(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-101950(P2016-101950A)
(43)【公開日】2016年6月2日
(54)【発明の名称】袋のグリッパー
(51)【国際特許分類】
B65B 43/54 20060101AFI20160502BHJP
【FI】
B65B43/54 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-241297(P2014-241297)
(22)【出願日】2014年11月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】東洋自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100974
【弁理士】
【氏名又は名称】香本 薫
(72)【発明者】
【氏名】山崎 仁也
(72)【発明者】
【氏名】筒井 昭二
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BB01
3E030CA01
3E030DA01
3E030EA01
3E030EB01
3E030GA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】袋詰め包装機やスパウト取付装置に設置される袋移送装置のグリッパーにおいて、グリッパープレートの交換(着脱)作業が容易に短時間で行え、かつ袋の挟持が確実に行えるようにする。
【解決手段】挟持部に設置されるグリッパープレート1がゴム製で、挟持部の前面側に配置されるプレート部2と、プレート部の背面側に突出する取付部3からなる。取付部3は挟持部に形成した穴に嵌め入れられ、係止部(返り)8が穴の背面に係合する。グリッパープレート1は互いに硬度の異なるゴムからなる複数の構成部材4,5が接合したゴム複合体からなる。プレート部2では構成部材4,5が積層され、取付部3は構成部材5の一部5bからなる。前面側に位置する構成部材4が軟質ゴムからなり、構成部材5は構成部材4より硬質のゴムからなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉する一対の挟持部を有し、各挟持部にグリッパープレートが設置され、前記グリッパープレートがゴム製で、前記挟持部の前面側に配置されるプレート部と、前記プレート部の背面側に突出して前記挟持部に係合する取付部からなる袋のグリッパーにおいて、前記グリッパープレートが互いに硬度の異なるゴムからなる複数の構成部材が接合したゴム複合体からなり、前記プレート部では複数の構成部材が積層され、前記プレート部の最も前面側の構成部材が軟質ゴムからなり、前記取付部がそれより硬質のゴムからなることを特徴とする袋のグリッパー。
【請求項2】
前記取付部と前記プレート部の最も背面側の層が1つの構成部材からなることを特徴とする請求項1に記載された袋のグリッパー。
【請求項3】
前記プレート部の最も前面側の構成部材のゴムの硬度がA20〜60°であり、前記取付部のゴムの硬度がA70〜90°であることを特徴とする請求項1又は2に記載された袋のグリッパー。
【請求項4】
開閉する一対の挟持部を有し、各挟持部にグリッパープレートが設置され、前記グリッパープレートがゴム製で、前記挟持部の前面側に配置されるプレート部と、前記プレート部の背面側に突出して前記挟持部に係合する取付部からなる袋のグリッパーにおいて、前記グリッパープレートが互いに硬度の異なるゴムからなる2つの構成部材が接合したゴム複合体からなり、かつ前記取付部とプレート部が異なる構成部材からなり、前記プレート部が軟質ゴムからなり、前記取付部が前記プレート部より硬質のゴムからなることを特徴とする袋のグリッパー。
【請求項5】
前記プレート部のゴムの硬度がA20〜60°であり、前記取付部のゴムの硬度がA70〜90°であることを特徴とする請求項4に記載された袋のグリッパー。
【請求項6】
前記グリッパープレートの取付部が、前記プレート部の背面側に突出する複数個の棒状の突起からなり、前記突起に前記挟持部の背面に係合する係止部が形成され、前記挟持部に前記突起が貫通する複数個の穴が形成され、前記突起を前記挟持部の前面側から前記穴に通し、前記係止部を前記挟持部の背面に係合させていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された袋のグリッパー。
【請求項7】
開閉する一対の挟持部を有し、各挟持部の前面側にグリッパープレートが着脱自在に設置された袋のグリッパーにおいて、前記グリッパープレートが金属製プレートとその前面に接合したゴム製プレートからなり、前記ゴム製プレートが軟質ゴムからなることを特徴とする袋のグリッパー。
【請求項8】
前記ゴム製プレートのゴムの硬度がA20〜60°であることを特徴とする請求項7に記載された袋のグリッパー。
【請求項9】
開閉する一対の挟持部を有し、各挟持部の前面側にグリッパープレートが着脱自在に設置された袋のグリッパーにおいて、前記グリッパープレートが金属製プレートとその前面に接合したゴム製プレートからなり、前記ゴム製プレートが互いに硬度の異なるゴムからなる複数の構成部材が接合し積層したゴム複合体からなり、そのうち最も前面側の構成部材が軟質ゴムからなることを特徴とする袋のグリッパー。
【請求項10】
前記ゴム製プレートの最も前面側の構成部材のゴムの硬度がA20〜60°であることを特徴とする請求項7に記載された袋のグリッパー。
【請求項11】
前記グリッパープレートに雄ねじ部品が貫通する穴が形成され、前記挟持部に前記雄ねじ部品が貫通する穴又は前記雄ねじ部品が螺合するねじ穴が形成され、前記グリッパープレートが前記挟持部に前記雄ねじ部品を用いて締結されていることを特徴とする請求項7〜10に記載された袋のグリッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋のグリッパーに関し、特に袋に食品などの被包装物を充填する袋詰め包装機や、袋にスパウトを取り付けるスパウト取付装置等に設置される袋のグリッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、円形の移動経路に沿って等間隔に複数組配置され、前記移動経路に沿って間欠的に移動する左右一対のグリッパーを備えた袋移送装置を含む袋詰め包装機が記載されている。この袋詰め包装機では、前記グリッパーに対し、空の袋を袋口を上に向けた略垂直姿勢で供給し、その袋をグリッパーの移動に伴い間欠的に移送しながら、袋口を開口し、被充填物を充填し、袋口を緊張(左右のグリッパーの間隔を広げて袋口を閉じる)させ、袋口をシールするなどの各種包装処理工程が施される。
【0003】
特許文献2には、所定の移動経路に沿って等間隔に複数組配置され、前記移動経路に沿って間欠的に移動する左右一対のグリッパーを備えた袋移送装置を含むスパウト取付装置(スパウト付き袋の製造装置)が記載されている。このスパウト取付装置では、前記グリッパーに対し、空の袋を袋口(スパウト取付部)を上に向けた略垂直姿勢で供給し、その袋をグリッパーの移動に伴い間欠的に移送しながら、袋口を開口し、袋口にスパウトを挿入すると共に前記スパウトを袋口に仮シールし、袋口にスパウトを本シールし、シール部を冷却するなどの各種スパウト取付工程が施される。また、袋口を開口後、スパウトの挿入及び仮シールの前に、必要に応じて袋内に液状物を充填することもできる。
【0004】
このような袋詰め包装機やスパウト取付装置に設置される袋移送装置において、各グリッパーは、開閉する一対の挟持部を有し、各挟持部の内側に袋を直接挟持するグリッパープレートが固定されている。このグリッパープレートとして、特許文献3のクレームには、砥粒物入りのゴム材料からなるもの、特許文献4のクレームには、金属基材の表面に結合材と硬質粒子からなる層を設けたものが開示されている。また、特許文献3の0006及び特許文献4の0003には、従来、ニトリルゴム等のゴム材料からなるグリッパープレートが用いられていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平5−28169号公報
【特許文献2】特開2014−80013号公報
【特許文献3】実開平5−26807号公報(クレーム、0006)
【特許文献4】特開平9−30510号公報(クレーム、0003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の袋詰め包装機やスパウト取付装置のグリッパーでは、一般にニトリルゴム等の軟質ゴムからなるグリッパープレートが用いられている。軟質ゴムからなるグリッパープレートは、グリッパーの挟持部の内面に接着剤で貼り付けられる。グリッパーの一対の挟持部が閉じたとき、グリッパープレートが袋の両面に接触し、グリッパープレートと袋の間の摩擦力で袋が挟持される。
このグリッパーにおいて、ゴムが劣化するなどによりグリッパープレートを交換する場合、劣化したグリッパープレートを挟持部から取り外し、挟持部に付着した接着剤等を剥がして表面を清浄化し、挟持部に新しく接着剤を塗布し、新しいグリッパープレートを挟持部へ貼り付けるという工程をとるが、その交換作業が面倒であり、かつ交換に時間が掛かるという問題がある。
【0007】
この問題を解決するため、グリッパーの挟持部に穴を形成し、ゴム材料からなるグリッパープレートの背面に取付部(返りの付いた棒状の突起)を一体的に形成し、前記取付部を前記挟持部の穴に係合させることも行われている。すなわち、グリッパープレートの前記取付部を、挟持部の前面側から前記穴に貫通させ、取付部に形成した返りを前記挟持部の背面に係合させ、グリッパープレートのプレート部(突起を除く部分)を挟持部の前面に密着状態で設置する。この方法によれば、グリッパープレートの交換(着脱)作業が簡単に行え、かつ交換は短時間で完了する。
【0008】
しかし、このグリッパーにおいて、グリッパープレートの構成材料として一般に使用される硬度の低いゴム(JISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが60°以下の軟質ゴム)を用いた場合、グリッパープレートの摩擦力が大きく袋を確実に挟持できるが、使用中に取付部が容易に変形して(伸びて)、プレート部が挟持部の前面で位置ずれを起こし、袋の挟持が安定しないという問題がある。
一方、グリッパープレートの構成材料として硬度の高いゴム(例えばJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬さが70°以上の硬質ゴム)を用いた場合、プレート部の位置ずれは生じにくくなるが、グリッパープレートの摩擦力が小さく袋を確実に挟持できないという問題が生じる。例えば、袋詰め包装機において、袋口をシールする前に一対のグリッパーの間隔を広げて袋口を緊張させたとき、グリッパープレートの表面と袋の間に滑りが生じ、袋口を十分緊張させることができない。
【0009】
本発明は、従来のグリッパーのこのような問題点に鑑みてなされたもので、グリッパーによる袋の挟持が確実に行えると共に、グリッパープレートが挟持部からずれたり外れたりしにくく、かつグリッパープレートの交換作業が面倒でなく行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る第1のグリッパーは、開閉する一対の挟持部を有し、各挟持部にグリッパープレートが設置され、前記グリッパープレートがゴム製で、前記挟持部の前面側に配置されるプレート部と、前記プレート部の背面側に突出して前記挟持部に係合する取付部からなるとともに、前記グリッパープレートが互いに硬度の異なるゴムからなる複数の構成部材が接合したゴム複合体からなる。このグリッパープレートには、具体的に次の2つの場合が含まれる。
【0011】
(1)前記プレート部では複数の構成部材が積層され、プレート部の最も前面側の構成部材が軟質ゴムからなり、前記取付部がそれより硬質のゴムからなる。ここで、軟質ゴムとは、一般にJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬度がA70°以下のゴムを意味する。また、本発明において構成部材とは、溶融及び固化により成形され、内部に継ぎ目がなく、材質がほぼ均一のゴム部材を意味する。プレート部の最も前面側の構成部材のゴムの硬度は、好ましくはA20〜60°であり、取付部のゴムの硬度は、好ましくはA70〜90°である。
この場合、前記プレート部の最も背面側の層と取付部が、1つの構成部材からなることが好ましい。しかし、プレート部の最も背面側の層と取付部が、異なる構成部材からなっていてもよい。プレート部に積層された複数の構成部材は、ゴムの硬度が背面側になるほど高く設定されていることが好ましい。
【0012】
(2)前記プレート部と取付部がそれぞれ1つの構成部材からなり(プレート部で複数の構成部材が積層していない)、前記プレート部が軟質ゴムからなり、前記取付部が前記プレート部より硬質のゴムからなる。プレート部のゴムの硬度は、好ましくはA20〜60°であり、取付部のゴムの硬度は、好ましくはA70〜90°である。
【0013】
上記第1のグリッパーにおいて、前記取付部は、例えば前記プレート部の背面側に突出する複数個の棒状の突起からなる。前記突起には前記挟持部の背面に係合する抜け止めの係止部が形成され、前記挟持部に前記突起が貫通する複数個の穴が形成されている。前記突起(前記係止部を含む)を挟持部の前面側から前記穴に通し、前記係止部を前記挟持部の背面に係合させる。これにより、前記グリッパープレートが前記挟持部に固定され、かつ前記プレート部の背面が前記挟持部の前面に密着する。
なお、構成部材同士(異なる材質のゴム同士)の接合は、接着剤を用いた接合(接着)、溶着による接合、及びモールドによる接合等が利用できる。
【0014】
本発明に係る第2のグリッパーは、開閉する一対の挟持部を有し、各挟持部の前面側にグリッパープレートが着脱自在に設置され、前記グリッパープレートが金属製プレートとその前面に接合したゴム製プレートからなる。上記グリッパープレートには、具体的に次の2つの場合が含まれる。
(1)前記ゴム製プレートが軟質ゴムからなる。前記ゴム製プレートのゴムの硬度は、好ましくはA20〜60°である。
(2)前記ゴム製プレートが互いに硬度の異なるゴムからなる複数の構成部材が接合し積層したゴム複合体からなり、そのうち最も前面側の構成部材が軟質ゴムからなる。前記最も前面側の構成部材のゴムの硬度は、好ましくはA20〜60°である。前記ゴム製プレートの複数の構成部材は、ゴムの硬度が背面側になるほど高く設定されていることが好ましい。
【0015】
上記第2のグリッパーにおいて、挟持部の前面側にグリッパープレートを設置する手段の1つとして、前記グリッパープレートに雄ねじ部品(ボルト、小ねじ等)が貫通する穴を形成し、前記挟持部に前記雄ねじ部品が貫通する穴又は前記雄ねじ部品が螺合するねじ穴を形成することができる。この場合、前記グリッパープレートは、前記雄ねじ部品を用いて前記挟持部に着脱自在に設置することができる。
金属製プレートとゴム製プレートの接合及び構成部材同士(異なる材質のゴム同士)の接合は、接着剤を用いた接合(接着)、溶着による接合、及びモールドによる接合等が利用できる。
【0016】
本発明でいうゴム硬度(上記第1グリッパーのグリッパープレートのゴムの硬度、上記第2グリッパーのゴム製プレートのゴムの硬度)は、いずれもJISK6253のデュロメータ硬さ試験(Aタイプ)による硬度を意味する。
本発明でいうゴムには、天然ゴム、合成天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等、種々のゴムが含まれる。
【発明の効果】
【0017】
上記第1のグリッパーでは、グリッパープレートのプレート部の袋を直接挟持する部位が軟質ゴムからなり、挟持部に係合する取付部がそれより硬質のゴムからなるため、グリッパーによる袋の挟持が確実に行えると同時に、グリッパープレートが挟持部からずれたり外れたりしにくい。また、グリッパープレートを挟持部に接着剤で固定するのでなく、取付部が挟持部に係合することにより固定するので、グリッパープレートの交換(着脱)作業を、工具を使用することなく、短時間で行うことができる。
【0018】
上記第2のグリッパーでは、グリッパープレートのゴム製プレートの少なくとも袋を直接挟持する部位が軟質ゴムからなり、グリッパーによる袋の挟持が確実に行える。また、ゴム製プレートの背面に硬い金属製プレートが配置されているため、グリッパープレートを挟持部に例えばねじ止めすることができ、グリッパープレートが挟持部からずれたり外れたりしにくい。また、グリッパープレートの着脱も容易に行えるので、グリッパープレートの交換作業を従来に比べて容易に、かつ短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るグリッパープレートの斜視図(a)、平面図(b)、及び(b)のA−A断面図(c)である。
【
図2】
図1に示すグリッパープレートが固定されたグリッパーの平面図である。
【
図3】本発明に係る別のグリッパープレートの断面図である。
【
図4】本発明に係る別のグリッパープレートの平面図(a)、及び(a)のB−B断面図(b)である。
【
図5】
図4に示すグリッパープレートが固定されたグリッパーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るグリッパーについて、
図1〜5を参照して詳細に説明する。
[グリッパープレートがゴム複合体からなるもの]
図1に示すグリッパープレート1はゴム製で、機能的にみると、プレート部2と、プレート部2の背面側に突出する取付部3からなる。グリッパープレート1をゴムの材質面でみると、軟質ゴムからなる構成部材4とそれより硬質のゴムからなる構成部材5からなる。グリッパープレート1のプレート部2は構成部材4と構成部材5の一部(5a)からなり、取付部3は構成部材5の残りの一部(5b)からなる。個々の構成部材は、それぞれ溶融及び固化により成形され、継ぎ目がなく、材質がほぼ均一のゴム部材である。
グリッパープレート1は、構成部材4と構成部材5が接合部6において接合したゴム複合体である。接合方法としては、接着剤を用いた接合、溶着による接合、及びモールドによる接合等、公知の接合方法が利用できる。
【0021】
プレート部2は、平らな構成部材4と構成部材5の一部5aが積層したもので、全体として平らである。構成部材4が軟質ゴムからなるため、プレート部2の前面側(袋に直接接触する部位)は軟質ゴムからなる。
取付部3は、プレート部2の背面側に突出する棒状の突起であり、構成部材5の一部5bからなり、複数個(この例では3個)存在する。取付部3は、順に第1棒状部7、切頭円錐形の係止部(返り)8、及び後端側の第2棒状部9からなる。
【0022】
一方、
図2に示すように、グリッパー11は、アーム12と、開閉する一対の挟持部13,14を有する。
図2において、挟持部13が固定挟持部、挟持部14が移動挟持部であり、挟持部14が閉じて袋15の側縁を挟持した状態が実線で、挟持部14が開いて袋15を解放した状態が2点鎖線で描かれている。
各挟持部13,14には、グリッパープレート1のプレート部2の一部が嵌め入れられる深さの溝16と、取付部3が貫通する穴17が複数個(この例では3個)形成されている。
無負荷状態では、取付部3の第1棒状部7の径は穴17の径よりやや大きく、係止部8の最大径は穴17の径より大きく、第2棒状部9の径は穴17の径よりやや小さく形成されている。また、同じく無負荷状態において、第1棒状部7の長さは、挟持部13,14の厚み(プレート部2が装着される溝16の部分の厚み)よりやや小さく形成されている。
【0023】
グリッパープレート1を挟持部13,14に装着するとき、挟持部13,14の前面側から、第2棒状部9を先にして取付部3を穴17に挿し入れ、係止部8が穴17を抜けて挟持部13,14の背面に達するまで、取付部3を押し込み、かつ第2棒状部9を引っ張る。
これにより、プレート部2の一部が溝16内に嵌め入れられ、第1棒状部7が穴17内に嵌り、係止部(返り)8が挟持部13,14の背面に係合し、挟持部13,14が係止部8とプレート部2の間に挟まれ、これにより、グリッパープレート1が挟持部13,14に固定されると共に、プレート部2が挟持部13,14の前面に密着する。
このように、グリッパープレート1の挟持部13,14への取り付けは容易に、かつ短時間で行うことができる。また、ゴムが劣化したグリッパープレート1を挟持部13,14から取り外すことも、いうまでもなく容易にかつ短時間で行うことができる。
【0024】
グリッパープレート1を取り付けたグリッパー11は、グリッパープレート1の前面側(袋15に直接接触する部位)が軟質ゴムからなるため、グリッパープレート1と袋15の間に働く摩擦力が大きく、挟持部13,14が閉じたとき、袋15の挟持が確実に行われる。また、取付部3が相対的に硬質のゴムからなるため簡単に伸びたりせず、グリッパープレート1が挟持部13,14に確実に係止され、プレート部2が挟持部13,14の前面から位置ずれを起こしたり、グリッパープレート1が挟持部13,14から外れたりするのが防止される。なお、このグリッパープレート1は、構成部材5の一部5aが挟持部13,14の前面側に位置し、係止部8が挟持部13,14の背面側に位置し、挟持部13,14を相対的に硬質のゴムで前後から挟んだ形になっているので、挟持部13,14への係止がいっそう確実である。
【0025】
グリッパープレート1において、プレート部2の前面側(袋に直接接触する部位)に位置する構成部材4のゴムは軟質ゴムからなる。軟質ゴムは一般的に、JISK6253に規定するデュロメーター硬さ試験タイプAで測定した硬度でA70°以下とされている。しかし、構成部材4のゴムの硬度は、それより低い硬度、具体的にいえばA60°以下であることが好ましい。構成部材4のゴムの硬度がA60°以下であれば、グリッパー11で袋15を挟持したときの摩擦力が大きく、袋を確実に挟持できる。構成部材4のゴムの硬度は、より好ましくはA50°以下、さらに好ましくはA45°以下である。一方、構成部材4のゴムの硬度があまりに低いと、使用中に摩耗が生じやすくなるため、A20°以上の硬度を有することが好ましく、より好ましくはA30°以上、さらに好ましくはA35°以上である。
【0026】
また、取付部3の構成部材5は、JISK6253に規定するデュロメーター硬さ試験タイプAで測定した硬度でA60°以上であることが好ましく、より好ましくはA70°以上である。構成部材5のゴムの硬度がA70°以上であれば、グリッパープレート1を挟持部13,14に確実に取り付けることができる。一方、構成部材5のゴムの硬度があまりに高いと、径の大きい係止部8(返り)を挟持部13,14の穴17に通しにくくなるため、構成部材5のゴムの硬度はA90°以下であることが好ましい。さらに好ましくは、A75°以上、A85°以下である。
【0027】
なお、硬度がA40°のゴムを使用して構成部材4を作成し、硬度がA80°のゴムを使用して構成部材5を作成し、両部材を接着剤で接合してグリッパープレート(グリッパープレート1と同様の構造のもの)を作成し、このグリッパープレートを、袋移送装置(引用文献1に記載された袋詰め包装機に使用されている袋移送装置と同タイプ)のグリッパーに取り付け(取付方法は
図2を参照して説明したとおり)、袋の挟持及び移送を行った。その結果、袋口を緊張させたときもグリッパープレートの表面と袋の間に滑りが生じず、グリッパープレートの位置ずれもなく、袋の挟持が確実に行えることが確認できた。また、グリッパーの挟持部へのグリッパープレートの取り付け及び取り外しを容易に短時間で行うことができた。
【0028】
図3に、ゴム複合体からなるグリッパープレートの他の実施の形態を示す。
図3において、
図1に示すグリッパープレート1と実質的に同じ部位には、同じ番号を付与している。
図3(a)に示すグリッパープレート1Aは、構成部材4と構成部材5の間に中間層として構成部材21が配置されている点を除いて、
図1に示すグリッパープレート1と同じである。構成部材4と構成部材21は接合部22において接合し、構成部材21と構成部材5は接合部23において接合している。必須ではないが、確実な接合のため、構成部材21は、構成部材4と構成部材5の中間のゴム硬度を有することが好ましい。なお、このグリッパープレート1Aは、グリッパープレート1と同様に、プレート部2と取付部3の境界に接合部が存在しない。
【0029】
図3(b)に示すグリッパープレート1Bは、プレート部2の背面側の層と取付部3がそれぞれ別の構成部材(構成部材24,25)からなる点を除いて、
図1に示すグリッパープレート1と同じである。構成部材4と構成部材24は接合部26において接合し、構成部材24と構成部材25は接合部27において接合している。構成部材25の硬度は、グリッパープレート1の構成部材5と同様に設定される。構成部材24は、構成部材4と構成部材25の中間のゴム硬度を有することが好ましい。
【0030】
図3(c)に示すグリッパープレート1Cは、プレート部2と取付部3がそれぞれ1つの構成部材(構成部材28,29)からなり、構成部材26と構成部材27が接合部31において接合している。構成部材28の硬度は、グリッパープレート1の構成部材4と同様に設定され、構成部材29の硬度は、グリッパープレート1の構成部材5と同様に設定される。
【0031】
[グリッパープレートが金属製プレートとゴム製プレートからなるもの]
図4に示すグリッパープレート41は、金属製プレート42とその前面に接合したゴム製プレート43からなり、金属製プレート42とゴム製プレート43を貫通してビス止め用の穴44が形成されている。ゴム製プレート43は軟質ゴム製の単一の構成部材45からなる。構成部材45のゴムの硬度は、グリッパープレート1の構成部材4と同じ理由で、A60°以下であることが好ましく、より好ましくはA50°以下、さらに好ましくはA45°以下である。また、構成部材4と同じ理由で、A20°以上の硬度を有することが好ましく、より好ましくはA30°以上、さらに好ましくはA35°以上である。
【0032】
一方、
図5に示すグリッパー51は、
図2に示すグリッパー11と同じく、アーム52と、開閉する一対の挟持部53,54を有する。
図5において、挟持部53が固定挟持部、挟持部54が移動挟持部であり、挟持部54が閉じて袋15の側縁を挟持した状態が実線で、挟持部54が開いて袋15を解放した状態が2点鎖線で描かれている。
グリッパー51の各挟持部53,54には、グリッパープレート41の一部(金属製プレート42の大部分)が嵌め入れられる深さの溝55と、ビス止め用の穴56が複数個(この例では3個)形成されている。
【0033】
グリッパープレート41を挟持部53,54に固定するとき、挟持部53,54の前面側から、グリッパープレート41(金属製プレート42側)を溝55内に嵌め入れ、グリッパープレート41の前面側から穴44,56にビス(小ねじ)57を通してナット58で締結する。これにより、グリッパープレート41が各挟持部53,54の前面に密着、固定される。なお、挟持部53,54に雌ねじを形成して、この雌ねじにビスを締結することもできる。
このように、グリッパープレート41の挟持部53,54への取り付けは容易に、かつ短時間で行うことができる。また、ゴムが劣化したグリッパープレート41を挟持部53,54から取り外すことも、容易にかつ短時間で行うことができる。
【0034】
なお、
図4の例では、グリッパープレート41のゴム製プレート43は、単一の構成部材45からなっていたが、このゴム製プレートを互いに硬度の異なるゴムからなる複数の構成部材を接合し積層したゴム複合体で構成することができる。この場合、最も前面側の構成部材の硬度は、構成部材45と同様に設定することが好ましい。その他の構成部材の硬度は、最も前面側の構成部材より高く、かつ背面側になるほど高い硬度とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0035】
1,41 グリッパープレート
2 プレート部
3 取付部
4,5,21,24,25,28,29,45 ゴム製構成部材
6,22,26,27,31 接合部
8 係止部(返り)
11,51 グリッパー
13,14,53,54 挟持部
15 袋
17 穴
42 金属製プレート
43 ゴム製プレート
44,56 穴
57 ビス