【解決手段】屋根上物品取付具1は、ボルト挿通孔11aを有した台座部11と、台座部11の一方の端部より下方に延びた脚部13と、脚部13の下端より台座部11の下方側に延びた挟持片14とを有した挟持部材10を一対備え、台座部11、11どうしを重合しボルト31、ナット32で固定することで、折板屋根40の頂部42より突出した突出部45を挟持片14、14どうしで挟持して、突出部45に固定されるようになっている。ボルト31はボルト挿通孔11aに下方より挿通されるようになっており、挟持部材10には、台座部11の下方で挟持片14の上方にボルト落下防止部12が形成されている。
ボルト挿通孔を有した台座部と、該台座部の一方の端部より下方に延びた脚部と、該脚部の下端より前記台座部の下方側に延びた挟持片とを有した挟持部材を一対備え、前記台座部どうしを重合しボルト、ナットで固定することで、折板屋根の頂部より突出した突出部を前記挟持片どうしで挟持して、該突出部に固定されるようになっている屋根上物品取付具であって、
前記ボルトは前記ボルト挿通孔に下方より挿通されるようになっており、
前記挟持部材には、前記台座部の下方で前記挟持片の上方にボルト落下防止部が形成されていることを特徴とする屋根上物品取付具。
【背景技術】
【0002】
この種の屋根上物品取付具として、たとえば特許文献1に開示されているように、一対の挟持部材を組み合わせてなるものがある。
【0003】
図9に示すように、この種の屋根上物品取付具100は、一対の挟持部材110、110の台座部111、111どうしを重合し、ボルト101、ナット102で固定することで、一対の挟持片112、112が折板屋根の頂部(不図示)より突出したハゼ部(不図示)などの突出部を両側より挟持する構成となっている。なお、
図9中の104は平ワッシャー、105はばねワッシャーである。
【0004】
この屋根上物品取付具100は、ボルト101と突出部の接触を回避するために、ボルト101は台座部111のボルト挿通孔(不図示)に対し下方より装着され、上方に突き出たボルト101の軸部101aにナット102止めする構成となっている。
【0005】
このように、ボルト101を上方に向けて装着する構造であるため、ナット102をボルト101に取り付ける前段階においてボルト101が落下しないように、落下防止プレート103(
図9(b)の拡大斜視図参照)を取り付けることが通例となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、落下防止プレート103はプラスティック製の薄く小さな小物部材であるため、紛失しやすい。また、屋根上への取り付けに際し必須の部材ではないので、屋根上物品取付具100を構成する一式の部材として管理されないこともあり、必要なときに在庫なしとなるおそれがある。また、プラスチック製の薄い部材であるため、取り付けの際に損傷することもある。両挟持部材110、110をいったん合体させた後に分離する場合には、落下防止プレート103の取り外しはしにくく、取り外しの際にも割れなどの破損が生じるおそれもある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、落下防止プレートなどの小物部材を使用することなくボルトの落下を防止できる屋根上物品取付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の屋根上物品取付具は、ボルト挿通孔を有した台座部と、台座部の一方の端部より下方に延びた脚部と、脚部の下端より台座部の下方側に延びた挟持片とを有した挟持部材を一対備え、台座部どうしを重合しボルト、ナットで固定することで、折板屋根の頂部より突出した突出部を挟持片どうしで挟持して、突出部に固定されるようになっている屋根上物品取付具であって、ボルトはボルト挿通孔に下方より挿通されるようになっており、挟持部材には、台座部の下方で挟持片の上方にボルト落下防止部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の屋根上物品取付具は、台座部にはボルト挿通孔より台座部の側端に通じる切欠溝が形成されており、台座部は、脚部が延出された上段部と、下段部とを切欠溝を介して連設した形状とされ、切欠溝どうしの相互差し込みにて、下段部が下方に配せられるように交差状に重合する構造とされており、ボルト落下防止部は、すくなくとも一方の前記下段部の先端が折曲されて形成されている。
【0011】
請求項3に記載の屋根上物品取付具は、台座部の一方が上に、他方が下に配せられて重合する構造となっており、ボルト落下防止部は、下方に配せられる台座部の先端が折曲されて形成されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の屋根上物品取付具によれば、上述の構成となっているため、挟持部材どうしの結合作業の際に、落下防止プレートなどの小物部材を使用することなくボルトの落下を防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の屋根上物品取付具によれば、台座部を交差状に重合するタイプの屋根上物品取付具において、落下防止プレートを用いることなく、ボルトの落下を防止することができる。
【0014】
請求項3に記載の屋根上物品取付具によれば、台座部の一方が上に、他方が下に配せられて重合するタイプの屋根上物品取付具において、落下防止プレートを用いることなく、ボルトの落下を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面をもとに説明する。まず、全実施形態に共通する基本構成について説明する。
【0017】
屋根上物品取付具1は、ボルト挿通孔11aを有した台座部11と、台座部11の一方の端部より下方に延びた脚部13と、脚部13の下端より台座部11の下方側に延びた挟持片14とを有した挟持部材10を一対備えている。屋根上物品取付具1は、台座部11、11どうしを重合しボルト31、ナット32で固定することで、折板屋根40の頂部42より突出した突出部45、47を挟持片14どうしで挟持して、突出部45、47に固定されるようになっている。
【0018】
台座部11、11どうしを重合、固定するためのボルト31は、ボルト挿通孔11aに下方より挿通されるようになっている。そして、挟持部材10には、台座部11の下方で挟持片14の上方にボルト落下防止部(折曲片12)が形成されている。
【0019】
ついで、各実施形態について説明する。まず、
図1〜
図5に示した実施形態に係る屋根上物品取付具1の構成、構造について説明する。
【0020】
この屋根上物品取付具1は、
図3〜
図5に示すように、折板屋根40の上に取り付けられる取付具である。
【0021】
この折板屋根40は、山部41と谷部43とが交互に連続する屋根であって、複数の屋根材を山部41の頂部42においてハゼ連結してなる屋根である。なお、49は折板屋根40の形状を下方より保持する保持部材である。
【0022】
屋根上物品取付具1は、折板屋根40の頂部42の上方に突出したハゼ部45よりなる突出部に取り付け固定されるようになっている。
【0023】
屋根上物品取付具1は、上述したように、主たる構成部材として一対の挟持部材10、10を備え、これらがボルト31、ナット32で固定されるようになっている。
【0024】
本実施形態のものは、一対の挟持部材10、10が同一形状とされ、挟持部材10のそれぞれは、平面視で方形状の台座部11と、その一方の端部(1辺縁部)より下方に延びた脚部13と、脚部13の下端より台座部11とほぼ平行に、台座部11の下方側に延びた挟持片14とを備えている。
【0025】
台座部11は、脚部13を設けた辺縁部の対辺となる辺縁部に、下方にL字状に折曲された折曲片12を備えている。台座部11の脚部13側の辺縁部と折曲片12側の辺縁部とのほぼ中央には、それら辺縁に平行であり傾斜面を有した段差部11cが形成されており、折曲片12を延設したほうの平板部11eが脚部側の平板部11dよりも低い位置に配されている。
【0026】
段差部11cのほぼ中央には両平板部11d、11eに跨るようにボルト挿通孔11aが開設されており、そのボルト挿通孔11aから段差部11cに沿って、脚部13側の辺縁部に隣接する側端(辺縁部)のうちの一方の側端の外方に連通する切欠溝11bが形成されている。
【0027】
ボルト挿通孔11aの脚部13側の平板部11d側の縁部は、ボルト31の軸部31bの形状に合致するように丸く形成されているが、ボルト挿通孔11aの平板部11e側の縁部は角形状となっている。
【0028】
折曲片12は、台座部11の辺縁部より下方にL字状に延びてなり、その横片12aは台座部11の平板部11eにほぼ平行に延びている。なお、この横片12aの正面視における寸法は、
図5に示すように、屋根上物品取付具1を屋根上に取り付けた際に、両挟持部材10、10の横片12a、12a間に隙間ができる程度であればよい。換言すれば、
図5の状態で横片12a、12aの先端どうしが接触せず、かつ隙間にボルト頭31cが通らないものであればよい。また、縦片12bの寸法は、両挟持部材10、10を固定するボルト31のボルト頭31cを収容でき、かつ横片12aがハゼ部45との接触を回避できる程度の寸法であればよい。
【0029】
この折曲片12がボルト落下防止部を構成する。なお、折曲片12は、一方の挟持部材10だけに形成されていてもよく、両挟持部材10、10を結合させた際に、横片12aがボルト頭31cを下方より覆い隠す程度の寸法であればよい。
【0030】
脚部13はやや外側に開くように下方に延びている(
図1参照)。また、挟持片14は台座部11の下方において、台座部11の中ほどの下方位置まで延び、その先端には上方に突出した押圧部14aが形成されている(
図1参照)。
【0031】
このような構造の挟持部材10、10を2つ組み合わせることで挟持具Aが構成される。なお、図例に示した一対の挟持部材10、10は同一形状であるが、上述したように、折曲片12は一方のみに形成されたものとしてもよく、同一形状には限定されない。
【0032】
挟持具Aは、一対の挟着部材10、10を、挟持片14、14が開閉自在となるように支点連結することで形成される。具体的には、
図2に示すように、一方の挟持部材10に、ボルト31を切欠溝11bにスライド挿入させてボルト挿通孔11aに取り付けておき、両挟持部材10、10の台座部11、11の切欠溝11b、11bどうしを相互に差し込み、台座部11、11を交差状に重合することで、挟持具Aが形成される。
図2に示すように、折曲片12が形成されているため、ボルト31は1つの挟持部材10に装着された状態でも落下しにくい。
【0033】
このように2つの挟持部材10、10を組み合わせ連結した状態では、
図3に示すように、正面視で切欠溝11b、11bの部位が支点となって、ハサミのごとく開閉動作をさせることができる。
【0034】
この状態では両挟持部材10、10の台座部11、11の折曲片12、12を延設させたほうの平板部11e、11eはいずれもが下側に配され、2つのボルト挿通孔11a、11aにより形成された重合ボルト貫通孔の下面側の開口は、両ボルト挿通孔11a、11aの縁部の角形状により、ボルト31の根角部31aが嵌まり込むような四角形状に形成される。
【0035】
ボルト31、ナット32の螺着により、両台座部11、11が重合、固定され、両挟持部材10、10は固定した状態に連結される。なお、連結のためのその他の部材として、平ワッシャー34、ばねワッシャー35が用いられる。また、ボルト31としては、図例に示したような根角ボルトを用いることが望ましい。
【0036】
挟持具Aは、このように両挟持部材10、10が連結、固定された状態で、折板屋根40のハゼ部45に固定される。以下、この手順について、
図3〜
図5にもとづいて説明する。
【0037】
まず、
図3に示すように、一対の挟持部材10、10を
図2の手順で連結して挟持具Aを形成し、挟持具Aが開閉自在となる状態にしておく。
図3に示した挟持具Aにおいては、ボルト31は重合したボルト挿通孔11a、11aに挿通されているが、ナット32で仮止めはされておらず、ボルト31は下方にずり落ちて折曲片12の横片12aによって下方より支持された状態にある。
【0038】
このように、ボルト31は折曲片12(ボルト落下防止部)で支持されているので、プラスチック製の落下防止プレートなどを用いなくても、ボルト31が抜け落ちることはなく、作業をしやすくできる。特に、一対の挟持部材10、10と、ボルト31とを用いて
図3の状態にするまでの間に、ボルト31が滑り落ちるようなことがないので便利である。また、その後のナット32止め作業もボルト31落ちを気にしなくてもよく、作業がしやすい。また、ナット32止めせずに、ボルト31と両挟持部材10、10とを仮結合した状態で保管、梱包しても、ボルト31外れが発生するおそれはない。
【0039】
こうして挟持部材10、10を仮結合した後、
図4に示すように、上方に突出したボルト31の軸部31bに、平ワッシャー34、ばねワッシャー35を取り付け、ナット32を螺合し仮止めする。
【0040】
つぎに、
図4に示すように、挟持具Aを、挟持片14、14間が開いた状態で、折板屋根40の頂部42の上に、両挟持片14、14でハゼ部45を両側より挟み込むように載せ置く。
【0041】
そして、その状態でボルト31を上方に引っ張り、根角部31aをボルト貫通孔の角形状の開口に嵌め込み、ボルト31が回り止めされた状態でナット32を締め付けていく。そうすると、支点連結された両挟持部材10、10の両台座部11、11が平行に近づくように重合していき、それと同時に両脚部13、13が閉じるとともに挟持片14、14間が狭まっていき、その結果、各挟持片14、14はハゼ部45の起立基部45aの外面に徐々に押し付けられていく。なお、ナット32で締め付ける際には、根角部31aが開口から外れないように、台座部11、11と折曲片12、12とで囲まれた空間に指またはドライバーなどの工具を挿入してボルト頭31cを下方より支持しておくことが望ましい。
【0042】
ナット32を螺合していくことで両脚部13、13がさらに締め付けられ、各挟持片14、14の押圧部14a、14aの横方向の外面がハゼ部45の起立基部45aの外面にさらに押し付けられる。
【0043】
そして、ナット32をボルト31にしっかりと螺着することで、重合した両台座部11、11どうしが上下方向にしっかりと重合、固定され、それと同時に、両挟持片14、14はその先端がハゼ部45の起立基部45aを両側より押圧した状態に固定される(
図5参照)。
【0044】
こうして、屋根上物品取付具1は折板屋根40のハゼ部45に取り付け固定される。そして、台座部11の上方に突出したボルト31の軸部31bには、太陽光パネル取り付け用のレール(不図示)や、種々の屋根上物品(不図示)の取り付けが可能となる。
【0045】
つぎに、
図6および
図7にもとづいて、折板屋根40の頂部42より突出したボルト体47に取り付ける屋根上物品取付具1について説明する。
【0046】
この折板屋根40は、隣接する両屋根材を山部41で重ね、ボルト体47で連結固定した重ね式の連設構造となっている。山部41の頂部42にはボルト体47の軸部47aが突出し、そのボルト体47が座金付きナット48で固定してある。
【0047】
屋根上物品取付具1は、このようなボルト体47の軸部47aで構成された突出部に対応した構造となっている。具体的には、挟持部材10の挟持片14の形状が
図1のものとは異なる形状となっている。なお、挟持部材10の挟持片14以外の部位については
図1のものと同形状、同構造であるため、それらの形状、構造については説明を割愛する。また、この屋根上物品取付具1の取り付け手順についても
図1のものと概ね同様であるため、折板屋根40に取り付けられた状態のみを図示し、取り付け手順の図示および説明は割愛する。
【0048】
挟持部材10の挟持片14は、先端に向けてやや上方に傾斜している。これは、挟持片14、14が座金付きナット48との接触を回避し、確実にボルト体47の軸部47aを挟持できるようにするためである。
【0049】
挟持片14の先端の中央には、ボルト体47の軸部47aを係止するための係止凹部14bが形成されている。係止凹部14bの底部には、やや上方に切り起こされた係止爪14cが形成されている。挟持具Aは、挟持部材10、10の締め付けによって、両挟持片14、14の両係止凹部14b、14bがボルト体47の軸部47aを挟持するとともに、係止爪14c、14cが軸部47aのねじ溝に係止することで、ボルト体47に固定されるようになっている。なお、ボルト体47の軸部47aに対する固定構造は、係止凹部14bによるものには限られず、種々の構造を採用することができる。
【0050】
ついで、さらに他の実施形態に係る屋根上物品について、
図8(a)(b)をもとに説明する。
【0051】
この屋根上物品取付具1は、
図1のものと同様に折板屋根40のハゼ部45に取り付けられるものである。この折板屋根40については
図1に示したものと同様であるため、説明を割愛する。
【0052】
この屋根上物品取付具1は、一対の挟持部材10、10を含んでなるが、その形状は
図1のものとは異なる。また、両挟持部材10、10は相互間で形状が異なる。
【0053】
挟持部材10はいずれも、ボルト挿通孔11aを有した台座部11と、その端部より下方に延びた脚部13と、その下端より台座部11の下方に台座部11とほぼ平行に延びた挟持片14とを備えている。この挟持片14については、
図1に示した挟持部材10の挟持片14と概ね同形状である。
【0054】
また、挟持具Aを形成した際に台座部11が下側に配される一方の挟持部材10には、台座部11より延出、折曲されてなるL字状の折曲片12が形成されている。この折曲片12がボルト落下防止部を構成する。なお、他方の挟持部材10には折曲片12は形成されていない。
【0055】
いずれの挟持部材10、10の台座部11、11と脚部13、13にも、台座部11、11の開放側の端部から脚部13、13の下端におよぶ外面側に膨らんだ凸リブ16、16が形成されている。なお、折曲片12の縦片12bにも凸リブ16が延びている。凸リブ16の裏面側は凹部となっており、両挟持部材10、10の台座部11、11を上下に重ねることで、一方の凸リブ16が他方の凸リブ16の裏側に嵌合するようになっている。
【0056】
このように、本屋根上物品取付具1の挟持具Aは、台座部11、11の一方の全体が上に、他方の全体が下に配せられて重合する構造となっている。そして、
図1のものと同様に、両挟持部材をボルト31、ナット32で締め付けて、ハゼ部45に取り付けられるようになっている。
【0057】
この屋根上物品取付具1についても、縦片12bと横片12aとよりなるL字状の折曲片12(ボルト落下防止部)を有しているので、作業中のボルト31の落下を防止することができる。
【0058】
このような上下重合型の挟持具Aを、
図6、
図7のようなボルト体47への固定構造に設計変形することで、重ね式連設構造の折板屋根40に対応した屋根上物品取付具を構成することもできる。
ボルト挿通孔を有した台座部と、該台座部の一方の端部より下方に延びた脚部と、該脚部の下端より前記台座部の下方側に延びた挟持片とを有した挟持部材を一対備え、前記台座部どうしを重合しボルト、ナットで固定することで、折板屋根の頂部より突出した突出部を前記挟持片どうしで挟持して、該突出部に固定されるようになっている屋根上物品取付具であって、
前記ボルトは軸部が上方に突出するようにボルト挿通孔に挿通されており、
前記一対の挟持部材は同一形状とされ、それぞれの挟持部材には、前記台座部の下方で前記挟持片の上方にボルト落下防止部が形成されており、
前記台座部は、前記ボルト挿通孔より前記台座部の側端に通じる切欠溝が形成され、該切欠溝を介して、前記脚部が延出された上段部と、下段部とを連設した形状とされており、
前記ボルトが前記切欠溝に沿って前記ボルト挿通孔にスライド装着された一方の挟持部材と、他方の挟持部材とが、前記切欠溝どうしが相互差し込みされた状態で、前記下段部が下方に配せられるように交差状に重合する構造とされることを特徴とする屋根上物品取付具。
【背景技術】
【0002】
この種の屋根上物品取付具として、たとえば特許文献1に開示されているように、一対の挟持部材を組み合わせてなるものがある。
【0003】
図9に示すように、この種の屋根上物品取付具100は、一対の挟持部材110、110の台座部111、111どうしを重合し、ボルト101、ナット102で固定することで、一対の挟持片112、112が折板屋根の頂部(不図示)より突出したハゼ部(不図示)などの突出部を両側より挟持する構成となっている。なお、
図9中の104は平ワッシャー、105はばねワッシャーである。
【0004】
この屋根上物品取付具100は、ボルト101と突出部の接触を回避するために、ボルト101は台座部111のボルト挿通孔(不図示)に対し下方より装着され、上方に突き出たボルト101の軸部101aにナット102止めする構成となっている。
【0005】
このように、ボルト101を上方に向けて装着する構造であるため、ナット102をボルト101に取り付ける前段階においてボルト101が落下しないように、落下防止プレート103(
図9(b)の拡大斜視図参照)を取り付けることが通例となっている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面をもとに説明する。まず、全実施形態に共通する基本構成について説明する。
【0017】
屋根上物品取付具1は、ボルト挿通孔11aを有した台座部11と、台座部11の一方の端部より下方に延びた脚部13と、脚部13の下端より台座部11の下方側に延びた挟持片14とを有した挟持部材10を一対備えている。屋根上物品取付具1は、台座部11、11どうしを重合しボルト31、ナット32で固定することで、折板屋根40の頂部42より突出した突出部45、47を挟持片14どうしで挟持して、突出部45、47に固定されるようになっている。
【0018】
台座部11、11どうしを重合、固定するためのボルト31は、ボルト挿通孔11a
に軸部31bが上方に突出するように挿通されるようになっている。そして、挟持部材10には、台座部11の下方で挟持片14の上方にボルト落下防止部(折曲片12)が形成されている。
【0019】
ついで、各実施形態について説明する。まず、
図1〜
図5に示した実施形態に係る屋根上物品取付具1の構成、構造について説明する。
【0020】
この屋根上物品取付具1は、
図3〜
図5に示すように、折板屋根40の上に取り付けられる取付具である。
【0021】
この折板屋根40は、山部41と谷部43とが交互に連続する屋根であって、複数の屋根材を山部41の頂部42においてハゼ連結してなる屋根である。なお、49は折板屋根40の形状を下方より保持する保持部材である。
【0022】
屋根上物品取付具1は、折板屋根40の頂部42の上方に突出したハゼ部45よりなる突出部に取り付け固定されるようになっている。
【0023】
屋根上物品取付具1は、上述したように、主たる構成部材として一対の挟持部材10、10を備え、これらがボルト31、ナット32で固定されるようになっている。
【0024】
本実施形態のものは、一対の挟持部材10、10が同一形状とされ、挟持部材10のそれぞれは、平面視で方形状の台座部11と、その一方の端部(1辺縁部)より下方に延びた脚部13と、脚部13の下端より台座部11とほぼ平行に、台座部11の下方側に延びた挟持片14とを備えている。
【0025】
台座部11は、脚部13を設けた辺縁部の対辺となる辺縁部に、下方にL字状に折曲された折曲片12を備えている。台座部11の脚部13側の辺縁部と折曲片12側の辺縁部とのほぼ中央には、それら辺縁に平行であり傾斜面を有した段差部11cが形成されており、折曲片12を延設したほうの平板部11eが脚部側の平板部11dよりも低い位置に配されている。
【0026】
段差部11cのほぼ中央には両平板部11d、11eに跨るようにボルト挿通孔11aが開設されており、そのボルト挿通孔11aから段差部11cに沿って、脚部13側の辺縁部に隣接する側端(辺縁部)のうちの一方の側端の外方に連通する切欠溝11bが形成されている。
【0027】
ボルト挿通孔11aの脚部13側の平板部11d側の縁部は、ボルト31の軸部31bの形状に合致するように丸く形成されているが、ボルト挿通孔11aの平板部11e側の縁部は角形状となっている。
【0028】
折曲片12は、台座部11の辺縁部より下方にL字状に延びてなり、その横片12aは台座部11の平板部11eにほぼ平行に延びている。なお、この横片12aの正面視における寸法は、
図5に示すように、屋根上物品取付具1を屋根上に取り付けた際に、両挟持部材10、10の横片12a、12a間に隙間ができる程度であればよい。換言すれば、
図5の状態で横片12a、12aの先端どうしが接触せず、かつ隙間にボルト頭31cが通らないものであればよい。また、縦片12bの寸法は、両挟持部材10、10を固定するボルト31のボルト頭31cを収容でき、かつ横片12aがハゼ部45との接触を回避できる程度の寸法であればよい。
【0029】
この折曲片12がボルト落下防止部を構成する。なお、折曲片12は
、同一形状とされ、両挟持部材10、10を結合させた際に、横片12aがボルト頭31cを下方より覆い隠す程度の寸法であればよい。
【0030】
脚部13はやや外側に開くように下方に延びている(
図1参照)。また、挟持片14は台座部11の下方において、台座部11の中ほどの下方位置まで延び、その先端には上方に突出した押圧部14aが形成されている(
図1参照)。
【0031】
このような構造の挟持部材10、10を2つ組み合わせることで挟持具Aが構成される。なお、図例に示し
たように、一対の挟持部材10、10は同一形状であ
る。
【0032】
挟持具Aは、一対の挟着部材10、10を、挟持片14、14が開閉自在となるように支点連結することで形成される。具体的には、
図2に示すように、一方の挟持部材10に、ボルト31を切欠溝11bにスライド挿入させてボルト挿通孔11aに取り付けておき、両挟持部材10、10の台座部11、11の切欠溝11b、11bどうしを相互に差し込み、台座部11、11を交差状に重合することで、挟持具Aが形成される。
図2に示すように、折曲片12が形成されているため、ボルト31は1つの挟持部材10に装着された状態でも落下しにくい。
【0033】
このように2つの挟持部材10、10を組み合わせ連結した状態では、
図3に示すように、正面視で切欠溝11b、11bの部位が支点となって、ハサミのごとく開閉動作をさせることができる。
【0034】
この状態では両挟持部材10、10の台座部11、11の折曲片12、12を延設させたほうの平板部11e、11eはいずれもが下側に配され、2つのボルト挿通孔11a、11aにより形成された重合ボルト貫通孔の下面側の開口は、両ボルト挿通孔11a、11aの縁部の角形状により、ボルト31の根角部31aが嵌まり込むような四角形状に形成される。
【0035】
ボルト31、ナット32の螺着により、両台座部11、11が重合、固定され、両挟持部材10、10は固定した状態に連結される。なお、連結のためのその他の部材として、平ワッシャー34、ばねワッシャー35が用いられる。また、ボルト31としては、図例に示したような根角ボルトを用いることが望ましい。
【0036】
挟持具Aは、このように両挟持部材10、10が連結、固定された状態で、折板屋根40のハゼ部45に固定される。以下、この手順について、
図3〜
図5にもとづいて説明する。
【0037】
まず、
図3に示すように、一対の挟持部材10、10を
図2の手順で連結して挟持具Aを形成し、挟持具Aが開閉自在となる状態にしておく。
図3に示した挟持具Aにおいては、ボルト31は重合したボルト挿通孔11a、11aに挿通されているが、ナット32で仮止めはされておらず、ボルト31は下方にずり落ちて折曲片12の横片12aによって下方より支持された状態にある。
【0038】
このように、ボルト31は折曲片12(ボルト落下防止部)で支持されているので、プラスチック製の落下防止プレートなどを用いなくても、ボルト31が抜け落ちることはなく、作業をしやすくできる。特に、一対の挟持部材10、10と、ボルト31とを用いて
図3の状態にするまでの間に、ボルト31が滑り落ちるようなことがないので便利である。また、その後のナット32止め作業もボルト31落ちを気にしなくてもよく、作業がしやすい。また、ナット32止めせずに、ボルト31と両挟持部材10、10とを仮結合した状態で保管、梱包しても、ボルト31外れが発生するおそれはない。
【0039】
こうして挟持部材10、10を仮結合した後、
図4に示すように、上方に突出したボルト31の軸部31bに、平ワッシャー34、ばねワッシャー35を取り付け、ナット32を螺合し仮止めする。
【0040】
つぎに、
図4に示すように、挟持具Aを、挟持片14、14間が開いた状態で、折板屋根40の頂部42の上に、両挟持片14、14でハゼ部45を両側より挟み込むように載せ置く。
【0041】
そして、その状態でボルト31を上方に引っ張り、根角部31aをボルト貫通孔の角形状の開口に嵌め込み、ボルト31が回り止めされた状態でナット32を締め付けていく。そうすると、支点連結された両挟持部材10、10の両台座部11、11が平行に近づくように重合していき、それと同時に両脚部13、13が閉じるとともに挟持片14、14間が狭まっていき、その結果、各挟持片14、14はハゼ部45の起立基部45aの外面に徐々に押し付けられていく。なお、ナット32で締め付ける際には、根角部31aが開口から外れないように、台座部11、11と折曲片12、12とで囲まれた空間に指またはドライバーなどの工具を挿入してボルト頭31cを下方より支持しておくことが望ましい。
【0042】
ナット32を螺合していくことで両脚部13、13がさらに締め付けられ、各挟持片14、14の押圧部14a、14aの横方向の外面がハゼ部45の起立基部45aの外面にさらに押し付けられる。
【0043】
そして、ナット32をボルト31にしっかりと螺着することで、重合した両台座部11、11どうしが上下方向にしっかりと重合、固定され、それと同時に、両挟持片14、14はその先端がハゼ部45の起立基部45aを両側より押圧した状態に固定される(
図5参照)。
【0044】
こうして、屋根上物品取付具1は折板屋根40のハゼ部45に取り付け固定される。そして、台座部11の上方に突出したボルト31の軸部31bには、太陽光パネル取り付け用のレール(不図示)や、種々の屋根上物品(不図示)の取り付けが可能となる。
【0045】
つぎに、
図6および
図7にもとづいて、折板屋根40の頂部42より突出したボルト体47に取り付ける屋根上物品取付具1について説明する。
【0046】
この折板屋根40は、隣接する両屋根材を山部41で重ね、ボルト体47で連結固定した重ね式の連設構造となっている。山部41の頂部42にはボルト体47の軸部47aが突出し、そのボルト体47が座金付きナット48で固定してある。
【0047】
屋根上物品取付具1は、このようなボルト体47の軸部47aで構成された突出部に対応した構造となっている。具体的には、挟持部材10の挟持片14の形状が
図1のものとは異なる形状となっている。なお、挟持部材10の挟持片14以外の部位については
図1のものと同形状、同構造であるため、それらの形状、構造については説明を割愛する。また、この屋根上物品取付具1の取り付け手順についても
図1のものと概ね同様であるため、折板屋根40に取り付けられた状態のみを図示し、取り付け手順の図示および説明は割愛する。
【0048】
挟持部材10の挟持片14は、先端に向けてやや上方に傾斜している。これは、挟持片14、14が座金付きナット48との接触を回避し、確実にボルト体47の軸部47aを挟持できるようにするためである。
【0049】
挟持片14の先端の中央には、ボルト体47の軸部47aを係止するための係止凹部14bが形成されている。係止凹部14bの底部には、やや上方に切り起こされた係止爪14cが形成されている。挟持具Aは、挟持部材10、10の締め付けによって、両挟持片14、14の両係止凹部14b、14bがボルト体47の軸部47aを挟持するとともに、係止爪14c、14cが軸部47aのねじ溝に係止することで、ボルト体47に固定されるようになっている。なお、ボルト体47の軸部47aに対する固定構造は、係止凹部14bによるものには限られず、種々の構造を採用することができる。
【0050】
ついで
、参考例に係る屋根上物品について、
図8(a)(b)をもとに説明する。
【0051】
この屋根上物品取付具1は、
図1のものと同様に折板屋根40のハゼ部45に取り付けられるものである。この折板屋根40については
図1に示したものと同様であるため、説明を割愛する。
【0052】
この屋根上物品取付具1は、一対の挟持部材10、10を含んでなるが、その形状は
図1のものとは異なる。また、両挟持部材10、10は相互間で形状が異なる。
【0053】
挟持部材10はいずれも、ボルト挿通孔11aを有した台座部11と、その端部より下方に延びた脚部13と、その下端より台座部11の下方に台座部11とほぼ平行に延びた挟持片14とを備えている。この挟持片14については、
図1に示した挟持部材10の挟持片14と概ね同形状である。
【0054】
また、挟持具Aを形成した際に台座部11が下側に配される一方の挟持部材10には、台座部11より延出、折曲されてなるL字状の折曲片12が形成されている。この折曲片12がボルト落下防止部を構成する。なお、他方の挟持部材10には折曲片12は形成されていない。
【0055】
いずれの挟持部材10、10の台座部11、11と脚部13、13にも、台座部11、11の開放側の端部から脚部13、13の下端におよぶ外面側に膨らんだ凸リブ16、16が形成されている。なお、折曲片12の縦片12bにも凸リブ16が延びている。凸リブ16の裏面側は凹部となっており、両挟持部材10、10の台座部11、11を上下に重ねることで、一方の凸リブ16が他方の凸リブ16の裏側に嵌合するようになっている。
【0056】
このように、本屋根上物品取付具1の挟持具Aは、台座部11、11の一方の全体が上に、他方の全体が下に配せられて重合する構造となっている。そして、
図1のものと同様に、両挟持部材をボルト31、ナット32で締め付けて、ハゼ部45に取り付けられるようになっている。
【0057】
この屋根上物品取付具1についても、縦片12bと横片12aとよりなるL字状の折曲片12(ボルト落下防止部)を有しているので、作業中のボルト31の落下を防止することができる。
【0058】
このような上下重合型の挟持具Aを、
図6、
図7のようなボルト体47への固定構造に設計変形することで、重ね式連設構造の折板屋根40に対応した屋根上物品取付具を構成することもできる。