【課題】絞り装置において、ブリード量を調整することができ、しかも、万一、弁体が、弁孔を閉状態とする方向に移動した場合であっても、弁体の弁座に対する食い付きを回避できること。
【解決手段】絞り装置において、ニードル部材20の先細部20Pの外周部における弁ポート18Pの開口端部に対応する位置において、先細部20Pの外周部は、スペーサ部材22の厚さに応じた所定の隙間を弁ポート18Pの開口端部の周縁に対し形成するように配置されているもの。
前記ニードル部材の大径部および前記ガイドチューブにおける下流側の開口端部のうちの少なくとも一方に配され、該大径部が前記ガイドチューブにおける下流側の開口端部に近接されるとき、前記弁ポートの周縁と前記ニードル部材の先細部との間に隙間を形成するブリード量調整部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の絞り装置。
前記弁座の弁ポートの周縁に形成される面取り部は、前記弁ポートの直径よりも大なる前記ニードル部材の先細部の一部が嵌合されることにより該弁ポートの周縁が変形されることによって、形成されることを特徴とする請求項1記載の絞り装置。
前記弁座の弁ポートの周縁に形成される面取り部が、前記弁ポートの直径よりも大なる前記ニードル部材の先細部の擬似体の一部が嵌合されることにより該弁ポートの周縁が変形されることによって、形成されることを特徴とする請求項1記載の絞り装置。
【背景技術】
【0002】
空調装置における冷凍サイクルシステムにおいては、絞り装置としてのキャピラリチューブに代えて差圧式の絞り装置を備えるものが提案されている。例えば、特許文献1にも示されるような、差圧式の絞り装置は、外気温度に応じて圧縮機を効率よく作動させるために凝縮器出口と蒸発器入口との間の冷媒の圧力を最適に制御するとともに、圧縮機の回転数を変更できる冷凍サイクルシステムにおいても、省力化の観点から圧縮機の回転数に応じた冷媒の圧力を最適に制御するものとされる。絞り装置は、例えば、冷媒が導入される一端で、凝縮器に接続される一次側配管に接合されており、冷媒が排出される他端で蒸発器に接続される二次側配管に接合されている。
【0003】
差圧式の絞り装置は、例えば、特許文献1に示されるように、冷媒の通路に接続されるボディの内側に固定される筒状のハウジングを備えている。そのハウジングは、冷媒入口および冷媒出口を有している。ハウジングは、弁孔および固定オリフィスに連通するストレーナを冷媒入口に有している。固定オリフィスは、ハウジングの外周部とボディの内周部との間を介して冷媒出口およびボディの下流側出口に連通している。これにより、後述する弁体が弁座に着座し弁孔が閉状態である場合においても、冷媒に溶け込んでいるコンプレッサ用の潤滑油が、コンプレッサの動作に必要とされる最小の流量(ブリード量)だけ冷媒入口からボディの下流側出口まで流れることとなる。
【0004】
ハウジングのダンパ室には、弁体に連結されるシャフトおよびピストンが移動可能に配されている。シャフトおよびピストンは、ピストン内に配され弁体の先端を弁座に対し閉状態とするように付勢するスプリングにより、付勢されている。スプリングの付勢力は、ハウジングの端部にねじ込まれたアジャストねじにより調整される。上述の弁体の先端面は、弁孔の開口端周縁に形成される弁座に対し当接するように略円錐面に形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示されるように、ブリード量が、上述の固定オリフィスにより設定される場合、設定したブリード量が、各絞り装置を構成する部品の製造誤差に起因してばらついたとき、ブリード量を適正な量に調整するためにハウジングを交換しなければならない場合もある。また、万一、ストレーナに捕捉されなかった冷媒中の異物が固定オリフィスに詰まった場合も、その異物を除去することも容易でなくハウジングを交換しなければならない。さらに、万一、弁体が、弁孔を閉状態とする方向に移動した場合、弁体の略円錐面が弁孔の開口端周縁に形成される弁座に食い付く虞がある。
【0007】
以上の問題点を考慮し、本発明は、絞り装置、および、それを備える冷凍サイクルシステムであって、ブリード量を調整することができ、しかも、万一、弁体が、弁孔を閉状態とする方向に移動した場合であっても、弁体の弁座に対する食い付きを回避できる絞り装置、および、それを備える冷凍サイクルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る絞り装置は、冷媒を供給する配管に配され、弁ポートを有する弁座と、弁座の弁ポートに対し近接または離隔可能に配され弁ポートの開口面積を制御する先細部を有するニードル部材と、配管における弁座の位置よりも下流側に配されニードル部材の大径部の弁座に対する相対位置を規制する位置規制部材と、ニードル部材を弁座の弁ポートに対し近接する方向に付勢する付勢部材と、を備え、弁ポートの周縁とニードル部材の先細部との間に隙間を形成するように、ニードル部材の大径部は、位置規制部材に当接することを特徴とする。
【0009】
また、位置規制部材は、配管内に配され、配管の上流側および下流側に、それぞれ、向き合い配管内に連通する開口端部を有するガイドチューブであり、ガイドチューブが、弁座と、弁座に隣接して形成されガイドチューブの内周部と外周部と連通させる少なくとも一つの連通路と、を有し、ニードル部材の大径部は、ガイドチューブの開口端部に当接するものでもよい。
【0010】
さらに、本発明に係る絞り装置は、ニードル部材の大径部およびガイドチューブにおける下流側の開口端部のうちの少なくとも一方に配され、大径部がガイドチューブにおける下流側の開口端部に近接されるとき、弁ポートの周縁とニードル部材の先細部との間に隙間を形成するブリード量調整部材と、をさらに備えるものでもよい。
【0011】
ニードル部材における大径部に連なる部分は、ガイドチューブの内周部で案内されてもよい。さらに、弁座の弁ポートの周縁に形成される面取り部は、弁ポートの直径よりも大なるニードル部材の先細部の一部が嵌合されることにより弁ポートの周縁が変形されることによって、形成されてもよい。さらにまた、弁座の弁ポートの周縁に形成される面取り部が、弁ポートの直径よりも大なるニードル部材の先細部の擬似体の一部が嵌合されることにより弁ポートの周縁が変形されることによって、形成されてもよい。弁座は、位置規制部材と一体に形成されてもよい。
【0012】
そして、本発明に係る冷凍サイクルシステムは、蒸発器と、圧縮機、および、凝縮器とを備え、上述のいずれかの絞り装置が、凝縮器の出口と蒸発器の入口との間に配される配管に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る絞り装置、および、それを備える冷凍サイクルシステムによれば、弁ポートの周縁とニードル部材の先細部との間に隙間を形成するように、ニードル部材の大径部は、位置規制部材に当接するのでブリード量を調整することができ、しかも、万一、弁体が、弁孔を閉状態とする方向に移動した場合であっても、弁体の弁座に対する食い付きを回避できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、冷凍サイクルシステムの一例に適用された本発明に係る絞り装置の第1実施例の構成を、冷凍サイクルシステムとともに概略的に示す。
【0016】
絞り装置は、例えば、
図2に示されるように、冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器6の出口と蒸発器2の入口との間に配置されている。絞り装置は、後述するチューブ本体10の一端10E1で、一次側配管Du1に接合されており、冷媒が排出されるチューブ本体10の他端10E2で二次側配管Du2に接合されている。一次側配管Du1は、凝縮器6の出口と絞り装置とを接続し、二次側配管Du2は、蒸発器2の入口と絞り装置とを接続するものとされる。蒸発器2の出口と凝縮器6の入口との間には、
図2に示されるように、蒸発器2の出口に接合される配管Du3と、凝縮器6の入口に接合される配管Du4とにより、圧縮機4が接続されている。圧縮機4は、図示が省略される制御部により駆動制御される。これにより、冷凍サイクルシステムにおける冷媒が、例えば、
図2に示される矢印に沿って循環されることとなる。
【0017】
絞り装置は、
図1に拡大されて示されるように、上述の冷凍サイクルシステムの配管に接合されるチューブ本体10と、チューブ本体10の内周部に固定されるガイドチューブ18と、ガイドチューブ18における一次側配管Du1に近い端部に一体に形成され冷媒の流量を調整する流量調整部を構成する弁座18V、および、ニードル部材20と、ニードル部材20を弁座18Vに対し近接する方向に付勢するコイルスプリング16と、コイルスプリング16の一方の端部を支持するばね受け部12と、ガイドチューブ18の一端と後述するニードル部材20の大径部20B1との間に配されるスペーサ部材22と、を主な要素として含んで構成されている。
【0018】
所定の長さおよび直径を有するチューブ本体10は、例えば、真鍮製パイプ、または、銅製パイプ、あるいは、アルミニウム製パイプで作られ、冷媒が導入される一端10E1で、凝縮器6に接続される一次側配管Du1に接合されており、冷媒が排出される他端10E2で蒸発器2に接続される二次側配管Du2に接合されている。
【0019】
チューブ本体10の内周部における一端10E1から所定距離、離隔した中間部には、ガイドチューブ18の上流側における外周部の一部が固定されている。ガイドチューブ18は、かしめ加工によるチューブ本体10の窪み10CA1により形成される突起がその外周部に食い込むことにより固定されている。
【0020】
位置規制部材としてのガイドチューブ18は、例えば、銅製パイプ、または、アルミニウム製パイプ、あるいは、ステンレス鋼パイプ等で作られ、
図1に拡大されて示されるように、チューブ本体10の一端10E1に近い端部に、弁座18Vを有している。弁座18Vは、後述するニードル部材20における先細部20Pが挿入される弁ポート18Pを内部中央部に有している。弁ポート18Pは、所定の直径を有し弁座18Vの中心軸線に沿って一端10E1に向けて末広に形成されている。ガイドチューブ18における弁座18Vに隣接した位置には、ガイドチューブ18の内周部をチューブ本体10の内周部とガイドチューブ18の外周部との間に連通させる複数の連通孔18Cが形成されている。弁ポート18Pの開口端の周縁には、
図4に部分的に拡大されて示されるように、環状の段差部18Vbが形成されている。段差部18Vbと弁ポート18Pの内周部とが交わる全周の角部には、所定の勾配を有する面取り18Vaが施されている。微細な面取り18Vaの勾配は、面取り18Vaの表面が後述するニードル部材20の先細部20Pの表面に略平行となるように設定されている。面取り18Vaは、例えば、挿入されるニードル部材20の先細部20Pが弁ポート18Pに所定の圧力で押し込まれることにより、形成される。または、面取り18Vaが、ニードル部材20の先細部20Pに代えて、ニードル部材20の擬似体としての治具が弁ポート18Pに所定の圧力で押し込まれることにより形成されてもよく、あるいは、面取り18Vaが、弁ポート18Pの加工に伴って旋盤による機械加工により形成されても良い。
【0021】
ガイドチューブ18の開口端部の端面および弁座18Vとは、ガイドチューブ18を製造するとき、互いに分離することなく機械加工することができるのでガイドチューブ18の開口端部の端面および弁座18V相互間距離の製造上のばらつきを小とすることが可能となる。
【0022】
チューブ本体10は、他端10E2に近い端部に、ばね受け部12を有している。ばね受け部12は、かしめ加工によるチューブ本体10の窪み10CA2により形成される突起がその外周部に食い込むことにより固定されている。付勢部材支持部としてのばね受け部12は、中央部に貫通孔12a、および、コイルスプリング16の一端が係合されるばねガイド12bを有している。
【0023】
ニードル部材20は、例えば、真鍮、または、ステンレス鋼で作られ、
図1に示されるように、円柱状の大径部20B1と、大径部20B1における弁座18Vに向かい合う端部に形成される小径部20B2と、小径部20B2から弁座18Vに向けて延びる先細部20Pと、大径部20B1におけるコイルスプリング16の他端に向かい合う端部に形成される突起状のばねガイド部20Dと、から構成されている。
【0024】
ニードル部材20のばねガイド部20Dには、コイルスプリング16の他方の端部が係合されている。先細部20Pの基部は、ガイドチューブ18の連通孔18Cに向かい合っている。
【0025】
ばねガイド部20Dの直径よりも大なる直径を有する大径部20B1とばねガイド部20Dの直径と略同一の直径を有する小径部20B2との間の結合部分の回りには、その直径の差に応じた環状の段差部20BSが形成されている。段差部20BSは、コイルスプリング16の付勢力により、ブリード量調整部材として環状のスペーサ部材22を介してガイドチューブ18におけるチューブ本体10の他端10E2に向かい合う端面に当接せしめられている。
【0026】
スペーサ部材22は、例えば、ステンレス鋼製、または、りん青銅製、あるいは、真鍮製のシートにより、厚さ0.07mm〜0.08mmで環状に作られている。ガイドチューブ18におけるチューブ本体10の他端10E2に向い合う端面の環状の断面積は、段差部20BSの断面積に比して若干大に設定されている。
【0027】
これにより、段差部20BSの当接面の面積およびガイドチューブ18における開口端面の面積は、比較的大に設定可能なので段差部20BSおよびガイドチューブ18における開口端面相互間の面圧を小さくすることが可能となる。従って、ニードル部材20の大径部20B1の磨耗が抑制される。また、後述するように、先細部20Pの外周部は、上述のスペーサ部材22の厚さに応じた所定の隙間を弁ポート18Pの開口端部の周縁に対し形成するように配置されているので先細部20Pの弁ポート18Pに対する食い付きが回避され、安定した流量制御が行われることとなる。
【0028】
所定のテーパ角度(例えば、10°〜20°)を有する円錐台状の先細部20Pは、
図1に示されるように、弁ポート18Pの直径よりも大なる直径を有する基部を弁ポート18Pから離隔した位置に有している。小径部20B2と先細部20Pの基部との間の境界部分には、面取りが施されている。これにより、差圧(一端10E1側の冷媒の入口圧力と他端10E2側の冷媒の出口圧力との差)に応じて弁開度を大きくでき、しかも、流体の流れの乱れが小さいので冷媒が通過するとき、発生する音圧レベルが抑制される。
【0029】
ニードル部材20の先細部20Pの外周部における弁ポート18Pの開口端部に対応する位置において、
図4に部分的に拡大されて示されるように、先細部20Pの外周部は、上述のスペーサ部材22の厚さに応じた所定の隙間を弁ポート18Pの開口端部の周縁に対し形成するように配置されている。大径部20B1の段差部20BSは、コイルスプリング16による弁閉方向の力と、一次側配管Du1からの冷媒の圧力と二次側配管Du2内の冷媒の圧力との圧力差に応じた弁開方向の力との差による付勢力でガイドチューブ18の一端面に当接されている。ニードル部材20の先細部20Pの外周部が、上述のように、弁ポート18Pの開口端部の周縁に対し離隔される場合、ニードル部材20の先細部20Pと弁ポート18Pの開口端部との間には、絞り部が形成される。絞り部とは、弁ポート18Pの周縁から先細部20Pの母線への垂線と、先細部20Pの母線との交点が、弁ポート18Pの縁から最も近い箇所(最狭部)をいう。この垂線が描く円錐面の面積が、絞り部の開口面積となる。
【0030】
これにより、上述のスペーサ部材22の厚さに応じてニードル部材20の先細部20Pの外周部が弁ポート18Pの縁に対しその中心軸線に沿って離隔されるので絞り部を通過する所定のブリード量が設定されることとなる。また、ニードル部材20に不所望な圧力が作用しニードル部材20の先細部20Pが弁座18Vの弁ポート18Pの開口端に食い付くことが回避される。
【0031】
また、ニードル部材20の先細部20Pの外周部が、差圧(一端10E1側の冷媒の入口圧力と他端10E2側の冷媒の出口圧力との差)により、弁ポート18Pの開口端部の周縁に対しさらに離隔し始める離隔開始タイミングは、コイルスプリング16の付勢力に基づいて設定される。コイルスプリング16のばね定数は、所定の値に設定されている。
【0032】
従って、コイルスプリング16のばね長さの調整を行う調整ねじ等が不要とされるので各冷媒に応じた弁開き始め圧力を調整することができ、しかも、絞り装置の構造を簡略化し、製造コストを低減できる。
【0033】
斯かる構成において、
図2に示されるように、冷媒の圧力によるニードル部材20に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超えず、冷媒が、一次側配管Du1を通じて矢印の示す方向に沿って供給される場合、冷媒の圧力は、チューブ本体10の一端10E1、上述の絞り部を通過することにより減圧され、その後、冷媒が、ガイドチューブ18の内周部18a、連通孔18C、ガイドチューブ18の外周部とチューブ本体10の内周部10aとの間、ばね受け部12の貫通孔12aを通じて他端10E2から所定のブリード量で排出される。
【0034】
さらに、冷媒の圧力によるニードル部材20に作用する力がコイルスプリング16の付勢力を超える場合、上述の絞り部を通じて流れる冷媒が、弁ポート18Pの周縁からさらに離隔する方向にニードル部材20を押圧することとなる。これにより、冷媒の流量Qが、
図3に示されるように、上述の差圧DPが増大するにつれてブリード量よりも徐々に比例して増大し、上述の差圧DPが、例えば、所定の値PA(0.3Mpa)のとき、差圧DPが増大するにつれて流量が比例して急激に増大することとなる。差圧DPが、所定の値PA(0.3Mpa)のとき、流量Qが所定の値GA(2リットル)以上となる。なお、
図3は、縦軸に上述の絞り部の流量Qをとり、横軸に上述の冷媒の差圧DPをとり、冷媒の差圧に応じた変化をあらわす特性線Laを示す。
【0035】
なお、上述の例においては、段差部20BSは、コイルスプリング16の付勢力により、ブリード量調整部材として環状のスペーサ部材22を介してガイドチューブ18におけるチューブ本体10の他端10E2に向かい合う端面に当接せしめられているが、斯かる例に限られることなく、例えば、スペーサ部材22が省略されてもよい。このような場合においては、段差部20BSがガイドチューブ18におけるチューブ本体10の他端10E2に向かい合う端面に当接せしめられるとき、ニードル部材20の先細部20Pの外周部が弁ポート18Pの縁に対しその中心軸線に沿って離隔されるように、予め、段差部20BSから先細部20Pの先端までの距離、あるいは、先細部20Pのテーパ角度の値が変更される。このような場合であっても、弁座18Vがガイドチューブ18と一体に形成されることにより、ガイドチューブ18における端面と弁ポート18Pとの相互間距離の精度が高精度に得られるので所定の適正なブリード量が得られることとなる。
【0036】
また、このようにスペーサ部材22が省略される場合、上述の面取り18Vaは、ニードル部材20の先細部20Pに代えて、スペーサ部材22の厚み分だけ小径部20B2に対応する部分が長い擬似体としての治具が、弁ポート18Pに所定の圧力で押し込まれることにより形成されてもよく、あるいは、面取り18Vaが、弁ポート18Pの加工に伴って旋盤による機械加工により形成されても良い。
【0037】
図5は、本発明に係る絞り装置の第2実施例の構成を示す。
【0038】
図5に示される絞り装置は、例えば、
図2に示される例と同様に、冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器6の出口と蒸発器2の入口との間に配置されている。
【0039】
なお、
図5において、
図1に示される例における構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0040】
絞り装置は、上述の冷凍サイクルシステムの配管に接合されるチューブ本体10と、チューブ本体10の内周部に固定されるガイドチューブ18と、ガイドチューブ18における一次側配管Du1に近い端部に一体に形成され冷媒の流量を調整する流量調整部を構成する弁座18V、および、ニードル部材20と、ニードル部材20を弁座18Vに対し近接する方向に付勢するコイルスプリング16と、コイルスプリング16の一方の端部を支持するばね受け部12と、ガイドチューブ18の一端とニードル部材20の大径部20B1との間に配されるスペーサ部材22と、加えて、ニードル部材20の移動速度を減速させるはね部材24と、を主な要素として含んで構成されている。
【0041】
ニードル部材20のばねガイド部20Dに設けられるはね部材24は、
図6に拡大されて示されるように、例えば、薄板金属材料で作られ、環状の固定片24Aに一体に形成される3枚の接触片24a,24b,24cを有している。固定片24Aの孔24dには、ばねガイド部20Dが挿入される。また、固定片24Aは、コイルスプリング16の付勢力により、ニードル部材20におけるばねガイド部20Dの周辺に押し付けられることとなる。
【0042】
3枚の接触片24a,24b,24cは、固定片24Aの円周方向に沿って均等の角度で離隔され形成されている。これにより、弾性変位可能な接触片24a,24b,24cの先端がチューブ本体10の内周面に所定の荷重で摺接することによってニードル部材20の移動速度が減速されることとなる。
【0043】
斯かる構成において、
図2に示されるように、冷媒が、一次側配管Du1を通じて矢印の示す方向に沿って供給される場合、冷媒の圧力は、チューブ本体10の一端10E1、上述の絞り部を通過することにより減圧され、その後、冷媒が、ガイドチューブ18の内周部18a、連通孔18C、ガイドチューブ18の外周部とチューブ本体10の内周部10aとの間、ばね受け部12の貫通孔12aを通じて他端10E2から所定のブリード量で排出される。
【0044】
斯かる例においては、絞り装置は、スペーサ部材22およびはね部材24を個別に備える構成とされるが、必ずしもこのように構成される必要がなく、例えば、
図7に示される第3実施例のように、スペーサ部材22が省略され、ブリード量調整部材として所定の厚さのはね部材24が、大径部20B1の段差部20BSに配置されてもよい。これにより、部品点数を減らすことが可能となる。
【0045】
なお、
図7において、
図5に示される例における構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0046】
図8は、本発明に係る絞り装置の第4実施例の構成を示す。
【0047】
図8に示される絞り装置は、例えば、
図2に示される例と同様に、冷凍サイクルシステムの配管における凝縮器6の出口と蒸発器2の入口との間に配置されている。
【0048】
図7に示される例においては、ばね受け部12は、貫通孔12aを有するものとされるが、その代わりに、
図8に示される例においては、ばね受け部14は、
図9に示されるように、チューブ本体10の内周部10aとばね受け部14の外周部との間に、排出通路10Rを形成するように平坦面14aを向かい合って有するものとされ、排出通路10Rにおける平坦面14aに直交する方向の幅は、排出通路10Rの各開口を形成する平坦面14aの位置がコイルスプリング16の外周よりも内周部10aに近くなるように、設定されている。
【0049】
従って、冷媒は、コイルスプリング16の外周から離れた位置を通って他端10E2に排出される事となり、流体の流れによる力がコイルスプリング16に影響を与え難くなり、絞り装置の作動に影響を及ぼすことが抑制される。また、流体がコイルスプリング16の線材間を通過することにより生じるコイルスプリング16の振動が抑制され、騒音が防止される。
【0050】
なお、
図8において、
図7に示される例における構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0051】
絞り装置は、上述の冷凍サイクルシステムの配管に接合されるチューブ本体10と、チューブ本体10の内周部に固定されるガイドチューブ18と、ガイドチューブ18における一次側配管Du1に近い端部に一体に形成され冷媒の流量を調整する流量調整部を構成する弁座18V、および、ニードル部材20と、ニードル部材20を弁座18Vに対し近接する方向に付勢するコイルスプリング16と、コイルスプリング16の一方の端部を支持するばね受け部14と、ニードル部材20の大径部20B1の段差部20BSに配されニードル部材20の移動速度を減速させるはね部材24と、を主な要素として含んで構成されている。
【0052】
斯かる構成において、
図2に示されるように、冷媒が、一次側配管Du1を通じて矢印の示す方向に沿って供給される場合、冷媒の圧力は、チューブ本体10の一端10E1、上述の絞り部を通過することにより減圧され、その後、冷媒が、ガイドチューブ18の内周部18a、連通孔18C、ガイドチューブ18の外周部とチューブ本体10の内周部10aとの間、一対の排出通路10Rを通じて他端10E2から所定のブリード量で排出されることとなる。