実験結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
汚泥A、Bについては、ポンプの回転速度が1000min-1程度以上でケーキ含水率を低減できた。このことから、ポンプの回転速度を、好ましくは1000min-1以上、さらにより好ましくは1500min-1以上に調整することにより、ケーキ含水率を低減できること、又は汚泥を凝集させ、脱水ケーキを得ることができることが分かった。
【0075】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの構成であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記各実施形態にかかる汚泥処理装置では、第1凝集圧送装置の上流側の配管(吸込口近傍)に第1の高分子凝集剤を供給する構成としたが、第1凝集圧送装置内に直接第1の高分子凝集剤を供給する構成としてもよい。同様に、上記各実施形態にかかる汚泥処理装置では、第2凝集装置の上流側の配管に第2の高分子凝集剤を供給する構成としたが、第2凝集装置内に直接第2の高分子凝集剤を供給する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1−1 汚泥処理装置(汚泥凝集脱水装置)
10 汚泥貯留槽
30 汚泥凝集装置
40 第1凝集圧送装置(ポンプ、汚泥供給ポンプ)
70 第1薬注手段
71 第1の高分子凝集剤溶解槽
73 第1の高分子凝集剤ポンプ
80 第2凝集装置
81 第2撹拌部
83 撹拌翼
85 シャフト
87 モータ(駆動源)
90 第2薬注手段
91 第2の高分子凝集剤溶解槽
93 第2の高分子凝集剤ポンプ
100 汚泥脱水機
1−2 汚泥処理装置(汚泥凝集脱水装置)
1−3 汚泥処理装置(汚泥凝集脱水装置)
95−3 高分子凝集剤流量調整バルブ
図1
図2
図3