(54)【発明の名称】燃料改質装置、動力システム、燃料改質方法及び動力システムの制御方法、並びに、燃料改質方法若しくは動力システムの制御方法のプログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体
【解決手段】電気分解で生成した気体を用いて、燃料を改質する燃料改質装置であって、電気エネルギを充放電する蓄電手段と、前記蓄電手段から放電された前記電気エネルギを用いて、電解質溶液を電気分解し、前記気体を生成する気体生成手段と、前記気体生成手段で生成した前記気体を前記燃料に混合することによって、該燃料を気体混合燃料に改質する気体混合手段と、前記気体生成手段の気体生成量を検出する検出手段と、前記検出手段で検出した前記気体生成量に基づいて、前記蓄電手段から前記気体生成手段に供給する前記電気エネルギを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
電気分解で生成した気体を用いて燃料を改質する燃料改質装置及びその燃料改質装置を含む動力システムの実施形態を用いて、本発明を説明する。なお、本発明は、以後に説明する燃料改質装置及び動力システムに限定されるものではない。本発明は、以後に説明する燃料改質装置及び動力システム以外でも、電気分解で生成した気体を用いて燃料を改質するもの(装置、機械、部品、システム、アプリケーションなど)であれば、いずれのものにも用いることができる。
【0013】
下記に示す順序で、本発明を説明する。
1.燃料改質装置及び動力システムの構成
2.燃料改質装置及び動力システムの機能
3.燃料改質装置の動作
4.動力システムの動作
5.燃料改質方法若しくは動力システムの制御方法のプログラム及び記録媒体
6.実施例
【0014】
(1.燃料改質装置及び動力システムの構成)
図1を用いて、本発明の実施形態に係る燃料改質装置100及び動力システム110の構成を説明する。ここで、
図1は、本発明に係る燃料改質装置100及び動力システム110の一例を示す概略構成図である。なお、
図1に示す燃料改質装置及び動力システムの構成の例は一例であり、本発明は
図1に示す燃料改質装置及び動力システムに限定されるものではない。
【0015】
図1に示すように、燃料改質装置100は、本実施形態では、燃料改質装置100の動作を制御する制御手段10と、電気エネルギを充放電する蓄電手段11と、電解質溶液を電気分解して気体を生成する気体生成手段12と、気体生成手段12で生成した気体と燃料とを混合する気体混合手段13と、気体生成手段12の気体生成量を検出する検出手段14と、を有する。また、燃料改質装置100は、本実施形態では、蓄電手段11に電気エネルギを供給する発電手段15を更に有する。
【0016】
本発明に係る燃料改質装置100は、電気分解で生成した気体を用いて、燃料を改質する装置である。燃料改質装置100は、本実施形態では、蓄電手段11を用いて電気エネルギを充放電し、気体生成手段12を用いて電解質溶液を電気分解することによって気体を生成し、気体混合手段13を用いて気体を燃料に混合する。これにより、燃料改質装置100は、生成した気体を混合した燃料(以下、「気体混合燃料」という。)を生成することができる。すなわち、燃料改質装置100は、燃料を気体混合燃料に改質することができる。また、燃料改質装置100の制御手段10は、本実施形態では、検出手段14で検出した気体生成量に基づいて、蓄電手段11から気体生成手段12に供給する電気エネルギを制御する。これにより、燃料改質装置100は、気体混合燃料の消費量に応じて、所望の量の気体混合燃料を生成することができる。更に、燃料改質装置100の発電手段15は、本実施形態では、気体混合手段が改質した気体混合燃料を用いて発電する。これにより、燃料改質装置100は、改質された気体混合燃料を用いて、高効率の発電を実現することができる。なお、改質された気体混合燃料を用いた発電効率の改善方法は、公知の技術を用いることができる。
【0017】
図1に示すように、動力システム110は、本実施形態では、燃料改質装置100を含むシステムである。動力システム110は、気体混合手段13が改質した気体混合燃料を燃焼する燃焼手段16と、燃焼手段16で発生した高温高圧の燃焼ガスを用いて、動力を得る熱機関17と、を有する。なお、動力システム110は、動力システム110と外部との情報(信号)の入出力を行うI/F手段18を更に有する構成であってもよい。
【0018】
本発明に係る動力システム110は、燃料改質装置100で改質した気体混合燃料を用いて、高効率の燃焼を実現することができる。また、動力システム110は、燃料改質装置100の発電手段15を用いて、外部電源なしにシステムを稼働することができるので、独立系のシステムを構成することができる。更に、動力システム110は、燃料改質装置100を用いて高効率の燃焼を実現することができるので、可搬性に優れ、且つ、小型化を実現した独立系システムを構成することができる。なお、改質された気体混合燃料を用いた燃焼効率の改善方法は、公知の技術を用いることができる。
【0020】
制御手段10は、燃料改質装置100の各構成に動作を指示し、燃料改質装置100の動作を制御する手段である。制御手段10は、例えばCPU及びメモリで構成される演算装置を用いることができる。また、制御手段10は、燃料改質装置100に予め搭載されている演算装置、コントローラ又はその他制御手段を利用する構成であってもよい。更に、制御手段10は、燃料改質装置100が動力システム110に利用される場合に、動力システム110の各構成に動作を指示し、動力システム110の動作を制御する。
【0021】
制御手段10は、本実施形態では、検出手段14で検出した気体生成量に基づいて、蓄電手段11から気体生成手段12に供給する電気エネルギを制御する。また、制御手段10は、燃料改質装置100が動力システム110に利用される場合に、検出手段14で検出した気体生成量及び熱機関17で得る動力の出力(所望の出力値)に基づいて、蓄電手段11から気体生成手段12に供給する電気エネルギの量を制御する。これにより、動力システム110(制御手段10)は、所望の出力値を得ることができ、システムの高応答性を実現することができる。
【0022】
なお、制御手段10は、I/F手段18を用いて燃料改質装置100(又は動力システム110)外部から入力される情報(以下、「入力情報」という。)に基づいて、燃料改質装置100(又は動力システム110)の動作を制御してもよい。また、制御手段10は、燃料改質装置100(又は動力システム110)外部に出力される情報(以下、「出力情報」という。)を出力する動作を制御する。更に、制御手段10は、燃料改質装置100(又は動力システム110)を制御するために必要な情報及び制御の結果を記憶する記憶部を更に含んでもよい。ここで、記憶部は、電子情報をデータベースとして記憶する公知の技術(ハードディスク、メモリなど)を用いることができる。
【0023】
蓄電手段11は、電気エネルギを充放電する手段である。蓄電手段11は、本実施形態では、発電手段15が発電した電気エネルギを充電される。また、蓄電手段11は、気体生成手段12に電気エネルギを供給する。なお、蓄電手段11は、二次電池、蓄電池及びその他公知の技術を用いることができる。
【0024】
気体生成手段12は、気体を生成する手段である。気体生成手段12は、本実施形態では、蓄電手段11から放電された電気エネルギを用いて、電解質溶液を電気分解する。これにより、気体生成手段12は、気体を生成することができる。気体生成手段12は、例えば電解質溶液に水を用いた場合に、水素ガス及び酸素ガスを生成することができる。なお、気体生成手段12は、電気分解する方法として、公知の技術を用いることができる。
【0025】
気体混合手段13は、燃料を気体混合燃料に改質する手段である。気体混合手段13は、気体生成手段12の下流側に配置される。気体混合手段13は、本実施形態では、気体生成手段12で生成した気体を燃料に混合することによって、燃料を気体混合燃料に改質する。気体混合手段13は、例えば電解質溶液に水を用いた場合に生成した水素ガス及び酸素ガスの両方またはいずれか一方を燃料に混合する。なお、気体混合手段13は、気体生成手段12が気体を生成することによって発生する圧力エネルギを用いて、気体を燃料に混合してもよい。気体混合手段13は、蓄電手段11から放電された電気エネルギを更に用いて、気体を燃料に混合してもよい。気体混合手段13は、例えばエジクター式マイクロナノバブル発生装置、ループ流式マイクロナノバブル発生装置、噴流式微細気泡発生装置及びその他公知の技術(以下、「混合器」という。)を用いることができる。
【0026】
検出手段14は、気体生成手段12の気体生成量を検出する手段である。検出手段14は、本実施形態では、気体生成手段12の下流側の流路に配置される。また、検出手段14は、気体生成による気体生成手段12の下流側の流路の圧力変化又は流速変動を検出する。なお、検出手段14は、圧力計又は流量計を用いることができる。
【0027】
発電手段15は、蓄電手段11に電気エネルギを蓄電する手段である。発電手段15は、本実施形態では、気体混合手段13が改質した気体混合燃料を用いて発電する。これにより、発電手段15は、改質した気体混合燃料を用いて高効率の発電を実現できる。なお、発電手段15は、発電機、オルタネータ、ダイナモ、ジェネレータ及びその他公知の技術を用いることができる。
【0028】
燃焼手段16は、気体混合手段13が改質した気体混合燃料を燃焼する手段である。燃焼手段16は、下記の熱機関17に含まれる構成であってもよい。なお、燃焼手段16は、燃料を燃焼する方法として、公知の技術を用いることができる。
【0029】
熱機関17は、燃焼手段16で発生した高温高圧の燃焼ガスを用いて、動力を得るものである。熱機関17は、内燃機関(火花点火機関、レシプロエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービンなど)、外燃機関(蒸気タービン、蒸気機関、スターリングエンジンなど)及び熱若しくは熱エネルギを継続的に仕事に変換する装置を用いることができる。
【0030】
I/F手段18は、燃料改質装置100(又は動力システム110)と外部との情報(信号)の入出力を行うインタフェース手段である。I/F手段18は、コンピュータインタフェース部とユーザーインタフェース部とを含む。コンピュータインタフェース部は、燃料改質装置100(又は動力システム110)外のPCなどと情報の通信を行う。ユーザーインタフェース部は、燃料改質装置100(又は動力システム110)を使用するユーザーによる動作指示情報の入力、並びに、ユーザーに対して動作条件、動作状態及び動作結果などの情報の出力を行う。
【0031】
(2.燃料改質装置及び動力システムの機能)
図2を用いて、本発明の実施形態に係る燃料改質装置100及び動力システム110の機能を説明する。ここで、
図2は、本発明に係る燃料改質装置100及び動力システム110の機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、
図2に示す燃料改質装置及び動力システムの機能の例は一例であり、本発明は
図2に示す燃料改質装置及び動力システムの機能に限定されるものではない。
【0032】
図2に示すように、ブロックB01において、I/F手段18は、制御手段10の動作指示に応じて、燃料改質装置100(又は動力システム110)と外部との情報(信号)の入出力を行う。
【0033】
ブロックB02において、制御手段10は、燃料改質装置100(又は動力システム110)の各構成に動作を指示し、燃料改質装置100(又は動力システム110)の動作を制御する。ここで、制御手段10は、I/F手段18を用いて入力された情報に基づいて、燃料改質装置100(又は動力システム110)の動作を制御することができる。また、制御手段10は、内蔵する記憶部に動作条件、動作状態及び動作結果などの情報を記憶してもよい。
【0034】
ブロックB03において、発電手段15は、制御手段10の動作指示に応じて、蓄電手段11に電気エネルギを蓄電する。ここで、発電手段15は、気体混合手段13が改質した気体混合燃料(後述するブロックB06)を用いて発電することができる。
【0035】
ブロックB04において、蓄電手段11は、制御手段10の動作指示に応じて、電気エネルギを充放電する。ここで、蓄電手段11は、発電手段15が発電した電気エネルギを充電される。また、蓄電手段11は、制御手段10の動作指示に応じて、後述するブロックB08検出手段14の検出結果に基づいて、気体生成手段12に放電する電気エネルギ量を制御する。
【0036】
ブロックB05において、気体生成手段12は、制御手段10の動作指示に応じて、蓄電手段11から放電された電気エネルギを用いて、電解質溶液を電気分解する。また、気体生成手段12は、電気分解で生成した気体を気体混合手段13に供給する。
【0037】
ブロックB06において、気体混合手段13は、制御手段10の動作指示に応じて、気体生成手段12で生成した気体を燃料に混合し、燃料を気体混合燃料に改質する。また、気体混合手段13は、生成した気体混合燃料を熱機関17(後述するブロックB07)に供給する。
【0038】
ブロックB07において、熱機関17は、制御手段10の動作指示に応じて、内蔵する燃焼手段16で発生した高温高圧の燃焼ガスを用いて、動力を得る。ここで、熱機関17は、気体混合手段13から供給された気体混合燃料を燃焼することによって、動力を出力する。また、熱機関17は、制御手段10の動作指示に応じて、出力する動力を制御する。
【0039】
ブロックB08において、検出手段14は、制御手段10の動作指示に応じて、気体生成手段12の気体生成量を検出する。また、検出手段14は、検出結果を制御手段10に出力する。
【0040】
(3.燃料改質装置の動作)
図3を用いて、燃料改質装置100(
図1)が燃料を改質する動作(燃料改質方法)を説明する。ここで、
図3は、本発明の実施形態に係る燃料改質装置100の動作の例を説明するフローチャート図である。なお、
図3に示す燃料改質装置の動作は一例であり、本発明は
図3に示す燃料改質装置の動作に限定されるものではない。
【0041】
図3に示すように、燃料改質装置100は、ステップS301において、先ず、制御手段10(
図1)を用いて、燃料を改質する動作を開始する(制御ステップ)。制御手段10は、I/F手段18(
図1)を用いて例えば燃料改質装置100の外部から入力された情報に応じて、燃料を改質する動作を開始することができる。その後、燃料改質装置100は、ステップS302に進む。
【0042】
次に、ステップS302において、燃料改質装置100は、発電手段15(
図1)を用いて、電気エネルギを発電する(発電ステップ)。また、燃料改質装置100は、蓄電手段11(
図1)を用いて、発電手段15が発電した電気エネルギを蓄電する。なお、燃料改質装置100は、発電手段15及び蓄電手段11を用いて、蓄電手段11に予め充電しておいてもよい。また、発電手段15は、後述するステップS303で改質した気体混合燃料を用いて、発電してもよい。その後、燃料改質装置100は、ステップS303に進む。
【0043】
次いで、ステップS303において、燃料改質装置100は、気体生成手段12(
図1)を用いて、蓄電手段11から供給される電気エネルギを用いて、電解質溶液を電気分解する(気体生成ステップ)。また、燃料改質装置100は、気体生成手段12を用いて、電気分解で生成した気体を気体混合手段13(
図1)に供給する。その後、燃料改質装置100は、ステップS304に進む。
【0044】
ステップS304において、燃料改質装置100は、気体混合手段13を用いて、気体生成手段12で生成した気体を燃料に混合し、燃料を気体混合燃料に改質する(気体混合ステップ)。その後、燃料改質装置100は、ステップS305に進む。
【0045】
ステップS305において、燃料改質装置100は、検出手段14(
図1)を用いて、気体生成手段12の気体生成量を検出する(検出ステップ)。また、燃料改質装置100は、検出手段14を用いて、検出結果を制御手段10に出力する。その後、燃料改質装置100は、ステップS306に進む。
【0046】
ステップS306において、燃料改質装置100は、制御手段10を用いて、ステップS305で検出された検出結果に基づいて、燃料を改質する動作を繰り返すか否かを判断する(制御ステップ)。制御手段10は、例えば燃料改質装置100の外部から入力された情報を更に用いて、燃料を改質する動作を繰り返すか否かを判断することができる。これにより、燃料改質装置100は、所望の量の燃料を改質することができる。その後、改質する動作を繰り返すと判断した場合には、燃料改質装置100は、ステップS303に戻る。改質する動作を終了すると判断した場合には、燃料改質装置100は、図中の「END」に進み、動作を終了する。
【0047】
以上のとおり、本発明に係る燃料改質装置100は、所望の量の燃料を改質することができる。また、本発明に係る燃料改質装置100は、ユーザーの要望に応じて、燃料を改質することができる。
【0048】
(4.動力システムの動作)
図4を用いて、動力システム110(
図1)が動力を出力する動作(動力システムの制御方法)を説明する。ここで、
図4は、本発明の実施形態に係る動力システム110の動作の例を説明するフローチャート図である。なお、
図4に示す動力システムの動作は一例であり、本発明は
図4に示す動力システムの動作に限定されるものではない。
【0049】
図4に示すように、動力システム110は、ステップS401において、先ず、制御手段10(
図1)を用いて、動力を出力する動作を開始する(制御ステップ)。制御手段10は、I/F手段18(
図1)を用いて例えば動力システム110の外部から入力された情報に応じて、動力を出力する動作を開始することができる。その後、動力システム110は、ステップS402に進む。
【0050】
次に、ステップS402において、動力システム110は、発電手段15(
図1)を用いて、電気エネルギを発電する(発電ステップ)。また、動力システム110は、蓄電手段11(
図1)を用いて、発電手段15が発電した電気エネルギを蓄電する。なお、動力システム110は、発電手段15及び蓄電手段11を用いて、蓄電手段11に予め充電しておいてもよい。また、発電手段15は、後述するステップS403で改質した気体混合燃料を用いて、発電してもよい。その後、動力システム110は、ステップS403に進む。
【0051】
次いで、ステップS403において、動力システム110は、気体生成手段12(
図1)を用いて、蓄電手段11から供給される電気エネルギを用いて、電解質溶液を電気分解する(気体生成ステップ)。また、動力システム110は、気体生成手段12を用いて、電気分解で生成した気体を気体混合手段13(
図1)に供給する。その後、動力システム110は、ステップS404に進む。
【0052】
ステップS404において、動力システム110は、気体混合手段13を用いて、気体生成手段12で生成した気体を燃料に混合し、燃料を気体混合燃料に改質する(気体混合ステップ)。ここで、気体混合手段13は、本実施形態では、制御手段10の動作指示(所望の出力)に応じて、燃料タンク(
図2)から所定の量の燃料を混合器(
図2)に配置し、所望の出力に対応する所望の量の気体混合燃料に生成する。また、気体混合手段13は、生成した気体混合燃料を熱機関17(
図1)に供給する。その後、動力システム110は、ステップS405に進む。
【0053】
ステップS405において、動力システム110は、熱機関17を用いて、動力を得る(熱機関ステップ)。ここで、熱機関17は、気体混合手段13から供給された気体混合燃料を燃焼手段16(
図1)で燃焼することによって(燃焼ステップ)、動力を出力する。また、熱機関17は、制御手段10の動作指示に応じて、出力する動力を制御する。その後、動力システム110は、ステップS406に進む。
【0054】
ステップS406において、動力システム110は、検出手段14(
図1)を用いて、気体生成手段12の気体生成量を検出する(検出ステップ)。また、動力システム110は、検出手段14を用いて、検出結果を制御手段10に出力する。その後、動力システム110は、ステップS407に進む。
【0055】
ステップS407において、動力システム110は、制御手段10を用いて、ステップS406で検出された検出結果に基づいて、動力を出力する動作を繰り返すか否かを判断する(制御ステップ)。制御手段10は、例えば動力システム110の外部から入力された情報を更に用いて、動力を出力する動作を繰り返すか否かを判断することができる。これにより、動力システム110は、所望の出力値で出力することができる。その後、動力を出力する動作を繰り返すと判断した場合には、動力システム110は、ステップS403に戻る。動力を出力する動作を終了すると判断した場合には、動力システム110は、図中の「END」に進み、動作を終了する。
【0056】
以上のとおり、本発明に係る動力システム110は、所望の動力を出力することができる。また、本発明に係る動力システム110は、ユーザーの要望に応じて、出力値を制御することができる。
【0057】
(5.燃料改質方法若しくは動力システムの制御方法のプログラム及び記録媒体)
本発明に係る燃料改質方法のプログラムPr1は、電気分解で発生した気体を用いて、燃料を改質する燃料改質方法であって、蓄電手段から気体生成手段に供給された電気エネルギを用いて、前記気体生成手段に配置された電解質溶液を電気分解し、前記気体を生成する気体生成ステップと、気体混合手段を用いて、前記気体生成ステップで生成した前記気体を前記燃料に混合することによって、該燃料を気体混合燃料に改質する気体混合ステップと、発電手段を用いて、前記蓄電手段に前記電気エネルギを蓄電する発電ステップと、前記気体生成手段の気体生成量を検出する検出ステップと、前記検出ステップで検出した前記気体生成量に基づいて、前記蓄電手段から前記気体生成手段に供給する前記電気エネルギを制御する制御ステップとを含み、前記発電ステップは、前記気体混合ステップで改質した前記気体混合燃料を用いて発電する、ことを特徴とする燃料改質方法を実行する。また、本発明に係る燃料改質方法のプログラムPr1において、前記電解質溶液は、水であり、前記気体は、水素ガスと酸素ガスである、ことを特徴とする燃料改質方法実行してもよい。
【0058】
上記のプログラムPr1によれば、本発明に係る燃料改質装置100(前述)と同等の効果が得られる。また、本発明は、プログラムPr1を記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体Md1としてもよい。記録媒体Md1には、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD、及び、メモリーカード等、コンピュータ読み取り可能な媒体を利用することができる。更に、本発明は、プログラムPr1をインターネット等のネットワークを介して送信することが可能な伝送可能媒体であってもよい。
【0059】
本発明に係る動力システムの制御方法のプログラムPr2は、上記のいずれか一つの燃料改質方法を含む動力システムの制御方法であって、燃焼手段を用いて、前記気体混合手段が改質した前記気体混合燃料を燃焼する燃焼ステップと、熱機関を用いて、前記燃焼手段で発生した高温高圧の燃焼ガスによって動力を得る熱機関ステップとを更に含み、前記検出ステップは、前記気体生成手段が生成した前記気体によって変動する圧力を検出し、前記制御ステップは、前記検出ステップで検出した前記圧力及び前記熱機関ステップで得る動力の出力に基づいて、前記蓄電手段から前記気体生成手段に供給する前記電気エネルギを制御する、ことを特徴とする動力システムの制御方法を実行する。
【0060】
上記のプログラムPr2によれば、本発明に係る動力システム110(前述)と同等の効果が得られる。また、本発明は、プログラムPr2を記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体Md2としてもよい。記録媒体Md2には、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD、及び、メモリーカード等、コンピュータ読み取り可能な媒体を利用することができる。更に、本発明は、プログラムPr2をインターネット等のネットワークを介して送信することが可能な伝送可能媒体であってもよい。
【実施例】
【0061】
実施例に係る動力システム120を用いて、本発明を説明する。なお、本発明は、以後に説明する動力システム120以外でも、電気分解で生成した気体を用いて燃料を改質し、改質した燃料を用いて動力を得るもの(装置、機械、部品、システム、アプリケーションなど)であれば、いずれのものにも用いることができる。
【0062】
図5に、本発明の実施例に係る動力システム120の構成を示す。ここで、
図5は、本発明に係る動力システムの一例を示す概略システム図である。なお、
図5に示す動力システムの構成は一例であり、本発明は
図5に示す動力システムに限定されるものではない。
【0063】
図5に示すように、動力システム120は、本実施例では、制御手段10として、コントローラ10Pを備える。動力システム120は、蓄電手段11として、蓄電池11Pを備える。動力システム120は、気体生成手段12として、発生装置12Pを備える。動力システム120は、気体混合手段13として、ナノミキサー13Pを備える。動力システム120は、検出手段14として、圧力センサ14Pを備える。動力システム120は、発電手段15として、小型発電機15Pを備える。動力システム120は、熱機関17として、動力出力機17Pを備える。
【0064】
これにより、動力システム120によれば、ナノミキサー13Pを用いて水素酸素ガスを液体燃料に混合することができるので、燃料を改質することができる。また、動力システム120によれば、燃料を改質することができるので、動力出力機(エンジン、ボイラーなど)17Pに付帯する装置として、それらの総合燃費(装置運転の電力を考慮した燃費)の改善と排気ガス浄化(特にPM主要素であるスス)を低コストで安定して達成することができる。更に、動力システム120によれば、小型発電機を用いてシステムに必要な電力を賄えることができるので、外部電源を全く必要とせず、燃料さえあればいつでも稼働する完全独立の装置を提供することができる。動力システム120は、例えば電源インフラ整備が整っていない船舶、山岳地帯あるいは開発途上国の一部地域でも利用することができる。
【0065】
また、動力システム120によれば、必要な時に必要な量の燃料を改質することができるので、改質燃料を保持するための界面活性剤を必要としない。また、動力システム120によれば、燃料を改質することができるので、燃費改善と排気ガス浄化とを両立することができる。これにより、動力システム120によれば、環境負荷を低減したシステムを構築することができる。
【0066】
以上のとおり、本発明に係る実施形態及び実施例について説明したが、本発明は上記の実施形態及び実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明は、特許請求の範囲に記載の内容に基づいて、様々に変形、変更又はその他任意に改変され得る。